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プラズマ乱流の時空間ダイナミクスに関する実験研 究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

プラズマ乱流の時空間ダイナミクスに関する実験研 究

小林, 達哉

https://doi.org/10.15017/1441273

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(理学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

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氏 名:小林 達哉

論文題名:Experimental Study on Spatiotemporal Dynamics of Plasma Turbulence プラズマ乱流の時空間ダイナミクスに関する実験研究

区 分:甲

論 文 内 容 の 要 旨

将 来 の 熱 核 融 合 炉 の 実 現 を 目 指 し , 現 在 フ ラ ン ス に 国 際 熱 核 融 合 実 験 炉(International Thermonuclear Experimental Reactor, ITER)が建設されている.ITER実験成功のため,乱流 輸送問題の解決が喫緊の課題である.プラズマ中で不安定性によりミクロ乱流が励起されると,

熱や粒子の輸送が増え,プラズマの閉じ込め状態が悪化する(L-modeと呼ばれる閉じ込め状態).

問題解決の端緒は,1982 年のドイツ,ASDEX 装置における,H-mode の発見により開かれた.

プラズマが H-mode に遷移すると,熱や粒子の輸送が極端に抑制され,閉じ込めが改善される.

その後の研究で,H-mode における巨視的で急峻な径電場が分岐や乱流の抑制に重要な役割を果 たす事が示された.H-mode の輸送障壁以外でも,巨視的プラズマ流(帯状流など)と乱流の結 合が重要である事が明らかにされてきた.このように,ミクロ乱流がメゾスケール・マクロスケ ールの電場や揺動と結合する基礎過程,即ち,「揺動の多スケール非線形結合過程」が集中的に研 究されてきた.これらの研究は従来,定常状態における長時間平均に基づいた非線形過程の統計 的性質の観測に留まっていた.今後は,核融合装置における遷移の物理機構を理解し制御するた め,プラズマ乱流や輸送の過渡的非線形動力学を理解していく必要がある.

本研究は,今後核融合開発で重要となる非定常状態での乱流と輸送のダイナミクスを解析する ための先進的な実験・解析手法を開発し,それを様々な実験データに応用したものである.本論 文の構成を以下にまとめる.

1章では核融合発電システムの必要性と乱流輸送による問題,及びH-mode遷移による核融合 の実現を述べた.また上記したように今後の研究における過渡過程の理解の必要性を述べた.

2 章では,まずプラズマ中での波や不安定性とそれによる乱流発展の物理機構,及び乱流が輸 送に及ぼす影響について,これまでの研究で明らかにされていることをまとめた.その後近年の 定常状態におけるプラズマ多スケール結合の研究現状及び,非定常状態での非線形過程の最先端 の研究結果について言及した.

3 章に,本論文の研究方針をまとめた.磁場閉じ込めプラズマ核融合では,様々なコンセプト の閉じ込め磁場形状が用いられている.本論文では,系統的理解を得るため,研究課題に合わせ 3種類の実験装置,トカマク型装置JFT-2M,ヘリカル型装置LHD,直線基礎プラズマ装置LMD-U

及びPANTA を用いた.各装置コンセプトの詳細と研究課題との整合性を解説した.また実験に

用いた計測器(ラングミュアプローブ,マイクロ波反射計,ECE放射計,及び重イオンビームプ ローブ)や,非定常データの解析手法(短時間FFT,ウェーブレット解析,ヒルベルト変換及び

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数値フィルタ)を説明した.更に,非定常過程においても非線形結合の定量的評価を行うための,

バイスペクトルの条件付き平均の説明を行った.

4章から6章には,具体的な解析手法とそれにより得られた物理的観測を示した.まず 4章で は,過渡的に乱流熱輸送が変化する場合の,輸送特性の定量的評価法を示した.これまで輸送特 性を観察するために,プラズマ中心にモジュレーション加熱を行い,熱パルスの周辺部への伝播 を観察する実験は広く行われていた.このデータの解析に新たにウェーブレット法を用いたこと で,プラズマ中の熱パルス伝播の位相に関する時間発展を高時間分解能で得られるようになった.

更に求めた時間変化がどの程度の誤差を持つかを解析する手法を示した.後半部では,熱パルス 伝播実験へのウェーブレット解析法を LHD 実験に応用した例を説明した.ウェーブレット法を 用いることで,ストキャスティックな磁場領域の発生を実験的に観測することに成功した.

5 章では非線形結合度の時空間的非定常・不均一性について議論した.前半では,直線プラズ

マ装置LMD-Uにおいて観測される孤立波状の乱流の非線形結合度を,ウェーブレット解析を用

いて解析した結果を述べた.ウェーブレットバイコヒーレンスを用い,局所計測した乱流の非線 形結合度が一定周期で時間変化していることを明らかにした.さらにこの観測を,非線形結合度 の空間不均一性として解釈した.後半には,LHD 装置において観測される半径方向に長距離相 関を持つ低周波揺動を対象に,非線形結合強度の時空間発展を条件付き平均により求めた結果を 示した.実験では ECH 加熱により背景電子温度プロファイルなどがゆるやかに変化している.

このプロファイルの変化に伴って変化する,低周波揺動の非線形結合強度と非線形位相の時間発 展を観測した.更に求められたこれらの量を用いて,非線形波形を再構成することに成功した.

6 章では,遷移現象の時空間構造の詳細観測について説明した.まず, 直線装置 PANTA での 遷移現象を解説した.遷移の際のパワースペクトルの変化,及び遷移フロントの伝播をウェーブ レット法で解析し,共存する様々なモードパワーの時間発展を解析した.スペクトル遷移は,装 置のプラズマソース付近で起こってイオン音速程度で伝播することを示した.スペクトル遷移の 時間発展から揺動の間にある因果関係を解明することを試みた.モードパワーの時間発展では,

実験室系でイオン反磁性ドリフト方向に伝播するモードと,電子反磁性方向に伝播するドリフト 波タイプの揺動が最初に同時に変化し,その後他のモードのパワーが変化することを明らかにし た.後半では,JFT-2Mトカマクにおいて観測されている,プラズマがL-modeH-modeの間 を行き来する現象,「リミットサイクル振動」の解析結果を述べた.乱流,静電ポテンシャル,密 度のリミットサイクルを重イオンビームで観測した結果を示した.JFT-2M におけるリミットサ イクル揺動では,これまでL-H遷移に重要な役割を果たすと考えられていたゾーナルフローは観 測されなかった.密度勾配,乱流,平均電場のリミットサイクルの空間構造や位相関係を観察す ることでこれらの物理機構を明らかにした.プラズマ流速及び乱流による流れの駆動力の双方を 同時に観測し,乱流駆動力は平均電場の起源としては小さく不十分であることを示した.これま での他の装置で得られている結果と比較し,LH 遷移の物理機構の多様性を論じた.また世界で はじめて,乱流の塊と密度勾配の高速伝播現象の直接観測に成功した.

参照

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