組織の有効性への4つのアプローチ
吉 田健 一一
に評価することは、大変複雑な問題となる。
組織は、外部環境とお互いに影響し合い、イン プットをアウトプットに変換するシステムである という見方が、組織の有効性の評価にとって有用 である。この見方に基づいて、目標アプローチ、
内部プロセス・アプローチ、システム資源アプロ ーチ、構成員満足アプローチという組織の有効性 への4つのアプローチが導き出される。それぞれ のアプローチの焦点を示すと、図lのようになる。
1.はじめに
組織は、多様で断片的である。組織は、同時に いくつもの活動を営んでおり、多くの成果を生み 出す。組織の有効性(effectiveness)を評価す る際には、資源の獲得、アウトプットの生産、内 部プロセスの管理、顧客満足の達成など組織によ って行なわれている多様な活動を考慮に入れなけ ればならない。したがって、組織の有効・性を実際
図1組織の有効性への4つのアプローチの焦点
構成員満足 アプローチ
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インプット従業員 原材料
内部プロセス・
アブ□-チ システム資源
アプローチ
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目標アプローチは、変換プロセスのアウトプッ ト側に焦点を当て、組織がその目標を達成してい るかどうかに関心がある。内部プロセス・アプロ ーチは、組織内部の活動に焦点を当て、従業員の 満足度や生産性などの指標でもって組織の有効性
を評価する。システム資源アプローチは、変換プ ロセスの最初の部分に焦点を当て、組織が高いパ フォーマンスを達成するのに必要とされる資源の 獲得に興味がある。構成員満足アプローチは、組 織と何らかの利害関係にある集団の満足度で組織
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の有効性を評価する。以下において、それぞれの アプローチを少し詳しく見ていく。
ている。企業経営に関する数量データと定,性デー タの合計53項目から、因子分析を使って「財務.
収益力」、「環境・公正」、「活力.開発力」、
「法的リスク」、「大企業`性」、「同族制」とい う6つの要素(因子)を抽出するとともに、各企 業の「総合得点」を計算し「優れた会社」のラン キングを出している。
目標アプローチの第2の問題点は、組織の有効
、性を比較する場合に起こるものである。例えば、
企業と慈善事業を行なう組織とでは目標が全く異 なるのであり、それらを直接に比べることは不可 能である。また、同じ企業であっても、業界を越 えて比較する場合には注意する必要がある。例え ば、業界によって市場の成長率は異なっており、
ある業界の企業の成長率と他の業界の企業の成長 率を比べることは誤解を招くおそれがある。よっ て、目標アプローチを使って組織のパフォーマン スを正確に評価するためには、比較の対象となっ ている組織の活動がお互いに似ている必要がある。
さらに、多くの組織はしばしば将来の目標を現在 または過去のものと比較することによって立てる 傾向がある.しかし、これも堺屋(1993)が三比 主義(前年比、他社比、予算比)という言葉を使 って主張しているように、量だけでノルマを課す ることから質の悪化を招き、ゴールのない無限地 獄に陥ってしまうことになり、望ましいことでは ない。
2.目標アプローチ
組織の有効性への最も伝統的なアプローチは目 標アプローチと呼ばれるものである。これは、暗 黙的または明示的に組織というものは究極の目標 を持っており、組織はその目標を達成するように 努めるべきであると仮定し、組織の有効.性を目標 の達成の度合と定義している。すなわち、組織の アウトプットである目標が何であるかを識別し、
組織がその目標をどの程度達成したかを評価する のである。例えば、企業にとってはアウトプット は売上高や利益などの目標として定義されるかも しれない。組織の有効性へのこのアプローチは、
インプットをアウトプットに変換するプロセスの アウトプット側におけるパフォーマンスを測定し ようとするのである。非営利組織においては、ア ウトプットである目標は組織の成果を規定したも のであり、例えば慈善事業を行なう組織において は、援助を施した患者の数とその援助の質である かもしれない。
