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AA11419398 50 p1 超高真空溶解によるアルミニウムの7Nレベルの高純度化Hiroshima Kokusai Gakuin University AA11419398 50 p1

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(1)

超高真空溶解によるアルミニウムの

7

N

レベルの高純度化

桐畑 敦

,中村 格芳,渡邊 真彦,李木 経孝

Puriication of Aluminum up to 7N level

by Ultrahigh Vacuum Melting

(平成29年10月11日受理)

Atsushi KIRIHATA※, Masayoshi NAKAMURA, Mahiko WATANABE and Tsunetaka SUMOMOGI

(Received October 11, 2017)

  This paper examines the purification of aluminum through the use of ultrahigh vacuum melting. To improve its purity up to 7N (99.99999% pure) level, aluminum was melted in a vacuum of 2-4×10-6 Pa for 30 min and solidified gradually. The melted samples were cut into several pieces and the residual impurities of each piece were analyzed by Glow Discharge Mass Spectrometry (GDMS). The Residual Resistivity Ratio (RRR) of each piece was measured and the relationship of RRR with residual impurities is discussed. The purity of the melted sample was improved in comparison with that of the raw material, and the measured RRR was obtained up to 65000 equivalent to 7N level. GDMS analysis revealed that the amounts of elements with distribution coefficient k< 1 were reduced considerably, whereas those of elements with k>1 were not reduced, so that the total impurity concentration of 35 elements decreases from <0.139 at-ppm to <0.108 at-ppm. Also, a clear segregation phenomenon was revealed. These results suggest that the further purification may be achieved by examining the processing conditions of the material before ultrahigh vacuum melting, mainly how to reduce the element with k>1.

Keyword:purification, ultrahigh purity aluminum, ultrahigh vacuum melting, Glow Discharge Mass Spectromery (GDMS) analysis, residual resistivity ratio

(2)

桐畑 敦,中村 格芳,渡邊 真彦,李木 経孝

2

 本論文は,超高真空溶解によるアルミニウムの高純度化について検討し ている。アルニウムを真空度 3 ∼ 6 ×10-6Paの中で30min間溶解して徐々に

凝固させることにより,7N(99.99999%)レベルまでの純度の向上を目指

した。電気抵抗測定からの残留抵抗比の評価に加えて,GDMS組成分析に

より,試料の各部分の残留不純物の分析を行い,残留抵抗比と比較検討し た。素材に比べ溶解後の純度は確実に向上しており,電気抵抗測定による

残留抵抗比の最高値は約65000を示し,7N直近の純度となった。GDMS元

素分析から,分配係数k>1 の元素は減少しないが,k<1 の元素が大きく

減少することにより,35元素合計の不純物濃度が<0.139 at-ppmから< 0.108 at-ppmまで純度が向上する。また,明確な偏析現象が明らかとなっ

た。これらのことより,超高真空溶解前の素材の処理条件,主に,k>1 の

元素をいかに低減するかを検討することによって,さらなる超高純度が達 成できるものと考えられる。

キーワード:高純度化,超高純度アルミニウム,超高真空溶解,グロー放

電式質量分析(GDMS),残留抵抗比

1.緒  言

 本学ハイテク・リサーチ・センターでは,高純度金属の研究に取り組んできた。特に,アルミニ ウムはAlN,AlGaN系半導体の素材や超電導体の安定化材として期待されていることから,帯溶

