トランスジェンダーに関する研究 : カミングアウトされる側の視点から
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(2) 目次. 序章 問題の背景と研究目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 1 1.トランスジェンダーと性同一性障害・・・・・・・・・・・・・… 1 2.カミングアウト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 2 3.研究の目的・9・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 2 4.本研究の構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 3. 第1章 トランスジェンダーに対する先行研究とインタビュー調査の背景・4. 第1節 トランスジェンダー(transgender)研究のこれまで・・・・… 4 1.医療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 4 1)性同一性障害(GenderldentityDisorder)とは・・・・・・・・… 4 2)性(人の性の発達)と性同一性障害の原因・・・・・・・・・・… 5 3)性の自己意識(genderidentity)・・・・・・・・・・・・・・・… 7 2.歴史・・. 8. 1)ブルーボーイ事件・・・・・・・・・・・… 6・・・・・・… 8 2〉性別適合手術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 9 3.ジェンダー(gender)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 10. 1)ジェンダー(gender)とは・・9・・・・・・・・・・・・・・・… 10 2)自分らしさを求める人・・・・・・・・・・・・・… ●●●’。11. 4.当事者の現状・・・・・・・… ●●●●●●●●●●●●●●●12. 1)当事者の幼少期・・・・・・・・・・・… ●’●●●●o●●●12 2)当事者の生活(困難性)・・・・・・・・・・・・・・・・… ●●12.
(3) 5.法律・・・… 9・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 13 1)法律ができるまで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 13 2)性別変更の用件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 13 3)特例法に関する意見・・・・・・・… ●●●o●’●’●●●●13. 6.教育・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 15 1)トランスジェンダーの学校生活・・・・・・・・・・・・・・… 15 2)トランスジェンダーを学校で受け入れていくための教材・・・… 16. 7.当事者のカミングアウトとカミングアウトされる側との関係・… 18. 1)カミングアウト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 18 2)トランスジェンダーの恋人と夫婦関係・・・・・・・・・・・… 19. 8,まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 19. 第2節 FtMトランスジェンダーの友人からカミングアウトされた友人へのイ ンタビュー・・・・・・・・・・・・… D・・・・・・… 20 1.調査の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 20. 2.対象者の属性… 9・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 20 3.調査期問・方法・・σ・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 21 0調査期間 O調査方法. 4.インタビューまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 25. カミングアウト対象者Aさん・・・… の・… ●。●●●●●。25. カミングアウト対象者Bさん・・・・・・・・・・・… “●・●30 5.インタビューの結果(仮説)・・・・・・・・・・… ●。●●●33. 響− ・−.
(4) 第2章 トランスジェンダーに関する意識調査・・・・・・・・・… 34 1.調査の目的・・・・… ...................34. 2.調査方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 34 3.回答者の基本的属性(%)・・・・・・・・・・・・・・・・… 34. 0性別 O対象者. 第1節 トランスジェンダーに対する意識調査まとめ・・・・・・… 36 1.メディアに関する意識・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 36. 1)メディアに対する印象・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 36 2)メディアで活躍している人達の身近な存在に対する考え方・・… 39 3)性別とメディアで活躍している人との関係性・・・・・・・・… 41. 2.カミングアウト後の外観・行動・・・・・・・・・・・・・・… 43 1)メディアからのトランスジェンダーと外観・行動の関係性・・… 43 2)メディアで活躍している人の身近な存在と外観・行動の関係性… 44. 3.まとめ・… 9・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 45 4.友人からのカミングアウトに対する意識・・・・・・・・・・… 46. 1)友人からのカミングアウトに対する考え方・・… a・・・… 46 2)性別と友人の関係性・・・… ●・’●●●●。●。●o●●●●47 3)メディアからのトランスジェンダーと友人との関係性・・・・… 50 4)メディアで活躍している人の身近な存在と友人との関係性・・… 51 5)トランスジェンダーと関わりのある人とカミングアウトの関係性・・52 5.まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 53. iii.
(5) 6.恋人からのカミングアウトに対する意識・・・・・・・・・・… 54 1)恋人からのカミングアウトに対する考え方・・・・・・・・・… 54 2)性別と恋人との関係性・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 55 3)メディアで活躍している人の身近な存在と恋人との関係性・・… 57 7.まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 58. 8.ジェンダーとセクシュアルマイノリティ・・・・・・・・… ●●59 1)セクシュアルマイノリティに関する知識・・・・・・・・・・… 59. 2)ジェンダーとカミングアウトの意識・・・・・・・・・・… 一59 3)ジェンダーの説明と外観との関係性・・・・・・・・・・・・… 59 4)ジェンダーの説明と友人との関係性・・・・・・・・・・・・… 60 9.まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 61. 終章 研究のまとめと今後の課題・・・・・・・・・・・・・・・… 62 用語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 67 謝辞・・・・・・… の・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 68 参考文献・・・・… ゆ・・・・・・・・・・・・・・… 。… 6g 資料集・・9・・… の・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 72. iv.
