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学級活動における児童の役割とエンゲージメントの関連 ─小学校低学年と高学年の事例検討を通して─

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【実践レポート】

学級活動における児童の役割とエンゲージメントの関連

─小学校低学年と高学年の事例検討を通して─

隂 菜穂子 * 津中 友里菜 ** 若松 美沙 *** 若松 昭彦 ***

本研究の目的は,学級活動における児童の役割と,探究的な学びの姿につながる概念であるエンゲージメント との関連について,事例を用いて検討することであった。小学校 2 年生 2 名と 6 年生 2 名の計 4 名の児童を対象 に,話合い活動およびその後の実践で構成される学級活動での言動をエンゲージメントの 3 側面(行動的側面, 感情的側面,認知的側面)から分析した。その結果,2 年生の事例からは,話合い活動において黒板記録や司会 といった司会グループとしての役割を経験することで,行動的側面および認知的側面のエンゲージメントが発現 することが示された。また,6 年生の事例からは,話合い活動やその後の実践での役割を経験することで,1 年 生に対する役割への専念,学校行事に対する目的の自覚といった行動的側面のエンゲージメントや,よりよい意 見を考えることを意識した認知的側面のエンゲージメントが発現することが示された。これらの事例から,学級 活動における児童の役割とエンゲージメントの発現が関連している可能性が示唆された。 キーワード:小学校,学級活動,役割,エンゲージメント 【問題と目的】 近年,教育現場では,他者との学習を進める協同学 習(解良・出口,2018;梅本・田中・矢田,2018)や, 学習者同士が積極的に互いの考えを出し合い,吟味・ 検討し,新たなものを創り出していくような話し合い を中心とした,学び合う授業づくり(秋田,2000;松 尾・丸野,2007,2008;一柳,2009a,2009b;佐々原・ 青木,2012)などが注目されている。また,学習活動 への取り組みの質も重視され(梅本・伊藤・田中, 2016),学習者の関心に基づき目標を追究するような 探究的な学びが求められている(深谷・植阪・太田・ 小泉・市川,2017)。 小学校学習指導要領総則(文部科学省,2018a)に おいても,探究的な学びが着目され,各教科等の特質 に応じた物事を捉える視点や考え方を働かせる必要性 が述べられている。これらの学びを実現するためには, 興味や関心,達成感や充実感,意義の認識,責任感や 使命感等が関連し,近年はエンゲージメントについて の研究が重視されている(鹿毛,2013,2018;Skin-ner, Kindermann, Connell, & Wellborn, 2009)。エンゲー ジメントは,一般的には,「取り決め」「約束」を意味 するが,心理学的には,興味や楽しさを感じながら気 持ちを集中させ,課題解決に向けて努力するといった 意 欲 的 な 状 態 を 示 す(Christenson, Reschly, & Wylie, 2012;Fredricks, Blumenfeld, & Paris, 2004;鹿毛,2013, 2018)。この定義を基に,Skinner(2016)は,子ども の活動や経験の質という観点から従来の動機づけ研究 を整理し,エンゲージメントには,学習の達成に欠か せない動機づけとしての働きがあるとともに,自身の 役割選択のガイドとなると述べている。そして,エン ゲージメントを発現した子どもは教師からサポートを 引き出し,同じようにエンゲージメントを発現した仲 間 と つ な が る 可 能 性 が あ る(Kindermann, 2007; Reeve, 2012)。そのことによって,学習成果があがる ことや自己認識が向上することが期待できる(Skinner, 2016)。エンゲージメントには,前述のような働きが ある一方で,意欲的でない状態を「非エンゲージメン *    呉市立港町小学校 **   広島県立福山特別支援学校 ***  広島大学大学院教育学研究科

