日本小児循環器学会雑誌 7巻3号 489〜490頁(1991年)
第1回近畿・中四国小児心電図研究会
日 時 場 所 座 長 事務局
平成2年2月3日 大阪市 東洋ホテル
馬場国蔵(神戸市立中央市民病院)
近畿大学医学部心臓小児科内 横山達郎
1.心筋虚血を疑わせる心電図変化を呈した14歳女 子例
京都府立医大小児疾患研究施設内科部門
林鐘声,坂田耕一,福持裕
白石 公,早野 尚志,神谷 康隆 浜岡 建城,尾内善四郎
学校心電図検診でII, III, aVF, V5.6のSTの水平 低下とT波陰転を認め,下壁・側壁の心筋虚血を疑わ れ,当科紹介となった.自覚症状はなく,日によって II, V5.6のT波は陽転し非特異的変化となったりした が,運動負荷によって前記の虚血様の心電図変化を示
した.
タリウム運動負荷心筋シンチでは,心尖部前壁に潅 流欠損がでたが,左室造影,冠動脈造影検査に異常を 認めなかった.次に各種薬剤による心電図変化を検討 したところ,β刺激剤によって虚血様所見を呈し,β遮 断剤によって非特異的所見となることが明らかとなっ た.交感神経刺激による非虚血性ST−T変化を呈した
1例と考え報告した.
2.突然死した房室ブロック例
国立循環器病センター小児科 新垣 義夫 胎児期から不整脈を指摘され,9歳9か月でマラソ
ンの準備体操中に意識喪失となり,2日後に死亡した 器質的心疾患を有しない,2度の房室ブロック(AVB)
(Mobitz II型),完全右脚ブロック,左軸偏位を呈した 小児例の心電図経過と剖検結果を中心に報告した.
2歳ごろからの安静時心電図ではAVBを認めな
かった.5歳時のTreadmill運動負荷試験では,心拍数が増加するとII度のAVBが認められた.9歳9か
月時の心電図は完全AVBで,徐脈(30〜40/分)であっ た.意識は回復したが,翌日突然心室細動を起こし,死亡した.V2−6でのT波の逆転, V2−3での異常Q波が 認められた.病理診断は,房室結節および右房の線維 化,心室中隔左室側の心内膜下の出血性壊死(顕微鏡 的にはcontraction band necrosis)が見られた.冠動 脈に異常は認めなかった.
3.発見後1年でAdams・Stokes発作をおこしペー スメーカー植え込み術を施行した洞不全症候群の1幼 児例
大阪大学小児科
佐野 哲也,中島 徹,松下 享 萱谷 太,岡田伸太郎
同 第1外科
光野 正孝,河本 知秀,川島 康生 3歳5か月時に初めて不整脈を指摘され,ホルター 心電図で洞停止を含む著しい洞性徐脈,心室頻拍と診 断した.症状なく不投薬で経過観察したが,4歳時に は心房粗動による頻脈を多く認め,徐脈頻脈症候群と なった.その後洞性徐脈が主な時と心房粗動による頻 脈が主な時とが交互に現れる様になった.4歳5か月 時に初めて意識消失発作が出現し,2か月間に計3回
のAdams−Stokes発作をおこした.4歳8か月時に
DDD型ペースメーカー植え込み術を施行し, DDI モードのペーシングを行った.術後経過は順調であるが,4歳11か月時に心房leadの断線のために現在
VVIモードでペーシング中である.4.デルタ波を認めないため,右室肥大と考えられて いた,マハイム束による早期興奮症候群の症例 近畿大学心臓小児科
中村 好秀,久保田佳伸,横山 達郎 症例は,15歳の男児であり,高校の心臓検診で初め て,心電図異常(右室肥大の疑い)を指摘された.断 層心エコー図を施行したところ,左房の拡大(AoD/
LAD=27/41)を認めたため,精査施行した.
心房刺激AIA2において410msecから420msecで,
HV時間は20msecから50msecに延長しV1の心電図
波形はRsからrSに大きく変化した.デルタ波や異常Q波も認めず,右側高電位のみを呈 した本症の心電図所見は,興味ある所見と考えられ報
告した.
5.頻拍発作で発症した洞不全症候群の1例 愛媛大学医学部小児科 石川 純一
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1歳2か月時に頻脈で発見された洞不全症候群
(SSS)の女児を経験した.顔色不良,元気がないこと を主訴に近医受診し頻脈を認め,当科に紹介され入院 した.心電図で心拍数300/分幅の狭いQRS波形を認 め,上室性頻脈と考えジギタリス飽和により洞調律に 戻った.洞調律の心電図はPQ間隔, QRS波形とも正 常だったが,55回/分の徐脈を認めたため,ジギタリス
日小循誌 7(3),1991 を中止し,Holter心電図を施行した. P波の形やRate の変化,粗動波,細動波,2.2秒の洞停止,房室ブロッ ク,変行伝導を認め,SSSと診断した.ベラパミール を投与し,心拍数が安定したため,外来で経過観察を 行っている.7歳時までに発熱に伴ってのケイレソを
数回認めており,頻脈によって起こったAdams−
Stokes発作と考えられた.
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