小学校算数科 教育課程研修
令和元年8月8日(木)
大阪市教育センター 指導研究グループ 指導教諭 井上 泰希
本日の研修の流れ
○新学習指導要領(算数科)について
・改訂のポイント
・学習過程の改善
・学習評価
・移行措置内容
・プログラミング教育
○実践報告
三国小学校 山内 浩司 主務教諭 味原小学校 宮浦 恵美 主務教諭
○事務連絡
算数科の改訂のポイント
① 目標及び内容を資質・能力の3つの柱で整理
② 数学的活動の一層の充実
③ 数学的な見方・考え方や育成する資質・能力に 基づき,領域の構成の見直し
⑤ 統計に関する内容の充実
④ 割合に関する内容の充実
数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考 える資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)数量や図形などについての基礎的・基本的な概念や性質などを理解すると ともに,日常の事象を数理的に処理する技能を身に付けるようにする。
(2)日常の事象を数理的に捉え見通しをもち筋道を立てて考察する力,基礎的・
基本的な数量や図形の性質などを見いだし統合的・発展的に考察する力,
数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表したり目的に応じて柔軟 に表したりする力を養う。
(3)数学的活動の楽しさや数学のよさに気付き,学習を振り返ってよりよく問 題解決しようとする態度,算数で学んだことを生活や学習に活用しようと する態度を養う。
算数科の目標(小学校学習指導要領解説 算数編より)
知識・技能
思考力・判断力・表現力等
学びに向かう力・人間性等
A 数量や図形を見いだし, 進んで関わる活動
B 日常の事象から見いだした問題を解決する活動
C 算数の学習場面から見いだした問題を解決する活動 D 数学的に表現し伝え合う活動
数学的活動
事象を数理的に捉えて,数学の問題を見いだし,問題を 自立的,協働的に解決する過程を遂行すること
・数学的活動を楽しめるようにする機会を設けること
・算数の問題を解決する方法を理解するとともに,自ら問題を 見いだし,解決するための構想を立て,実践し,その結果を 評価・改善する機会を設けること
・具体物,図,数,式,表,グラフ相互の関連を図る機会を 設けること
・友達と考えを伝え合うことで学び合ったり,学習の過程と 成果を振り返り,よりよく問題解決できたことを実感したり する機会を設けること
数学的活動の配慮事項
現行
領域構成の見直し
改訂後
割合に関する内容の充実
全国学力・学習状況調査等の結果から,割合に関する内容の理解に 課題が見られる。
平成30年度 算数A
8⃣ ある会場に子どもたちが集まりました。
集まった子どもたち200人のうち80人が小学生でした。
小学生の人数は,集まった子どもたちの人数の何%ですか。
下の1から4までの中から1つ選んで,その番号を書きましょう。
1 0.4%
2 2.5%
3 40%
4 80%
全国正答率 53.1%
大阪市正答率 51.2%
式 80÷200=0.4 0.4➞40%
答え 40%
➞第4学年に「簡単な場合の割合」の内容を新設。
第4学年 新設内容「簡単な場合の割合」
簡単な場合について,ある二つの数量の関係と別の二つの数量の関係を比べる場合に 割合を用いる場合があることを知ること。
平ゴムAは,50cmから150cmに,
平ゴムBは,100cmから200cmに伸びます。
どちらのゴムの方がよく伸びるゴムと言えますか。
(学習指導要領解説)
補助教材では包帯の 伸び方,値上がりを
取り扱っている。
問題提示の前に「よく伸びる」とは,どういうことなのかをおさえる。
ここに2つのゴムがあります。
伸ばしてみますね。 黄色の方がよく伸びるね。
・図や式を用いて,2つの数量の関係と別の2つの数量の関係との 比べ方を考える。
先ほどと違うことは何ですか。 はじめの長さが違います。
平ゴムAは,150-50で100㎝
伸びています。
平ゴムBも200-100で100㎝
伸びています。
だから,同じじゃないかな…
はじめの長さが同じでは ないけど同じなのかな…
平ゴムAは,50cmから150cmに,
平ゴムBは,100cmから200cmに伸びます。
どちらのゴムの方がよく伸びるゴムと言えますか。
統計に関する内容の充実
第3学年…複数の棒グラフを組み合わせたグラフなどにも触れるもの とする。
