「石壕吏」(杜甫)の実践報告 : 謎解きをしながら
著者 加藤 昌孝
雑誌名 同志社国文学
号 81
ページ 367‑386
発行年 2014‑11‑20
権利 同志社大学国文学会
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000014330
「 石 壕 吏
﹂ ︵ 杜 甫
︶ の 実 践 報 告
謎 ︱
解 き を し な が ら ︱
加 藤 昌 孝
はじ めに 二〇 一〇 年︵ 平成 22年
︶の 学習 指導 要領 改訂 によ って
︑新 たに
﹇伝 統的 な言 語文 化と 国語 の特 質に 関す る事 項﹈ が設 定さ れ︑ 二〇 一二 年︵ 平成 24年
︶か ら小 学校 一・ 二年 生の
﹁神 話﹂ を初 めと して 小学 校教 科書 に様 々な 古典
・漢 文教 材が 掲載 され
︑中 学・ 高校 にお いて もこ の事 項は 同様 に設 定さ れ強 調さ れて いる①
︒そ うし た国 語科 をめ ぐる 動向 を視 野に 入れ て実 践し た報 告を
﹁同 志社 香里
﹃教 育研 究誌
﹄第 36号
﹂で 報告 した
︒以 下の 文章 はそ の実 践報 告を 紙数 の都 合で 簡約 し一 部字 句の 訂正 を加 えた もの であ る︒ 二〇 一〇 年度 初め
︵一 学期 中間 考査 まで の高 校二 年生
︶に
﹁公 憤 慨世 の唐 詩﹂ と題 する 自主 編成 教材 を作 成し
︑杜 甫の
﹁石 壕吏
﹂・
﹁兵 車行
﹂︑ 白居 易の
﹁重 賦﹂
・﹁ 新豊 折臂 翁﹂ を配 した
︒杜 甫の 詩は
教科 書︵ 東京 書籍
﹁精 選古 典﹂
︶掲 載の 教材
︑白 居易 の詩 は﹃ 中国 詩人 選集 12﹁ 白居 易上
﹂13 白居 易下
﹂・ 岩波 書店
﹄を 用い た︒ これ らの 詩は いず れも 為政 者の 暴挙 や無 謀な 征戦
︵侵 略戦 争︶ を 批判 し︑ 重税 に喘 ぐ民 の現 実を 見据 えた
﹁社 会詩②
︵白 居易 は自 己の 詩を
︿諷 喩詩
﹀と 名づ け︑ 他の
︿感 傷詩
﹀︿ 閑適 詩﹀
︿雑 律詩
﹀以 上 にこ の諷 喩詩 を誇 りと した
︶﹂ であ る︒ 内容 的に 平明 な詩 では ある が︑ 長詩
︵古 体詩
︶で あり 高校 二年 生 に適 する かと 不安 を抱 きな がら も︑ 時空 を超 えて 呼び かけ る杜 甫と 白居 易の メッ セー ジを
︑生 徒に 届け たい と願 い教 室の 教材 とし た︒ 一
「石 壕吏
﹂の 時代 背景 天宝 十四 歳︵ 七五 五︶ 安禄 山の 乱が 勃発 し︑ 翌年
︵七 五六
︶反 乱 軍が 長安 に迫 る︒ その 報が 届く と玄 宗は 楊貴 妃と 側近 の兵 とと もに
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三六 七
西方 に脱 出す る︒ この 戦乱 は八 代皇 帝代だい
宗そう
の宝 応二 年︵ 七六 三︶ に 沈静 化す るが
︑﹁ 石壕 吏﹂ はこ の戦 乱の 時代 を背 景と した 詩で ある
︒ 至徳 二年
︵七 五七
︶︑ 長安 を脱 出し た杜 甫は 鳳ほう 翔しよう
に赴 き︑ 粛しゆく
宗そう
の下 に馳 せ参 じ左さ 拾しゆう 遺い の官 を与 えら れた
︒杜 甫は 左拾 遺の 任務 を 全う する ため に粛 宗に 諫言 した が︑ 皇帝 の逆 鱗に 触れ ると ころ とな り︑ 乾元 元年
︵七 五八
︶︑ 華州 の小 役人 に左 遷さ れる
︒こ の間 に目 撃し た戦 乱と 圧政 下に 塗炭 の苦 しみ を強 いら れた 民の 実相 を描 いた のが
﹁三 吏三 別の 詩﹂ と呼 ばれ る連 作の 詩で ある
︒﹁ 石壕 吏﹂ はそ の連 作の 一つ であ る︒ 東都 洛陽 方面 への 公務 の旅 をし
︑乾 元二 年︵ 七五 八︶ 春︑ 洛陽 か ら華 州へ の帰 途︑ 杜甫 は石 壕村 に宿 泊す る︒ その 宿で 目撃 した 事件
︑ 徴兵 の実 相を
﹁石 壕吏
﹂で ルポ ルタ ージ ュす る︒ この 詩を 理解 する には 上記 の時 代背 景を 踏ま える 必要 があ る︒ 貧 しい なが らも 平和 な生 活を 送っ てい たで あろ う宿 屋一 家を 襲っ た徴 兵︑ 悲惨 な戦 乱の 実相 を︿ 読む
﹀た めに は不 可欠 の条 件で ある
︒玄 宗皇 帝治 世の 末期 から 続く 戦乱 によ って 夥し い民 が犠 牲と なっ た︒ 杜甫 が泊 まっ た宿 で目 撃し た事 件は その 悲劇 の一 こま であ り︑ 同様 の事 件が 数多 く起 きた であ ろう こと は言 うま でも ない
︵﹁ 三吏 三別 の詩
﹂参 照︶
︒そ うし た悲 劇的 な事 件を すく い上 げ︑ 杜甫 は﹁ 石壕 吏﹂ を作 った ので ある
︒こ の詩 が有 する 時代 的な 象徴 性を 読み 取る
には 一定 の﹁ 予備 知識
︵時 代背 景の 知識
︶﹂ が必 要で ある と考 えた
︒ 時 間目
時代 背景 の概 説と
﹁場 面分 け︵ 詩の 構成
︶﹂ (一 )教 材プ リン ト③
とと もに 時代 背景 の概 説︵ 次の
﹁時 代背 景プ リン ト﹂ を配 布説 明し た︵ 傍線 部は 筆者 が施 した
︒以 下も 同じ
︶︒
① 乾元 元年
︵七 五八
︶九 月︑ 鄴ぎよう 城じよう に安あん
慶けい
緒しよ
の軍 が立 て籠 もる
︒
② 唐軍 が鄴 城を 包囲 する
︒詩 の中 に登 場す る老 夫婦 の三 人の 息 子は 徴兵 され
︑鄴 城の 攻撃 の一 員と して 出兵 する
︒
③ 乾元 二年
︵七 五九
︶三 月︑ 史思 明軍 が安 慶緒 軍を 救援
︒二
〇 万の 唐軍 を破 り︑ 史思 明は 安慶 緒を 殺し 安慶 緒の 勢力 を吸 収 し併 合す る︒
④ 大敗 した 唐軍 は︑ 黄河 沿岸 の要 地﹁ 河陽
﹂に 城を 築き 防衛 す る︒ (二 )時 代背 景の 概説 後に
︑次 の①
~④ を板 書し
︑
① 語り 手が 宿で 目撃 した こと
︵事 件の 始ま り︶
︒
② 目撃 した こと に対 する 語り 手の 感想
︒
③ 老婆
︵= 作者 創造 の語 り手
︶の 語り
︒
④ 宿で 起き た事 件の 顛末
︒
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三六 八
生徒 に場 面分 け︵ 詩の 構成
︶に つい て考 察さ せた
︒授 業に おけ る 問答
・対 話︵
﹁授 業記 録﹂
︶は 省略
︒ 二 授業 記録 謎
︱
を追 い︑ 形象 を豊 かに 結び なが ら
︿読 み﹀ の方 法は 様々 にあ るが
︑こ の詩 を推 理小 説的 に﹁ 謎を 追 い﹂ 一つ ひと つの 語句 を丁 寧に 読み
︑教 室の 対話
・問 答を 中心 に据 え︑ そし て﹁ イメ ージ 読み
︵形 象読 み︶
﹂を 目ざ した
︒時 空を 超え て呼 びか ける 作者 の思 想性
︵文 学の 永遠 性︶ を生 徒が 認識 して くれ るこ とを 願っ た︒ 紙数 の都 合で 授業 記録 の一 部︵ 時 間目 の授 業記 録は 省略
︶を 記す
︒
「石 壕吏
﹂の 謎の 設定
︵以 下の 項目 のプ リン トを 時 間目 の授 業 開始 時に 配布 した
︶︒
「吏
﹂は なぜ
﹁夜
﹂に
﹁人 を捉
﹂え にき たの か︒ それ は何 の ため か︒
﹁人 を捉 ふ﹂ から 受け るイ メー ジは
? 老ろう
翁おう
が﹁ 牆かき
﹂を
﹁踰こ えて 走に
﹂④ げた のは なぜ か? 老婦 が﹁ 看み
﹂る とい うの は︑ 誰に 対し て︑ どう する こと なの か? 吏は どう して
﹁怒
﹂る のか
?
