名古屋市の鶴舞公園は,大学キャンパスや大学病院,市の中央図書館,
市公会堂などの公共施設に囲まれた緑豊かな都市公園です.
中心市街地からほど近く,公共交通の利便性が高い場所に位置しています.
しかしながら,公園周辺の交通環境は,必ずしも良いとは言えない状況です.
そこで私たちは交通工学的な視点から,名古屋市の他の地区にはない鶴舞公園周辺の 地域性を活かしたまちづくりを構想し,都市公園のあるべき姿を提案します.
※ いりゃあせ=(名古屋弁で)いらっしゃい
第7回土木計画学公共政策デザインコンペ
~鶴舞公園周辺の交通からデザインするまちづくり~
鶴舞公園でのアンケート調査 鶴舞公園とその周辺の実態を把握するため,公園利用者に対してアンケート調査を行う.
名古屋工業大学大学院 都市交通研究室 今井克寿 大橋雅也 森本清誠 松浦一真 今泉佑介 伊藤大貴 大岩大記 前田翔哉 松村悠貴 眞鍋友宏 渡邉健
■鶴舞公園周辺の特徴と問題点
100m
出典:Yahoo!地図 徒歩
28%
自転車
15%
自動車
14%
市バス
4%
14% JR
地下鉄24%
その他
1%
Q.鶴舞公園までの交通手段
(N=97)
散歩 30%
移動・通過 8%
植物・花の 鑑賞 25%
ランニング 4%
ピクニック 13%
休憩 6%
イベント
2% その他
12%
Q.鶴舞公園に来た目的
(複数回答,N=117)
花が多い・綺麗 21%
緑が多い 18%
広い 13%
居心地が いい 13%
立地が良い 9%
賑わい・
人が多い 6%
建造物 5%
池
5% 静寂
4%
その他 6%
Q.鶴舞公園の好きなところ
(複数・自由回答,N=125)
路上駐車
路上駐車 道路が狭い
その他
その他 その他 歩道が狭い
歩道が狭い 渋滞
渋滞 暗い
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
① ② ③ ④ ⑤ ⑥
Q.鶴舞公園周辺道路で危険に感じるところ
(下記の地図の番号と理由を回答,N=41)
半数近くが公共交通 機関を利用している!
子供連れやお年寄りの 人が多い!
散歩,植物・花の鑑賞 を目的としている!
自然を楽しむことが
好きな人が多い! ①⑤⑥の道路が特に危険!
名工大 名大病院
鶴舞公園
図書館 JR鶴舞駅
公園口 JR鶴舞駅
病院口
2
4
水色:問題点
病院口での交錯
公園口ゾーン
病院口ゾーン
路上駐車,違法駐輪 によって道路が狭い 歩道上の駐輪台数が 鶴舞駅周辺だけで約 2900 台!
■鶴舞公園周辺の改善方針
路上駐車・違法駐輪をなくし,通行しやすい道に!
公共交通機関や病院から公園へアクセスをしやすく,安全に!
Q.年齢層(N=93)
20
歳未満8% 20
代10%
30
代17%
40
代3%
50
代9%
60
代34%
70
歳以上19%
駐車場が狭い
お年寄りや子供連れなどいろいろな人にやさしい街に!
名古屋市の他地区にはない緑溢れる街に!
以上の問題点を改善する対策案の方針をまとめる.
