九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
畜産製品の品質因子としての香気ならびに異臭に関 する研究
白土, 英樹
Graduate School of Agriculture, Kyushu University
https://doi.org/10.11501/3075466
出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(農学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
第4節 機器分析による脱脂粉乳の客観的におい評価法の設定
食品の香りに主眼をおいて品質評価あるいは品質管理を客観的に行うため には、 適切な 分析法の開発および評価基準の設定が必須となる。 著者は前節 において、 乳製品原料とし ての外国産脱脂粉乳に時折認められ る異臭に関し て、 テトラデカナール、ß-ヨノンおよ びベンゾチアゾールがその原因物質で あることを明らかにした。 しかしなが ら、 これらの 異臭成分は非常に濃度が 低く、 さらに他成分とのピークの分離が不十分であったことから、 非選択的 応答を与える水素炎イオン化検出器、(FID)を用いたガスクロマトグラフ 法に より異臭成分を直接定量することは困難であった。 現在この異臭のチェック は、 受け入れ時に脱脂粉乳のにおいを 官能的に評価 することにより行われて いるが、 評価する人(パネリスト)によってその評価基準が まちま ちであり、
評価結果に客観性を求め難いことから 、 異臭の客観的な評価法の設定が望ま れている。
本節では、 異臭成分の簡易定量法を 設定するとともに、 官能的な異臭の強 さと異臭成分 の濃度との関係を明らかにした。 すなわち、 ガス クロマトグラ フー質量分析計によるSingle ion moni toring法を設定するにあたり、 モニター するフラグメントイオンの質量数、 定 量性、 再現性を検討した。 続いて製造 ロットの異なる数種の脱脂 粉乳を用い 、 そのにおい を官能的に評価するとと もに、 異臭成分の濃度を定量し、 官能 的な異臭の強さと異臭成分の濃度との
関係を明らかにすることにより、 異臭の客観的評価法の構築を試みた。
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第1項 実験材料
脱脂粉乳:Table 3・14に示した、 正常な風味を持つ5種の国産脱脂粉乳およ び官能的に異臭が認められ た7種の外国産脱脂粉乳 を明治乳業株式会社より
入手し、 用い た。 これら の脱脂粉乳はいずれも製造ロットを異にするもので あった。 以後それぞれの脱脂粉乳をTable 3・14 に示したサンプル番号(正常品
:n1...n5,異常品:01...07)で、略記する。
試薬:市販特級ナフタレン(石津薬品製)、 テトラデカナール(Aldrich社製)、
βヨノン、 ベンゾチアゾール(東京化成工業製)をそ のまま用いた。
第2項 機器分析
異臭成分の定量:本節、 第3項および第4項の方法により調製された標準 溶液あるいは香気濃縮物lμlをマイクロシリンジで採取しGC-MSに供した。
GC-MSは以下の条件で、行った。
GCスフ。リットよじ; 1:10 イオン加速電圧; 48.2V スキャン速度; 4scan/sec
その他の条件は第2節、 第2項の香気成分の同定の条件 にほぼ準じた。 なお、
検量線の作成(第3項)と異臭成分の定量(第4項)においては質量分析計の操作 は全く同一条件で行った。
第3項 Single ion monitoring法による異臭成分の定量
脱脂粉乳中に存在する異臭成分は極めて微量であ り、 ピークの分離が不完 全であるため、 FIDを検出器と して用いるGCでは多量の香気濃縮物を調製し、
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Table 3・14 Used skim milk powder.
Sample Country (Factory) Rot number
W J W J W J W J ザ
0 0 0 0 刀
ααααα m'
FU Fhhhb
M
AABBC
AU Di FUπ '』''e m m FR P、M IM-2345 m
n n n n
n n J N
KP-93-01-02 KP-93-02-23 KY-93-04-19 KY-93-04-25 KY-93-04-23
。五flavored skim mi必powder
0
1 Australia 14020-242052 0897
0
2 New zealand
677うH C09 C54990
3 New zealand 6775 H C05 C5489
0
4 New zealand
677うH C05 Cう4950
5 New zealand
6775 H C05 Cうう010
6 New zealand
677うH C09 C54970
7 New zealand
677うH C09 F8546- 215 -
分析に先だって何らかの分画操作を行う必要があった。 そこで、これら異臭 成分の簡易定量法の設定を目的として、Sing le ion monitoring法(以後SIM法と 略記)による異臭成分の定量を検討した。
先ず、 第3節、 第4項で得られた異常品の香気濃 縮物をスキャンモードに よるGC-MS分析に供し、得られ たマスクロマトグラムから異臭成分の濃度を 概算したところ、テトラデカナールは約40ppb、ß-ヨノンは約0.7ppb、ベンゾ チアゾールは約2ppbであった。 そこで異臭成分定量 用の検量線は、エーテル 溶液の濃縮率(約400倍濃縮)を考慮して、 Table 3-15 に示 した標準溶液を調製
し、作成した。 なお、 内標準はクロマトグラム上で異臭成分の近傍に出現す ること、なら び に比較的高質量部に強いフラグメントピークが 得られる必要 があることからナフタレンを用い、脱脂粉乳に対し10ppb添加することとした。
Fig.3-11にナフタレン、テトラデカナール、ß-ヨノンおよびベンゾチアゾール の標準マススペクトルを示す。 バックグラウンドのノイズ、異臭成分の前後 に溶出してくる成分のマス スペクトルおよび異臭成 分の各フラグメントピー クの強度を考慮し、種々検討した結果、 ナフタレンはm/z値128、テトラデカ ナールは82 、ß-ヨノンは177、ベンゾチアゾールは108および135のフラグメン トイオンをモニターするのが適当であると判断した。 Fig.3-12に得られた検量 線を示す。 なお、 図中の濃度はエーテル溶液の濃縮 率 を考慮し、 換算した値 であり、 検量 線は最小二乗法により求めた。 図から明らかなように、テトラ デカナールは1.6,...5 Oppb、ß- ヨノンは 0. 02""0.75p pb 、ベンゾチアゾールは 0.08,... 2. 5ppbの範囲で、濃度とピーク面積比との問に相関係数0.99 以上の良好な 直線関係が得られた。 以上のように、新しく設定した方法 で、 実際に脱脂粉
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Table 3-15 Composition of the standard solutions.
