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[総説]県産資源の有効活用による産業振興を目指して : 機能性評価と利用法開発: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Title

[総説]県産資源の有効活用による産業振興を目指して : 機

能性評価と利用法開発

Author(s)

豊川, 哲也; 吉田, 安彦; 鎌田, 靖弘; 花城, 薫

Citation

南方資源利用技術研究会誌 = Journal of the society tropical

resources technologists, 17(1): 9-17

Issue Date

2001-10-01

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/14178

(2)

南方資源利用技術研究会誌 Vol.17No.1 9-17 2001

県産資源の有効活用 による産業振興 を目指 して

-機能性評価 と利用法開発 一

豊 川 哲 也 *・吉 田 安 彦 *ヰ・鎌 田 靖 弘+.花 城 薫‥

'沖縄県工業技術セ ンター、**沖縄 県産業振興公社 健康 ・長寿研究セ ンター

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TetsuyaToyokawa*,YasuhikoYoshida*辛

YasuhiroKamada*,KaoruHanashiro**

*OkinauJaIndustrialTechnologyCknter, HHealEhandLongevityResearchCenter

Keywords:機能性評価、県産資源,DNAチ ップ

はじめに

沖縄 県は、 日本 で唯一熱帯・亜熱帯地域 に位 置 してお り、東洋のガ ラパ ゴス と呼称 され るほ ど生物資源 に恵 まれ た地域である。 また、沖縄 県は世界有数 の長寿地域であ り、県民の健康 ・ 長寿 が、沖縄 の伝統的かつ特徴 的な食 事 ・食材 に起 因 してい る と指摘 されてい る。筆者 らは、 こ うした豊かな資源 を活用 して健康増進 に資す る機能性食 品お よび化粧 品や 医薬原料 な どの機 能性素材 を開発 し、沖縄県の産業振興 に寄与 し たい と考 えてい るO これ を達成す るためには、 (む県内に存在す る生物 資源 の総合的な収集 ・保 管 ・管理 、② 生物 資源 の機能性評価 テーブル の 作成 とデー タベー ス化 、③ 商品化 を見据 えた生 物 資源 の選択 と加 工 法 の 開発 とい う3段 階 が 必要だ と考 えてい るo また、商品化 には個 々の 企業 との共 同研究 を前提 として行 うべ きだ と考 書沖縄 県具志川市字州崎12-2 '書沖縄 県具志川市字州崎5-1 トロピカルテクノセンター内 図1 県産資源 を活用 した産業振興へのアプ ローチ えてい るO 以上 の考 え方 を、 図1に示すO 本 稿 では、筆者 らがこ うした考え方の下に進 めて きた研究 について、主 に機能性評価 を中心に述 べ る。 県 産 資 源 の 収 集 ・保 管 ・管 理 植物や動物 な どの機能性 を検索す る場合、 こ れ らを乾燥 ・粉砕 し適 当な溶媒 で抽 出を行 う必 要がある。機能性物質 は安定な ものばか りとは

(3)

