重度 ・ 重複肢体不自由児の
コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の ア セ ス メ ン ト
秀 島 圭 和
石 倉
健 二
(兵 庫 教 育 大 学)表の作成
肢体不自由特別支援学校の重複障害学級在籍の児童生従 (重障児) 数が70% を超え て推移 し てい る。 こ う し た重障児 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン能力 に つ い て の適切 な ア セ ス メ ン ト は、 全 て の学習 の基本 で あ る。 そ こ で 本研 究 で は、 発 達段 階が月齢 2.0 ケ月程度 か ら 2 歳 6 ケ月 に あ る重障児 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の ア セ ス メ ン ト 表 を作成 し た。 ま ず、 先行研 究 を も と に試作版 を作成 し 、 試行版の文言 と 表記の検討 を行 っ た上で、 68名の重障児 を対象 と し て信頼性 ・ 妥当性の検討 を行 っ た。 試行版の各項目間の ク ロ ンバ ツク c, 係数は、 0.9 を超え て お り 内部一貫性が確認 さ れた。 さ ら に評価者間一致率 を検討 し た 上で、 学習区分の順序性 につい て検討 を行 っ た。 その結果、 13個の区分 に52個の下位項目が整理 さ れた。 こ のア セ ス メ ン ト 表 を用い る こ と で、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 のア セ ス メ ン ト を適切 に行 う こ と がで き る と 考え る。 さ ら に、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習の日 標設定 も 可能で あ り 、 効率的学校運営のための資料 と し て用 い る可能性 も 期待で き る。 キ ーワ ー ド : 肢体不自由,重度 ・ 重 複化,日 標設定, コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンア セ ス メ ン ト 表 秀島主和 : 兵庫教育大学大学院 ・ 特別支援教育専攻障害科学 コ ース院生, 〒643-1495 兵庫県加東市下久米942-1 E-mail:m i [email protected] 石倉健二 : 兵庫教育大学大学院 ・ 特別支援教育専攻 ・ 准教授, 〒643-1495 兵庫県加東市下久米942-1 E-mail:kenj [email protected]Investigation of the Assessment Sheet of Communication for Serious
and Multiple Disabled Children
Yoshikazu Hideshima and Kenji Ishikura
( yogo mve sl of 「eac or9 ducafzon)The number of students (seriously disabled children) of multiple disabled class are more than 70% in special support school. The suitable assessment about such a seriousl y disabled chi ldren' s communications abi lity is the foundations of all the study. In this research, communication assessment sheet for seriously disabled chi ldren was investi gated. First, the trial version was created based on the previous research. And it was examined reliability and validity by 68 seriously disabled children. The Cronbach's coef ficient alpha examined between each item of the trial version were over 0.9, and internal consistency was checked. Furthermore, it was exam ined the evaluator coincidence and orderly. As a result, 52 low rank items were arranged by 13 clas- si fication. It was investi gated appropriately that using this assessment tool can estimate comm unication study. Furthermore, the goal setting of comm unication study is also possible and it can also expect a possibi lity of using as data for ef ficient school management.
