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(1)

回転炉床炉による有用金属回収技術の開発

プロジェクト評価(事後)報告書

平成21年3月

産業構造審議会産業技術分科会

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はじめに 研究開発の評価は、研究開発活動の効率化・活性化、優れた成果の獲得や社会・経済への還元 等を図るとともに、国民に対して説明責任を果たすために、極めて重要な活動であり、このため、 経済産業省では、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成17年3月29日、内閣総理大臣 決定)等に沿った適切な評価を実施すべく「経済産業省技術評価指針」(平成17年4月1日改定) を定め、これに基づいて研究開発の評価を実施している。 経済産業省において実施した「回転炉床炉による有用金属回収技術の開発」プロジェクトは、 鉄スクラップのリサイクルを行う電気炉の下工程に、還元処理設備として回転炉床炉を用い、電 気炉ダストに含まれる鉄、亜鉛、鉛を高効率に分離・回収するとともに、COガスやダイオキシ ン等環境負荷物質の排出を低減するため、平成15年度から平成19年度まで実施したものである。 今回の評価は、この「回転炉床炉による有用金属回収技術の開発」の事後評価であり、実際の 評価に際しては、省外の有識者からなる「回転炉床炉による有用金属回収技術の開発」事後評価 検討会(座長:碓井 建夫 大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻教授)を開催し た。 今般、当該検討会における検討結果が評価報告書の原案として産業構造審議会産業技術分科会 評価小委員会(小委員長:平澤 泠 東京大学名誉教授)に付議され、内容を審議し、了承され た。 本書は、これらの評価結果を取りまとめたものである。 平成21年3月 産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会

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産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会 委 員 名 簿 委員長 平澤 泠 東京大学 名誉教授 池村 淑道 長浜バイオ大学バイオサイエンス学部 教授 伊澤 達夫 東京工業大学 理事・副学長 大島 まり 東京大学大学院情報学環 教授 東京大学生産技術研究所 教授 菊池 純一 青山学院大学法学部・大学院法学研究科ビジネス法務専攻 教授 鈴木 潤 政策研究大学院大学 教授 辻 智子 日本水産株式会社 顧問 冨田 房男 放送大学北海道学習センター 所長 中小路 久美代 株式会社SRA先端技術研究所 主幹 東京大学先端技術研究センター 特任教授 山地 憲治 東京大学大学院工学系研究科 教授 吉本 陽子 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 経済・社会政策部 主任研究員 (委員敬称略、五十音順) 事務局:経済産業省産業技術環境局技術評価室

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回転炉床炉による有用金属回収技術の開発プロジェクト事後評価検討会 委員名簿 座 長 碓井 建夫 大阪大学大学院 工学研究科マテリアル生産科学専攻 教授 青柳 一弘 日刊工業新聞社 編集局 編集委員 秋山 友宏 北海道大学 エネルギー変換マテリアル研究センター 教授 武田 英 共英製鋼株式会社 本社生産企画部 執行役員 前 一廣 京都大学 地球環境学堂地球親和技術学廊 教授 (敬称略、五十音順) 事務局:経済産業省製造産業局鉄鋼課製鉄企画室

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回転炉床炉による有用金属回収技術の開発プロジェクトの評価に係る省内関係者 【事後評価時】(平成20年度) 製造産業局 鉄鋼課製鉄企画室長 覚道 崇文(事業担当室長) 産業技術環境局 技術評価室長 長濱 裕二 【中間評価時】(平成18年度) 製造産業局 鉄鋼課製鉄企画室長 阿部 聡(事業担当課長) 産業技術環境局 技術評価調査課長 柴尾 浩朗 【事前評価時】(事業初年度予算要求時) 製造産業局 鉄鋼課製鉄企画室長 喜多見 淳一(事業担当課長)

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回転炉床炉による有用金属回収技術の開発プロジェクト事後評価 審 議 経 過 ○第1回事後評価検討会(平成20年12月2日) ・評価の方法等について ・プロジェクトの概要について ・今後の評価の進め方について ・質疑応答 ○第2回事後評価検討会(平成21年1月20日) ・評価報告書(案)について ・質疑応答 ○産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会(平成21年3月24日) ・評価報告書(案)について 本件は、包括審議案件として審議され、その結果、同審議案件全てに共通の指摘事項とし て、次のとおり提起され、評価小委員会の意見として追記することで了承となった。 このため、「第3章 評価」に、「8.評価小委員会としての意見」として追記。 「 ○事後評価であり、総合評価、今後の研究開発の方向等に関する提言を踏まえ、今後どの ように対応していくのかが最も重要である。 またその際、連携等により、社会に実装されていくプロセスを担っていく体制をつく っていくことが望まれる。 ○例えば、エネルギー政策、IT政策等、全体としての大きな立場から位置付け等を整理 することが望まれる。 ○開発成果が社会に役立つものとなるよう、成果を活かしていくことを目指して取り組ん でいくことが望まれる。」

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目 次 はじめに 産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会 委員名簿 回転炉床炉による有用金属回収技術の開発プロジェクト事後評価検討会 委員名簿 回転炉床炉による有用金属回収技術の開発プロジェクトの評価に係る省内関係者 回転炉床炉による有用金属回収技術の開発プロジェクト事後評価 審議経過 ページ 事後評価報告書概要 ……… ⅰ 第1章 評価の実施方法 1.評価目的 ……… 1 2.評価者 ……… 1 3.評価対象 ……… 2 4.評価方法 ……… 2 5.プロジェクト評価における標準的な評価項目・評価基準 ……… 2 第2章 プロジェクトの概要 1.事業の目的・政策的位置付け ……… 5 2.研究開発等の目標 ……… 7 3.成果、目標の達成度 ……… 10 4.事業化、波及効果について ……… 14 5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等 ……… 16 第3章 評価 1.事業の目的・政策的位置付けの妥当性 ……… 21 2.研究開発等の目標の妥当性 ……… 23 3.成果、目標の達成度の妥当性 ……… 25 4.事業化、波及効果についての妥当性 ……… 27 5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等の妥当性 ……… 29 6.総合評価 ……… 30 7.今後の研究開発の方向等に関する提言 ……… 32 (個別要素技術について) ……… 34 8.評価小委員会としての意見 ……… 36 第4章 評点法による評点結果 ……… 37 参考 今後の研究開発の方向等に関する提言に対する対処方針 研究開発実施者提供資料 「回転炉床炉による有用金属回収技術の開発」プロジェクト事後評価用資料

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i 事後評価報告書概要 プロジェクト名 回転炉床炉による有用金属回収技術の開発 上位施策名 社会基盤材料関連技術開発施策 事業担当課 鉄鋼課製鉄企画室 プロジェクトの目的・概要 電気炉ダスト中には亜鉛、鉛、鉄等の有用金属が多量に含まれており、現状はロータリーキルン 等によって主に亜鉛がリサイクルされているが、処理中に発生する鉄分を含む残渣の処置や、CO2 を始めとする環境負荷物質の排出が大きい等の課題が残されている。このため、回転炉床炉を利 用して、ダスト中の亜鉛、鉛及び鉄を高効率に分離・回収するとともに、環境負荷物質の排出を低 減するプロセス技術を開発する。 予算額等 (単位:千円) 開始年度 終了年度 中間評価時期 事後評価時期 事業実施主体 平成 15 年度 平成 19 年度 平成 17 年度 平成 20 年度

H17FY 予算額 H18FY 予算額 H19FY 予算額 総予算額 総執行額

403,000 392,925 574,750 1,673,675 1,585,764 目標・指標及び成果・達成度 (1) 全体目標に対する成果・達成度 本研究開発の目標は、回転炉床炉を用いて電気炉ダストから高品位還元鉄と亜鉛濃度が高い粗酸 化亜鉛を製造するとともに、得られた還元鉄を炭材の燃焼熱で溶解し、品質の高い溶銑を製造する技 術を開発することであり、具体的な数値目標は以下の通り。 ・電気炉ダストからの亜鉛の回収率:95%以上 ・有害物質の排出抑制:ダイオキシン 0.1ng-TEQ/Nm3以下 ・電気炉ダストからの鉄分の回収率:95%以上 回転炉床炉での電気炉ダスト、鉄鉱石等を用いた還元処理や、溶解炉での還元鉄の溶解実験 により所定の開発目標を達成し、当該プロセスの実証性を確認するとともに、基本コンセプトを把握 した。さらに、製鉄所ダストや高 VM 炭等の塊成化/還元処理を行ない、本プロセスが低品位原燃 料にも適用可能であることを確認した。