老婦 はな ぜ﹁ 啼く
﹂の か?
「苦 し﹂ いの はな ぜか
?
「室 中に 更に 人無 く﹂ は︑ 本当 に誰 もい ない のか
?
!
「母 の未 だ去 らざ る﹂ はど うし てか
?
"
「力 衰ふ
﹂老ろう 嫗う が︑
﹁吏 に従 ひて 夜に 帰おもむ
かん
﹂と 申し 出た の はな ぜか
?
% 老嫗 が﹁ 急に 河か 陽よう
の役えき
に﹂ 行こ うと 申し 出た のは どう して か? 10
「泣 いて 幽ゆう
咽えつ
する
﹂の は誰 か? 11
「走
﹂げ た老 翁が
︑な ぜ﹁ 別れ
﹂の 挨拶 がで きる の?
老翁 はど こに いた の? 右の プリ ント の謎 解き を中 心に 授業 を進 める こと
︑ 句ご とに 読 むこ と︑ 内容 によ って は 句・
句に 区切 って 読む こと とし
︑同 時 にこ のプ リン トを 毎時 間持 参す るこ とを 指示 した
︒範 読あ るい は生 徒の 音読 後に 難解 語の 質問 に答 えた あと
︑謎 解き の︿ 読み
﹀を 展開 した
︵以 下の 授業 記録 のT は加 藤︑ 他の アル ファ ベッ トは 生徒 の姓 の頭 文字
︶︒ 時 間目 の授 業記 録
︱
﹁吏
﹂の 出現 と﹁ 老翁
﹂の 逃亡 の謎
︱
T
前の 授業 でこ の詩 の時 代背 景と 構成 につ いて 確認 しま した の
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三六 九
で︑ きょ うは 先ほ ど配 布し たプ リン トを 中心 に︑
﹁謎 解き
﹂ をし なが ら読 んで いき ます
︒第 句 から 第 句ま で︑ 作者 が 宿で 目撃 した 部分
︑事 件の 始ま りが 書か れて いる 部分
︑O o くん
︑読 んで くだ さい
︒他 の人 は難 しい 語句 をチ ェッ クし 質 問し てく ださ い︒ 質問 が多 けれ ば多 いほ ど内 容が よく わか る
⁝⁝
︒O oく ん︑ 読ん でく ださ い︒
︵O o 読む
︶︒ 分か らな い語 句︑ Ot さん
︑全 部出 して くだ さい
︒ Ot
「投 ずる
﹂︑
﹁吏
﹂︑
﹁牆
﹂︑
﹁踰 えて
﹂︑
﹁看 る﹂
⁝⁝
︒ 生︱ 徒提 起の 難解 語の 説明 後に 読み へ︱ T
たく さん
︑出 して くれ まし た︒
﹁求 めよ
︑さ らば 与え られ ん﹂
⁝⁝
︒こ れか らも 遠慮 しな いで
︑こ の調 子で
︒質 問は みん な のた めに なる
︒み んな への 友情 のた めに 遠慮 せず に⁝
⁝︒ い いな
︑質 問出 すの
︑友 情の ため にや で⁝
⁝︒ ほか には
︑質 問 ない です か︑ みん なへ の友 情︑ ある 人は
⁝⁝
︒O kく ん︑ ど う?
何か ある
? Ok
「老 翁﹂ はお じい さん
︑で いい です か︒ T
そう
︒そ れで は︑ 次に この 部分 に﹁ 登場 する 人物
﹂︵ 板書
︶︑ 押さ えて おこ うか
︒K kさ ん︑ 言っ てく ださ い︒ Kk
「吏
﹂と
﹁老 翁﹂
︑そ れに
﹁老 婦﹂
︒ T
それ でい いで す︒ もう 一人
︑﹁ 投ず る﹂ の主 語は
? もう 一
人︑ 大事 な人 いま せん か︒ 宿に 泊ま った 人︑ 事件 を目 撃し た 人は
? Kw くん
︒﹁ 走﹂ は﹁ 逃﹂
︵板 書︶ と同 じ︒ Kw
「旅 の途 中﹂ の杜 甫︒ 作者
︒ T
そう です
︒隠 れて いて わか りに くい が︑ 旅人 の杜 甫︒ この 詩 の﹁ 語り 手﹂
︵板 書︶
︒そ れで は次 に︑ 登場 人物 たち の﹁ 述 語﹂ を全 部挙 げて くだ さい
︒K iく ん︑ どう ぞ︒ Ki
作者 は﹁ 投ず る﹂
︑﹁ 吏﹂ は﹁ 有り
﹂︑ 老翁 は﹁ 走に げ﹂
︑老 婦は
﹁出 でて
﹂と
﹁看 る﹂
︒ T
老翁 の述 語︑ もう 一つ ない かな
︒﹁ 走げ
﹂の 前に
? Km
「走 げ﹂ の前 の﹁ 踰こ え﹂
︒ T
正解
︒﹁ 踰え
﹂も 老翁 の述 語︒ いい かな
︒じ ゃあ
︑前 の時 間 に配 布し たプ リン ト見 てく ださ い︒
﹁謎
﹂の ま でを 今か ら︑ みん なに 解い ても らい ます
︒い いで すか
︒⁝
⁝︒ その 前に 漢 字の
﹁捉
﹂︵ 板書
︶の 上に 一字 加え て︑ 熟語 をつ くっ てく れ るか
︒ヒ ント
︑野 球の キャ ッチ ャー
︑日 本語 で何 てい うの
︒ 野球 部の AO くん
︒ Ao
捕手
︒ T
そう
︑そ の﹁ 捕﹂ を上 につ けて
﹁捕 捉﹂
︵板 書︶
︑こ れ︑
﹁つ かま える こと
﹂︵ 板書
︶︒ それ では
︑い よい よ﹁ 謎解 き﹂
︑
﹁謎
﹂の ﹁ 吏﹂ は︑ なぜ
﹁夜
﹂に
﹁人
﹂を
﹁つ かま え﹂ に
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三七
〇
来た のか な︒
﹁夜
﹂に 来た のは
︑な ぜ? Kr
「夜
﹂な ら暗 くて 逃げ られ ない
︑捉 まえ やす い⁝
⁝︒ T
ほか には どう です か?
Sa さん は?
「吏
﹂は なぜ
﹁夜
﹂ に来 たの かな
? Sa
「夜
﹂な ら﹁ 人﹂ がい る⁝
⁝︒ 家で ゆっ くり して いる
⁝⁝ T
どう して
︑夜 なら 人が いる の⁝
⁝︒ So さん
︒ So
夜︑ 人は 家に 帰っ てい るか ら︑ 家に いる と思 う︒ T
仕事 で帰 れな い人 もい るけ ど︑ たい てい の人 は夜
︑家 に帰 る わな
︒君 らは 夜遊 びし てる けど
︵笑 い︶
︒今
︑笑 った 人は
︑ 確実 に夜 遊び して いる 人︵ 笑い
︶︒ 早く 家に 帰れ よ⁝
⁝︵ 笑 い︶
︒次
︑S nく ん︑ どう
? Sn
夜な ら確 実に 人が 家に いる から
︑捉 まえ やす い︒ T
Kr くん
︑﹁ 夜﹂ には 捉ま える 相手 が確 実に いる ので
︑人 を 捉ま える こと がで きる
︑こ れで いい です か?