Content [ppb]
Standard
solutiona tetradecanal ß-ionone benzothiazol
Actual valueb
20000 300 1000
2 10000
lうO う003
う00075
2うO4 2500 37.5 125
う
1250 18.8 62.5
6 625 9.37 31.3
Coγγected value (1/400)C
う0.0 0.7う
2.50
2 25.0 0.38 1.25
3
12.う0.19 0.63
4 6.2う 0.09 0.31
う 3.13
0.0う 0.166 1.56 0.02 0.08
a Four ppm of naphthalene was added to all solutions as a internal standard (corrected value; 10ppb).
b Contents actually added to the solutions.
C
Contents corrected from degree of concentration of diethyl ether of the odor extract.
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「 naphthalene
102
40 60 80 l∞ 120
tetradecanal
82
11
?M
Lun司 i
毛10 ω 80 l∞ 120 140 160 180 2∞tど吋d l
I 1ß-ionone
177
43
40 ω 80 l∞ 120 140 160 180
benzothiazole
108 69
40 ω ω l∞ 120
M/Z value
Fig.3・11 Mass spectra of contributors to oßιf1avor.
- 218 -
,111
135
0.5
tetradecana1
0.4
1-
R= 0.9970.3
0.2
0.1
。
。 10 20 30 40 うO
0.03
ß-ionone
R=0.995
・ ゐ0.E』.d 可‘ 0.02
C cω L 可可
4
, C
M tr t
4 J
0.01
。
。 0.2 0.4 0.6 0.8
0.2
0.1
benzothiazole
R=0.994
ハUハU
2 3
Content
[ppbJ
Fig.3-12 Calibration curves for determination of contributors to 0丘二f1avor by SIM.
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乳中の異臭成分を定量した。 すなわち、 脱脂粉乳300gから 得ら れた香気濃縮 物をそのままSIM法に供したところ、 分離が不完全な他の成分あるいはバッ クグラウンドのノイズによる妨害もなく、 充分な感度が得られた。 また、 5 回繰り返したときの相対標準偏差は4.8-5.7%であったことから、 本法により 脱脂粉乳中の異臭が比較的簡便かつ正確に測定できることが明らかとなった。
第4項 脱脂粉乳中の異臭成分の定量
第3項で設定したSIM法により製造ロットの異なる12種の脱脂粉乳(Table 3- 14)中の異臭成分を以下に述べる方法により定量した。
先ず最初に、 第2節、 第3項に準じ、 SDE法により各脱脂粉乳の香気濃縮 物を調製した。 すなわち、 脱脂粉乳300gに脱イオン水900mlを加え、 ハイス ピードブレンダーで均質化した後、 ジエチルエーテル約80mlを用い、 600C、
150mmHg下で1時間蒸留 ・抽出を行った。 得られた抽出液に内標準(0.05%
naphthalene,仰のを加え、 無水硫酸ナトリウムで脱水後、 約0.2mlまで濃縮し、
SIM法の試料とした。 Table 3-16 に各脱脂粉乳中の異臭成分の定量値を示す。
なお、 01のß-ヨノン含量は検量線の範囲を超えていたため、 外挿して算出し た。 図より明らかなように、 正常品と異常品とで異 臭成分濃度に有意な差が 認 め ら れ た 。 す な わ ち、 テトラデカナールの 正 常 品 中 で の 濃 度 は 17.0-22.Oppbであるのに対し、 異常品中では29.6-49.1ppbで、あり両者の聞には 平均値 で2倍以上の差があっ た。 ß-ヨノンについ ても 、 正常 品 中 では 0.11-0.19ppbの範囲にあったのに対し、 異常品中では0.41-l. 12と2倍以上、
平均値では5倍近い濃度差があることが 明らかとな った。 また、 これらの化 合物は正常品開ではその濃度にさほど大きな違いが認められなかったのに対
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Table 3-16 Comparison of contents of contributors to off-f1avor in various skim milk powder.
Samplea
tetradecanal
Normal skim milk powder
n 1
18.うn2 22.0
n 3 20.1
n 4 21.2
nう
17.0
Average 19.8
Off-_μ:voγed skim milk poωdeγ
01 36.9
02 49.1
03 47.4
04 40.9
。ぅ 40.う
06 29.6
07 37.6
Average 40.3
a Those in Table 3-14.
一一
Content [ppb]
ß-ionone
0.19 0.14 0.11 0.11 0.11 0.13
1.12
0.6う0.63 0.43 0.42 0.41 0.70 0.62
benzothiazol
0.23 0.17 0.45
o.う8 o.う80.40
1.22 0.98
0.8う0.88 0.47 0.49 0.69 0.80
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し、 異常品においては、 濃度差は極めて大であった。 一方、 ベンゾチアゾー ルに関しては正常品はO.17-0.58 ppb、 異常品は 0.47-1.22ppbの範囲にあり、 両 者の濃度範囲は一部重複していたが、 この範囲にあるn4,n5,05および、06を除け ばいずれも異常品の方がベンゾチアゾール濃度が高く、 平均値ではそ れぞれ 0.40ppbおよびO.8Oppbと2倍の差が認められた。
第5項 脱脂粉乳のにおいに関する官能評価
第4項において製造ロットの異なる種々の脱脂粉乳中の異臭成分を定量し た結果、 テトラデカナールおよびß-ヨノン の濃度は正常品群と異常品群とで 有意に異なることを確認した。 そこで 、 官能的な異臭の強さとこれら異臭成 分の濃度との関係を検討した。 第3節の結果より、 テトラデカナールおよび βヨノンはにおいが強く、 最も重要な異臭成分 と考えられたことから、 これ らの濃度を基準 として各脱脂粉乳を濃度)11買に並べ、 Fig.3・13に示した。 なお、
直線上の数値はテトラデカナールおよびβヨノン含量の最も低いn5に対する 相対濃度であ る。 図より明らかなように、 いずれの化合物の濃度を基準にし てもほぼ同様の傾向が得られたため、 量的に多く、 よりにおい が強いテトラ デカナール濃度を基準にしてTa ble 3-17に示す6群に分類した。 これら6群の 中からn5 をコントロールとして5種の脱脂粉乳、 すなわちn2,06,07,04および 02の異臭の強さを3点識別法126)により官能的に評価した。 以下に3点識別法
の概要を示す。
3点識別法(Triangle difference test) ;試料 AとBが官能的に識別できるか否かを 知りたい とき、 AとBをAABのょっに3個を一組にして提示し、 異なったl個 を選ばせる方法である。 このとき、 同じ2個の試料を偶数試料、 異なった一
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Relative content of tetradecanal (nう=1.0)
2 3
I I I I I I I I I
I
I I I 1 L _-' I I Inう n1 n3 n2 n4
n3 04
06
n4 n1 0う 02
01 05
07 04 03 02
nうn2 06 03 07 01
III I I I II II I II I I III I II
1 2 3 4 う 6 7
8 910 11
Relative content of ß-ionone (nう=1.0)
Fig.3-13 Relative content of tetradecanal and ß-ionone.
