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福祉情報学の構想

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福祉情報学の構想

An Essay on The New Paradigm of Information

Studies based on The Social Welfare

村田隆一

Ryuichi Murata

1 福祉の市民化と福祉情報へのユニバー

サルアクセス

1.社会福祉基礎構造改革と福祉の市民化

 2000年5月に制定、同6月に公布された「社会 福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改 正する等の法律」(以下「一括改正法」)により社 会福祉事業法、身体障害者福祉法、知的障害者福 祉法、児童福祉法等の福祉関係8法が一括改正さ れた。この改正により社会福祉事業法(以下「旧 社会福祉事業法」)は一部改正されるとともに社 会福祉法に名称が改正された。一括改正法の成立 により、1997年8月の厚生省社会・援護局長の私 的懇談会「社会福祉事業等のあり方に関する検討 会」の設置で始まったとされる社会福祉基礎構造 改革はその完成をみることになる1)。  社会福祉基礎構造改革とは、戦後50年余の社会 経済情勢の変化に対応した「社会福祉の基盤制度 の再構築」2)だとされている。即ち、「生活困窮 者、障害老などの緊急の救済を要する社会的弱者 対策を経て、国民の生活全般を守る最大、最後の 安全網として普遍的な福祉へと変わってきてい る。」3)との認識のもとに、「今後、人口高齢化が 急速に進展するなかで、平均的な家族の福祉サー ビスに対する需要が大幅に拡大することが見込ま れている。」4)ことから、「もとより消費老主権を 発揮できない要介護者に対しては、引き続き公的 な役割が重要であるが、大部分の個人について は、自由意志に基づく選択を原則とし、そのため の情報開示等に努あなければならない。金融、労 働、医療、教育等の各分野と同様に、福祉サービ スが「特殊なもの」であり、公的部門によって もっぱら供給されなければならないという大前提 を見直す必要がある。」5)として、社会福祉の構造 改革が行なわれたのである。  戦後の日本の社会福祉は、日本国憲法第25条の 国民生存権及び生活保障についての国家責任の確 立を受けて、戦前との決別を図り新たな制度化が なされた。1946年制定の生活保護法を始めとして 1950年代初頭までに児童福祉法、身体障害者福祉 法、社会福祉事業法が制定され福祉三法体制とな り、その後1960年代前半に精神薄弱者福祉法、老 人福祉法、母子福祉法が制定され福祉六法体制と なり戦後日本の社会福祉の基礎構造が確立された のである。この戦後社会福祉の基礎構造の根底に あったのは、1950年の社会保障制度審議会「社会 保障制度に関する勧告」(以下「50年勧告」)での 社会福祉に関する規定であった。同勧告では次の ように社会福祉を規定している。   「社会福祉とは、国家扶助の適用を受けてい   る者、身体障害老、児童、その他援護育成を   要する者が、自立してその能力を発揮できる   よう、必要な生活指導、更生指導、その他の   援護育成を行うことをいうのである。 *社会福祉学部教授

一45一

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 国、都道府県及び市町村は、この目的を達 成するために必要な施設を設け、その分布の 合理化と整備拡充を図る必要がある。」6)  即ち、公的責任による福祉サービス供給を基本 としつつも、その利用者については生活困窮者や 障害のある者等の限定された者を想定し、援護・ 更生・育成等の保護的対応を行うという考えであ る。そして、福祉六法体制での福祉サービス供給 は、生活保護制度を除き、サービス請求権は明記 されず、行政が職権で「福祉の措置」によって サービス提供を行うものとされたのである。供給 側が主体の福祉システムであったといえよう。  こうした行政主導の供給側主体システムを基礎 構造とする社会福祉制度は、税財源に依拠するた めに高度成長期には拡充が可能であった。しか し、1973年の第1次オイルショヅクをきっかけに 一転して低経済成長に転じたために、公共事業へ の財政支出が重点化され財政赤字が構造化し、国 が財政危機に陥るなかでは、公費を基本財源とす る基礎構造が社会福祉制度の弱点に転化すること になる。そのため1970年代後半から1980年前後に かけて「福祉見直し」が国・地方を通じての政策 基調となるが、高齢化の急速な進行を背景に、家 族、地域社会の変化もあいまって、その後1980年 代を通じての第2次臨時行政調査会及び臨時行政 改革審議会による行財政改革のなかで社会福祉改 革カミ模索されていく。そして1980年代半ばには、 かつての社会保障制度審議会の「50年勧告」で示 された限定的・保護的な社会福祉から、普遍的な 社会サービスとしての社会福祉への転換が政策提 起されるのである。具体的には1986年版厚生白書 で、保健、医療、福祉分野の各種サービス等の社 会サービスは「国民生活の基盤iとして不可欠の役 割」を果たすものであり、「救貧的、選別的な性格 から一般的、普遍的な性格を有するサービスへと いう歴史的な変容過程にある」との認識のもと に、「質の高い総合的な地域サービス」の実現が 必要であり、福祉サービスについてもサービスの 普遍化に対応して受益者負担原則(この段階では 一応「負担能力に応じた」と断っているが)が提 起されている。そして、翌年の1987版厚生白書 は、民間活力の積極的活用が必要であり、公的 サービス、市場サービス及びインフォーマルサー ビスの組み合せによる「公民ミヅクス」を適切な 社会サービス供給システムとして、公的供給を前 提とした供給体制の多元化政策を提示しているの である。  1980年代後半からは総合的な高齢社会対策の策 定が始まり、1985年社会保障制度審議会建議「老 人福祉の在り方について」、1986年長寿社会対策 大綱の策定を経て、1989年3月福祉関係3審議会 合同企画分科会意見具申「今後の社会福祉のあり 方について」、同12月の消費税導入に対応した厚 生省・自治省・大蔵省の合意による「高齢者保健 福祉推進10か年戦略(ゴールドプラン)」の策定 と1990年6月福祉関係8法改正(以下「8法改 正」)が行われる。これらはいずれも急速な長寿 化・高齢化による要介護者の増大を前提に、「高 齢化社会を国民カミ健康で生きがいをもち安心して 生涯を過ごせるような明るい活力ある長寿・福祉 社会」7)(ゴールドプラン前文)づくりを政策課 題にしたものであり、そこでは全ての国民が福祉 サービスの利用者になりうるものとして想定され ている。そして、社会福祉が国民即ち地域住民の 生活基盤となることから、「住民に最も身近な市 町村で、在宅福祉サービスと施設福祉サービスが きめ細かく一元的かつ計画的に提供される体制づ くりを進める」8)(8法改正の趣旨)ことが具体 的な課題とされ、地域福祉の推進が社会福祉の基 本的な目的として認識されるに至ったのである。  こうした社会福祉の一般化・普遍化という考え 方は、1994年12月策定の「新ゴールドプラン」(平 成7年度∼11年度末)での基本理念(利用者本位 ・自立支援、普遍主義、総合的サービスの提供、 地域主義)及び1995年社会保障制度審議会勧告 「社会保障制度の再構築」での社会保障推進の5 つの原則(普遍性、公平性、総合性、権利性、有 効性)として取り入れられ、制度政策の基本とし て定着をみることになる。社会福祉基礎構造改革 はこうした福祉サービスの普遍化を前提にしたも のであり、その改革の基本理念を次のように整理 している。   「○成熟した社会においては、国民が自らの    生活を自らの責任で営むことが基本となる    が、生活上の様々な問題が発生し、自らの    努力だけでは自立した生活を維持できなく