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ii 個別要素技術 目標・指標 成果 達成度 電 気 炉 ダ ス ト の 塊 成 化 ・ 還 元技術 電気炉ダストと炭材を混合し適 切に塊成化した塊成物を装入 して、高強度の還元鉄を作る事 により、 ・脱亜鉛率:95%以上を達成す る。 ・電気炉ダストから 95%以上の亜 鉛を除去し、粗酸化亜鉛内に回収 できること、また 95%以上の脱亜 鉛率を達成するための運転条件 を確認。 ・亜鉛のみならず鉛についても高 効率で除去し、粗酸化亜鉛内に回 収できることを確認した。 ・粗酸化亜鉛中の Fe は 1%以下と 低く、還元・粗酸化亜鉛回収にお ける Fe ロスは約 0.4%であった。 ・電気炉ダストの他、高炉一貫製 鉄 所 か ら 発 生 し た ダ ス ト の 処 理 や、高 VM 炭を内装炭材として使 用した実験を行い、本回転炉床炉 プロセスが幅広い原料を使用でき る可能性を確認した。 達成 ・有害物質の排出について、ダ イオキシン:0.1ng-TEQ/Nm3 下を達成する。 ・排ガス中のダイオキシン濃度は 0.1ng-TEQ/ Nm3以下に抑えられ た。 達成 ・電気炉ダストより排ガス中に 飛散する亜鉛・塩素分などの 揮発成分の付着・腐食を防止 しつつ、稼働率を向上する。 ・RHF 及び排ガス設備への粗酸化 亜鉛の付着・堆積は軽微で、RHF 耐火物も表層部に変質層が見ら れる程度であった。また、熱交換 器の回収熱量の低下も見られな かった。但し、今回の実験は昼間 だけの間歇操業であったため、最 終的には商業機で長時間の連続 運転を行い確認する必要があると 考える。 達成

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iii 化石燃料を用 いた溶解技術 ・高濃度スラグ含有の電気炉ダ スト還元鉄を安定に溶解し、鉄 回収率:95%以上を達成する。 ・炭材上方投入方式で[C]>4%以 上、 1450℃以上の溶銑を安定に 製造する技術を確認した。 ・3.3t 溶湯に対し、2.0t/h 以上のコ ールド DRI 投入速度を達成した。 ・様々な DRI 銘柄と 90-70%金属 化率の DRI の使用を確認した。 ・鉄回収率は、95%以上であるこ とを確認した。 達成 ・還元鉄中の有用金属を溶解 炉で、高効率で回収する。 鉄分や Ni 等の有用金属を回収で きることを確認した。 達成 ・溶解炉を傾動せずにスラグを 排出する技術を確立する。 ・固定型炉での安定なスラグ排出 技術を確立するとともに、出銑・排 滓中も連続吹錬を行なう連続操業 を確認した。 達成 (2) 目標及び計画の変更の有無 無 <共通指標> 論文数 発表数 特許等件数 (出願を含む) 3 9 17 評価概要 1.事業の目的・政策的位置付けの妥当性 本事業は、電気炉の溶解工程で発生する電気炉ダスト中に含まれる亜鉛、鉛、鉄等の有用金属 を高効率に分離・回収する技術を開発するとともに、そのダスト処理において、二酸化炭素やダイ オキシン等の環境負荷物質を低減するものであり、国民や社会のニーズに適合した国の事業とし て妥当なもので、政策的位置付けは極めて明確である。「環境と経済の両立による持続可能な社 会の創出」に向けた 3R 分野の技術戦略マップに取り上げられる重要課題であるとともに、これまで 塊成化が困難であった超微粉の電気炉ダストに炭材を混合して塊成化し、還元鉄を製造する技術 と、製造された還元鉄を溶解して付加価値の高い銑鉄を作る複合プロセスを開発している点に十 分新規性、独創性、革新性が認められ、技術的な意義も大きい。また、技術的ハードルが高く、開 発リスクが高いことから国の関与は必要不可欠である。 なお、亜鉛は可採年数が 21 年とされている資源であることから、今後、国の施策として、亜鉛の 安定確保シナリオを検討し、その中で本事業の位置付け、必要性をさらに明確にしていくことが望 まれる。

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iv 2.研究開発等の目標の妥当性 事業化の際に最もポイントとなる金属回収率(亜鉛、鉄)、有害物質(ダイオキシン)排出量等に ついて、具体的な数値目標が設定されており、また、その目標水準も従来技術と比較して高く設定 されており、妥当である。 さらに、回転炉床炉、排ガス処理系でのダストの付着防止、ダイオキシン再合成の抑制や、溶解 炉での安定なスラグ排出など、実機を開発する上で懸案となる技術課題を的確に抽出し、それぞ れの課題に対する目標を設定するとともに、その目標を達成するための操作パラメータなど判断基 準となる指標も適切に設定されており、妥当である。 なお、回転炉床炉の還元処理技術の目標として、販売コストに関係する粗酸化亜鉛の不純物成 分(特にハロゲン成分)についても目標を設定すべきではなかったかとの意見もあった。 3.成果、目標の達成度の妥当性 設定された目標はパイロットプラントでいずれも達成されており、ダストと炭材の塊成化技術を含 め、実用化に向けて十分な成果が得られている。特に、原料ダストの成分変動に対しても対応でき る技術になっている点、高 VM 炭などの低品位原燃料にも適用可能であるとの当初目標以外の成 果が得られた点は、評価できる。論文数、特許出願件数等も相当数あり、妥当である。 なお、実用化に際しては、ダスト成分に想定以上のばらつきが生じる可能性もあることから、更に 実証試験を重ねる必要があるのではないかという意見があった。 4.事業化、波及効果についての妥当性 本テーマについては、パイロットプラントで、高い脱亜鉛化率を達成するとともに、鉄分含有率が 1%以下と低い高品位二次ダストを得られることが確認されており、懸念されていた炉内・煙道部へ のダストの付着も殆どなく、実用化レベルに達しており、事業化の見通しがたっているものと評価で きる。 また、本技術は、塊成化物として、電気炉ダスト以外にも鉄鉱石や製鉄所ダスト、高 VM 炭などの 原燃料への適用が可能で、高炉、電炉を補完する新たな製鉄技術としての発展性も期待できるも のであり、実用化が進めば、二酸化炭素の削減、希少資源の回収による環境・リサイクルの改善 や、鉄源確保などに十分寄与できると見込まれ、波及効果は大きい。 なお、今後は、どの程度スケールアップをすれば採算レベルになるかを試算し、国内外の電気炉 ダスト量、より高価なステンレスダストからのニッケル・クロムの回収への適用も検討しつつ、事業 化プランを練っていく必要があろう。 5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等の妥当性 電気炉ダストの再資源化という目標に対し、研究開発計画、実施体制、資金配分は適切であり、 生じた課題にも柔軟に対応し、状況に応じてパイロット試験を当初予定よりも半年前倒しで実施す るなどマネジメントも適切であったと考えられる。また、本技術による波及効果は大きく費用対効果 も大きく妥当である。