図2 ア ンジオテ ンシン変換酵 素 阻害 によ る血 圧上 昇抑制 の メカニズム 限 らず、熱や酸によ り分解 された り、保存期間 中に活性が失われてくる場合が多々認められ る。 また、再入手 した試料の活性 が思わ しくない と いったことがあるため、原試料の保存 は非常に 重要である。筆者 らも、凍結原料、乾燥粉砕物、 抽出液の3段階での保存を心がけるようにしてい る02000年 6月現在で、工業技術センターにおけ る保有資源数は約300種 となっている。この数字に おける多寡の議論の 目安 として製薬業界 と比較 し てみると、国内の製薬企業は約10万件程度の試料 を保管 してお り、新薬の開発には数万件のスクリー ニングを行っているL,このため、製薬業界では検 索の速度および効率を上げるための技術、すなわ ちロボット化やアッセイ高速化等のハイスループッ トスクリーニング(Highthroughputscreening) -の取 り組みがなされているC我々の場合、マン パワーや資金面の問題など製薬業界に太刀打ちす べ くもないが、特色あるローカルな資源に限定 し 収集を行 うことできめ細やかなケアが可能 となると 考えている。たとえば季節や場所または部位によ り、抽出液の活性が異なることは広 く認められる 現象であるが、海藻のイシノ-ナやアオモグサ等は 採取場所の異なるサンプルを、ベニバナポロギクや グワバ等は、採取土壌や収穫時期および栽培方法 の異なるサンプルを保有 している。筆者 らは、沖 南方資源利用技術研究会誌 縄県の資源に特化することで使い勝手の良い、ユ ニークな資源 ライブラリーを構築する事が可能で あると考えてお り、最終的な試料数について数千 を目処に収集 しようと考えている。 機能性評価法 植物や動物か ら得 られた抽出液の機能性は、 大別 してマ ウス ・サル ・ヒ ト等の個体 を用いた invizJoの試験 と、化学試薬 ・酵素 ・細胞等を用 いたinvitroの試験 で評価 され るO個体 を用 い た試験は、結果 (作用 に対す る応答 )が明瞭で あるとい う利点があるが、その作用機構の解 明 が難 しい こと、試験 に長期間を要す ること、定 量性や再現性 に乏 しい こと等の問題があるO ま た、動物愛護団体 らの反対運動の高ま りによ り 軽 々に動物試験 を実施す ることは難 しくなって きていることか ら、代替試験、使用数の削減、 苦痛の軽減が強 く求められ るようになっているe invitroの試験 は、作用機構 が明確 であ り、迅 速 ・簡便に実験が可能であること、定量性や再 現性 に優れている等の利点があるが、個体の試 験の場合 とは逆に、ある特定の生命現象に至る 過程の一部 を観察 しているに過 ぎないことに留 意す る必要がある.本稿では、筆者 らが実際に 測定 してい るinm'troの測 定 を中心 に解説す る が、化学反応、酵素反応、細胞 内情報伝達、遺 伝子発現な ど様々な手法を採用 してお り、動物 試験では得 られない情報 を読み とることが可能 である。要はVitro、 vivoどち らが重要かではな く、 目的にあわせて最適な試験 を実施す ること であ り、そのためには様 々な角度か らの検討が 必要であるO

アンジオテ ンシン変換酵素阻害活性

ア ンジオテ ンシ ン変換 酵素 (ACE) 阻害活 性 =)は、血圧上昇抑制 の指標 となる活性 であ る。 高血圧症 は、現在 我 が国の人 口の約20% にあた る2,000万人 が雁患 してい る とされ てい る。高血圧 は、脳疾患および血管障害の重要な 因子であ り血圧 を適正に管理す ることは、生活 1

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0-Vol.17No,12001 血*岳上井の抑制 図 3 糖類分解酵素阻害による血糖値上昇抑制のメ カニズム 習慣病 を予防す る上で非常に重要 である。 図2 に

ACE

阻害 に よる血圧上昇抑制 の機構 を示す。 強 い血圧上昇作用 を有す るア ンジオテ ンシンⅠⅠ は、肝臓 か ら放出 され るア ンジオテ ンシ ノーゲ ンを出発 点 と した経 路 上 で