この目標アプローチは、いくつかの理由で批判 にさらされている。まず最初に、組織の目標は組 織が達成しようとすることの望ましい状態である と考えられるが、組織の目標を構成するものが何 であるかは組織を見る人の立場によって変わって くる。さらに、組織は単一ではなく複数の目標を 追求するのであり、しばしばそれらが相反する場 合がある。ある目標を達成しようとすると、もう 一方の目標の達成を疎外することになる。したが
って、1つの目標だけで組織の有効性を評価する ことは、組織の活動や成果というものを単純化し すぎることになる。組織の有効性を評価するため には、複数の目標に関する尺度が総合的かつ多角 的に選ばれ、それらが1つの指標に統合される必 要がある。例えば、日本経済新聞社は「プリズム」
(pRISM二pRIvateSectorMultievaluationsyst ̄
em)と呼ばれる多角的企業評価システムを開発し
3.内部プロセス・アプローチ
内部プロセス・アプローチは、組織の内部活動 を観察することによって、従業員の満足度や生産
・性などの指標を通して組織の有効・性を評価するも のである。このアプローチによると、有効な組織 というものは順調でうまく油を差された生産プロ セスを備え、部門間の活動がよく調整され、従業 員の欲求が満たされ、従業員が組織に大いに貢献 するような組織である。
内部プロセス・アプローチは、組織の成果や外 部環境にはあまり関心がない。その主要な目標は、
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る目標達成のための-条件にすぎないのである。
そういう意味で、内部プロセス・アプローチは組 織の有効性を評価する貴重な見方ではあるが、他 のアプローチと同様にその限界を認識しておく必 要がある。
組織が与えられた資源を使ってどのように内部活 動を遂行していくかであり、目標を達成するため に必要とされる資源の獲得に関してではない。こ の内部プロセスに関しての目標は、一般的には従 業員に対する成果または内部活動の効率で表わさ れる。従業員の目標と効率目標はときどきお互い に矛盾する場合があるし、また従業員の目標をと ことん追求することによって効率の目標が損われ、
長期的には従業員にとってもマイナスになること もある。しかしながら、このアプローチの支持者 は、より満足した従業員は組織をより効率的にす
ると主張するのである。
内部の効率,性を重視する目標は、従業員の福祉 や発展にはあまり関心がなく、財務的な効率性に のみ深い関心を示すようになる。内部の効率性を 測るためには、資源の組織へのインプット、資源 のアウトプットへの変換、そして組織から外部へ のアウトプットという3つの側面を数量的に把握 する必要がある。インプットの財務的コスト(1)
変換(T)、そしてアウトプット(O)がいった ん測定されると、組織の有効・性を評価するための 基礎を提供する比率として目標が立てられること になる。具体的には、OをIで割った比率を増加 させることやTをOで割った比率を減少させるこ となどが目標となる。例えば、企業にとっては前 者は投資収益率などであり、後者は売上高に対す る研究開発費や設備投資額の割合などとなる。
内部プロセス・アプローチは、目標が同じでな い組織をも比較することが可能となるという点で 価値がある。すなわち、内部活動の効率や従業員 の発展は、組織が同じ基準によって評価されると いうことを意味している。しかも、資源の効率的 使用や調和のとれた内部の関係は、組織の有効性 の重要な側面と考えられるのである。
この内部プロセス・アプローチの限界は、それ が組織の有効性の限られた見方を表わしているに すぎないということである。組織は非常に効率的 であっても、その目標を達成できなかったり、目 標の達成に必要とされる資源を護得できない場合 がある。組織が効率的であるということは、単な
4.システム資源アプローチ
