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開発報告書 地域における安心・安全に関するシステム開発、調査・研究

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(1)

平成 21 年度先導的地域情報システムの調査・開発事業 

     

地域における安心・安全に関するシステム開発、調査・研究  

「携帯電話を用いた沿岸モニタリングシステムの開発」 

開発報告書 

                     

平成22年3月   

財団法人ニューメディア開発協会 

この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。 

URL:http://ringring-keirin.jp/

(2)

 

目  次   

1.開発テーマ      ・・・・・・・・・・・・・・・  1   

2.開発の目的と背景      ・・・・・・・・・・・・・・・  1   

3.システムの目標      ・・・・・・・・・・・・・・・  1   

4.システム導入で期待される効果  ・・・・・・・・・・・・・・・  1   

5.開発システムの概要・内容説明  ・・・・・・・・・・・・・・・  3   

6.開発体制      ・・・・・・・・・・・・・・・ 22   

7.事業運営体制      ・・・・・・・・・・・・・・・ 23

(3)

1.開発テーマ 

「携帯電話を用いた沿岸モニタシステムの開発」 

 

2.目的・背景 

従来、沿岸域では漁業無線や船舶電話あるいは FAX(白黒情報、船舶電話回線を用いた FAX は通信速度が低速なために白黒に限定され、カラーFAX 送信が不能である)等を通じて、陸 上と海上との情報交換を行っていた。しかし、これらの通信方法は特別な機器が必要でかつ 通信コストもかかることから、一部関係者のみに限られた通信手段であり、広く一般の利用 者間で情報を遣り取りするには不向きであった。これに対し、携帯電話は現在、ほとんどの 人が所持しており、最近のGPS付きや通信機能の向上もあり、沿岸から 10 マイル程度(約 20km)以内であれば、陸上で用いるのと大差ない状況になりつつある。 

  本開発の目的は、沿岸域の海洋環境の保全や水産資源の適切な管理や利用のために、現在、

広く使われ始めているGPS付き携帯電話を用いて現場海域において、直接、簡便に情報を 発信したり必要な情報を入手したりできるシステムを開発することである。これにより、赤 潮やエチゼンクラゲの出現を早期に警報できる他、現場付近の海況情報をリアルタイムに入 手することにより、効率的な操業や漁場予測も可能となり、原油高に悩む漁業関係者の負担 を和らげる効果も大きいものと期待される。また、水産分野だけでなく、様々な海況・海上 情報を提供できることから、マリンレジャーを楽しむ人々の「海の安全」確保にも寄与する ものと考えられる。 

 

3.システムの目標 

開発システムの目標は、海にいる誰もが陸上と同じように情報交換ができる場を作り上げ ることである。具体的には、GPS 付きの携帯電話を使って漁業者だけでなく、海に出ている 誰もが簡単に情報を発信したり、自船の周りの海況情報を取得できたりするサービスを提供 することである。交換される情報は文字情報だけでなく、マップや画像・グラフといった視 覚的なコンテンツも含まれ、さらに GPS 情報を利用することにより現場のスケールに応じた 精度の高い情報を提供できるシステムを目指す。一方、円滑な通信状況を確保するために、

画像等については適切な圧縮方法や配信方法を考案し、通信料や通信時間、引いては通信コ ストを極力抑えたシステムの開発を目指す。 

 

4.システム導入で期待される効果 

本システムはGPS付き携帯電話を利用して、位置の明らかになった海上の地点から赤潮 や漂流物等の発見情報を陸上局に送り、赤潮マップ等の速報マップを自動生成し関係各所に 配信する沿岸域モニタリングシステムである。陸上局では海上から送られたGPS情報を含 む各種データを受け、データベースに登録するとともに現況マップを自動生成し、WEBサ イトで閲覧できるようにする。さらに、他の携帯電話の利用者にこのマップを配信すること により、危険情報等を皆で共有することも可能となる。 