Key Words: motor disability, multiple disability, goal setting, communication assessment sheet
Yoshikazu Hideshima : M aster of Education course Student, Department of Special Needs education, Hyogo
University of TeacherEducation, 942-1, Kate-City, Hyogo 643-1415, Japan E-mail:m i [email protected] jp Kenj i Ishikura : Associate Professor, Department of Special Needs education, Hyogo University of Teacher Education, 942-1, Shimokume,
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I
問題 と 目的
文部科学省 (2012) の調査におい て、 児童生徒の障害 の状態が年々、 重度 ・ 重複化 し てい る こ と が報告 さ れて い る。 重複障害学級在籍率 を障害種学校別 に比較す る と 平成 7 年度以降、 肢体不自由特別支援学校の重複障害学 級在籍の児童生徒数が70% を超え て推移 し、 他の障害種 に比べて高い比率で推移 し てい る。 肢体不自由特別支援 学校の2011年度の重複学級在籍率は、 80.0%である (文 科省, 2012) 。 肢体不自由特別支援学校在籍の児童生徒 の内訳は、 障害の状態が、 複数の種類の障害 を併せ有 し てい る場合や単一 障害の状態が重い な ど重複障害の状態 は様々 で あ る。 重複障害学級児童生徒が高い率で在籍 し てい る肢体不 自由特別支援教育 におい ては、 障害 に応 じ た専門的 な指 導や支援の在 り 方 を考え る と と も に、 複数の種類の障害 を併せ有す る こ と で も た ら さ れる困難 を再整理 し、 指導 や支援の一層の充実 を図 る必要がある (大崎, 2010) 。 し か し、 重度 ・ 重複障害児の実態 を把握す る際、 内面 的 な実態、 例えば、 人 ・ 場所 ・ 音楽な どについての好 き ・ 嫌い、 音声言語の理解、 意思の表出 な どの実態は、 簡単 に把握で き る も のではない (松田, 2010) 。 ま た、 宇佐 川 (2007) は、 発達全体を俯瞰 し ながら個人内差を捉え ら れ る ア セ ス メ ン ト ツ ールがほ と ん ど見当 た ら な い と 述 べ てい る。 実際に重度 ・ 重複障害児 の目標設定は、 担任 の力 量に委 ね ら れる こ と が多 い。 ま た、 初めて重度 ・ 重 複障害児 を担任す る教師は具体的な目標設定に苦慮す る こ と が多 い た め、 コ ンサル テ ー シ ョ ン を行 う に あ た っ て は、 ま ず、 教員 の力 量 や ニ ーズ に合 わせ る 必 要 があ る (藤井, 2006) 。 さ ら に重度 ・ 重複障害児は、 動 き や表情 の変化 が乏 し く 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の ア セ ス メ ン ト が難 し い。 そ こ で、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の ア セ ス メ ン ト 表があ れば、 学習 の達成度 を ア セ ス メ ン ト す る こ と がで き、 学習目標の設定が可能 にな る。 小池, 雲井, 吉田, 阿部 (2011) は、 健常乳児の発達 に視聴知覚の発達の視点 を加え て 「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 学習把握表」 を作成 し た。 こ れは、 フ オーマ ツ ト に し た が っ て重度 ・ 重複障害児 の実態 を入力 す れば、 その児童 生徒に応 じ た学習内容が明 ら かに な る も のであ る。 し か し、 発達段階が月齢 2 ケ月程度 (M AO2) にあたる重度 ・ 重複障害児の実態を入力 し て も具体的な学習内容が示 さ れず、 最重度の障害児 には対応 し てい ない。 一方、 宇佐 川 (2007) の感覚 と 運動の高次化診断評価表には、 M A 0.2にあ た る重度 ・ 重複障害児 の ア セ ス メ ン ト と 指導法 の体系 化 が さ れてい る も のの難解 で、 初 め て重度 ・ 重複 障害児 の指導 にあ た る教師 に と っ ては使 い に く い。 