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v 6.総合評価 本事業は、約 4 割が埋め立て処分されている鉄スクラップ等の電気炉溶解工程から発生するダ ストを有効利用するとともに、二酸化炭素やダイオキシン等環境負荷物質の排出を低減する技術 を開発するものであり、環境負荷低減が喫緊の課題となっている現状からも時宜を得た社会的意 義の大きいプロジェクトであり、国が関与する事業として政策的位置付けも明確で、妥当であった。 目標も妥当で、今後の事業化につながる十分な成果が得られたと評価できる。さらに本技術は、 原燃料品位の劣化が進む中で、低品位原燃料を使用できることが期待されるため、高炉を補完す る製鉄法への発展も期待できるなど、所期以上の成果を上げている。 また、計画的に課題を解決し最終目標が達成され、特許出願も計画的に実施されるなど、研究 開発マネジメントも適切に行われたと評価できる。 事業化に当たっては、大型化、輸送コストの低減、伝熱効率改善等の課題について、引き続き検 討、早期の実用化導入を期待する。 7.今後の研究開発の方向等に関する提言 今後、各種ダストや低品位原燃料へ対応する技術開発を継続して行い汎用性を広げることを期 待する。また、ダスト中のニッケル・クロムなどの金属回収など、製鉄所内でリサイクル可能な資源 を総合的に回収するプロセス構築へと展開していくことも必要である。 本事業の成果を生かすためには、技術の確立とともに、小規模な電炉メーカーをダストの供給源 としてまとめるなど、設備を大型化することが一つのポイントである。その際、「廃棄物の処理及び 清掃に関する法律」に係る手続きの簡素化や特例を求めることも必要になろう。また、回収した金 属を再利用する非鉄金属メーカーとのネットワークづくりも不可欠である。 8.評価小委員会としての意見 ○ 事後評価であり、総合評価、今後の研究開発の方向等に関する提言を踏まえ、今後どのよう に対応していくのかが最も重要である。 またその際、連携等により、社会に実装されていくプロセスを担っていく体制をつくっていくこと が望まれる。 ○ 例えば、エネルギー政策、IT政策等、全体としての大きな立場から位置付け等を整理すること が望まれる。 ○ 開発成果が社会に役立つものとなるよう、成果を活かしていくことを目指して取り組んでいくこと が望まれる。

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vi 評点結果 2.60 2.60 2.60 2.20 2.60 2.60 0.00 1.00 2.00 3.00 (各項目:3点満点) 平 均 点 標準偏差

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第1章 評価の実施方法

本プロジェクト評価は、「経済産業省技術評価指針」(平成 17 年 4 月 1 日改定、 以下「評価指針」という。)に基づき、以下のとおり行われた。 1.評価目的 評価指針においては、評価の基本的考え方として、評価実施する目的として (1)研究開発に対する経済的・社会的ニーズの反映 (2)より効率的・効果的な研究開発の実施 (3)国民への施策・事業等の開示 (4)資源の重点的・効率的配分への反映 (5)研究開発機関の自己改革の促進等 を定めるとともに、評価の実施にあたっては、 (1)透明性の確保 (2)中立性の確保 (3)継続性の確保 (4)実効性の確保 を基本理念としている。 プロジェクト評価とは、評価指針における評価類型の一つとして位置付け られ、プロジェクトそのものについて、同評価指針に基づき、事業の目的・ 政策的位置付けの妥当性、研究開発等の目標の妥当性、成果、目標の達成度 の妥当性、事業化、波及効果についての妥当性、研究開発マネジメント・体 制・資金・費用対効果等の妥当性の評価項目について、評価を実施するもの である。 その評価結果は、本プロジェクトの実施、運営等の改善や技術開発の効果、 効率性の改善、更には予算等の資源配分に反映させることになるものである。 2.評価者 評価を実施するにあたり、評価指針に定められた「評価を行う場合には、 被評価者に直接利害を有しない中立的な者である外部評価者の導入等によ り、中立性の確保に努めること」との規定に基づき、外部の有識者・専門家 で構成する検討会を設置し、評価を行うこととした。

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2 これに基づき、評価検討会を設置し、プロジェクトの目的や研究内容に即 した専門家や経済・社会ニーズについて指摘できる有識者等から評価検討会 委員名簿にある5名が選任された。 なお、本評価検討会の事務局については、指針に基づき経済産業省鉄鋼課 製鉄企画室が担当した。 3.評価対象 「回転炉床炉による有用金属回収技術の開発」(事業期間:平成15年度∼ 平成19年度)を評価対象として、研究開発実施者(株式会社神戸製鋼所株式 会社)から提出されたプロジェクトの内容・成果等に関する資料及び説明に基 づき評価した。 4.評価方法 第1回評価検討会においては、研究開発実施者からの資料提供、説明及び質 疑応答、並びに委員による意見交換が行われた。 第2回評価検討会においては、それらを踏まえて「プロジェクト評価におけ る標準的評価項目・評価基準」、今後の研究開発の方向等に関する提言等及び要 素技術について評価を実施し、併せて4段階評点法による評価を行い、評価報 告書(案)を審議、確定した。 また、評価の透明性の確保の観点から、知的財産保護、個人情報で支障が生 じると認められる場合等を除き、評価検討会を公開として実施した。 5.プロジェクト評価における標準的な評価項目・評価基準 評価検討会においては、経済産業省産業技術環境局技術評価調査課において 平成19年6月1日に策定した「経済産業省技術評価指針に基づく標準的評価 項目・評価基準について」のプロジェクト評価(中間・事後評価)に沿った評 価項目・評価基準とした。 1.事業の目的・政策的位置付けの妥当性 (1)国の事業として妥当であるか、国の関与が必要とされる事業か。 ・国民や社会のニーズに合っているか。 ・官民の役割分担は適切か。

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3 (2)事業目的は妥当で、政策的位置付けは明確か。 ・事業の政策的意義(上位の施策との関連付け等) ・事業の科学的・技術的意義(新規性・先進性・独創性・革新性・先導性 等) ・社会的・経済的意義(実用性等) 2.研究開発等の目標の妥当性 (1)研究開発等の目標は適切かつ妥当か。 ・目的達成のために具体的かつ明確な研究開発等の目標及び目標水準を設 定しているか。特に、中間評価の場合、中間評価時点で、達成すべき水 準(基準値)が設定されているか。 ・目標達成度を測定・判断するための適切な指標が設定されているか。 3.成果、目標の達成度の妥当性 (1)成果は妥当か。 ・得られた成果は何か。 ・設定された目標以外に得られた成果はあるか。 ・共通指標である、論文の発表、特許の出願、国際標準の形成、プロトタ イプの作製等があったか。 (2)目標の達成度は妥当か。 ・設定された目標の達成度(指標により測定し、中間及び事後評価時点の 達成すべき水準(基準値)との比較)はどうか。 4.事業化、波及効果についての妥当性 (1)事業化については妥当か。 ・事業化の見通し(事業化に向けてのシナリオ、事業化に関する問題点及 び解決方策の明確化等)は立っているか。 (2)波及効果は妥当か。 ・成果に基づいた波及効果を生じたか、期待できるか。 ・当初想定していなかった波及効果を生じたか、期待できるか。 5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等の妥当性 (1)研究開発計画は適切かつ妥当か。 ・事業の目標を達成するために本計画は適切であったか(想定された課題

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4 への対応の妥当性)。 ・採択スケジュール等は妥当であったか。 ・選別過程は適切であったか。 ・採択された実施者は妥当であったか。 (2)研究開発実施者の実施体制・運営は適切かつ妥当か。 ・適切な研究開発チーム構成での実施体制になっているか、いたか。 ・全体を統括するプロジェクトリーダー等が選任され、十分に活躍できる 環境が整備されているか、いたか。 ・目標達成及び効率的実施のために必要な、実施者間の連携/競争が十分 に行われる体制となっているか、いたか。 ・成果の利用主体に対して、成果を普及し関与を求める取組を積極的に実 施しているか、いたか。 (3)資金配分は妥当か。 ・資金の過不足はなかったか。 ・資金の内部配分は妥当か。 (4)費用対効果等は妥当か。 ・投入された資源量に見合った効果が生じたか、期待できるか。 ・必要な効果がより少ない資源量で得られるものが他にないか。 (5)変化への対応は妥当か。 ・社会経済情勢等周辺の状況変化に柔軟に対応しているか(新たな課題へ の対応の妥当性)。 ・代替手段との比較を適切に行ったか。 6.総合評価