融精製法および超高真空溶解法による高純度化を検討し,多くの研究成果を報告している1-5︶。最

近では,残留抵抗比(以下,RRRと略す)21000の純度 6N(99.9999%)レベルのアルミニウム素

材を超高真空溶解して,RRR 40000の超高純度試料を得たことを報告している6)。この方法による

精製効率について,過去の 5N(99.999%)レベル素材の報告と併せて考察し,素材の純度が 5N

から 6Nに上がっても,各不純物濃度の精製効率は同等であり,超高真空溶解によってさらに純度

が向上することを見出している。ただし,Ti,V,Cr等の分配係数5,7︶が 1 より大きい元素(以下,

k>1 元素と略す)の濃度は,素材のそれとほとんど変わらないことから,さらに純度を向上させ

るためには,k>1 元素の低減が重要であることに言及している。

 一方,同じ 6Nレベル素材の帯溶融精製において,溶融帯移動速度 60mm/h,溶融幅 80mmの

条件で10パス精製すると,RRRが最高70000まで向上することを報告している8,9︶。この方法による

と,k>1 元素は,試料の溶融開始側へ移動し,k<1 元素は試料の溶融終了側へ移動することは周

知のことであるが,試料の不純物元素の濃度分布によると,後半部のk>1 元素が低減傾向である

ことが判明している。

 そこで,帯溶融精製した試料の後端部(k>1 元素の含有量が低いと推定される)を素材とし

て,さらなる高純度化,すなわち,純度 7N(99.99999%)レベルを狙い超高真空溶解を行なっ

た。得られた試料について,電気抵抗測定による残留抵抗比の評価とグロー放電式質量分析

(3)

2.実験方法

 超高真空溶解に用いた素材は,超高純度アルミニウム(住友化学製,純度99.9999%,RRR

21000)を帯溶融精製した試料の不純物濃度が低い部分を用いた。この試料は,18×18×900mm3

の角柱形状の超高純度アルミニウムを,溶融帯移動速度60mm/h,溶融幅80∼100mmの条件で10

パスの精製を施したもので,精製後は,1050mm程度の長さの棒状試料である。この試料の不純

物元素について,k>1 元素の代表としてTi,k<1 元素の代表としてSiの濃度分布を,図 1 に示す。

 図から分かるように,Tiは前端からの距離とともに

なだらかに減少しており,Siは700mm以降の後端側

に集積しており,帯溶融の特徴が良く現れている。こ の結果から,前端の約400mmから約800mmまでの部

分を選択して,それぞれ長さ60mmに放電加工で切断

し,冷却坩堝(直径60mm,深さ100mm)に収まる

よう結束した。具体的には,総重量417gの13個の角

柱を,エタノールと過塩素酸の混合液を用いて電解研 磨してエタノール洗浄した後,同一材料の線で結束し ており,この様子を図 2 に示す。

 この結束した素材を超高真空溶解装置(アルバック・ファイ製)に装填し,電力20kWで溶解し

始め,85kWまで上げて素材全体を溶解し,この状態で30min保持した。この間,真空度は素材

からのガス放出により一旦低下するが,回復して全体溶解中は 2∼4×10-6Paであった。その後,

約30minかけて徐々に電力を下げて凝固させた。

 溶解後の試料は,放電加工により電気抵抗測定およびGDMS(サーモエレクトロン社製

VG9000)による元素分析に供する形状に分割し,上述の素材準備と同様に電解研磨および洗浄を

施した。電気抵抗測定用試料については,10-4Pa台の真空中で500℃に180min保持した後に除冷

する焼鈍を施し,ひずみ除去を行った。

 電気抵抗測定の試料形状は1.7×1.7×60mm3の角柱とし,電圧端子間距離50mmとした。これ

を4.2Kでは 5A,300Kでは 1Aの電流で電気抵抗を測定し,残留抵抗比(RRR)を求めた。 図 2  超高真空溶解に用いた素材の外観 図1 帯溶融精製した試料のTiおよびSiの濃度分布8︶

3

超高真空溶解に用いた素材は、超高純度アルミニウム(住友化学製、純度 99.9999%、 RRR 21000)を 帯溶融精製 した試料の 不純物濃度 が低い部分 を用いた。 この試料は 、 18×18×900 mm

3

の角柱形状の超高純度アルミニウムを、溶融帯移動速度 60 mm/h、溶 融幅80~100 mm の条件で10 パスの精製を施したもので、精製後は、1050 mm 程度の 長さの棒状試料である。この試料の不純物元素について、k>1 元素の代表としてTi、

k<1 元素の代表として Si の濃度分布を、図1 に示す。

図1 帯溶融精製した試料の Ti およびSi の濃度分布

8)