システム資源アプローチはYuchtmanandSeas- hore(1967)によって提唱されたものである。こ のアプローチは、組織というものは社会全体の一 部分であるというオープン・システムの考えに基 づいており、組織の有効性を社会や外部環境の価 値や規範と照らし合わせて評価しようというもの である。組織はインプット、変換、アウトプット という3つのプロセスのそれぞれにおいて環境と 関連している。よって、組織の有効`性はどのプロ セスの時点においても評価されてよいのであるが、
このアプローチは主にインプットの側面に焦点を 当てている。
組織は外部環境に存在する希少で価値のある資 源を求めて競争しており、資源の獲得と交換がく
り返し行なわれていると考えられる。よって、組
織の有効性は高い成果を達成するために必要とさ
れる資源をうまく手に入れているかどうかによっ て評価される。組織は、インプットなしではアウ トプットの目標を達成することは不可能である。YuchtmanandSeashore(1967)が述べているよう に、組織の目標は望ましい結果というよりも、環 境とのバーゲニング・ポジション(資源交換のプ ロセスによって起こる組織のヒエラルキー)を高 めるために組織のメンバーによって採られる戦略 と考えられるのである。
このアプローチによると、組織の有効性は狭い
意味では外部環境から得られる資源の量を基にし て評価することができる。より広い意味では、そ れらの資源の使用及び組織力畷境と行なう資源の 交換関係をも含んでいる。このアプローチから導き出される目標の例としては、資源の供給側にお
ける変化に対応する組織力、環境から希少で価値、
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のある資源を獲得する際の組織のバーゲニング・
ポジション、外部環境の真の属性を認知し解釈す る組織メンバーの能力などの向上が挙げられる。
なお、資源というものがこのアプローチにおい ては重要な役割を果たすのであるが、重要性、希 少性、代用性という3つの点から資源というもの を評価することが重要である。例えば、組織にと って重要で希少で代用が不可能な資源は、それと 逆の資源と比べて組織にとってより価値が高いと 考えられるのである。
システム資源アプローチは、目標アプローチや 内部プロセス・アプローチと異なる見方を提供し ている。このアプローチは、必要な資源が得られ るためには組織は環境と良好な関係を確立する必 要性があることを認めているところに価値がある。
組織の有効性への第1段階は、組織の存続である。
もし組織が存続するのに十分な資源を獲得してい るのであれば、第1段階の組織の有効性は達成さ れていることになる。
システム資源アプローチのもう1つの価値は、
組織の有効性を比較するためのユニークな基準を 提供していることである。たとえ組織がそれぞれ 異なる目標を掲げていても、それらの組織は同じ 希少な資源のいくつかを獲得しなければならない。
このアプローチによると、組織の資源獲得能力を 評価することが問題であり、異なる目標はその妨 げとはならないのである。例えば、学校と病院は 異なる目標を遂行しているため、アウトプットを 基にして比較することは不可能である。しかし、
学校も病院も財源、人的資源、場所などを得なけ ればならないという点では共通であり、比較が可 能となる。組織が異なる目標を達成するために異 なる技術を使用する場合に、共通の資源をいかに 獲得するかという能力は、成果を比べる際の1つ の基準である。
システム資源アプローチの主要な欠点は、何に 対する資源かということに関してである。究極的 には、組織の目的はあるアウトプットを達成する ことである。もし組織がインプットを得るのに成 功しているが、それらの資源を意味のないように
浪費しているのであるならば、そのとき組織は総 合的には有効であるとは言えない。例えば、高校 や大学、実業団から大物ばかりを獲得したプロ野 球チームはシステム資源アプローチによると成功 であるかもしれないが、もし多くの試合で敗けた ならば、そのチームは有効な組織とは言えないの である。システム資源アプローチは、組織の有効 ,性に関して有用な見方を提供しているが、しかし 他のアプローチと同様に、それには限界があり、
他のものといっしょに使用される必要がある。