ACE

に よ り生成 さ れ る

。ACE

を阻害す る こ とに よ り、 ア ンジオ テ ンシンⅠⅠの生成 が抑制 され るこ とか ら、血圧 上昇抑制が達成 され る。本活性 を検索 した結果、 パパイ アの未熟果、 トウフ ヨウ、 リュウキュウ ヨモギ等 に強い活性 が認め られ た。興味深 いこ とに、パパイ アの熟黒 は さほ ど強い活性 を示 さ なかったV沖縄 では、未熟のパパイアが夏場 の 重要な野菜 として利用 され、熟異 を食べ るこ と はほ とん どない。 これ は、先人の叡智 をかい ま 見た よ うで、非常 に興味深い結果 である。 糖 類 分 解 酵 素 阻 害 活 性 糖類 分解 酵素阻害活性7 9'は、血糖 値上 昇抑 制 の指標 となる活性 である。我 が国のよ うに飽 食 にある国では、食べ過 ぎによる疾病 が問題視 されてお り、生活習慣病 の最大の リス クファク ター ともいえる糖尿病 の予防に対す る必要性 が 指 摘 され てい る。 40歳 以上 の人 で は10人 に1 人 が糖尿病患者 であ り10)、糖尿病予備軍 を含 め る とそ の総数 は1,300万人 と推計 され てい るこ とか ら、糖尿病 を予防 ・治療す るこ とは現代 日 本社 会 におい て大 きな意 味 を持 つ 。 図3に糖 類分解酵素阻害に よる血糖値上昇抑制の機構 を 示す。米や麺類等 を食 べる と、食 品中のデ ンプ ンはα-ア ミラーゼやマル ターゼ等 の消化酵素 によ りブ ドウ糖 に分解 され るっ また、ケーキ等 のよ うに砂糖 を多 く含む食 品では、スクラーゼ とい う酵素が砂糖 をブ ドウ糖 と果糖に分解する。 生 じたブ ドウ糖 は、腸管壁 か ら吸収 され血 中に 移行 し血糖値 が 上昇す るC これ ら消化酵素を阻 害す るこ と、すなわ ち消化吸収 を遅延 させ るこ とで食 後高血糖 を制御す るこ とが可能 であるO 筆者 らの試験 では、 シー クワ-サーや ボタンボ ウフウにα-ア ミラーゼ活性 が認 め られたo ま た グワバ の葉 にマル ターゼ阻害活性 お よび スク ラー ゼ阻害活性 が認 め られ 、 これ は既報7)と一一一 致 した結果 であった‖ 抗酸化活性 抗酸化活性 は、老化や病気の予防につ ながる とされ てい る活性 である(,我 々 ヒ トを含む多 く の生物 は酸素 を利用 して生命の維持 を図ってい るが、酸素 を利用す る過程で生成 され るフ リー ラジカルや活性酸素が、脂質の過酸化 ・老化 ・ 発 がん ・循環器疾患な どと深い関わ りを持 つ こ とが指摘 されてお り、 日常的に摂取 され る食 品 中に含 まれ る抗酸化物質 が注 目を集 めている。 抗酸化活性 では、 フ レンチパ ラ ドックス とワイ ンポ リフェノールの関係 が もっ とも有名であろ うO フランス人は、喫煙率 が高 く脂肪 の摂取量 が多いに も関わ らず心疾患 が少 ない原 因が、 ワ イ ンに含 まれ るポ リフェノールの抗酸化活性 に ある とい う説 であるO抗酸化活性の測定法は、 TBA法 、 ロダン鉄法、ESR測定等=数多 く考案 され てお り各法 ともに特徴 があるが、我 々は迅 速測定の必要があ ったため

、DPPH

法L2-を採用 した。沖縄県産の食 品で注 目すべ きは、スクカ ラス と紅イモに強い活性 が認め られた こ とであ るO これ らは、現在 の高齢者 が主食 お よび副食 物 として摂取 して きたものであ り、伝統的食材 のすぼ らしさを示す ものである。 しか しなが ら、 今 日の社会生活 においてイモ とス クカラスを常

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南方資源利用技術研 究会誌 表1 細胞1000個あたりのメラニン量 サ ンプル 名 細胞1

0

(

氾個あたりの メラニン量(〃g) ヒハチ 0.28 バガス 0.52 コウジ酸(Control) 0.53 食 と して取 り入れ ることは不可能 であろ うO伝 統食材 を活用 し、現代社会 にマ ッチ した加工法 の開発 が待たれ るものである. メラニ ン合成阻害活性 皮膚 の褐色化す なわち 日焼 けは、紫外線 によ り表皮基底層 の メラノサイ トが活性化 され 、 こ れ によ りメラニ ン生産 が過剰 になるために引き 起 こされ る現象であるO活性化 され たメラ ノサ イ トは増殖や メラニ ン生産 を活発 に し、ケ ラチ ノサイ ト- メラニ ンを合成す るメラノゾ-ムを 転送 し肌 の褐色化 が引き起 こされ る(,老人性斑 紋やいわゆるシ ミは、恒常的にメラノサイ トが 活性化 され ている異常な状態 であるためメラニ ンが過剰 に生産 され、周辺の正常な組織 に比べ 黒 く見える。 メラニンの合成 阻害活性 は、チ ロ シナーゼ阻害活性 を測 定す る方 法1,I)と、 メ ラ ニ ンを生産す る細胞 を用 いて測定す る方法1416) がある.,筆者 らは、マ ウス黒色腫 由来のB16細 胞 を使用 して メラニ ン合成阻害物質 を検索 して い るuその結果 、 ヒハチやバ ガスの抽 出液 に メ ラニ ン合成 阻害活性 が認 め られ た (表1)。 こ れ ら抽 出液 は、ポジテ ィブ コン トロール の コウ ジ酸 とよ りも強い活性 を示す こ とか ら、今後精 製 を行 うこ とによ り、 コウジ酸 よ りも比活性 の 高い物質 を得 るこ とができると考 え られ る。 選択的細胞毒性 ガ ン組織 由来細胞 に致 死 効果.7)を示 し、 正 常細胞 には影響 を与 えない物質 を探 し当て るこ とによ り、ガ ン治療 な らびに予防効果 が期待 さ れ る。筆者 らは、培養液 に県産資源 の抽 出液 を 添加 して細胞 培養 を行 い

