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参
考
図 書
紹
介
植物花粉形態写真 の集大成
日本植物の花粉 (第2版).幾瀬マサ.2001. 672pp.(図40pp.,写真329pp).贋川書店, 東京.35000円 +税 ISBN 4-567-41140-4 まず著者の幾瀬マサ先生 に 「おめでとうござ います」 とお慶びを申 し上げ, さらに 「有 り難 うございます」 とお礼 を申 し上 げたい.1956 年 に出された初版 は私が欲 しくなったとき, と て も手の届かない高価な書物 として古書店の書 棚 に並んでいた.そ して,十数年前か ら再版 さ れるとのお話 しをうかがいなが ら,完望主義で お られる先生の真筆なお考えか ら,今年 も今年 もと出版 はのびっづけていた.そ して初版か ら 45年,ようや く私 たちは この本 を手 にす る喜 びを味わえるようになったか らだ. 概説(19ページ)で 「花粉の採集方」「プ レパ ラー トの作 り方」
「花粉粒の形態」
「花粉粒の種 類」
「花粉型」が解説 され る.特 に花粉粒の分類 や形態の細部にわたる用語の解説 は花粉学の基 礎 となる重要な記述である. 各論では科 ごとの花粉形態の特徴が記述 され (22ページ),続 く表に 3080種の植物の花粉粒 の,型 ・彫紋模様 ・大 きさ ・採集 日 ,場所 ,揺 集者が2-数行ずつ一 覧表 と して 164ペー ジ にわたり示 されている. その表は著者が初版 までに収集 した標本 に倍 するプ レパ ラート17270枚を 「N0.1か ら油浸 (×1000)で観察」 し 「大 きさなどに初版 と多 少異なるもの もあり, これ らを再検討 した結果 を記載」 し作成 されたという. これは花粉粒の 形態的記載 として重要であるのはいうまで もな いが,同一の観察者 によ り同一の手法によって 記録 されたデータベースとして も非常に貴重な ものであり,さまざまに利用できる.ちなみに, 私 は初版の表か ら花粉粒のデータを拾 いだす こ とで,風媒花では雄 しべの花粉散布様式により 花粉の大 きさが異なることを,顕微鏡をのぞ く ことく解明で きた.日本相物の
花籾
1第2版】 Jt l マ IJ㊨
-チ ミツ中や花粉団子の花粉,花粉症の もと になる空中花粉,地史的な過去の環境や考古学 的な古代の生活の解明のための地層中の花粉 な ど,花粉の同定の必要性 はますます高 まってい る. そのような実用面か らみると,まず付表 「第 1表 科別花粉粒一覧表」で,科別の花粉の特徴 が最初の手掛か りを提供する. さらに,図や写 真で属や種に接近 し,花粉の一覧表で同定でき るようになる.直接視覚 に訴える写真 は,初版 をはるかに越 えて293ペー ジ790種 もつ け加 え られた.それぞれ極や赤道面か らの写真や彫 紋のアップなど,花粉の同定の決め手 となる特 徴を明瞭にとらえている.以前,先生 の研究室 をおたずね したとき,大 きな顕微鏡 と,それと 直結 しているカメラの前で実際に撮影 されてい る様子を拝見 したことがある.先生 は生の花粉 を手早 く染色 し顕微鏡で観察 され,よ しとなる とす ぐにシャッターを切 ってお られた.プ レパ ラー トは17270枚 との ことだが,写真 の枚数 はその何倍だろうか,その中か ら選 りす ぐった 写真であり,見ていると花粉がいろいろなこと を語 りかけて くるように思える. 今 『日本植物の花粉 (第2版)』を前 に,コピ ーでなく実物の本を手 にで きる喜びで一杯であ る. (田中 肇)189
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図 書 紹 介
- チ ミツの治療的効能
