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点検技術研さん用の鋼桁に疲労き裂を導入する試み

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Academic year: 2022

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点検技術研さん用の鋼桁に疲労き裂を導入する試み

中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋(株)正会員 ○山田健太郎 中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋(株)平井英章、田名瀬寛之 瀧上工業(株)正会員 織田博孝

1.はじめに

2011年秋、撤去された橋を集めて、点検技術 の研さん・研究用施設として活用するためのニュ ー・ブリッジ(N2U BRIDGE)が名古屋大学構内 に構築された。(写真1)鋼桁では、日本最古の 歩道橋の撤去桁と、仮橋として用いられた南郷橋 が用意された。南郷橋では、塗装の種類と膜厚を 変えて、塗替え塗装の研修に活用できるように準 備した。

鋼橋の点検技術の研さんでは、鋼桁に発生する典型的な疲労き裂を見たいという要望が多く、南郷橋の残り の桁に疲労き裂を導入することを試みたので報告する。疲労試験には、偏心おもり付きのモータを用いた。こ れは、名古屋大学で開発した板曲げ疲労試験機やねじり試験機を発展させたもので、鋼I桁に発生する疲労き 裂の要因となる変形や力を再現することを試みた。

2.鋼 I 桁の試験体

展示する予定の鋼I 桁を図‐1示す。こ の桁は、仮橋に使用されたものであるが、

道路橋に一般的に用いられる鋼I桁の構造 詳細を持つ。(写真2)疲労き裂を導入す ることを試みたのは、

(1)対傾構が取り付けられた垂直補剛材の 上端部、

(2)腹板ガセットの端部、

(3)ソールプレート前縁の溶接部、

(4)水平補剛材の端部、

である。これらの疲労き裂は、鋼桁に実際に発生した疲労き裂 であり、発生原因もある程度推定されている。

3.疲労き裂の導入手法

疲労き裂の導入には、それぞれの構造詳細に治具を取り付け、偏心おもり付きのモータを回転させることで、

繰返し荷重を与えた。この状況を図‐2に示す。例えば、上記(1)の疲労き裂は、コンクリート床版の変形によ る上フランジの回転変形と、桁の相対変位に伴う対傾構からの力が原因となる。ここでは上フランジの回転に 相当する力を与えた。また、(2)の疲労き裂に対しては、隣接する主桁の相対変形に伴い、下横構に導入され るウェブに対する面外力を擬似的に与えた。この疲労き裂には、主桁の曲げ応力も原因となるが、今回用いた 載荷装置では、主桁の曲げ応力を再現するのは難しい。また、(3)のき裂は、支承の回転や移動が拘束された ときに生じる力を想定して、治具を介して桁端に回転する力を与えることとした。この載荷方法では、腹板に せん断力により斜めに進展するような疲労き裂まで再現するのは難しい。さらに(4)は、腹板の振動や主桁の

写真1 ニュー・ブリッジに展示された鋼桁

キーワード ニュー・ブリッジ、鋼桁、疲労き裂、点検、疲労試験

連絡先 〒460-0003 名古屋市中区錦 1-8-11 中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋(株)TEL 052-212-4511 写真2 鋼I桁試験体 図‐1 疲労き裂を導入、展示するモデル桁 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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Ⅰ‑120

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曲げ応力の繰り返しによる発生する力を、水平補剛材に力を与えることで再現することを試みた。

4.応力範囲のモニタリング

実橋で生じる疲労き裂の原因となる荷重や変形を発生さ せることから、疲労強度曲線を求めることを試みた。これ は、同様な荷重が疲労き裂の発生原因となる場合に、ひず みゲージにより応力範囲をモニタリングする場合の参考に なる。ひずみゲージの貼付位置は、疲労き裂の発生が予測 される溶接止端から5~10mm の位置にひずみゲージ(ゲ ージ長:3mm)を貼付することを標準とした。また、必要 に応じて、それぞれの載荷方法に対して FEM解析を行っ て、疲労き裂導入の可能性やひずみゲージ貼付位置とその 周辺のひずみ分布の確認を行った。

発生させる疲労き裂の大きさも、点検技術の研さんでは重要な要素となる。計画では、例えば、腹板ガセッ トの端部や水平補剛材端部の回し溶接部では、図‐3に示すように、止端に発生したき裂、それが回し溶接部 に進展した場合、さらにそれがウェブにまで進展した場合を再現する。また、塗膜割れの有無を作り、目視に よる検査に加えて、非破壊検査(磁粉探傷試験、過流探傷試験、など)の研さんにも活用できるように考えた。

5.まとめ

鋼桁に生じる典型的な疲労き裂を発生させ、点検技術の研さんで用いるため、撤去された鋼桁に偏心おもり を持つモータを用いて疲労き裂を導入する試みを行った。実橋のモデルに疲労き裂を導入することで、塗膜の 割れや錆びの点検、記録、非破壊検査手法(磁粉探傷、過流探傷試験、など)の適用など、点検技術の向上に つなげることができる。

偏心おもりをもつ小型の加振器を用いて疲労き裂を導入するには、治具の製作や、共振を避ける、横ブレを 防止するなど、簡易な実験に付随する問題もある。実験は現在進行中であり、発生した疲労き裂やそれを用い た点検の研修プログラムなどの詳細は当日報告する。なお、用いた振動疲労試験機は、トピー工業研究開発セ ンターの山田聡氏によることを付記して感謝の意を表する。

参考文献

・名古屋大学構内に設置した橋梁点検技術研さん・研究施設「NU-BRIDGE」運用開始、土木学会誌、Vol.97、

no.4、2012. ・山田、他:面外ガセット溶接継手の曲げ疲労強度に及ぼすショットブラストの影響、構造 工学論文集Vol.54A(2008 年3 月)

図‐2 疲労き裂の基本的な導入方法の案

き裂 小・・・回し溶接部先端

(塗膜割れ無) き裂 中・・・回し溶接部全体

(塗膜割れ無)

き裂 大・・・ウェブへ進展

(塗膜割れ有)

図‐3 期待している疲労き裂の例 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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参照

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