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小中学校における歌唱共通教材の分析とタブレット端末を用いた指導実践について 利用統計を見る

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小中学校における歌唱共通教材の分析と

タブレット端末を用いた指導実践について

Regarding the analysis of teaching materials and the use of tablet computers in practical instruction in singing in elementary and junior high schools

片 野 耕 喜* KATANO Koki 要約:小学校と中学校の歌唱教材について,より美しく歌うための留意点について述 べ,後半ではICTを活用した指導の一例を挙げた.  小学校ではわらべ歌など日本の音階を使った曲が各学年に指定されているが,ポッ プスミュージックに慣れた日本人はすでにこれらの日本音階に特徴的な音階,たとえ ば増4度進行をきちんと歌えていない場合がある.それらを丁寧に取り出して練習す べきであることを説いた.中学校の共通教材については全曲それぞれ解説を試みた. 有名な曲はあまり客観的に難しさを図れないものなので,訓練を要する箇所について, 母音の均衡を保ちながら響かせる手法で練習することを主張した.  第Ⅱ章では,コミュニケーションツールとしてのiPadに注目し,楽譜閲覧ソフトの代 表格であるPiascoreを併用したレッスンの効率化について考察し,その様々な便利機能 を用いて,予習・復習時にマルチメディアを駆使して自習できる可能性を考えてみた. キーワード:声楽教育・歌唱教材・ICTを用いた音楽教育

はじめに

 小学校と中学校における歌唱共通教材はここ十数年は指導要領が変わっても大きな変化は無いが, 昔からそこにある慣れ親しんだ教材なので,ともすると客観的な教材研究がおろそかになっている のではないかと考え,この研究論文にその歌唱法について声楽の専門的見地からまとめることにし た.

Ⅰ 小学校,中学校における歌唱共通教材について

1 小学校の歌唱共通教材とその特徴  小学校の共通教材は以下の通りである.下線をつけた曲については後述する. 小学校1年 「うみ」(文部省唱歌) 林 柳波作詞 井上武士作曲 「かたつむり」(文部省唱歌) 「日のまる」(文部省唱歌)高野辰之作詞 岡野貞一作曲 「ひらいたひらいた」(わらべうた) * 大学院総合研究部教育学域人間科学系 教育実践創成講座

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小学校2年 「かくれんぼ」(文部省唱歌)林 柳波作詞 下総皖一作曲 「春がきた」(文部省唱歌)高野辰之作詞 岡野貞一作曲 「虫のこえ」(文部省唱歌) 「夕やけこやけ」 中村雨紅作詞 草川信作曲 小学校3年 「うさぎ」(日本古謡) 「茶つみ」(文部省唱歌) 「春の小川」(文部省唱歌)高野辰之 作詞 岡野貞一 作曲 「ふじ山」(文部省唱歌)巌谷小波 作詞 小学校4年 「さくらさくら」(日本古謡) 「とんび」 葛原しげる作詞 梁田貞 作曲 「まきばの朝」(文部省唱歌)船橋栄吉 作曲 「もみじ」(文部省唱歌)高野辰之 作詞 岡野貞一作曲 小学校5年 「こいのぼり」(文部省唱歌) 「子もり歌」(日本古謡) 「スキーの歌」(文部省唱歌) 林柳波作詞 橋本国彦作曲 「冬げしき」(文部省唱歌) 小学校6年 「越天楽今様(歌詞は第2節まで)」(日本古謡) 慈鎮和尚作歌 「おぼろ月夜」(文部省唱歌) 高野辰之作詞 岡野貞一作曲 「ふるさと」(文部省唱歌)高野辰之作詞 岡野貞一作曲 「われは海の子(歌詞は第3節まで)」(文部省唱歌)  どれも親しみやすい情感あふれる曲であるが,ここでは下線を引いた日本古来の旋律にもとづい て作られている「わらべうた」もしくは「日本古謡」にまず注目してみたい.日本音階による歌は 昭和 52 年の学習指導要領の改訂により,各学年に1曲ずつ取り入れられた.これらは年代を越えて 愛されているので誰しもが簡単に歌えるものであるが,じつは音程を正しく歌うためにはやや注意 が必要である.  なぜならば,我が国の商業音楽の世界はすでに完全に西洋化されており,これらの旋律はむしろ 多くの人にとって扱いが難しいものになっているからである.ポップス音楽のなかにおいては日本 古来の旋律やリズムを意図的にエキゾチックに使う例も見られるが,それらは部分的な借用にとど まっていることが多く,残念ながら日本音階についての理解を深めるものにはなっていないように 思われる. 2 中学校の歌唱共通教材とその特徴 「赤とんぼ」 三木露風作詞 山田耕筰作曲 「荒城の月」 土井晩翠作詞 滝廉太郎作曲 「早春賦」 吉丸一昌作詞 中田章作曲

