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小学校から中学校への移行期における時間的展望と適応の関係

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Academic year: 2021

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(1)小学校から中学校への移行別こおける時聞的展望と適応の関係                                   学校教育学専攻                                   学校心理学コース                                   M09039H                                   山口 倫史 も適用可能な時間的展望尺度を作成する。.  小学校から中学校への移行期において,不登校や. 方法. 非行等の問題行動が多くみられる。この移行につい. 調査対象者:1回目(小学校での調査):X県Y市内. て,山本・ワップナー(1992)は「危機的人間一環境移. のA・B小学校6年生165名(男子94名,女子71. 行」のひとつであるとしている。小学校から中学校. 名)/2回目(中学校での調査):X県Y市内のC中. へと進学することは,環境の変化と個人の発達的変. 学校1年生159名(男子88名,女子71名). 化という二つを同時に体験する移行であり,まさし.  ※小学校と中学校それぞれの調査結果を. く危機的な移行である。中学進学後に不登校や暴力.   クラス・出席番号からマッチングした。. 行為等が激増する中1ギャップとも言われる現状に. 調査内容:先行研究を参考に作成した,小学生にも. つながる背景には,このような危機の存在が考えら. 適用可能と思われる15項目の質問紙尺度. れる。. 調査時期=2010年3月9日 ,5月21日.  過去一現在一未来の関係性をとらえる研究の一つに. 結果と考察. 「時間的展望研究」がある。Lewin(1954)は場の理論.  因子分析を行った結果,3因子13項目が検出さ. において,生活空間を構成する要素として時間的展. れた。第1因子はr現在の充実感」,第2因子は未来. 望を位置づけ,個人の生活空間は現在だけでなく,. への展望」,第3因子は「過去の受容」と命名した。. 過去や未来も含んだものであるとした。すでに国内. 関連する先行研究から考えて,本尺度は,時間的展. 外において,小中移行期についての研究は数多くさ. 望の過去・現在・未来を測定可能な,小学6年∼中. れてきている。しかし,過去一現在一未来の相互連関. 学1年に適用可能な尺度であると考えられる。. 過程を包括的に捉え,適応とそれに関連する事象に ついての研究は少なく,まだ十分に深められていな.  環境移行期における時間的展望と学校適応の関係. いのが現状である。そこで,本研究では,移行期の. を短期縦断的研究によって明らかにする。. 児童・生徒が,時間的展望についてどのような認知. 方法. をしているのか,また,学校適応やそれに関連する. 調査対象者:研究1に同じ。. 動機づけとの関係について調査する。そして,この. 調査内容:教育環境適応尺度■(ASEI)24項目・時. 研究を通じ,小学校では環境移行がスムーズにいく. 間的展望尺度15項目. ような予防的対応に生かすこと,また,中学校では,. 調査時期:研究1に同じ。. 環境に適応できずにいる生徒への対応,及び,適応. 結果と考察. を促すような環境づくりに生かすことを目指す。. ^SE皿の因子分析:.  因子分析を行った結果,5因子22項目が検出され 過去・現在・未来の全体を測定できる,小学生に. た。第1因子は「教師関係」,第2因子は「学校生活. 一70一.

(2) 校生活の満足」,第5因子は「学習のための努力」と. 函. 命名した。. び,時間的展望との関係についての検討を行う。. 小学校・中学校それぞれの時間的展望が中学校にお. 方法. ける学校適応1こ与える影響1. 調査対象者=研究1に同じ。.  重回帰分析を行った結果,小学校においては,現. 調査内容二課題志向性測定尺度改訂版ユ8項目・時間. 在の充実感はr学校生活の意欲」r級友関係」「学校. 的展望尺度]5項目・ASE1124項目. 生活の満足」に対し,負の標準偏回帰係数が有意で. 調査時期:研究1に同じ。. あった。過去の受容は「学校生活の意欲」「級友関係」. 結果と考察. への意欲」,第3因子は「級友関係」,第4因子は「学. r学校生活の満足」に対し,正の標準偏回帰係数が 有意であった。中学校においては,現在の充実感は.  社会志向性・課題志向性の学校適応への影響,及. 小学校・中学校それぞれの社会志向性・課題志向性 が中学校1こおける学校適応に与える影響:. r教師関係」r学校生活の意欲」r級友関係」r学校生.  重回帰分析を行った結果,中学校時点において,. 活の満足」に対し,正の標準偏回帰係数が有意であ. 社会志向性はr級友関係」とr学習のための努力」. った。過去の受容はr級友関係」に対し,正の標準. に対して,また,課題志向性は「教師関係」「学校生. 偏回帰係数が有意であった。未来への展望はr学習. 活の意欲」r学校生活の満足」に対し,正の標準偏回. のための努力」に対し,正の標準偏回帰係数が有意. 帰係数が有意であった。課題志向性に関する結果か. であった。過去の受容はr級友関係」に対し,正の. ら,中学校生活においては学習課題に取り組むこと. 標準偏回帰係数が有意であった。小学校6年生にお. や課題を解決していくことが重要視されていること. いてはr過去」とr現在」が中学校の適応に影響を. が示された。. 及ぼし,r過去」について肯定的に捉えることが移行. 志向性の特徴による時間的展望の違い. 後の良好な適応につながることが明らかとなった。.  志向性の特徴による時問的展望の違いを検討する. 小学校から中学校への移行別こおける時間的展望. ために社会志向性と課題志向性のそれぞれの得点に. の特徴1こよる中学校の適応状態の違い1. 基づいて分類し,分散分析を行った。その結果,志.  時間的展望尺度の得点に基づいて,3つのクラス. 向性高低の特徴により時間的展望の得点に差が見ら. タに分類した。それぞれr現在の充実感低下群」,r時. れた。両方の志向性が高い群はすべての得点が高く,. 間的展望島群」,r時間的展望低群」と命名した。分. 両方の志向性が低い群はすべての得点が低かった。. 散分析の結果,時間的展望の特徴により,学校適応. まとめと課題. に差が見られた。多重比較の結果から,時間的展望.  時間的展望が新環境である中学校への適応に重. 島群は,時間的展望低群に比べて,全ての下位尺度. 要な役割を果たすことが明らかとなった。移行期を. において中学校時点でのASE皿の得点が高いことか. 順調に乗り越えられるように,適応に対する時間的. ら,適応状態が良いと考えられる。これらの結果か. 展望の有効な面を活かすこと,また,個人の志向の. ら,時間的展望の高低と適応状態の高低は密接な関. 特性に合わせたサポートをすることが学校現場に. 係があると言える。また,移行期においては,時間. は求められている。今後は,“適切な”時間的展望. 的展望の中でも,現在についてどのようにとらえて. を育む手法についての検討が必要である。. いるかということが,中学校での適応に深く関係す.          主任指導教員 小林 小夜子. ると考えられる。.          指導教員   古川 雅文. 一71一.

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参照

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