図から分かるように、Ti は前端からの距離とともになだらかに減少しており、Si は 700 mm以降の後端側に集積しており、帯溶融の特徴が良く現れている。この結果 から、前端から約400 mmから約800 mmまでの部分を選択して、それぞれ長さ 60mm に放電加工で切断し、冷却坩堝(直径60 mm、深さ100 mm)に収まるよう結束した。 具体的には、総重量 417gの 13 個の角柱を、エタノールと過塩素酸の混合液を用い て電解研磨してエタノール洗浄した後、同一材料の線で結束しており、この様子を図 2 に示す。

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20

0 200 400 600 800 1000

Dista nce, x/mm

C

o

nc

ent

r

a

t

i

o

n

,

C

/a

t

-p

p

m

Ti

(4)

桐畑 敦,中村 格芳,渡邊 真彦,李木 経孝

4

3.実験結果と考察

3.₁ 超高真空溶解後の試料形態

 溶解後試料の外観と断面マクロ組織を,図 3 の⒜と⒝に示す。分割されていた素材が溶解によ

り,底部を除いて一つの塊になり,その表面が汚染のない金属光沢を呈していることが外観から伺 える。この試料を縦方向に二分割した面のマクロ組織によると,底部素材界面から上部に向かって

凝固し,上半分はほぼ一つの結晶になっている。この底部素材界面から上の試料を10mm間隔で

切断し,各部分の評価を行った。

3.₂ 溶解後試料の残留抵抗比

 得られた試料の残留抵抗比の測定結 果を図 4 に示す。残留抵抗比とは,試

料の室温(300K)における電気抵抗

と液体ヘリウム温度(4.2K)におけ る電気抵抗の比であり,試料純度が向 上するとその値は大きくなる。ここ

で,横軸に関して,10mm間隔で切断

した試料の最上部がA,最下部がF,

溶解前の素材がRMである。縦軸に関

して,測定値は試料寸法を考慮したサ イズ補正10︶を施したものをRRR-Cで,

比較のため,GDMS分析による不純物

濃度からの推定値6︶RRR-Eでプロッ トしている。素材の値が40000∼50000 であるのに対して,溶解後は全体的に 60000前後を示し,試料上部のB部では 最 大 値65000に 達 し て い る。 す な わ ち,本方法により,さらに高純度化さ れたことが明らかである。

 図 5 に,本学における多くの高純度

化実験で得られた試料のGDMS分析に

図 3⒜ 溶解後試料の外観

図 4  溶解後試料の残留抵抗比

 図 5 本学で得られたGDMS分析による35元素合計濃度

と残留抵抗比の関係

図 3⒝ 溶解後試料の断面マクロ組織

5

図3(b) 溶解後試料の断面マクロ組織

3.2 溶解後試料の残留抵抗比

得られた試料の残留抵抗比の測定結果を図4 に示す。残留抵抗比とは、試料の室温

(300 K)における電気抵抗と液体水素温度(4.2 K)における電気抵抗の比であり、

試料純度が向上するとその値は大きくなる。ここで、横軸に関して、10 ㎜間隔で切

断した試料の最上部が A、最下部がF、溶解前の素材が RM である。縦軸に関して、測

定値は試料寸法を考慮したサイズ補正 10)

を施したものを RRR-C で、比較のため、GDMS

分析による不純物濃度からの推定値 6)

を RRR-E でプロットしている。素材の値が 40000

~50000 であるのに対して、溶解後は全体的に60000 前後を示し、試料上部の B 部で

は最大値65000 に達している。すなわち、本方法により、さらに高純度化されたこと

が明らかである。

図4 溶解後試料の残留抵抗比

図5 に、本学における多くの高純度化実験で得られた試料のGDMS 分析による35 元

0 2 0 0 0 0 4 0 0 0 0 6 0 0 0 0 8 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0

