はじめに
筆者は現在,観光・レジャーを中心とした旅に関連する雑誌記事の変遷を追いかけ,そ の内実の変容を捉えるとともに,現代社会内部における旅そのものに付与されるメタレベ ルでの物語について考察する研究を進めている。すなわち,進歩の神話,経済成長の神話,
安全の神話といった,気がつけばアプリオリに私たちの生活の前提になってしまってい る物語に関する研究であり,観光・レジャーを中心とした旅の場合には,それがどのよ うなものであり,どのように変容を遂げていくのかを考察するという研究である。
もともと,観光・レジャーに関する雑誌記事の収集と分析は,2008年に旅行産業の組 織化をグローバリズムとの関連で読み解くことができるのではないかという発想で着手 した1 )。その後,2011年まで 4 年に渡り,雑誌の収集を続けてきた。その理由は,2008 年秋のリーマンショックに端を発した世界的な景気後退,2011年 3 月に発生した東日本 大震災とそれに起因する原発災害などにより,私をも含めた日本人の日常生活を巡る経 済・社会的環境に大きな変動がもたらされた。この変動の体験が,観光やレジャーを中 心とした旅の記述にどのような変化をもたらすかを見極めることが次の目標となったた めである2 )。
雑誌および雑誌記事は雄弁であり,多様な角度からの分析が可能である。現在進めて いる分析の中心は,記事タイトルからキーワードを抽出,分類し,その変遷を追うこと である。これに記事の記述を突き合わせ,メタレベルでの旅の物語がどのように変容し ていくかを整理している。しかし,本稿では,これに先立つものとして,雑誌そのもの の分類を通し,旅が提案される媒体とその形式の変容からの分析を行うこととする。
まず,このようなアプローチを試みる理由を示す。
すなわち,収集した雑誌を分類するにあたり,当初行った2008年度の分析では性別に 特化しない旅関連雑誌,性別に特化した旅関連雑誌,旅関連記事を含む男性誌,旅関連 研究ノート
旅行雑誌を読む
―2008年~2011年の変化に着目して―
東 美晴
記事を含む女性誌という分類で事足りた。旅関連記事を含む男性誌では,いわゆるライ フスタイルマガジンと銘打たれたものが多く見られ,女性誌ではファッションを中心 に編集されたものが多く見られた。しかし,2009年には,この分類では処理しきれない 形式を持つ旅関連雑誌が現れてきた。さらに,2010年にはアウトドアスポーツ関連の雑 誌のソフト化が図られ,レジャーとアウトドアスポーツの境界が曖昧化した。この結果,
旅の提案が旅行関連雑誌や一般誌の特集として組まれるのではなく,多方面の趣味を扱 う雑誌を通してなされるものになった。さらに,2011年には,旅の提案は生き方に関わ るものとして出されるケースも出てきた。すなわち,農業関連の雑誌から,農村移住へ の第一歩として長期滞在型のグリーンツーリズムが提案されるような企画である。
以上のように,たった 4 年の間に旅の提案は,もっぱら旅行雑誌を中心に行われてい たことが,まったく旅行とは関係のない農業など,その他分野の領域からさえ行われる ようになるという変化を見せている。本稿の趣旨は,これを具体的に検証していこうと いうものである。
1 .本稿の視点
理論的観点からこの趣旨を説明するならば,観光およびレジャーという現代社会にお ける一つの文化領域を対象に,その脱分化と,さらなる再編の過程を跡づけようという ものである。
脱分化はポストモダンの特質の一つとされてきたものである。たとえば,アーリはモ ダンとポストモダンを次のように説明する。すなわち,モダンは〈構造的分化〉とか,
制度上のまた規範上のいくつもの領域の個別の発展であり,この水平分化の上に,一つ の文化領域内にさらに区分を作り出すような垂直分化が進展する。その結果出現するも のとして,文化と生活という区分,ハイカルチャーとローカルチャーの区分,学術的あ るいはアウラ的芸術と大衆芸術の区分,エリート的消費と大衆的消費の形態区分などを あげている。このような水平,垂直を合わせての分化の過程がモダンであるという。こ れに対し,ポストモダンはモダンが作り出してきた分化の境界を壊していく過程である。
たとえば,現代のメディアによって出現する機械的,電子的に再生され,唯一性に支え られる必然のない芸術は,それ以前のハイカルチャーとローカルチャーの区分とは関係 がない。さらには,芸術生産と商業生産の境界が溶融し,文化と商業が分かちがたく結 びつく現象が顕著になっている。これはたとえば,「レコード売り上げのためのアーチ ストの「無料」のプロモーションビデオ」「CMの中で使われてから売り出される歌」
などの形で見られるという(Urry, 1990=1995, 149-152)。また,アーリはこのポストモ ダンの議論の上に,イギリスにおける観光領域の脱分化の進行を示している。結論と して,観光のまなざしにさらされることによって,あらゆる国,地域に観光の波が押
し寄せ,あらゆる場所がスペクタクル化(加太の訳では「見世物化」)することを示し ている(Urry, 1990=1995, 276)。なお,スペクタクル化については,消費の殿堂が十分 な数の消費者を引き付け続ける再魔術化の方法として,リッツアも論じている(Ritzer, 2005=2009, 174-212)。
あらゆる場のスペクタクル化(観光化,見世物化)とは,消費主義の進展に根差した 場所に関する脱分化の現象である。一方,本稿の資料では,文化領域としての観光とそ の周辺との間での脱分化の現象は,むしろ2008年に顕著に見られた。それは,ファッ ション誌と旅行誌の境界の喪失,ファンション記事と旅行記事の境界の喪失のような形 で顕著に表れていた。あの老舗旅行雑誌の『旅』でさえ,女性向けに編集され,ドル チェ&ガッパーナのファッショングラビアが誌面を飾るといった状況であった。このよ うな現象はポストモダンと特にパラダイムをくくらねばならないものではなく,リッツ アが言うような,消費主義の進行に支えられた内破の一つの形態でしかなかったかもし れない(Ritzer, 2005=2009, 214-216)。
しかし,本稿の資料に現われた日本の2009年以降の旅行に関連する領域の再編は,い かに消費主義を提唱しようとも,人々がそれに簡単に踊ってくれなくなったことを背景 にしている。その結果,観光旅行という一つの文化領域のあり方そのものに疑問符が付 けられるような現象が起こっている。これを描きだすこと,またこれをどう評価すべき か考察すること,これが本稿の目的である。
2 .収集方法と分析対象雑誌
( 1 )収集方法