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   なる場合がある。    ○これからの社会福祉の目的は、従来のよ    うな限られた者の保護・救済にとどまら    ず、国民全体を対象として、このような問    題が発生した場合に社会連帯の考え方に    立った支援を行い、個人が人としての尊厳    をもって、家庭や地域の中で、障害の有無    や年齢にかかわらず、その人らしい安心の    ある生活が送れるよう自立を支援すること    にある。」9)(「社会福祉基礎構造改革につ    いて(中間まとめ)」)  そして、基礎構造改革の具体化を図った一括改 正法の法改正の趣旨は次のように説明されてい る。    「現在の社会福祉制度は、戦後の復興期に貧   困者、身体障害者、戦災孤児等が急増する中   で、こうした生活困窮者を緊急に保護・救済   するために旧社会福祉事業法を中心に、行政   主導で措置の対象者及び内容を判断し、保護   ・救済を行う仕組み(措置制度)として制度   化され、一定の成果を上げてきた。    しかしながら、生活水準の向上、少子・高   齢化の進展、家庭機能の変化等の社会環境の   変化に伴い、今日の社会福祉制度には、従来   のような限られた者に対する保護・救済に留   まらず、児童の育成や高齢者の介護等、国民   が自立した生活を営む上で生じる多様な問題   に対して、社会連帯に基づいた支援を行うこ   とが求められるようになった。こうした変化   を踏まえて、利用者と事業者が対等な関係に   立って、福祉サービスを自ら選択できる仕組   みを基本とする利用者本位の社会福祉制度の   確立を図り、障害者等のノーマライゼーショ   ンと自己決定の実現を目指すため、今般の法   改正を行うこととしたものである。」10)  以上のことから、社会福祉基礎構造改革におい て福祉サービスの利用者は、特定の生活困難を抱 えた者に限られるのではなく、全ての国民、即ち 普通の市民であることが明確に規定されたといえ る。21世紀の社会福祉制度は、普通の市民が利用 者となるということであるが、このことは言い換 えると、福祉の市民化ということができる質的な 変化である。.そして、その意味するところは2つ あると言えよう。ひとつは、利用者の階層が広が り、普遍化したことである(量的な普遍化)。もう ひとつは、障害のある人々をその障害ゆえに差別 することなく、市民として平等な扱いを保障する ということである(質的な普遍化)。

2.福祉の市民化と福祉情報へのユニバー

 サルアクセス  2000年5月に社会福祉事業法が改正され社会福 祉法と名称変更がされるとともに、「利用者の立 場に立った社会福祉制度の構築」のため、これま での「行政が行政処分によりサービス内容を決定 する措置制度」から「利用者カミ事業者と対等な関 係に基づきサービスを選択する利用制度」、即ち 「福祉サービスの利用制度化」が図られることと なった11)。福祉サービスの利用制度化とは、利用 者が福祉サービスを選択し民間事業者と私的に契 約してサービス利用を行うものであることから 「契約型福祉サービス」12)ということができる。 この福祉サービスの利用制度ないし契約型福祉 サービスは、2000年4月より実施された介護保険 において既に先取りして制度化されているもので ある。同年5月の社会福祉事業法改正は、介護保 険法の実施を後追いする形で、日本の社会福祉制 度全体を契約型福祉サービスに構造転換すること を目的に行われたものである。  介護保険法及び新たに改正・名称変更された社 会福祉法において、基本理念として打出されたの は利用者主体であるが、これまでの行政主体ない しサービス提供者主体の福祉からの構造的転換を 意図したものといえよう。いわば“福祉の市民 化”を戦略的な課題とした改革と見ることができ る。そして、福祉サービスは、ノーマライゼー ション原理に従って、市民の生活の場面である地 域社会において用意され、利用されるものでなけ ればならないのであるから、福祉の市民化とは地 域福祉の形成として追求されることになる。その 形成過程において、市民が主体的に福祉サービス を選択、利用していくためには様々な条件整備、 基盤整備が必要とされる。その基盤となるものの 1つに市民に対する福祉情報の的確な保障があげ られる。市民情報としての福祉情報へのユニバー

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サルアクセスについて、論点整理とそのあり方を 考察してみたい。 (1)市民情報としての福祉情報  先に社会福祉基礎構造改革によって、21世紀の 社会福祉は普通の市民を利用者とすることである から、福祉の市民化を企図したものであり、質的 な変化をとげたとした。その際に、福祉サービス の利用者は、特定の生活困難を抱えた者に限られ るのではなく、全ての国民、即ち普通の市民であ ることが明確に規定されたことを根拠とした。こ こで「全ての国民、即ち普通の市民」として、「国 民」と「市民」を同一のものとして扱い、「福祉の 市民化」と規定したのであるが、「市民情報」とし ての福祉情報を考察するにあたって、改あて両者 の関係を整理しておきたい。 ① 社会福祉の対象としての「国民」から主体と  しての「市民」へ  社会福祉分野において、近年「市民」という言 葉が使われるようになってきているカミ、それらは 何れも理念的、規範的な意味において用いられて いる。  例えば、かつて社会保障研究所が行った「社会 福祉における市民参加」をテーマにした研究プロ ジェクト(1993−94年度)(社会保障研究所編『社 会福祉における市民参加』東京大学出版会、1996 年)では、「参加」についての機能的分析に重点が おかれ、「市民」については特に立ち入った考察 はされていないが、規範的な市民像を想定してい ることが伺える。  即ち、ある論者は、「いわゆる市民社会や民主 主義社会が歴史的に未成熟であったために、自ら の福祉にかかわる計画と実践に主体的に参加する という、社会福祉における参加の理念そのものが 育ちにくかった。」(伊藤)13)と記述しているが、 「市民社会」との関わりについての考察はなされ ていない。また、別な論者は、「国民と市民という 言葉は概念的には異なるものであるが、今日の平 成時点では、国民として意味しようとする内容 は、地域住民であり、市民である。」(栃本)14)と して、一応概念的な相違を確認はするが、今日で は実態的にく国民=地域住民=市民〉だとしてい る。さらに別な論者は、「ここで「市民」という場 合、それは単なる定住者市民としての「住民登録 者市民」を指すだけでなく、その自治体区域に通 勤・通学・買い物のためにやってくる「利用者市 民」やそこで経済的行為を行っている「法人市 民」もふくまれる」(荒木)15)として便宜的、実用 的な規定を行っている。  そして、「福祉国家における社会福祉の給付の 対象、客体として、「国民」は社会福祉に関係」16) してきたのであるが、「福祉社会における社会福 祉の担い手として市民の活動が活発になるととも に、市民活動の意義が重視されるようになってき た。」(栃本)17)との記述から伺えるように、受動 的な「国民」に対して主体的な「市民」という理 念的な位置づけがなされている。研究報告全体を 通して、こうした自立した主体的な市民がいかに して福祉社会の担い手として、そのパワーを発揮 していくか、そのためのシステムはいかにあるべ きかが論じられている。  社会福祉における「参加」に関しては、1992年 の社会福祉事業法改正により策定されたr国民の 社会福祉に関する活動への参加の促進を図るため の措置に関する基本的な指針(福祉活動参加指 針)』(1993年4月厚生省告示)において国として の基本的考え方が示されている。この指針では 「市民」という言葉はなく、「国民」、「地域住 民」、「住民」という言葉が使われているが、そこ では福祉社会づくりの担い手として積極的な「国 民」の参加に対する期待が表明されている。  これに対して、この指針のすぐ後に出された中 央社会福祉審議会地域福祉専門分科会「ボラン ティア活動の中長期的な振興方策について(意見 具申)」(1993年7月)では、自覚した市民の主体 的な活動による参加型福祉社会の構築が今後の目 的だとしている。即ち、「福祉社会が形成される ためには、社会を構成する一人一人の個性が尊重 され、一人一人が市民としての自覚を持ち、自分 以外の他者や社会について関心と共感を持つよ うな個人の生き方、ライフスタイルが前提とな る。」18)として「市民」としての自覚の必要性を喚 起している。そして、ボランティア活動とは「自 律的な市民の目で、多様なニーズにきめ細かく弾 力的に対応し、生活のアメニティを確保するもの