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「夏の思い出」 江間章子作詞 中田喜直作曲 「花」 武島羽衣作詞 滝廉太郎作曲 「花の街」 江間章子作詞 團伊玖磨作曲 「浜辺の歌」 林古溪作詞 成田為三作曲  小学校の方で見たように,ここにも「荒城の月」が伝統的な歌曲として含まれている.そのほか の曲は日本人作曲家が作曲したものとはいえ,かなり古典的な西洋風日本歌曲の類いである.また 文部省唱歌が含まれないのも目に付く.文部省唱歌のなかでもとても美しく,詩情にあふれた名曲 があるのだが,なぜそれらが中学校の共通教材には含まれないのであろうか.  もうひとつはいわゆる「元気な歌」がないことに気がつく.たとえば小学校における「スキーの 歌」や「われは海の子」などのような心躍るような曲調のものがない.もちろん中学生という多感 な年代の生徒に総じて受け入れられそうな選曲ということなのだろうが,少し残念な気もする.参 考教材などを用いて,教室の様子に合わせて生徒のエネルギーを生かせるような工夫が求められる であろう. 3 共通教材に見る声楽的課題と練習方法  小学校の共通教材のなかで,日本音階により作られている曲が,現代の児童にとってはむしろ難 しいものになっていることを前項で述べたが,その具体的ないくつかの例を見ていきたい.また筆 者の声楽教育の経験から,母音と旋律線を両方生かしながらなめらかに歌う指導法について,いく つかの曲を例示して見ていく. (1) 日本音階に出現する特徴的な音程  小学校1年の「ひらいたひらいた」(わらべうた)でまず考察してみたい.  歌い出しの音型はa-g-e でできているが,a とこの 調の主音e との間でできる四度音程が声楽的にまず 正確さが試される.ふだん多くの人が何気なしにこ の曲を歌っているが,ピアノなどの固定された音源 の伴奏が無い場合には,この四度の音程は少し広く なっている(下がりすぎる)場合が多い.それによ り,歌い出し3小節目のaの音などは元に戻りきらず にやや低い場合が見受けられる.  3段目後半にはほぼ旋律に動きがないにもかかわ らず,4段目で高いdの音が出てくるのには注意が必 要.1年生の声ではなかなか出ないばかりか,出た としてもほぼファルセットの声になる.この部分に は mp の指示があるが,これは表現としてはとても繊 細で良いのだが,技術的には難しいので,あまりや らないほうが安定すると思われる.  多くの人が4段目では少しテンポを落としててい ねいに歌っていると思うが,楽譜になにも指示が無 くてもそのような表現は取り入れていきたい.ただ その場合,楽譜にない自然な表現だということは知

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らせてあげないと,これからの読譜教育に差し支えがあるので注意したい. 小学校3年 「うさぎ」  陰音階の旋律による素朴な古謡である.特徴的な 音型は赤で示すf-hの増四度音程である.連続してい ない音符の音程がなぜ問題なるのかといぶかしがる 向きもあるかもしれないが,拍のオモテに置かれて いる音符間の音程は歌唱の際にはまるで連続してい るように感じられることが多い.  指導参考書には冒頭のf に括弧付きで ♯ を付して, 地方にある陽音階のバリエーションを紹介している が,陰音階のままのほうがこの曲の幻想的な雰囲気 にはふさわしいように思われる.私の推測であるが, 冒頭の音をfisとして歌うのは,この増四度を無意識に回避して歌ったことによるのではないかと思 う.私の指導経験のなかでもこの曲はアカペラの合唱の際に苦労することが多く,それはこの音程 を確実に取ることができない歌い手がいることによる.西洋音楽においては増四度は特殊な場合を 除いてこのような使われ方はしないことから,江戸時代から歌われた歌であっても,明治期以降に 洋楽の影響をうけたのではと考えることはうがった見方であろうか. 小学校5年 「子もり歌」   「子もり歌」は五音音階でできているもっとも知られている子もり歌のひとつではあるが,譜例 には二つの旋律が挙げられているので,両方を観察してみたい.  旋律A は四七抜き長音階(呂音階)であり,B は 二六抜き短音階である.同じ五音音階でもまったく 違ったように聞こえるのを学習させるにはとても良 い教材であろう.  共通教材のなかでこの曲は子どもの歌ではなくて, 大人が子どもに歌って聞かせる曲であるという点で, 特異であるが,小学 5 年生という年頃の子に与える教 材として,私はとても効果的なのではないかと思っ ている.幼い頃の情景を思い浮かべながらしみじみ と歌えるのではないか.  子もり歌には,八分休符が上手にちりばめられて いる.強拍で歌わずに裏拍から歌い出すのが,子ど もを寝かしつけるようなやさしい感じを醸し出して いる.しかしこれを効果的に歌うためにはその後の8分音符の歌い方が重要になってくる.遅れな いように歌い出し,音価いっぱいに母音を伸ばしてテヌートで歌うのが良いだろう.   「おころりよ」では,六度上の音まで身振りの大きな音型で歌わせるが,o ko ro ri yo は前半が 「オ」の母音の訓練にとても良く,下降した後にi を歌えるので,母音のラインと旋律線が一致して いて発声の訓練に最適である.母音オが暗くなりすぎず,丸い音で,響きがつながるように指導し たい.高いdのところで息が漏れずに,最後の「よ」は3拍を十分に歌えるよう指導したい.