  また、海上においては逆にその地点付近の赤潮情報や海底地形、水温・潮目といった海況

(4)

情報を画像として陸上局から受信し、自船周りの海況を知ることもできる携帯電話を媒体と した双方向データ転送システムでもある。これにより、GPS 航法装置を持たない小さなボー トも海洋観測の基地となり、これまでの少数の調査船によるデータ収集から一気に膨大な海 洋情報を即座に収集できるシステムへと代わり、赤潮等のハザードマップをリアルタイムに 生成することが可能となる。またこのハザードマップを逆に携帯電話経由で多数の人々に伝 えることにより、赤潮の被害を最小化するとともに、沿岸海洋環境の保全や、マリンレジャ ーを楽しむ人々の海の安全に大きく寄与するものと期待される。 

最近、特に耳にすることが多くなった赤潮やエチゼンクラゲの襲来は、地元漁業者に直接 的な被害をもたらし、その被害額は数億円に上ることも多々ある。これらの被害を最小限に 抑えるためのIT利活用システムとして、本提案は画期的であり、地域産業の危機管理に大 きく寄与するものと考えられる。 

また、漁業関係者だけでなく、携帯電話を保持する一般釣り人等マリンレジャーを楽しむ 人々からも現場から直接、情報を得ることが可能となり、赤潮だけでなく漂流物やゴミの分 布等も広くモニタリングすることができる。従って、本システムは海洋環境の保全や「海の 安全」確保に係わる公共的な情報配信サービスとして、地域はもとより広く海に囲まれた日 本全体の海洋環境保全や海上安全に貢献するものと言える。 

   

(5)

5.開発システムの概要・内容説明 

本システムは海上におけるGPS携帯電話(海上局)と、携帯電話からの情報を受けマッ プを作成したり、海況情報を逆に海上局やパソコンユーザー向けに送信する陸上局の2つか ら成る。その全体図を図1に示す。 

 

海底 GPS

赤潮 赤潮

GPS付 き

携帯電話 (10マイル以内)

Webコ ンテンツ 配信用サーバ ー

赤潮情報送信 潮汐

衛星画像 海底地形

沿岸情報コンテンツ データベース

赤潮コンテンツ データベース

赤潮マップ 赤潮インデックス 赤潮マップ 作成システム

海底地形 衛星画像

赤潮インデックス

海洋情報配信 赤潮マップ配信

PC FAX 携帯電話

図 1.GPS 付携帯電話を利用した 沿岸海域におけるリアルタイム モニタリングシステム

携帯電話陸上局

海底 GPS

赤潮 赤潮

GPS付 き

携帯電話 (10マイル以内)

Webコ ンテンツ 配信用サーバ ー

赤潮情報送信 潮汐

衛星画像 海底地形

潮汐 衛星画像 海底地形

沿岸情報コンテンツ データベース

赤潮コンテンツ データベース

赤潮マップ 赤潮インデックス

赤潮マップ 赤潮インデックス 赤潮マップ 作成システム

海底地形 衛星画像

赤潮インデックス

海洋情報配信 赤潮マップ配信

PC FAX 携帯電話

図 1.GPS 付携帯電話を利用した 沿岸海域におけるリアルタイム モニタリングシステム

携帯電話陸上局

   

本システム開発により、作成されたモジュールやデータベースは以下の6つである。図2 にシステム全体の処理フロー図を示す。 

  ・GPS付き携帯電話による双方向の情報配信モジュール    ・WEBサイト構築 

  ・沿岸域における海底地形および水温等衛星画像コンテンツ作成モジュール    ・海況データの配信およびデータベース構築 

  ・的確な赤潮・エチゼンクラゲ発見情報のデータ送信モジュール    ・赤潮マップ等漁海況マップの自動生成モジュール 

       

(6)