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ト」といい,落ち着きがない状態や不満げな状態,気 が進まない状態を示す(Skinner et al., 2009)。エンゲ ージメントは,状況や文脈などの環境に強く影響され るため,教育的な観点からは,環境条件(課題や活動, 他者等)を整えることが重要とされている(鹿毛, 2013;Skinner et al., 2009)。 エンゲージメントは,どの程度,課題に注意を向け 努力し粘り強く取り組んでいるかを指す「行動的側面 のエンゲージメント」,どの程度,興味や楽しさとい ったポジティブ感情を伴って取り組んでいるかを指す 「感情的側面のエンゲージメント」,自分の活動につい てきちんと計画し,モニターし,自己評価するような 問題解決プロセスとして取り組んでいるかを指す「認 知的側面のエンゲージメント」の 3 側面から構成され ている(Connell, 1990;Fredricks et al., 2004;Furrer & Skinner, 2003;鹿毛,2013;Reeve, 2009. 2012;梅本ら, 2016;Voelkl, 1997)。 我が国におけるエンゲージメント研究は,主に調整 方略や学習成果との関連が検討されている。梅本ら (2016)は,大学生を対象にして,調整方略,エンゲ ージメント,学習成果の関連を検討した。その結果, 学習におけるエンゲージメントの役割については,授 業中に学習内容・課題に対して興味や楽しさを抱くこ とが動機づけとなり,学習への努力や持続性につなが ることを示した。また,解良・出口(2018)は,大学 生のグループ活動を対象にして,自分とメンバーの感 情的側面のエンゲージメントが話し合いおよび学習成 果の認知に及ぼす影響について検討を行った。その結 果,グループ活動に対して興味や楽しさを感じている 個人は,グループ活動を通して学習内容の理解など学 習面での成果に加え,メンバーとの交流といった社会 的な側面についても成果を高く感じていることが示唆 された。このような個人は,グループ活動に際して積 極的に話し合いに関与したり調べたりすることで,学 習内容に対する深い理解が促進されたと考えられる。 さらに,梅本ら(2018)は,大学生を対象に,協同学 習における動機づけ調整方略尺度を開発し,他者と積 極的に関わることでやる気を調整する「積極的交流方 略」や,学習への取り組みを構造化することでやる気 を調整する「学習活動構造化方略」等の 5 因子を抽出 した。加えて,エンゲージメントを促進するためには, 特に,「積極的交流方略」や「学習活動構造化方略」 が重要とされ,それらの重要な方略を学習者に明確に 伝え,学習活動の中で活用することが不可欠であるこ とを見出している。この研究(梅本ら,2018)は,協 同学習を行う上で,メンバー間の肯定的で積極的な相 互交流が重要であるとした知見(Johnson, Johnson, & Smith, 1998)や役割分担が学習活動を促進するという 知見(Barkley, Cross, & Major, 2005 安永監訳 2009), 学習活動を進める上で計画を立てることが重要である とする知見(Zimmerman & Schunk, 2011)を支持して いる。以上の研究から,エンゲージメントの発現には, ①学習者が課題や活動に対して興味や楽しさを感じる こと,②相互交流および,役割分担・計画立案が重要 であることが考えられる。 このように大学生を対象としたエンゲージメント研 究は進められているが,エンゲージメントは発達に伴 って変容することから,小学生を対象にエンゲージメ ントの発現を検討することが課題とされている(Fre-dricks, et al., 2004)。そのため,本研究では,小学生を 対象としてエンゲージメントの発現についての事例検 討を行う。 エンゲージメントの発現に関わって,児童の活動や 経験の質を重視する教育課程の一つとして,特別活動 が挙げられる。小学校の特別活動は,中核となる学級 活動をはじめ,児童会活動,学校行事等で構成されて いる。学級活動の目標には,「学級や学校での生活を よりよくするために課題を見いだし,解決するために 話し合い,合意形成し,役割を分担して協力して実践」 することが掲げられている(文部科学省,2018b)。学 級活動の中心的な学習形態として,「話合い活動」と その後の実践が挙げられる(学級活動での話し合いの 場合は,学習指導要領解説の記載に従って「話合い活 動」と称する)。学級活動には,「役割を分担すること」 や「役割を自覚すること」,「司会等の役割を果たすこ と」といった役割遂行が期待され,「楽しく豊かな学 級生活をつくること」を目指している(国立教育政策 研究所,2019)。つまり,学級活動は,児童の役割分担・