RM A B C D E F

Sample R e s i d u a l r e s i s i t i v i t y r a t i o , R RR RRR-E RRR-C

A B C D E F

6

素合計濃度と残留抵抗比の関係を示す。両者の近似関係から、35 元素合計濃度 0.1

at-ppm の点を純度 7N 相当とすると、このときの残留抵抗比は80000 前後と推定され

る。本実験の最高値は 65000 であり、7N の直近と考えられる。

図5 本学で得られた GDMS 分析による35 元素合計濃度と残留抵抗比の関係

3.3 溶解後試料のGDMS 分析結果

溶解試料のB部(図3(b)参照)

および素材の GDMS 分析結果を表

1 に示す。ここでは、k<1 元素に

ついては、比較的量の多いMg、Si、

Fe、Cuの各々の値とその他25元

素合計値を、k>1 元素については、

比較的量の多いTi、V、Cr の各値

とその他の 3 元素の合計値を示し

て い る 。 な お 、 こ れ ら の 結 果 は

mass-ppm測定値をat-ppm値に換

算 し た も の で あ り 、 検 出 下 限

0.001 mass-ppm 以 下 の 値 に は

<(less than)を付した。素材の不

純物濃度は 35元素合計で<0.139

at-ppm で あ っ た が 、 溶 解 後 の B

部は k <1 元素の大きな減少と k

>1 元素 の僅 か な減 少に よ り、 35

元素合計で<0.108 at-ppmとなっ

た 。 す な わ ち 、 不 純 物 元 素 が 約

20%減少したことから、残留抵抗比が50000 以下から65000 になったと言える。

1 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0

0 . 0 1 0 . 1 1 1 0

Total c on c e n tration of 3 5 e le me n ts, C / at- ppm

R e s i d u a l r e s is it iv i t y r a t io , RRR

Table Concentration of main elements

in the raw material and vacuum-melted sample B

Raw material Vacuum-melted k<1 Elements

Mg 0.002 <0.001

Si 0.027 0.006

Fe 0.002 <0.001

Cu 0.014 0.008

k>1 Elements

Ti 0.016 0.014

V 0.013 0.013

Cr 0.014 0.015

Element

Concentration, C/at-ppm

Subtotal of other 25 elements (Li, Be, Mn, Ni, Co, Ga, Ag, In, Ba, La,

Ce, Pb, etc .)

<0.039 <0.037

Subtotal of other 3 elements

(Se, Zr, Mo)

<0.013 <0.012

Total composition, C/at-ppm

<0.139 <0.108 表1 溶解試料の B 部(図3(b)参照)および

(5)

5 超高真空溶解によるアルミニウムの 7Nレベルの高純度化

よる35元素合計濃度と残留抵抗比の関係を示す。両者の近似関係から,35元素合計濃度 0.1at-ppm

の点を純度 7N相当とすると,このときの残留抵抗比は80000前後と推定される。本実験の最高値

は65000であり,7Nの直近と考えられる。

3.3 溶解後試料のGDMS分析結果

 溶解試料のB部(図 3⒝参照)および素材の

GDMS分析結果を表 1 に示す。ここでは,k<1 元 素については,比較的量の多いMg,Si,Fe,Cu

の各々の値とその他25元素合計値を,k>1 元素

については,比較的量の多いTi,V,Crの各値と その他の 3 元素の合計値を示している。なお,こ れらの結果はmass-ppm測定値をat-ppm値に換算 したものであり,検出下限0.001mass-ppm以下 の値には<(less than)を付した。素材の不純物 濃度は35元素合計で<0.139at-ppmであったが, 溶解後のB部はk<1 元素の大きな減少とk>1 元 素の僅かな減少により,35元素合計で<0.108

at-ppmとなった。すなわち,不純物元素が約20%

減少したことから,残留抵抗比が50000以下から 65000になったと言える。

 さらに,試料各部分の分析結果から,主なk<1 元素(Mg,Si,Fe,Cu)の濃度分布を図 6 に, 主なk>1 元素(Ti,V,Cr)の濃度分布を図 7 に示す。