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小学校6年 「越天楽今様」  雅楽の旋律(四七抜き長音階)に七五調の歌詞を つけたものであり,輸入物でありながら「今様に (今風に)」日本化されているところがおもしろい.  まず注意しなくてはいけないのは,テンポが♩=66 では少し遅すぎて難しいのではないかという点であ る.遅いと歌詞の意味が飛んでしまい,ことばが記 号のようになってしまうため,詩節のつながりが感 じられるようなテンポでの歌唱をすすめたい.プロ の管弦によるゆったりとした演奏などを参考音源と して聞いてしまうとそれに影響を受けやすいので, 学習のために参考にする程度におさめ,やはり歌唱 を大事にしていきたい.  テンポさえ間違わなければとくに歌いにくいとこ ろもないとは思うが,3段目終わりのメリスマの部 分はやや注意をしたい.まずaの音から息漏れのない ようにきれいに四度下降し,次のdの4分音符は跳ね ることなくしっかり落ち着いて歌い,その後にしっ かりブレスを取る必要がある.要は声楽的なフレー ジングをしっかり行うべきということなのだが,楽 譜を正確に再現することにとらわれる指導者が多い ため,十分な柔軟性のないフレーズ処理を行うとブレスが浅くなり,4段目の比較的高い音型を歌 うことが窮屈になるおそれがあろう. (2) 中学校の歌唱教材の分析と歌唱  中学校の歌唱教材は一つ一つ見ていくことにする.大事なのは中学校の歌唱教材は学年指定がな いことである.男子生徒の変声の様子や,学級の雰囲気で適切に課題を与えることを考えなくては ならない.

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「赤とんぼ」 三木露風作詞 山田耕筰作曲  なんといっても有名で,美しく,情感にあふれた 素晴らしい教材であり,歌唱にも鑑賞にも適してい ると思う.しかしながら現場では山田耕筰という巨 人のネームヴァリューに押されて「これぞ日本語を もっとも大事にした歌曲」のように行き過ぎた解説 がされるのが少し問題であろう.どの国の歌曲でも 詩の抑揚と音型や旋律線がまったく一致するという ことはなく,あくまで両者がとてもよく一致してい ると評価される部分が多い,という点において観察 されるべきであろう.そもそも両者が同じ韻律や抑 揚で絡み合っているから名曲ということはなく,必 ずしもそれで人の心に深い感動を生むものでもない. 「歌曲」というジャンルはきわめて繊細で複雑な作曲 技法が駆使された楽式であり,(多くは)その伴奏の ピアノパートと歌唱部との関わりにおいても一つの 大きな研究分野にもなっている奥深い世界である.  とはいえ,このような様々な歌曲の側面を教師自 らが体験し,演奏し,自分のことばで課題曲の素晴 らしさを語れるようにしたい.  この曲の全体的な印象は「浮遊感」があることではないだろうか.それはどこから来るかという と二つあると思う.  一つ目は,音楽が二つの8分音符の連続によってできていること.ピアノの右手はほぼ全編にわ たってフワフワと羽ばたいて 4 4 4 4 4 いる.  二つ目は,3拍子の3拍目が音型に従って軽いことで,まるで息を吹きかけたシャボンのように 浮き上がることである.たとえば「ゆうやーけ」と歌い出す音型は2拍目の付点4分音符が長いこ とにより,3拍目は裏で軽く押さえるようになっている.また「あかとんぼ」も「あか」が目立つ ため,3拍目の4分音符も軽く感じられる.  次に音域に注目してみたい.下のbから五線の上のesまでを一息で歌うというフレーズで,ここで はすでに声楽的技術を要求される.たいていの生徒は「こやけーの」であごが上がり,息が足りな くなって,「の」の4分音符は端折って切っているのではないか.Yu-u-ya-ke とシラブルに分割して みて,yの子音をうまく使って高い響きを使ってやさしく歌い出し,ウを深く取り,次の yでウとア をなめらかに接続するといった細やかな母音中心の処理が求められる.軟口蓋の位置から前に出な いようにウとア両方を取っているので,y の位置も前の硬口蓋のではなく,軟口蓋の位置で作るべき であることが認識されなければならない.  強弱も作曲者はとても効果的にマークしている.pianoで歌うという技術をまず良く練習し,mfま でなめらかに持っていく技術を学習しなくてはならない.  最後にブレスに注目しておきたい.この曲は一般の生徒であれば二小節でブレスを取った方が良 いと思われるが,音符は綿々とつながっているために,小節線のところでブレスをしなくてはなら ない.このことはとても高度な技術で,ブレスの前の音符を端折ってはいけないし,かといってピ アノ伴奏を戸惑わせるような時間のかかるブレスをすることも避けたい.横隔膜の俊敏な働きに よって,必要なだけの息を取ることにより,安定したなめらかな歌唱を実現したい.