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5 1.事業の目的・政策的位置付け (1)事業の目的・政策的位置付け ①事業の目的 スクラップ等の冷鉄源の溶解工程で発生する電気炉ダスト中には、亜鉛、鉛及び鉄 などの有用金属が多量に含まれており、現状はロータリーキルン等によって主に亜鉛 がリサイクルされているが、脱亜鉛率に改善の余地があること、処理中に発生する残 渣の処置が難しい等の課題が残されている。 本事業の目的は、CO2ガスや環境面の負荷を低減するとともに、ダスト中の亜鉛、鉛 及び鉄を高効率に分離・回収する技術を開発することである。(電気炉ダストは日本 国内において年間の発生量が約52万トンと推定されており、その処理内容を分類すると、 亜鉛のリサイクルが61%、埋立てその他が39%となっている。) なお、電気炉ダストは重金属を多量に含有するため、埋立て時はそのままでは廃棄す ることができない管理型廃棄物に指定されている。 電気炉ダストの処理方法として、現状ではロータリーキルン等を使用する方法が実用 化され、キルン法では電気炉ダストの加熱と部分還元によって亜鉛分が回収・再利用さ れているが、鉄分は有効にリサイクルされているとは言い難い状況にある。 また、キルン法では、CO2排出について大幅な改善を図ることが難しいだけでなく、ダ スト中に含まれるダイオキシンの分解・再合成の問題を完全にはクリアできていない。 そこで、その改善策として、電気炉ダストの還元処理工程において、ダスト中の鉄、 亜鉛、鉛のような金属分を高効率で回収・リサイクルし、資源の有効活用を促進すると ともに、製造した還元鉄を溶解して銑鉄を作るなど、付加価値を上げるプロセス技術を 開発することが望ましい。 本事業では回転炉床炉と溶解炉からなるプロセスを選定した。

回転炉床炉(RHF:Rotary Hearth Furnace)法は、還元鉄を製造するプロセスとして開 発され、ダスト等の原料と微粉の炭材を混合して、塊成化した塊成化物を炉内に供給す ることで、金属化率の高い還元鉄が製造できるだけでなく、還元処理過程で電気炉ダス ト中の亜鉛、鉛は還元・気化して分離除去後、捕集される。また、塊成化物は1,200∼1, 400℃の高温で加熱され、ダイオキシンは分解されるため、環境面においても優れたプ ロセスとなる。 この回転炉床炉に溶解炉を組み合わせることにより、回転炉床炉で亜鉛を回収できる だけでなく、溶解炉での還元鉄の溶解により、鉄分も有価で利用しやすい銑鉄として回 収できる。そして、回転炉床炉で製造した還元鉄を熱間のまま、溶解炉へ供給すること が出来れば、溶解に必要なエネルギーを大きく低減できる可能性が高い。 なお、溶解炉で還元鉄を溶解するエネルギー源は電力ではなく、炭材を使用するプロ セスとする。電力による溶解の場合は電力消費量の多さから立地場所や操業時間の制約

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6 を受けることが多いが、炭材を使用することにより、安価で使用上の制限が少ないプロ セスになる。 ②政策的位置付け 3R分野の導入シナリオでは、循環型社会形成の推進基本計画の目標として、2010年 度までに以下の目標が掲げられている。(図 1 参照) ・ 資源生産性(GDP/天然資源等投入量)を約39万円/トンに増加させる。(2000 年度 約28万円/トン) ・ 循環利用率(循環利用量/(循環利用量+天然資源等投入量))を約14%に向上 させる。(2000年度 約10%) ・ 最終処分量を約28百万トンに減少させる。(2000年度 約56百万トン) 当該計画において、研究開発の取り組みに3R技術開発の推進があげられている。本 事業は、①最終処分量削減技術の確立、及び②資源有効利用技術の確立を重要テーマ としている。またCO2の削減効果を考慮すると、③地球温暖化対策を意識した3R技術の 確立にも寄与するものである。 出所:技術戦略マップ2007 図 1.3R 分野の全体ロードマップ(抜粋) (2)国の関与の必要性 ここ数年来、地球温暖化問題や廃棄物・リサイクル問題など環境問題への関心が高ま って来ており、速やかな対応が求められている。 例えば、社会基盤材料製造業は、我が国の最終エネルギー消費の多くを占めており(鉄 鋼業約10%、非鉄金属製錬業約5%)、省エネルギーの成否は、我が国全体のエネルギ ー消費量に大きなインパクトを持つものである。 本事業は、回転炉床炉を用いて有用金属回収技術の開発を行なうもので、本技術は従 来の電気炉ダスト処理方法に比べて少ないエネルギーで、亜鉛、鉛のみならず鉄分の回

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7 収も可能になる他、より大規模の処理が可能となり、ダスト処理トン当たりの設備費も ロータリーキルン法と比べて、安価になる可能性がある。 また、本事業の成果は社会基盤材料製造業その他多くの分野の省エネルギー対策に広 く活用されることで、地球温暖化対策における我が国の目標達成に資するものである上、 喫緊の課題である自動車等のリサイクル問題にも寄与できる。また、従来は埋め立て処 分していたダストから鉄分を回収することは、循環と省資源の観点でも重要な技術開発 になり得る。 しかし、本事業の推進に当たっては超微粉の電気炉ダストの塊成化・還元処理や、炭 材利用による還元鉄溶解プロセスの開発など、未知の技術開発課題が多い上に、多額の 開発費用を要する問題がある。 従って、電気炉ダスト処理の重要性は認識されているものの、国内における電気炉ダ ストの発生量は年間52万トン程度で、相対的に処理量が少ないことから、多額の開発投 資の回収は容易ではなく、民間にとってはリスクが高い開発案件になる。 以上のことから、本事業は「公共財的性格を持つ財・サービスの供給」に相当し、国 が関与する必要性が高いと考えられる。 最近の世界鉄鋼業を取り巻く環境として、中国を始めとした世界規模の生産量の拡大 に加えて、原料サプライヤーの寡占化が進むことにより、原燃料の大幅な高騰を招いた ことは記憶に新しい。現在は、世界的な金融危機の影響を受けて、生産量が低下してい るが、今後とも資源の安定確保とリサイクルの推進が重要であることに変わりは無い。 資源の入手が困難になることは一企業の問題だけではなく、国にとっても大きな問題 であり、本事業のように低品位原燃料の使用に道を切り開く可能性のある技術開発に国 が関与する意味は大きい。 更に、本技術が開発されると、合金鉄製造プロセスや、焼結炉、コークス炉を必要と しない溶銑製造プロセスの開発へと波及する可能性が期待される。

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8 2.研究開発等の目標 (1)研究開発目標の設定 (1−1) 全体の目標設定 本事業の全体の開発目標を表 2 に示す。 表 2-1.全体の目標 目標・指標 設定理由・根拠等 塊成化設備を含む回転炉床炉及び溶解プラン トからなるパイロットプラント運転を通して、 ・ダストと炭材を混合して適切に塊成化し、塊 成化物を炉内で適切に還元処理 (亜鉛の回収率:95%以上)する。 ・電気炉ダストに含まれる亜鉛分のうち、 還元鉄中に残留する鉄分を考慮して目標 を設定した。 ・有害物質の排出について、ダイオキシ ン:0.1ng-TEQ/Nm3以下を達成する。 ・亜鉛回収用焙焼炉・焼結炉の規制値: 1ng-TEQ/Nm3より低い値とした。 ・高濃度のスラグを含む還元鉄を適切に 溶解処理して、鉄回収率:95%以上を 達成する。 ・電気炉ダストに含まれる鉄分の内、粗酸化 亜鉛中に混入する鉄分、溶解炉での鉄歩留 を考慮して目標を設定した。 上記の目標を達成する本開発技術の特徴は以下の通りである。 ①炭材を内装した塊成化物を回転炉床上に均一に供給することにより、高温での還元と 均一な伝熱が可能になる。これによって次のような効果が期待できる。 ⇒ 金属化率の高い還元鉄を高い生産性で製造できる。 ⇒ 静置式の炉であるため気流中に飛散するダストが少なく、亜鉛濃度が高い粗 酸化亜鉛が製造できる。 ⇒ ダイオキシンは炉内で分解できるとともに排ガスの温度をコントロールする ことで、再合成を防ぐことができる。 ②スラグ分の多い還元鉄を炭材(化石燃料)で溶解し、溶銑を製造する。 回転炉床炉で製造した還元鉄を炭材の燃焼熱で溶解し、含有カーボンが高目の高品質 溶銑を製造できる。また、溶解炉での溶解精錬中の脱硫および系外での脱硫処理の適用 により、低硫黄濃度の溶銑製造が可能である。