「人
﹂は
︑誰 です か︒
﹁吏
﹂が 捉ま えよ うと する 人?
Ku くん
︑誰
? Ku
宿の 人︒ 老翁
︒ T
そう
︑老 翁は どう した
? Ta くん
⁝⁝
︒ Ta
牆かき
を踰こ えて 逃げ た︒ T
Si さん
︑ど うし て逃 げた の︑ 謎の ︑ 逃げ た理 由は
? Si
おじ いさ ん︑ なん か︑ 悪い こと して たか ら︑ 役人 を見 て逃 げ
た⁝
⁝︒ 泥棒 か︑ なん か⁝
⁝︒ それ で︑ 役人 が捉 まえ にき た︒ おじ いさ ん︑ 何か 悪い こと した んで
︑役 人が 来る のを 見て 牆かき
を踰こ えて 逃げ た⁝
⁝︒ T
何か 悪い こと した ので
︑役 人が 捉ま えに きた
⁝⁝
︒お じい さ ん︑ ほん とに
︑悪 いこ とし たの か︑ もう 少し
︑先 を読 んで か ら考 えよ うか
︒新 しい
﹁謎
﹂を Si さん が出 して くれ た⑤
︒
﹁お じい さん は︑ 悪い こと をし たの か﹂
︵板 書︶
︒﹁ 謎﹂ の に 加え てく ださ い︒
﹁謎
﹂ に戻 りま すが
︑﹁ 人を 捉ふ
﹂を
︑時 代背 景の プリ ント
④を 参考 にし て考 えて くだ さい
︒S uく ん︑ その 部分 を読 んで くだ さい
︵S u 読む
︶︒ おじ いさ んを 捉 まえ に来 たの は何 のた めか
︑S uく ん︑ 何か わか った
? Su
兵隊 にす る人
︑捉 まえ にき た⁝
﹁河 陽﹂ で戦 うた めに
⁝⁝
︒ T
この 点︑ 確認 して くだ さい
︒﹁ 河陽
﹂で
﹁史 思明 軍の 攻撃 を 防衛
﹂︵ 板書
︶︑ その ため に兵 隊が 必要
⁝⁝
︒こ のこ と︑ どう 思い ます か?
誰で も︑ 自由 に⁝
⁝︒ As
おじ いさ んも 捉ま えて
︑兵 隊に する んで すか
? No
兵隊 にす る人 を捉 まえ にき た⁝
⁝︒ なん か︑ ひど い︑ いき な り⁝
⁝︒ Ma
おじ いさ ん︑ 役人 が来 るの
︑見 て︑ それ で逃 げた
⁝⁝
︒ Ha
「夜
﹂︑ おじ いさ んが 家に いる から
︑確 実に 捉ま えら れる と計
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三七 一
算し て︑ それ で夜 にき た⁝
⁝︒ T
まだ ある
? Kw
作者 が泊 まっ たこ の宿 には
︑お じい さん しか いな い︑ 男は
︒ それ でお じい さん を捉 まえ に⁝
⁝︒ T
鋭い
⁝⁝
︒そ の点 は︑ あと を読 むと きに 考え るこ とに しま す︒
﹁宿 には
︑男 はほ かに いな いの か?
﹂︵ 板書
︶悪 いこ とし たお じい さん を捉 まえ るん じゃ なく て︑ 兵隊 にす るた めに 役人 が 捉ま えに きた
⁝⁝
︒S iさ ん︑ これ で︑ いい かな
︒悪 いこ と しな くて も︑ 役人 が捉 まえ にき た⁝
⁝︒ Si さん
︑い いで す か︒ Si
おじ いさ ん︑ 戦争 に連 れて 行か れる の︑ 嫌で 逃げ たん です か︒ 何も 悪い こと して ない のに
⁝⁝
︒戦 争に 行っ たら
︑死 ぬか も しれ ない し⁝
⁝︒ それ で逃 げた
⁝⁝
︒ T
じゃ あ︑ 次の 謎︑ 老婦 の﹁ 看﹂ る︑ 相手 は?
Ta くん
︒ Ta
役人
︒役 人の 前に 出て 応対 する
︒ T
「謎
﹂ の答 え︑ 正解
︒そ の様 子を
︑宿 に泊 まっ た旅 人︑ 語 り手 が見 てい る︒ 句 と 句︑ 語り 手が 目撃 した こと に対 す る感 想の 部分
︒N mさ ん︑ 読ん でく ださ い︒ わか らな い語 句︑ あと で出 して くだ さい
︒い つも 言っ てる よう に﹁ 求め よ︑ さ らば 与え られ ん﹂ やぞ
︒︵ 笑い
︶︒
︵N m 読む
︶︒ Ni さん
︑
わか らな い言 葉は
? Ni
「呼さけ
ぶ﹂
︑﹁ 一いつ
に何 ぞ怒 る﹂
︑﹁ 一に 何ぞ 苦し き﹂
◆生 徒に とっ ては
︑﹁ 一に 何ぞ
﹂の 理解 が難 解の よう であ る︒ 以 下の よう に板 書を 多く 用い て説 明し た︒ 説明 のあ とに
︿読 み﹀ に入 った
︒ T
「一 に何 ぞ﹂
︑難 しい わな
︒丁 寧に 説明 しま す︒
﹁一
﹂は
︑数 詞で はな く︑ ここ では
﹁副 詞﹂
︵板 書︶
︒﹁ まっ たく
・な んと
﹂
︵板 書︶
︒﹁ 何﹂ は疑 問語
︑﹁ 理由
﹂︵ 板書
︶を 表す
︒ 句は
︑
﹁呼 ぶ﹂ を﹁ さけ ぶ﹂ と読 ませ てる から
﹁大 声を 出す
﹂︵ 板 書︶ 役人 の声 に対 して
︑﹁ どう して
︑大 声で どな りつ ける の か﹂
︵板 書︶
︒ 句は
︑老 婦の 様子 に対 して
︑﹁ どう して 苦し そう に泣 いて いる のか
﹂︵ 板書
︶︒ 句 と 句は
︑﹁ 対句 表現
﹂
︵板 書︶
︒﹁ 吏﹂ と﹁ 老婦
﹂の 様子 や感 情が 対照 的に 表現 され てい る︒ いい です か︒
﹁聴
﹂は
︑旅 人が
﹁耳 を澄 ませ て聞 く 様子
﹂︵ 板書
︶を 表し てい る︒ じゃ あ︑ 今日 の授 業の 最後
︑ みん なに 質問 しま す︒ 二人 の様 子︑ イメ ージ して⑥
︑自 分の 言 葉で 言っ てみ てく ださ い︒ Nk くん から 順番 に⁝
⁝︒ 句 か ら⁝
⁝︒ 謎の の 部分 です
︒ Nk
役人 が︑ もの すご く怒 って いる
︒大 声で
⁝⁝
︒ T
Nk くん
︑こ の時 の役 人の セリ フ︑ 言え るか な⁝
⁝︒
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三七 二
Nk
⁝⁝ じじ い︑ 早く 出て こい や︑ 家の 中に いる んや ろ︒ わか っ とる んや
︑さ っと 出て こい って
⁝⁝
︒ T
すご い︒ 雰囲 気出 てる
︑役 者に なれ るか も︒ 関西 弁で 言っ た かは 知ら んけ ど︵ 笑い
︶ほ かに は⁝
⁝︒ No
じい さん
︑出 てこ いっ て︑ 怒鳴 り散 らし 威張 って る︒ Hg
どう して も︑ 連れ て行 くぞ って
︑し つっ こく 叫ん でい る︒ 連 れて 行く のが 役人 の役 目︑ 上の 命令 でや って きた から
︒ T
「謎
﹂
︑役 人の 怒り の理 由︑ 兵隊 に連 れて 行く 老翁 が出 て こな いか ら︑ でい いか な︒ それ に対 して 老婦 の様 子は どう か な?