『咽.
Table 3・17 Grouping of the skim milk powder.
G
ro
up Samplesa
J4 n
う 3
7 5 3 n n
G O O -- 今ん /0 1i 4A フ
n n o G O O
-i
ヴん 弐J
J4戸、ノ バU
a These in Table 3-14.
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個の試料を奇数謝斗と呼ぶ。ここで、 パネルはAとBは区別できないという帰 無仮説をたてると、 仮説が正しいとす れば奇数試料を偶然に正しく指摘する
確率はpは1/3であり、 誤る確率qは2/3である。仮説が正しいとしたときn人の うちG人以上が正答を得る確率は、
P会x!(ム)!削(ザィ
として求められる。ここで、 P豆αならば仮 説を捨て、 パネルはAとBを識別 できたと判定し、 P>αならば仮説どおり、 AとBは識別できないと判定する。
一謝斗は14%(w/v)になるように脱 脂粉乳を脱イオン水で溶解したものを、 に おいを嘆ぎやすいようにお。Cに加温した後、 各パネリストに与えた。評価は コントロール を偶数誌料、 各比較試料を奇数試料とし、 これらのにおいを嘆 いで、 異なる ものを指摘させた。 また、 パネルとしては九州大学農学部食品
分析学教室の教室員13名(男性7名、 女性6名)を用いた。結果をFig.3-14に示 す。なお、 図中の棒グラフは正答を得たパネル数を 、 折れ線グラフは偶然正 答を得る確率 を示している 。 図より明らかなように 、 テトラデカナールおよ
びß-ヨノン含量の差が最も小さい、 コントロールとn2は危険率5%で、区別でき なかったのに対し、 これ以外の4種の 脱脂粉乳はいずれもコントロールと有 意に識別されたことから、 正常品群と異常品群のにおいは官能的に異なると 判断された。 しかしながら、 正常品群 と異常品群の間には官能的な違いが認 められたものの、 正答を得たパネ ル数とテトラデカナー ルあるいはß-ヨノン
の濃度(Table 3-16) との間には相関関係が認められなかったことか ら、 パネル は異臭以外の香気特性の違い(第3項)に反応したとも考えられた。そこで、
異臭成分以外の香気組成の差を小さくするため正常品と異常品を一定の割合
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N umbers of correct answer
日os
Probability (P value)
v、
ド...
o -00
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町一mw・ぃ・]{ム∞内ロωoq2tg己O口。町〈色。己的的在日ヨ己「℃odそハ日向円ケ)可
同町広
口∞一向仏同町内円内一口nm門内的同日・
NNa
で混合したものを比較試料として用い、 同様に3点識別法によ る官能評価を
行った。 すなわち、 比較試料は、 正常品群、 異常品 群の 中でテトラデカナー ルおよびß-ヨノン含量が最も低いn5 と06をFig.3 -15の(A)に示す割合で混合し た試料A...Dおよび06を用い、 コントロールとしてはn5を用いた。 なお、 図 中 の(B)および(C)はこれ らの 比較試料ならびに コントロール中のテトラデカナー ルおよびβヨノンの濃度を示してい る。 また、 パネルは九州大学農学部食品 分析学教 室の教室員12名(男性7名、 女性5名)を用いた。 官能評価の結果を Fig.3-16に示す。 図より明らかなように、 テトラデカ ナールおよびβヨノン含 量が高くなるにつれて正答を得たパネル数も増加したことから、 パネルは異 臭の強さを基準としてコントロールと各比較試料を識別したと考えることが できた。 得られたデータを直接法により検定した結果、 コントロールと 混合 試料A-Cは いずれも危険率5%で識別できなかったのに対し、 Dおよび、06は コ ントロールと有意に識別できることが明らかと なった。
第6項 考察
極めて微量、 かつピークの分離が不完全である脱脂粉乳の異 臭成分の簡易 定量法を設定するため、 SIM法につ い て種々検討した。 その結果、 本法 は以 下の特徴を有していたI感度が高く、 脱脂粉乳300gをSDEj法により処理して 得られた香気濃縮物で定量が可能であった II異臭成分の前後に 不完全分離 ピークとして溶出してくる成分の妨害が全 くなく、 香気濃縮物 をあらかじめ 分画する必要がない .皿広範囲にわたり異臭成分の濃度 と内標準に対するピー ク面積比との間に良好な直線関係が得られた. IV再現性に優れており、 いず れの異臭成分に対しても5回繰り返し測定の相対標準偏差は5.7%以内で、あっ
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10-3
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10
う
』ω注凶55ω口OU3225コZ
。 10-う
D 06 B C
A
Sample
Sensory evaluation of various skim milk powder by triangle difference test II.