そ こ で、 本研究 では、 小池 ら (2011) の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 学習把握表に宇佐川 (2007) の感覚 と 運動の高次化診断 評価 表 の M AO 2に あ た る 項目 を加 え て、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンに関す る新 た な ア セ ス メ ン ト 表の作成 を 試 み る。 そ の こ と で、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の ア セ ス メ ン ト を よ り 詳細に行う こ と が容易 になり 、 日標設定 を適切 に行 う こ と がで き る と 考え る。 なお、 本研究におい ては、 重度 ・ 重複障害児 を肢体不 自由特別支援学校重複障害学級に在籍す る児童生徒と し て定義 し、 「重障児」 と 表記する。 II 重障児の コ ミ ュ ニ ケ ーシ ョ ン学習の ア セ ス メ ン ト表の作成 作成にあた っ ては、 「試行版の作成」 「文言 と 表記方法 の検討」 「信頼性 ・ 妥当 性の検討」 の 3 つの段階 を も っ て行 っ た。 1 試作版の作成 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習把握表 (小池 ら , 2011) は、 15個の学習区分 にそ れぞれ 4 つの下位項日 が配置 さ れて お り 、 妥当性 と 順序性が証明 さ れてい る。 こ れに、 宇佐 川 (2007) の感覚 と 運動の高次化診断評価表から、 M A 0.2 に相当す る 「手の行為 と 結果の因果関係の理解」 「 意 図的 ・ 日的的行動」 「行為 の手段 を繁げ るあそ びがで き る」 の 3 つの学習区分 と そ れぞれに対応す る下位項日 を 抽出 し た (Table t ) 。 そ し て両者 を併せた も のを 「試作 版」 と し た。 「試作版」 には13の学習区分にそ れぞれ 4 つの下位項目が含 ま れ、 合計52個の質問項目で構成 さ れ て い る。 Tab l e t 宇佐川 (2007) から抽出 し た下位項目 16, 手の行為 と 結果の因果関係の理解 16 ① さ わり 心地の良い物 を好 んで触 る 16 ② バイ ブ レ ータ ーや楽器の振動 を好 んで 触 る 16一③ 手で触れて音 を出す 16 一④ 手で スイ ッ チ を押 し て音 を出す 17, 意図的 ・ 目的的行動 17 ① ゆっ く り 動 く 玉 を追視す る。 (視覚の視点終点) 17 ② 17一③ 17 ④ 音楽に合わせて身体 を揺す る こ と があ る。(聴覚の視点終点) 物 に手 を伸ば し てつかむ 渡 さ れた玉 を缶 に入 れ る 18. 行為 の手段 を繁げ る あそ びがで き る,
8 ① 音の出 る も の を意識 し て手足 を動 か し 音 を出す 2 種の物か ら好 き な も の を と る バチ を握 っ て太鼓 を た た く 18 ④ スイ ッ チ を操作 し 音が出 ない ラ ン プ を点け る こ と がで き る さ ら に、 各下位項日 の中で重障児 の表出行動 と し て示 さ れる 「快の反応 を示す」 「行動 で示す」 の用語の解釈 を具体的 に示すため、 日本産婦人科協会の新生児 ス ク リ ン グマ ニ ユアル (2012) の乳児の聴覚発達チ ェ ッ ク リ ス ト と 重障児の表出 カ テ ゴリ ー表 (i畫田, 2011) を参考に、 表出行動 を具体的に示 し た (Table 2) 。Tab l e 2 表出行動の解釈 快の反応 笑う , 微笑む, 声 を出す等, 身体の一部を動かす (子 ども特有の反応で よ い) 行動 で示 す ビ ク ツ と す る, 手足 が緊張 す る, 險 を ギ ュ ツ と 閉 じ る 泣き出す, 心拍数が変化す る, 呼吸数が変化す る 笑う , 微笑む, 表情がこ わばる, 振り 向 く , 頭を向け る 指 を さ す等 (子 ども特有の反応で よい) 2 文言 と 表記の検討 (1)方法 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の ア セ ス メ ン ト 表 「 試作 版」 を、 A 県内にあ る肢体不自由教育 を主と し てい る B 特別 支援学校訪問学級 (生徒20名) の担任12名に対 し検討 を 依頼 し た。 こ れは、 担任 ま たは多 く 関わ る子 ど も の様子 につい て 「試作版」 への記入 を依頼す る こ と で行 っ た。 生徒の発達段階 を判定す る こ と が目的 ではな く 、 実態把 握表の質問項目の妥当性 を向上 させ るこ と を目的 と し て い る こ と と 、 個人情報の記載は不要で あ る こ と を文書 と 口頭 に て伝 え た。 さ ら に、 改訂 の参考 にす る ために分 か り に く い表現、 語句、 内容、 改善 を要す る箇所 な どは朱 書き で質問紙に直接記入す るこ と を依頼 し た。 