「謎
﹂の ︑ Hh さん のイ メー ジは
? Hh
泣き なが ら︑ おじ いさ んは
︑家 にい ない とわ めい てい るよ う な感 じ⁝
⁝︒ T
Hy さん は? Hy
戦争 に行 かせ たく ない から
︑役 人に 連れ て行 かな いで って お 願い して いる
︒ T
Hr くん は︑ どん な様 子︑ イメ ージ は? Hr
役人 にく って かか って いる
︑と いう か︑ 負け てい ない とい う か⁝
⁝︒ 食い 下が って いる
︑泣 きな がら
︑苦 しそ うな 顔を し て⁝
⁝︒ T
その 役人 と老 婦と のや りと り︑
!句 は︑ 役人 の前 で言 う言 葉
を︑ 語り 手が 耳を 澄ま して 聞い てい る⁝
⁝︒ 次の 時間 は︑
﹁老 婦の 語り
﹂︵ 板書
︶の 部分 を︿ 読み
﹀ま す︒
﹁老 婦の 語り
﹂ から
︑﹁ 謎﹂ の の老 婦が
﹁苦 しそ うに 啼く
﹂理 由が
︑わ か ると 思い ます
︒K wく んが 言っ てく れた
﹁宿 の男 はお じい さ ん﹂ だけ
︑も はっ きり しま す︒ 次の 時間 は"
句か らの
﹁老 婦 の語 り﹂ を読 みま す︒ じゃ あ︑ 終わ りま す︒ 時 間目 難
︱
解語 の逐 語訳 的な 授業 展開 をし た︒
"
句の
﹁戍
﹂は
﹁兵 器を 持っ て国 境を 守る こと
﹂︵ 板書
︶を 説明 し︑ 老婦 の三 人の 男子 が徴 兵さ れ﹁ 鄴城
﹂守 備に 出征 して いる こと を説 明し た︵
﹁謎 解き
﹂ から
%の 授業 は︑
﹁謎
﹂の
"
・% が時 間不 足で 次の 時間 に残 った
︒紙 数の 都合 で﹁ 授業 記録
﹂は 省略
︶︒ 時 間目 の授 業記 録
﹁
︱
老嫗 の申 し出
﹂と 作者 の﹁ 思い
﹂を 中心 に
︱
T
前の 時間 は予 定通 り︑ とい って も私 の勝 手な 予定 です が︑ 予 定通 りに 進ま なか った ので
︑今 日の 授業 は︑ ちょ っと
︑忙 し くな りま す︒ 覚悟 して 授業 に参 加し てく ださ い︒
﹁老 婦の 語 り﹂ の残 り︑ この 部分 の﹁ 謎﹂ は"
と% です
︒そ れで は︑ 17 句か ら20 句ま で︑ Kr さん
︑読 んで くだ さい
︒︵ Kr
読む
︶︒
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三七 三
Kw くん
︑難 解語
︑あ りま すか
? Kw
「老ろう
嫗う
﹂︑
﹁力 衰ふ
﹂︑
﹁請 ふ﹂
︑﹁ 夜帰おもむ かん
﹂︑
﹁河 陽の 役﹂
︑﹁ 晨しん
炊すい
﹂︑ それ から
⁝⁝
︑﹁ 備ふ るを 得ん
﹂︒ T
Kw くん
︑﹁ 夜帰 かん
﹂の
﹁ん
﹂の 助動 詞の 意味⑦
︑言 って く れる かな
? Kw
推量 です か︒ T
推量 なら
︑﹁ 夜に
︑行 くだ ろう
﹂︑ 少し 変だ けど
⁝⁝
︒﹁ 夜に
︑ 行こ う﹂ とし たの が︑ おば あさ んの 心が はっ きり する と思 う んや けど
︑ど うか な⁝
⁝︒ Kw
おば あさ んが
︑自 分の 意志 で行 こう とし てい るん です か︒ T
その 方が いい かな と⁝
⁝︒ なぜ かは
︑あ とで 考え るこ とに し ます
︒今 日も
︑友 情い っぱ いの 授業 がで きそ うや な︒ みん な のた めに
︑難 解語 の質 問︑ たく さん Kw くん が出 して くれ た︒ まと めて 料理 する から
︑し っか り聞 いて くれ るか
︒ 生︱ 徒提 起の 難解 語の 説明 後に 読み へ︱
「老 嫗﹂ はお ばあ さん
︒お ばあ さん やか ら︑ Sa さん
︑﹁ 力衰 ふ﹂ はど うな るこ と⁝
⁝︒ カト ッチ ョみ たい に︑ 髪︑ 薄く な るん じゃ なく て︵ 笑い
︶︑ 怒り っぽ くな るん じゃ なく て︵ 笑 い︶
⁝⁝
︒﹁ 力﹂ が⁝
⁝︒ Sa さん
︑ど うで すか
? Sa
力が 弱く なる
︑で すか
⁝⁝
︒
T
そう
︑年 取っ て力 は無 くな った けれ ど︑
﹁晨 炊﹂
︑こ れ︑
﹁朝 食・ 朝飯
﹂︵ 板書
︶ぐ らい
︑で きる って
︑役 人に 言っ てい る︒
﹁晨 炊に 備ふ るを 得ん
﹂が
︑そ れ︒ カト ッチ ョも
︑力 は衰 え たけ ど︑ 年取 った けど
︑掃 除︑ サボ ッタ 君ら のた めに
︑朝 早 く来 て教 室を 掃除 して る︑ ゴミ 捨て たり
︑黒 板を 消し たり
⁝⁝
︒﹁ 力は 無く なっ た﹂ が︑ みん なの 少し 役に 立っ てい る︒ 今の 嫌み です
︒︵ 笑い
︶︒ 嫌み
︑そ れぐ らい にし て授 業に 戻り ます
⁝⁝
︒﹁ 請ふ
﹂の 下に
﹁願
﹂︵ 板書
︶を 書い てく ださ い⑧
︒ 役人 に﹁ 願い 出る
﹂︵ 板書
︶︒ そろ そろ
︑﹁ 謎解 き﹂ を始 めよ うか
︒そ の前 に︑
﹁単 身○ 任﹂
︵板 書︶ の丸 の中 に入 る漢 字を 一字 を︑ Su くん
︑入 れて くだ さい
︒ Su
「ふ にん
﹂の
﹁ふ
﹂︑ 漢字
︑わ かり ませ ん︒ T
「ふ
﹂の 漢字
︑む ずか しい わな
︒み んな
︑﹁ 赴⑨
﹂︵ 板書
︶を 入 れて くだ さい
︒﹁ おも むく
﹂な ら丸 の中 に入 れた
﹁赴
﹂の 方 がい いん だけ ど⁝
⁝︒
﹁帰
﹂は
﹁も との 所へ 戻っ てく る﹂
︵板 書︶
︑﹁ 赴﹂ は︑
﹁⁝ の方 向に 出か ける
﹂︵ 板書
︶︒ 杜甫 は﹁ 帰﹂ ると いう 文字 に︑ 行く けど
︑戻 って くる
︑と いう 意味 をこ め たの かな
⁝⁝
︒私 もわ かり ませ ん︒ みん な︑ 考え てく ださ い︒ 次に
﹁謎
﹂の
"
と% の謎 解き
⁝⁝
︒S oさ ん︑ 19句 と20 句︑ 読ん でく れる かな
︒︵ So
読む
︶︒
﹁夜 に帰 かん
﹂︑
﹁ん
﹂は
︑
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三七 四
さっ き推 量よ り﹁ 意志
﹂の 方が よい かな って 言っ てお いた け ど︑ おば あさ んは
﹁行 きま しょ う﹂ って
﹁申 し出
﹂︵ 板書
︶ たん やろ か?
Si さん
︑ど うし てか な? Si
⁝⁝
︑わ かり ませ ん︒ T
Si さん
︑今 は︑ 朝︑ 昼︑ 夜︑ いつ かな
? Si
夜︒ 句 に﹁ 夜﹂ って
︑あ った し︒ T
そう
︑今
︑﹁ 夜﹂
⁝⁝
︒お ばあ さん
︑今
︑﹁ 夜﹂ のう ちに
︑
﹁行 きま しょ う﹂ って
︑役 人に 自分 から 申し 出た んや な︒ 19 句の
﹁急 ぎ河 陽の 役に 応ぜ ば﹂
︑﹁ 急﹂ の上 に﹁ 早﹂ か﹁ 至﹂ をつ けて 熟語 にす ると わか りや すい かな
︒﹁ 早急
﹂︵ 板書
︶か
﹁至 急﹂
︵板 書︶
︑意 味は
﹁大 急ぎ で﹂
︵板 書︶
⁝⁝
︒﹁ 役﹂ は 上に
﹁労 働﹂ の﹁ 労﹂ をつ けて
﹁労 役﹂
︵板 書︶
︑﹁ 役﹂ は
﹁シ ンド イ仕 事﹂
︵板 書︶ ぐら いの 意味 かな
︒お ばあ さん は20 句で
﹁朝 飯ぐ らい つく るこ とが でき る﹂ って 役人
︑申 し出 た わけ やな
⁝⁝
︒な ぜ︑
﹁今 夜﹂ のう ちに 行こ うっ て申 し出 た のか な?