229
Fig.3・16
た。従って、 本法により脱脂粉乳中の異臭成分を比較的簡便に定量すること ができる。
製造ロットの異なる正常品5種、 異常品7種の脱脂粉乳について異臭成分 をSIM法に より定量 したところ、 テトラデカナール およびß-ヨノン濃度は正 常品群と異常品群とで有意に異なる(Table 3-16)こと、 およびこれらの濃度は 正常品群では各ロット聞にそれほど大きな差は認められなかったが、 異常品 群では大きく 異なっていたことからも、 これらの成分が脱脂粉乳の異臭の原 因成分であることを強く示唆するものである。 ベンゾチアゾールに関しては 、 異常品よりその濃度が高い正常品があったものの、 平均値は正常品群と異常 品群とで大き く異なっていた。 また、 ベンゾチアゾ ールはテト ラデカナール およびβヨノンに比べ、 においがやや弱いことから、 この化合物が直接的に 異臭の原因 となるのではなく、 テ トラデカナ ールあるいはß-ヨノンがある程 度存在する場合に、 異臭の発現に寄与すると推察した。
テトラデカナールお よびß-ヨノンを最も重要な異臭成分と考え、 正常品と 異常品を一定の割合で混合し、 これらの濃度を段階的に変えた試料を調製し、
これを用いて3点識別法による官能評価を行った。 その結果、 テトラデカナー ルおよびß-ヨノン含量が高 くなるにつれて正答を得たパネル数も増加した (Fig.3・15および3-16)ことから、 異臭はテトラデカナールおよびß-ヨノンの濃 度に比例して 強く感じられることが明らかとなった。 また、 有意性の検定 の 結果、 テトラデカナールおよびß-ヨノン含量がそれぞれ24.6ppbおよび、0.29ppb である 混合試 料はコントロールと区別できないのに対し、 27.1pp bおよび 0.35ppb含むものは有意に識別できたこと、 ならびにこのときの正答を得たパ
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ネル数から、 これらの化合物がそれぞれ 25ppbおよび、0.3ppb以上存在場合に異 臭が認められると判断した。 以上 の結果から、 テトラデカナールおよびβヨ ノンをパラメータとして脱脂粉乳の品質をSIM法により客観的に評価し得 る ことカぎ明らかとなった。
第7項 小括
脱脂粉乳中に微量存在する異臭成分、 すなわちテトラデカナール、ß-ヨノ ンおよびべン ゾチアゾールの定量と異 臭に直接関与するテトラデカナールお よびß-ヨノンの普遍性、 なら びに官能的な異臭の強さとこれら 2成分の濃度 との関係を明らかにした。
脱脂粉乳の異臭成分をSDE法により濃縮し、 そ のままSIM法により定量す る方法を新たに設定した。
製造ロットの異なる種々の脱脂粉乳中の異臭成分 を定量した結果、 テトラ デカナールおよびß-ヨノンの濃度は正常品群はそれぞれ17.0�22. Opp bおよび 0.11 �0.19p pb で あった のに対し、 異常 品 群では29 .6�4 9 .1 p pb およ び 0.41 � 1.12 ppbと大きく異なっていた。 ベンゾチアゾールに 関しでも、 異常品 より濃度が高い 正常品があったものの、 平均値は正 常品群と異常品群でそれ ぞれ0.4 0ppbおよび0.80ppbで、あり、 両者の間には2倍の差があった。
3点識別法による官能評価の結果、 正解を得たパネル数、 識別の有意性お よび各脱脂粉乳中のテトラデカナールおよびβヨノンの濃度から、 それぞれ 25ppbおよび、0.3ppb以上存在すると異臭が認められると判断された。
以上のようにして、 機器分析による脱脂粉乳のにおいの客観 的評価法およ び評価基準を設定し得た。
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第4章 総括
食品の品質に対する消費者の要求は、従来より最重要視されてき た栄養的 価値、すなわち一次機能から色・味・ 香り・感触を含めた “お いしさ" すな わち二次機能へと移行しており、とりわけ微量ながら食品の品質に重大な影 響を与える香りは、食品選択の第一基準としてその 重要性を一層増しつつあ る。 このように、食品の香りに主眼を置いた品質評価および品質管理の重要 性は万人が認めるところであり、高品質食品の製造・供給上の要務であるが、
これまでの食 品香気に関する研究は、特徴香気成分の検索と同定に終始し、
香りを食品の 品質因子として捕らえ、その動態を明らかにした研究例は極め て少ない。 その理由としては、I ガスクロマトグラフ(水素炎イオン化検出器 の検出感度が孟lppbで、あるのに対し、においに対する関値は注10-7ppbと見積 もられ、感度的に問題とならない.II食品の香りは、それを構成する揮発性成 分の種類とその量比によって左右されるが、一般に一つの食品から検出され る揮発性成分 は数十から数百におよび、しかも その濃度は極めて小さく、総 濃度でも100ppm程度で、ある. III 関値が揮発性成分の種類によって大幅に異な る. IV香りの評価が多くの場合、熟練した専門家によってのみ行われ、得ら れる結果に普遍性を求め難い.V香りを表現する用語が整備されていない、し かも業種、企業ごとに使用されている用語が異なる:などが挙げられる。
戦後急速に進展した生活習慣の洋風化に伴い食生活パターンも変貌を遂げ、
畜肉や牛乳などの畜産食品が大量に消費されるようになった。 これら畜産食 品の中で、食肉加工品の生産量は、戦後ほぽ一貫し て安定的な伸びを示して きた)。近年の生産量の急よ普の要因として、 “手造りハム、ソーセージ" のブー
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ム、 また生ハムの製造許可等、 畜肉加 工メーカーに大きな活性化を与えたこ とが挙げられる。 順調な伸びを示す食肉加工品の中でも、 現在わが国で特に 晴好されているのはスパイ スと嬬煙なら びに調味料 により底U未づけされた非 発酵荒挽きソーセージである。
安全 で高品 質な食品を供給していくための、 目安としての賞味期限は種々 の要因に基づいて決定され ているが 、 “おいしさ" の重要な判断基準である 風味との関連づけは官能検査の結果等から経験的に行われているにすぎず、