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遂行によって,課題解決に向けて協力して実践し,楽 しく豊かな学級生活をつくることを重視している。 このような学級活動の特性は,エンゲージメントの 発現にとって重要な①学習者が課題や活動に対して興 味や楽しさを感じること,②相互交流および,役割分 担・計画立案と関連しているのではないかと考えられ る。しかしながら,学級活動における役割遂行によっ て育つ,探究的な学びに向かう児童の姿を捉える指標 は,未だ確立されているとはいえない。エンゲージメ ントの概念を踏まえた指標を開発することで,学級活 動を通じて興味や楽しさを感じたり,司会として役割 を遂行したりしている児童の姿を,担任等がエンゲー ジメントの側面から具体的に捉えることが可能になる。 そして,そのことによって,児童や学級全体の課題が 明確化され,探究的な学びの創造につながる活動の手 立てを考えることができるのではないかと推測される。 以上のエンゲージメント研究の知見や課題を踏まえ て,本研究では,エンゲージメントの行動的側面を「困 難なことへの尽力」や「役割への専念」等,感情的側 面を「自分の意見や活動への誇り」と「自分や他者の 興味・楽しさ」,認知的側面を「方略の吟味・提案」 や「他者・全体への配慮」等の下位カテゴリーから構 成する。 また,エンゲージメントの発現を捉えるためには, 教育的な介入を積極的に行い(鹿毛,2018;Linnen-brink-Garcia & Patall, 2015),授業観察データ,行動指標, 教師による他者評定など,多様な測定方法を併用する ことが重視されている(鹿毛,2018;Wigfield, Cam-bria, & Eccles, 2012)。つまり,小学校での授業や生活 場面の観察,教師への聞き取り等を重視し,児童のエ ンゲージメントを行動的側面,感情的側面,認知的側 面から統合的に捉えることが必要となる。 そこで本研究では,学級活動における児童の役割と エンゲージメントの関連を統合的に捉えるために,事 例を用いた検討を行うことを目的とする。エンゲージ メントの発現を捉えるためには,個別の特性を調べる ことが必要である(Fredricks et al., 2004)。なぜならば, 学習の達成や役割選択のプロセスには個人差があり, 熱中する対象も異なるからである。そのため,本研究 では,個人に焦点を当てて,エンゲージメントの発現 を児童一人一人の言動から具体的に捉えることとした。 また,小学校低学年から高学年にかけて,エンゲージ メントの各側面がいかに発現するかが検討課題とされ ているため(Fredricks et al., 2004),本研究では,小学 2 年生と 6 年生を対象とした。 【方 法】 1 対象 対象となる児童は,A 市立 B 小学校に在籍する 2 年生 29 名(男子 15 名,女子 14 名),6 年生 20 名(男 子 13 名,女子 7 名)の中から,学級担任および研究 主任等と協議をした上で抽出した。抽出の手順は,エ ンゲージメントの 9 項目および非エンゲージメントの 9 項目(鹿毛,2013;Skinner et al., 2009;外山,2018) を挙げて,各学年児童の授業中の姿として項目の内容 が当てはまるか否かについて,学級担任および研究主 任 3 名による評定を行った。 行動的側面のエンゲージメントは,「努力する姿が みられた」「一生懸命に取り組む姿がみられた」「専念 する姿がみられた」の 3 項目,感情的側面のエンゲー ジメントは,「楽しんでいる姿がみられた」「満ち足り ている姿がみられた」「誇りを感じる姿がみられた」 の 3 項目,認知的側面のエンゲージメントは,「目的 を自覚する姿がみられた」「方略を吟味する姿がみら れた」「(他者や全体に)注意を向ける姿がみられた」 の 3 項目であった。非エンゲージメントの 9 項目は, 特に鹿毛(2013)を参照し,行動的側面は「あきらめ る姿がみられた」「落ち着きがない姿がみられた」「燃 え尽きた姿がみられた」,感情的側面は「不満げな姿 がみられた」「悲しんでいる姿がみられた」「不安を感 じている姿がみられた」,認知的側面は「無目的な姿 がみられた」「気の進まない姿がみられた」「頭が働い ていない姿がみられた」であった。 その結果,各学年 1 人目の児童は,①エンゲージメ ント項目に当てはまる割合が 1 割程度,非エンゲージ メント項目に当てはまる割合が 7 割程度となり,②他 の児童と比べてエンゲージメント項目に当てはまる数

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が少なく,非エンゲージメント項目に当てはまる数が 多くなった児童とした。本研究では、この児童を「エ ンゲージメントの発現が少ない児童」と呼ぶ。2 人目は, ①エンゲージメント項目に当てはまる割合が 8 割程度, 非エンゲージメント項目に当てはまる割合が 1 割以下 となり,②他の児童と比べてエンゲージメント項目に 当てはまる数が多く,非エンゲージメント項目に当て はまる数が少ない児童とした。本研究では、この児童 を「エンゲージメントの発現が多い児童」と呼ぶ。以 上の条件統制を行い,各学年 2 名ずつが抽出され,計 4 名の児童を対象とした。 2 期間 201X 年 6 月から 12 月 3 手続き 話合い活動およびその後の実践での言動をエンゲー ジメントの 3 側面(行動的側面,感情的側面,認知的 側面)で捉えるために,先行研究を基にカテゴリー分 類表を作成した(Table 1)。カテゴリー作成の手順は, 一 柳(2009a) を 参 考 に し て, 先 行 研 究( 鹿 毛, 2013;Skinner et al.,2009;梅本ら,2016)で共に挙 げられているエンゲージメントの行動的側面,感情的 側面,認知的側面の項目の中から,行動的側面 4 項目, 感情的側面 2 項目,認知的側面 5 項目を選定し,各カ テゴリーの定義づけを行った。なお,認知的側面の項 目の中には,研究主任が確認した上で追加した「他 者・全体への配慮」,「他者・全体の感情の推論」の 2 項目も含まれている。 2 年生 3 回分,6 年生 4 回分の話合い活動について, 学級全体が把握できる角度からビデオ録画し,第二著 者が逐語記録を作成した。各学年で収録した話合い活 動の議題および,話合い活動での対象児童の役割を Table 2に示す。また,話合い活動後の実践については, 第二著者の観察および学級担任,研究主任等からの聞 き取りを定期的に実施し,観察記録を作成した。さら に,話合い活動および実践後の児童の感想から,記述 内容の記録を作成した。 これらの逐語記録や観察記録,記述内容の記録を基 に,まとまりのある一連のやりとりを示すエピソード を切り出し,分析の単位とした(山本,1995)。その 単位ごとに,著者 4 名が協議して分類を行った。 話合い活動では,一般的な進め方として,司会,副 司会,黒板記録,ノート記録,提案者,フォロワーが 存在する(国立教育政策研究所,2019)。B 小学校では, 司会,副司会,黒板記録,ノート記録,提案者を総じ て司会グループといい,司会グループは,休憩時間等 に事前に書いてもらった全員分の意見を集約し,話合 い活動をスムーズに進める準備として,意見が書かれ た短冊の作成や,合意形成に向けた進行の練習をする。 司会は進行役を務め,副司会はフォロワーの児童の指 名やタイムキーパー,司会の補助を行う。黒板記録は, 意見を聞いて短冊を黒板に貼ったり,並べ替えたりす る等,板書を工夫して分かりやすくする。ノート記録 は,内容をノートに細かく記録し,決まったことをま とめて発表する。提案者は,議題の提案理由を始めに 発表して,話合い活動の根拠となる内容をフォロワー に示す。フォロワーは,提案理由を意識しながら意見 を述べたり,話を聞いたりする。そして,話合い活動 は,①司会グループの紹介,②議題・めあての確認, ③提案理由の説明と質問,④決まっていることの確認, ⑤「意見を出し合う」→「意見を比べ合う」→「まと める」,⑥決まったことの発表,⑦教師の話,⑧振り 返りから構成され,話合い活動後には決まったことを 実践する場が設定されている。 4 倫理的配慮 本研究実施に当たっては,B 小学校の校長に対して は文書および口頭で,保護者に対しては文書で,研究 内容の説明を行い,了解を得た。 【結果と考察】 1 事例 1 <黒板記録として継続的な役割への専念> 事例 1(Table 3)は,エンゲージメントの発現が少 なく,教科の授業では挙手をして発表することや,他 者の話を聞くことが課題となっている 2 年生の児童で