「河 陽﹂ は︑ Sm くん
︑﹁ 河陽
﹂︑ 時代 背景 のプ リ ント にど う書 いて あっ た?
︒確 認し てく れる かな
︒ Sm
唐軍 が城 をつ くっ て︑ 防衛 して いる
︒史 思明 軍と 戦っ てい る とこ
︒ T
そう
︑激 しい 戦争 があ ると こ⁝
⁝︑ そん な﹁ 河陽
﹂に
︑お ば
あさ ん﹁ 晨炊
﹂に 行っ たわ けや な︒ Sn くん
︑﹁ 晨炊
﹂の 意 味︑ もう 一度
︑確 認し てく れる か? Sn
「朝 飯﹂ をつ くり に︒ T
そう
︑﹁ 晨炊
﹂は 朝飯
︒じ ゃあ
︑お ばあ さん は︑ なぜ
︑朝 飯 つく りに 行く と申 し出 たの かな
?
「夜 に急 ぎ﹂
⁝⁝
︒﹁ 大急 で夜 に﹂
︵板 書︶ と⁝
⁝︒ この 時の おば あさ んの 気持 ち︑
「謎
﹂の
%︑ 推理 して みよ うか
⁝⁝
︒思 いつ いた こと
︑自 由 に言 って くれ るか
︒K wく ん︑ どう
? Kw
おば あさ ん︑ 宿の 外で 役人 と応 対し てい るん です か? T
役人
︑家 の中 に入 って いな いと 思う けど
⁝⁝
︒ Kw
おば あさ ん︑ 役人 を家 の中 に入 れた くな かっ たん じゃ ない ん です か? T
どう して
? Kw
「孫 の母
﹂を 連れ て行 かれ ると
︑大 変だ から
︒ T
それ
︑も う少 し︑ 詳し く言 って くれ るか な︒ Kw
おば あさ ん︑ 孫を かわ いい と思 って る︒ 逃げ たお じい さん の 代わ りに
︑孫 の母 を︑ 連れ て行 かれ ない よう にし たん じゃ な いで すか
⁝⁝
︒そ れで
︑家 の中 に入 れな いよ うに
︑早 く行 こ うと 言っ たん じゃ ない かと 思い ます
︒ T
孫に は︑ 自分 より 母が 必要 やと 考え たと いう こと です か?
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三七 五
Kw
そう やと 思い ます
︒年 取っ た自 分よ り︑ 孫に は母 が大 事だ と 考え て︑
﹁朝 飯﹂ ぐら い年 取っ た自 分に もで きる し︑
﹁河 陽﹂ に行 って 役に 立つ と⁝
⁝︒ T
おば あさ んの
︑こ の時 の気 持ち につ いて
︑ほ かの 推理 あり ま すか
? Ta
おば あさ ん︑ 死ぬ こと も覚 悟し た⁝
⁝︒ 息子 二人
︑戦 死し て いる し︑
﹁河 陽﹂ へ行 って
︑ど うな るか わか らへ んし
⁝⁝
︒ T
おば あさ ん︑
﹁死 を覚 悟し た﹂
︵板 書︶
︒K wく んの 意見 と重 ねる と︑
﹁孫 の命
﹂︑ 守る ため に⁝
⁝︒ ほか には あり ませ ん か?
Km さん
︑何 か言 いた そう やけ ど︑ 思っ てる こと
︑言 って くれ ます か? Km
この おば あさ ん︑ すご い︒ すご すぎ る⁝
⁝︒ T
何が すご すぎ るの
? みん なに わか るよ うに 言っ てく れる か な? Km
おば あさ ん︑ 自分 の命
︑捨 てて 孫の ため 戦争 やっ てる とこ へ︑ 行こ うと して る⁝
⁝︒ これ って 普通
︑で きへ ん⁝
⁝︒ 自分 の 命よ り﹁ 孫の 命﹂
︑大 事に 思っ てる
︑こ のお ばあ さん
︑な ん か︑ カッ コイ イっ てい うか ぁ︑ ホン マ︑ すご い⁝
⁝︒ 逃げ た おじ いさ んと 違っ て︑ なん か︑ カッ コイ イ⁝
⁝︒ T
おじ いさ んは 逃げ て︑ おば あさ んは 孫と その 母の ため に︑ 死
を覚 悟し て﹁ 河陽
﹂へ 行く こと を役 人に 申し 出た
︒K mさ ん は︑ それ を﹁ カッ コイ イ﹂
︵板 書︶ って 言っ たわ けや な︒ じ ゃあ
︑逃 げた おじ いさ んっ て︑
﹁カ ッコ ワル イ﹂ とな るけ ど
⁝⁝
︑ホ ンマ に︑ 逃げ たお じい さん は﹁ カッ コワ ルイ
﹂ん や ろか
?
「謎
﹂の 10と 11を 解き なが ら︑ それ
︑考 えて みよ う か︒ Ki さん
︑21 句か ら24 句︑ 最後 まで 読ん でく ださ い︒
︵K i 読む
︶︒ 今︑ Ki さん が読 んだ とこ ろで わか らな い言 葉︑ あっ たら 出し てく ださ い︒ Hg
いっ ぱい
︑あ りま す︒ いい です か︒
⁝⁝
︒﹁ 語声 絶え
﹂︑
﹁幽ゆう
咽えつ
する を聞 くが ごと し﹂
︑﹁ 天明 前途 に登 ると き﹂
︑﹁ 独り 老翁 と別 る﹂
⁝⁝
︒こ こ全 部︑ 分か りま せん
︒ T
また また
︑友 情厚 き人
︑H gく んの 登場
⁝⁝
︒︵ 笑い
︶︒ 授業 の時 間︑ 足り るか どう か⁝
⁝︒ 謎の 10と 11を 解く 前に
︑疑 問︑ 解い てお こう か⁝
⁝︒ 20句 と21 句の 関係 は︑ どう やろ
? 場 所は 旅人 が泊 まっ た宿 で変 わっ てな いけ ど︑ Km さん
︑何 か︑ 変わ った こと ない かな
? Km
先生
︑場 所︑ 宿は 変わ って ない けど
︑場 所︑ 変わ って るん ち ゃい ます
︒ T
場所 が変 わっ てる
? それ
︑も う少 し教 えて くれ る? Km
さっ きま で役 人と おば あさ んが 話し てい たと こ︑ 外︑ ちゃ い
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三七 六
ます
? 21句 と22 句は
︑宿 の中 のこ とや と⁝
⁝︒ T
同じ 宿屋 だけ ど︑
﹁外 から 中に
﹂︵ 板書
︶︒ Km さん
︑鋭 い︒ Km
カト ッチ ョ︑ 時間
︑﹁ 暮れ
﹂か ら﹁ 夜﹂ に変 わっ てい る︒
﹁久 しく して
﹂や から
︑夜
︑だ いぶ 遅く なっ てる
︒ T
これ も鋭 い︒ それ
︑気 づい てほ しか った こと
︒夜 が更 けて
︑
﹁語 声絶 え﹂
︑﹁ 人の 話し 声が 無く なっ て﹂
︵板 書︶
︑そ の代 わ り︑ 旅人 の耳 に聞 こえ てき たの が﹁ 幽咽
﹂⁝
⁝︒ これ
︑﹁ む せび 泣く
﹂︵ 板書
︶︒ のど を詰 まら せよ うに 泣く 様子
⁝⁝
︒
﹁謎
﹂10
︑﹁ 幽咽 する
﹂の は︑ 誰や ろ?
語り 手は 語っ てい な い︒ みん なの 推理 は?