本研究における分析対象雑誌の収集方法は,書店店頭に並ぶ旅行関連の雑誌,および 表紙に旅行関連記事のタイトルが書かれているその他の雑誌をピックアップし,ただ集 めるというものである。また,収集時期は毎年 6 月とした。これは, 6 月がちょうど夏 休み向けの旅行関連記事が出される時期にあたるため,旅行関連雑誌以外の一般の雑誌 にも,観光やレジャーに関連する記事が多くなるであろうという観点から設定した。
この方法は,同じ雑誌が毎年必ずしも入手できるとは限らない,現在出版されている 旅行関連の雑誌をすべて網羅できるわけではないなどの点で厳密性を欠く。しかし,普 通の消費者がごく普通に入手できる観光・レジャー等の旅に関する情報の世界を把握す る,あるいはごく普通に書店を訪れ,目を惹く雑誌を手に取って購入するような消費の 態度をシミュレートするという意味で,敢えてこの方法を継続してきた。
収集場所については,筆者の居住地および勤務地の関係上,つくば市内の大手書店K 書店にて基本的な雑誌購入を行い,大学キャンパス内および周辺の書店にて目についた ものを買いたしてきた。そのため,収集した雑誌のいくつかは関東版,あるいは首都圏
版である。また,収集した雑誌の内には,『つくばスタイル』『ぐるっと千葉』など,よ り地域限定的なものもあるが,これらは分析時にその対象から外した。
( 2 )分析対象雑誌
表 1 から表 4 には分析対象雑誌の一覧を示している。
2008年は収集した雑誌のうち37誌を分析対象とした3 )。また,2009年は28誌,2010年は 48誌,2011年は56誌を分析対象とした。ここでは,収集雑誌数の変動について触れておく。
2008年から2009年は37誌から28誌であり,全体として 9 誌が減少している。この要因 の一つとして,2009年には女性向けファッション誌,男性向けファッション誌において,
旅行特集が組まれていない雑誌が多かったことがあげられる。また,入手した雑誌のう ち海外のディスティネーションを紹介するような旅行誌の数が減少した。海外旅行の提 案をしにくいような景気状況であったことを如実に反映した結果であったかもしれない。
逆に2009年から2010年には,28誌から48誌へと大幅に増加している。温泉,登山,自 転車など領域特化した旅行を提案する雑誌が増加したこと,韓国,ハワイ,京都など観 光目的地側から情報発信する雑誌が大量にあらわれたことなどがその要因である。増加 したこれらの雑誌の中にはこの年に発刊されたものも目立つか,それ以前から発行され ていたものもある。結果として領域,地域特化した旅行雑誌数が増加し,書店において も目立つようになったのであろう。さらに目を引いたことは,『文芸春秋』のような雑 誌においても旅特集が組まれていたことであった。内需拡大,とりわけ地域経済復興の 一つの道具として国内旅行の見直しが行われ,多様な提案がなされるようになった状況 を反映していると言えるであろう。
2010年から2011年ではさらに増加し,48誌から56誌になった。ダイビング専門誌,カ ヌー専門誌,サーフィン専門誌,バイク専門誌など,領域特化した旅行の提案を行う雑 誌がさらに増加した。また,農村移住のための情報誌が,そのワンステップとしてのグ リーンツーリズムの提案を行うなど,旅行専門誌外からの旅行の提案がさらに増加した。
なお,東日本大震災は,雑誌においてはその復興支援特集として東北観光の特集が組ま れるなど,むしろ旅行関連記事を増加させる方向に働いていた。
次章において,上に示した旅の領域の再編,すなわち脱分化について詳細に論じてい くこととする。
表 1 2008年分析対象雑誌一覧
No 分 類 雑誌名 出版社 価格
1 旅・一般 じゃらん リクルート 200円
2 旅・一般 たびえーる 昭文社 300
3 旅・男性 ジパングツーリング ぶんか社 350
4 生活・女性 クロワッサン マガジンハウス 380
5 旅・一般 旅行読売 旅行読売出版社 400
No 分 類 雑誌名 出版社 価格
6 旅・一般 おとなのいい旅 リクルート 420
7 服飾・生活・女性 エッセ 扶桑社 500
8 服飾・女性 フィガロ・ジャポン 阪急コミュニケーションズ 550
9 服飾・生活・女性 リー 集英社 560
10 旅・一般 旅の手帳 交通新聞社 580
11 旅・一般 散歩の達人 交通新聞社 580
12 服飾・男性 サファリ 日之出出版 680
13 服飾・趣味・男性 インビテーション ぴあ株式会社 680
14 服飾・趣味・男性 ゴーギャン 東京ニュース通信社 680
15 旅・女性 旅 新潮社 700
16 服飾・女性 ヴェリィ 光文社 700
17 服飾・趣味・男性 エスクァイア エスクァイア・マガジン・ジャパン 700
18 服飾・趣味・男性 リブート ソニー・マガジンズ 700
19 服飾・女性 グレース 世界文化社 730
20 服飾・女性 プレシャス 小学館 740
21 服飾・趣味・男性 ブリオ 光文社 750
22 旅・男性 サライ増刊 小学館 780
23 服飾・女性 エクラ 集英社 780
24 服飾・男性 オーシャンズ インターナショナル・ラグジュアリー・メディア 780 25 旅・一般 おとなのいい旅北海道 リクルート北海道じゃらん 880
26 旅・女性 クレア・トラベラー 文芸春秋 880
27 服飾・趣味・男性 ランティエ 角川春樹事務所 880
28 趣味・男性 駱駝 小学館 880
29 服飾・趣味・男性 ジー エムスリー・パブリッシング 880
30 旅・一般 旅咲 毎日コミュニケーションズ 933
31 旅・一般 ブラーヴィ 昭文社 952
32 旅・男性 ブルータス・トリップ マガジンハウス 1,000
33 服飾・趣味・女性 ミセス 文化出版局 1,000
34 服飾・趣味・女性 婦人画報 アシェット婦人画報社 1,000
35 服飾・趣味・女性 家庭画報 世界文化社 1,000
36 旅・一般 アジュール 東京ニュース社 1,200
37 旅・一般 トランジット 講談社 1,500
表 2 2009年分析対象雑誌一覧
No 分 類 雑誌名 出版社 価格
1 旅・一般 じゃらん リクルート 200円
2 旅・一般 旅行読売 旅行読売出版社 440
3 趣味・男性 サライ 小学館 500
4 旅・一般 旅の手帳 交通新聞社 580
5 旅・一般 散歩の達人 交通新聞社 580
6 服飾・女性 フィガロ・ジャポン 阪急コミュニケーションズ 580
7 生活・男性 サーカス KKベストセラーズ 580
8 趣味・男性 ペン 阪急コミュニケーションズ 600
9 服飾・女性 グリッター トランスメディア株式会社 620
10 服飾・女性 オッジ 小学館 670
11 趣味・男性 一個人 KKベストセラーズ 680