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9 回転炉床炉 (RHF) 還元鉄 (DRI) 造粒設備 乾燥機 原料槽 ブリケットマシン ペレタイザー 排ガス処理設備 バグフィルター 排ガス冷却塔 廃熱回収熱交換機 煙突 溶解炉 溶 銑 プロセスフ ロー 適切な塊成化技術 最適な還元・脱亜鉛条件 化石燃料を用いた溶解技 術 スラグ比の高い条件での安定した溶解技 術 分離した亜鉛の回収技術(付着・腐食防止) 高金属化率(鉄) 、高生産性 純度の高い 粗酸化亜鉛 ダイオキシン は分解 高品質の溶銑 図 2-1.開発プロセスのフローと開発のポイント (1−2)個別要素技術の目標設定 本事業で推進した個別要素技術の目標を表 2-2 に示す。 表 2-2.個別要素技術の目標【事後評価の場合】 要素技術 目標・指標 設定理由・根拠等 電気炉ダスト の 塊 成 化 ・ 還 元技術 電気炉ダストと炭材を混合し適切に塊 成化した塊成物を装入して、高強度の還 元鉄を作る事により、 ・脱亜鉛率:95%以上を達成する。 還元鉄製造には、原料を塊成化から還 元終了まで強度を保つ事が必要。 ・脱亜鉛率はキルン法より高く、既 存回転炉床炉の最高値を参考。 ・有害物質の排出について、ダイオ キシン:0.1ng-TEQ/Nm3以下を達成す る。 ・亜鉛回収用焙焼炉・焼結炉の規制値: 1ng-TEQ/Nm3より低い値に設定。 ・電気炉ダストより排ガス中に飛散する 亜鉛・塩素分などの揮発成分の付着・ 腐食を防止しつつ、亜鉛分の回収率を 向上する。 ・実用化には炉内、排ガス系統への亜 鉛、塩素等の揮発成分の付着・腐食を 防止して稼働率アップを狙う。 化石燃料を用 いた溶解技術 ・高濃度スラグ含有の電気炉ダスト 還元鉄を安定に溶解し、鉄回収率: 95%以上を達成する。 ・RHF+溶解炉を通して、大量スラグ下 での酸素吹錬時の鉄の高歩留を狙う。 ・還元鉄中の有価金属を溶解炉で、高効 率で回収する。 ・酸素吹錬下での溶湯の酸化を低減し て、鉄分、ニッケルやクロムの有価金 属の回収率を向上する事が必要。 ・溶解炉を傾動せずにスラグを排出 する技術を確立することが好ましい。 ・固定型炉での高生産性の確保には、 安定なスラグ排出による連続操業が 必須。

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10 3.成果、目標の達成度 (1)成果 (1−1)全体成果 回転炉床炉での電気炉ダスト、鉄鉱石等を用いた還元処理や、溶解炉での還元鉄の 溶解実験により所定の開発目標を達成し、当該プロセスの実証性を確認するとともに、 基本コンセプトを把握した。さらに、鉄鉱石や製鉄所ダスト・高 VM 炭などの塊成化/ 還元処理を行ない、本プロセスが低品位原燃料にも適用可能であることを確認した。 (1−2)個別要素技術成果 ① 回転炉床炉実験(電気炉ダストの塊成化・還元技術の開発) 本実験で得られた具体的な成果を以下に記載する。 z 電気炉ダストから 95%以上の Zn を除去し、粗酸化亜鉛内に回収できること、 また 95%以上の脱亜鉛率を達成するための運転条件を確認した。 z Zn のみならず Pb についても高効率で除去・粗酸化亜鉛内に回収できることを 確認した。 z 粗酸化亜鉛中の Fe は 1%以下と低く、還元・粗酸化亜鉛回収における Fe ロス は約 0.4%であった。 z 排ガス中のダイオキシン濃度は 0.1ng-TEQ/Nm3 以下に抑えられた。電気炉ダ スト中のダイオキシンは回転炉床炉内の高温処理によって分解後、排ガス系内 での再合成も低く抑えられた結果であると考えられる。 z 電気炉ダストの他、高炉一貫製鉄所から発生したダストの処理や、高 VM 炭を 内装炭材として使用した実験を行い、本回転炉床炉プロセスが幅広い原料を使 用できる可能性を確認した。適用可能な原料のさらなる確認については今後の 開発課題としたい。 z RHF 及び排ガス設備への粗酸化亜鉛の付着・堆積は軽微で、RHF 耐火物も表層 部に変質層が見られる程度であった。また、熱交換器の回収熱量の低下も見ら れなかった。但し、今回の実験は昼間だけの間歇操業であったため、最終的に は商業機で長時間の連続運転を行い確認する必要があると考える。 ② 溶解炉実験(化石燃料を用いた溶解技術の開発) 本実験で得られた具体的な成果を以下に記載する。 z 炭材上方投入方式で[C]>4%以上、 1450℃以上の溶銑を安定に製造する技術を 確認した。 z 排滓性の向上には適正なスラグ作りがポイントである。 z 3.3t 溶湯に対して、2.0t/h 以上のコールド DRI 投入速度を達成した。 z 様々な DRI 銘柄と 90-70%金属化率の DRI の使用を確認した。 z 週 2 回の間歇操業、待機中のバーナー加熱操業条件下でも、耐火物溶損は軽微 で、溶損速度は比較的低位であった。

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11 (1−3)特許出願状況等 表 3-23.特許・論文等件数 要素技術 論文数 論文の 被引用 度数 特許等 件数 (含む 出願) 特許権 の実施 件数 ライセ ンス供 与数 取得ラ イセン ス料 国際標 準への 寄与 (a)高濃度の亜鉛・鉛及び スラグ分を含む電気炉ダ ストの塊成化・還元技術 1+1 0 9 0 0 0 0 (b)化石燃料を用いた溶 解技術 1+6 0 8 0 0 0 0 総合 (a)+(b) 1+2 0 0 0 0 0 0 計 3+9 0 17 0 0 0 0 3(フルレポート)+9(発表)

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12 表 3-24.論文、投稿、発表、特許リスト 題目・メディア等 時期 論文 (フルレポート) (社)日本鉄鋼協会 環境・エネルギー工学部会 資源循環フォーラム 「回転炉床炉による製鉄ダストからの鉄・亜鉛回収技術の展開」 H20.1 2008 年度東南アジア鉄鋼協会

DEVELOPMENT OF EAF DUST RECYCLING AND MELTING TECHNOLOGY USING THE COAL-BASED FASTMELT® PROCESS

H20.5

AIST Scrap Substitues and Alternative Ironmaking V (米:ボルチモア) H20.11

(発表) (社)日本鉄鋼協会 第 154 回秋季講演大会 1)回転炉床炉による有用金属回収技術の開発(第一報:プロジェクト概要) 2)回転炉床炉による有用金属回収技術の開発(第二報:RHF 実験結果概要) 3)回転炉床炉による有用金属回収技術の開発(第三報:メルター実験概要) H19.9 (社)日本鉄鋼協会 第 155 回春季講演大会 1)回転炉床炉による有用金属回収技術の開発(第四報:メルター実験-2) 2)回転炉床炉による有用金属回収技術の開発(第五報:メルター数値解析) H20.3

(株)神戸製鋼所 R&D Vo.158, No.1 新製品・新技術 「FASTMELT 電炉ダスト処理と石炭メルタープロセス」

H20.4

2nd International Symposium on Sustainable Ironmaking(豪州)