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「荒城の月」 土井晩翠作詞 滝廉太郎作曲  中学校の歌唱教材のなかで唯一,とても重々しい曲である.また短調の曲でもある.作曲者の滝 のつらく,短い人生を思い起こすとき,ぜひ歌っておかなければいけない曲である.またこの曲は わが国の音楽史におけるモニュメントとしての意味もある.なぜなら西洋音階を用いて,七五調の 歌詞を融合させた日本で初めての歌曲だからである.  ただし,滝は無伴奏として旋律だけを作ったため,滝が亡くなった後に山田耕筰がピアノ伴奏部 を作ったこと,また「花の宴」の「え」には同音のシャープが付いていたが,山田はそれを削除し, 半音下降させて日本的な旋律にしたことから,これは山田耕筰の編曲の素晴らしさも強調しなくて はならない.朗々と声をつかって歌えるように,原曲から短三度上げて移調したのも山田の手によ る.(譜例は中学生の声に合うようにもとのロ短調の楽譜を挙げた.)  この曲はゆったりとしたテンポで(テンポも山田が変更した)歌えるので,発声の訓練には適し ている.4分音符それぞれについたシラブルを子音と母音に分けて考え,母音は音価いっぱいに しっかり伸ばして歌いたい.がんばりすぎて重くなり,テンポが遅くなりすぎてはいけないが,そ れはピアニストが助けるべきであろう.そのために山田の優れた伴奏部がついており,ときおり 8 分 音符でフレーズを運んだり,前打音を使うことによって拍を明確化したりして,推進力を失わない ようにしてくれている.  先に述べた4度上の上方変位の話であるが,これを生徒に歌わせて旋律の妙を味わわせるのも楽 しいかもしれない.半音でこんなにも音楽が違って聞こえるということ,日本らしい音階とはどう いうものなのか,その音を五度音にむかってポルタメントで(ずりあげて)歌うとどうかなど,い くつか実験してみたいポイントがある.

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「早春賦」 吉丸一昌作詞 中田章作曲  あえて「荒城の月」のあとにこの曲を解説するが,荒城の月の格式張った重々しい歌曲の後にこ の曲を見ると,その戸惑うほどの軽やかな音楽とリズムに苦笑せざるを得ないほどのギャップを感 じる.素直に歌詞を読めば,歌詞第1節と2節にはこのようなうきうきとした音楽が一致していな いのではないかと思われるが,しかしこれは安易に初春の寒空を歌ったわけではなく,3番の歌詞 に見られるように,主人公の「気持ちの春」を歌ったものなのであろう.そうであるとすれば作曲 者はとてもよい音楽作りをしたと思われるし,それが今日まで名曲として歌い継がれているゆえん かもしれない.  青島広志氏の解説にもあるように(参考文献),この「早春賦」が 1912 年発表で,1901 年に書か れた「荒城の月」と山田耕筰が活躍する時代の間を埋めるほぼ唯一の曲であるという歴史的事実を 知るとき,日本音楽の黎明期の先人たちの苦労と努力にあらためて敬服の気持ちがわく.  素朴で覚えやすい8分の6拍子の旋律でとても歌いやすいかと思うが,声楽的にはいくつかの注 意点があろう.下のbから歌い始めて1オクターブ以上上行し,高いesをイ母音で柔らかく歌うこと はすでに相当の訓練が必要である.中学生にはなかなかハードルが高い技術であろう.「なのみ」を na no mi と捉え,それぞれの母音アオイを口の形を変えすぎずに開けたままでイを処理できると良 い.これは女性は比較的クリアしやすいが,男性は地声で歌うので高音ではさらに難しい. 第3節 春と聞かねば 知らでありしを 聞けばせかるる 胸の思いを いかにせよと この頃か いかにせよと この頃 現代訳 春と聞かなかったら 気づかなかったのに 聞いてしまったので 気持ちがはやる この胸の気持ちを いったいどうしたらよい のであろうか 今の時期は