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である。(中略)それは幅の広い市民活動として、 福祉コミュニティの絆となり、また、人々のライ フステージ、ライフスタイルにとけこんだ市民生 活の一部となって、ますます重要な役割を果たす ことになる。」19)のだとし、規範的な意味合いで  「市民」の言葉が使われている。但し、この意見 具申では、「市民」とともに「国民」、「地域住 民」、「住民」、「個人」、「人々」、「人」という言葉 が使われている。  この意見具申に策定に際して全国社会福祉協議 会(以下「全社協」)が同審議会に提案した「ボラ ンティア活動推進7ヵ年プラン構想」(1993年5 月)においては、「市民が、社会福祉を自らのもの と考え、自ら活動に参加する中で学習し、自らの 手で福祉をつくりあげていくことは、あらゆる人 が安心して生活を続けていける地域社会の基盤を つくるものである。その意味で、福祉活動への市 民の参加による参加型の福祉社会づくりは、社会 福祉協議会のもっとも基本的な活動の原点であ り、また、目標として、社会福祉協議会が長年取 り組みを進めてきたものである。」20)として、ボ ランティア活動の主体を「市民」にしている。し かし、全社協がこの構想をもとに同年7月に作成 した「ふれあいネヅトワークプラン21基本構想一 21世紀をめざす社会福祉協議会発展・強化計 画」21)では、「市民」という言葉は一切つかわれて いない。そこでは、「地域住民」、「住民」、「当事 者」、「高齢者」、「障害者」などの言葉が使われて いる。  その後、1995年1月17日の阪神淡路大震災を きっかけにボランティア活動に対する社会的な関 心と評価が一層高まることになり、1998年3月に 「特定非営利活動促進法」が制定された。この法 律は「市民活動促進法案」として議員立法として 上程されたものであるカミ、最終段階で名称が「市 民活動」から「特定非営利活動」に修正され可決 されている。名称は修正されたが、同法の目的を 定めた第1条では「(略)ボランテ4ア活動をは じめとする市民が行う自由な社会貢献活動として の特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって 公益の増進に寄与することを目的とする。」と して主体が「市民」であることが明記されてい る22)。  なお、この法案成立に中心的な役割を果たした 熊代明彦は、この名称に関して次のように述べて いる。即ち、「私が市民活動を命名したのは、民法 に由来する。民法の英語名はThe Civil Low即ち 「市民法」である。この「市民」とボランティア 活動等の「活動」を取って、「市民活動」としたの だ。しかし、市民の中には町村民が含まれないの ではないかと思う人もいるので当初の熊代試案に は、「この法律で『市民』とは、日本国内の市、 区、町又は村に住所を有する者をいう。」という 定義の条文をいれていたがやや奇妙に映るので削 除したのである。」as)また、この法案作成に関 わった衆議院法制局の担当者は、「「市民活動」と は「公益・非営利」活動のうちの特定のイデオロ ギーをもった人々によって行われている特定の活 動のみを意味するものと誤解されないか、などと いった懸念カミ表明されたため、よりニュートラ ルな「特定非営利活動」と修正されたようで す。」24)と説明している。  このように近年では福祉分野においては、「市 民」はボランティア活動の主体として、「福祉社 会」づくりの担い手という文脈で捉えられている ことがわかる。そして、こうした主体的な市民が つくる社会は「参加型福祉社会」として表現され ているのである。ここでいう「市民」とは要する に「国民」のことであるのだが、その理念的なあ り方として主体性を強調する際の用語として使わ れていることが確認される。社会福祉基礎構造改 革によって、国民すべてがその利用者として位置 づけられるようになったのであるが、単なるサー ビスの利用者、受け手としての地位に止まること なく、“福祉社会づくりの担い手としてボラン ティア活動を行う主体的な「市民」”像という 「国民」の理念モデルとして提起されたものだと いえる。そして、さらにいうならば、福祉サービ スの利用者としての国民も、社会福祉基礎構造改 革で確立された利用契約型福祉システムにおいて は事業者と対等な関係で契約することが想定され ていることから、従来の受動的立場から契約当事 者としての能力を有する立場、即ち自己決定の主 体としての「市民」になるといえる。国民が、福 祉の利用者及び担い手の両面において「市民」と

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して位置づけられたものといえる。 整理を試みることにする。 ② 福祉情報へのユニバーサルアクセス  今日の社会福祉においては市民とは先に確認し たように福祉社会づくりの積極的な担い手として の主体的な存在として位置づけられているのであ る。そうした市民が社会生活上で必要とする情報 のなかで、社会福祉に関する情報へのユニバーサ ルアクセスについて、以下でその内容、あり方の  1) 社会福祉における「市民」の特性:理念と   現実あるいは抽象と具体  社会福祉基礎構造改革の集約として新たに改 名、制定された社会福祉法では、その目的として 「福祉サービスの利用老の利益の保護及び地域福 祉の推進」(第1条)を掲げ、これを受けて次のよ うな規定がされている。 (福祉サービスの基本理念)  第3条 福祉サービスは個人の尊厳の保持を旨とし、その内容は、福祉サービスの利用者が心身ともに健や かに育成され、又はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するものとして、 良質かつ適切なものでなければならない。 (地域福祉の推進)  第4条 地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に 協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、 文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならな い。  こうした規定から、社会福祉法においては福祉 サービスの利用者を普通の地域住民として想定 し、そのノーマライゼーションを推進することを 基本理念としていることが伺える。こうした理念 は極めて積極的なものであるが、留意しなければ ならないのは、ここで想定されている福祉サービ スの利用者としての地域住民、あるいは近年強調 されている福祉の担い手としての市民は、いわば 抽象概念としてのそれであるということである。 現実問題として地域住民あるいは市民が、福祉 サービスを必要とするということは、要するに何 らかの障害を抱えた存在であり、その障害のあり ようは個別具体的であることである。そして、障 害とは障害のある人と環境との相互規定的なダイ ナミヅクスにおいて具体的なありようが規定され るものであるから、抽象的な国民ないし市民概念 としてとらえるだけでは不十分なのである。この ことを新国際障害分類ICFによる障害概念に よって改めて確認しておきたい。  今日、障害についての国際的定義は、2001年5 月開催のWHO総会で承認されたICF(lnterna− tional Classification of Functioning, Disability and Health)(以下rICF」)として定められている。

このICFは、1980年にWHOが定めたICIDH

(lnternational Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps)(以下rICIDH」)を改 定したものである。ICIDHでは障害を3つのレベ