H20.9 (社)日本鉄鋼協会 第 156 回秋季講演大会 1)回転炉床炉による有用金属回収技術の開発(第六報:メルター実験-3) H20.9 第 3 回資源変換・再生研究センター国際シンポジウム(東北大) H20.10 特許 出願 No.2006-34132 溶鉄製造方法および溶鉄製造装置 H18.2 出願 No.2006-54523 溶解炉およびそれを用いた溶融金属製造方法 H18.3 出願 No.2006-58266 回転炉床 H18.3 出願 No.2007-103005 炭材内装酸化金属原料の塊成化方法 H19.4 出願 No.2007-140816 炭材内装酸化金属ブリケットの製造方法 H19.5 出願 No.2007-181217 回転炉床式還元炉の排ガス処理装置および方法 H19.7 出願 No.2007-196399 炭材内装酸化金属ブリケットの製造方法 H19.7 出願 No.2007-199600 電気炉ダストの還元処理方法 H19.7 出願 No.2007-204444 連続溶解炉のスラグフォーミング抑制方法 H19.8 出願 No.2007-205629 高温用ダイバータ H19.8 出願 No.2007-241199 油分含有製鉄所ダストを用いた炭材内装ブリケット製造方法 H19.9 出願 No.2007-242650 溶鉄製造方法 H19.9 出願 No.2007-242651 アーク加熱による溶鉄製造方法 H19.9 出願 No.2008-25451 低 NOx 燃焼制御方法及び還元処理物の製造方法 H20.2 出願 No.2008-78158 溶鉄製造方法 H20.3 出願 No.2008-87654 溶鉄製造用原料投入装置及び溶鉄製造用原料投入方法 H20.3 出願 No.2008-182908 排ガス処理設備および排ガス処理設備によるダスト回収方法 H20.7

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13 (2)目標の達成度 本事業では、平成 15∼16 年度にラボ実験による電気炉ダストの特性、塊成化・還元 条件の調査、0.5t 試験転炉による溶解基礎条件の確認に加えて、パイロットプラント の基本設計を行なった。その後、加古川製鉄所内に主要設備の建設に着手し、平成 18 ∼19 年度にかけて実験を実施した。その結果、 ○ 電気炉ダストの塊成化技術、回転炉床炉での還元技術の開発により、亜 鉛等の有用金属を高効率に回収し、高品位の還元鉄と亜鉛濃度が高い粗酸 化亜鉛の製造を可能にした。 ○ 得られた還元鉄を炭材の燃焼熱で溶解し、高品質の溶銑を製造するため、 溶解炉での溶解技術を開発した。 以下に、個別要素技術の目標(事後評価)とその達成度を表 3-25 にまとめて示す。 表 3-25 個別要素技術の目標(事後評価)とその達成度 要素技術 目標・指標 成果 達成度 電気炉ダス ト塊成化・ 還元技術 電気炉ダストと炭材の適切な塊 成化技術の開発により、 ・脱亜鉛率:95%以上を達成。 様々な電気炉ダストに合致した 塊成化技術を開発し、 ・安定条件下で、脱亜鉛率:95% 以上を達成。 達成 有害物質の排出については、 ・ダイキシン:0.1ng-TEQ/Nm3 下を達成。 炉内の高温処理、排ガス系内の 再合成防止により、安定に ・≦0.1ng-TEQ/Nm3を達成。 達成 ・排ガス中に飛散する亜鉛分・ 塩素分などの揮発成分の付 着・腐食を防止。 ・炉内や煙道部の耐火物への付 着物も少なく、実用化に耐え ることを確認。 達成 化石燃料を 用いた溶解 技術 ・高濃度スラグ含有の電気炉ダ スト還元鉄の安定溶解で鉄回 収率:95%以上を達成。 ・吹錬、還元鉄投入の安定化 をもとに、ダストの鉄分の 回収率:95%以上を達成。 達成 ・溶解炉での有価金属を高効率 で回収。 ・SUS 系電気炉ダスト還元鉄の 溶解により、Ni,Cr 金属の回収 を確認。 達成 ・溶解炉を傾動せずにスラグを 排出する技術を確立。 ・固定型炉での安定なスラグ排 出技術を確立。 達成

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14 4.事業化、波及効果について (1)事業化の見通し 本事業の推進により、電気炉ダストの塊成化及び回転炉床炉での還元処理に関して、 技術ノウハウを蓄積するとともに、高い脱亜鉛率を達成して鉄分含有率が1%以下と 低い高品位二次ダストが得られることを確認した。更に、炉内や煙道部の耐火物への 付着物も少なく、実用化に耐える設備に仕上がっていることを確認するなど、今後の 実機化へ向けて、設備の設計やスケールアップに目処を建てた。 実際に、本パイロットプラント及び実験結果は電炉メーカ等から注目されて、その 評価も高く、百名を越えるプラント見学者を受け入れた。現在、本実験結果の成果を もとに、電炉メーカ等のユーザに働きかけ、回転炉床炉を用いた電気炉ダスト処理設 備の実用化と普及に努めており、平成 21 年度以降に商業機を建設することを目指して 活動を推進している。 なお、事業化の主体は、電気炉設備を保有する電炉メーカが第一候補であるが、数 社からダストを集めて集中処理する処理業者も候補となる。そのほか、複数の事業者 による共同事業も検討可能である。事業化に際しては、国や地方自治体からの優遇措 置が得られれば、導入に弾みがつくと考える。 一方、溶解実験においては、固定型炉での安定な操業技術を確認するとともに、出 銑中の酸素ブローや炭材・DRI 投入を継続する連続吹錬のトライに成功して、連続化 への道を開くなど、固定型溶解炉の基本コンセプトは把握したが、商業機に至る開発 ステップ、スケールアップの推進計画作りが今後の課題である。 さらに、回転炉床炉と溶解炉の組合せにおいて、低品位原燃料の使用を確認した意 義は大きいと考える。 従来、日本鉄鋼業界は一貫して、臨海大型製鉄所を建設し大量の輸入資源を有効に 利用するビジネスを展開してきたが、最近はブラジル等で資源立地型の製鉄所の建設 を企画するなど、世界網で生産基地を拡げようと検討している。今後、低品位原燃料 を用いた製鉄技術の開発ニーズを考慮すると、本事業で開発したプロセスをブラッシ ュアップし、資源立地型の設備として建設することも期待される。 (2)波及効果 本事業で開発したプロセスは、炭材を酸化金属に内装させた塊成化物を、回転炉床 炉を使って還元し、得られた還元鉄を鉄浴の溶解炉で溶解するというもので、高炉の ような充填層を有するプロセスではないため、強度を要求されるコークスや焼結鉱を 必要としないという特徴がある。 従って、本技術を応用すればコークスと焼結鉱を必要としない製鉄法にまで発展で きる可能性がある。 この場合、コークス原料となる高価な強粘結炭は不要になることから、資源の確保 や経済的な効果が期待されるだけでなく、コークス炉や焼結工場から発生する排ガス が無くなるため、環境面でも優しい製鉄プロセスとして波及が期待される。

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15 新しい製鉄プロセスとして実用化するまでには、実機設備の設計、スケールアップ など、まだ乗り越えるべき課題は多いが、今回の実験で大量スラグ下での安定吹錬、 還元鉄(DRI)投入速度の拡大、良好なスラグ排出や溶湯加炭など、世界で始めて固定型 石炭溶解炉での安定操業を確認した意義は大きい。また、出銑中の酸素ブローや炭材・ DRI 投入を継続する連続吹錬に成功し、連続化への道を開いたことは実機化へ向けて の大きな進展と考えている。 世界鉄鋼業を取り巻く環境として 2000 年以降は、中国を始めとした世界規模の生産 量の拡大に加えて、原料サプライヤーの寡占化が進み、原燃料の大幅な高騰を招いた。 現在は、世界的な金融危機の影響を受け、生産量が大幅に低下しているが、今後とも 高品位原燃料の枯渇化は進むため、資源の安定確保とリサイクルの推進が重要である と考える。 本事業では電気炉ダストだけでなく、鉄鉱石や製鉄所ダスト・高 VM 炭などの原燃料 の造粒/還元処理を行ない、低品位原燃料の使用に関する知見を得ることができており、 低品位原燃料の使用技術の開発の一助になると期待している。 さらに、今後の発展形としては電気炉ダストと同様にスラグ比の高いフェロクロム、 フェロニッケル、フェロマンガンなどの合金鉄製造技術への適用も考えられる。 また、事前処理技術が開発できれば、本プロセスの特徴を利用し、廃木材、廃プラ スチック、シュレッダーダスト、廃油、廃タイヤなどの廃材に含まれる炭素分をブリ ケットの内装炭材として、また炭化水素分を回転炉床炉等の燃料として有効活用する 技術開発への波及も期待される。