5.構成員満足アプローチ
構成員満足アプローチの基本的な考えは、Kee- ley(1978)によると組織の目標ではなく組織の構 成員の利益が組織の存続にとっての究極の条件で あるということである。組織は参加目的が異なる 様々な人間の集まりである。たとえ同じ目標であ ったとしても、その目標を達成する手段が異なる 場合が多い。したがって、組織の有効性を評価す るためには、たった1つの尺度だけで異なった集 団の人々が満足するとは考えられず、複数の尺度 が必要となる。異なる集団の人々に対して異なる 尺度を使用すべきであると提案する構成員満足ア プローチの合理性が、ここに存在するのである。
例えば、Connolly,ConlonandDeutsch(1980)は、
組織がどの程度うまくやっているかという問題は、
だれに尋ねるかによって異なると述べている。
Connollyetal(1980)は、参加者(particip- ants:メンバーよりは広い意味で、一般に資源 の貢献者を意味している)の代わりに構成員(cO- nstituencies)という言葉を使っているが、その 理由は組織と直接的に関係している人のみに限定 したくないからである。組織と直接的には関係し ていない個人や集団が組織活動の評価を行なうこ とがあるし、またその組織の活動にある程度の影 響を及ぼすことが可能であるからである。最近で は、柿成員というよりもステークホルダー(利害 関係者)という言葉がよく使われている。
組織の構成員には、株主、経営者、従業員、願 28
製造物責任制度
客、サプライヤー、地域社会などが含まれる。組
織の有効`性は、これらの集団が組織の活動にどの 程度満足しているのかを決定することによって評 価される。ただし、この構成員満足アプローチは 構成員のだれの価値またはどの有効性の尺度に重 きが置かれるべきであるかは述べていない。構成 員の利益の合計の最大化や利益配分の方法を唱え
てはいないのである。組織の有効・性の問題は、だれの見方が観察されているかによって異なってく
るのであり、全ての見方を1つに統合することは
不可能であると考えられている。もちろん各々の構成員は組織に対して異なった 利害を持っているために、組織の有効性の異なる
尺度を持ち、それらがお互いにコンフリクトを作 り出すこともある。しかし、Barnard(1938)が述
べているように、組織の究極的な目的の達成度で ある有効劔性(effectiveness)と組織のメンバーの 個人的かつ主観的な目的の満足の達成度を意味す る能率あるいは効率(efficiency)の2つを明確に識別した上で、組織メンバーの協同を誘導するた
めには貢献に見合う十分な利益を組織メンバーに 返さないと組織の存続を維持することができないことになる。
構成員満足アプローチは、インプット、アウト プット、そして変換プロセスの要素とともに他の 3つのアプローチでは考えられていなかった組織 外部の集団を含めている点に価値がある。そうい う意味において、これは組織の有効性の最も包括 的なアプローチと考えられる。
企業とその構成員である従業員、株主、消費者、
地域社会などとの間には、現在様々な問題が存在 している。例えば、企業と株主との関係において は、形骸化した株主総会、法人間の株式の持ち合 い、ディスクロージャー(企業内容の開示)、コ ーポレート・ガパナンス(企業の統治)などの問 題が解決されなければならない。ここにおいて、
企業と消費者との間に存在する製造物責任(PL)
制度の問題、地域社会との間に存在する環境問題 と障害者の雇用の問題という3点について、少し 長くなる力輪ずる゜
欧米においては、製品の欠陥によって消費者が
受けた損害をメーカーや販売者に対して賠償請求 できるというPL制度が導入されている。日本に おいても、昨年12月に国民生活審議会と法制審議 会が、PL制度の導入に関する報告書をそれぞれ まとめた。PL制度は、国民生活審議会において 1965年から議論されていたが、産業界の反対が強 く先送りが続いていたものである。しかしながら、制度の実現を強く働きかけてきた消費者団体や弁 護士グループなどは、国民生活審議会の報告に対 して、被害が発生した場合にメーカーが特に反証 を挙げない限り被害の原因は欠陥にあったとみな す「推定規定」の導入が盛り込まれていない、製 品の出荷時点の科学技術水準では製品の欠陥が予 測不可能だったとメーカーが証明すれば免責にな るという「開発危険の抗弁」を認めているなどの 批判を行なっている。また、欠陥の定義は単純に