自由 に出 して くれ るか な⁝
⁝︒ As
その 前に
︑お ばあ さん は役 人と 行っ たん やろ か?
朝飯 炊き に⁝
⁝︒ T
20句 で﹁ 老婦 の語 り﹂ は終 わっ て︑ その あと
︑21 句や から
︑ 語り 手は それ も語 って いな い︒ 読み 手が 想像 する しか ない
︒
﹁老 婦は 役人 と出 かけ たの か﹂
︵板 書︶
︒こ れ︑ メモ しと いて くだ さい
︒謎 が一 つ増 えた
⁝⁝
︒こ の点 も推 理し てく ださ い︒ この 謎か ら先 に推 理し よう か?
Kr くん
︑ど うや
? でき れば 推理 の理 由も 挙げ て⁝
⁝︒ Kr
飯炊 きに 行っ たと 思う
⁝⁝
︒役 人︑ 激怒 して いた し⁝
⁝︒ 手 ぶら で軍 に戻 れな いん じゃ ない かと
⁝⁝
︒役 人は もっ と上 の
役人 に怒 られ るか ら︑ 連れ て行 った んじ ゃな いで すか
︒ T
この 謎を 出し た︑ As くん は︑ どう です か⁝
⁝︒ As
⁝⁝
︑自 分か ら﹁ 朝飯 ぐら い﹂ でき るっ て申 し出 たん やか ら︑ 役人 を引 っ張 るよ うに 行っ たん じゃ ない かと
⁝⁝
︒孫 のた め にも
︑自 分か らさ っさ と⁝
⁝︒ T
二人 の意 見︑ 連れ て行 かれ たと 自分 から さっ さと では
︑少 し 違う けど
︑朝 飯つ くり に行 った こと は共 通し てい る︒ 行か ず に家 に残 った と推 理す る人
︑い ませ んか
? いな いみ たい や ね⁝
⁝︒ 宿に は︑ おば あさ んは いな い︒ じゃ あ︑ おば あさ ん の様 子は
︑K rさ んと As くん の推 理︑ どち らに 賛成 か︒ 多 数決
︑意 味無 いけ ど︑ みん な手 を挙 げて くれ るか
︒挙 げな か った 人も いる けど
︑だ いた い︑ 半々 かな
⁝⁝
︒ So
先生
︑い いで すか
︒お ばあ さん
︑自 分か ら行 った と思 うん で すが
︑A sく んが 言っ た︑ さっ さと じゃ なく て︑ とぼ とぼ と 行っ たと 思う んで すよ ぉ⁝
⁝︒ さっ さと じゃ
︑ち ょっ と元 気 あり すぎ やし
︑お ばあ さん やし
︑家 に思 いを 残し てう しろ を 振り 返り なが ら︑ とぼ とぼ と⁝
⁝︒ T
さっ さと
︑と ぼと ぼ⁝
⁝︒ As くん
︑S oさ んの 推理
︑ど う 思う
? As
様子 は︑ So さん の方 が︑ おば あさ んら しい
⁝⁝
︒で も︑ 気
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三七 七
持ち はさ っさ
︑じ ゃな いで すか
⁝⁝
︒ T
気持 ちは さっ さっ て? As
宿か ら役 人を 少し でも 早く
︑離 した い気 持ち
⁝⁝
︒家 ん中 へ 入ら れて 八つ 当た りさ れた り︑ 孫や 嫁さ んに 暴力 ふる われ た らか なん と思 って
︑早 く宿 から 離れ たい と思 って
⁝⁝
︒で も︑ 歩い てる 姿は とぼ とぼ
⁝⁝
︒S oさ んの
︑う しろ を振 り返 り なが らは
︑俺
︑思 いつ かな かっ た︒ やっ ぱ︑ 女性 の方 がデ リ ケー トな とこ まで
︑イ メー ジし てて
︑す ごい
︒ T
So さん
︑A sく んが
︑デ リケ ート なイ メー ジ︑ ほめ てる ぞ︒ 私も おば あさ んの 去っ てい く姿
︑イ メー ジし てな かっ た⁝
⁝︒ 謎の 10を 解く ため に︑ 黒板 に数 字⑩
を書 きま す︒ 数字 なの で横 に書 きま す︒
「7−3−1−1+(1)=3+(1)
︵横 書き で板 書︶
︑こ の数 字の 意 味︑ わか るか な?
Kw くん
︑ど うや ろ? Kw
イコ ール のあ と︑2+(1)
なら わか るけ ど︒ わか らへ ん︑ カ トッ チョ
︑ヒ ント
︒ T
ヒン ト︑ 無し
︒じ っと
︑数 字を 見つ めて
︑⁝
⁝︒ この 詩︑ 最 初か ら読 んで
︑数 字の 意味
︑考 えて
⁝⁝
︒ Kw
カト ッチ ョ︑ わか らへ ん︑ ヒン ト⁝
⁝︒ 頼む から
︵笑 い︶
︒ T
じゃ あ︑ ヒン ト︑ 最初 の括 弧の プラ ス は︑ 旅人 です
︒こ れ
で︑ どう や? Kw
わか った わ!
この 宿の 家族
︒ T
Kw くん
︑こ の数 字︑ 説明 でき るか
? Kw
最初
︑宿 は七 人家 族︑ マイ ナス は 戦争 に行 った 息子 たち
︒ 次の マイ ナス は 逃げ たじ いさ ん︑ その 次の マイ ナス は 婆 さん
︒こ の家 には 孫と 母と 旅人
︑三 人だ けし かい ない
︒イ コ ール の後 の括 弧の プラ ス
︑わ から へん
︒ T
この プラ ス
︑誰 やろ
︒こ れも 謎に しと きま す︒ また
︑謎 が 増え た︒ 七人 家族 だっ た家 に︑ 旅人 を除 くと
︑母 と孫 二人 し か残 って いな い︒ これ
︑す ごい 数字 と思 わへ ん?