第4学年…複数系列のグラフや組み合わせたグラフにも触れるもの とする。
第5学年…複数の帯グラフを比べることにも触れるものとする。
第6学年…〔用語・記号〕に「ドットプロット,中央値,最頻値,階級」
の追加など
資料の特徴を読み取り判断すること 情報の関連付けと解釈・表現
・指導者が分かりやすく解き方を教え,練習させて,解けるようにする。
・子どもが自力解決して,早くできた子どもが発表し,考え方や結果を まとめる。
授業で見られる課題について
課題
・子どもがよりよく問題を解けるようになりたいと思い,
子どもどうしが学び合うことで,新しい考えを見出す。
・理解の早い数人だけでなく,他の子どもや算数の苦手な
子どもも最後まで参加してよりよい考え方を見出し,まとめる。
改善の方向性
学習過程のどこに課題があるのか
①問題の把握➞めあて・見通し➞個人解決➞学級全体➞まとめ・振り返り
☞解決の速い子が発表する。
自分とは異なる考えを聞いても,「そういう考えもあるんだな。」に 留まり,それぞれの考えのよさは分からない。
②問題の把握➞めあて・見通し➞個人解決➞ペア・グループ➞学級全体
➞まとめ・振り返り
☞自分のノートに書かれたことを読むだけで終わることが多い。
一度の説明では分からないことも多く,相手の考えを聞いたものの よく理解できていない。
学習過程をどのように改善すればよいのか
問題の把握➞めあて・見通し➞個人解決➞友達の考えの共有
➞まとめ・振り返り➞適用・活用問題
説明している子ども,聞いている子どもの様子に注意して 必要な働きかけを行う。
「この部分について誰かもう一度説明できますか。」
「そう考えたのは,どうしてですか。」
「どこを見て,そう考えたのですか。」
「今の説明に付け足すことはありますか。」
数学のよさ
有用性 簡潔性
一般性 正確性
能率性 発展性
美しさ
間違いなく
簡単に
いつでも 速く
きれい だな
使える
「数学のよさ」に迫る働きかけ
(例)「計算の間違いが起こりにくいのはどの方法ですか。」
「調べる回数が一番少なかったのはどの方法ですか。」
他のこと にも
学級全体での話合いの注意点
・タブレット端末のカメラ機能や書画カメラを使って,直接 子どものノートを大型テレビに写して見やすくする。
・大型提示装置(大型テレビなど)に映したものを簡潔に 板書にまとめるように準備をしておく。
・発表ボードには,図や式など必要なものを簡潔にまとめる ようにさせる。
ここからここまでの ことを発表ボードに 書いておいてね。
何て書いているのか 読めないよ…
計算のきまりを使って,80×2.3の2.3を 10倍して80×23にする。
答えは10倍になっているので,元の 答えにもどすには,10で割る。
80×23=184 184÷10=18.4
80×2.3=18.4
80×23=184
×10 ÷10
ノートの基本的な割り付け
学習課題
(めあて)
問題
見通し
考え
(友達の意見を聞いて 書き加える。)
友達の考え
まとめ
適用問題
学習の感想
〇月△日
(ノートの約束)
・種類を学年で統一する。
・日付を書く。
・筆算の線など定規を使う ところは,必ず使う。
・色鉛筆を効果的に使う。
はじめの解き方と適用問 題の解き方がどのように 変容しているか。
この時間はどんな感想が 望ましいのか。
学習評価
課題
・学期末や学年末などの事後での評価に終始してしまうことが多く,
評価の結果が児童生徒の具体的な学習改善につながっていない。
・現行の「関心・意欲・態度」の観点について,挙手の回数や毎時間 ノートをとっているかなど,性格や行動面の傾向が一時的に表出され た場面を捉える評価であるような誤解が払拭し切れていない。
学習改善につながるもの,指導改善につながるものにしていくこと
関心・意欲・態度 思考・判断・表現
技能
知識・理解 現行
4観点 3観点
知識・技能
思考・判断・表現 主体的に学習に
取り組む態度
4観点から3観点へ
新
論述やレポートの作成,発表,グループでの話合い,作品の 制作等といった多様な活動に取り組ませるパフォーマンス
評価などを取り入れ,ペーパーテストの結果にとどまらない,
多面的・多角的な評価を行っていくことが必要である。
評価の改善
知識及び技能を獲得したり,思考力,判断力,表現力等を身に 付けたりするために,自らの学習状況を把握し,学習の進め方 について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら,学ぼう としているかどうかという意志的な側面を評価する。