、MT

Tア ッセイ に よ り正常細胞 とガ ン細胞 の生存率 を比較す る手法

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希釈率

図4 アカバウミウチワの選択的細胞毒性 書

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>. 「一 ≡ 図5 アブリンと各種培養細胞との相互作用 を用いてい る26),,組織別 には、肺 、肝 、皮膚、 胃をターゲ ッ トとして、それぞれ の正常細胞 お よび ガ ン細胞 を用 い てい る。 図4に海 藻 の一 種であるアカバ ウ ミウチ ワ抽 出液 の場合 を示 し てあるが、皮膚 ガ ン由来 の細胞 に対 しては強い 毒性 を示すのに対 して、正常皮膚 由来 の細胞 に 対 してはほ とん ど毒性 を示 さない こ とが認め ら れ た。その他 ガ ン細胞特異的な致死効果 を示す 抽 出液 が 、皮膚 ガ ン細胞 にお いて10種 、肺 ガ ン細胞 におい て4種 、肝 ガ ン細胞 におい て15 種確認 され た。 ここではデー タは示 さないが, 興味深い こ とに皮膚 、肺 、肝臓各部位 で効果 が 見 られた生物資源 に重複 が見 られ なか った。つ ま り、今回 ピックア ップされ た生物資源 が有す 1

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2-Vol.17No,12001 ケミカルメディエーターの放出

0

アレルギー・炎症 図6 アレルギー発症機構 る抗腫癌活性は部位特異的である可能性があるO 特 に、肺胞上皮ガ ン (腺ガ ン)は化学療法や放 射線療法に対す る感受性があま り期待できない とされ ることか ら、肺胞上皮ガ ンに対応す る培 養細胞A549において、 い くつ かの生物 資源 に 致死効果が期待 され ることは重要である。 白血病の早期診断 細胞表面は糖鎖 で覆われているが、 この糖鎖 は細胞のガ ン化 によ り変化す ることが知 られて いる。 この変化 を検出す ることで、ガ ンの早期 診断が可能である。筆者 らは、 トウアズキの種 子か ら得 られ るアブ リンとい うタンパ ク質 を用 いて、糖鎖 の変化 を検 出す るシステム18-19)を開 発 してい る。 図5には、 T細胞 系の 白血病 由 来細胞 に対す るアブ リンの反応強度 を示 してあ る。アブ リンは成熟 した細胞 にはほ とん ど反応 せずに、幼君 な細胞 に対 して強い相互作用 を示 す。我々の体 は、運動 を司る筋 肉、情報の伝達 と統合 を行 う神経、外部 と自己を隔てる皮膚等 のよ うに特定の機能 を獲得 した成熟 した細胞か ら構成 されている。 こ うした細胞 は、むやみや た らに増殖 した りは しない。一方、ガ ン細胞 と は脱分化 によ り幼若化 し増殖能 を回復 した細胞 ととらえることができるため、幼若化が腫癌マー カーのひ とつになると考え られている。アプ リ 図7 パインアップル抽出物の神経突起成長作用 (a;神経細胞.b;添加前.C;添加後) ンは レクチ ンと呼ばれ る糖鎖 を認識す るタンパ ク質群のひ とつで、 レクチンにはた くさんの種 類がある。 これ らレクチ ンを詳細に解析す るこ とで、様 々な細胞診断が可能 になると考えてい る。

抗アレルギー活性

ア レルギー とは、 自己を防御す るはずの免疫 系が、逆に 自分 自身の組織 を破壊 して しまい 自 己に悪影響 をもた らす現象である。ア レルギー の原因については外的要因による場合、すなわ ち花粉、ダニ、排気ガス、- ウスダス ト、食品、 化学物質等 によるもの と、内分泌系や神経系の 異常による内的要因の場合、すなわちス トレス による免疫 グ ロブ リンE(IgE)の過剰産生、体 内寄生 虫の徹底的排除、冷暖房な どによる体温 調節の異常な どが挙げ られている。ア レルギー は反応機構 か ら4つ に分類 され るが、現在 、 問題 となっているのは主に Ⅰ型ア レルギーであ り、 その発症機構 を図6に示す。 ア レル ゲ ン が身体 の中にはい ると、免疫系 はIgEを産生す る。IgEはマス ト細胞 の表面の レセ プター と結 合 し、 さらにア レルゲ ンとブ リッジ状に結合 し た状態になると、マス ト細胞か らロイ コ トリエ