「人が正当に期待できる安全性を欠く場合を欠陥 とする」としている欧州共同体(EC)型を目指 すといわれていたけれども、報告では製品の効用
・有用性や製品の価格対効果、技術的実現可能性、
使用者による損害発生防止の可能性など欠陥の定 義を細かく行なっている点にも強く反発している。
もちろん、PL法の導入によって米国のようにP L訴訟が多発したり、企業が新製品開発に消極的 になることなどは望ましいことではない。今後法 案の成立までにはなお曲折が予想されるが、消費 者重視の社会にとってはPL法は欠かせないもの である。
環境問題
環境問題にどう企業が取り組んでいくかも重要 な課題である。地球温暖化、オゾン層の破壊、酸 性雨などの地球規模での環境問題とともに廃棄物 などの都市型・生活型の環境問題も顕在化してき ている。1992年6月にブラジルで開催された国連 環境開発会議(地球サミット)という環境問題の 29
世界的な催しの後、日本でも昨年11月に環境基本 法が制定された。環境か開発(成長)かといった 二者択一的な不毛な議論ではなく、経済発展と環 境保全を両立させるためには政府、企業、消費者 がそれぞれ何をなすべきかが、今問われているの である。産業界では、すでに経団連が1991年4月 に「地球環境憲章」を作成し、会員企業に環境担 当役員や組織の設置を呼び掛けている。それ以来、
1992年6月に本田技研工業が環境問題への取り組 み姿勢を示した「ホンダ環境宣言」を発表し、同 年7月に日立製作所がエネルギー消費量抑制や廃 棄物削減の目標値を盛り込んだ環境行動計画を決 定するなど、先進的な企業は1992年夏くらいまで に同様な憲章を発表している。通産省もまた1992 年10月に、日本自動車工業会、日本電機工業会な ど業界団体を通じて約400社に「自主的な環境行 動計画(ポランタリー・プラン)」を作成するよ う要請している。それを受けて、トヨタ自動車の
「トヨタ環境取組プラン」(1992年2月)、新日 本製鉄の「環境に関する行動指針」(1993年3月)
などが策定されている。環境庁が1992年11月に株 式上場企業2080社を対象に実施したアンケート調 査(528社より回答)によると、68%の企業が環 境問題を担当する部門を持っていた。しかしなが ら、それらの部門が企業全体の経営方針や長期計 画の策定に影響力を持っている企業はわずか36%
にとどまっていた。経営戦略などの企業活動の根 幹に関わる決定においても、環境担当部門の同意 が必要となるべきであろう。企業が自主的に取り 組んでいる環境対策を加速させる狙いで、通産省 は今後10年間に自動車、鉄鋼など主要17業種につ いて取り組むべき環境対策の指針を今年6月をめ どにまとめようとしている。具体的には、環境に 配慮した生産体制の作り方、再資源化(リサイク ル)の進め方、環境への影響が少ない物流システ ムの構築などの指針が含まれている。企業は今後 環境に配慮した経営に積極的に取り組まないと、
生き残ることは難しいであろう。
障害者の雇用
現在、日本には270万人を越える18才以上の身 体障害者がいる。また、精神薄弱者で18才以上の 者は約25万人、精神障害者は約108万人と推定さ れている。障害者雇用促進法は昭和51年に改正さ れ、従業員63人以上の民間企業は従業員の1.6%
以上の障害者を「正社員」(週22時間以上33時間 未満の短時間勤務の障害者を「正社員」として数 え、また重度の精神薄弱者を重度身体障害者と同 じように、雇用率を算定する際は「2人」採用し たと見なす)として雇用することを義務づけてい る。法定雇用率の未達成企業からは納付金(300 人を越える企業の場合は障害者1人につき月額5 万円)を徴収する制度を設けている。労働省が昨 年6月現在でまとめた障害者雇用の実態調査の結 果によると、民間企業の障害者雇用率は前年より 0.05ポイント伸びて1.41%と過去最高であり、雇 用された障害者数も初めて24万人を越えている。