12 旅・服飾・女性 アマレーナ 扶桑社 700
13 服飾・女性 ヌメロ・トウキョウ 扶桑社 700
14 服飾・男性 サファリ 日之出出版 730
15 旅・男性 旅サライ 小学館 780
No 分 類 雑誌名 出版社 価格
16 服飾・女性 ヴァンサンカン アシェット婦人画報社 780
17 服飾・男性 オーシャンズ インターナショナル・ラグジュアリー・メディア 780
18 服飾・男性 ウオモ 集英社 780
19 趣味・家族 ソトコト 木楽舎 800
20 服飾・女性 グラツィア 講談社 840
21 旅・一般 大人の遠足 JTBパブリッシング 876
22 旅・女性 クレア・トラベラー 文芸春秋 980
23 旅・一般 フォートラベル 角川メディアハウス 980
24 服飾・趣味・女性 ミセス 文化出版局 1,000
25 服飾・趣味・女性 婦人画報 アシェット婦人画報社 1,100
26 服飾・趣味・女性 家庭画報 世界文化社 1,100
27 旅・女性 旅 新潮社 1,200
28 旅・一般 トランジット 講談社 1,600
表 3 2010年分析対象雑誌一覧
No 分 類 雑誌名 出版社 価格
1 旅・一般 じゃらん リクルート 370
2 町情報・一般 ファミリーウォーカー カドカワ 420
3 旅・一般 温泉博士 マガジン倶楽部 450
4 生活・女性 クロワッサン マガジンハウス 450
5 町情報・女性 ハナコ マガジンハウス 500
6 趣味・男性 ターザン マガジンハウス 500
7 旅・一般 旅の手帳 交通新聞社 580
8 旅・女性 オズマガジン スターツ出版 590
9 趣味・男性 サライ 小学館 650
10 服飾・女性 エル・ジャポン アシェット婦人画報社 680
11 趣味・男性 男の隠れ家 グローバルプラネット 680
12 趣味・男性 日経おとなのOFF 日経BP 680
13 経済・一般 週刊 ダイヤモンド ダイヤモンド社 690
14 町情報・一般 夏ぴあ ぴあ株式会社 700
15 服飾・女性 ヴェリィ 光文社 700
16 服飾・女性 ドマーニ 小学館 700
17 服飾・女性 レイ 主婦の友社 720
18 町情報・一般 ミーツ・リージョナル 京阪神エルマガジジン社 780
19 町情報・一般 東京カレンダー 株式会社ACCESS 780
20 旅・女性 スプーン別冊 角川グループパブリッシング 780
21 服飾・男性 サファリ 日之出出版 780
22 趣味・一般 スッカラ 株式会社スッカラ 790
23 服飾・育児・女性 セサミ 朝日新聞社 800
24 趣味・一般 ソトコト 木楽舎 800
25 旅・一般 散歩の達人 別冊 交通新聞社 880
26 趣味・女性 ランドネ 枻出版社 880
27 旅・一般 旅行読売 別冊 旅行読売出版社 880
28 旅・一般 季刊 京都 成美堂出版 880
29 趣味・一般 マリンフォト 増刊 水中造形センター 880
30 服飾・男性 メンズプレシャス* 小学館 880
31 趣味・男性 職人モノ ワールドフォトプレス 880
32 生活・一般 暮らしの手帳 暮らしの手帳社 900
33 旅・一般 鉄道ひとり旅ふたり旅 枻出版社 980
34 旅・趣味 ビーパル 増刊 小学館 980
No 分 類 雑誌名 出版社 価格
35 旅・女性 クレア・トラベラー 株式会社文芸春秋 980
36 旅・一般 クルーズ 海事ブレス社 980
37 旅・一般 ハワイスタイル 枻出版社 980
38 旅・女性 フィガロヴォヤージュ 阪急コミュニケーションズ 980
39 旅・一般 フォートラベル 角川メディアハウス 980
40 服飾・趣味・女性 ミセス 文化出版局 1000
41 一般 文芸春秋 文芸春秋 1000
42 趣味・一般 岳人 別冊 東京新聞 1100
43 服飾・趣味・女性 婦人画報 アシェット婦人画報社 1100
44 服飾・趣味・女性 家庭画報 世界文化社 1100
45 旅・一般 大人のハワイ 株式会社ネコ・パブリッシング 1180
46 旅・趣味・一般 自転車と旅 実業之日本社 1200
47 趣味・男性 ヤマケイジョイ 山と渓谷社 1200
48 趣味・一般 ソウルトゥデイ TOKIMEKIパブリッシング 1300
* 『メンズプレシャス』はファッションを中心とした女性誌『プレシャス』の臨時増刊である が,男性向けに編集されたものなので,別の雑誌として扱う。
表 4 2011年分析対象雑誌一覧
No 分 類 雑誌名 出版社 価格
1 旅・一般 旅行読売 旅行読売出版社 440
2 旅・一般 温泉博士 マガジン倶楽部 450
3 旅・一般 じゃらん リクルート 480
4 旅・一般 じゃらん臨時増刊号 リクルート 480
5 旅・一般 バイク旅行 三栄書房 490
6 旅・女性 オズマガジン スターツ出版 500
7 町情報・女性 ハナコ マガジンハウス 550
8 旅・一般 旅の手帳 交通新聞社 580
9 服飾・女性 フィガロ・ジャポン 阪急コミュニケーションズ 650
10 服飾・女性 クレア 文芸春秋 650
11 旅・一般 トランジット 講談社 680
12 趣味・女性 ランドネ 枻出版社 680
13 服飾・女性 グラマラス 講談社 690
14 町情報・一般 夏ぴあ ぴあ株式会社 700
15 服飾・女性 エフィル 扶桑社 700
16 趣味・一般 バイクジン 枻出版社 730
17 服飾・女性 エル・ジャポン アシェット婦人画報社 750
18 趣味・一般 田舎暮らしの本 宝島 780
19 趣味・男性 一個人 KKベストセラーズ 780
20 服飾・女性 グラツィア 講談社 800
21 服飾・女性 ハーズ 光文社 820
22 服飾・女性 エクラ 集英社 860
23 旅・一般 旅行読売臨時増刊 旅行読売 880
24 趣味・男性 サライ 小学館 880
25 趣味・一般 ソトコト 木楽舎 880
26 旅・一般 季刊京都 成美堂出版 880
27 趣味・一般 トランピン 株式会社地球丸 880
28 趣味・一般 ピークス 枻出版社 880
29 趣味・一般 デュスカバー・ジャパン 枻出版社 980
30 趣味・一般 マリンダイビング 水中造形センター 980
31 趣味・一般 ナルー 枻出版社 980
No 分 類 雑誌名 出版社 価格 32 趣味・一般 バイスクルナビ ボイス・パブリケーション 980
33 旅・一般 クルーズ 海事プレス 980
34 旅・一般 ハワイスタイル 枻出版社 980
35 旅・女性 クレア・トラベラー 文芸春秋 980
36 趣味・一般 自給自足 第一プログレス 980