アンケートから得た問題点を抽出
鶴舞公園ゾーン
3 病院口が
非バリアフリー
名古屋駅からJRで6分 栄駅から地下鉄で 10 分
1
1090
607 589
134
139 328
0 200 400 600 800 1000 1200 1400
公園口 病院口 鶴舞公園
放置駐輪台数 駐輪場利用台数
地下鉄鶴舞駅 出口 駅利用者と車の交錯
市公会堂
5
病院利用者の駐 車場待ち渋滞
6
五枝交差点
公園内の違法駐輪
■鶴舞公園周辺の改善案
①道路周辺 (市道公園線支線第9号) ⑥道路周辺 (市道御器所千種町線(JR高架橋東側),千早老松町線(JR高架橋西側))
JR
高架橋西側⑤道路 (市道御器所千種町線支線第1号)
2.6 1.5 10.0 1.5 2.9
全幅員18.5[m]
車道(2車線) 植樹帯 歩道部 歩道部 植樹帯
現状
改善案
車道(2車線) 植樹帯歩道部
0.5 7.0
全幅員18.5[m]
路肩 バス停留帯自転車道
2.0 4.0 1.5 3.5
バス停留所付近
車道 自転車道 歩道部,植樹帯
鶴舞公園側 名大病院側
バス停
車道幅員の減少車道幅員を10.0mから7.0mに減少→路上駐車できない構造に
バス停留帯の設置バスの停車による後続車両の混雑の回避
自転車道の設置自転車利用者と歩行者の交錯危険性の低減
歩道部の片側化歩道部の片側化による歩行者の集約.それに伴うコミュニティ の創出と街灯設置コストの削減
植樹面積の増加歩道内に植樹することで公園内であるという雰囲気を創出
バス停留所周辺の自転車道に対する安全対策 路面塗装や人感センサーによる歩行者安全対策の実施
自動車走行速度の減少バス停留所の設置により,スラローム型のコミュニティ道路と同 じ効果を得ることで,自動車を減速させる
安全対策例:歩行者感知式の注意喚 起システム(名古屋市,桜通自転車道)
路上駐車による走行性の低下
バスの停留による混雑
歩道交通量が多く,自転車と歩行者が混在
街灯が少なく,防犯面で課題あり
植樹帯が公園地区,文教地区の雰囲気の形成車道(2車線) 路肩
歩道部
1.5 6.0
全幅員13.7[m]
歩道部
5.2 路肩
0.5 0.5
病院口付近
全幅員16.5[m]
車道(2車線) 歩道部
4.3 6.0
歩道部
5.2 路肩
0.5 0.5
駐輪場
2.2 病院口以北
車道(2車線) 路肩
歩道部
2.0 6.4
全幅員11.5[m]
歩道部
2.1 路肩
0.3 0.7
病院口付近
全幅員14.6[m]
車道(2車線) 路肩
駐輪場
2.0 6.4
歩道部
5.2 路肩
0.3 0.7
病院口以北
現状 JR高架橋東側
病院口がバリアフリー化されていない 高齢者・車椅子・ベビーカーが不便.エレベーターは公園口のみに設置(250m南西)
自動車来院者の駐車場待ち渋滞
歩道幅員が交通量に対して幅広
車道幅員が交通量に対して幅広 JR
利用者の道路横断に起因する渋滞・混雑の発生
歩道上に駐輪場が設置されている改善案 1
JR
高架橋西側JR
高架橋東側車道(1車線) 路肩
歩道部
2.0 3.0
全幅員7.0[m]
歩道部
1.3 路肩
0.3 0.7
病院口付近
全幅員16.5[m]
8.6 0.5 3.0 1.5 2.9
駐輪場
2.2 1.0 2.2 1.0 2.2 駐輪場 駐輪場 通 路
通 路
路肩 路肩
車道(1車線) 歩道部 歩道部
病院口以北
全幅員9.2[m]
車道(1車線) 歩道部
1.5 3.0
歩道部
3.7 路肩
0.5 0.5 路肩 病院口付近
車道(1車線) 路肩
駐輪場
2.0 3.0
全幅員14.6[m]
歩道部
8.6 路肩
0.3 0.7
2.2 1.0 2.2 1.0 2.2 病院口以北
改善案 2
ペデストリアンデッキの設置
JR
鶴舞駅病院口の中二階と接続名大病院のデッキ(①道路北側歩道)に接続
•
高齢者・体の不自由な人が多い病院利用者の階段の昇降回 数を減少,スロープ等によるバリアフリー市公会堂前に接続
•
市公会堂利用者に対する利便性の向上.案内の強化駅と病院,公園の連絡
•
公園利用者,病院利用者に駅と直結していることを認識させ,公共交通機関利用を促進する.