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ある。黒板記録(10/5)として,他者の意見を聞き, 黒板に短冊を掲示するという役割を果たした。話合い 活動後,話合い活動で決まった「挨拶名人の歌」を全 校に放送する役割を引き受けた。挨拶週間の期間,継 続して放送で「挨拶名人の歌」を披露したことの振り 返りでは,「挨拶名人に認定された人も,もっとがん ばろうという気持ちになれるように,一生懸命歌った」 と記述した。黒板記録として,継続的に役割を果たす 経験を通して,フォロワー(11/20)としては,熱心 な発言や方略を吟味・提案する姿がみられるようにな った。11/20 の話合い活動後の振り返りでは,「いっぱ い発表して,いっぱい質問できた」と記述しているこ とから,話合い活動に積極的に参加していることが推 測された。 本事例から,他者の話を聞くことが課題である児童 が,話合い活動で黒板記録として役割を果たす経験を 積むことで,役割への専念を中心とした行動的側面等 のエンゲージメントを発現させることが示唆された。 2 事例 2 <司会として方略の吟味・提案> 事例 2(Table 4)は,エンゲージメントの発現は多 いものの,日頃から自分本位で他者の気持ちを考える ことなく,自己主張をすることが課題となっている 2 年生の児童である。話合い活動では,フォロワーであ っても司会であっても,その役割として,他者・全体 Table 1 エンゲージメントのカテゴリー分類表 カテゴリー 定義 典型的な姿 行動的側面 困難なことへの 尽力 苦手なことに力を尽くし たことを自己評価してい る。 黒板記録として,人前に立ったことを評価する姿 司会として,フォロワーに発言を求めたことを評価する姿 役割への専念 役割を自覚して,専念している。 司会として,時間配分を気にしながら,意見をまとめるためにグループ協議を設定する姿 黒板記録として,発表者に確認しながら掲示する姿 熱心な発言・実践 自ら進んで何度も繰り返している。 フォロワーとして,一番に挙手し続ける姿立候補して,話合いで決まった内容を一定期間,全校に披露 する姿 話合いへの参加 非言語的な反応や動作を交えて参加している。 フォロワーとして,拍手や頷き等で反応する姿フォロワーとして,グループ協議の時,座が離れていても近 づいて話し合う姿 感情的側面 自分の意見や 活動への誇り 自己の言動や活動に誇り を感じながら自己評価し ている。 フォロワーとして,自分が考えためあてが達成されたか振り 返る活動の際に,肯定的に評価する姿 話合いで決まった内容が全校で実施されたことを評価する姿 自分や他者の 興味・楽しさ 自他の興味や楽しさを表明している。 話合いで決まった遊びが,みんなの思い出になったことを表 現する姿 話合いで決めた遊びを集会で行い,みんなが笑顔になったこ とを伝える姿 認知的側面 方略の吟味・提案 よりよい意見となる方法を吟味・提案している。 フォロワーとして,心配な意見に対して条件を付けて改善す る方法を発表する姿 フォロワーとして,異なる二つの意見のよさを合体させて, 新たな意見を提案する姿 目的の自覚 話合いや実践の目的を自覚している。 全校に決まったことを放送する係として,一度達成しても再度達成できるように呼びかける姿 フォロワーとして,提案理由に基づいて発表する姿 目標達成のための 努力 話合いや実践の目標を達成しようとしている。 黒板記録として,短冊(意見)の操作を考えている姿提案者として,提案内容を覚えて発表する姿 他者・全体への配 慮 他者や全体に注意して,気を配っている。 役割分担をするとき,1 名だけになった係に移動する姿司会として,意思表示をしていない児童に気づく姿 他者・全体の 感情の推論 他者や全体の感情を推し測っている。 フォロワーとして,他者の気持ちを考慮する姿フォロワーとして,みんなの気持ちを考慮する姿