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  「うぐいす」も同様に高音にイが来てしまう.しかも前の母音がウの連続であるから,西洋発声 を習った指導者であれば西洋のことばのウ母音を上手く使って指導することができようが,素の日 本語発音では苦しく聞こえてしまうことに注意が必要である.よく日本語の響きは大きなテーマと して議論され,ことさら「正しい」日本語の発音・発声が声高に主張される場面を見るが,日本歌 曲自体が明治・大正時代に西洋の音楽を取り入れながら発展してきたのであるから,筆者は日本語 の語感を損なわない程度であれば,むしろ積極的に西洋発声を取り入れ,研究すべきであろうと考 えている.「あらずと」のウもそういった方針に従って,やや口を縦に開き,下顎にウが落ちないよ うに発声してみてはどうか.より息が流れて,楽に歌える方法に開眼するかもしれない.  前奏のクライマックスに現れる和音がV なのは明らかにおかしくて,青島氏(2015)によれば, 譜例のように「章氏の息子の中田喜直がそれをIVとして修正して編曲している」と評価しているが, 私は中田章がこのような和音を選択するというのがどうも解せず,製版時のミスなのではないかと いう疑念が強い.章氏はF-Dur で作曲したのであるが,歌いやすい ように二度下げてEs-Durにされた後もその和音だけ残ってしまった のではないかと思う.(F-Durであればこの和音は IVにあたる) い ずれにせよ,歌唱共通教材として広く歌われ,課題曲にもなってい る名曲であるから,教科書や指導書にはこの和音は喜直の編曲を採 用するように注釈を付けた方が良いと思われる. 「夏の思い出」 江間章子作詞 中田喜直作曲  その中田喜直のもっとも有名な曲のうちのひとつであるが,やはりその表現力たるや新しい時代 の幕開けを感じさせる.しかし終戦間もない 1949 年頃の作曲であるから驚くばかりである.ピアノ パートは曲の情景を表すのにきわめて重要な役割を担っており,優秀なピアニストの伴奏によれば 歌唱が上達したかと思えるほどであろう.教師自ら伴奏する場合にはこのことをよく心に留めおか 中田喜直による合唱編曲からの前奏

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なければならない.  下手に長い前奏をおかずに,さらっとS字カーブを描いて歌い出す声部には繊細なレガート唱法が 求められる.「おもいだす」の「す」には2分音符が当てられているが,しっかり長く歌ってからブ レスを取りたい.一方,「はるかなおぜ」の「ぜ」は4分音符,そのあとは8分休符でふわっと風が 舞うような様子をつとめてうまく歌いたい.< >は書いてはないが,「やさしいかげ」の箇所のよ うな柔らかいふくらみが伴うと良いだろう.  「きりのなかに」からはpの指示に注意すべきである.ふつうは一節歌って調子が出てくると同じ 音型はもっと声を出したくなるものだが,歌詞の内容に即してやさしく歌わねばならない.この部 分のピアノパートは秀逸で,「きり」の様子を見事なまでに表現している.霧の濃淡,浮かび来る様 子などが左手と右手から醸し出される響きの中で美しく表現されている.  次のサビにいたってもまだ mpから歌い出すということはよく見ておきたい.シューマンを思わせ る繊細さが随所に現れている.「水芭蕉の花が 咲いている」の休符の使い方は感動的で,美しい花 の様子を思い浮かべながら情感たっぷりに歌うには何度も練習する必要がある.またピアノ伴奏部 も同じリズムで動くので,両者で十分に時間をとって楽しく合わせるのがよいだろう.その小節の 最後にピアノが弾く8分音符は歌の歌い出しのタイミングを決め,子音の準備の時間を当てる働き を持つものであるから,ピアニストは「歌いながら」やさしく演奏したい.  「夢見て咲いている」は音高に変化がなく,まどろみを表すが,特筆すべきは「さいている」の シラブルと音符の関係である.一小節前では「さい」は8分音符上で処理されているが,ここでは 「さいて」は3連符のなかでゆるやかに時間を与えられ,音が跳ねないように歌手に手助けをしてい るように見える.  「水の辺り」にはdim. とテヌートが付いているものの,ほとんどの生徒は息が足りなくなって, 「り」の4分音符では早めに切り上げてしまう.前述の3連符で息漏れがあると最後まで保たなくな るので,支えをしっかり意識してフレーズの最後まで歌いたい.  最後のmf からのクレッシェンドは最初からあまり強く歌いすぎず,フェルマータをできるくらい に歌い出すのが良いであろう.「おぜ」の「お」は作曲者がテヌートを指示しているように,大事な 和音上で歌われているので少し長めに歌いたい.「おぜ 4 」にならないよう.エ母音は狭くなりすぎず, オとエの連続性を意識して口の形を決めていくのがよいであろう. 「花」 武島羽衣作詞 滝廉太郎作曲  作曲された 1900 年にはこのような曲は鮮烈な印象を与えたに違いない.流麗かつ雄弁なピアノ伴 奏に導かれて軽快に歌えるのであまり難しく考えずに優雅に歌えば良いであろう.楽譜には♩=60~ 66 とあるが,もう少し速く歌っている人が多いように感じる.原曲はAllegro moderatoの指示がある のでたしかにその方が効果的だと思うが,原曲はA-Durであることも考慮しなくてはならない.教育 教材としてG-Durに下げられているので,あまり速いと声が生き生きと鳴らない可能性もある.また あまり速いと,「くだりの」のように 16 分音符が上下するようなパッセージではやや母音が音に乗っ ていないように聞こえるので注意が必要である.  有節歌曲の形式であるが,少しずつ違うことから「変化有節形式」の学習に入っても良いかもし れないが,形式論よりまずは伸び伸びと歌ってみたい.  (譜例は省略する)