「主体的に学習に取り組む態度」の評価
ポイント
感性や思いやりといった部分は個人内評価を通じて見取る。
ノートやレポート等における記述,授業中の発言,教師による 行動観察や,児童生徒による自己評価や相互評価等の状況を 教師が評価を行う際に考慮する材料の一つとして用いる。
①児童生徒が自らの理解の状況を振り返ることができるような 発問の工夫をする。
②自らの考えを記述したり話し合ったりする場面,他者との 協働を通じて自らの考えを相対化する場面を単元や題材など の内容のまとまりの中で設ける。
「主体的に学習に取り組む態度」の評価方法
ポイント
内容のまとまりごとの評価規準の作成
〇「知識・技能」のポイント
「知識及び技能」で示された内容をもとに,その文末を「~している」
「~できる」として,評価規準を作成する。
〇「思考力・判断力・表現力」のポイント
「思考力・判断力・表現力」で示された内容をもとに,その文末を
「~している」として,評価規準を作成する。
〇「主体的に学習に取り組む態度」のポイント
当該学年目標(3)の主体的に学習に取り組む態度の「観点の趣旨」を もとに,指導事項を踏まえて,その文末を「~している」として,評価 規準を作成する。
内容のまとまりごとの評価規準の作成 第6学年 B「図形」領域
学習指導要領 2内容
〇知識及び技能
(ア)縮図や拡大図について理解すること。
(イ)対称な図形について理解すること。
〇思考力・判断力・表現力
(ア)図形を構成する要素及び図形間の関係に着目し,構成の仕方を考察したり図形の 性質を見出したりするとともに,その性質を基に既習の図形を捉え直したり日常 生活に生かしたりする。
〇主体的に学習に取り組む態度
縮図や拡大図及び対称な図形について,数学的に表現・処理したことを振り返り,
多面的に捉え検討してよりよいものを求めて粘り強く考えたり,数学のよさに気付き 学習したことを生活や学習に活用しようとしたりしている。
内容のまとまりごとの評価規準の作成 第6学年「拡大図と縮図」
学習指導要領 2内容
〇知識及び技能
(ア)縮図や拡大図について理解している。
(イ)対称な図形について理解している。
・縮図や拡大図について,その意味や,対応する角の大きさは全て 等しく,対応する辺の長さの比はどこも一定であるなどの性質を 理解している。
・方眼紙のます目を用いたり,対応する角の大きさは全て等しく,
対応する辺の長さの比はどこも一定であることを用いて,縮図や 拡大図をかくことができる。
内容のまとまりごとの評価規準の作成 第6学年「拡大図と縮図」
〇思考力・判断力・表現力
(ア)図形を構成する要素及び図形間の関係に着目し,構成の仕方を考察 したり図形の性質を見出したりするとともに,その性質を基に既習 の図形を捉え直したり日常生活に生かしたりしている。
・図形間の関係を考察し,縮図や拡大図の性質を見出している。
・縮図や拡大図の性質をもとにして,縮図や拡大図のかき方を考えて いる。
・縮図や拡大図を活用して,実際には測定しにくい長さの求め方を 考えている。
内容のまとまりごとの評価規準の作成 第6学年「拡大図と縮図」
〇主体的に学習に取り組む態度
縮図や拡大図及び対称な図形について,数学的に表現・処理したことを 振り返り,多面的に捉え検討してよりよいものを求めて粘り強く考えた り,数学のよさに気付き学習したことを生活や学習に活用しようとした りしている。
・縮図や拡大図を簡潔・明瞭・的確に描こうとしたり,実際には測定 しにくい長さの求め方を工夫して考えたりしている。
・実際には測定しにくい長さを縮図や拡大図を用いると解決できると いうよさに気付いている。
・縮図や拡大図を,身の回りから見付けようとしている。
31
令和元年度 算数科移行措置内容について
令和元年度
令和元年度は
4・5年生に補助教材を 配付
A 学習指導要領に例示されている単元等で 実施するもの
A-① プログラミングを通して,正多角形の意味を 基に正多角形をかく場面(算数 第5学年)
https://miraino-manabi.jp/
学習指導要領に例示されてはいないが,
学習指導要領に示される各教科等の内容を 指導する中で実施するもの
本時までにScratchの操作を経験する。
1.前時の学習を振り返る。
本時の展開
正方形,正三角形,
正六角形の内角の 大きさを確認する。
(ア)正多角形の性質を振り返る。(ワークシートを使用する。)