ユーザ ー情報 データベ ース

ユーザ ー情報 データベ ース

GPSおよ び 送信情 報 解析モジュール

ユ ーザ ー独自マッ プ 自動作成モジュ ール

赤潮マップ等各種マッ プ 自動作成モジュ ール

ユーザ ー情報 データベ ース

GPS

赤潮・漂流物 画像 海底地形

海況マップ 赤潮マップ

GPS

送信情報 海上局 送信情報

GPS 赤潮情報 漂流物情 報 画像

受信情報 赤潮マップ 海況マップ 漂流物マッ プ 海底地形 図 イン ターネット

パソコン向 けW ebサ ーバ ー 携帯向 けW ebサーバ ー

ユ ーザ ー管理 モジュール 配信コンテン ツ

自動作成モジュ ール

パソコンW ebユ ーザ ー

コンテン ツサ ーバ ー

赤潮マップ データベ ース 海底地形 図

データベ ース

海況マップ デ ータベ ース ユーザ ー独自マッ プ

データベ ース

海底地形 図 生成サ ブシステム

海況マップ 生成サ ブシステム GPS付き

携帯電話

陸   上  

ユーザ ー情報 データベ ース

ユーザ ー情報 データベ ース

GPSおよ び 送信情 報 解析モジュール

ユ ーザ ー独自マッ プ 自動作成モジュ ール

赤潮マップ等各種マッ プ 自動作成モジュ ール

ユーザ ー情報 データベ ース

GPS

赤潮・漂流物 画像 海底地形

海況マップ 赤潮マップ

GPS

送信情報 海上局 送信情報

GPS 赤潮情報 漂流物情 報 画像

受信情報 赤潮マップ 海況マップ 漂流物マッ プ 海底地形 図 イン ターネット

パソコン向 けW ebサ ーバ ー 携帯向 けW ebサーバ ー

ユ ーザ ー管理 モジュール 配信コンテン ツ

自動作成モジュ ール

パソコンW ebユ ーザ ー

コンテン ツサ ーバ ー

赤潮マップ データベ ース 海底地形 図

データベ ース

海況マップ デ ータベ ース ユーザ ー独自マッ プ

データベ ース

海底地形 図 生成サ ブシステム

海況マップ 生成サ ブシステム GPS付き

携帯電話

陸   上  

図2.システムの処理フロー図 

(7)

以下、各モジュールの具体的な開発内容を示す。 

 

(1)GPS付き携帯電話による双方向の情報配信モジュール 

携帯電話を利用した双方向の情報配信は、古くはiモード、最近ではiPhone等の 次世代携帯電話サービスで既に実施されている。本開発では、一般的な GPS 付携帯電話を 主なターゲットとし双方向の情報配信システムを開発したが、普及しつつある iPhone に ついても対応できるようシステムを拡張した。 

現在、提供されているGPS機能を含む主な携帯電話サービス業者は以下の3社である。 

・NTTドコモ 

・AU(KDDI) 

・ソフトバンクモバイル   

システム構築に当たっては、最も利用者の多い通常のGPS付携帯電話を中心に、各サ ービス業者の利用形式に合わせた双方向通信機能および携帯サイトの画面レイアウトを 開発した。個々の開発項目は以下のようである。 

①携帯電話サイトの構築 

携帯電話は表示画面の大きさに制約があることから、的確な双方向通信機能を実現す るためには、操作しやすいメニュ画面や見やすいマップ等のデザインが必要である。携 帯電話を通して交換する情報をまとめると表1のようになる。  本開発ではそれぞれの コンテンツに応じた発見内容とアイコンを作成し、GPS 情報と結びつけてその分布状況 を的確に表示できる機能を開発した。 

 

表1.  携帯電話で交換される情報 

コンテンツ  内容 

GPS情報  発信日時・緯度・経度  赤潮情報  色・形状・広がり範囲等 

漂流物情報  流木・漂流ゴミ・危険物情報・海岸ゴミ等 送信 

画像情報  デジタル画像 

自船位置  緯度・経度・日時  赤潮マップ  赤潮の発生分布  海況マップ  水温・海色・海面高等 

海底地形図  等深線・底質 

受信 

危険情報等  漂流物・危険情報   

(8)