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「花の街」 江間章子作詞 團伊玖磨作曲  冒頭から幻想的なピアノで始まる.すでに「七色の谷」の情景描写がなされているので,歌手は とても楽にその世界を紡ぎ出すことができるだろう.明るく優雅な曲調ではあるが,「風のリボン」 と最後の「かけていったよ」ではピアノパート(二重唱のアルトパートもそれから取っている)に は半音進行が見られ,少しもの悲しい感じを残している.  声楽的にとくに難しい箇所はないかと思うが,より美しい演奏のためには「輪になって」のゼク エンツから最高音に登るあたりのクレッシェンドはやり過ぎないように注意したい.ただのフォル テであるし,リボンが輪になって流れていくのにさほど重厚な音も必要ないだろう.その部分の華 やかな2小節のピアノは指のよく回る人はむしろ速く弾いてしまうが,焦らず,優美に弾いてもら いたい.歌もそれでゆっくりデクレッシェンドすることができ,うまくいくであろう.  なお,WikiPediaや参考文献にあげたページによると,作詞者の江間章子の詩と歌詞の相違点があ り,未だにいくつかのバージョンで歌われているとのこと.まず,1番の歌詞の最後「はるよはる よと」は原詩では「うたいながら」であったというが,これは音符の数と一致しないので,作曲者 團伊玖磨の改変によるものだと推測できよう.ヨーロッパの 19 世紀の歌曲の成立を眺めてもシュー ベルトやシューマンなど多くの作曲家が,(基本は原詩を尊重するのがドイツリートだが)ときおり 歌詞を誤ってかもしくは意図して変更することがある.歌詞といっても単語レベルではあるが.  もう一つは3番の歌詞の「街の角で」を「街の窓で」と誤っている演奏があるとのこと.作詞者 の意思は確認されているとのことなので,注意したい. 「浜辺の歌」 林古溪作詞 成田為三作曲  ドイツから帰った山田耕作に習っていた成田が 1916 年頃までに作曲したと伝わっている.当時流 行していたウィーンのワルツのリズムを用いて作ったという解説があるが,私にはまったくワルツ

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に感じられない.それより雄大で穏やかな海を感じ させるも 6/8 拍子がとても心地よく感じられる.  この曲は成立の過程がおもしろい.歌唱技術の本 論から外れるので一部しか触れないが,参考文献に ある池田氏のサイトでは残された資料から詳細な考 察がなされていてとても興味深い.3番の歌詞はい ろんな解釈が成り立つ分かりづらい詩であるが,そ れは上記サイトによれば林が書いた詩が元々は4連 あり,誰かが勝手に3連と4連の詩を合体させて発 表してしまったからだという.そのためか成田は3 番を好まなかったため,古い楽譜や教科書では2番 までが収録されているとあるが,最近は3番を歌っ ている学校もあるので,歌うべきか私も悩むところ である.一次資料には「真砂」に「マナゴ」のルビ がふってあってあるが,これは「マナゴ」と次の 「まなご(愛子)」をあえておなじ響きで読ませた かったのだという.このような解説を読むと,原典 資料があやしいのでさらに3番に対して距離を取り たくなる.国語との教科横断的授業で取り上げられ る事例も私は経験したが,中学生には出版史などの 検証技術は望めないため,あえて3番を取り上げて歌詞の解釈を深める授業作りをするよりは,こ の曲の波が寄せては返すような旋律を美しく歌う歌唱教材として使ってもらいたいと思う.  楽譜にはすべて書いてあるが,< >は丁寧に作りたい.声楽的に柔軟な息の流れがないとフ レーズが固まってしまうので注意が必要である.少し分からないのはなぜ2段目のピアノ伴奏にmf があるのかという点である.歌はまだpであるし,そもそもピアノは右手が次の小節だけ高くなって 目立つので,大きくする必要なないのではないかと考える.製版時に3段目のmfと錯誤したのでは ないかとさえ思う.(もっとも成田の自筆譜には音量の記号は一切ない)  テンポに関しては自筆譜にAndantinoとあるので,本来なら共通教材の楽譜にもそれを記載してい ただき,速度記号との関係で中学生には同時に勉強させたかった.成田は遅すぎないように歌うこ とを推奨している.  波のような大きなうねりを出すためには跳躍音程をなめらかに歌う必要がある.「しのばるる」「か いのいろも」にある,長六度→完全五度の音程は正しく取り,かつ母音が下から上にきれいに響き が変わることなくつながるように訓練しなくてはならない.