ルに分類(機能障害impairment、能力障害

disability、社会的不利handicap)していたが、障 害部分に焦点があてられカミちであったこと、その 根底にはICIDHが“疾病の結果consequence of disease”に対する分類であったことの反省のう

えにたって、ICFでは“健康状態の構成要素

components of health”eこ対する分類に変更され、 略称も疾患分類であるICDに合わせてICFにさ れている。このICFの主要な改定点は、「背景因 子」が分類に加えられ、「生活機能と障害Func− tioning and Disability:(a)心身機能と構造Body Functions and Structuresと(b)活動と参加 Activities and Participation」、「背景因子Con− textual Factors:(a)環境因子Environmental Factorsと(b)個人因子Personal Factors」から構i 成され、これらの諸因子の相互作用として障害が とらえられていることである(図1 新国際障害 分類ICF問題モデルを参照)。  そして、これまでのICIDHでの障害分類では、 身体(機能障害Impairment)、個人(能力障害 Disability)、社会(社会的不利Handicap)の3つ

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の次元で障害という「マイナス部分」を分類して いたものを改め、新たなICFでの分類では、身体 (Body)と生活(Life areas)の2つの次元でとら えることで、マイナス部分の障害(Disability)の みならず、生活機能(Functioning)というプラス 部分も組み込んだ分類とされている。そして、 「身体」を心身機能Body f皿ctionsと身体構造 Body structuresで構成し、そのプラス面を「機能 的・構造的統合性Functional and structural integrity」、マイナス面を「機能障害Impairment」 として整理している。「生活」については、そのプ ラス部分は「活動Activitiesまたは参加Partici−

pation」とし、マイナス部分を「活動制限

Activity Iimitationまたは参加制約Participation restriction」としている。さらに、従来、〈機能障 害→能力障害→社会的不利〉という一方向の関係 でみられがちであったことを改めるために、生活 機能と障害を、健康状態と背景因子に影響される 各構成要素間の相互作用として理解することとし たとされている25)。  以上が新国際障害分類ICFの概要であるカミ、先 に障害は障害のある「人」と「環境」との相互規 定的なダイナミックスにおいて具体的に規定され ることから、抽象概念としての国民ないし市民と してとらえるだけでは不十分だとしたことは修正 が必要である。 図1 新国際障害分類ICFモデル   健康状態 (Health Condition)  心身機能・構造 (Body Functions   &Structure)  環境因子 (Environmental    Factors)  活動 (Activity)  個人因子 (Personal    Factors)   参加 (Participation) 図1 1CFモデル  即ち、ICFでは「人」を自然的存在及び主体的 存在としてとらえるとともに、「環境」要因を導 入することで社会経済的存在としてもとらえるこ とで、人の全体的な把握を個別具体的なレベルで 行うことにしたといえ、いわばbio−psycho− socialな視点が確立されていることが確認される からである。従来、社会福祉分野でもソーシャル ワーク(今日的にいうなら社会福祉援助技術)に おいて、「人と環境の相互作用」という視点は、そ の古典的定義をはじめとして今日のエコロジカル なアプローチまで含めて、いわば常識化して確認 されてきているカミ、社会的視点が過剰なためか身 体・物理的な視点(即ち「自然的存在」という視 点)が欠落しがちであった26)。人をその主体性に おいていわば社会・自然的に把握する視点は、今 日のIT化時代においては極めて重要である。要 するに「人」を具体に把握するとしても、その把 握の仕方その内容が重要なのである。

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2) 社会福祉における「市民」の二面性と福祉情  報へのユニバーサルアクセス  普遍化した社会福祉における「市民」とは、こ れまで確認してきたように「福祉サービスの利用 者としての市民」と「福祉社会づくりの担い手と しての市民」という二面性をもつものであった。 こうした二面性を踏まえて、福祉情報へのユニ バーサルアクセスのあり方を考えていくことが必 要である。  A)「福祉サービスの利用者/市民」の福祉情    報へのユニバーサルアクセス  「福祉サービスの利用者としての市民」に対す る福祉情報へのユニバーサルアクセスのあり方に ついて、特に考慮されなければならないのは、福 祉情報カミもつ「動的情報」という性格である27)。 契約能力ある市民としての福祉サービス利用者と いう想定は、福祉サービスの利用システムの構築 にあたって、ややもすると合理的な選択を行う消 費者を前提とする消費者モデルの安易な取り込み に陥りやすいからである。福祉情報における動的 情報という特性は、利用者と事業者の対話的相互 交流を基本としたサービス利用システムの構築が 不可欠であることを示しているのである。サービ ス利用システムがこうした双方向型の対話型の性 格を持つことは、誰でもが福祉サービスを利用し やすい環境を提供することになるのであり、ユニ バーサルアクセスを可能とする基盤となるものだ といえる。  但し、介護に限らず何らかの障害のある状況は 様々な領域、職種による複合的サービスの利用を 必要とするのである。これら必要とするサービス が個々ばらばらに存在し、それらに個別に利用者 がアクセスしなければならないとするのならば、 利用者側の負荷は極めて大きいものとなってしま う。こうした事態を回避するためには、アクセス の窓口のあり方カミ極めて重要となる。アクセスす る窓口は、出来るだけ利用者の身近な存在である ことが求められると同時に、その窓口が必要とす るサービスにすべて繋がっていること、即ち総合 的な窓口機能が求められる。そして、窓口にサー ビス総合化機能を確立するためには、そもそも サービス提供側が総合化されていなければならな いのである。このサービス提供側の総合化は、今 日の多元化民営化政策の中では、事業老間ネヅト ワークの形成として要請されることになるといえ よう。これらのことカミ「福祉サービス利用者とし ての市民」の福祉情報へのユニバーサルアクセス を用意する基本的要件となろう。  B)「福祉社会づくりの担い手/市民」の福祉    情報へのユニバーサルアクセス  次に「福祉社会づくりの担い手としての市民」 (以下「担い手市民」)に対する福祉情報へのユニ バーサルアクセスのあり方について課題を整理し てみたい。福祉社会づくりの担い手といった場合 には、主としてボランティア活動への参加を促進 することが考えられるが、現在ボランティア活動 を支援する組織として市町村社会福祉協議会(以 下「市町村社協」)が設置するボランティアセン ターをはじめとして多様なボランティア組織カミ存 在しており、様々な情報を発信している。イン ターネヅトを活用して、ホームページHPを立ち 上げている組織も多く存在しており、そうしたサ イトの情報を収集し整理した情報を提供するHP もまた多く出現している。従って、ここでの課題 は「担い手市民」がPC操作能力をいかに習得す るかということになる。  こうした「参加」を支援・促進するための条件 整備に加えて、忘れてはならないのは「担い手市 民」の基本的な役割として考えられる「福祉社会 づくり」と福祉情報へのユニバーサルアクセスの 課題である。  「福祉社会」については、中央社会福祉審議会 地域福祉専門分科会「ボランティア活動の中長期 的な振興方策について(意見具申)」(1993年7 月)で「参加型福祉社会」として、次のように説 明されている。  先ず、福祉社会の前提として、「社会を構成す る一人一人の個性が尊重され、一人一人が市民と しての自覚を持ち、自分以外の他者や社会につい て関心と共感を持つような個人の生き方、ライフ スタイル」があげられている。そして、福祉社会 の基礎には、「福祉という共通の価値観を共有し、 ともに生きるという思想に立って、ともに理解し 共感し、地域においてさまざまな形で福祉を支え あう」という「福祉コミュニティ」が存在するの