何も 悪い こと して へん のに
︑孫 とそ の母 二人 だけ 残し て︑ この 家か ら みん ない なく なっ た︒ 二人 の息 子は 戦死 して しま って いる
︒
﹁死 せる 者は 長に 已む
﹂︒ 子供 の成 長︑ 見ら れへ ん⁝
⁝︒ 謎10
﹁啼 いて 幽咽 する
﹂の は︑ 誰か
︒S aさ ん︑ 誰や と思 う? Sa
孫の お母 さん
︒ T
孫は 泣い てな いの
? お母 さん の様 子は
︑ど うや ろ? Sa
夜遅 いの で眠 って いる
︒お 母さ んが
︑し くし く泣 いて いる
︒ 眠っ てい る子 供の 傍で
⁝⁝
︒子 供の 顔を 見な がら
︑こ れか ら どう しよ う︑ この 宿は これ から どう なる のか
︑思 いな がら
⁝⁝
︒泣 いて る⁝
⁝︒
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三七 八
T
子供 と宿 のこ と思 いな がら
⁝⁝
︒A sく ん︑ Sa さん の読 み︑ デリ ケー トや な︒ わし みた いな 感性 の鈍 い人 間に は︑ 読め な いこ とま で︑
︿イ メー ジ読 み﹀ して る︒ As くん も︑ 私も 勝 てへ ん︒ すご い︒
︵笑 い︒
︶﹁ 聞く がご とし
﹂は
︑﹁ 聞こ えた よ うで ある
﹂︵ 板書
︶︒ 寝て いる 旅人 の耳 に︑ その
﹁幽 咽﹂ が︑ かす かに 聞こ えて きた
⁝⁝
︒﹁ 古池 や蛙 飛び こむ 水の 音﹂ と 一緒 やな
︒S nく ん︑ これ
︑知 って るわ な︒ 誰の 句? Sn
松尾 芭蕉
︒ T
そう
︒ど うし て︑
﹁蛙
﹂の
﹁飛 びこ む水 の音
﹂︑ 聞こ える の? Sn
わか りま せん
︒ T
実験 して みよ うか
︒席 の隣 近所 で好 きな こと
︑し ゃべ って く ださ い︒
︵ボ ール ーペ ンを
︑教 卓に 落と す︶
︒今
︑ボ ール ペン
︑ 落と した 音が 聞こ えた 人︒ 手を 挙げ てく ださ い︒ 誰も いな い︒ じゃ あ︑ 次︑ 十秒 間だ け︑ 静か にし てく ださ い︒ いい です か︒
︵同 じよ うに
︑ボ ール ペン を静 かに 落と す︶
︒聞 こえ た人
? (ほ とん ど全 員挙 手︶
︒静 かな 時に はか すか な音 も聞 こえ る︒ 寝て いる 旅人 の耳 に︑ 宿が 静か だっ たか ら︑
﹁幽 咽す る﹂ 声 が聞 こえ たん やな
︒時 間が 無く なっ てき たか ら︑ 23句
︑急 い で説 明す る︒
﹁天 明﹂ は︑ 天が 明る くな る頃
︑﹁ 夜明 け﹂
︵板 書︶
︒﹁ 前途 に登 りし とき
﹂︑ 旅人 が︑ 早朝 に︑
﹁旅 立つ とき
﹂
︵板 書︶
︒じ ゃあ
︑最 後の 11の 謎︑ 逃げ たは ずの 老翁 が︑ 旅人 に別 れの あい さつ に出 たん やか ら括 弧の プラ ス は老 翁で す︒ 老翁
︑ど こに いた のか
︑最 後の 謎解 き︑ 推理
︑が んば って み よう か︒ 括弧 のプ ラス ︑ 老翁 だっ たと した ら⁝
⁝︒
﹁老 翁﹂
︑ どこ にい たの
? 最後 やか ら︑ みん なで 自由 に推 理︑ 言っ て くだ さい
︒ Ni
おじ いさ ん逃 げた けど
︑ど っか に隠 れて
︑役 人と おば あさ ん のや りと りを こっ そり 聞い てて
︑役 人た ちが いな くな って か ら︑ 宿に 戻っ たん ちゃ いま す? Sm
「夜
﹂︑ やっ たか ら︑ 隠れ てた ら見 えへ んし
⁝⁝
︒ Ar
役人 の姿 を見 て一 度逃 げた けど
︑役 人が 帰っ たの をど こか で 見て て宿 に戻 った
⁝⁝
︒ Hy
宿に こっ そり 戻っ て︑ お嫁 さん と二 人で
︑お ばあ さん のこ と や息 子の こと
︑今 後の こと 考え て泣 いて いた
︒二 人が
﹁幽 咽 する
﹂の を︑ 旅人 は夜 中に 聞い てた んち ゃい ます
? T
Hy さん が言 った こと
︑旅 人が 聞い た泣 く声 は︑ 二人
⁝⁝
︒ Sa さん は孫 のお 母さ んが しく しく 泣い てた って
︑言 って た けど
︑H yさ んは 二人 で⁝
⁝︒ どっ ちか な⁝
⁝︑ 語り 手は そ れも 触れ てな い⁝
⁝︒ 老翁 が宿 に戻 った の︑ いつ かわ から な いけ ど⁝
⁝︒
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三七 九
Mi
やっ ばり
︑夜 中の うち にこ っそ り戻 って
︑朝
︑作 者に 別れ の あい さつ した
⁝⁝
︒夜 中泣 いて たの
︑こ っそ り戻 った おじ い さん とお 嫁さ んと 二人
︒な んで
︑次 々︑ この 家か ら人 がい な くな るん やと か︑ 戦争 を怨 んだ りし て⁝
⁝︒ T
夜中 に泣 いて たの
︑孫 の母 だけ かお じい さん も一 緒だ った の か⁝
⁝︒ 何も 語ら れて ない ので
︑永 遠の 謎や な︒ みん な︑ 考 え続 けて くだ さい
⁝⁝
︒時 間︑ 無い から
︑こ の宿 で目 撃し た こと に対 する
﹁作 者の 意見
・感 想⑪
﹂︵ 板書
︶に つい て意 見交 換し て終 わろ うか
︒誰 か?
No くん
︑ど うか な? No
先生
︑ 句 句以 外に
︑作 者の 生の 声︑ どこ にも ない けど
︑ 見た こと
︑聞 いた こと だけ しか 書か れて ない
︒作 者の 意見
︑ 感想
︑わ から へん
⁝⁝
︒ T
そう やな
︑な んで 杜甫 は書 かへ んの やろ か︒ この 点︑ Mt く ん︑ どう や? Mt
カト ッチ ョ︑ なん か︑ ヒン ト⁝
⁝︒ T
そう やな
⁝⁝
︒﹁ 左拾 遺﹂
︵板 書︶
︒こ れ︑ 皇帝 に意 見を 言う 役職
︒杜 甫は その 役職 だっ た︒ しか し︑ 前に 皇帝 に意 見し た けど 受け 入れ られ ずに
︑地 方の 役人 に左 遷さ れて いた
︒旅 の 途中 で泊 まっ た宿 で目 撃し た事 件︒ これ
︑ヒ ント
⁝⁝
︒ Mt
杜甫 は役 人や し︑ 国の やっ てる こと
︑直 接き つい 言葉
︑言 え
へん とち ゃい ます
︒黙 って 見て るし かで けへ んか った んち ゃ いま す︒ 詩に も書 けな かっ た︒ 見た こと だけ 書い て︑ 読む 人 に判 断し ても らう しか なか った
⁝⁝
︒ T
なる ほど
︑鋭 い⁝
⁝︒ そう いう こと やろ な︒ そろ そろ 終わ ろ うか
︒最 後に
︑誰 か︑ この 詩に 対す る自 分の 感想
︑言 って く れる か︒ Ok くん
︑ど うや ろ?
具体 的に
⁝⁝
︒ Ok
七人 家族 だっ たの に︑ 今は
︑お じい さん と孫
︑そ れと お嫁 さ んし か残 って いな い︒ 息子 二人 は戦 死し てる
︒お ばあ さん ま で戦 地へ
⁝⁝
︒こ の家
︑こ のあ と大 変や と⁝
⁝︒ ホン マ︑ こ の家
︑ど うな るん やろ か⁝
⁝︒ T
この 家︑ ホン マに どう なる んや ろ⁝
⁝︒ 作者 の生 の意 見︑ 書 かれ てな くて も︑ Ok くん が言 って くれ たよ うに
︑作 者の 思 いが 伝わ って くる
︒こ の詩
︑千 二百 年以 上も 前に 創ら れた の に︑ 国も 時代 も違 うの に読 者の 心に 響い てく る︒ 今の 君ら に 杜甫 の心
︑伝 わっ たと した ら︑ この 詩は
﹁文 学的 永遠 性﹂
︵板 書︶ を獲 得し てい る︒ じゃ あ︑ 終わ るわ な︒ 次に
︑時 代 を少 し遡 るが
︑杜 甫の 社会 詩の 名作
︑﹁ 兵車 行﹂ の詩 を読 ん でい く︒ 今年 の君 らの 授業 態度
︑積 極的 で嬉 しい
︒ホ ンマ
︑ わし
︑少 しや る気 が出 てき た⁝
⁝︒ やる 気︑ 出さ せて くれ て︑ あり がと う︒
︵笑 い︶
︒こ れか らも
︑よ ろし くな