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16 5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等 (1)研究開発計画 開発は4つのステップで推進した。各ステップの内容と実施時期を表 5-1.に示す。 表 5-1.年度別の実施内容 ステップ 実施項目 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 第1 基礎実験および実験設備基本設計 電気炉ダスト、粗酸化亜鉛の性状調査 0.5t試験転炉での還元鉄溶解基礎技術の確認 小型燃焼炉による2次燃焼の挙動確認 第2 塊成化技術の確立および基礎実験 実験室における電気炉ダストの塊成化条件の把握 パイロットプラントの大型ブリケットマシンでの確認 コールドモデルによる粒子飛散低減策の検討 第3 溶解炉内の流熱シミュレーションモデルの作成 パイロットプラントの運転による還元技術の確認 パイロットプラントの運転による溶解技術の確認 第4 総合実証運転 パイロットプラントによる総合実証運転 還元・脱亜鉛・還元鉄溶解技術の確立および基礎実験 (2)研究開発実施者の実施体制・運営 本研究開発は、公募による選定審査手続きを経て、㈱神戸製鋼所が実施した。また、 研究開発の実施に当たっては、統括のプロジェクトリーダーを置くとともに、研究開 発事業の実施計画、成果等の内容について、本技術分野の専門家から意見を受けた。 更に、本事業の実施方針や実施内容に反映するため、社外の学識経験者および社内の 専門技術者からなる技術委員会を設置した。 技術開発の運営に関しては、1回/月程度の会議を実施し、開発中の技術内容、進捗 状況、開発の方向性の確認を行なった。また、本事業を効率よく推進するため1回/週 程度以上の頻度でプロジェクト会議を行ない、関係者間で本事業に関する情報の共有 化、開発目標と進捗の確認、課題や問題点の確認、対策の評価等を行なった。また、 社外の学識経験者、及び社内の技術者からなる技術委員会を1回/年実施し、技術分野 の専門家からの評価を本事業の実施方針及び実施内容に反映した。 一方、電気炉ダストリサイクルの需要や本開発技術の実用化に関しては、電炉メー カと直接に情報交換を行なうとともに、本事業で得られた還元鉄をユーザにサンプル として供与し、電気炉で使用テストを行なうことにより、開発成果を確認した。

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17 ○技術研究センター y 溶解炉の基本コンセプト の検討 y 溶解炉の基本的な実験 計画の作成 y 溶解実験結果の検討 ○機械研究所 y 流熱解析・実験による溶解 炉仕様の検討 y 実験での測定計画の作成 y 実験結果の解析 ○加古川製鉄所 y プラント設置場所の調整 y 区官庁への届出支援 y ユーティリティ等のインフ ラ整備 y 運転員の確保 プロジェクトリーダー: 新鉄源プロジェクト本部 藤本英明 ¾ 技術開発におけるプロジェクトマネージメント ¾ 塊成化技術の開発 ¾ 還元技術の開発 ¾ 溶解炉の設計仕様の作成 ¾ 実験計画の具体化 ¾ 実験結果のまとめ ○機械エンジニアリングカン パニー y 土建、計電関係のエンジ ニアリング y 機器の調達 y プロジェクト管理 y 建設工事 ¾ プラント建設及び運転における         プロジェクトマネージメント ¾ 基本エンジニアリングの実施 ¾ 詳細エンジニアリングの実施 経済産業省 ㈱神戸製鋼所 1回/月の会議で 進捗状況を確認 毎週の会議で 進捗状況を確認 製鉄所事務所内に席を 借りて情報共有化 担当者間で 情報共有化 ¾ 事業全体の企画・運営 ¾ 全体計画の作成と進捗の確認 ¾ ユーザー情報の入手 図 5-1.実施体制図 (3)資金配分 開発資金に関しては、鋼材や工事価格の高騰の影響を受け、パイロットプラント建設 に関わるコストは大きく上昇したが、流用品の転用や仕様の見直し等によってコスト低 減を行なうことにより、開発費用の全体に占める割合が大きいパイロットプラント建設 の目処を立てることができた。なお、本事業は㈱神戸製鋼所が単独で実施しており、他 社や他機関等への開発資金の分配はない。 表 5-2.資金配分 (単位:百万円) 年度 平成 15 16 17 18 19 合計 補助金 94 188 364 375 575 1,596 神戸製鋼所負担 1 23 18 341 378 760 合 計 96 210 381 716 953 2,356 (4)費用対効果 パイロットプラントを利用して、塊成化・還元処理、還元鉄の溶解を始めとした本 開発に関わる基礎技術を、確実かつスピーデイに低コストで把握することができた。 また、製鉄所内のインフラを利用することにより、ユーティリティや原料の手配など、 実験に必要な工事と運転の費用を低く抑えることが可能となった。 パイロットプラントの規模は開発コストに大きく影響を与えるが、プラント規模が

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18 小さ過ぎると熱収支における熱損失の割合が大きくなり、精度良い運転データの解析 が行なえず実証運転の信頼性に問題が生じる。また、溶解炉ではヒートサイズを小さ くすると溶解炉から溶銑とスラグを排出時に熱損失によって凝固しやすく、安定な運 転が困難になる。本事業においては、パイロットプラントを安定に運転し、しかも開 発技術の実証が可能な必要最小の規模とすることで、費用対効果が最大に生かせるよ うにした。 本事業の成果により、次のような経済効果が期待される。 平成20年度に受注し、平成21年度から毎年度1基のペースで、2万5000トンの電気 炉ダストを処理するプラント(40億円/基)が建設されると、平成30年度以降、25万 トンの電気炉ダストが本事業によって開発されたプロセスによって処理されること になる。この場合、平成30年度における省エネ及び経済効果は開発前の平成14年度に 対し、以下のようになると推定される。 省エネ効果: 年間 10,500 kl(原油) CO2削減効果: 年間 29,000 t-CO2 民間需要創出効果: 建設需要創出効果:累計 400億円 消費需要創出効果:年間 85億円 (年間 179億円) ( )内;2007年実勢価格から推定 民間雇用創出効果 :累計 2,000人、年間 260人 (5)変化への対応 現在の世界鉄鋼業は、金融危機の影響を受け大幅な減産基調にあるが、いずれ世界 の景気が回復すれば、潜在成長力の高い新興国を中心として、鉄鋼生産量の拡大が見 込まれる。また、原燃料品位の劣化や原料サプライヤーの寡占化が進むことにより、 資源の安定確保やリサイクルの重要性は益々増して行くと推定される。 特に、コークス原料となる強粘結炭は一般炭と比べて、埋蔵量も少なく、生産地が 限定されるなど、将来は供給不足になる可能性が高く、その使用原単位の低減と代替 プロセスの開発が期待される。 また現状でも、CO2排出量の削減や主原料のフレキシビリティの拡大に向けて、鉄屑 のリサイクルの推進は重要であることに加え、環境面では、産業廃棄物処理場の慢性 的な不足や、処理費用の増加により、電気炉ダストのリサイクルの促進や鉄分回収の 重要性が増加してきている。 本事業では、回転炉床炉での電気炉ダストの還元処理技術を確立して、より金属化 率の高い還元鉄の製造を可能にするとともに、電炉メーカで還元鉄の使用テストを行 なって、電気炉での使用が可能であることを確認している。