また、図3に開発した携帯電話サイトのメニュを示す。なお発見情報の送信メニュは、

機種を問わず同一メニュとなるが、受信メニュについては iPhone は直接 WEB サイトを 参照できるため、ここでは一般的な携帯電話における受信メニュを示した。 

  図3.携帯電話サイトのメニュ   

②GPSの位置情報の送信および履歴管理機能 

本システムでは携帯電話サービス会社のGPSおよび画像配信サービスを利用し、

個々のユーザが現地から送信した情報を、ユーザ毎にデータベース化して管理する機能 を開発した。本機能は図2のシステムの処理フロー図に示したように以下の3つのモジ ュールから成る。 

 

表2.  携帯電話からの情報管理機能 

モジュール名  機能概要 

ユーザ管理  モジュール 

各ユーザの識別を行うと共に、利用履歴やユーザ独自の コンテンツ情報を管理する 

GPSおよび送信情報解析  モジュール 

携帯電話から送られてきた情報を分析し、ユーザ毎に対 応するデータベースに登録する 

ユーザ情報データベース  モジュール 

各ユーザが発信した赤潮情報や画像データを登録管理す るとともに、赤潮マップ作成用のデータとして活用する  

   

(9)

図4は、海上の携帯電話から送信され、本システムで受信されたユーザ毎の発見情報をア イコンで示したものである。受信された各ユーザの発見情報は、「ユーザ管理モジュール」

によりユーザ識別された後、「GPSおよび送信情報解析モジュール」を通じて電文が解 析され、ユーザ情報データベースに登録・保存された。そして、指定された時間間隔でこ のユーザ情報データベースより対応する時間内の発見情報が検索され、「赤潮マップ等各 種マップ自動作成モジュール」を用いて、携帯電話画面および WEB サイト用のマップが生 成された。 

     

 

図4.  送受信される発見情報   

 

③各種マップ等の配信機能 

海上局の携帯電話においては、送信されたGPS情報等をもとに自船位置を中心とし た赤潮や海底地形等の各種マップを陸上局より受信し、指定されたスケールで表示でき るようにした。本機能を実現するために以下の2つのモジュールを開発した。 

 

表3.  携帯電話へのマップ配信機能 

モジュール名  機能概要 

ユーザ独自マップ  自動生成モジュール 

海底地形や水温等の定型コンテンツの他に、これまでユーザが独自に 収集し蓄積してきた海の情報や画像等を配信コンテンツに付加する  配信コンテンツ 

自動生成モジュール 

後述の自船位置を中心として適切な(見やすい)スケールで作成され た各種マップをユーザからの要望に応じて自動配信する 

 

携帯電話の表示画面は非常に狭いため、配信する各種マップや情報は画面サイズに応 じた、見やすくかつ分かりやすい情報として表す必要がある。「配信コンテンツおよび ユーザ独自マップ自動生成モジュール」は、WEB サイトでの表示とも関連し、表示海域 の範囲を19段階のタイル状に分けてコンテンツを自動生成するものである。すなわち、

それぞれの表示範囲に応じて各種マップを分割生成し管理する機能をまず開発し、海底

(10)

地形図、海況マップおよび赤潮マップデータベースに階層構造データとして保存した。

これにより配信コンテンツの容量を極力小さくすることができ、スムーズな操作性を確 保するとともに通信コストを押さえることができた。 

 

④課金機能 

ユーザ管理上、最も重要な課題は利用量に応じた課金を行うことである。課金機能に ついては、個人情報の保護が前提であり、これについては携帯電話サービス会社の課金 形態を勘案し、セキュリティが強固でかつ簡便に行えるものとする。 