︑じ ゃあ
︑終
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三八
〇
わり ます
︒ 三 生徒 の受 けと めた もの
「石 壕吏
﹂と 次の 教材
﹁兵 車行
﹂の 授業 後︑ いず れか を選 び読 後 感を 書く こと を課 題と した
︒読 後感 を書 く場 合に
︑﹁ でき るだ け作 品の 語句 を用 いて
︑具 体的 に書 くこ と﹂
︑﹁ 用い た作 品の 中の 語句 に はカ ギ括 弧を 付け るこ と﹂ の二 点を 指示 した
︒ この 指示 は︑
①読 後感 を書 くに あた って
﹁作 品﹂ を読 み返 すこ と
︵授 業を 振り 返る こと
︶︑
②内 容が 抽象 的観 念的 にな らな いこ と︑
③ 紋切 り型 の︑ いわ ゆる
﹁よ い子 作文
﹂で はな く個 性的 に書 くこ とを 期待 した ため であ った
︒プ リン トし て配 布し た﹁ 石壕 吏﹂ の読 後感 の一 部を 以下 紹介 する
︒ 私は
︑三 つの すご いこ とを 感じ た︒ 何と いっ ても
︑老 婦は す ごい
︑の 一言 につ きる
︒こ の一 家を 不幸 のど ん底 にし た﹁ 徴兵
﹂︑
﹁二 男は 新た に戦 死せ り﹂ と︑ そし て﹁ 死せ る者 は長 へに 已む
﹂と 役人 に向 かっ て自 分の 思っ てる こと
︑辛 いこ とを 堂々 と言 って いる
︒
﹁怒 る﹂ 役人 に負 けな いで
︑泣 きな がら でも 言っ てい る︒ この 点が すご い︒ さら にす ごい のは
︑﹁ 孫﹂ や﹁ その 母﹂ を守 るた めに
︑戦 争の 激し いと ころ へ︑
﹁吏 に従 ひて 夜帰 かん
﹂と 朝飯 づく り︑
﹁晨 炊﹂ に役 立つ から と申 し出 たこ とだ
︒三 つ目 は︑ この 宿で 見聞 きし
た出 来事 を︑ 静か に描 写し てい る杜 甫も すご い︒ 以上 が︑ 私の 感じ た三 つの すご いこ とだ
︒こ の一 家は この あと
︑ どう なる のか
︒老 婦が 無事 に孫 のと ころ へ戻 って くる こと を祈 りた い︒ まだ 戦死 して いな い﹁ 一男
﹂も
⁝⁝
︒︵ Km さん
︶︒ 老婦 が恐 い役 人に 応対 し︑ 家の 中に は︑ 戦い に行 ける 者は だ れも いな い︑ つま り︑
﹁室 中に 更に 人無 く 惟だ 乳下 の孫 ある のみ
﹂ と役 人に 言っ たの は︑ きっ と︑ 息子 三人 も戦 争に 連れ て行 った のに
︑ 乳離 れし てい ない
﹁孫
﹂︑ 赤ち ゃん まで も連 れて 行く のか
︑と いう 怒り の気 持ち を込 めた もの だと 思う
︒二 人の 子供 はす でに 戦死 させ られ てい るし
︑老 婦は 無茶 苦茶 悲し く︑ また 無茶 苦茶 怒っ てい ると 思う
︒﹁ 存す る者 は且 く生 を偸 む﹂ とい うの は︑ 手紙
︵﹁ 書﹂
︶を 送 って きた
﹁一 男﹂ だけ では なく
︑老 婦や 孫や 孫の 母親 や最 後に 見送 りに 出た
﹁老 翁﹂
︑全 部の 事だ と思 う︒ この 宿の 全員 が︑ 今生 きて いて も︑ この あと どう なる かわ から ない
︒﹁ 且く 生を 偸む
﹂の 言葉 に︑ なん か︑ 悲し い響 きが ある
︒役 人は
︑ま た逃 げた
﹁老 翁﹂ をし つっ こく 捉ま えに くる のか
⁝⁝
︒︵ Ni さん
︶︒ 自分 より
﹁孫
﹂に は﹁ 母﹂ の方 が必 要だ と考 え︑ 自分 から 進 んで
︑﹁ 請ふ 吏に 従ひ て夜 帰か ん﹂ と言 った 老婆 は︑ 本当 に孫 のこ とを 大事 に思 って いる と思 う︒ 生き 残っ てい る﹁ 一男
﹂も
︑無 事帰 って こら れる かわ から ない
︒﹁ 孫﹂ は男 の子 だと 思う
︒そ うす ると
︑
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三八 一
この 家に は︑
﹁老 翁﹂ 以外 には
︑男 の子 はも う孫 しか 残っ てい ない
︒ だか ら︑
﹁老 婦﹂ は︑ この 家の 将来 を考 え︑ 大き くな った
﹁孫
﹂に この 家を 継い でほ しい と考 えた のだ と思 う︒ それ で︑ 自分 は﹁ 力衰 ふと 雖も
﹂︑ 朝飯 ぐら いは つく れる から と︑ 兵士 に﹁ 晨炊
﹂ぐ らい はつ くれ ると 申し 出た んだ と思 う︒
﹁孫
﹂を 守る こと は︑ この 家を 守る こと だと 思い
︑役 人に
﹁急 に﹂ 行こ うと 言っ たの だと 思う
︒怒 って る役 人に 家の 中に 入ら れて
︑﹁ 孫﹂ や﹁ 母﹂ に八 つ当 たり され ない よう に﹁ 急に
﹂戦 場の
﹁河 陽﹂ に行 くこ とを 申し 出た んだ と思 う︒
︵K aく ん︶
︒ 激し い戦 争が 行わ れて いる 場所
︑﹁ 河陽
﹂へ
︑﹁ 老婦
﹂は
︑何 で︑ 自分 から 進ん で行 こう とし たの か︒ 誰だ って 自分 の命 が大 事な のだ から
︑な ぜ︑ そん な所 へ自 分か ら行 こう 言い 出し たの か︒ 僕は
︑ 最初 不思 議に 思っ てい た︒ 授業 の中 で︑ 役人 が﹁ 老翁
﹂を 捉ま えに 来て
︑﹁ 老翁
﹂が 逃げ てし まっ たん だか ら︑ いく ら役 人が 怒っ ても その うち 諦め て帰 って 行く と思 って いた
︒そ れは 甘か った
︒役 人は
︑ 手ぶ らで 帰れ ない のだ
︒だ れか を連 れて 行か なけ れば
︑下 っぱ 役人 は上 司に 怒ら れる のだ
︒三 人の 息子 を連 れて 行か れ︑ 今度 は﹁ 老 翁﹂ を⁝
⁝︒ しか し︑
﹁室 中﹂ には 兵隊 にな れる よう な﹁ 人﹂ はい ない
︒﹁ 乳下 の孫
﹂と
﹁母
﹂し かい ない
︒﹁ 孫﹂ や﹁ 母﹂ を戦 場へ 行 かせ るこ とは でき ない
︒諦 めな い﹁ 吏﹂ に向 かっ て自 分が 行く と言
うし かな かっ たの だ︒ 年取 って
﹁力
﹂は ない けど
︑﹁ 晨吹
﹂の 仕事 ぐら いで きる から と⁝
⁝︒ 残さ れた
﹁孫
﹂と
﹁母
﹂を 思っ て︑ しか たな く︑ 戦場 へ行 くこ とを 申し 出た のだ
︒み んな の意 見を 聞き
︑謎 解き の授 業の 中で
︑自 分の 甘さ と考 えの 浅さ を知 った
︒今 年の 授業 は︑ かな り深 い︒
︵H aく ん︶
︒
"
と% の﹁ 謎﹂ が解 けた とき
︑こ の﹁ 老嫗
﹂の 思い がよ く分 かり まし た︒ 本当 は︑ おば あさ んは
︑実 家に 戻ら ずに いて くれ るお 嫁さ んと
﹁孫
﹂の 世話 をし なが ら︑ そば にい たか った に違 いな いと 思い まし た︒ 息子 さん 三人 も戦 争に 連れ て行 かれ
︑そ のう ち︑ 二人 がす でに 戦死 して いま す︒ 残り の息 子さ んも どう なる か分 かり ませ ん︒
﹁且 く生 を偸 む﹂ こと がで きる かも しれ ませ んが
︑命 の保 証は あり ませ ん︒ 三人 とも 戦死 して しま うか もし れま せん
︒お ばあ さん に残 され てい るの は︑
﹁孫
﹂だ けな ので す︒ おば あさ んは
︑こ のお 孫さ んだ けは 何と して も守 りた かっ たの でし ょう
︒そ のた めに
﹁河 陽﹂ へ自 分か ら行 くと いう 悲し い申 し出 をし なけ れば なら なか った ので す︒ 役人 が家 の中 に入 らぬ よう にし て︑ この 宿の 唯一 の子 供
︵孫
︶を 守る ため に﹁ 急に
﹂行 きま しょ うと 申し 出た のだ と思 いま す︒
﹁孫
﹂と 離れ るこ とは
︑お ばあ さん にと って は﹁ 断腸 の思 い﹂ だっ たと 思い ます
︒強 くて 優し いお ばあ さん は︑ 必ず
︑お 孫さ んの 待っ てい る家 に戻 って くる と思 いま す
「石 壕吏
﹂︵ 杜甫
︶の 実践 報告
三八 二