貯蔵・流通段 階での香気劣 化の解明そ して、 それに 基づいた賞味期限の明 確 な設定基準の確立が切望されている。 しかしながら 、 わが国において多量に 消費されている非発酵ソーセージに関して、 香りを品質因子としてとらえ、
貯蔵・流通段階における香気の劣化を明らかにした研究例はいうまでもなく、
本来有する香気成分の同定および定量に関する報告すら皆無である。
一方、 乳および乳製品 の市場環境を概観すると 、 1988 年のGATT裁定案が 一括受け入れられたのを受 けて、 1989年にはプロセスチーズの輸入が自由化 され、 すでに1952年に自由化されていたナチュラルチーズと合わせて、 チー ズの完全自由化が達成された。 さら に1990年にはアイスクリーム、 フローズ ンヨーグルトおよびホイップクリームが自由化されており、 急激な国際化が 進行している。 なお、 数年後には乳製品の完全自由化の可能性が強い。 この ような状況に至って、 外国 産製品の輸入 量のさらなる増加が予想、されるが 、 原料価格の安い外国産製品 に価格面で対抗すること は困難である。 従って、
わが国の乳業メー カーが生き残るため には、 品質面での優位性の確保すなわ ち、 安全 でより高品質な乳製品の製造が急務となっている。
- 233 -
食品の香りは食品選択の第一基準としてその重要性を増しつつあることは 先にも述べたが、 乳製品においても、 香り立ちこそ高くないものの、 暖かみ のある穏やかな芳香は安全性と健全性を強くイメージさせる最も重要な品質 因子となっている。 このことは、 乳製品のにおいが極微量の異臭成分の混入 あるいは生成によって、 または香気バランスの僅かな違いによって容易に劣 化することを示唆するものである。 現に、 大量に輸入されている加工用原料 としての外国産脱脂粉乳に時折異臭が認められ、 これが外国産脱脂粉乳の使 用に際して重大な障害となっている。
これまで牛乳の異臭成分に関する研究は、 加熱臭や乳脂の酸化臭に関して 数多く行われているが、 これらの研究はいずれも原 因物質のスクリーニング に終始しているのが現状である。 一方、 脱脂粉乳の異臭に関しては、 現在ま で日光照射や長期にわたる貯蔵など過酷な外的要因に起因する異臭の生成が 報告されている程度であり、 流通している製品中の異臭はもとより、 脱脂粉 乳が本来有する香気成分を系統的に研究した報告も皆無である。 しかしなが ら、 僅かな香気組成の変化によって容易に香気の劣化が惹起される乳製品に あっては、 その原料である脱脂粉乳中の異臭の解明及びその客観的評価法の 設定は、 低価格の外国産乳製品に対抗しうる高品質乳製品の製造、 延いては 乳製品の消費拡大の上から非常に重要な責務である。
このような現状に鑑み、 本研究では非発酵ソーセージおよび脱脂粉乳に関 して、 品質評価の目的に適った香気成分濃縮法を設定し、 香気成分の同定お よび定量を行うとともに、 非発酵ソーセージの貯蔵 ・流通段階で発生する香 気の劣化一異臭(貯蔵臭)生成の原因究明ならびに、 外国産脱脂粉乳に時折認
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められる異臭の原因成分を追求し、 異 臭の強さとそ れらの原因物質との量的 関係について詳細に検討した。 すなわち本研究は、 高品質畜産製品の供給を 目的として、 その重要性は認められていたにもかかわらず、 技術的困難さか ら、 これまで行われ得なかった香りの客観的評価を 行ったものである。 本研 究論文の概要を要約すると以下のごとくとなる。
ソーセージの香りとその劣化に関する研究 (第2章)
1 . ソーセージ中の香気成分の濃縮法の設定 ならびに同定お よび定量
品質評価を目的とした非発酵ソーセー ジ中の香気成分濃縮法を設定するた め、 減圧連続蒸留抽出法(SDEj法)と減圧水 蒸気蒸留一カラム濃縮法を用い、
それらの回収効率、 再現性 、 香気濃縮 物のにお い特性について 比較検討し、
その特性を明ら かにした。 続いて 、 ガスクロマトグラフー質量分析法(GC
MS)による同定、 なら びに内標準法による定量 を行い、 非発酵ソーセージ 中 の香気成分組成を明らかにした。
減圧水蒸気蒸留一カラム濃縮法 はSDE法に比べ、 中・高沸点成分の回収に 優れており、 任意に選んだ12個のピークの平均相対標準偏差(n=7)は4.2%であ り、 SDE;法の290/0と比較すると再現性は6.9倍向上しており 、 しかも全て の成 分に対しでほぼ一定の再現 性度が得ら れた。 また、 得られた香 気濃縮物のに おいは用いたソーセージの香気特性を忠実に反映したものであった。従って、
減圧水蒸気蒸留一カラム濃 縮法は非発酵ソーセージ の品質評価の目的に適っ た香気濃縮法であると判定 した。 本法 により、 非発酵ソーセージの香気成分 として108個の成分を定量し、 その中で炭化水素類29種、 アルデヒド類7種、
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ケトン類15種、 アルコール類10種、 有機酸類6種、 エステル類9種、 フ ラン 類5種、 フェノール類14種、 含硫化合物3種、 その他の化合物3種の計101成 分をマススペ クトルと保持指標との一致により同定した。この中で、 テルペ ン類は香辛料、 それ以外の含酸素化合物の多くは燥液に由来すると推察した。
一方、 加熱調理肉の特徴香 気成分とさ れるチアゾール類やピラ ジン類などの 含硫あるいは 含窒素化合物 はほとんど検出されず、 非発酵ソーセージの香り は主に香辛料 や燥液に由来する香気成分によって特徴づけられ ていることが 明らかとなった。
2. 貯蔵中におけるソーセージ中の香気成分の消長 ならびに貯蔵臭成分の同定
非発酵ソーセージを100Cおよび300Cで貯蔵し、 減圧水蒸気蒸留一カラム濃 縮法により貯 蔵中の香気成分の消長 を 明らか にするととも に、 香気濃縮物 を 細分画し、 貯蔵臭の原因成分を同定した。