    現在、インターネットを使った通信サービス用に利用されている市販の課金システムと しては、SBIベリトランスや Epsilon 決済サービスがある。どちらもクレジットカード での決済を代行するもので、販売金額の数パーセントを手数料として納める。本システム では、独自に決済システムを作成せず、これらの決済サービスを利用するものとした。 

 

(2)WEBサイトの構築 

本システムは携帯電話を利用した情報配信サービスであるが、利用者の獲得やサービス の普及を推進するためには、パソコンによる情報配信、WEBサイトの構築も必要となる。 

そこで、携帯電話の限られた小さな画面に代わり、対応する海域を拡張表示した使い勝 手のよいコンテンツを提供できるWEBサイトも構築した。このパソコンを利用したWE Bサイトでは、ベースマップとしてグーグルマップを採用し、その上に赤潮・海況・海底 地形図等のコンテンツを重ね合わせられるようにした。配信するコンテンツは以下のよう である。 

表4.パソコン版WEBサイトで提供される情報 

コンテンツ名  内容等 

ベースマップ  グーグルマップ(地図および可視画像) 

赤潮等各種マップ  赤潮や漂流物の分布状況を数時間毎に更新して提供できるもの とする 

海況マップ  MODISの表面水温・海色やAMSERの表面水温、海面高 画像および黒潮等の海流分布図を毎日提供できるものとする 

海底地形図 

50m以浅では1m毎に、100m以浅では2m毎に、100 m〜200m深では5m毎の詳細な等深線を提供できるものと する 

   

図5にWEBサイトのトップページを、また図6に各種マップの表示例を示した。 

(11)

  図5.開発したパソコン版WEBサイト 

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      赤潮マップ      海底地形図 

     

衛星画像水温      衛星画像海色   

図6.WEBによる配信コンテンツ   

このWEBサイトでは、指定された経過時間毎に、受信した発見情報に対応して自動生 成された最新の各種マップ情報を表示する他、日時を指定すれば過去の情報も参照できる。 

 

(13)

(3)沿岸域における海底地形および水温等衛星画像コンテンツ作成モジュール 

時々刻々と変化している沿岸環境の情報配信に対応するため、最新の情報を携帯電話や WEBサイトでの利用に適した精度やスケールで自動的に提供できる機能を開発した。 

開発機能は以下のようである。 

・GPSと連動した自船位置の表示機能 

・携帯電話画面サイズに対応した適正表示エリアの自動設定機能 

・海底地形や衛星画像等の海況コンテンツ自動生成機能   

各機能の内容をまとめると以下のようである。 

①GPSと連動した自船位置の表示機能 

図7に示すように、ユーザから送られ各自のユーザ情報データベースに収録されたG PS情報をもとに、直近の自船位置を表示する図面を作成する。自船は後述の適正表示 エリア設定機能と連動して、最も見やすい海域範囲において海底地形図の上に表示され るようにした。 

 

図7.GPS情報に基づく自船位置表示例   

②適正表示エリアの自動設定機能 

コンテンツは画面サイズに応じた適正な範囲で表示しないと、利用価値が低下し引い てはユーザが離脱する原因ともなる。従って、如何に見やすく分かりやすいマップを配 信するかは事業を左右すると言っても過言ではない。本システムでは表示画面の小さい 携帯電話だけでなく、パソコン画面にも様々なマップを配信する他、拡大や縮小表示に よっても適正な海域範囲が変化することから、表示スケールに対応した適正海域範囲設 定や解像度に応じた画像抽出機能を開発した。すなわち、パソコンWEBサイトでは、

現在、そのプログラム仕様が明らかにされている Google Map の API を利用し、表示ス ケールを本システムにおいては19段階に設定し、オリジナル図面を作成するものとし た。そして、コンテンツの重複を避け、効率的かつ統一的な表示画面を実現するために、

携帯電話版パソコン版も全て同じ図面を利用出来るようコンテンツの共通化を図った。 

(14)

19段階の Google Map の表示スケールに対応したオリジナル図面を作成するために、

本機能では携帯電話とパソコンそれぞれについて、以下のプログラムを開発した。 

 