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だとしている。特に、参加の意義が強調されてお り、「共感、相互理解と互酬性に根ざした参加は、 より豊かな生活を創り出すとともに、幼少期から の人間としての成長にとっても極めて重要な意義 をもたらすであろう。(中略)ライフステージを 通じての生きている意義の発見でもあり、新たな 文化の創造でもある。さらにこのような文化と地 域の創造は、次世代にバトンタッチすべき福祉コ ミュニティというソフトな資産を新たに形成する ことでもある。」として、「参加型福祉社会」の名 称を用いている。  このように極めて高い理念にみちた道徳的とも いえる表現、記述で参加型福祉社会は描かれてい る。現実がこうであるならば改あて提起される必 要がないといってしまえばそれまでであるが、意 見具申が出された当時は、日本経済がバブル崩壊 後の平成不況の最中であった。国家財政もいった んは赤字国債発行がゼロになり公債依存度もさ がったものの不況のために1992年度以降は再び上 昇に転じていた。こうした状況のもとで、行財政 のスリム化と民間活力の積極的な活用が政策の基 調として展開されていた。そして、少子高齢化の 進行に伴って家族機能の低下が明らかとなり、地 域社会は既に都市化のなかでその相互扶助機能を 喪失していたことから、個人に対する期待が政策 的に強調されはじめた時期であった28)。こうした 状況のなかで社会福祉分野においても個人の自立 を基調とした新たな市民社会としての福祉社会づ くりが志向されたといえる。なお、この時期に第 14次国民生活審議会総合政策部会報告書『個人の 自立と社会参加』(1995年1月)が出されている。 また、それに同部会に設けられた「21世紀の社会 構造委員会」報告書r個の実現を支える新たな絆 を求めて』(1994年3月)及び「市民意識と社会参 加活動委員会」報告書『自覚と責任ある社会』 (1994年6月)が出されている。これらの報告書 では家族、地域社会、雇用システムの変化の中で 「自分本位で」「無責任」「連帯感が乏しい」とい う「「私」第一主義の強まり」に対して、「個人の 自立と自己責任」を確立し、「自立した個人によ る市民意識を醸成」し、「甘えと無責任、依存と批 判の悪循環を断ち切り」、「自覚と責任を基盤とし た市民社会」へ転換をはかることが必要だとされ た。「市民社会とは、個人が自らの手で社会を構 築していくことができる社会」であり、社会参加 活動はそうした社会づくりを推進していく上で大 きな意義を持つとされている。そして、総合政策 部会報告書では、「政府主導、集権型、企業中心の 社会構造」を「自覚と責任を基盤とした市民社 会」へと変革していく萌芽として期待を寄せるの がボランティア活動などの個人の社会参加活動、 企業の社会貢献活動、NPO・NGOである。  こうした責任と自覚をもった自立(及び自律) 的な市民像への期待は今日まで持続しており、因 みに2001年版厚生労働白書の副題は「生涯にわた り個人の自立を支援する厚生労働行政」であり市 民という言葉こそないが「個人と社会のあり方」 として「自立と連帯」が確認されている。いずれ にしても「国民」ではなく「市民」としてのあり 方が提起され、強調される背景には、戦後の日本 社会が経済一辺倒でひたすら走り続けてきたこと への反省があるといえよう。「私民」化した社会 を改めていこうとする際に提起されたのが、自立 した個人による主体的なネットワークの再構築に よる社会連帯であるといえる。そこには財政負担 の軽減への政策的な誘導という意図的な側面が濃 厚であるが、人が社会的な存在としてある以上は 国民自身にとって重要な課題であることは間違い ないことだといえよう。  以上、改めて福祉社会づくりの担い手としての 市民カミ当為概念として持つ重要性を確認したが、 こうした市民にとって、より正確にいうならばこ うした市民として成長していくための福祉情報へ のユニバーサルアクセスのあり方を整理してみる ならば、次のようなことが確認される。  先ず、福祉情報そのものの問い直しが必要だと いうことである。通常は福祉情報といったときに はサービス利用が想定されることから、福祉サー ビスの資源に関する情報が思いうかべられる。あ るいは社会活動への参加ということからボラン ティア活動に関する情報が考えられよう。しか し、こうした福祉情報の利用はいずれも既存のも のへのアクセスであり、あくまでも利用者という 受身の存在として、いわば情報を消費することに 他ならない。従って、今日求められているのは新 たなネットワークの形成による福祉社会づくりで

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あることからすると、こうした福祉情報の消費者 だけに止まっていて良いのかという疑問が出てく るのである。結論を先取りするならば、「担い手 市民」への変容をとげるためには、福祉情報の消 費者且つ生産者にならなければならないのであ る。  先ず、情報のく消費者/生産者〉について、金 子/今井の「静的情報」と「動的情報」という区 分を手掛かりして考えてみたい。金子は、「数値 データー、メモ、コンピュータソフトウエア、マ ニュアル等、一定の表現形態をもったものとして (中略)固定された状態」を「情報の静的側面」、 「情報がもともとのインタラクションの過程の中 でうまれるようす」を「情報の動的側面」として 区分している29)。また金子は、「情報というもの はすでにどこかに「あるもの」と考えるのが、静 的情報の考え方である。これに対して、情報とは 相互作用のプロセスの中から「生まれてくるも の」とするのが、動的情報の考え方」とも説明し ている30)。この区分によるならば、市町村社協ボ ランティアセンター等のボランティア活動に関す る情報は静的情報ということになる。これに対し て、ネットワーク上で生みだされる動的情報の場 合は、そのネヅトワークの参加者同士での交流の なかで共に新たな情報を創りだすということにな る。金子/今井は、「交換するというよりも、相互 関係の中で情報の意味と価値を作りだしていく過 程カミ重要である(中略)内容的には、相互作用に よる「意味形成」といったほうがよい」といって いることである31)。自ら情報を発信する(情報の 生産)とともに、その情報を受け取った他のメン バーも単に受取る(情報の消費)だけでなく、相 互の交流をとおしてともに新たな情報を創りだす (情報の拡大生産)ということになる。ここにお いては、情報の消費と生産の同時的進行という事 態が発生し、情報の〈送り手/生産者VS受け手 /消費者〉という二分法をこえて、情報のく消費 者/生産者之消費者/生産者〉という関係が成立 する。こうした関係を創りだすのは、その関係が ネットワーク型の関係となっていることに注意す る必要カミあり、金子はこうした関連を「動的情報 が発生するプPセスがネットワークである」32)と 言い切っている。  ところで、情報のく消費者/生産者〉といった ときに忘れてはならないのは、ネヅトワーク型の 関係においては単に情報のレベルだけでなく、物 やサービスという「商品」についてもく消費者/ 生産者〉が出現しているという事実である。西垣 は、「オンライン・サークル」と「インターネット ・ビジネス」に注目して、主婦や高齢者等がオン ライン・サークルを通じて様々な起業を行いつつ あるが、そこでは「消費者の視点をもちつつ生産 する「消費的生産者」」33)が生まれていることを 指摘している。そして西垣は、こうした起業は市 場経済ではなく共同体的な「贈与・互酬経済」に 近いものであるとの認識をもとに、「消費のみな らず生産を目的とした活動がオンライン・サーク ルで行われるとき、そこには、信頼関係・協力関 係・互助関係といった、いわゆる共同体的な性格 がかならず現れてくる。従来の共同体ほどの永続 性は持たないにせよ、少なくとも、はかない「電 縁広場」とは違って、「生きカミい」を約束する擬似 共同体となる可能性をはらむのである。」34)(傍 点は著老)さらには、「インターネヅトとは本来、 国境を越えて贈与・互酬がおこなわれる、「擬似 共同体」の場だった。」としている。  インターネットとはまさにネットワーク型の関 係を広範に作りだすものであり、そこにおいては 情報のみならず経済までが生産されるのであり、 そうした新たな世界は「擬似共同体」を成立させ る可能性を持っていることカミ指摘されている。福 祉社会づくりの担い手として期待される市民が、 現在出現しつつあるこうしたIT型ともいうべき コミュニティの積極的な形成者として、福祉分野 でのIT型コミュニテaを創出していくことは重 要な課題といえよう。  以上のことを踏まえて、福祉社会づくりの担い 手として期待される市民にとっては福祉情報への ユニバーサルアクセスという課題は、静的情報と しての福祉情報へのアクセスだけでなく、動的情 報としての福祉情報を生みだすいわばIT型コ ミュニティの形成をどのように展開するのかとい う課題を含むものでなければならないといえよ う。ユニバーサルアクセスという概念は、かかる 意味で拡張されなければならないといえよう。