(6) 序章 問題の背景と研究目的. 1.トランスジェンダーと性同一性障害. 1998年に埼玉医科大学で性別適合手術が行われてから「性同一性障害」とい う言葉が新聞やテレビなどのマスメディアを通して注目されるようになった。. そして,2001年10月に放映されたテレビドラマ「3年B組金八先生」の影響 は社会的に大きい。2004年7月16目には「性同一性障害の性別の取扱いの特 例に関する法律」が成立した。法律面や医学,教育の現場での取組みや議論が 始まっている。2006年,兵庫県では国内初である小学校への受入が行われるよ うになった。. 性同一性障害とは,医療のケアを必要とし,診断基準を満たす人を示す言葉 である。性同一性障害を含む性別を越境する人のことをトランスジェンダー (tmnsgender)と呼ぶ。体の性にあわせた,外観や行動の表現をするが,従来の 性の概念とは当てはまらない性の表現を示す言葉である。その中には性別適合 手術を求める人(トランスセクシュアル)や,求めず体とは反対の性別として 生きる人,異性装(transvestite)をする人など,従来の性の概念に当てはまら ないことから自分自身の性別に対して混乱やギャップをもつ全ての人の名称で ある。トランスジェンダーは,トランスセクシュアル(transsexua1)とトランス ヴェスタイト(transvestite)との間にある人といった狭い意味でも使われてい る(狭義のトランスジェンダー)。山内(2002)は,日本の性同一性障害の数は約. 2200∼7000人以上いると想定している。そのことからトランスジェン ダーである人はさらに多く存在していることが予測される。. 本研究では,性同一性障害のみならず,全ての性別を越境する人を対象とす るトランスジェンダーという言葉を使用していく。. 1.
(7) 2.カミングアウト カミングアウトとは,トランスジェンダーの人がトランスジェンダーである ことを他者に告白することである。性・ジェンダーは個人によって多様である と認識されつつあるが,体の性に一致した外観や行動を当然視する社会的風潮 が根強いため,今も自身の性のあり様に苦悩する人は多いと推測される。. 当事者と係りをもってきた精神科医である針間克己監修『性同一性障害30人 のカミングアウト』から,当事者のカミングアウトの時期をみてみると,親に 「男らしさ」「女らしさ」を強要されず自由に育った人の場合,カミングアウト. の時期は10歳代である。「男らしさ」「女らしさ」を強要されて育った人のカミ. ングアウトの時期は20歳から40歳代と遅い傾向にある。 女性から男性へ性別を移行する人のことをFtM(Female Tb M&le)という。. :FtMの場合は,女の子らしい服装,MtF(MaldbFem&le)は男の子として短 髪にされたなど,強要された経験が指摘されている。生物学的な性(Sex)に合. わせたジェンダー(gender)を強要されることは,性同一性障害を抱えた人の. 心を閉鎖的にし,苦痛を与えている。身体の性とは異なる性意識(gender identity)に合わせたジェンダーを求めることを全ての人が認めるとは限らない。. そのことから,カミングアウトはかなりの勇気がいると考える。. 3.研究の目的 現在,トランスジェンダーである当事者を対象とした研究が多く,トランス ジェンダーを受け入れる側の研究はない。トランスジェンダーの人が「自分ら しく」社会で生きていくためには,性別に違和感のない多数の人々の理解が望 まれる。. そこで本研究は,友人に,トランスジェンダーであることをカミングアウト された対象者インタビューを基に,トランスジェンダーの社会的な状況を明ら かにし,誰もがより「自分らしく」生きられる社会の実現をめざすことを目的 とする。. 2.