Ⅱ iPad を用いた歌唱指導の実践例

 ICTを用いた指導法はこの時代には避けて通れないものであろう.学生が一人一台持っていれば完 全に移行できるのだが,現状はまだ少し時間がかかりそうである.ともあれ教職大学院では備品と してある程度のタブレット端末が用意されているし,学生たちも電子楽譜を見ることにあまり抵抗 はないようであるから,ここではタブレット端末を用いたICT利用を考えてみたい.ICT(Information and Communication Technology) のうちレッスンではCommunicationがもっとも重要である.実技はコ ミュニケーションにより進歩していくもので,音楽科の特徴である.単にタブレット上に楽譜を写

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してレッスンするのではここでわざわざ論じる必要はない.紙をむだにすることなく,電子楽譜上 でいろいろな演奏技術を設定して試みたり,予習復習時に学習者と指導者間でやりとりが行えるこ とが重要である.  ここでは筆者のツールであるiPad に限定して記述するが,他のタブレット端末においてもほぼ条 件は同じである.またこの分野では圧倒的にPiascoreという国産のアプリが使いやすく,基本機能は 無料で使用でき,海外でも多く使われているので,それをもとに記述する. 1 目的と利点  著作権の切れた,しかしオーセンティックな楽譜はインターネット上にたくさんある.しかもそ れらはタグやキーワードできわめて細かく検索することができる.たとえばIMSLP (International Music Score Library Project)(https://imslp.org/)を利用すれば大学での学習者が必要とするほとんどの (信頼に足る)楽譜が合法的に入手できるばかりか,目的の編成や曲種,用途,言語等々,様々な検 索方法により目的の曲にたどり着くことができる.このサイトの検索方法をマスターすることは容 易ではないが,それはすなわち楽譜研究のみならず,音楽史や作曲家の研究にも役立ち非常に有益 である.しかもそれらの楽譜のフォーマットは解像度の高いPDF になっており,変換する必要はな く,ここでは触れないが,楽譜作成ソフトに読み込んでさらに自分の用途に応じて編曲や移調をし たり,パート譜を作成することができる.  そうやってローカルにダウンロードしたPDF を,従来は印刷し,指導者用にもコピーして,さら に製本して準備していたわけだが,iPad を用いて準備すれば,その手順を省くことができ,手間, 時間と資源の節約になる.レッスン後も紛失の恐れがなく,きちんとファイルにキーワードを付け て整理すればまたすぐに取り出して使うことができる. 2 指導例 (1)準備 ・楽譜の電子データ化とツールのインストール  ここでは前章で挙げた「夏の思い出」を例にとってみる.まず指導書などからきれいな楽譜を見 つけスキャンする.本当はきれいなファイルを作るためにスキャナーを使った方が良いが,スマー トフォンのカメラを使用して,Adobe ScanやOffice Lensなどのアプリを使うことでも十分事足りる. ただ楽譜閲覧ソフトPiascore を使うことを前提とすると,Piascore がデフォルトで Dropbox という有 名なサービスとクラウドアプリケーションを参照できるように作ってあるため,その一択になるほ どの連携の良さである. ・Dropboxによる楽譜の準備  注:Piascoreには有料オプションでカメラからスキャンし,そのままiPad内に保存する機能がある が,ここではお金をかけずに学生とやりとりすることが目的なので,Dropboxを使う.この方法だと やや遠回りではあるが,iPad だけでなくパソコン上でも楽譜を閲覧したり書き込みをしたいときに はむしろ必要な手順になるので,メリットもある.

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 ネット上にすでにある場合はもっと簡単だが,ここでは紙の楽譜をスキャンするところから進め る.まずiPadのDropboxを起動し,カメラを使って楽譜をスキャンする.(図1)  画面下の「作成」を押すといくつかの選択肢が 現れるので,一番上の「ドキュメントをスキャ ン」を選ぶ.  古いiPadでもこのように十分使用可能なスキャ ン画像を得ることができる.(図2)  影が入ったり必要のない部分を消したいときは 画面下中央のツールを使ってトリミングするが, ここではきれいに撮れているので先に進む.画面 右上の「次へ」をクリックする.  余談だが,余白も多めにあった方が書き込みス ペースに余裕ができて良い.  デフォルトではファイル名がスキャンした日付 になっているが,Piascore で読み込むために曲の タイトルで①ファイル名を付け,②保存形式は PDF を選ぶ.PNG では Piascore で使えなくなって しまう.(図3)   ③ ア ッ プ ロ ー ド す る 際 に は,Piascore 側から 見 つ け や す い よ う に わ か り や す い フ ォ ル ダ ー を 作 り, そ こ に 置 い て お く と よ い. こ こ で は 「Piascore用」としてみた.画面右上の「保存」を 図1 ドロップボックスでファイルを作成する画面 図2 スキャンしたところ 図3 保存画面

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押すとDropboxのサーバーへアップロードされる. ・Piascoreによる読み込み(ダウンロード)  iPad にインストールした Piascore を起動し,最 初の画面から「楽譜の入手」を選び,Dropbox を クリックする.(図4) ・Piascoreで読み込んだPDFを開く  Dropbox のアカウントを使いログインすると自 分のクラウドをPiascoreで参照することができる. その中から先に作った「Piascore 用」というフォ ルダを探して開き,目的の楽譜PDFを開くと図5 のような画面になる.この図ではPiascore に読み 込んで表示しているのが分かるように画面を軽く タッチして各種ツールバーを表示してある.  これで準備は完了である. 図4 PDFをDropboxから読み込む 図5 PDFを開く