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「福祉情報学」構築への要請

1. rlTルネッサンス」と「高度情報通信

ネットワーク社会」  平成13年版情報通信白書は、2000年(平成12 年)から2001年(平成13年)初旬にかけて本格的 なブロードバンド時代が到来したとして、「プ ロードバンド元年」と命名している。この時期1 年余の間にブロードバンドの接続環境の整備が進 んだことなどを受けて、DSL(Digital Subscriber Lineデジタル加入者線)の加入者及びインター ネット加入数が急速に増加したことを踏まえての ことである。特に、インターネット利用者が大幅 に増加したのは、PCの普及と「携帯電話・PH S端末からのインターネヅト接続が2,364万人に 達したことが大きな要因」で、「端末の多様化が インターネヅト利用人口の伸びに大きく寄与」35) したとしている。そして、同白書は、IT革命は かつての「産業革命に匹敵する歴史的大転換を社 会にもたらす」ものだとして、ブロードバンド元 年で「高度情報通信ネットワーク社会」への転換 が図られ、特に個人レベルでのブロードバンド・ インターネットの浸透は社会の質的変革を意味し ており、「工丁ルネッサンス」の到来だとしてい る、同白書は次のように記述している。  第1章 特集「加速化するlT改命」∼ブロードバンドがもたらすITルネッサンス∼  はじめに  近年目覚しい発展を遂げているIT(情報通信技術)革命については、平成12年から13年にかけて社会的関 心が大きな高まりをみせ、政府においてもIT革命の推進を重要な戦略課題として明確に位置付けている。 (中略)  その過程で、IT革命が、18世紀に英国で始まった産業革命に匹敵する歴史的大転換を社会にもたらすとの 認識は、我が国においてもほぼ定着したものと思われる。ITは、まさしく新世紀の発展基盤として、経済的 側面では経済構造改革の実現や産業活動の効率化を促進するとともに、国民生活の側面では多様なライフスタ イルの実現や利便性の向上をもたらす鍵として、我が国社会全体から強い期待が示されている。情報と知識が 付加価値の源泉となる社会、「高度情報通信ネットワーク社会」への移行が現実のものとなりつつある。(中略)  こうしたブロードバンド・インターネットの個人レベルへの浸透により、いわば人間は「無限の情報空間」 を自由に活用することが可能になる。これは、先に述べた企業活動の効率化や多様なライフスタイルの実現と いった「変化」にとどまらず、個人の知的活動の飛躍的な向上をもたらし、国境を越えた地球規模での文化的 「変革」にまで達するポテンシャルを秘めている。その意味で、ブロードバンド・インターネットはちょう ど、中世イタリアに端を発した「ルネッサンス」が、個人の思想活動の活性化をもたらし、「暗黒の中世」か ら人間中心の近代文化への転換を実現したことにも対比できるものと考える。(以下略)  (「平成13年版情報通信白書」より)  以下で、同白書をもとに、IT化の進展状況を 確認しておくことにする。  先ず、現在のインターネット利用者は、4,708 万人(2000年末)と推計されており、前年比で約 74%の増加であり、2005年には8,720万人に達す ると予測されている。また、その普及状況は、世 帯普及率34%、事業所普及率44.8%、企業普及率 95.8%となっている(2000年11月現在)(図表 ①)。4,708万人に及ぶ個人のインターネヅト利用 者の利用端末別の内訳は、PCによる利用者3,723 万人(79.1%)、携帯電話・PHSからの利用者 2,364万人(51.8%)、ゲーム機・TVからの利用 者138万人(2.9%)となっている。このうち携帯 電話・携帯情報端末のみからの利用者は897万人 (19.1%)である。携帯電話・PHSによる利用 者の存在が大きいことが確認される(図表②)。  これを利用場所別にみると、自宅82.4%、職場 34.5%、学校10.0%である。また、自宅での利用 アクセス回線は、アナログ回線50.2%、ISDNダ イヤルァッフ゜34.0%、ISDN常時接続7.4%、プ ロードバンド回線4.6%となっている(図表③)。  ITを経済面でみると、2000年のインターネッ トビジネスの市場規模は47兆8,031億円で、対前 年比2.3倍と急速に伸びた結果、2000年度のGD P513兆61億円の9.3%を占める規模に達してい る。2005年には、インターネットビジネスの経済 規模は132兆8,937億円と2.8倍になることが予測 されている(図表④一⑦)。そして、2000年度の経

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済成長率は名目△0.3%、実質+1.7%で、実質で 2年連続のプラス成長となったが、これは、IT 関連とアジア向けを中心とした輸出が寄与したこ とや、IT関連需要を背景に電気機器、通信等の 設備投資が持ち直したことなどで設備投資が前年 度比4.6%増と3年ぶりに増加したことが大きな 要因となっており、日本経済においてITが重要 な役割を果たしていることが確認されている。こ うしたITの経済効果について、平成12年度経済 白書は、ITが「新技術」として「技術革新の波 である可能性が高くなってきた」として、「自律 的回復の芽生えがみられる日本経済」にとって需 要・供給両面で景気回復に寄与するものとして1 Tに大きな期待をかけたのである。因みに同白書 の副題は「新しい世の中が始まる」であった36)。  しかしながら、こうした期待はその後の現実の 経済動向から修正を迫られ、翌年の平成13年度年 次経済財政報告(2001年12月)は、厳しい分析を 余儀なくされる。即ち、同報告は、不良債権問題 が日本経済の重しとなり、「外需依存とITに 偏った回復」では限界があり、設備投資の回復も 脆弱で、消費の低迷も改善されなかったことで、 「「外需依存+IT依存」の回復は2000年後半か らのアメリカ経済の急減速で終焉」し、「回復は 戦後で最も短命に終わり、再び景気悪化」するこ とになったと分析している。但し、同報告におい 図表① 我が国におけるインターネットの普及状況     [:コ利用者数      {rr“=コ企業普及率(300人以上)     …C)=’事業所普及率         =◎=世帯普及率 (%) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 8(1996)         lttt,7°監.    .『一.・.1,       92・.一.’ …T;侍r       .、o.・.. 10(1998) 12(2000)     (万人)     10,000     9,000     8,000     7,000     6,000     5,000     4,000     3,000     2,000     t,OOO     O 17(2005)(年) ※1 事業所は全国の(郵便業及び通信業を除く。)従業者数5人以上の事業所。 ※2 「企業普及率(300人以上)」は全国の(農業、林業、漁業及び鉱業を除く。)従業者数300人以上の企業。 「生活の情報化調査」、「通信利用動向調査」(総務省)より作成 図表② 端末別にみた個人のインターネット利用者数・比率 携帯電話・携帯情報端末 からの利用者 計2、“O万人(5t.8%) (うち携帯電話 インターネット 利用者 2β64万人(50.2%