(8) 4.本研究の構成. 第1章,第1節では,トランスジェンダーに関する研究をまとめ,トランス ジェンダーの実態を明らかにする。. 第2節では,FtMトランスジェンダーである友人から,FtMトランスジェ ンダーであることをカミングアウトされた友人にインタビュー調査を行う。「テ レビで活躍している人について」「FtMトランスジェンダーの友人との出会い」 「カミングアウトの内容」「カミングアウトをされたことに対する思い」「カミ ングアウト後と前の友人との関係性」rトランスジェンダーである人への認識」. 「対象者が感じるトランスジェンダーの人の環境(社会全体)」の問題点につい. て検討した。その結果,メディアと対人関係,ジェンダーに関する3知見を得 た。この3知見を基に仮説「①メディアに慣れ親しんだ人ほど受け入れやすい」, 「②友人は受け入れやすいが恋人からは受け入れにくい」,「③ジェンダーの知 識がある人は受け入れやすい」という3仮説を設定した。. 第2章では,インタビュー調査で得た3仮説を踏まえ,「メディアで活躍して いる人への意識」r外観と行動に関するカミングアウト」r友人・恋人に対する カミングアウトの意識」「セクシュアルマイノリティ・ジェンダー知識の有無」 の実態を明らかにするためにアンケート調査を実施し,検証していく。 終章では,本研究を通して得た知見を基に,誰もがより「自分らしく」生き られる社会を実現するためには,どのような事をしたらよいのか具体的に考え ていく。. 3.
(9) 第1章 トランスジェンダーに対する先行研究とインタビュー調査の背景. 第1節 トランスジェンダー(transgender)研究のこれまで. 1,医療. 1)性同一性障害(GenderldentityDisorder)とは 性同一性障害とは,英語でGenderIdentityDisorderという。頭文字をとって GIDといわれている。山内(2004)によると,性同一性障害は医学的な疾患名とさ れている。性同一性障害と診断される基本は,①生物学的性別(sex),すなわち 身体的性別が男女いずれであるかを明らかにすることと,②性の自己意識(gender. Identity)がいずれの性別に属するかを明らかにすること,ついで③その両者が 一致しないことが明らかにされることとされている。. 生物学的性別(sex)の決定とは,染色体の検査を行い性染色体がXXかXYの いずれであるか,ホルモン検査から内分泌学的に男女いずれの性別であるかを明 らかにする。その他に,卵巣や子宮などの女性性を表す内性器や生殖腺を有して いるか,精巣など,男性の内性器や生殖腺を有しているかを明らかにし,それら の内・外性器に異常がないかを調べる。以上の検査を行うことにより男女いずれ かの性別に属することが明確で,その性に異常がないことを明らかにする。 性の自己意識(genαer Identity)の決定は,当事者の詳細な養育暦,生活史,. 性行動の経歴について聴取し,いっ頃から,どちらの性別としての性別役割や性 行動を行っていたかを把握することによって,そのひとの性の自己意識を推定す る。本人のみならず,家族,あるいは本人と親しい関係にある人たちからも,生 活の様子,人格構造,家族関係やその他の環境などに関する情報を得たうえで, 性の自己意識について,多面的に検討し,決定する。生物学的性別と性の自己意 識が一致しないために生じたと思われる症状を収集し,それらの症状がICDまた は,DSMなどの国際診断基準をみたしていることを確認する。性別適合手術やホ ルモン治療を求める人の場合は「診断と治療のガイドライン第三版」をもちいて 進めていく。. 4.
(10) 2)性(人の性の発達)と性同一性障害の原因 山内(2000)は,Y染色体の短腕上にはSRy遺伝子は精巣へ分化を促す遺伝子. であることが述べている。SRYがあるかないかで,男性か女性になるかが決ま る。最初,内性器の性分化がおこる。胎生初期は将来男性の内性器が形成する ウォルフ管,女性の内性器に形成するミュラー管の両方がある。胎生初期は男 性と女性,両性の内性器をもっている。SRY遺伝子により男性化をおこすこと が決まると,アンドロゲンが精巣の細胞から分泌される。その結果ウォルフ管 は分化し,男性の内性器が形成される。女性の場合SRY遺伝子がないため,ミ ュラー管が分化し女性の内性器が形成される。ウォルフ管あるいはミュラー管 のいずれかが選択されると外性器の分化がおこる。ウォルフ管だとアンドロゲ ンが働き前立腺が分化し,射精管,精のうができる。反対にアンドロゲンが働 かなければ膣が形成される。. 基帯 原靱 腺腺 性性. 中腎 ミユラー」暫. 子寓膣管. 膀胱 ミュラー管抑制物質. アンドロゲン. 卵巣上体. 精巣上体 輸糟管. 勲’.精巣導体. 勝 . 内 腕痕跡. 図1懐昴の分化山内槻撞署r携の境界』ρ29∼貼付. 5. /ガルトナ噌.