3-メチルブタナール、 2-フルフラール、ヂカリオフイレン、 およびマルトー ルの急激な減少と、 2・メチルチオフェンあるいは2-メチル-2-ブテナール、 ミ ルセン、 αーテルピネン、βテルピネン、 乳酸エチルおよびβカリオフィレン の顕著な増加が認めら れた。貯蔵中にスパイス臭ならびにスモーク臭が宮能 的に弱くなる にもかかわ ら ず、 これら のにおい に関与すると考えられるテル ペン類やフェノール類はほ とんど減少 していないことが明らか となった。 ま た、 300C貯蔵区で は 100C貯蔵区に比べて3....4倍の速度で香気成分組成は変 化したが、 貯蔵中の各成分の消長 は10 0C貯蔵のものとほぼ同じ傾向であった。
100以上のピーク について貯蔵中における消長を明らか にした にもかかわらず、
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これらの成分の中には貯蔵臭に直接関与する成分は 認められなかった。 しか しながら、 こ のほかにも濃度が小さく 、 におい特性 が全くわか らない成分が 数多く存在したことから、 これら微量 成分中に貯蔵 臭に直接関与する成分が 存在していると推察した。
香気濃縮物の薄層クロマト グラフ分析(TLC)の結果得られた画分の におい を官能的に評価したところ、 貯蔵後の極性画分で甘く、 重く、 脂っぽい貯蔵 臭と同様のにおいが認めら れることを確認した。 こ の画分を分 取ガスクロマ
トグラフィー(分取GC)によりさらに細分画し、 各成分のにおいを評価した結 果、 甘く、 やや脂っぽいにおいの3,4-ジメチルー2(5H)ーフラノン、 8-デカノラク トン ならびに 甘く 、 重く、 脂っぽいにおいの 1.6-ジオキサシク ロドデカ ンー 7,12-ジオンを貯蔵臭関連成分と判定した。 とりわけ、 貯蔵臭とほぼ同 様のに おい特性を示した1,6-ジオキサシクロ ドデカンー7.12-ジオンを最も重要な貯蔵 臭成分と判断した。 この物質は食品中 では初めて報告されるものである。 一 方、 スパイス 臭やスモーク臭のような 、 ソーセージ の香りを特徴づける香気 の減少もまた 、 貯蔵臭の発生とともに 香気の劣化に 重要な役割を果たしてい ることは明らかであった。
3. スパイス中の香気成分の同定および定量 ならびに特徴香気成分の同定
ソーセージの貯蔵中に、 ス パイス臭が弱くなるにもかかわらず、 スパイス 類の主要香気成分であるテルペン類は ほとんど減少 しなかった 。 そこで、 先 ずスパイス由来の成分を明 らかにするため、 供試ソ ーセージの製造で用いら れている配合スパイスについて、 香気成分の同定お よび定量を行なった。 続
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いて、 官能的に供試ソーセージと同様の スパイス臭 が強く認められるブラッ クペパーを用い、 スパイス臭に直接関与する成分を追求した。
スパイスの香気成分として80個の成分を定量し、 その中で炭化水素類22種、
アルデヒド類4種、 ケトン類6種、 アルコール類18種、 有機酸類3種、 エス テル類3種、 フラン類3種 、 フェノ ール 類5種、 その他の化合物2種の計65 成分を同定、 あるいは推定した。 この中で、 モノテ ルペン類は23種、 セスキ テルペン類は15種であ り、 ソーセージ中で同定さ れ たテルペン類の多くは配 合スパイスに由来することが明らかとなった。
香気濃縮物を分取GCにより分画し、 各成分のにおいを評価した結果、 スパ イス臭およびツンツンするにおいのビペロナールおよびスパツレノールをス パイス臭の重要成分と認め た。 これらの物質はスパイスの特徴 香気成分とし ては初めて報告されるものである。
4. 燥液中の香気成分の同定および定量 ならびに特徴香気成分の同定
ソーセージ の貯蔵中にスモーク臭が弱くなった原因を解明 するため、 爆液 中の香気成分の同定および定量を行うとともに、 その特徴香気成分の検索を 行った。 煤液の香気成分として136個の成分を定量し、 その中で炭化水 素類10 種、 アルデヒド類5種、 ケトン類 21種、 アルコール類4種、 有機酸類8種、
エステル類7種、 フラン類 10種、 フェノール類31種、 含硫化合物2種、 その 他の化合物4種の計102成分をマス スペクトルと保持指標との一致により同定 あるいは推定した。 ;原液の 香気成分と してはフェノ ール類が最も多く、 それ 以外ではフラ ン類およびケトン類が比較的多量存在することが明らかとなっ
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た。
香気濃縮物をTLC により分画し、 得られた画分を官能的に評価 した結果、
クレゾール臭を呈する画分と甘い、 カラメル様のにおいを呈する画分のにお いを同時に嘆いだときにのみ スモーク臭が認められることを確認した。 クレ ゾール臭を呈した画分を分取GCによりさらに細分画し、 各成分のにおいを評
価した結果、 グアヤコール、 4メチルグアヤコール、 4エチルグアヤコール、
m・クレゾールおよびp-クレゾールをクレゾール 臭原因物質と認めた。 特に、
強烈なクレゾール臭を発する4-エチルグアヤコール、 m-クレゾールおよび、p
クレゾールを最も重要なクレゾール臭成分と判定した。 一方、 甘い、 カラメ ル様のにおいを呈した画分についても同様に分取GCに供し、 においを評価し た結果、 2-ヒドロキシー3-メチルー2-シクロペンテンー1-オン、 2-メトキシー4,5・ジ メチルー2(5H)-フラノンおよびジヒドロートリメチルー3Hーピラゾール・3-オンを甘
い、 カラメル様 のにおいの原因物質と認めた。 この中で、 2-ヒドロキシー3-メ チルー2-シクロペンテンー1-オンおよび 2-メトキシー4,5-ジメチルー2(5H)ーフラノン は、 においが 特に強く、 最も重要なカラメル臭成分であると判定した。 さら に、 これら8種の化合物に よるモデル燥液フレーパー調製品は、 スモーク臭 に近いにおいを呈したことから、 これらの化合物が スモーク臭の特徴香気成 分と判定した 。 このように、 クレゾール臭と甘い、 カラメル様のにおいとの 相剰効果によって スモーク臭が発現することを明らかにしたのは本研究が最 初である。 また、 このことは、 爆煙製品の品質を向上させる上で、 さらには フレーバ一発現の生理・生化学的機構を解明する上で非常に興味深い知見を
与えるものとなろう。
QJ 丹、d勺ん