L

   携引聞括・掃踊裁噛牽     89砺人 {tg.t%) パソコンのみの棚者 22t4万人(47.096) ゲームei.i》 29方w(9?協) rパソ議らの   計3,723万人   (79.1%〕 2ooロ  ミほぼ GSt 4,708万人 ぐ一一ゲーム機・TV   からの利用者   計138万人    (2.9%)    ※ 【】内は、3つの円の重なり部分の人数。()内は、15歳以上79歳以下のインターネット利用     者に占める割合。     なお、端数処理のために、一部合計値が一致しない箇所がある。 「生活の情報化調査」より作成 *出所:平成13年度情報通信白書

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図表③ 利用場所別にみたパソコンからのインターネット利用者数 職場からの利用者 計1,285万人     職場からのみ

     黙

 自宅からのみの利用者    2,065万人    (55.5%) 1725s人 “9.5%}】        【27聡     自宅からの利用者     計3,066万人     (82、4%) 学校からのみの利用者←学校からの利用者   96万人      計372万人   (zeSfi)      (10.O%) ※ 【】内は、3つの円の重なり部分の人数。()内はパソ:コンがらのインターネット利用者数に占める割合。 なお、端数処理のために、一部合計彊が一致しない箇所がある。 「生活の情報化調査」より作成 *出所:平成13年度情報通信白書   ても、潜在成長率引き上げに寄与する基本的部門   として経済成長へのITの役割が重要であること   を改めて確認している。そして、構造改革による   新規需要・新規雇用および新産業・新ビジネスの   創出においてもIT関連が重要な位置を占めるこ   とが指摘されている。なお、ITと同様に、高齢   化に対応する介護ビジネス、医療ビジネス、バリ   アフリー化住宅などの高齢者向けビジネスや子育   てサービス、家事代行サービスなどの個人向け   サービスが注目されている37)。    こうしたITに対する楽観的な見方に対しては   情報学、経済学のいずれの立場からも批判的見解   がだされているが38)、今後日本においてIT化が 一経済的そして社会的に重要な位置を占めていくこ   とは間違いないことだといえる。

2.国民生活とlT化の動向

(1)国民生活におけるITの普及状況  先にインターネットの利用状況を見たが、その 広がりと裏腹の関係にある情報通信機器の普及状 況は、平成12年度にはPCの世帯保有率が49.3% とおよそ半数の世帯に及んでおり、その購入動機 はインターネット利用が61.8%である。また急速 に普及している携帯電話は73.8%に達している (図表⑧、⑨)。因みに平成12年度にPCの国内出 荷台数が、カラーTVの出荷台数を上回っている (図表⑩)。こうした情報通信機器の普及状況か らみて、確実に国民生活にIT化が浸透しつつあ ることがわかる。  ただし、インターネットを利用して入手する情 報は、「レジャー・観光」「商品・製品」「娯楽」が 中心で、日常生活場面でインターネヅトを利用す るのは「趣味の情報交換」が主となっているのが 実態だとされている。

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図表④ インターネットビジネスの市場の概要 インターネットビジネス 瀟 二i 慧 隷 慧 鶉       lli(5S) Es2i,IG=iii− ,ma 最終消費財市場  6,233億円 (第1章第2節3参照)       i  中間財市場 38兆1,000億円 (第1章第2節4参照) 覧 議 蓼 蓮

鍵選灘縫・,這s−…一一一』=壕一蓬茎・難灘馨霧

.し__ インターネット 連ビジネス +一,。..」 誉 き.  9兆798億円 (第1章第2節5参照)

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lli 総計 47兆8,031億円 「ITが産業に与える影響に関する調査」より作成 図表⑤電子商取引(最終消費早オ)市場の市場規模 (単位1億円) (年) 8 9 10 11 12 17 最終消費財市場 285 8]8 1,665 3,500 6,233 79,652 (うち)モバイルコマース 42 541 17」94 図表⑥電子商取引(中間財市場)の市場規模 (単位:兆円) (年) 中間財市場 8 144 9 381 17 989 図表⑦インターネット関連ビジネス市場 (単位:億円) (年) 9 10 11 12 17 インターネット関連市場 26,661 39,874 63,958 90,798 260,285 (うち)モバイル関連市場 1,687 18,223 45,997 「ITが産業に与える影響に関する調査」より作成 *出所 平成13年度情報通信白書

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図表⑧主な情報通信機器の世帯保有率の推移 (単位 %) (年度) 7 8 9 10 11 12 ワープロ 42.6 41.7 50.0 46.9 44.2 45.3 パソコン 16.3 22.3 28.8 32.6 37.7 49.3 ファクシミリ 16.1 20.7 26.4 31.9 34.2 39.7 携帯電話 10.6 24.9 46.0 57.7 64.2 73.8 携帯情報端末 3.3 3.3 4.9 9.7 図表⑨ パソコンの購入時期と動機(複数回答) a」●toインターネットを利用するため e=e ’ゲームやマルチメディアコンテンツを楽しむため ・・◆ =自宅で仕事をするのに必要なため =●==自己啓発、勉強のため =・n・D年賀状、住所録、家計簿など家庭での用事に利用するため ●その他  (%)  80 60 40 20   0    5年以上前3∼5年前2∼3年前1∼2年前1年未満 (出典)生活の情報化調査 *出所 平成13年度情報通信白書 図表⑩ (千台) 12,000 toρoo 8,000 6,0ae 4,000 2,000 0 (参考)パソコンとカラーテレビの国内出荷台数比較 ■ロパソコン ■田カラーデレピ