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ンや ブ ロスタグラジン等のケ ミカル メデ ィェ-クーが放出 され炎症 を引き起す20)、21'。 このケ ミ カル メディェ一夕-の生成や放 出を押 さえる抽 出液が存在す るか どうか.RBL2H3とい う細胞 を用いて検索 した ところゲ ッ トウや海藻類 の一 部に活性が認め られ、抗ア レル ギーや抗炎症作 用の期待が もたれた。

神経突起成長活性 (

抗痴呆活性)

元来 、 人間の脳 には140-150億 の神経細胞 があ り、その成長 は胎児の時に既 に完了 してい る。出生後は神経細胞が分裂能を持たないため、 その数は生涯増殖す ることはな く、学習や経験 によって神経突起 (神経網 )が絡 ま り密度 を増 す。 しか し、加齢 と共に神経突起の成長は遅延 し、さらに神経細胞 の死滅は加速す ることで、 脳の萎縮 (蘭慢性萎縮 )が起 こ り "ボケ"が生 じる州nそのため、神経突起成長活性 の増加 は 痴呆症の予防に大きく関係す る と予想 され る。 我々は,培養細胞 を用いて神経突起成長活性 を 有す る生物資源のスク リーニ ング検索を行 って い る。 すなわち、ラット副腎由来の神経様細胞 (PC12)を用いて、神経突起成長性 (神経成長 因子 と同様の働 きである突起 を成長 させる機能) を、まず位相差顕微鏡下で確認 し、それに伴 っ て増加す るアセチル コ リンエステ ラーゼ活性 を 測定す る. この酵素は神経伝達物質であるアセ チル コ リンを加水分解 し消去す る機能 を有 し、 コ リン作動性 シナ プスに存在す るo PC12細胞 においては、突起成長 と連動 してこの酵素活性 が増加す ることが認め られてお り、突起成長 に 伴 うコリン作動性 シナプスの形成が予測 され る。 本 スク リーニング検索の結果、パイ ンア ップル を初め とす る数種のサ ンプル 中で本活性 を有す るものが見つかった (図 7)。今後、本活性成 分を突き止 めることは、医薬品関連や健康食 品 関連において興味深い知見になると考えられた。

DNA

チ ップを用いた生理活性の探索

これ まで述べてきた機能性評価法は、単一の機 - 14 南方資源利用技術研究会誌 能性 を多数のサ ンプル について検討 し、その中 か ら有望な資源 を選択す る とい う手法を採用 し ている。 これ は、多数のサ ンプル を前 もって用 意 しルーチ ン的に試験 を行 うには最適な方法で ある。逆に、特定のサ ンプル についてどうい う 機能性 があるのかを検討 したい場合、各活性 を 順 に調べ ることは準備 に時間を要 した り、試薬 を無駄に した りと効率的な方法であるとはいえ ない。 そ こで我 々は

,DNA

チ ップ と呼ばれ る 装置 を用いて,この逆か らのアプ ローチの可能 性 を検討 したい と考えている。 ここでは、比較 的新 しい技術 で ある

DNA

チ ップについて、機 能性検索法およびその他の可能性 について解説 す るo

DNA

チ ップについて

外界の環境 が変化 した場合、生体は何 らかの 応答 を示す。その応答の多 くは、刺激に対応す るタンパ ク質の合成量増減 である。つ ま り生体 を構成 しているタンパ ク質の合成量は普遍的で はな く.状況に応 じて変化 し、生体 は暴露 され ている環境 に適応 しよ うとす る。一方、タンパ ク質は細胞 内の核 に存在す るデオキシ リボ核酸

(

DNA)

の配 列 を基 に合成 され るが 、 最初 に

DNA

の配列が リボ核酸

(

R

NA)

に写 し取 られ, 核外に移動、タンパク質合成工場であるリボソー ム- と運 ばれ る こ とが解 ってい る。 この

RNA

DNA

の情報 を核外 の リボ ソー ムに伝達す る こ とか らメ ッセ ンジャー

RNA(

mR

NA)