しかし、調査企業の48.6%は法定雇用率に達して いない。また、大企業ほど雇用率が低く、従業員 63~99人の企業では204%であるのに対し、1000 人以上の企業ではわずか1.28%である。化粧品大 手のコーセーが1992年9月に設立した障害者雇用 のための「アドパンス」(埼玉県狭山市)や日本 生命保険が1993年4月に設立した「ニッセイ・ニ ュークリエーション」(大阪市)などのように、
大手企業の間で身体障害者を中心に雇用する子会 社の設立がここ2~3年増えている。また、東陶 機器が福岡県、北九州市と共同(6000万円の資本 金のうちTOTOが3600万円、残りを県と市で折 半)で1993年2月に設立した「サンアクアTOT O」(北九州市)などのように、障害者の雇用促 進を目的とした子会社を第三セクター方式で設立 するケースも増加している。障害者の雇用に際し ては、車いすでも移動しやすいようにオフィスの 通路を広くするなど職場の設備面の改善が必要で あるし、また障害者が自力で出勤が可能となるよ うに交通機関などの改善も不可欠である。障害を 持つ人も持たない人と同じように、能力と働く意
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欲さえあれば均等に働くチャンスと場所が得られ るべきであるということを企業、とりわけ経営の トップが理解し、障害者も健常者も分け隔てなく 社会参加するノーマライゼーションを推進してい
くことが重要である。
郎・田杉競・飯野春樹訳『新訳・経営者の役 割』ダイヤモンド社、1968年)
Connolly,T、,ConlonE.』、andDeutsch,S・』.
“OrganizationalEffectiveness:Amulti- pleconstituencyapproach.”Academyof ManagementReview,Vol、5,l98qPP、211-2
17.
KeekeyM.“Asocial-justiceapproachtoorg‐
anizationalevaluation.,,Administrative ScienceQuarterly,Vol、23,1978,pp272-
292.
堺屋太一『組織の盛衰』PHP研究所、1993年。
Yuchtman,E、andSeashore,S、E“Asystemres- 6.おわりに
目標アプローチ、内部プロセス・アプローチ、
システム資源アプローチ、構成員満足アプローチ という組織の有効性への4つのアプローチを見て きた。また、構成員満足アプローチのところでは、
製造物責任制度、環境問題、障害者の雇用という 企業が現在直面している課題についても述べてき た。
・組織の有効性への4つのアプローチは、インプ ット、変換、アウトプットというプロセスのどの 部分に焦点を当てているかという点で、それぞれ 異なっていた。組織外部の集団を考慮していると いう意味で、構成員満足アプローチが4つの中で は最も包括的なアプローチではあったが、それぞ れのアプローチには限界が存在していた。
組織の有効性を評価する際には、大きく2つの 問題が存在しているように思われる。まず第1の 問題は、組織の有効`性がそれを評価する人の立場 によって様々に定義され、またそれを測定するた めに使われる尺度が異なってくるということであ る。第2の問題は、組織の有効性を評価する場合 の期間についてである。短期的に業績のよい企業 が、長期にわたって業績がよいとは限らないので ある。したがって、各組織がそれぞれの構成員の 満足をどうバランスさせていくか、また短期と長 期の有効性のバランスをどのようにとるかという
ことが、組織の有効性にとっての今後の課題であ る。
ourceapproachtoorganizationaleffect-
1veness. ,,AmericanSociologicalReview,
VOL32,1967,PP、891-903.
参考文献
Barnard,CLTheFunctionsoftheExecutive,
HarvardUniversityPress,1938(山本安次
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