 先ず,k<1 の元素は全体的にSiとCuがやや残っているが,MgとFeは大きく減少している。つ

まり,MgとFeに対する精製効果が大きいということである。一方,k>1 の元素は総じて素材の

濃度とあまり変わらない傾向である。これらの分析結果をもとにして,溶解後試料に存在する不純 物元素の総質量を算出し,素材に存在する不純物元素の総質量との比を求めた結果を図 8 に示 す。この図から,k<1 の元素であるMgとFeが80%程度,Siが40%程度,Cuが20%程度,減少し ていることが明らかであり,超

高真空溶解によって素材から除 去されたものと考えられる。一 方で,k>1 の元素であるTi,V

およびCrは溶解後試料と素材

の総質量がほぼ同じであり,除 去できないものと考えられる。 このような差は,各元素の融 点, ア ル ミ ニ ウ ム 融 点 (660℃)における蒸気圧とは関 連性が認められず,分配係数の

違いによってのみ区分される。 図 6  k<1 元素(Mg,Si,Fe,Cu)の濃度分布

 表 1 溶解試料のB部(図 3⒝参照)および 素材のGDMS分析結果

6

る。本実験の最高値は 65000 であり、7N の直近と考えられる。

図5 本学で得られた GDMS 分析による35 元素合計濃度と残留抵抗比の関係

3.3 溶解後試料のGDMS 分析結果

溶解試料のB部(図3(b)参照)

および素材の GDMS分析結果を表

1 に示す。ここでは、k<1 元素に

ついては、比較的量の多いMg、Si、

Fe、Cuの各々の値とその他25元

素合計値を、k>1 元素については、

比較的量の多いTi、V、Cr の各値

とその他の 3 元素の合計値を示し

て い る 。 な お 、 こ れ ら の 結 果 は

mass-ppm測定値をat-ppm値に換

算 し た も の で あ り 、 検 出 下 限

0.001 mass-ppm 以 下 の 値 に は

<(less than)を付した。素材の不

純物濃度は35元素合計で<0.139

at-ppm で あ っ た が 、 溶 解 後 の B

部は k <1 元素の大きな減少と k

>1 元素 の僅 か な減 少に よ り、 35

元素合計で<0.108 at-ppmとなっ

た 。 す な わ ち 、 不 純 物 元 素 が 約

20%減少したことから、残留抵抗比が50000 以下から65000 になったと言える。

1 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0

0 . 0 1 0 . 1 1 1 0

Total c on c e n tration of 3 5 e le me n ts, C / at- ppm

R e s i d u a l r e s is it iv i t y r a t io , RRR

Table Concentration of main elements

in the raw material and vacuum-melted sample B

Raw material Vacuum-melted k<1 Elements

Mg 0.002 <0.001

Si 0.027 0.006

Fe 0.002 <0.001

Cu 0.014 0.008

k>1 Elements

Ti 0.016 0.014

V 0.013 0.013

Cr 0.014 0.015

Element

Concentration, C/at-ppm

Subtotal of other 25 elements (Li, Be, Mn, Ni, Co, Ga, Ag, In, Ba, La,

Ce, Pb, etc .)

<0.039 <0.037

Subtotal of other 3 elements

(Se, Zr, Mo)

<0.013 <0.012

Total composition, C/at-ppm

<0.139 <0.108 表1 溶解試料の B 部(図3(b)参照)および

素材の GDMS 分析結果

7

さらに、試料各部分の分析結果から、主なk <1元素(Mg、Si、Fe、Cu)の濃度分

布を図 6 に、主なk >1 元素(Ti、V、Cr)の濃度分布を図 7 に示す。

図6 k <1 元素(Mg、Si、Fe、Cu)の濃度分布

図7 k >1 元素(Ti、V、Cr)の濃度分布

先ず、k<1の元素は全体的にSiとCuがやや残っているが、MgとFeは大きく減少

k < 1

0.000 0.005 0.010 0.015 0.020 0.025 0.030

R .M A B C D E F

Sa mple C o nce nt r a t i o n , C /a t -p p m

Mg Si Fe Cu

k > 1

0 .0 0 0 0 .0 0 5 0 .0 1 0 0 .0 1 5 0 .0 2 0 0 .0 2 5 0 .0 3 0

R.M A B C D E F

Sample C o nce nt r a t i o n , C /a t -p p m

(6)