     45678910

※カラーテレビには八イビジョンテレビ及び液晶力ラーテレビを含む (社)電子情報技術産業協会資料より作成 14 12(年) *出所 平成13年度情報通信白書

一59一

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(2) lT化とデジタル・ディバイドの現状  このように国民生活のなかにPC及びインター ネットの利用が広がりを見せ、身近な存在になり つつあるのだカミ、国民生活をはじめ社会全体のI T化の進展に伴って「デジタル・ディバイド」と いう新たな問題が生じてきている。この問題につ いて、政府はre−Japan重点計画」(以下「重点 計画」)のなかで解決すべき重要な課題として位 置づけている。re−Japan重点計画」は、政府の 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部カミ rIT基本戦略」に基づくre−Japan戦略」の具 体化を図るために2001年3月に決定した基本政策 である。そのなかで、デジタル・ディバイドの是 正カミ掲げられている。そこでは、「2005年度まで に全ての国民がインターネヅトを自由自在に活用 して情報の入手等を安全・迅速・簡単に行える環 境を創造するという目標」(IT21(情報通信技 術21世紀計画))の達成は、e−Japan戦略の目標 達成のために不可欠であるから、デジタル・デa バイドの是正が重点課題だとされている。  重点計画では、デジタル・ディバイドとは、 「地理的な制約、年齢・身体的な条件等に起因す る情報通信技術の利用機会及び活用能力の格差」 であると説明している。  平成13年度情報通信白書は、「工T社会に参加 できる環境・能力の格差」とも表現しているが、 この問題をインターネット利用格差に焦点を当て て分析している。そして地域間格差と個人属性間 格差の2つの格差の存在を確認している。地域間 格差については、大都市圏のほうがそうでない地 域に比べて自宅のPCによるインターネット利用 率が高く、都市規模別にみても人口密集地域の利 用率が高いという格差が見られるとしている。こ れに対して携帯電話・PHSによるインターネッ ト利用率には地域間格差は認められないとしてい る。但し、より基本的な利用を規定する要因は地 域性ではなく、個人の属性であり、年齢、世帯収 入、職業の3つの要素が強く影響しているとして いる。特に、60歳代や70歳代の高年齢、世帯年収 400万円未満、無職という場合にインターネット 非利用者となり、逆に年齢カミ若い層(特に20歳 台)で学生、勤務者、世帯収入600万円以上という 場合にインターネット利用者となる傾向があると している。また、主婦の場合にインターネット非 利用者が多いという。  このことはインターネヅF利用には、社会的な 属性が規定要因として作用しているということで あり、デジタル・デaバイドは社会的格差である ことを意味しているといえよう。 e−Japan重点計画(2001年3月) 7.横断的な課題 (2)デジタル・ディバイドの是正  高度情報通信ネットワーク社会においては、すべての国民がインターネット等を容易にかつ主体的に利用 し、個々の能力を創造的かつ最大限に発揮出来る環境が実現されることが重要である。このため、地理的な制 約、年齢・身体的な条件等に起因する情報通信技術の利用機会及び活用能力の格差の是正を積極的に図ってい くことが必要である。  1.地理的情報格差の是正   地理的な制約による情報通信技術の利用機会及び活用能力の格差が生じないよう、過疎地、離島等の条件   不利地域において、情報通信基盤の整備や情報通信技術を活用した公共サービスの充実等を推進する。   ア) 地域情報通信ネットワーク基盤の公的整備推進   過疎地等の条件不利地域におけるインターネットの利用を促進するため、市町村の学校などの公共施設    へのインターネット導入を推進する。また、地方公共団体等の公的主体の行う高速公共ネットワーク整   備、CATVインターネット整備等を支援し、これを利用した地域住民のインターネヅトアクセスの円   滑化を図る。   イ) 民間事業者による情報通信基盤の整備に対する支援   過疎地等の条件不利地域において民間事業者が行う加入者系光ファイバ網、DSL等の高速加入者アク    セス網の整備に対する支援を充実することにより、条件不利地域における情報通信インフラ整備を推進   する。   ウ) 情報通信技術を活用した公共サービスの充実

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  遠隔医療の実現のため、病院等をネットワークで結んで画像診断等を行う。また、医療情報の標準化を   推進するとともに、電子カルテ情報等を安全に共有・保存・伝送するシステムの開発を行う。   地域における生涯学習機会の充実のため、全国の市町村の公民館、学校などにおいて、教育情報衛星通   信ネットワークを通じて提供される大学講座等を受信するための設備の整備に対する支援を行う。 2.年齢・身体的な条件の克服  年齢、身体的な条件により情報通信技術の利用機会及び活用能力の格差が生じないよう、高齢者や障害者  等に配慮した情報提供等のバリアフリー化や情報通信関連機器・システム等の開発を推進する。  ア) 情報提供のバリァフリー化   国がインターネットを通じて提供する情報が視覚障害者にも利用しやすいものとなるよう、官庁のホー   ムページのバリアフリー化に取り組むほか、視覚障害者に配慮した官報のインターネット配信等を行   う。   また、視聴覚障害者が健常者と同様に放送サービスを享受できるよう、視聴覚障害者向け放送ソフトの   制作技術の研究開発を実施するほか、字幕番組、解説番組及び手話番組の制作費に対する助成を行う。  イ) 公共空間のバリアフリー化   高齢者、障害者が利用しやすい案内標識等を交差点等に設置するとともに、携帯端末等を活用した歩行   円滑化のためのシステムの開発・普及を推進する。また、高齢老・障害者が鉄道等の公共交通機関を容   易に利用できるようにするための旅客サービス支援システムを開発する。  ウ) 学校のバリアフリー化   すべての盲・ろう・養護学校等の授業において、コンピュータを活用できる環境を、子どもたちの障害   の状態に十分配慮しつつ整備する。また、入院中の児童生徒等に対してインターネット等を通じて学習   機会の提供を行えるよう研究開発を行うとともに、盲学校点字情報ネットワークシステムの充実を図   る。  エ) 高齢者・障害者のための情報通信関連機器・システムの開発等   高齢者や障害者が容易に利用できる情報通信関連機器・システム(パソコン等)の開発・普及等を促進   する。また、高齢者や障害者が簡単にインターネット利用等をできるようにする技術等の研究開発や、   高齢者、障害者にとってアクセシブルなホームページの点検システムを制作し、実証実験を行うなど、   情報バリアフリー化を推進する。 (3) lT化と障害のある人々のデジタル・ディバ  イドの状況  次に、障害のある人とIT化及びそのデジタル ・ディバイドの状況を確認する。   「障害者・高齢者における情報通信の利用動 向」アンケート調査(郵政研究所:1998年1∼2 月実施、1998年8月発表)39)によると、高齢者・ 障害者の情報通信の利用状況は、調査時点の1998 年では次のような実態であった(表一1)。  1) 回答した障害者(回答者1,416人)の情報   通信機器の利用状況は、固定電話(加入電   話)74%、ファクシミリ49%、携帯電話・P   HS30%、通信用パソコン11%、無線呼び出   し(通称:ポケットベル/ページャー/テレ   メヅセージ)9%、携帯情報端末7%、通信   用ワープロ5%、アマチュア無線4%であっ   た(複数回答、以下同じ)。これを1998年度に   郵政省が実施した「通信利用動向調査」の世  帯調査結果(4,098世帯)と比べると、障害別  に違いがあるが、全体的には、ファクシミリ  の利用率が高く、携帯電話・PHS、ワープ  ロ、パソコソの利用率が低くなっている。 2) 回答した高齢者(回答老465人)では、固定  電話(加入電話)92%とほとんどの人が利用  していたカミ、それ以外の利用は、ファクシミ  リ19%、携帯電話・PHS9%、無線呼び出  し3%、通信用パソコン2%、通信用ワープ  ロ1%にとどまっていた。先の「通信利用動  向調査」の世帯調査結果と比べて、高齢者の  情報通信機器の利用状況は極端に低い状況に  ある。 3) パソコン通信・インターネットの利用状況  は、障害者全体で10%(インターネヅト利用  は7.8%)、高齢者は1%(インターネヅト利  用e# O.6%)であった。1998年のインター  ネットの世帯普及状況は11%であり、障害者

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参照

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