37 服飾・女性 ナチュリラ 主婦と生活社 980
38 旅・一般 カーサ ブルータス・トラベル マガジンハウス 1000
39 趣味・一般 カヌーワールド 舵社 1000
40 趣味・一般 ワンダーフォーゲル 山と渓谷社 1000
41 服飾・趣味・女性 ミセス 文化出版局 1000
42 趣味・女性 ソラト 辰巳出版 1100
43 旅・趣味 岳人 別冊 東京新聞 1100
44 服飾・趣味・女性 家庭画報 世界文化社 1100
45 旅・一般 大人のハワイ ネコ・パブリッシング 1180
46 旅・一般 旅 新潮社 1200
47 旅・一般 自転車の旅人 学研 1200
48 旅・一般 夏山ジョイ 山と渓谷社 1200
49 旅・一般 自転車人 山と渓谷社 1200
50 旅・一般 カーサ ブルータス マガジンハウス 1200
51 旅・一般 アロハウェーブ 辰巳出版 1200
52 服飾・趣味・女性 婦人画報 アシェット婦人画報社 1200
53 趣味・一般 サーフライフ マリン企画 1290
54 旅・一般 フランスの旅 枻出版社 1300
55 趣味・女性 和楽 小学館 1300
56 旅・一般 アロハエクスプレス ソニー・マガジンズ 1530
3 .旅の領域の再編
( 1 )2008年から2009年へ
① 2008年に消えていったもの
表 5 は,表 1 に示した一覧を雑誌の領域分類に従い,並べ直したものである。より細 かい分類にしていくために,分類 2 には具体的な雑誌のテーマ,および特性を記した。
旅関連の雑誌は『じゃらん』から『トランジット』まで16誌あった。しかし,2009年 には,これらのうち『たびえーる』『ジパングツーリング』『おとなのいい旅』『おとな のいい旅 北海道』『旅咲』『ブラーヴィ』『ブルータス・トリップ』『アジュール』の 8 誌が入手できなかった。また,このうち『おとなのいい旅』『おとなのいい旅北海道』
については,入手した号に次号から休刊すると記されている(『おとなのいい旅』P14,
『おとなのいい旅 北海道』P112)。『旅咲』『ブラーヴィ』『ブルータス・トリップ』につ いては,それぞれ 9 月刊行の第 3 巻,12月刊行の第 9 巻,11月刊行の第 3 巻で以降の刊 行が止まっていることが確認できた4 )。
『じゃらん』『たびえーる』『おとなのいい旅』の 3 誌は国内向けの旅行情報誌であり,
特に大量の宿情報を掲載しているという点で共通しており,いわば競合関係にある雑誌
とみなすことができる。また,この号の『たびえーる』は創刊号であり,この領域へ参 入してきたばかりの雑誌である5 )。これに対し,『おとなのいい旅』の休刊は,この領 域における整理再編を反映しているものとみなすことができる。しかしながら,『たび えーる』も 9 月に休刊しており,この領域では『じゃらん』のみが残った。
一方,『旅咲』『ブラーヴィ』『ブルータス・トリップ』はそれぞれ,この号が創刊号,
第 6 巻,第 2 巻と,比較的新しい雑誌であった。しかし,すべて2008年の秋から冬にか けての号で,それ以降の刊行が止まっている。これらの雑誌は,海外のディスティネー ション紹介を中心としたものであり,また比較的富裕層を対象としたものでもあった。
表 5 分類別2008年雑誌一覧
No 分類 1 分類 2 雑誌名
1 旅・一般 じゃらん
2 旅・一般 たびえーる
3 旅・男性 領域特化・バイク旅 ジパングツーリング
5 旅・一般 旅行読売
6 旅・一般 おとなのいい旅
10 旅・一般 旅の手帳
11 旅・一般 領域特化・街歩き 散歩の達人
15 旅・女性 旅
22 旅・男性 サライ増刊
25 旅・一般 地域特化・北海道 おとなのいい旅北海道
26 旅・女性 クレア・トラベラー
30 旅・一般 旅咲
31 旅・一般 ブラーヴィ
32 旅・男性 ブルータス・トリップ
36 旅・一般 アジュール
37 旅・一般 トランジット
4 生活・女性 クロワッサン
7 服飾・生活・女性 エッセ
8 服飾・女性 フィガロ・ジャポン
9 服飾・生活・女性 リー
16 服飾・女性 ヴェリィ
19 服飾・女性 グレース
20 服飾・女性 プレシャス
23 服飾・女性 エクラ
33 服飾・趣味・女性 ミセス
34 服飾・趣味・女性 婦人画報
35 服飾・趣味・女性 家庭画報
12 服飾・男性 サファリ
13 服飾・趣味・男性 インビテーション
14 服飾・趣味・男性 ゴーギャン
17 服飾・趣味・男性 エスクァイア
18 服飾・趣味・男性 リブート
21 服飾・趣味・男性 ブリオ
24 服飾・男性 オーシャンズ
27 服飾・趣味・男性 ランティエ
28 趣味・男性 駱駝
29 服飾・趣味・男性 ジー
発足したばかりでありながら,リーマンショック後の景気後退の影響を大きく受けるこ とになったと推測できる。
なお,『アジュール』はクルージング専門誌である。富裕層を対象とした雑誌ではあ るが,現在まで継続して刊行されていることが確認できている。『ジパングツーリン グ』はツーリング専門誌であるが,2009年 2 月に休刊している6 )。
2008年 6 月に旅行記事を掲載していた女性誌として,『クロワッサン』から『家庭画 報』までの11誌を入手したが,2009年にも継続して旅行記事が掲載されたのは『フィガ ロ・ジャポン』『ミセス』『婦人画報』『家庭画報』の 4 誌であり,残りの 6 誌には掲載 されていなかった。この 6 誌はいずれも女性誌としてよく知られたものであり,刊行は 継続されている。
一方,男性誌では11誌が旅行関連記事を掲載していたが,翌年も継続して旅行関連記 事を掲載があったのは『サライ』『オーシャンズ』『サファリ』の 3 誌であった。女性誌 とは異なり,残りの 8 誌はすべて休廃刊となっている。
以上のように,2008年 6 月入手した旅行関連雑誌,および旅行関連記事を掲載してい た雑誌37誌のうち,15誌が休廃刊に追い込まれている7 )。そのうち『駱駝』を除く14誌 が2008年秋から2009年 5 月までの間の休刊であった。『駱駝』についてはこの号を一旦 最終巻とし,11月号から『プラチナサライ』として再スタートしたが,2010年 3 月に廃 刊となった。いずれにしても,2008年秋以降の雑誌休刊の状況は凄絶なものであったこ とがうかがわれる。
② 2009年に新たに出現したもの
表 6 には表 5 と同じ処理を施した2009年の雑誌一覧を示している。ここでは,2009年 に新たに出現したものを中心に見ていく。
2009年に入手した28誌のうち,旅行関連雑誌は10誌であった。新しく登場した雑誌 は『大人の遠足』『フォートラベル』の 2 誌である。『おとなの遠足』は「歩いて発見!