桐畑 敦,中村 格芳,渡邊 真彦,李木 経孝

6

 試料各部の濃度分布を検討す る。不純物を含有する金属の凝

固において,k<1 元素の不純

物元素は液相側に偏析し,k>

1 元素はその逆であることは周 知のことである。本研究では, k<1 の元素は試料の上部Aから

試料中央付近にあたるDE部へ

向かって減少し,さらに下部に 向かって増加している。一方, k>1 の元素はk<1 元素の傾向

とは逆に,上部Aから試料中央DE部

へ向かって増加し,さらに下部に向 かって減少している。上部の濃度分布 は偏析によるものと考えられ,下部の 濃度分布は前述の高純度化過程早期に 起こる坩堝底での凝固によるものと考 えられる。これに関しては,凝固パ ターンを詳細に明らかにして,さらに 検討を要する。

 以上のように全体的には,k>1 の

元素は殆ど減少しないが,k<1 の元

素が大きく減少し,結果的に純度が向

上することになる。このような傾向は,以前の報告5︶と同じである。ただし,以前の報告における

元素分析は試料の一箇所で,電気抵抗測定の部分も少なかった。本研究で元素分布を詳細に調べた 結果,明確な偏析現象が明らかとなった。これらのことより,超高真空溶解前の素材の処理条件,