併せて、 遠城寺式乳幼児分析的発達検査 (遠城寺 ・ 合屋, 1986) の M AO2 に あ た る質問項目への回答 を求 め、 そ の対象 児動が本研究の重障児の対象 に該当す るか どう かの確認 も 行 っ た。 (2)結果 遠城寺式乳幼児分析的発達検査法 (遠城寺ら, 1986) の発達段階が M AO2程度 にあ た る質問項目の記入結果 から、 対象児全員 (n= 12) が発達段階が MAO2程度で あ っ た た め、 回答 があ っ た全 て のデ ー タ ( n = 12) を検 討対象 と し た。 そ し て、 分かり に く い表現、 語句、 内容、 改善 を要す る箇所 な ど52個の下位項目中36個につい て検討の上改訂 し 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の ア セ ス メ ン ト 表 ver.2 を 作成 し た。 3 信頼性 と 妥当性の検討 (1)対象と方法 C 県内 D 特別支援学校小中高等部 (肢体不自由) の重 複学級児童 ・ 生徒 (68名) を対象に し て、 コ ミ ュ ニケ ー シ ョ ン学習 の ア セ ス メ ン ト 表 ver.2 を用 い て 「 あ て は ま る」 「 あ て は ま ら な い」 の 2 件 法 で ア セ ス メ ン ト を行 っ た。 ア セ ス メ ン ト は 1 人の児童 ・ 生徒につき担任 ・ 副担 任 のう ち 2 人が行 っ た。 さ ら に、 改訂の参考 にす る ため に分かり に く い表現、 語句、 内容、 改善 を要す る箇所 な どは朱書き で質問紙に直接記入す る こ と を文書 と 口頭に て伝えた。
期間は2012年12月26 日~ 2013年 1 月11 日で、 回収は郵
送 に て行 っ た。 (2)結果 配布数136、 回収数136 (回収率100%) であっ た。 なお、 こ の う ち ア セ ス メ ン ト 得点 が104点 (全 て あ て はま る) で あ っ た 3 名の児童生徒は、 本研究の対象外 と 判断 し調査対象児童から除外 し、 65名を分析対象と し た。 ①内部一貫性の検討 全 ての学習区分 (13項目) につい て、 ク ロ ンバ ツク α 係数が0.95 を超え てい る こ と から、 学習区分の内部一貫 性が高い こ と が確認で き た。 ま た、 下位項日 の全 ての項日 (52項日) につい て ク ロ ンバ ツク α係数が0.94 を超え てい る こ と から 、 下位項日 の内部一貫性が高いこ と が確認で き た。 ②評価者間一致率の検討 子 ども 1 人あ た り 2 人の担当者が別々に ア セ ス メ ン ト を行 っ てお り 、 その一致率 か ら 回収 し た質問紙に つい て 検討 を行 っ た。 対象児童ごと の評価者間一致率は46.2 % ~ 98.1% で あ っ た。 こ こ で、 一致率の最小値 を どこ ま で 許容で き るか を検討す る必要があ っ た。 評価者間一致を50%未満カ ッ ト 、 55%未満カ ッ ト 、 60 %未満 カ ッ ト 、 65%未満 カ ッ ト 、 70%未満 カ ッ ト 、 75% 未満 カ ッ ト し た場合 のそ れぞれの学習区分得点 と 小池 (2011) の学習区分平均点得点 (理解語彙数が 0 個~ 10 個 と ア セ ス メ ン ト さ れた児 童 ・ 生徒) と の比較 に よ っ て 検討 し た。 その結果、 評価者間一致率60%未満 カ ッ ト の場合の学 習区分得点が、 小池 (2011) の学習区分平均点得点の数 値 と 近似 で あ っ た。 以上のこ と から、 評価者間一致率60%未満であ っ た 9 名の生徒のデータ を分析対象65名から 除外 し、 評価者間 一致率が60% 以上の生徒56名のデータ を採用 し た。 ③学習区分の順序性の検討 採用 デ ー夕 (n=56) につい て 「 あ てはま る」 の回答 を 1 得点 と し て13の学習区分の平均得点 を求め、 その序 列にに従っ て降順に学習区分 を並べ替え た。 こ の序列 を コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の ア セ ス メ ン ト 表 ver.2の学習 区分序列 に反映 さ せ、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の ア セ ス メ ン ト 表 ver.3 を作成 し 、 こ れを Hide-ABC コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンア セ ス メ ン ト 表 (別紙) と命名 し た。 さ ら に、 被検者の発達段階 を数値化す る目的 で 「 あ て はま る」 回答の合計得点 を評価得点 と し て記入す る欄 を 加え た。m 考察