季節を楽しむウォーキングマガジン」と銘打たれてり,表紙に記された特集タイト ルは「歩いて見たい世界遺産」「涼を求めて,水辺散歩」「夏山ウォーキング」である。
『フォートラベル』はウェッブ上の旅行クチコミサイトから生まれたトラベルコミュニ ティマガジンとされている。表紙に記された特集は「日本人の知らないイタリア」であ り,内容はイタリア・スロヴェニア・クロアチアを自転車で巡った旅の紀行,イタリア であっても日本人にはなじみのない場所アレッサーノのアグリツーリズモ(農業観光)
民宿で地元料理を習う旅の紀行などで構成されている。両誌ともに,「シニア世代の富 裕層をターゲットとして」というようなところからは離れた編集が試みられている。旅 行関連雑誌においては,2008年から2009年にかけて多くの雑誌が消える一方で,それま でとは異なる方針で編集される新しい雑誌も登場し始めたことがうかがわれる。
女性誌では,2009年に旅行関連記事が掲載されていたものは10誌であった。2008年 との違いに注目していくと,『グリッター』『オッジ』『ヴァンサンカン』は,20代から 30代の未婚,または既婚であってもまだ子どもがいない女性を対象としたものであり,
2008年に旅行記事が掲載された『ヴェリィ』『グレース』『プレシャス』『エクラ』に比べ,
対象年齢が若返っている。旅行特集タイトルも,「Oggi Hawaii special(『オッジ』)」
「MAUI SHOPPING FEVER(『グリッター』) と,ともにハワイである。『ヴァンサンカ ン』は「沖縄 女のための,女の楽園 リュクシーな旅」と,沖縄である。インドの新 しいリゾートとしてのマハラジャホテルの紹介や,エステや取り寄せグルメを用いて香 港の一流ホテル滞在を楽しむ方法を紹介した2008年の『プレシャス』『グレース』など の記事に較べると,いかにも端的でわかりやすい。また,女性誌は先にあげた『グリッ ター』『オッジ』『ヴァンサンカン』のように年齢やその他の属性によって措呈される対 象読者層のわかりやすいものが多いという傾向がみられたが,『アマレーナ』『ヌメロ・
トウキョウ』など,この傾向の外にある雑誌である。この 2 誌では,旅行関連記事が大 きな特集として扱われていた。付加すると,『アマレーナ』は雑誌コンセプトが「ヨー
表 6 分類別2009年雑誌一覧
No 分類 1 分類 2 雑誌名
1 旅・一般 じゃらん
2 旅・一般 旅行読売
4 旅・一般 旅の手帳
5 旅・一般 領域特化・街歩き 散歩の達人
15 旅・男性 旅サライ
21 旅・一般 領域特化・山歩き 大人の遠足
22 旅・女性 クレア・トラベラー
23 旅・一般 フォートラベル
27 旅・女性 旅
28 旅・一般 トランジット
6 服飾・女性 フィガロ・ジャポン
9 服飾・女性 グリッター
10 服飾・女性 オッジ
12 服飾・趣味・女性 ヨーロッパファン アマレーナ
13 服飾・女性 ヌメロ・トウキョウ
16 服飾・女性 ヴァンサンカン
20 服飾・女性 グラツィア
24 服飾・趣味・女性 ミセス
25 服飾・趣味・女性 婦人画報
26 服飾・趣味・女性 家庭画報
3 趣味・男性 サライ
7 生活・男性 サーカス
8 趣味・男性 ペン
11 趣味・男性 一個人
14 服飾・男性 サファリ
17 服飾・男性 オーシャンズ
18 服飾・男性 ウオモ
19 趣味・一般 ロハス ソトコト
ロッパを愛し知性を磨く女たちへ」であり,ヨーロッパブランドファッションと観光を 含めたヨーロッパ事情案内で構成されており,従来あった旅行誌と女性誌という領域区 分を取りはらったところで作りを行っている。『ヌメロ・トウキョウ』は雑誌コンセプ トに関する説明は何を行われていないが,ブランドファッショングラビアを多用したカ ラフルな誌面を通して,知的でファッショナブルで経済的にも余裕がある女性向けであ ることを示している。表紙に記された旅行関連の特集は「週末ソウル案内」「日本一オ モロい街 大阪ポップ」であった。
男性誌は 7 誌であったが,新たに登場したのは『サーカス』『ペン』『一個人』『ウオ モ』である。この中で,『ペン』『一個人』では旅行関連記事の特集に大きく頁が割かれ ていた。『ペン』は「やっぱり,鉄道は楽しい デザイン・時刻表・駅弁・模型…ほか」,
『一個人』は「保存版特集 坂本龍馬を巡る旅」がこの号の特集記事であった。『ペン』
『一個人』の特集の面白さは,旅行に関連する記事ではあっても,旅行特集として記事 が組まれているわけではない点にある。『ペン』の記事は「乗る」「見る」「知る」「楽し む」と,鉄道の面白さを様々な角度から示していくものとして構成されている。つま り,鉄道に乗って旅をすることではなく,鉄道そのものを遊ぶことに主眼が置かれてい るのである。『一個人』では坂本龍馬の生涯に関する記事と,龍馬ゆかりの各地の紹介 記事とで構成されており,旅は龍馬の辿った道を追体験し,より深く龍馬を知るための 方法である。このように初めに旅行ありきではなく,ある対象を深く楽しむことの中に 旅行や施設見学のようなレジャーが含みこまれていくという逆の展開を示している点が,
2008年の旅行関連記事とは大きく異なっている。
また,『ペン』も『一個人』も男性向けの趣味雑誌であるが,2008年秋から2009年の 春に消えていった雑誌群とは異なる点がある。たとえば『ランティエ』は「新高等遊民 マガジン」と銘打たれており,表紙に記された旅行関連の特集は「別世界の一泊二日 あの人と行きたい大人の旅 ランティエ厳選,17の極上宿と晩餐宿」であるが,趣味の 特集として「男の嗜みを学ぶ 私立神田高等遊民学校 中国茶入門 心ほぐれる贅沢 さ」である。また,『ゴーギャン』は「今日から始まる,人生の黄金時代」がそのキャッ チフレーズであり,旅行関連記事タイトルは「スペイン紀行 建築の美を訪ねて」であ るが,第一特集は「白州次郎 遊びのプリンシプル」であった。この特集にからめ,表 紙の左下隅には「遊びにもスジを通すのが大人の流儀」と印刷されている。