表5.適正表示エリアの自動設定機能 

プログラム名  処理概要 

適正等深線間隔計算  プログラム 

指定された海域範囲において、等深線が粗密にならず最も見や すくなるよう表示する等深線の間隔を設定する 

適正空間解像度計算  プログラム 

指定された海域範囲において、マップ上のオブジェクトが粗密 にならず最も見やすくなるよう、コンテンツの階層化管理によ り適正空間解像度のマップを提供する 

 

③海底地形や衛星画像等の海況コンテンツ自動生成機能 

前述の Google Map を利用した表示スケールに対応した適正表示エリアの自動設定機 能と連動し、後述のベースとなる海底地形や衛星画像等の海況データベースからオリジ ナルデータを取り出し、19段階に表示範囲を分割したコンテンツを自動生成する機能 を開発した。 

 

(4)海況データの配信およびデータベース構築 

図2のシステム処理フロー図に示すように、本システムでは様々なマップ情報を取り扱 う。これらマップは日本全国を対象としており、任意の沿岸域に対応するため、膨大なデ ータを管理するデータベースを構築する必要がある。また、将来的には海外での展開も考 えており、データベースを拡張するだけでシステムの再構築ができるような構造が望まし い。これらマップの内、海底地形図および海況マップについては、図2の最下段に示した

「海底地形図生成サブシステム」と「海況マップ生成サブシステム」により指定されたデ ータベースに登録できるようにした。 

構築したデータベースおよび開発された機能等は以下のようである。 

①データベース 

・赤潮マップデータベース(漂流物マップを含む) 

・衛星水温等の海況データベース 

・海底地形図データベース 

・ユーザ情報(管理)データベース 

・ユーザ独自マップデータベース 

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②データ管理機能 

表6.データ生成・管理機能 

プログラム名    機能概要 

海底地形データ生成  プログラム 

指定された解像度および等深線間隔のベースとなる海底地形 図を生成する 

衛星データ管理  プログラム 

数時間から数日の間隔で送られてくる衛星画像を管理し、適 宜配信する 

任意海域抽出機能 

GPS情報を受け、適正表示エリアの自動設定機能と連動し、

適正範囲の海況情報を提供するために、任意の海域における 衛星や海底地形図等のデータを抽出する 

 

(5)赤潮・漂流物(エチゼンクラゲ)発見情報のデータ送信モジュール 

赤潮発生情報を的確に捉え速報するためには、GPSによる位置情報だけでなく、どの ような赤潮が発見されたのか、またその広がり等規模はどの程度なのかを知らせる手段が 必要である。本システムでは、現在、実際の赤潮の判定に用いられている図8に示すよう な色別赤潮判定テーブルを基本とし、携帯電話を利用してどの色が発見した赤潮に最も近 い色かを選択して送ってもらう方式を採用した。これにより、従来の FAX による白黒情報 から海水の着色情報をカラー情報として把握することができ、その利便性は格段に飛躍す るものと期待される。 

しかし、携帯電話の狭い画面上にこれらの配色を全て表示することは困難なため、本シ ステムでは、最も発生頻度の高い一般的な赤潮を選び、その赤潮に対応する色を中心に配 色を独自に設定し直した。  図9は携帯電話での発信を主体に考案した赤潮判定デーブル である。発見者は系統色とその輝度番号を選ぶだけで、適切な赤潮の色情報を発信できる よう工夫した。また、出来る限り現場での状況を簡単に発信できるよう「形状」や「広が り」情報も送信できるようにした。 

  図8.赤潮判定テーブル(瀬戸内海水産協議会製作) 

   

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図9.携帯電話用簡易赤潮判定色テーブル   

赤潮の発見から、マップ生成および配信までの流れを図10に示す。なお、本システム では発見情報の持つ特性に合わせ、発見から消滅までを管理する機能を設けた。すなわち、