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の感情を推論したり方略を吟味・提案したりする姿が みられた。特に,司会(10/5)として,「意見を比べ 合う」場面では,フォロワーの意見を聞き,賛成意見 が多く出された場合に,「『大きな声で』は賛成が多い ので,一つ目は『大きな声で』に決めてもいいですか。」 とフォロワーに提案する姿がみられた。このようにフ ォロワーに合意を求めながら進行する姿が,他にも 5 回みられた。また,心配意見が多く出された場合に, 取り下げてもいいかをフォロワーに提案する場面が 3 回みられた。これらの姿から,司会として,フォロワ ーの意見を尊重し,よりよい意見となるように方略を 考えて提案し,フォロワーの合意が得られるかどうか を確認しながら進行していることが示された。この話 合い活動後の振り返りでは,「みんなに聞こえるよう に大きな声で頑張った」と記述していることから,話 合い活動で司会という役割に専念したことがうかがえ た。 本事例からは,自分本位で自己主張することが課題 である児童が,話合い活動で,フォロワーの意見を尊 重しながら司会の役割を果たすことで,方略を吟味・ 提案するといった認知的側面でのエンゲージメントを 発現させることが示唆された。 3 事例3 <学校や地域に対する最高学年としての役割への専念> 事例 3(Table 5)は,エンゲージメントの発現が少 なく,自分の言動に対して自信をもつことが課題とな っている 6 年生の児童である。ノート記録として (6/29),決まったことを自分の言葉で発表する場面で は,決まった遊び以外に,1 年生との集会の留意事項 も付け加えて発表し,役割に専念する姿がみられた。 そして,集会当日には,1 年生の前に立ち,集会を進 行する司会として,「困っていることはないですか。」 と確認しながら,進行役に専念する姿もみられた。フ ォロワーとしても同様で(10/5・26),「意見を比べ合 う」場面では,フォロワーとして意見を発表する姿が Table 2 各学年の話合い活動の議題および対象児童の役割一覧 学年 時期 議題名 提案理由 1 人目の対象児童 2 人目の対象児童 小 2 9 月 11 日 もっと挨拶をした くなる取り組みを しよう。 挨拶バッジをもらった人も,もらっ ていない人も,もっと挨拶をしたく なるようにしたいと思ったから。 フォロワー フォロワー 10 月 5 日 挨拶名人の歌の歌詞を考えよう。 挨拶運動をもっと頑張ることのでき る楽しい歌を考えて,全校のみんな で歌えたらいいと思ったから。 黒板記録 司会 11 月 20 日 スマイルいっぱい集会を開こう。 みんなでスマイルいっぱいの楽しい 時間を過ごして,友達のいいところ を見つけて,友達ともっと仲良くな りたいから。 フォロワー フォロワー 小 6 6 月 29 日 1 年生と仲良く集会をしよう。 まだ集会の仕方を知らない 1 年生に 集会の仕方を教えることで,学校生 活の楽しさを感じてもらうとともに, 1 年生ともっと仲良くなりたいと考 えたから。 ノート記録 黒板記録 10 月 5 日 B 小学校の挨拶運動を盛り上げよう。 最高学年として,地域の人たちに, 校区を明るい挨拶でいっぱいにした いという気持ちを伝えたいから。 フォロワー 司会 10 月 26 日 学習発表会のとき の全校合唱で歌う 歌をつくろう。 学習発表会では,みんなで心を一つ にして歌い,家の人や地域の人を感 動させたいから。 フォロワー フォロワー 12 月 6 日 2 学期のお楽しみ会をしよう。 お楽しみ会をして,もっとクラスの人と交流を深めたいから。 ノート記録 フォロワー (注)1 人目の対象児童は,「エンゲージメントの発現が少ない児童」を示す。 2 人目の対象児童は,「エンゲージメントの発現が多い児童」を示す。

