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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名 Maha Laksha Mudiyanselage Chandrika Dissanayake

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Academic year: 2021

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(1)

((別紙様式第7号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名 Maha Laksha Mudiyanselage Chandrika Dissanayake

審 査 委 員

主 査 伊藤 真一 ◯ 副 査 進藤 晴夫 ◯ 副 査 児玉 基一郎 ◯ 副 査 荒瀬 榮 ◯ 副 査 田中 秀平 ◯

題 目

Pathogenic variation, toxicity, and molecular characterization of Fusarium species isolated from wilted Welsh onion in Japan (日本国内の萎ちょうネギ から分離されたフザリウム属菌の病原性バリエーション、毒素生産、およ び分子生物学的性質)

審査結果の要旨(2,000字以内)

ネギ萎ちょう病(Fusarium wiltまたはFusarium basal rot)は、Fusarium oxysporum f. sp. cepae

(FOC)によって引き起こされる土壌感染病である。これまで、ネギは比較的FOCに対して抵抗性 が強いとされ、本病の被害はそれほど問題になっていなかった。ところが、2006年と2007年の夏 に、葉ネギ生産地において萎ちょう病に類似した病徴を示すネギ個体が多数発生し、被害の激し い圃場では枯死率50%以上を示した。本研究は、それらの病原菌の同定を行うとともに、分離し

たFusarium属菌の病原性分化の実態、異なる遺伝集団の存在、毒素生産能、および分子遺伝学的

手法による毒素生産菌の検出法について述べている。

1.萎ちょう症状を示したネギ個体から 53 菌株を分離し、それらをF. oxysporum (32 菌株)、

F. proliferatum (20 菌株)、およびF. solani(14 菌株)と同定した。これらの菌株の病原性 を明らかにするために、ネギ 5 品種の幼苗を用いて接種試験を行った。病原性は菌株間で大きく 異なっていたが、F. oxysporumはF. proliferatumおよびF. solaniに比べて強い病原性を示し た。このことから、主要病原菌はF. oxysporumであることが示唆された。F. oxysporumのなか でも、8 菌株(08、15、17、22、30、37、41、および 45)は他の菌株よりも強い病原力を示した。

これらの強病原性F. oxysporum 8 菌株の宿主範囲を調べたところ、Allium属植物にのみ病原性 を示したため、分化型は すべて f. sp. cepaeと考えられた。

(2)

2.F. oxysporum (32 菌株)間の遺伝的関係を明らかにするため、リボソーム DNA(rDNA)IGS 領域の部分的 DNA 配列を決定し菌株間で比較した。F. oxysporum 32 菌株は、4 つの遺伝集団(clade A ~D)を形成し、完全ではないものの、病原性の程度と進化系統との関係が示唆された。32 菌 株の交配型を調べたところ、すべてMAT1-1イディオモルフであったことから、これらの菌間では 交配は起こっていないことが推察された。本研究は、ネギに感染するF. oxysporumの遺伝的多様 性に関する初めての報告である。

3.F. proliferatum は、フモニシンなどのマイコトキシンを生産することから、重大な健康リ

スクになる可能性がある。そこで、ネギの植物体および種子からF. proliferatumの分離を行い、

全 20 菌株を得た。これらの菌株を培養し、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてフモ ニシン B1 生産能を調べたところ、13 菌株が、フモニシン B1 を生産することが明らかになった。

このことは、ネギ植物体および市販のネギ種子がフモニシン B1 を生産するF. proliferatumによ って汚染されている可能性を示唆している。本研究により、ネギの植物体および種子に感染ある いは付着しているF. proliferatumがフモニシン B1 を生産することが初めて明らかになった。

4.F. proliferatumはF. verticillioidesと形態が類似している。そこで、それぞれの種特異 的プライマーを用いた PCR、および mitochondrial small subunit (mtSSU) rDNA の塩基配列解析 によって種同定を試みた。その結果、本研究で分離したF. proliferatum分離株は、データベー スに存在するF. proliferatumの mtSSU rDNA と 96%以上の相同性を示したが、F. verticillioides や他の Fusarium 属菌との相同性は低かった。F. verticillioides 特異的プライマーとされる VERT-1/VERT2 およびF. proliferatum特異的プライマーとされる PRO1/PRO2 を用いた PCR 解析の 結果は、形態学的分類および mtSSU rDNA 塩基配列の結果と一致しなかった。これらの結果は、種 特異的プライマーを用いた PCR 解析のみでは、F. verticillioidesとF. proliferatumを誤認す る可能性があり、PCR によってF. verticillioidesおよびF. proliferatumを同定する際には注 意が必要であることを示している。

フモニシン B1 合成酵素遺伝子(FUM1遺伝子)を特異的に増幅するプライマーを用いて PCR を行 ったところ、フモニシン B1 生産株(13 菌株)はすべてFUM1遺伝子陽性で、フモニシン B1 非生 産株は陰性であった。本研究で用いたFUM1遺伝子を特異的に増幅する PCR 法は、フモニシン B1 を生産するF. proliferatumの迅速な識別において有益な方法と考えられた。

以上のように、本論文は、これまで実態が不明であった「ネギに感染して萎ちょう症状を引き

起こすFusarium属菌」の病原性、遺伝的多様性、および毒素生産能を初めて明らかにし、さらに

FUM1遺伝子を標的にした毒素生産性菌判別法の有用性も示したもので、高い学術的価値を有して いる。審査委員一同は、本論文を学位論文として十分な価値を持つものと判定した。

参照

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