(イ) 物さしと分度器を使って,正三角形や正方形,正六角形をかく。
「辺の長さが全て等しく,角の大きさも全て等しい」という正多角形の意味を もとにかくことができるかを問い,実際にかかせる。
辺の数が多くなると,かくことが大変になることやきれいにかくことが難しい ことを確認する。
2.コンピューター(Scratch)を使って,正方形をかく。
(ア) ねこの動きで図形をかくことができることを伝える。画面にあるどのブロック を使うと線がかけるのか話し合う。
(イ) 「ペンを下ろす」ブロックと,ねこを「80歩動かす」ブロックをクリックする ことで,線がかけることを確認する。
(ウ) 「90度回す」ブロックでねこの向きが,指定した角度に変わる ことを確認する。
(エ) この三つのブロックをクリックすることを通して,正方形を児童に作図させる。
(オ) ブロックをつなげると続けて行うことを確認し,作図させる。
このとき,「画面を消して元に戻す」ために用意された「スタート」ボタンを 使うと,元に戻ることを伝える。
1. 80歩動かす,2. 90度回す,
3. 80歩動かす,4. 90度回す,
5. 80歩動かす,6. 90度回す,
7. 80歩動かす,8. 90度回す
(カ) 手順を振り返り,同じ動きの繰り返しがある ことの気付きから,画面にあるどのブロックが 使えそうか話し合う。
(キ) 「4回繰り返す」ブロックの使い方を伝え,
このブロックを使った プログラムを用いて,
正方形をかく。
4
80
90
3. 子供たち一人一人がそれぞれ試行錯誤して,正三角形や 正六角形をかく。
そのままでは,ねこが一瞬で図形をかくので,動きを手がかりにできるように,
「1秒待つ」のブロックを追加させる。
正三角形の作図の様子
・内角の60度を使って かいている場合
正六角形の作図の様子
・内角の120度を使って かいている場合
4. どのようにしたら,正三角形や正六角形をかく ことができるのか話し合う。
・正六角形をかこうとしたら,正三角形になったことや,正三角形を かこうとしたら,正六角形の半分がかけたことなどを共有しあう。
・正三角形では120度を指定し,
正六角形では60度を指定する ことでそれぞれかくことができ たことを共有する。
「よく分からないけど,かけたからよかった」で終わらせない。
「どうして正確にかけたのか。」「はじめはどうしてかけなかったのか。」を 考え,記述し,説明することができる。
5. 正八角形や正十二角形などは,どのようなプログラムに すればよいのかを考えて,実際にかいてみる。
・正二十角形など辺の数か多くなるときは,「80歩動かす」の 歩数を少なくしないといけないことなども,試行錯誤しながら 考えを進める。
6. 学習のまとめと振り返りをする。
・辺の長さが等しいこと角の大きさが
等しいことを使ってもかくことができた。
・「◯度回す」は,ねこが回転する角の 大きさのことだった。
180度から引くと求められた。
・プログラムを使うと,今までかいたこと のない正三十六角形も,簡単にきれいに かくことができた。
小学校算数科研修(ICT活用授業実践研修)の案内
9月13日(金)中大江小学校 第6学年「拡大図と縮図」
9月27日(金) 堀江小学校 第1学年「たしざん」
10月25日(金) 味原小学校 第2学年「かけ算(2)」
11月 6日(水)西淡路小学校 第3学年「重さのたんいとはかり方」
11月 7日(木)阿倍野小学校 第4学年「面積のはかり方と表し方」
2月17日(月) 小路小学校 第5学年「正多角形と円周の長さ」
※プログラミングの内容 各回,定員50名。参加希望の方はonline申し込みをしてください。
9月開催の回は申し込み受付中。以降の回の申し込み受付については,
毎月の研修一覧表でご確認ください。
<参考文献>
「waku×2.com-bee」より「算数科の基礎・基本Ⅱ」
小学校学習指導要領解説 算数編 平成20年8月 小学校学習指導要領解説 算数編 平成29年7月
令和元年度 小学校及び中学校各教科等担当指導主事連絡会 実施要項・関係資料
算数科の改訂のポイント:新学習指導要領編 No14 NIts独立行政法人教職員支援機構HP
http://www.nits.go.jp/materials/youryou/014.html
小学校を中心としたプログラミング教育ポータル 未来の学びのコンソーシアムHP https://miraino-manabi.jp/