今回作成 し た Hide-ABC は、 発達段階が月齢2.0 ケ月 程度 (M AO2) から 2 歳 6 ケ月の発達段階にあ る重障児 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンに つい て の ア セ ス メ ン ト を行 う た めに作成 さ れた。 本 アセ ス メ ン ト 表の 「自己受容」 「行 為 と 結果の因果関係の理解」 「 意図的 ・ 目的的行動」 の44 各学習区分は、 小池 (2011) が重障児の表出行動 を項日 に挙げて実態把握表 を作成 し たこ と に対 し、 表出の前段 階 と し て受容か ら 表出へ と 発達段階が移行 し てい く こ と に注目 し て分類 し た も の と いえ る。 特 に、 初期発達段階 の重障児 (MAO2) の学習区分に 「自己受容」 を設け、 その下位項目 と し て、 揺 れ ・ 回旋 ・ 圧 ・ 固有感覚受容へ の快反応の項目 を設定で き たこ と が特徴であ る。 宇佐川 (2007) は、 「 姿勢や移動 につい て論 じ る には 前庭感覚 ・ 固有感覚の受容につい て も 注目す る こ と が必 要」 と 述べ てい る。 こ のこ と は、 「自己受容」 の学習が、 特殊感覚の中で も前庭感覚 ・ 固有感覚の受容 を目的 と し て姿勢や移動の指導 を考慮す るこ と の重要性 を示唆す る も の と い え る。 ま た、 「受容」 の学習 で あ れば、 表出が 難 しい重障児 であ っ て も 学習す るこ と は十分可能であ る。 以上のこ と から 、 姿勢や移動 を通 し た 「受容」 の学習 を 行 う こ と は、 重障児 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 に不可欠 な要素 と 考え る こ と がで き る。 例え ば、 バ ラ ンス ボー ド 上で の傾 き の学習 やロ ーラ ー カ ーで の揺 れや移動 の学習 が考え ら れる。 こ れら は、 学習指導要領の学習区分 「環 境の把握」 の 「感覚や認知の特性への対応に関するこ と」 や学習区分 「身体の動き」 の 「姿勢と 運動 ・ 動作の基本 的技能」 の学習 と し て扱われるこ と が多 い。 し か し、 初 期発 達段階 に あ る児 童 ・ 生徒 に と っ て のバ ラ ンス ボー ド 上での傾 き の学習やロ ーラ ーカ ーでの揺 れの学習 と い っ た揺 れの学習 は、 学習区 分 「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン」 の 「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンの基礎的能力」 と し て も 設定 さ れ る必要があ る と 考え ら れてい る。 重障児 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の ア セ ス メ ン ト は、 Hide-ABC を用い る こ と で可能 には な っ た。 一方 で 、 重 障児 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の目 標設定 に つ い て も Hide-ABC と の関連で考慮す る必要があ る。 児 童 ・ 生徒 の実態 を 「 あ てはま る」 「 あ てはま ら ない」 の 2 件法で ア セ ス メ ン ト す る と 、 各学習区分 におい て下位項目のア セ ス メ ン ト は、 ① す べ て 「 あ ては ま る」 、 ②一部 が 「 あ ては ま る」 、 ③全 て 「 あ ては ま ら ない」 の 3 つ に分類 で き る。 こ のと き、 ①はすで に到達 し た学習区分であ る と 考え るこ と がで き る。 ②は学習目標 と し て設定すべき学 習区分であ る。 ③は、 発達段階がすす んだ上で学習すべ き学習区分 と し て考え る こ と がで き る。 こ のよ う に② を 学習目標と し て と ら え るこ と で、 重障児 を担任す る教師 が コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の日 標設定 を Hide-ABC を用 い て行 う こ と がで き る と 考え ら れる。 さ ら に、 Hide-ABC を用い る こ と で重障児 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の実態把握が、 担任 の力 量に よ ら ず15分 程度でで き る。 ま た、 重障児 を担任す る教師が、 逐次 ア セ ス メ ン ト を行い指導法の改善 に用い る こ と で、 教師の 指導効果 を アセス メ ン ト し改善 につなげ るこ と も で き る。 Hide-ABC は多忙 な肢体不自由特別支援学校におい て、 効果的 に用いやすい ア セ ス メ ン ト ツ ールであ る と 言え る。
IV 課題