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みられた。特に,10/5 は,よりよい町づくりを目指し て二つの意見を合体させながら方略を吟味・提案する 姿や,他者の意見のよさを取り入れながら役割に専念 する姿がみられた。また,10/26 は,B 小学校の最高 学年としての学習発表会であるという目的を自覚して 発表する姿もみられた。話合い活動後の振り返りでは, 「相手が納得できることを発表できた。みんなで賛成 や反対をして話し合うことができた。」と記述してい ることから,話合い活動を通して自分の意見や活動へ の誇りを感じていることも推測された。 本事例からは,自信をもつことが課題である児童が, 話合い活動や話合い活動後の実践を通して,ノート記 録やフォロワーとして役割を果たす経験を積むことで, 行動的側面や感情的側面,認知的側面など多面的なエ ンゲージメントを発現させることが示唆された。 4 事例 4 <役割を果たすために意識して方略を吟味・提案> 事例 4(Table 6)は,エンゲージメントの発現は多 いものの,友人関係が固定化していることが課題で, B 小学校の運営委員会(児童会)の役員を務める 6 年 生の児童である。この児童は,運営委員会の役員とし て,委員会の司会や児童集会の計画・運営をする等, 日頃から話合い活動を通して方略を吟味・提案し,話 合い活動で決まったことを全校規模で実践するという 経験を重ねている。 話合い活動では,司会としてもフォロワーとしても, 異なる二つの意見のよさを生かして,よりよい意見と Table 3 2 年生の事例 1 <黒板記録として継続的な役割への専念> 時期 役割 児童の姿 9/11 フォロワー 「意見を出し合う」場面では,自ら挙手し,3 回発表する姿があった。 【熱心な発言・実践】 その中には,「折り紙で輪っかにしたらいいと思います。わけは,喜ぶからです。」と発 表する姿があった。 【自分や他者の興味・楽しさ】 10/5 黒板記録 司会グループの紹介の場面では,「黒板記録です。きれいに書きます。」と発表した。そ して,「意見を出し合う」,「意見を比べ合う」の場面では,フォロアーの発表を聞いて, 意見が書かれた短冊を,発表者に「これでいいですか?」と確認しながら黒板に掲示す る姿があった。 【役割への専念】 フォロアーの声が小さく,聞き取れなかった場面では,「聞こえません」と発言し,発 表者の意見を正確に聞き取ろうと,発表者に近寄る姿があった。 【役割への専念】 副司会が「“ 意見を比べ合う ” に移ります。」と発言した場面では,副司会のそばに行き, 「早いと思う」と伝える姿があった。 【話合いへの参加】 ノート記録が困っていることに気づき,教師を小声で呼ぶ姿があった。 【他者・全体への配慮】 挨拶名人の歌の 1 番の歌詞が決まり,予定していなかった 2 番を話し合う場面では,黒 板に掲示した短冊を操作して,話しやすく整理している姿があった。 【役割への専念】 11/20 フォロワー 「意見を出し合う」場面では,1 番に挙手し,発表する姿があった。 【熱心な発言・実践】 晴れの日でも雨の日でもできるような遊びを考えて,「僕は,“ あてっち ” がいいと思い ます。理由は,ボールは外でも体育館でも使えるからです。」と発表する姿があった。 【方略の吟味・提案】 【  】内はカテゴリーを示す。

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なるように方略を吟味・提案する姿が多数みられた。 特に,10/26 のフォロワーとしての発言では,日頃は あまり話をしない事例 3 の児童の意見を参考にして, よりよい意見となるように方略を吟味・提案している 姿があった。話合い活動後の振り返りでは,「自分の よかったところとして,二つの意見で決まらなかった ところで,二つのいいところを組み合わせて,新しい 意見を出したことです。」と記述している。また, 12/6 の話合い活動後の振り返りとして,「女子がどう やったらボールを取りやすいか,また,ボールを打ち やすいかを考えながら発表できたのがよかった。」と 記述している。これらのことから,話合い活動ではフ ォロワーの役割として,特に,どのように工夫すれば よりよい意見となるか,方略を吟味・提案することを 意識していることが推測された。 本事例からは,友人関係が固定化していることが課 題で,学級での話合い活動に加えて運営委員会の役員 として役割を果たしている児童が,話合い活動では, 多様な意見をつなげて方略を吟味・提案するといった, 主に認知的側面でのエンゲージメントを発現させるこ とが示唆された。 【総合考察】 本研究は,小学 2 年生 2 名と 6 年生 2 名の計 4 名の 児童を抽出し,各児童が話合い活動やその後の実践で 役割を遂行する経験を通じて,どのようなエンゲージ メントを発現させたのかを事例を用いて検討した。そ の結果として,行動的側面では役割に専念する姿や, 認知的側面では方略を吟味・提案する姿が特に多く発 Table 4 2 年生の事例 2 <司会として方略の吟味・提案> 時期 役割 児童の姿 9/11 フォロワー 「意見を比べ合う」場面では,「私は,○○さんが言ったように,お手紙を書いたらいい と思います。わけは,もらった人が頑張ろうという気持ちになると思ったからです。」 と他者の発言と自分の意見をつなげながら発表する姿があった。 【他者・全体の感情の推論】 また,同場面では,「私は心配意見を言います。私は,『賞状を作ってあげる』が心配で す。わけは,賞状を作るのは難しいことだし,時間がかかると思ったからです。」と他 者の意見に対して心配なことを発表する姿があった。 【方略の吟味・提案】 10/5 司会 「意見を比べ合う」場面では,フォロワーの多数の意見を聞きながら,「『大きな声で』 は賛成が多いので,一つ目は『大きな声で』に決めてもいいですか。」と提案する姿が あった。 【方略の吟味・提案】 フォロワーの 1 人が「その歌詞(15 人いるんだもん)だとリズムが合わない」と心配 意見を発表した場面では,素早く「では,リズムに合わないかどうか試してみましょう。 さんはい。」と提案する姿があった。 【方略の吟味・提案】 「意見を比べ合う」場面では,「『15 人いるんだもん』という歌詞は,心配意見になって いるので,取り下げてありがとう意見にしてもいいですか。」と提案する姿があった。 【方略の吟味・提案】 司会は基本的には発言を控えて進行役に徹するのだが,2 番の歌詞を話し合う際に,ど うしても自分の意見を言いたいと挙手し,「1 番に決まっている歌詞もあるんですけど, 私が考えたのは『大きな声で』『心もあったか』『みんなで頑張ろう』がいいと思いまし た。理由は,大きな声で挨拶をしたらみんなも嬉しくなるし,挨拶した人も嬉しくなる し心もあたたかくなってみんなで頑張ろうという気持ちになるからです。」と発表する 姿があった。 【他者・全体の感情の推論】 【  】内はカテゴリーを示す。