主に,k>1 の元素をいかに低減するかを検討することによって,さらなる超高純度が達成できる

ものと考えられる。

4.結  言

 帯溶融精製料のk>1 元素の含有量が低い後端部を素材として,7Nレベルまでの高純度化を狙

い超高真空溶解を行なった。得られた試料について,電気抵抗測定による残留抵抗比の評価に加え

て,GDMS組成分析により試料の細部にわたる残留不純物の分析を行い,残留抵抗比と比較検討

し,以下の結果を得た。

1︶  分割されていた素材が溶解により,底部を除いて一つの塊になり,その表面は汚染のない金属

光沢を呈した。

2︶  残留抵抗比の測定から,素材の値が40000∼50000であるのに対して,溶解後は全体的に60000

前後を示し,試料上部(B部)では最大値65000,すなわち 7N直近に達していることから,本

図 8  溶解後試料と素材に存在する不純物元素の質量比 図 7  k>1 元素(Ti,V,Cr)の濃度分布

7

さらに、試料各部分の分析結果から、主なk <1元素(Mg、Si、Fe、Cu)の濃度分

布を図 6 に、主なk >1 元素(Ti、V、Cr)の濃度分布を図 7 に示す。

図6 k <1 元素(Mg、Si、Fe、Cu)の濃度分布

図7 k >1 元素(Ti、V、Cr)の濃度分布

先ず、k<1の元素は全体的にSiとCuがやや残っているが、MgとFeは大きく減少

k < 1

0.000 0.005 0.010 0.015 0.020 0.025 0.030

R .M A B C D E F

Sa mple C o nce nt r a t i o n , C /a t -p p m

Mg Si Fe Cu

k > 1

0 .0 0 0 0 .0 0 5 0 .0 1 0 0 .0 1 5 0 .0 2 0 0 .0 2 5 0 .0 3 0

R.M A B C D E F

Sample Co nce nt r a t i o n , C /a t -p p m

Ti V Cr

8

している。つまり、Mg とFe に対する精製効果が大きいということである。一方、k>1

の元素は総じて素材の濃度とあまり変わらない傾向である。これらの分析結果をもと

にして、溶解後試料に存在する不純物元素の総質量を算出し、素材に存在する不純物

元素の総質量との比を求めた結果を図 8 に示す。この図から、k<1 の元素である Mg

とFe が80%程度、Si が 40%程度、Cu が20%程度、減少していることが明らかであり、

超高真空溶解によって素材から除去されたものと考えられる。一方で、k>1 の元素で

あるTi、VおよびCrは溶解後試料と素材の総質量がほぼ同じであり、除去できない

ものと考えられる。このような差は、各元素の融点、アルミニウム融点(660℃)に

おける蒸気圧とは関連性が認められず、分配係数の違いによってのみ区分される。

図8 溶解後試料と素材に存在する不純物元素の質量比

試料各部の濃度分布を検討する。不純物を含有する金属の凝固において、

k<1元素の不純物元素は液相側に偏析し、k>1元素はその逆であることは周知

のことである。本研究では、k<1の元素は試料の上部Aから試料中央付近にあ

たるDE部へ向かって減少し、さらに下部に向かって増加している。一方、k>1

の元素はk<1元素の傾向とは逆に、上部Aから試料中央DE部へ向かって増加

し、さらに下部に向かって減少している。上部の濃度分布は偏析によるもの

と考えられ、下部の濃度分布は前述の高純度化過程早期に起こる坩堝底での

凝固によるものと考えられる。これに関しては、凝固パターンを詳細に明ら

かにして、さらに検討を要する。

以上のように全体的には、k>1 の元素は殆ど減少しないが、k<1の元素が大きく減

少し、結果的に純度が向上することになる。このような傾向は、以前の報告

5)

と同じ

である。ただし、以前の報告における元素分析は試料の一箇所で、電気抵抗測定の部 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

B Mg S i F e C u T i V C r

Q u a n t i t y o f V M / Q u a n t i t y o f R M

(7)

方法によりさらに高純度化されたことが明らかとなった。

3︶  素材の不純物濃度は35元素合計で<0.139at-ppmであったが,溶解後のB部はk<0.108

at-ppmとなった。すなわち,不純物元素が約20%減少したことから,残留抵抗比が50000以下から

65000になったと言える。

4︶  k>1 の元素は殆ど減少しないが,k<1 の元素が大きく減少し,結果的に純度が向上すること

になる。また,明確な偏析現象が明らかとなった。これらのことより,超高真空溶解前の素材の

処理条件,主に,k>1 の元素をいかに低減するかを検討することによって,さらなる超高純度

が達成できるものと考えられる。

謝辞

 本研究の遂行において,広島国際学院大学顧問(広島大学名誉教授)の紀隆雄先生および広島国 際学院大学名誉教授の大園洋仁先生から種々貴重なご助言をいただいた。また,住友化学株式会社

には素材提供およびGDMS分析にご協力いただいた。本学ハイテク・リサーチ・センター技術職員の

三上恭孝氏には精製実験にご支援いただいた。ここに厚く御礼申し上げます。

参 考 文 献

1) 前田裕司,大園洋仁,紀 隆雄:広島国際学院大学研究報告,第32巻(1999)93-98.

2) 大園洋仁,永井利岳,松坂菊生,前田裕司,紀 隆雄:広島国際学院大学研究報告,第32巻 (1999)99-104.

3) K. Matsusaka, H. Osono and T. Kino:Mater. Trans. JIM 41 (2000) 203-209.

4) H. Osono, H. Maeta, K. Matsusaka and T. Kino:J. Japan Inst. Metals 65 (2001) 143-146. 5) H. Osono, H. Maeta, K. Matsusaka and T. Kino: Mater. Trans. JIM 43 (2002) 121-124. 6) T. Sumomogi, M. Nakamura, M. Watanabe, H. Hoshikawa, H. Tabuchi and H. Osono :

Mater. Trans. JIM 53 (2012) 1084-1089.

7) M. Hansen and K. Anderko : Constitution of Binary Alloys (McGraw-Hill, New York, 1985) 8) 中村格芳,渡邊真彦,田中喜三郎,桐畑 敦,李木経孝,星河浩介,田中一郎:日本金属学

会誌,第77巻(2013)44-50.

9) M. Nakamura, M. Watanabe, K. Tanaka, A. Kirihata, T. Sumomogi, H. Hoshikawa and I. Tanaka : Mater. Trans. JIM 55 (2014) 664-670.

Table    Concentration of main elements
Table    Concentration of main elements

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