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(2)レッスン時の具体的な利用法

 紙ではなく,iPadを使う場合の実際のレッスンの様子を考えてみたい.iPad & Piascoreの利点は, ① 注意書きを選択的に残す,または消すことができること. ② 複数の演奏法を選択肢として残せること. ③ 実際のレッスンの時間以外でも,楽譜PDF を共有することにより遠隔地でも指導が行えるこ と.  これらが従来の紙媒体の楽譜でもできることをもっと簡便にできる利点である.しかしPiascoreの 優れたところはこの紙楽譜の代替ツールであるという点だけでなく,レッスンにおける様々な手助 けをしてくれるツール群が揃っていることである.例えば, ④ 楽譜PDFのタイトルからYouTubeの音源に飛んで,映像を見ながら演奏の参考にできること. ⑤ 鍵盤を表示して,楽譜上の音を弾いて確認できること. ⑥ チューナー機能により,希望の音を聴くことができ,またiPad のマイクから音を拾わせ, チューニングできること. ⑦ 指導者の指示音声を残したり,自分の演奏を録音してリアルタイムに検証できること. ⑧ 五線譜が用意されているので,たとえば装飾音をメモしたり,カデンツァを書いておくこと ができる.簡単な作曲ができること.  このほか,もちろんiPad 内にある音源(mp3 など)や iTunes でパソコンと同期しているサウンド データを再生できるし,メトロノームを起動して,演奏速度をトレーニングすることができる.  以下個々に見ていく. ①   紙でもできることだが,例えばブレスの位置を学習者のスキルに合わせていくつか試してみると き,いちいち鉛筆で書いて消しゴムで消すと時間はかかるし,消しゴムかすで譜面台やピアノが汚 れるが,この方法ではすぐに元に戻すことができるし,いくつかのバージョンを保存しておくこと もできる.(図6) 演奏のレッスンではふつう,指導者が多くの指示を学習者の楽譜に書き込む. しかし学習者によってはすでに楽譜に多くの注意を自ら書き込んでおり,さながら注釈の洪水のよ うになっている場合がある.もし指導者と学習者がともにiPad 上で PDF を準備できたら,すでに学 習者が自ら書き込みしてあっても,指導者は色を変えて書き込めば判別しやすい. 図6 書き込みの例

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② レッスンの際のある時点での楽譜を保存しておきたいときは,画面下中央の「情報」を押す.  すると左の図7のようになるので,右下の「メール・印刷」を押す.右図のようなオプションが 出てくるので,「書き込み付きのPDFファイル」を選択し,好みの方法で保存すれば良い. ③ 「 共 有 」 先 と し て はAirDrop も選べるので, レッスン後に指導者が自分の考えを記したバー ジョンを参考までにと学習者に瞬時に送ったりと いうような使い方も可能であろう.  「メール」であれば,次の週までの間に学習者 から指導者へ現在の練習方法で良いかどうか資料 として送って助言をもとめることもできるし,楽 曲分析などもっと詳細な書き込みを行いたいとき でも役に立つであろう.コミュニケーションツー ルとしてのiPadの有益性がここにある.(図8) 図7 PDF保存の手順 図8 PDFの送信先の選択

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 最近のiPadではApple PencilというBluetooth通信によるスタイラスペンを利用でき,高価なもので あるがこれがあると細かい作業が格段に楽になる.たとえば歌詞の誤りを直したり,発音記号を書 き添えたり,ピアノパートに指番号を書き入れたりすることが簡単にできる.あわせて使用したい 付属品である.  実際のレッスンではiPad を譜面台にしっかりと置く必要があるが,iPad などタブレット端末用の 譜面台がすでに数多く販売されているので,その点でももう実際に使用することに不安はないであ ろう.  このように優れた機能をたくさん詰め込んだPiascoreは個人レッスンだけでなく,iPadをAppleTV などにWi-Fi でつなげたり,教室の AV 機器に HDMI ケーブルで接続すれば,プロジェクターからス クリーンに譜面を出してリアルタイムに指導可能であるし,iPad からではなくきちんとスピーカー から音声を出力することにより,とても効果的なグループレッスンや講習会を運営することができ るだろう. 参考文献 青島広志,2015 『名曲鑑賞美術館 うたって きいて』 東京:全音楽譜出版社 富澤 裕,2013 『音楽科必携 ! 歌ってたのしい ! 歌唱共通教材指導のヒント』 東京:音楽之友社 山本 文茂/監修,2011 『新編これからの中学校音楽ここがポイント』 東京:音楽之友社 中等科音楽教育研究会/編,2011 『最新中等科音楽教育法』 東京:音楽之友社 初等科音楽教育研究会/編,2011 『最新初等科音楽教育法』 東京:音楽之友社 日本学校音楽教育実践学会/編,2012 『音楽科カリキュラムと授業実践の国際比較』 東京:音楽 之友社 Webページ 「花の街」に関して https://ja.wikipedia.org/wiki/花の街 http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/hananomachi.html 「浜辺の歌」に関して 『池田小百合なっとく童謡・唱歌』 http://www.ne.jp/asahi/sayuri/home/doyobook/doyo00narita2.htm

参照

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