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現することが明らかにされた。話合い活動では,司会 グループやフォロワーといった役割分担が明確に存在 し,相互に意見を出し合う,比べ合う,まとめるとい った活動が構造化されている(国立教育政策研究所, 2019;文部科学省,2018b)。このような特徴がある話 合 い 活 動 に は, 積 極 的 な 相 互 交 流(Johnson et al., 1998;梅本ら,2018)や,学習活動上での役割分担 (Barkley et al., 2005;梅本ら,2018)があることが考 えられる。また,話合い活動後の実践においても,例 えば,「挨拶名人の歌」を放送する役割(事例 1)や 1 年生との集会活動での司会の役割(事例 3)が発生する。 本研究で扱った学級活動において,児童が役割を果た すことを通して,主に行動的側面や認知的側面といっ たエンゲージメントが発現したことが推察される。 小学 2 年生の事例検討からは,特に,話合い活動に おいて黒板記録や司会といった司会グループとしての 役割を経験することで,エンゲージメントが発現する ことが示された。具体的には,事例 1 では,エンゲー ジメントの発現が少なく,他者の話を聞くことが課題 である児童が,意見が書かれた短冊を黒板に貼るため に,黒板記録として他者の意見を正確に聞き取るとい う場面を経験することによって,役割への専念という エンゲージメントがみられた。また,事例 2 では,エ ンゲージメントの発現は多いものの,自分本位で自己 主張することが課題である児童が,学級全体で合意形 成を図るために司会としてフォロワーの意見を尊重し ながら会を進行するという状況を経験することによっ て,方略を吟味・提案するというエンゲージメントが みられた。こうしたことから,本研究で対象となった 児童にとって,役割としての場面や状況の設定は,エ Table 5 6 年生の事例 3 <学校や地域に対する最高学年としての役割への専念> 時期 役割 児童の姿 6/29 ノート記録 司会グループの紹介の場面では,「ノート記録です。みんなの出した意見を素早くきれ いな字でまとめます。」と発言した。そして,決まったことの発表場面では,「決まった ことを言います。まず,1 年生と遊ぶことは,だるまさんが転んだとドッジになりました。 (1 年生への分かりやすい)ルールの説明はルール担当の人にまとめてもらいます。」と 決まったことを正確に発表する姿があった。 【役割への専念】 10/5 フォロワー 「意見を比べ合う」で,「礼儀正しく」と「元気よく」という二つの意見を比べ合ってい る場面で,副司会から「○○さん,何か意見はありませんか。」と指名され,「はい。『礼 儀正しく元気よく挨拶をします』と宣言することがいいと思います。わけは,礼儀正し くても元気がよくないと明るくないし,元気がよくても礼儀正しくないと気持ちが沈む から,二つを組み合わせて伝えるのが,よりよい町が作れると思いました。」と発表す る姿があった。 【方略の吟味・提案】 また,地域の人への声かけについて「意見を比べ合う」場面では,「私は,○○くんの 意見の『僕たちのためにいつも各場所に立ってくれてありがとうございます』がいいと 思います。理由は感謝の気持ちが表れているからです。」と発表する姿があった。 【役割への専念】 10/26 フォロワー 「意見を比べ合う」で,司会から提案されて小グループで話し合う場面では,歌詞の内 容について納得がいくまで話し合っている姿があった。そして,司会から「話合いをや めてください。」と指示があったが,「もう少し待ってください。」と話し合う時間を要 求し,小グループでの協議を続ける姿があった。 【役割への専念】 2 番目の歌詞の「意見を出し合う」場面では,最高学年として学習発表会で歌うという 目的を意識して,「私は,挨拶のことを歌うのがいいと思います。それが B 小学校らし さだから。」と発表する姿があった。 【目的の自覚】 【  】内はカテゴリーを示す。