『ランティエ』『ゴーギャン』において趣味,あるいは遊びとは一つの態度であり,演 じるものとして表現されている。すなわち,洗練された大人の男らしさを演出するもの として,様々な知性や教養に裏打ちされた趣味の良さがあるという発想である。旅行関 連記事も,どのホテルを選ぶことが趣味の良いことであるか,どのディスティネーショ ンを選ぶことが趣味の良いことであるかという情報として提示されていると言えるであ ろう。
現状において趣味という言葉で一括りにしているが,『ランティエ』『ゴーギャン』に 見られるような「趣味の良さ」としての趣味と,『ペン』『一個人』に見られるような,
とことん楽しむ対象としての趣味とは異なるものである。
さらに,旅行とは異なる領域の雑誌から,旅の提案がなされるようになったことも 2009年における新しい動きである。『ソトコト』は「ロハスピープルのための快適生活 マガジン」と銘打たれた雑誌であり,エコロジカルなテーマを毎号の特集にしており,
特に性別に特化した雑誌ではない。この号の表紙に記された特集は「学びの大陸,北海 道!」であった。エコロジカルな生活を発信することの流れの中で,エコツーリズムを 発信していくことはむしろ当然の流れあるかもしれない。
このようにとりわけ男性誌では,はじめに旅行ありきではなく,ある特定の趣味やラ イフスタイルがあり,そこから派生する形で旅行が提案されるという形式が生まれてき た。
( 2 )2009年から2010年
表 7 には2010年の分類別雑誌一覧を示している。
2010年には旅関連の記事を掲載する雑誌が一気に増えた。その一因は,情報誌から街 歩きなどの散歩旅の提案が増える,山歩き,自転車等のアウトドア系の雑誌がソフト化 するなど,旅行関連雑誌とその周辺領域にある雑誌との境界が曖昧になったことである。
その最も典型的なものとして『ランドネ』があげられる。『ランドネ』は女性向けの アウトドア雑誌であり,「山ガール」の流行を支えた雑誌である。アウトドアファッショ ンから小物,アウトドアでの過ごし方,山歩き旅行のモデルコースなどを含め,女性向 の旅を提案している。この号の特集は「今年はもっとおしゃれに,キャンプ・インで楽 しもう かわいく野外フェス!」「パワースポットの島を旅する いまこそ,アコガレ の屋久島へ」であった。なお,この「山ガール」ブームに先導され,『岳人別冊 夏山』
『ヤマケイジョイ』のような登山専門誌の別冊も,ソフト化が図られていることが見て 取れる。とりわけ,『岳人別冊 夏山』では,特集は「全国,花の名峰を訪ねて」「雲上 のアルプスへ」であり,特別企画記事として「山上へロープウェイで一直線」というも のもあった。誌面にファッショナブルな女性登山者の写真も多く使われていた。
また,旅行関連雑誌において領域特化,地域特化したものが目立つようになったこと も要因の一つである。『鉄道ひとり旅ふたり旅』はこの号が第 1 号,『季刊京都』はこの 号が第 4 号と,この一年の間に新しく発行されたものである。同様に『ソウルトゥデ イ』も第 2 号である。しかし,『温泉博士』は平成 8 年に刊行が開始された老舗雑誌で あり,『大人のハワイ』は年 3 回の刊行で第14巻,『スッカラ』も毎月発行で53巻目にな るなど,それ以前から刊行されてきた雑誌も多い。新しく領域特化,地域特化した雑誌 が刊行されることと連動し,以前から領域特化,地域特化した編集を行ってきた雑誌も
表 7 分類別2010年雑誌一覧
No 分類 1 分類 2 雑誌名
1 旅・一般 じゃらん
7 旅・一般 旅の手帳
8 旅・女性 オズマガジン
20 旅・女性 スプーン別冊
27 旅・一般 旅行読売 別冊
35 旅・女性 クレア・トラベラー
38 旅・女性 フィガロヴォヤージュ*
39 旅・一般 フォートラベル
3 旅・一般 領域特化・温泉 温泉博士
25 旅・一般 領域特化・街歩き 散歩の達人 別冊
5 町情報・女性 街歩き ハナコ
18 町情報・一般 街歩き ミーツ・リージョナル
19 町情報・一般 街歩き 東京カレンダー
2 町情報・一般 イベント・施設 ファミリーウォーカー 14 町情報・一般 イベント・施設 夏ぴあ
33 旅・一般 領域特化・鉄道 鉄道ひとり旅ふたり旅 36 旅・一般 領域特化・クルージング クルーズ
28 旅・一般 地域特化・京都 季刊 京都
22 趣味・一般 韓国語 スッカラ
48 趣味・一般 韓流 ソウルトゥデイ
37 旅・一般 地域特化・ハワイ ハワイスタイル 45 旅・一般 地域特化・ハワイ 大人のハワイ
26 趣味・女性 山歩き ランドネ
42 趣味・一般 山歩き 岳人別冊 夏山
47 趣味・一般 山歩き ヤマケイジョイ
34 趣味・一般 アウトドア ビーパル 増刊
46 趣味・一般 自転車 自転車と旅
6 趣味・一般 フィットネス ターザン
29 趣味・一般 ダイビング マリンフォト 増刊
24 趣味・一般 ロハス ソトコト
4 生活・女性 クロワッサン
10 服飾・女性 エル・ジャポン
15 服飾・女性 ヴェリィ
16 服飾・女性 ドマーニ
17 服飾・女性 レイ
23 服飾・生活・女性 子どもファッション セサミ
40 服飾・趣味・女性 ミセス
43 服飾・趣味・女性 婦人画報
44 服飾・趣味・女性 家庭画報
9 趣味・男性 サライ
11 趣味・男性 男の隠れ家
12 趣味・男性 日経おとなのOFF