通常の赤潮では、その発生期間は大凡数日から10日程度であることを踏まえ、登録有効 期間をそれぞれの発見情報に持たせるようデータベースを設計した。勿論、発見者が独自 に削除・編集することもできるような機能も開発した。 

 

(17)

赤潮

①赤潮発 見 ②最も類似した 色・形状や 広が

り情報 をメニュー から選別し、陸 上局へ送 信

③ユーザ ー毎 にGPSや発見 情報 を取り出 す

Webサ ーバ ー

④収集され た赤潮 情報 を 定期的(1時間 〜1日)に 検 索し、赤潮マッ プを自 動生 成する

⑤生成され た赤潮マッ プをデータ ベース に登 録し、Webサ ーバ ー に て配信

GPSおよ び送信情 報 解析モジュール

ユーザ ー管理 モジュール

赤潮マップ自動生 成モジュール ユーザ ーA 赤潮情報

赤潮情報

ユーザ ーB

赤潮マップ データベ ース Webサ ーバ ー

速報 赤潮

①赤潮発 見 ②最も類似した 色・形状や 広が

り情報 をメニュー から選別し、陸 上局へ送 信

③ユーザ ー毎 にGPSや発見 情報 を取り出 す

Webサ ーバ ー

④収集され た赤潮 情報 を 定期的(1時間 〜1日)に 検 索し、赤潮マッ プを自 動生 成する

⑤生成され た赤潮マッ プをデータ ベース に登 録し、Webサ ーバ ー に て配信

GPSおよ び送信情 報 解析モジュール

ユーザ ー管理 モジュール

赤潮マップ自動生 成モジュール ユーザ ーA 赤潮情報

赤潮情報

ユーザ ーB

赤潮マップ データベ ース Webサ ーバ ー

速報

  図10.赤潮マップ配信の流れ 

 

(18)

(6)赤潮マップ等漁海況マップの自動生成モジュール 

本システムの目的は赤潮等の発生状況をリアルタイムに配信することである。そのため には収集した赤潮や漂流物(エチゼンクラゲ)の発見情報を即座にデータベース登録し、

指定された海域における発見位置や分布状況を設定された時間間隔(1時間毎および1日 毎)で最新マップとして配信できるようにした。すなわち、任意海域および任意時刻にお いて送信される膨大な種類と量の発見情報をユーザ別に管理し、発見の日時や位置は勿論 のこと、発見項目の種別や有効期間等も自動的に設定しデータベース化できるような機能 を開発した。また逆に、発見された情報は利用者の要望に応じて対応する日時の必要な項 目を表示できるようユーザ管理およびユーザ情報データベースと連動したマップ自動生 成機能を開発した。図11および図12にパソコンWEBおよび携帯電話上の赤潮マップ のサンプル図を示す。 

  図11.パソコンWEB版の赤潮マップ 

   

(19)

  図12.携帯電話画面における赤潮マップ   

(7)陸上サーバー関連の機器構成 

  本システムでは、海上からの発見情報を受信し、WEBにて赤潮マップや海底地形図、

衛星画像を配信するために陸上局として以下のバードウェアやソフトウェアおよび通信 環境を構築した。 

 

①配信用ハードウェア

・WEBサーバ メモリ:2GB HDD:250GB

CPU:デュアルコアCPU NIC:100Base-T

・  DBサーバ メモリ:2GB HDD:250GB

CPU:デュアルコアCPU NIC:100Base-T

・ストレージサーバ HDD:1TB NIC:100Base-T

・ルーター/ハブ 100Base-T

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②管理用ソフトウェア

・WEBサーバ

OS:Windows Server 2003 WEBサーバ:IIS6/ASP.NET 2.0

・DBサーバ

OS:Windows Server 2003

DBサーバ:Microsoft SQL Server 2005

・ストレージサーバ

Windows上からアクセスできるもの

③通信環境要件

回線速度:光ファイバー(100Mbps)

