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Non-invasive transplantation of bone marrow stromal cells for ischemic stroke: Preliminary study using a thermoreversible gelation polymer (TGP) hydrogel

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 長 内 俊 也

Non‑invasive transplantation of bone marrow stromal   cells for ischemic stroke: Preliminary study using a  thermoreversible gelation polymer (TGP) hydrogel

(骨髄間葉系細胞の虚血性脳卒中に対する非浸襲的移植法:

   温 度 感 受 性 ゼ ラ チ ン ポ リ マ ー を用 い た予 備 的 研究 )

学位論 文内容の要旨

目的

近 年、虚血 性脳梗 塞の動物 モデル に対して骨髄問葉系細胞(bone marrow stromal cell;

BMSC) を移植 することにより、神経機能の改善が見られたという研究が散見されている。

その移植方法は様々なものが試みられている。移植方法の代表的ぬものとして直接移植法、

経静脈的移植法、経動脈的移植法、髄腔内移植法などがこれまでの研究で報告されている。

直接移植は多くの研究でその効果が確認されているものの、脳組織へ直接細胞を移植するこ とは浸襲的であり、脳への新たな損傷をきたす危険性は否定できない。経静脈的移植や髄腔 内移植は理論上脳への浸襲は皆無であるものの、病変部周辺への細胞の集積が少なく、直接 移植に比べて、効率が悪いことが予想される。経動脈的移植は冠動脈を介しての心筋への移 植が多く報告されているものの、中枢神経系での報告は極めて少なく、その効果については 不確定な部分が多いため、今後の研究が待たれるところである。どの移植方法が最も安全か っより効率的であるかについては、いまだに明確な解答が得られていない。一方、近年細胞 と バイオマ テリアルを細胞の足場として損傷された組織の修復を図るという組織工学の分 野が盛んに研究されており、少ないながら中枢神経系でも同様の試みがなされてきている。

そこで、本研究ではこれまでの移植方法に変わる新たな試みとして、脳虚血モデルに対して、

細 胞 の 足 場 と し て 温 度 反 応 性 ゼ ラ チ ン ポ リ マ ー (thermoreversible gelation polymer;TGP)を 用 い たBMSC移植 方法を確 立させ 、その効 果につい て検討 すること を 目的とした。

方法

市販のTGP(商品名Mebiol gel;池田理科)に10%牛血清(FBS; Invitrogen,Carlsbad,CA, USA)お よ び ペ ニ シ リ ンG100 U/mlを 含 むDulbecco smodified Eagle smedium (DMEM;Nissu)を10ml加 え て4℃ の 環 境 で 一 晩 置 く こ と に よ . ル ゾ ル 状 と す る 。 ゾ ル状 と な ったTGPlmlに6週 齢GFPト ラ ンジ ェ ニ ック マ ウ スの 大 腿 骨か ら 採 取し 、 継 代 培 養 を3回 行 ったBMSC4x106cellsを 混入 し た 。室 温 で ゲル 状とな ったの ち上記培 養 液 を培養皿 に満た し37℃,C025%の条件 で培養を 行った 。培養液 は2日ごとに交換し2週 間後に螢光頭微鏡で観察した。

動物実験はBalb/cマウスの中大脳動脈永久閉塞モデルを用いて行った。BMSCはBalb/cマウ ス の大腿骨 から採取し、継代培養を3回行ったものを使用。移植の際に標識としてPKH‐26 に て染色を 行った 。中大脳 動脈閉 塞後7日後に梗塞巣と同側の頭頂部に開頭を加え(3mmx 5mm) 、 健 常 な 大 脳 皮 質 を 露 出 し た 。A群 をPBS50山を 脳 表 に滴 下 し た群 (N=6) 、 B群をBMSCとPBSの 懸濁液50山 (5x105ce11s) を脳表に 滴下した 群(nニニ6)、C群を4℃