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19 更に、この回転炉床炉と固定型溶解炉の組合せにおいて、一般炭を用いた還元鉄の 溶解コンセプトを把握するとともに、将来は本技術を応用して適切な開発ステップを 踏むことにより、低品位原燃料の使用による溶銑製造プロセスに発展する可能性があ る。 ここで、新製鉄法に関して、競合するプロセスとして「COREX,FINEX法」が先行して 実用化されているが、同プロセスでは装入原燃料として、塊鉱石およびペレットや、 一部コークス等の塊状物を使用していること、また炭材原単位が比較的高く、多量の 余剰ガスが発生するため、この発生ガスの有効利用設備の設置が必要になるなど、設 備投資額が大きいと推定される。 一方、回転炉床炉と固定型溶解炉の組合せは設備がシンプルであること、溶解炉の 発生ガスが回転炉床炉の燃料ガスとして再利用されること、またホット還元鉄を溶解 炉に装入することにより、その顕熱を有効利用できるメリットを享受できるため、プ ロセス優位性を持つ可能性が高いと考える。 本研究開発の実施に当たっては、全社体制で情報の収集・共有化を行い、毎年に社 外の学識経験者及び社内の技術者からなる技術委員会を開催し、本事業の実施方針及 び実施内容を検討し研究開発を推進した。 具体的には、電気炉ダストから亜鉛等の有用金属回収の重要性が増大したことから 当初計画では平成 18 年度に設置を予定していた溶解炉について、設備のリース化に より投入予算を前倒しして、開発の早期スタートを実現するなど対応を行った。

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第3章 評価

1.事業の目的・政策的位置付けの妥当性 本事業は、電気炉の溶解工程で発生する電気炉ダスト中に含まれる亜鉛、鉛、鉄等の 有用金属を高効率に分離・回収する技術を開発するとともに、そのダスト処理において、 二酸化炭素やダイオキシン等の環境負荷物質を低減するものであり、国民や社会のニー ズに適合した国の事業として妥当なもので、政策的位置付けは極めて明確である。「環 境と経済の両立による持続可能な社会の創出」に向けた 3R 分野の技術戦略マップに取 り上げられる重要課題であるとともに、これまで塊成化が困難であった超微粉の電気炉 ダストに炭材を混合して塊成化し、還元鉄を製造する技術と、製造された還元鉄を溶解 して付加価値の高い銑鉄を作る複合プロセスを開発している点に十分新規性、独創性、 革新性が認められ、技術的な意義も大きい。また、技術的ハードルが高く、開発リスク が高いことから国の関与は必要不可欠である。 なお、亜鉛は可採年数が 21 年とされている資源であることから、今後、国の施策と して、亜鉛の安定確保シナリオを検討し、その中で本事業の位置付け、必要性をさらに 明確にしていくことが望まれる。 【肯定的意見】 ○本事業は、環境負荷物質の排ガスを極力少なくして、電気炉ダストから有価金属を回 収するという、我が国でロードマップ上重要課題にも取り上げられた緊急を要する重要 課題であり、国民や社会のニーズに適合していること、開発リスクを分散するためにも、 国の関与が必要である。開発の完遂により、国内外の同業他社への技術移転が計られる と、環境に配慮したリサイクルシステムが各地に形成される。 ○本事業は環境負荷の低減、有用金属の回収・再利用、最終処分量の削減と、現下の社 会ニーズに合致したものであり、政策的に実用化を推し進める意図は十分に評価できる。 さらに電気炉ダスト処理以外への応用展開が期待され、先進性のある取り組みとして技 術的な意義も大きいと思われる。 ○スクラップ価格が不安定である現在、ダスト中の鉄、亜鉛の効率的なリサイクルの観 点からも、還元鉄製造技術を確立することは意義深いことである。 ○原料資源高騰の中、リサイクルの推進、最終処分場での処理減少、従来技術より二酸 化炭素発生は少ない点で、国、社会のニーズに適合したテーマである。設備技術規模か らも民間企業ベースの試験は難しい。30%程度のダストは最終的に埋め立て処分されて

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22 いるので、安価で高品位の金属回収技術は必要である。 ○年間多量排出される電気炉ダストを、処分する技術しかない現状から一転して、省エ ネ・リサイクル技術へと進展させる内容の事業であり、二酸化炭素排出量の大幅削減、 省エネ、廃棄物の有用な資源としての回収という点で、現在の日本において国が積極的 に関与して推進すべき項目としてロードマップに位置付けられたものであり、国の事業 として妥当である。また、これまでハンドリング困難であった微粉のダストを塊成化す る手法、炭素源を用いた還元と溶解による成分分離を複合化している点に十分新規性、 独創性、革新性が認められる。しかし、電気炉ダスト処理技術の現状レベルを考えると 技術的ハードルも高く、国が関与していくべき研究開発項目であると考えられる。 【問題点・改善すべき点】 ○原理上、熱交換が悪いことは否めない。 ○還元鉄はともかく、亜鉛についても長期的には不足すると考えられるが、得られる粗 酸化亜鉛の評価額は LME 亜鉛と連動するので、粗酸化亜鉛販売効果は変動が大きい。ま た、亜鉛、鉄以外の粗酸化亜鉛の品位(例えばハロゲン)も、販売価格に影響する。採算 性向上の為にも亜鉛業界と連携して次のステップで脱ハロゲン技術を検討する必要は ないか。 ○亜鉛の可採年数は 21 年であるため、資源節約の観点からの位置付け(資源生産性) から、今後、国の施策として、亜鉛の安定確保シナリオを検討し、その中での本事業の 位置付け、必要性をさらに明確にしていくことが望まれる。

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23 2.研究開発等の目標の妥当性 事業化の際に最もポイントとなる金属回収率(亜鉛、鉄)、有害物質(ダイオキシン) 排出量等について、具体的な数値目標が設定されており、また、その目標水準も従来技 術と比較して高く設定されており、妥当である。 さらに、回転炉床炉、排ガス処理系でのダストの付着防止、ダイオキシン再合成の抑 制や、溶解炉での安定なスラグ排出など、実機を開発する上で懸案となる技術課題を的 確に抽出し、それぞれの課題に対する目標を設定するとともに、その目標を達成するた めの操作パラメータなど判断基準となる指標も適切に設定されており、妥当である。 なお、回転炉床炉の還元処理技術の目標として、販売コストに関係する粗酸化亜鉛の 不純物成分(特にハロゲン成分)についても目標を設定すべきではなかったかとの意見 もあった。 【肯定的意見】 ○電気炉ダストの塊成化・還元技術について、脱亜鉛率、ダイオキシン排出濃度、揮発 成分挙動を、また、化石燃料を用いた溶解技術について、鉄回収率、有価金属高効率回 収、溶解炉を傾動せずにスラグを排出する技術の目標を設定しており、指標設定もでき る限り具体的に示している。 ○目標には資源として十分に再利用できる金属回収率(亜鉛、鉄)、周辺環境に影響を 与えない有害物質排出量(ダイオキシン)を設定している。従来の処理方法(ロータリ ーキルン)の実態から見ても極めて高いハードルであり、妥当である。 ○目的達成のため、脱亜鉛率およびダイオキシン濃度に関し数値目標を設定し、達成し ている。 ○目標である鉄分金属化率、亜鉛の回収率は従来技術より高く、適切である。 ○本開発で事業化などの観点から最もポイントとなる鉄回収率、亜鉛回収率に対して定 量的な数値目標が設定されており、妥当と考えられる。また、その目標水準も、製品と して意味のある値が適切に設定されている。さらに、排出の可能性のある環境汚染物質 に対しても、具体的な設定がなされている。一方、付着防止など、実機を開発する上で キーとなる技術課題を的確に抽出し、それぞれの課題に対する目標を設定しており、妥 当である。これら開発目標に対して、その目標を達成するための操作パラメータなど判 断基準となる指標に関しても適切に設定されている。 【問題点・改善すべき点】 ○電気炉ダストからの粗酸化亜鉛の亜鉛成分以外の、特にハロゲン成分にも目標として 言及すべきではなかったか。粗酸化亜鉛評価額のポイントの一つである。

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○粗酸化亜鉛の販売コストがプロセスの成否を決める一要因であるため、回収粗酸化亜 鉛中の不純物成分に対する設定を設けることも必要と思われる。

表 3-10  粗酸化亜鉛の化学性状(平均成分%)
表 3-19  副原料の化学成分および粒度

参照

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