 

(8)購入機器の仕様 

本システム開発では、前述の3社のGPS付携帯電話に対応するため、テスト機器とし て表7に示す携帯電話を購入した。 

 

表7.GPS付携帯電話一覧  購入予定携帯電話一覧 

機種名  キャリア名 

iPhone3GS(16GB)  Softbank 

SH002  au 

HT-03A  NTT docomo   

 

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(9)品質・信頼性・性能等について 

本システムでは、品質・性能評価試験の海域として、関東沿岸(海岸および海岸から1 0海里以内の船上)を選び、海上における携帯電話の送受信実験と陸上局でのコンテンツ 配信実験を通して、以下の項目が異常なく動作することを確認した。なおパソコン版WE Bサイトについては、表4に示した仕様で各種コンテンツが表示されることを確認した。 

  図13および図14に2回に渡り行われた海上における送信実験と結果を示す。 

   

表8.携帯電話による品質・性能テスト 

テスト名  概要 

データ送信テスト 

GPS・赤潮インデックスの陸上局への転送  陸上局における受信とデータベースへの登録確認  マップ作成による位置および分布状況の精度確認 

データ受信テスト 

GPS情報に基づく自船位置表示  赤潮マップの受信および表示  海況マップの受信および表示  海底地形図の受信および表示  表示スケールの確認 

   

(22)

  図13.第一回海上試験における疑似発見情報(長井沖) 

(23)

  図14.第二回海上実験における疑似発見情報(大島・東京間) 

 

(24)

6.開発体制 

本システムの開発は、代表取締役の伊藤喜代志を開発リーダーとし、3名の主任研究員  および3名の研究員、そして2名の補助研究員により行った。各研究員の役割・分担を以下 に示す。 

     

                                           

伊藤 小平・伊藤

システム基本設計

赤潮インデックスの作成 プログラマー

海況情報配信システム構築

赤潮マップ作成システム構築

Webサイト構築

実機を用いた現地テスト

報告書作成

プログラマー

伊藤 真船・岩崎

プログラマー

真船・岩崎 プログラマー

松尾・木村・南場・関口 小平

小平・伊藤 小平

伊藤

総合テスト担当 開発リーダー

岩崎・松尾

岩崎・真船

伊藤・松澤      

図14.開発体制図   

(25)

7.事業運営体制 

  事業運営は、申請者である(株)国際水産技術開発を中心に、システム開発事業者の(株)

環境シミュレーション研究所が協力し展開する。そこで、実際にこの事業を運営する機関と して、両社は既に合弁で新会社(株)マリーンネットワークスを設立し、平成22年5月の 事業開始に向けた準備を進めている。企画・運営・保守業務は(株)マリーンネットワーク スが、システムの保守管理およびコンテンツの作成等技術的な分野は(株)環境シミュレー ション研究所が、そして、WEBページの更新に必要なコンテンツ作成上の情報収集は(株)

国際水産技術開発が担当する。 

開発した本システムを中心に事業展開が進められるが、より多くの利用者を獲得するため に、漁業関係者だけでなく広く釣り人やダイビング、あるいは最近注目されてきている水中 考古学者も巻き込んだWEBサイト作りを進めており、早期の事業安定化を目指す。 

   

        発行日  平成22年3月 

        作  成  財団法人ニューメディア開発協会 

        住  所  〒112-0014  東京都文京区関口 1 丁目 43 番 5 号  新目白ビル6F          電  話  03-5287-5034    FAX  03-5287-5029 

 

        開発事業者   

      [株式会社環境シミュレーション研究所] 

      住  所 〒350-1124  埼玉県川越市新宿町 2 丁目 4 番 1    平成21年度  先導的地域情報システムの調査・開発事業 

地域における安心・安全に関するシステム開発、調査・研究 

  「携帯電話を利用した沿岸モニタリングシステムの開発」  開発報告書   

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  URL:  www.nmda.or.jp   

 

参照

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