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で ゾ ル 状 に し たTGPにBMSC4xl06 cellsを混 入 し たも の を 、細 胞 培 養用 のflexiPERM Disc (growth area,l.8 C1112; Greiner Bio‑One,San Francisco,CA,USA)を用いて0.5 ml の均一 な板状と し、1/4にカッ トしたもの(5xlos cells)を脳表に留置した群(N〓6)と した。 以上の3群をrotarod testを用い て神経学 的に評 価を行った。また、移植8週後に 堵殺し 、病理組 織学的 評価を行 った。TGP‑BMSCを留置し た脳表の炎症反応を調べるため にH‑E染 色 、GFヽ ロ 免 疫 螢 光 染 色 を 行 っ た 。TGP‑BMSC群 とBMSC単 独 群 で 脳 内 へ の PKH‑26陽性細 胞の細 胞数を比 較した。 また、 神経系マ ーカー であるNeuN,MAP‑2に よる 螢光免疫二重染色を行い、移植細胞のPhenotypeを評価した。

統計 学 的 手 法は2群 間の 比 較では対 応の無 いt検 定を用い た。3群間の 比較で はANOVAを 用いて、それぞれpく0.05を有意差ありと判断した。

結果

BMSCはTGP内 で2週 間 の間 、そ の形態 学的な特 徴を保持 しなが ら生存し 、増殖 をするこ とが確認された。

TGP‑BMSC群 ではTGPは 完 全 に消 失 し てお り 、 留置 し た 周辺の大 脳皮質に 炎症反 応は見 られな かった。BMSCは同側 の大脳皮 質内に 数多く認 められ たが、梗塞巣と反対側にも遊 走して いた。BMSC単 独群で も同様に 同側お よび反対 側にBMSCを認めることができたが、

TGPーBMSC群と比べると有意にBMSCの数が少なかった。

BMSCの 大部 分 はNeuNおよ びMAP2を 発現 し て おり 、 形 態 学的 に は 神経 細 胞 に類 似 して い た 。 本 実 験 で は3群 で 運 動 機 能 に お い て 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 考察

細胞移 植治療の際に様々な素材を細胞の足場として利用する試みは近年多く報告されてい る。数は少ないものの、中枢神経系に対する細胞移植でもこのような組織工学的な手法を用 いた研究が報告されてきている。

今 回BMSC移 植 の 際 の 足 場 と し てTGPを 使 用 し た が 、BMSCはTGP内 で 培 養 す る こ と が可 能 で あ り、TGP内 か ら 脳内 へ の 遊走 が 確 認さ れ た こと か らTGPがBMSCを 損傷 され た脳へ の移植際 に有用 な足場と なることが示唆された。TGPハイドロゲルは低温でゾル、

高温で ゲルとな る特異 的な性質 を持ち、これまで様々な細胞の3次元培養として用いられ ている素材である。

  本 実 験 のも う ー つの 新 たな発 見とし て、BMSCを健 常な脳 表に留置 するこ とにより 、 BMSCが損傷部へ遊走し、損傷部周辺で生着を示すことができた。

また、 留置したTGPは8週後 には完全 に消失 しており 、組織 学的に脳表の炎症反応を示す 所見も見られず、TGPによる組織毒性はなぃものと考えられた。

以上より中枢神経系へ細胞を直接移植する方法に比べて、新たに脳への損傷を加えることな く移植できる本研究の方法はより低浸襲といえる。

結論

脳梗塞周辺の健常な大脳皮質上に組織工学的手法を用いて外科的に移植することによって、

移植細胞単独群に比べて移植細胞の脳内への生着が増強された。本実験では神経学的な改善 が得られなかったものの、低浸襲な移植方法として、今後大きな期待が持てる移植方法であ ると考えられた。

本実験 で用いたTGPは 安全性が 高く、また取り扱いが比較的有用であることから、細胞の 足場として有用である可能性が示唆された。

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学位 論文審査の要旨 主査

副査 副査

教授 教授 准教授

佐々木 田中 飛騨

秀直 伸哉 一利

Non‑invasive transplantation of bone marrow stromal   cells for ischemic stroke: Preliminary study using a  thermoreversible gelation polymer (TGP) hydrogel

( 骨 髄 間 葉 系 細 胞 の 虚 血 性 脳 卒 中 に 対 す る 非 浸 襲 的 移 植 法 :   温 度 感 受 性 ゼ ラ チ ン ポ リ マ ー を 用 い た 予 備 的 研 究 )

  近年、 虚血性 脳梗塞の 動物モデルに対して骨髄問質細胞(bone marrow stromal cell; BMSC)を 移植す ることに より、神経機能の改善が見られたという研究が散見されている。