Hide-ABC 作成の過程で C 県内 D 特別支援学校小中高 等部 (肢体不自由) の重複学級の担任 ・ 副担任 (136名) に対 し コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の ア セ ス メ ン ト 表試作 版 への記入 を依頼 し た際、 ア セ ス メ ン ト 得点 を序列化 し て 生徒の学習段階一覧の作成 を試みた。 その結果、 学級編 成や教室配置な どの資料 と し ての可能性 を感 じ た。 こ れ ま での発達検査は個人内 ア セ ス メ ン ト に使用 さ れる こ と が多 かっ た。 し かし、 Hide-ABC を校内資料 と し て用い るこ と で効率的校内運営 に役立て る資料 と し て活用す る 方法 を検討す る必要があ る。 ま た、 研究の過程で Hide-ABC を用い た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン学習 の ア セ ス メ ン ト と 、 そ れ以前 に教 師 が ア セ ス メ ン ト し てい た生徒の実態にず れが生 じ てい た。 教師は、 発語や指差 し と い っ た比較的把握 し やすい表出行動 に注 目す るこ と が多 く 、 内面的な実態や発達全体を把握 し な が ら個人内差 を捉え ら れる視点 に気づ く 必要があ る。 さ ら に、 目標設定に学習内容 を検討 し ながら加え る こ と で Hide-ABC を よ り 使い やす い も の に高 め て い く 必要があ る。引用文献
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別紙
H e ABC =lミュニケーションアセスメント表
質問紙中の 「快の反応」 「行動で示す」 と い う 語句は下表のよ う な こ と を指 し ます。 快の反応 笑 う 、 微笑む、 声 を出す等、 身体の一部 を動かす、 (子 ど も特有の反応でよ い) 行動で示す 心拍数が変化す る、 呼吸数が変化す る ビク ツと する、 手足が緊張する、 險をギュ ツと 閉 じ る、 泣き出す、 一度で も 該当す る場合は 「 あては ま る」 と し ます。 質問 を読んで 「あてはま る」 「あてはま ら ない」 のど ち らかに 0 を記入 し て く だ さ い。 学習区分 下位項目 あてはま る あてはま ら な い 自 己 受 容 1 ) 揺れに対 し て快の反応 を示す。 2 ) く°る く°る回 し (回旋) に対 し て快の反応を示す。 3 ) 手や足にやわ ら かい物 を押 し 当て る (圧 を かけ る ) こ と に対 し て快の反応 を示す。 4 ) 手首、 足首、 肘、 膝等へ軽<
触れる刺激に対 し て快の反応 を示す。 働 快 き と か し け て を 受 容 5 ) 好みの人物 を見つける と その こ と を行動で示す。 6 ) 保護者ま たは教師 と 他の人への反応が違 う 。 7 ) 特定の曲 を聴 く と 、 喜びを行動で示す。 8 ) 周囲の人が話 し かけ る と 、 喜びを行動で示す。 安 定 し た 注 反 応 9 ) 聞 き な れな い音が突然 し た と き で も 、 ビ ッ ク リ し な い。 (周囲の音 を受容す る こ と がで き る ) 10) 子 ど も の名前 を 呼んだ時に、 ビ ツク リ し な い。 ( 自分への言葉かけ を弁別 し て 受容で き る) 11 ) 聞 き な れな い音や突然な音が し た と き に 、 注意 を向 けて いる こ と を行動 で 示す。 12) 子 ど も の名前 を 呼ぶ と 、 注意 を向けて いる こ と を行動 で示す。 図 的 目 的 的 行 動 13) ゆ っ< り 動 く 物 を追視する。 14) 物に手 を伸ば し て触れよ う と す る。 15) 対象物 を動かそ う と す る。 16) 対象物 を繰 り 返 し 動かそ う と す る。 行 為 と 因 結 果 果 関 の 係 17) 周囲の変化に気づいて動 き が止 ま る 。 18) さわ り 心地の良い物 を好んで触る 19) 手足で触れた り 引 つかいた り し て音 を出す。 20) 身体の一部 を 使 っ て スイ ッ チ を押 し て音 を出す。 ( ス イ ッ チ と 音が連動 し て い る機器) 期 待 反 応 の 分 化 21 ) 特定の相手 と コ ミ ュ ニ ケー シ ョ ン を と る と き は、 通常 と 異な る行動 で示す。 22) 大人の怒 っ た顔 と 笑 っ た顔で応答が異な る 。 23) 食べ物や飲み物の好 き嫌いの区別 を 、 行動で示す。 24) 好みの遊びや音楽 と 苦手な遊びや音楽の区別 を、 行動で示す。46 学習項目 下位質問項目 あてはま る あて はま ら な い 大 人 へ の 要 求 表 出 25) 要求があ る場合、 特定の行動 を示す。 26) 要求があ る場合、 対象の事物に直接的行動 を示す。 27) 要求があ る場合、 大人に直接的行動 を示す。 28) 要求があ る場合に 、 大人 と 対象の事物の両方に対 し て行動 を示す。 期 待 反 応 の 表 出 29 ) 大人の どん な働 き かけ で も 、 喜び を行動で 示す。 30) 特定の場所に行 く と 、 喜び を行動で 示す。 31 ) 特定の玩具 を見せた場合に 、 喜び を行動で 示す。 32) 大人が特定の働 き かけ を行 う と 、 喜び を行動 で示す。 大 人 へ の 積 極 性 33)