駅利用者と自動車・自転車利用者との空間分離
•
交錯危険性の低減,歩行者に起因する交通渋滞の緩和
病院口のバリアフリー化•
車椅子・ベビーカー利用者が病院口を利用できるようにする.現在の鶴舞駅病院口
現状
幅員6m(一方通行,車道幅員4m,路肩両側1mずつ)
歩道がなく,歩行者の通行は危険
五枝交差点を回避するための抜け道となっている
街灯が非常に少なく,夜間の治安が悪い(夜10時以降は病院口が閉まるためここを 通行して公園口に向かう必要がある)
公園口と鶴舞公園を結ぶ横断歩道にて接触の危険性が高い(写真左)
奥の標識に気を取られるためか,一時停止しない自動車が多い
鶴舞公園の石段と高架橋とに挟まれており,雰囲気が悪い
路上駐車が多い改善案
コミュニティ道路化•
ハンプや視覚的狭窄などを設けることで,自動車を減速さ せる.
歩道の設置•
片側に歩道を設置し,歩車を分離させる.
インターロッキング舗装•
車道の舗装をインターロッキング舗装にすることで自動車の 走行性を低下させ,抜け道利用を避けさせる.また,土に近 い色に舗装されるので公園内であるという雰囲気を創出する.
公園口付近に注意喚起の看板を設置
街灯の増設インターロッキング舗装
その他の総合的対策
道路の改善と同時に必要である鶴舞地区全体の対策案
■まとめ,課題点
・鶴舞公園という名古屋市内でも特徴のある地域(公園地区,文教地区,病院,交通の便がよい…)
・公園周辺の交通環境が良くないこと(特に,公園・病院利用者に高齢者層が多いこと)
これらの特徴を踏まえ,鶴舞公園周辺の道路に対する改善案と鶴舞地区全体の対策案を提案した.
課題としては,道路構造の改良における実際の効果の検証がされていないこと,この地区の特性上,
主に歩行者・自転車利用者視点の対策を考えたため自動車利用者に対する対策が少ないこと,
などが挙げられる.
緑を中心とするまちづくり•
名古屋市中心市街地から近いにもかかわらず緑が多いこ の地域の特色を活かすまちづくり•
例)JR,地下鉄駅や歩道などに市民の協力による花壇や鉢 植えを設置する.喫煙ゾーンを設けて歩きタバコを禁止する.
管理体制の一括化,共同化• JR線を挟んで中区と昭和区に分かれているこの地区は,警
察・緑政土木局など,縦割り的な管理が行われている.
•
病院・公共交通機関・公園管理者の連携がうまくなされてい ない.•
例えばペデストリアンデッキを建設するなど,双方の利益や 負担を考慮して,鶴舞公園周辺を一括・共同的に管理する システムが必要である.
鶴舞公園のPR
•
桜が有名な鶴舞公園であるが,四季の植物や野鳥が見ら れるなど,あまり知られていない魅力がある.•
駅構内のポスターや,市広報などによる様々なPRを行うべ きである.対策方針に沿って道路構造の改良を中心に改善案を提示する.
車道(2車線) 植樹帯 歩道部
0.5 7.0
全幅員18.5[m]
路肩 自転車道
4.0 1.5 5.5
バス停留所以外
スペースの創出•
駅出入口周辺の道路面積を減少させ,ス ペースを確保.→JRに安価で譲渡しエレベーターを設置
高架側歩道上の駐輪場の拡張•
車線数・道路幅員・病院側道路幅員の減少 によるスペースの確保•
①の道路から駐輪場を移動させる→駐輪場 の集約による駐輪監視員のコスト削減•
病院口ゾーンの駐輪場面積3.8
倍(約520m
2→2020m
2)
病院口より北側の路肩幅員の拡張•
自動車来院者の駐車場待ちの暫定的対策
一方通行化•
一方通行化によるJR利用者と自動車との交 錯危険性の低減
車道幅員の減少•
車道幅員を狭くすることにより自動車を減速 させる設置例