その移植方法は様々なものが試みられているがどの移植方法が最も安全かつ効果的である かについては、いまだに明確な解答が得られていない。一方、近年細胞とバイオマテリア ルを細胞の足場として損傷された組織の修復を図るという組織工学の分野が盛んに研究さ れており、少なぃながらも中枢神経系でも同様の試みがなされてきている。そこで、本研 究ではこれまでの移植方法に変わる新たな試みとして、脳虚血モデルに対して、細胞の足 場とし て温度反 応性ゼ ラチンポ リマー(thermoreversible gelation polymer;TGP)を用 いたBMSC移 植方法 を確立さ せ、その効果について検討することとした。方法は市販のTGP

(商品名Mebiol Gel゜;池田理科)に10%牛血清(FBS;Invitrogen,Carlsbad,CA,USA) およぴ ペニシリ ンG 100 U/mlを含むDulbecco smodified Eagle smedium(DMEM;Nissu) を10ml加え て4℃の環境 で一晩置 くこと によルゾ ル状とする。ゾル状となったTGPlmlに6 週 齢GFPトラ ン ジ ェニ ッ ク マウ ス 由 来のBMSC4Xl06 cellsを混 入 し た。37℃、C025% の条件 で培養を 行った 。2週 間後に螢光顕微鏡で観察した。動物実験はBalb/cマウスの中 大脳動 脈永久閉 塞モデ ルを用いて行った。Balb/cマウス由来のBMSCをPKH―26にて標識し 移植す ることと した。 中大脳動脈閉塞後7日後に梗塞巣と同側の頭頂部に開頭を加え(3mm x 5mm)、健常 な大脳 皮質を露出した。A群をPBS 50plを脳表に滴下した群(降6)、B群を BMSの 懸濁液50pl (5Xlos cells)を脳表 に滴下 した群(n 6)、C群をTGP―BMSC(5Xl05 cells)を脳表 に留置 した群(N=6)と した。以 上の3群をrotarod testを用いて1週間毎 に評価を行った。また、移植8週後に堵殺し、病理組織学的評価を行った。H―E染色、GFAP 免疫蛍光染色、TGP―BMSC群とBMSC単独群で脳内へのPKHー26陽性細胞の細胞数を比較、神 経系マーカーであるNeuN,MAP−2による螢光免疫二重染色を行った。統計学的手法は2群問 の比較では対応の無いt検定を用いた。3群問の比較ではANOVAを用いて、それぞれpく0.05 を有意 差ありと 判断し た。結果 はBMSCがTGP内で2週間の間、その形態学的な特徴を保持

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しながら生存し、増 殖をすることが確認された。TGP―BMSC群ではTGPは完全に消失してお り、留置した周辺の 大脳皮質に炎症反応は見られなかった。TGPーBMSC群で有意に多くの BMSCが病変周囲に集 積していた。BMSCの大部分はNeuNおよぴMAP2を発現して おり、形態 学的には神経細胞に 類似していた。本実験では3群で運動機能において有意差は認められ なかった。本実験で 用いたTGPは安全性が高く、 また取り扱いが比較的有用であることか ら、細胞の足場とし て有用である可能性が示唆された。

  公開発表において 、副査の田中教授から、コントロールとして懸濁液を用いているが、

フィブリンやマトリ ゲルなどをコントロールとして使ったほうがよかったのではないかと いう指摘と今回の神 経学的評価の時期についての質問があった。次に、副査の飛騨准教授 から、TGPが体内で消失する時期、TGPを用いることによりBMSCの数が増加し た機序につ いての質問があった 。さらに神経学的有意差が出なかったことにっいての考察を求められ た。最後に主査の佐 々木教授から、BMSCの移植方法、移植部位の環境により分化の形は変 わるのかという質問 があった。約30分にわたり活発な質疑応答が行なわれ、いずれの質問 に対しても申請者は 自らの研究に基づく経験や過去の論文の内容を引用し、適切な回答を した。

  この論文はBMSC移 植方法の新たな手法としての可能性を示し、TGPというこれまで中枢 神経系で用いられた ことのなぃ素材を使用しているところが優れており、再生医療の実用 化に向けて基盤とな りうる有意義な研究である。

  審査員一同はこれ らの成果を高く評価し、申請者が博士(医学)の学位を受けるのに十 分な資格を有するも のと判定した。

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参照

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