と呼ば れていて、その存在量 を調べ ることで、刺激に 対 して細胞 内で どのよ うな応答が起 こっている かを知 る事ができる。従来の方法では主にタン パ ク質 (酵素等 を含む)の存在量 を測定 し、生 体の応答 に関連付 けていたが、対象 タンパ ク質 が "いま"作 られたのか どうか判断す ることは 困難であるD しか し

、mRNA

量 を追跡す る発現 遺伝 子解析 法 で は、 mRNAの存在 時 間の短 さ (役 目を終 えると迅速 に分解 され る)ゆえに、 検出結果が細胞 内の状態 を リアル タイムに反映 していると考え られてい る。すなわち、環境の

(8)

Vol.17No.12001 動物試験 の

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ヒト細胞の 遺伝子

現 情 報 遺 伝子発現

相 関性解

一 機 能 予 測 法 の確 立

-迅速な機能性評価

図8 DNAチップを用いた機能性評価 変化 (薬物 の投与等 )に対す る生体 の応答 を詳 細 に調査す るには、発現遺伝 子の解析 が不可欠 である, 近年 の研 究か らヒ トの遺伝 子数 は3万種類前 後 といわれ てい るが、細胞 内の遺伝子は全てが 活性化 しているのではな く、細胞 の種類や状況 等で発現 している遺伝子に違いがあることが解 っ てい る。 また遺伝子 は単独 で機能 してい るので はな く、複数 の遺伝子 が同時 に発現 を増減 させ て複雑 な生命現象 を構築 してい る と考 え られ て い るO ところが従来の発現遺伝子解析法 として の ノーザ ンブロッ ト法やディファレンシャルディ スプ レイ法では同時解析可能 な遺伝子 が少 ない ので、細胞 内の状況 を遺伝子 レベル で調査す る 場合、総括的に捉 えるこ とができなかった。一 方 、 こ こ数 年 で急速 に発 展 した新技術DNAマ イ ク ロア レイ (DNAチ ップ )法 ではス ライ ド ガ ラス等 に数千か ら数万種類 の遺伝 子 を配列 さ せ て い る。 そ の ア レイ に検 体 か ら抽 出 した mRNA由来 の標識RNAを振 りかける と、配列 が 一致 した ものは結合す る。結合 しなかった もの を洗い流 して解析装置でスキャンす る と、遺伝 子 の存在量 に相 関 した蛍光強度 によ り発現量 を 測 定す る こ とがで きるC この よ うにDNAチ ッ プを用い る と、同時 に多数 の遺伝子の発現量 を 測定す るこ とができ、細胞 内にお ける発現遺伝 子 の網羅 的観測 が可能 となっただけでな く、従 来の発現遺伝子解析法 と比較 して一一遺伝子 あた りの コス トを飛躍的に減少 させ ることが可能 と な った。 ま た、DNAチ ップは非常 に高感度 で あ るの で 、 ヒ ト遺伝 子 の-塩 基 多型 (Single NucleotidePolymorphisms:SNPs)の検 出に利 用 され た り、食 中毒 関連 の細 菌DNAを多数 、 チ ップに張 り付 け、汚染検査等への活用 が期待 され てい る。 DNAチ ップ を用 い た 機 能 性 評 価 DNAチ ップを機能性評価 に応用す るには

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vz'vo試験 にお ける遺伝 子発現状況 と、 ヒ ト培養 細胞 を用 い たin vdroの試験 につ いてデー タを 蓄積 しなければな らない。 この遺伝子の発現プ ロフ ァイル か ら機能性 を確認す る方法 (図8) は十分確 立 され た とは言い難いが、国内では代 表的な疾病 ご とに研究機 関を指定 し、DNAチ ッ プ解析デー タを収集す るプ ロジェク トや、米国 で も各臓器の正常細胞 にお ける遺伝子発現 プ ロ ファイル をデー タベース化す る動 きがあ り、 こ うしたデー タベー スを活用す るこ とでDNAチ ッ プ解析 デー タか ら素材 の持つ未知 の機能性 を予 測す るこ とが可能 になる と考え られ る。 また、 発現 遺伝 子 を網 羅 的 に観 察 で き るDNAチ ップ を用 い るこ とによって、従来の方法では予測 で きなか った副作用等 を予測す ることも可能 にな る と考 え られ、実現すれ ば コス ト削減 (副作用 が予測 され る素材 はスク リーニ ング初期 で排除 できる)や動物試験 の実施 を減 らす こ とも可能 にな るであろ う。本手法は、豊富な生物資源か ら有用 な素材 を探索す るス ピー ドを上げるには 非常 に有効だ と考 え られ るo DNAチ ップ の 観 光 産 業 へ の 利 用 沖縄県には他 県にない 自然環境、食文化等が 存在 し、それ らが健康 ・長寿 を成す要因の一つ