21 服飾・男性 サファリ
30 服飾・男性 メンズプレシャス*
31 趣味・一般 もの作り 職人モノ
13 一般 経済 週刊 ダイヤモンド
32 生活・一般 暮らしの手帳
41 一般 文芸春秋
* 『メンズプレシャス』はファッションを中心とした女性誌『プレシャス』の臨時増刊である が,男性向けに編集されたものなので,別の雑誌として扱う。
目につくようになってきたのであろう。
これ以外に目につく変化を二つあげておく。
まず,女性向けに特化した旅行雑誌においても変化が見られた。2010年以前からの女 性向けに特化した旅行雑誌としては『クレア・トラベラー』があった。また老舗旅行雑 誌である『旅』も,2008年,2009年には女性を意識した編集が行われていた。これは,
誌面に女性向けのファッションや小物を紹介する頁を設ける形で行われているが,掲載 されるものは『クレア・トラベラー』『旅』ともに,ハイブランドファッションであった。
しかし,2010年に入手した『オズマガジン』『別冊 スプーン』は,全く違う形で女性 向けの誌面作りを行っていた。『オズマガジン』には全くファッション記事はなく,特 集は「かわいい列車の旅」であった。かわいらしい誌面作りおよび提案する旅の内容に おいて「かわいい」と感じられるようにすることで,女性に特化した旅行雑誌を作ろう とする意図が見えた。また,『別冊 スプーン』は若手女優による旅をテーマにしたグ ラビア写真などが多く掲載されているが,そのファッションはハイブランドファッショ ンではなく,可愛らしさを感じさせるものになっていた。さらに,京都を舞台にしたア ニメ旅が紹介されるなど,従来の女性向け雑誌には見られなかった領域の旅の提案も あった。このように,女性向けの旅も海外高級リゾートかヨーロッパという図式から抜 け出したところで提案が行われるようになった。
次に,周辺領域を越えて,まったく異なる領域からも旅が語られるようになった。こ の例として,『職人モノ』をあげておく。「プロの手仕事に出会える&買える」がその キャッチフレーズであるが,「日本全国の手仕事を探して…」「日本の専門学校生がイ ンディアンの工房に弟子入り」「ものづくりで町おこし「すみだ地域ブランド戦略」発 信!」などの記事タイトルが並ぶ。ここには,「日本全国の手仕事」を探す旅もあれば,
銀細工技術を学びに行く旅もある。地域ブランド戦略は,そこに遊びに来てもらうため の地域側の努力である。このような観光客を誘致する側に焦点を当てた記事の出現も,
新しい傾向である。全体として,もの作りをめぐる多様な旅のあり方が見えてくる。
( 3 )2010年から2011年
表 8 は2011年の分類別雑誌一覧である。
2011年は,関東大震災とそれに伴う原発事故の後でありながら,旅行に関連する雑誌,
および旅行に関連する記事を掲載した雑誌数が,2010年以上に増加している。その傾向 は2010年を踏襲しており,山歩き等,アウトドア関連の雑誌や自転車,バイク等に関連 する雑誌がさらに増えている。また,日本文化,芸術,農業など,周辺領域や異なる領 域からの旅の提案が行われていることも2010年と同様である。
ここではまず,2010年から引き続き起こっている傾向の変化として,女性誌,特に女 性ファッション誌における旅行の提案方法に触れておく。そして,男性向けの趣味雑誌
表 8 分類別2011年雑誌一覧
No 分類 1 分類 2 雑誌名
1 旅・一般 旅行読売
3 旅・一般 じゃらん
4 旅・一般 じゃらん臨時増刊号
6 旅・女性 オズマガジン
8 旅・一般 旅の手帳
11 旅・一般 トランジット
23 旅・一般 旅行読売臨時増刊
35 旅・女性 クレア・トラベラー
38 旅・一般 カーサ ブルータス・トラベル
46 旅・一般 旅*
2 旅・一般 領域特化・温泉 温泉博士
7 町情報・女性 町歩き ハナコ
14 町情報・一般 イベント・施設 夏ぴあ 5 旅・一般 領域特化・バイク旅 バイク旅行
16 趣味・一般 バイク バイクジン
47 旅・一般 領域特化・自転車旅 自転車の旅人
32 趣味・一般 自転車 バイスクルナビ
49 趣味・一般 自転車 自転車人
33 旅・一般 領域特化・クルージング クルーズ
12 趣味・女性 山歩き ランドネ
28 趣味・一般 山歩き ピークス
40 趣味・一般 山歩き ワンダーフォーゲル
42 趣味・女性 山歩き ソラト
43 趣味・一般 山歩き 岳人別冊 夏山
48 趣味・一般 山歩き 夏山ジョイ
27 趣味・一般 アウトドア トランピン
30 趣味・一般 ダイビング マリンダイビング
31 趣味・一般 サーフィン ナルー
53 趣味・一般 サーフィン サーフライフ
39 趣味・一般 カヌー カヌーワールド
26 旅・一般 地域特化・京都 季刊京都
34 旅・一般 地域特化・ハワイ ハワイスタイル 45 旅・一般 地域特化・ハワイ 大人のハワイ 51 旅・一般 地域特化・ハワイ アロハウェーブ 56 旅・一般 地域特化・ハワイ アロハエクスプレス 54 旅・一般 地域特化・フランス フランスの旅
29 趣味・一般 日本文化 デュスカバー・ジャパン
50 趣味・一般 芸術 カーサ ブルータス
25 趣味・一般 ロハス ソトコト
18 趣味・一般 農業 田舎暮らしの本
36 趣味・一般 農業 自給自足
9 服飾・女性 フィガロ・ジャポン
10 服飾・女性 クレア
13 服飾・女性 グラマラス
15 服飾・趣味・女性 エフィル
17 服飾・女性 エル・ジャポン
20 服飾・女性 グラツィア
21 服飾・女性 ハーズ
22 服飾・女性 エクラ
37 服飾・女性 ナチュリラ
に簡単に触れた上で,最後に農業関連雑誌からの旅の提案を紹介しておく。