5. ソーセージの香りの劣化とその評価
品質因子としての香りを分析データに よって解析し、 論ずる際に最も重要 となるの は官能的評価結果との関係である。 そこ で、 ソーセージ を200Cで貯 蔵したときの香りの劣化を官能的に評 価するとともに、 香気な らびに異臭成 分の経時的な定量を行うことによって、 官能的な香 気の劣化および貯蔵臭の 強さとその関達成分の消長との関係を明らかにした。 さらに乳酸エチルの生 成量と異臭の程度を比較し検討を加え た。 また、 貯 蔵前のソーセージ中の香 気成分組成とスパイスあるいは燥液中の香気成分組成を比較し、 ソーセージ
中の香気成分の 由来についても検討を加えた。
貯蔵前のソ ーセージ中の香気成分と配合スパイス 、 あるいは 燥液中の香気 成分を比較し た結果、 ソーセージ中の香 気成分のうち58種の化合物が配合ス パイスに、 57種の化合物が燥液に由来し、 この 中で17種の化合物が スパイス および燥液の双方に由来す ることが明ら かとなった 。 また、 42種の化合物は 配合スパイスあるいは燥液中のい ずれに も存在しな かっ た。 ソーセー ジ を 200Cで貯蔵した ときの 香気成分の消長を明らかにした ところ、 多くの化合物 は100C、 200Cおよび300Cのいずれの温度で貯蔵 した場合にもその経時的変化 はほぼ同様の傾向を示した が、 テルペン系炭化水素を中心とする10種の化合 物に関しては 200Cでの貯蔵と10 0Cおよび300Cでの貯蔵とで変化の傾向が異な るこ とが 明らかとなった。 各香気成 分の 貯蔵O日目の 濃 度を比較する と、
100Cおよび300C試験区で用いたソーセ ージと200C試験区で用いたソーセ ージ とで香気成分濃度がかなり異なるもの もあったこと から、 これら は製品とし ては同ーの非発酵ソーセージでは ある が、 製造ロットが異なり、 用いている
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配合スパイスや燥液などの原料の組成 が若干異なったためと考 えた。 次に、
各香気成分の消長と官能評価の結果を比較したところ、 ピペロナールおよび スパツレノー ルが経時的に減少するとともにスパイス臭が弱く なり、 それぞ、
れ20ppbお よび、60ppb を下回る10日目に はスパイス臭は感じられなくなった。
また、 スモーク臭は甘い、 カラメル様のにおいを呈する2-ヒドロキシ-3-メチ ルー2-シクロペンテンー1-オン、 2-メトキシー4,5-ジメチルー2(5H)-フラノンおよび ジヒドロトリメチ ル-3H-ピラゾール-3-オンと、 クレゾール臭を呈するグ アヤ コール、 4-メチルグアヤコール、 4-エチルグアヤコール、 m-クレゾールおよ びjJ-クレゾールの相対濃度比に依存し、 この値が2を越える20日目にはスモー ク臭は認められな くなった 。 さらに、 貯蔵臭成分である3,4- ジメチルー2(5H)ー フラノン、 1 ,6-ジオキサシクロドデカンー7.12-ジオンおよびふデカノラクト ン はいずれも経時的に増大し、 3,4-ジメチルー2(5H)- フラノンの濃度が 40ppb、 δー デカノラクトンおよび1,6-ジオキサシクロドデカンー7,12-ジオンの濃度が20ppb を越える20日目以降貯蔵臭が認められるようになった。
100Cおよび300C貯蔵区の結果からも、 乳酸エチルは貯蔵温度、 各香気成分 の組成、 ある いはそれらの経時的変化の相違に関係なく貯蔵期間にほぼ比例 して増加し、 その生成量が80ppbを越えるソーセージはいずれも貯蔵臭を発す
ることが明ら かとなった。 すなわち、 乳酸エチルは非発酵ソーセージの貯蔵 臭の優れた指標となることを初めて明らかにした。特にこの化合物はソーセー ジ中に 比較的多量存在していることか らも、 指標と しての適性と重要性は大 であると考える。
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脱脂粉乳の香気ならびに異臭に関する研究 (第3章)
1. 脱脂粉乳中の香気成分の同定および定量
脱脂粉乳の品質評価 を目的とした香気成分濃縮法を設定するため 、 SDE 法 と直接カラム 濃縮法を用い、 それ らの回収効率、 香 気濃縮物のにおい特性に ついて比較検討し、 その特性を明らかにするとともに、 GC-MSによる同定、
ならびに内標準法による定量を行い、 脱脂粉乳中の香気成分組 成を明らかに した。
SDE法は直接カラム濃縮法に比べ、 低沸点成分から高沸点成 分まで広範囲 の成分につい て比較的効率よく回収しており、 得られた香気濃縮物のにおい は脱脂粉乳の香気特性を忠実に反映したものであっ た。 また、 その再現性も 相対標準偏差基準で8.8%であり、 保持時間および相対濃度に関係なくほぼ一 定の値が得られた。従っ て本法は脱脂粉乳の品質評 価の目的に適った香気濃 縮法であると判定した。
SDE法により脱脂粉乳の香気成分として196個の成分を定量し、 その中で炭 化水素類 4 8種、 アルデヒド類18 種、 ケトン類20種、 アルコール類21種、 遊離
脂肪酸類29種、 エステル類8種、 フラン類2種、 フェノール類7種、 ラクト ン類10種、 含窒素化合物14種、 その他の化合物10種の計187成分をマススペク トルと保持指標との一致により同定した。 脱脂粉乳 中の香気成 分はその組成 が極めて複雑であり、 しかも濃度は極 めて低いこと が明らかと なったが、 そ の中で脂っぽいにおい、 あるいは甘いにおいを呈する遊離脂肪 酸類とラクト ン類が比較的多量存在することから、 これ らの化合物が脱脂粉乳の香りの基 本を構成していると考えられた。
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2. 脱脂粉乳中の異臭成分の検索および同定
外国産脱脂粉乳に時折認められる異臭を解明するため、先ず、 SDE法によ り、正常脱脂粉乳と異臭が認められた脱脂粉乳の香気組成の相異を明らかに するとともに異臭の原因物質の検索を行った。