(9)

である と言われ てい る。一方、遺伝 子の発現 を 調節す る要田の一つ に、生体 が置かれ てい る環 境 が関わってい る と考 え られていて、例 えば沖 縄 に滞在 し、沖縄食 を摂取す ることによって体 内の遺伝子発現 のパ ター ンが変化す るこ とは十 分に考 え られ る‖沖縄 での滞在 がス トレスの減 少や免疫機能活性化 に好影響 を与 えてい る とい う報告 もあるが、その他 にも現象 として現れ に くい効果 をDNAチ ップで調査 し、"滞在 型"沖 縄観光の価値 を上げ ることが可能 であろ うo おわ Uに 様 々な機能性評価 法について述べて きたが、 我 々の最終 目標 は機能性県産資源 を活用 した製 品を開発 し、沖縄 県の産業振興 に結びつ けるこ とである‖そのためには、個々の企業 とタイア ッ プ しなが ら製品開発を進 めてい くこ とが重要だ と感 じてい る。 これ までに泡盛蒸留粕 を原料 と して、 クエ ン酸 を多 く含み抗酸化活性 に優れ た 発酵調 味料22'や 、米 を原料 と して、ACE阻害 作用 を有す る飲料21-等 を開発 して きた. この 米飲料 は、動物試験でも効果が証明 されてお り、 現在 商品化-向けた取 り組み を継続 してい る。 今後 も、県産資源 の収集 とその機能解 明24,25)お よび応用製晶の開発 に取 り組んでい く所存 であ る(、また、今後の検討課題 として、資源量 ・加

t二特性 ・季節変動な どを考慮 した県産資源利活 用の指標作成 、お よび沖縄 ブ ラン ドの構築法の 検討な ども平行 して行 ってい く予定である。最 後 に、本稿が 目的 を同 じくす る県内企業 の参考 になれば幸甚であるし, 参考文献 1)Cusman,D.W"Cheung,H.S.,:Biochem. Phamaco1.,20,1637(1971) 2)関 英治 、長 島克裕 、松 井利 郎 、長 島 豊、イ ワシ筋 肉由来アルカ リプ ロテアーゼ 分解物 か らのア ンジオテ ンシ ンⅠ変換 酵 素 阻害ペ プチ ドの分離精製、 日本食 品工業学 会誌、Vol.40,No.ll,737-791(1993) 南方資源利用技術研究会誌 3)新 居 ら、 イ ズ ミエ ビ熱水抽 出液 お よび酵 素分解液 の血圧上昇抑制作用 、 日本食 品工 業 学 会 誌、 Vol.45,No.ll,671-675 (1998)

4)

吉井 ら、鶏卵 由来オ リゴペプチ ドの血圧降下 作用 、 日本食 品工業学会誌、Vol.46,No.2, 45-50(1999) 5)斉藤義幸 ら、清酒、および副産物 中のアンギ オテンシン変換酵素阻害物質、 日本農芸化学 会誌、Vol.66,No.7,pp.1081-1087,(1992) 6)原 征 彦 、 松崎妙 子 、鈴 木健 夫 、茶成 分 のア ンジオテ ンシ ンⅠ変換 酵素 阻害能 につ い て 日本 農 芸化 学 会誌、Vol.61,No.7,pp. 803-808,(1987) 7)出 口 ヨ リ子 、長 田邦子 、 内 田和 美、 木村 広子、芳川雅樹 、工藤辰幸、保井久子、綿 貫雅章、 グアバ熱水抽 出物 のdb/dbマ ウス にお ける抗糖尿病効果お よび ヒ ト飲用試験 による食後高血糖上昇抑制効果 、 日本農芸 化学会誌、Vol.72,No.8,pp.932-931,(1998) 8)藍谷教 夫 、 山 口博 司、有村 勉 、 月 見草 エ キ ス の機 能 性 、 食 品 と開発、Vol.35, No.72(2000) 9)ゼ リア新薬 品工業株 式会社 、特 許 公 開広 報、特 開平9-227398、抗肥満剤 10)中川 邦 男 、 日本 の健 康 機 能 食 品 トクホ [特定保健用食 品]、ブ ックマ ン社、(1999) ll)川 岸 舜朗編 、 食 品 中の生体機 能調 製津物 質研究法、学会出版セ ンター、(1996) 12)市場 、喜屋 武 、 有用性物 資源 の多 目的利 用 の た めの加 工 製造 システ ムの研 究 開発 (第一報 )、沖工技七研究報 告第1号、p9-2 2、(1998) 13)竹 内若子 、 高橋 平八郎 、 瓜谷郁 三 、 マ ッ シュルー ム由来 のチ ロシナーゼ によるチ ロ シンの水酸化反応機構、 日本食 品化学工学 会誌、Vol,45,No.7,pp415-419(1998) 14)松本 羊子 、 野 呂忠秀 、 亀 井勇統 、 日本海 沿岸海 藻類 か らのinvitroにお け るメ ラニ ン合成阻害活性 のスク リーニ ング、佐賀大 16