Munn,P.&R.Jones(eds.)Honeyandhealing. IBRA,Cardiff.49pp.ISBN 0850922408. 国際 ミツバ チ研究協会IBRAが シ リーズで 出 している,約20cm 角 の変形版の小冊子.医 薬 と しての-チ ミツにつ いて要領 よ くまとめ ら れている. トップ記事 は編者で もあるIBRAの 代表Jones氏 による歴史的概観である.ハチ ミ ツがいかに古 くか ら,世界中のいたるところで 医薬 と して使われてきたか, そ して,いっ頃か ら,科学 にな ったかが紹介 されている. とはい え, この手 の内容 は民話 の世界 と科学がないま ぜになった状態であ り,続 く6編 もそれぞれ説 得力があるが,述べ られた内容をIBRAが保証 す るわけではない, と断 り書 きがあるのは,そ れな りにま じめな態度だ といえよう.引用 され た文献類 の ほ とん どは1BRA図書室 で利 用で きることがチ ャッカ リ宣伝 されている. 続 く2編 はニ ュー ジー ラ ン ド・ワイカ ト大 学 のMolan博士 による,- チ ミツが医薬 と し て使 え る根拠 を述べた ものである. まず97編 の引用文献 を用 いて,-チ ミツが何 に使われて いるかを示 し,続 いてその科学的な根拠を155 編 もの文献 を用 いて説 明 して い る.同 博士 は 2001年 10月に来 日され,同様 の内容でセ ミナ ーを行 っている.評者 もその一部 を伺 うチ ャン スがあ ったが,例示を含めて大変説得力のある もので, これまで消極的であ った評者 に, もっ と 「効 く」 といって もよいか も知れない, と思 わせ るものであ った. -チ ミツに期待で きる医用効果 と してあげ ら れているのは,殺菌力,免疫力向上,抗炎症作 用,抗酸化性,細胞成長活性化 などの特性であ る. これ らが,実際に外傷,潰癌,胃炎 など各 種の症状 におよぼす効果が述べ られている. こ れ らの解説ののち,伝統的にはまさに医薬 と し て扱われて きた-チ ミツが,現代では "代替", "相補''的な利用 にとどま って いることを指摘 し, これ らを越えるには,-チ ミツ自体が もっ 特性の違 いまで留意 したデータが必要であると している. 次 の2編 は IBRAの隣 にあ る ウェール ズ大 学か らの寄稿である.各種の原因による外傷が 治 ってい く過程 を追 って,ハチ ミツがその過程 にどのように関与で きるのかを解説 している. 後半 のJones博士 の論説 はわずか 2ペー ジの 短編であるが,癒傷過程 に血液中のマクロファ ー ジなど血球成分やそれ らが引 き起 こす一連の 現象がいかに関与す るかを述べて,新 しい点 を 示 しているように思われ る. もう一編では外傷 と してのやけどが上 げ られている.やけどを し た らす ぐに水で冷や し, 出来 るだけ早 く医者の 手当を受 けるというのが鉄則である.ただ し, 治療薬 としてのサルファダイア ジンと-チ ミツ を比べ ると,癒傷の程度 は圧倒的に-チ ミツが 優れているデータが示 されている.小 さなやけ どなどに-チ ミツを塗 る経験 は多 くの方の もの であろうが,それを裏付 けて くれている. - リナ シバチの蜜が白内障の治療薬 になると いう記事 は, 目新 しい.-チ ミツのフラボノイ ドが主 な効果成分 として予想 され,それが,普 通のハチ ミツよりも- リナ ンバチの ものに多い ので,- リナ ンバチのいる地方では,点眼用の 蜜が市販 されているそ うである.ベネズェラの Vit博士 の報告である. 最後 についている付録 は, ミツパテ生産物の 危険度の見直 しを しているニュー ジーラン ドか ら,乳児のポッ リヌス症 に-チ ミツが関わ って いる例がほとん どないという短報である. 評者 は,各種の ミツバチ生産物が代替医療 に 活用 されるよ うに見直 しが進んでいることを歓 迎 しているが, 日本では-チ ミツを利用 した医 療の報告例 はほとん ど目に しない. このような 小冊子で も,一里塚 になるのではないか と感 じ た次第である. (松香 光夫)