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ンゲージメントを発現するための重要な要素の一つで あると考えられる。話合い活動の議題は児童自身が提 案したものであり,児童は話し合って決まったことを 実行することを念頭に置いて話合い活動を進めている。 そのため,自分事として考えて役割に専念したり,よ りよい意見を創出するために工夫したりする等,話し 合うことに対する興味・関心が高いことが推察される。 エンゲージメントの発現には,学びの文脈が明確な場 面や状況を整える必要がある。このような条件が整備 されたからこそ,児童は自分の役割を果たそうと努力 し,話し合った後も継続して決まったことを実行する 姿がみられたのではないだろうか。 続いて,小学 6 年生では,事例 3 のように学校や地 域に目を向けながら,最高学年として学級活動での役 割を経験することで,多面的なエンゲージメントを発 現させたり,事例 4 のように司会やフォロワーとして, 異なる意見に対してどのように工夫すればよりよい意 見となるかを常に意識しながら役割を果たすことで, 認知的側面のエンゲージメントを発現させたりするこ とが示された。自分の言動に自信をもつことが課題で ある事例 3 の児童が,1 年生に対して自分の役割に専 念する姿や学校行事に対して目的を自覚する姿,より よい町づくりを目指して方略を吟味・提案する姿など がみられた。このことは,話合い活動やその後の実践 での役割が,この児童の活動への関与(Skinner, 2016) を促進したことを示唆するものであると考えられる。 また,一般に高学年の特徴の一つとして挙げられる, 友人関係の固定化が課題である事例 4 の児童が,日頃 の関わりが希薄な事例 3 の児童の意見を参考にしなが ら,よりよい意見となるように方略を吟味・提案する 姿がみられた。このことは,話合い活動での役割が, 事例 4 の児童にとって学び合う関係性(Kindermann, 2007;Reeve, 2012)を育んでいることを示唆するもの であると考えられる。これらのエンゲージメントは, 河村(2018)が示している学習活動の基盤となる学級 集団の質を向上させるために必要なことであろう。 本研究をまとめると,話合い活動やその後の実践か ら構成される学級活動における児童の役割を観察し, Table 6 6 年生の事例 4 <役割を果たすために意識して方略を吟味・提案> 時期 役割 児童の姿 10/5 司会 「意見を比べ合う」場面では,「意見を出し合う」でフォロワーから出された意見を紹介 しながら,「今出された意見は,挨拶運動のスローガンのような言葉と地域の人たちへ の呼びかけのような言葉の二つに分かれると思います。『笑顔で挨拶』のようなスロー ガンのような意見と,『安全でにぎやかな場所にします』の呼びかけのような意見,ど ちらにしますか。近くの人と相談してみてください。」と提案する姿があった。 【方略の吟味・提案】 10/26 フォロワー 「意見を比べ合う」場面では,今出ている意見と○○さん(事例 3 の児童)が入れたい キーワードを組み合わせて,「私は,言葉を合わせて『力合わせて網を引くがんばった 運動会』という意見を変えて,『仲間たちと力合わせてがんばった運動会』にすればい いと思います。」と提案する姿があった。 【方略の吟味・提案】 また,同場面では,「私は挨拶じゃない方がいいと思います。理由は,提案理由にある B 小学校らしさは,◇◇校舎(学校の特徴を示した言葉)もあると思うからです。」と 発表する姿があった。 【目的の自覚】 12/6 フォロワー 「意見を比べ合う」場面では,「私は,『女子はフライを落としてもワンバウンドならア ウトになる』に賛成です。理由は,ワンバウンドならアウトだと,ボールを取ろうかな という気持ちになるけど,ワンバウンドじゃなくて普通に取ったらアウトだと,あんま りボールを取れるか分からないからです。そうしたら,ボールを取りに行くことがあま りできなくて,守備の時でも楽しくできないと思ったからです。」と発言する姿があった。 【方略の吟味・提案】 【  】内はカテゴリーを示す。

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記録することで,事例によって違いはあるもののエン ゲージメントが発現したことから,学級活動における 児童の役割とエンゲージメントには関連がある可能性 が示唆された。こうした知見は,日頃のエンゲージメ ント発現の状況を踏まえた上で,小学生を対象に事例 的な検討を行うことで明らかにされたといえよう。ま た,特別活動の学級活動に着目して,エンゲージメン ト,すなわち,話合い活動を中核に据えた探究的な学 びの姿を具体的に捉えた点で意義がある。 しかしながら,本研究の課題として,次の点が挙げ られる。1 点目として,本研究の結果は,4 名の事例 検討によるものであり,エンゲージメントの発現の背 景を示すに至らなかった点である。大学生においては, 例えば,梅本ら(2016)のようにエンゲージメントを 促進する要因が明らかにされつつある。そのため,今 後は,小学生のエンゲージメントがいかに発現するか について,説明変数を用いて検討する必要があろう。 2 点目として,本研究の対象は児童であり,エンゲ ージメントを促進するための教師の働きかけを検討し ていない点である。本研究での観察より,話合い活動 やその後の実践に至る学習過程では,教師が児童に対 して直接的・間接的な働きかけをしている場面や,「待 つ」や「見守る」など敢えて働きかけをしない場面に 多数遭遇した。松尾・丸野(2007)は,個々の場面や 文脈における教師の働きかけの詳細な特徴を捉えてい る。学級活動における児童のエンゲージメントを促進 するために効果的な教師の働きかけを捉えることも, 今後の課題として残されている。 【引用文献】 秋田喜代美(2000).子どもをはぐくむ授業づくり― 知の創造へ― 岩波書店

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基盤研究(C)課題番号 18K02758:多様性に富む共 生社会構築に向けた小学校用「多様性把握シート」の 作成と活用(代表 若松昭彦)によって行われた。 (2019 年 6 月 27 日受稿,2019 年 11 月 20 日受理)

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参照

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