(10)

Vol.17No.12001

学 海 浜大 地 生物 生産研 究 セ ンター報 告 、

Vol.7 (1998)

15) Toshihiko Shoji,Masuko Kobori,Hiroshi Shinmoto,Masayuki Tanabe,and Tojiro Tsuhida,Progressiveeffectsofphloridzinon melanogenesisin B16 Mousemmmelanoma cells,Biosci.Biotech.Biochem.,61 196 3-1967(1997) 16)サ ツマイ モ抽 出物 に よるマ ウス メ ラ ノー マ細胞 のメラニ ン生成抑制、 日本食 品化学 工学会誌、Vol.43,No.3,313-317 (1996) 17)福家洋子 、 大石 芳江 、 岩 下恵子 、小 野晴 寛、篠原和毅、沢わ さびの胃ガ ン細胞増殖 抑制作用 、日本食 品化学工学会誌、Vol.41, No.10,709-711(1994) 18)T細胞系腫癌細胞 の分化 ・成熟度判定方法、 特許第2802364号

19) HidekiOhba,TetsuyaToyokawa,SeijiYasuda, SpectroscopicAnalysisoftheCytoagglutinating ActivityofAbrin-bIsolatedfromAbrusprecatorius SeedsagalnStLeukemicCells,Bioscience, BiotechnologyandBiochemistry.61(4),7 37-739,1997 20)水 谷 俊 雄 、 なぜ ヒ トは病 気 に な るの か 、 Newton別冊、(槻ニュー トンプ レス、pp.18 4-189 (1999) 21)和 田光 明、21世紀 の-ル スデザイ ン、㈱ 桐書房、(1998) 22)豊川哲也、福地香、111城理枝+、ll;-]吉和男、 鎌 田靖弘、中里尚子、笠原文子、田村博三、 泡盛蒸留粕 を利用 した新規発酵調味料 の開 発 、沖工技七研究報告第1号、(1999) 23)豊川哲也、鎌 田靖弘、与座江利 子一、遠矢亮一、 木下 しのぶ 、平敷兼活、血圧上昇抑制作用 を有す る新規発酵調味料 の開発、沖工技七 研究報告第2号、(2000) 24)豊川哲也、鎌 田靖弘、与座江利子、県産資源 を活用 した機能性食晶素材の開発、押上技七 研究報告第2号、(2000) 25)鎌 田靖弘、豊川哲也、県産資源 を活用 した機 能性 素材 の 開発 、 沖工技 七研 究報 告第3 号、(2001) 26)豊川哲也、鎌 田靖弘、山城利枝子、比嘉賢一・、 吉 田安彦、花城薫、選択的細胞毒性 を有す る亜熱帯生物 資源 の探 索について、沖工技 七研究報告第3号、(2001)

図 2 ア ンジオテ ンシン変換酵 素 阻害 によ る血 圧上 昇抑制 の メカニズム 限 らず、熱や酸によ り分解 された り、保存期間 中に活性が失われてくる場合が多々認められ る。 また、再入手 した試料の活性 が思わ しくない と いったことがあるため、原試料の保存 は非常に 重要である。筆者 らも、凍結原料、乾燥粉砕物、 抽出液の 3 段階での保存を心がけるようにしてい る 02000 年 6 月現在で、工業技術センターにおけ る保有資源数は約 300 種 となっている。この数字に おける多寡の議

参照

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