2010年,旅行関連記事が掲載された女性ファッション雑誌は『エル・ジャポン』『ヴェ リィ』『ドマーニ』『レイ』の 4 誌であった。『レイ』の特集は「ALL about 韓国」であり,
韓流芸能人,韓国コスメなど,韓流の特集に合わせ,ソウル旅行が紹介されているもの であった。『ヴェリィ』の特集は「ハワイの旅,現地調達ガイド」であり,ハワイのど のショップでどんなものが購入可能かという記事であった。この 2 誌の企画は,『スッ カラ』『ソウルトゥデイ』『大人のハワイ』『ハワイスタイル』など,韓国専門誌,ハワ イ専門誌が目立ってくることとも連動している。すなわち,韓国,ハワイは,一度は 行ってみたい遠い観光地ではなく,東京と同様に,大量の詳細なタウン情報やトレンド 情報が手に入り,多くの人が頻繁に出かけていく場所に位置づけを変えられようとして いることがわかる。なお,ファッション誌ではないが,『クロワッサン』の特集も韓流 特集であった。『エル・ジャポン』の特集は,「日本の島へ行きたい」であった。『エル・
ジャポン』は2011年にも旅行関連記事を掲載しており,その特集タイトルは「九州に行 きたい!自然と温泉とごちそうで自然のパワーをもらう」である。海外ブランドファッ ションのトレンドを紹介する雑誌でありながら,掲載された記事の旅行目的地は海外リ ゾートではなく,日本の離島,九州と意外に地味である。さらに,2010年の女性ファッ ション誌に掲載された旅行関連記事のうち,最も大きな変化を感じさせたのは『ドマー ニ』の「週末行くなら,とって来る旅,おとす旅 自分をチャージする!自分をデトッ クスする!」である。この雑誌は30代キャリア女性向けのものであるが,タレント,実 業家など14人の女性の旅を集めたものである。集められたものは,ごく日常的なリフ レッシュの旅であり,その旅先も熱田神宮(名古屋),芝公園(東京・港区)など,さ さやかである。
2011年にもハワイ,韓国は継続される。『クレア』の表紙には,そのまま「優しいハ ワイが待っている!」「別冊付録 最新クチコミ情報 ハンディ韓国BOOK」と,ハワイ,
韓国の両方が並んでいる。この他に『グラツィア』の特集は「大人だからハワイ島」で あった。また,ささやかを越えけなげでさえあるのが,『グラマラス』の「お金を使って,
ニッポン復興!いまこそ,大人の夏休み!」である。この記事の中心は「いまこそ,東 北,再発見の旅」である。20~30代未婚女性向けのファッション雑誌の旅行特集記事の
No 分類 1 分類 2 雑誌名
41 服飾・趣味・女性 ミセス
44 服飾・趣味・女性 家庭画報
52 服飾・趣味・女性 婦人画報
55 服飾・趣味・女性 和楽
19 趣味・男性 一個人
24 趣味・男性 サライ
*『旅』については,08年,09年は女性向けの編集が目立ったが,11年にはその色彩が薄まった。
タイトルが「お金を使って,ニッポン復興!」というのは,震災後の消費低迷状況の凄 まじさを反映しているのであろう。同様のものとして,『和楽』の「兼高かおるに学ぶ
「旅」の教科書」をあげておく。このタイトルには,「そろそろ,わたくしたちには「休 暇」という栄養が必要です」というキャプションが付けられている。ここからは,あ らためて旅の意義を説き,その振興を図っていこうという姿勢が見える。なお,逆に素 直に新たな海外ディスティネーションの紹介を行うという傾向ある。たとえば,『エク ラ』の「倉田真由美のスリランカ アーユルヴェーダ紀行」,『ハーズ』の「トスカーナ にセレブリティの隠れスパがあった!」等である。
男性向けに,広く趣味一般を扱う雑誌の数は,2009年は『ペン』『一個人』の 2 誌,
2010年は『サライ』『男の隠れ家』『日経おとなのOFF』 3 誌,2011年は『一個人』『サ ライ』の 2 誌と,2009年以降は一貫して 2 ~ 3 誌の間にあった。この分野の雑誌からの 旅行提案記事が急激に増加することがない理由として,芸術に特化したもの,日本文化 関連の特集を扱うものなど,より特化した形のものが現れることに起因する。いわば,
男性向けとされてきた旅の提案は,むしろそういったより領域特化した雑誌からの旅の 提案一般の中に吸収されていく傾向があると言える。
最後に,『田舎暮らしの本』をあげておく。この雑誌はいわばIターンサポートの雑 誌であり,キャッチフレーズは「日本で唯一の田舎暮らし月刊誌」である。その内容は 各地の物件紹介が中心である。旅行に関連する記事として,この号の表紙には「綴じ込 み付録 北海道ロングステイ完全ガイド」がある。もともとロングステイ用の施設は移 住検討者の生活体験向けに作られたものであるが,「ちょっと暮らしてみる」という旅 のスタイルもあり得るというのが,この特集の主旨である。ここでは,自分の生き方を 決めるための旅,あるいはその延長線上にある旅という,従来の観光旅行とはまったく 異なる旅のあり様が見える。
4 .まとめ
( 1 )趣味の意味の変化
2008年から2009年にかけて,旅行雑誌を含め,多くの雑誌が休刊においこまれた。中 でも,男性向けのライフスタイルマガジンにおいて,この傾向は著しかった。ライフス タイルマガジンでは,往々にして旅は重要なテーマであるが,その旅の対象とする地域 やテーマ,宿泊施設や食,その旅にふさわしいファッションや旅道具などを含め,経済 的にも知的にも成熟した大人の男性にふさわしい選択とは何かを提案していくような 形式がとられていた。いわば,ライフスタイルマガジンにおける趣味とは,「趣味の良 さ」といった言葉で表現されるような社会的態度を提案するものであり,そのような形 で消費を喚起する装置の役割を担っていた。