GCおよびGC-MSの結果、遊離脂肪酸類およびラクトン類は正常品中に多 く存在し、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、 10-ウンデセン酸、 ラウリ ン酸、ミリスチン酸、ミリス トレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、
オレイン酸、 ヂドデカノラクトン、 y-2-ドデセノラクトン、 8-ドデカノラクト ン、ふペンタデカノラクト ンおよび1種の未知化合物は異常品と比較して正 常品中に特に多量存在することを確認した。 また、これとは逆に、 アルデヒ ド類、 アルコール類、エス テル類および含窒素化合物類は異常 品中での濃度 が高く、特に(E )-2・ノネナール、(E,Z)-2,6-ノナジエナール、 サリチルアルデヒ ド、ドデカナール、(E)ートリデセナール、ペンタデカナール、 (Z)-9・オクタデ セナール、リナロール、 ジヒドロフイトール、 アクリル酸Gメチル ヘプチル、
ミリスチン酸メチル、1H-ビロール、インド ールおよび2-ペンタデカノン ー0- メチルオキシムの異常品中での濃度は正常品の2倍以上と、顕著に異なるこ とを確認した。 さらに、ウンデカナール、ユメチルートプロパノール、1-メチ ルー4-メチルエチルー(E)ーシクロヘ キセノール 、トテトラデカノール、 1-ドコサ ノール、2-メチルフロビオン酸3-ヒドロキシ-2,4,4,ートリメチル、2-メチルプロ ピオン酸2,2-ジメチルー1-(2-ヒドロキシー1-メチルエチル)プロピル、ペンタデカ ン酸メチルおよび2,3- ジメチル キノリンは異常品中にのみ存在することが明 らかとなった。 しかしながら、200以上の ピークについて正常品と異常品開で
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組成を比較した結果、 脱脂粉乳中の香気成分はその組成が極めて複雑であり、
しかも濃度が低い化合物が数多く存在していたこと から、 クロマトグラム上 で異臭に直接関与する成分を特定することは困難であった。 そこで香気濃縮 物をTLCにより分画し、 得られた各画分のにおいを官能的に評価したところ、
異常品の微極性画分で異臭 (厩臭)と同様のにおいが認めら れることを確認し た。 この画分を分取GC によりさらに細分画し、 各成分のにおいを評価した結 果、 厩臭に似たにおいを発するテトラデカナ ール、ß-ヨノンおよ びベンゾチ アゾールを異臭関連成分と判定した。 特に、 強烈な厩臭を呈するテトラデカ ナール、ß-ヨノンを最も重要な異臭成分と判断した。 これらの物質は脱脂粉
乳の異臭成分として初めて報告されるものである。
3. 機器分 析による脱脂粉乳の客観的におい評価法の設定
食品の香り に主眼をおいて品質評価 あるいは品質管理を客観的に行うため には、 適切な分析法の開発 および評価基準の設定が 必須となる。 そこで、 異 臭成分の簡易定量法を設定するとともに、 官能的な 異臭の強さと異臭成分の 濃度との関係を明らかにすることにより異臭の客観的評価法の構築を行った。
極めて微量 、 かつピークの分離が不完全である脱脂粉乳の異臭成分の簡易 定量法を設定するため、 Single ion monitoring( SIM)法について種々検討した。
その結果、 本法は感度が高く、 脱脂 粉乳300gをSDE法により処理して得られ た香気濃縮物 で定量が可能であったこ と、 異臭成分の前後に不完全分離ピー クとして溶出してくる成分の妨害が全 くなく、 香気濃縮物 をあらかじめ分画 する必要がないこと、 広範囲にわたり 異臭成分の濃 度と内標準に対するピー ク面積比との聞に良好な直線関係が得られたこと、 ならびに再現性に優れて
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おり、 いずれ の異臭成分に 対しでも5回繰り返し測定の再現性 は相対標準偏 差基準で5.70/0以内であったこと から、 脱脂粉乳中の異臭成分の定量法として 最適であった。新たに設定したSIM法を用い、 製造ロットの異なる種々の脱 脂粉乳(12 種)中の異臭成分を定量した結果、 テトラデカナ ールお よびß-ヨノ ンの濃度は正常品群ではそれぞれ17.0-22.Oppbおよび0.11-0.1 9ppb であったの に対し、 異常品群では29.6-4 9.1PJ:わおよび0.41-1.12P rbと大きく異なっていた。
べンゾチアゾールに関しでも、 異常品より濃度が高い正常品があったものの、
平均値は正常品群と異常品群でそれぞれ0.40ppbおよび0.8Oppbであり、 両者の 聞には2倍の差があった。
3点識別法による官能 評価の結果、 正解を得たパネル数、 識別の有意性お よび各脱脂粉 乳中のテトラデカナールお よびß-ヨノン濃度から、 それぞれ 25ppbおよび、0.3ppb以上存在すると異臭が認められると判断された。
上述のようにして、 機器分析による 脱脂粉乳のにおいの客観的評価法およ び評価基準を設定し得た。
以上のように、 本研究 は食品選択の第一基準は香りであると の見地から、
高品質畜産製品の製造・供給を目的とし、 食肉加工品の中で大きなシェアを 占める非発酵ソーセージの香りと貯蔵 ・流通段階における香気劣化に関する 研究および加工用原料としての脱脂粉乳の異臭の原因成分の検索ならびに官 能との対応づけにより、 脱脂粉乳のにおいの客観的評価法を設定したもので ある。 今後、 このような手法は食品工業におけるにおいの客観的評価法とし て広く応用されると考える。
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後記
終に臨み、 本研究全般にわたり御懇切なるご指導と御助言、 さらに御高閲 の労をお取りくださいました、 九州大学 筏島 豊教授に対し衷心より謝意 を表します。
また、 本研究にあたり終始御懇篤な御指導を賜りました九州大学 下回満 哉助教授に深甚なる感謝の意を表します。
また、 御高閲の労をお取りくださいました九州大学 伊藤肇民教授に対し 衷心より謝意を表します。
また、 本研究にあたり多大なる御鞭捷を下さいました松本 清教授、 松井 利郎助手、 中島正利教務員をはじめ食品分析学教室の教室員の方々に心より 感謝の意を表します。
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