(11) 脳の分化は,胎生期14から20週以降ではないかとされているが,明らかに はされていない。脳の性分化は精巣から分泌される男性ホルモンに脳が曝され ると男性脳になり,女性ホルモンに曝されると女性脳になるとされている。性 の分化は脳も含めて,それぞれ,胎生期の発達段階で,一定の時期に分化の方 向を決める因子に曝されないと別の方向に進むことになる。その意味ではどち らにいくかを決める時期を臨界期と呼ぶ。. 性同憎性障害の原因は胎生期や出生直後のホルモン環境の異常,幼少時の家 庭環境,心理的影響など様々な論説があり解明されていない。その中で胎生期 14∼20週の脳にあたえるホルモン作用が何らかの原因によって身体の性分化に 沿って進まなかったために引き起こされた可能性があるというホルモン因説が 最も有力とされている。. 6.
(12) 3)性の自己意識(genderidentity) Money(1979)により提唱され,今日まで受け継がれてきた用語である。自分 は「男である」「女である」「男でもあり,女でもある」など自分自身が男か女 か表す言葉である(性の自己意識)。性の同一性があるという意味でも使われて. いる。性の自己認知の形成時期は,一般には3∼4歳で確立されている。 Col段pinto(2005)の「双子の症例」からジェンダーと性の自己意識の形成をみ. る。1966年,生後八ヶ月にして,包皮切除手術の失敗により,自らのペニ スを失った双子の兄弟のうち1人が,Moneyの研究対象となった話である。 男の子であるその子を女の子として育てたが,その子は自分が女の子である ことに違和感を感じて育ったという話である。両親は一生懸命,女の子になる ように育てたが,その子は,立ってトイレをしたり,外観や行動も男の様に育 った。後に元男性だということを両親から聞くことで,自分の性別に対しての 違和感が解決され,即男性として生きることを決意した。. Moneyは性の自己意識のゲート(性自認の門)は,2から3歳の問にあると 考えている。そのことから,男性として育てるのなら男性に,女性として育て るのであれば女性の性の自己意識が確立すると考えられている。. Moneyの実験から,性の自己意識は先天的であることが述べられている。 土場(1999)は人の作り出す性の自己意識を記号式で鮮やかに(多様)に表して. いる。具体的に,身体・生理のレベルを「B」,精神・心理のレベルを「P」, 外見・行動のレベルを「A」としている。男性の記号は「M」女性の記号は「F」. である。一般的とされる男性の性の自己意識を構成してみるとG(M・M・M) となり,性指向はFとなる。このように組み合わせていくと人が作り出す性の 自己意識は16通りあることを述べている。. 7.
(13) 2.歴史. 1)ブルーボーイ事件. 三橋(2003)は,目本は1969年のブルーボーイ事件前までは「闇」ではなく性. 別適合手術は病院や医師の名も報道され,行われていたことを明らかにしてい る。ブルーボーイ事件とは,東京都内のある産婦人科医が男性から女性への性 別適合手術を複数行ったこと(精巣切除術)の法律違反(優生保護法第28条違. 反)として,東京地裁において罰金計を言い渡された(懲役2年,執行猶予3 年,罰金40万円)裁判である。優生保護法(現在は母体保護法)28条とは,「何. 人もこの法律の規定による場合のほか,故なく生殖を不能にすることを目的と して,手術またレントゲン照射を行ってはならない。」となっている。それ以降 性別適合手術は違法であると硬く信じ,公に手術が行われたことはなく,当目 者たちにとって長い暗黒時代が続いたことを述べている。この件は術前に精神 科的検討などが一切なしに,初診時に後目の手術が予約されたことから,営利 目的と捉えられた。このことについてはジョンズ・ホプキンス大学病院の治療 プログラムを参考にしながら行ったとされている。. 山内(2004pp.9−20)はブルーボーイ事件の裁判長である熊谷弘が述べた性別 適合手術に対する考え方には次のような条件があったとしている。. (イ)手術前には精神医学ないし心理学的な検査と一定期間にわたる観察をお こなうべきである。. (ロ)当該患者の家族関係,生活史や将来の生活環境に関する調査が行われる べきである。. (ハ)手術適応は,精神科医を交えた専門を異にする複数の医師により検討さ れたうえで決定され,能力のある医師により実施されるべきである。. (二)診療録はもちろん,調査や検査結果等の資料が作成され保存されるべき である。. (ホ)性転換手術の限界と危険性を十分に理解しうる能力のある患者に対して. のみ手術を行うべきであり,その際手術に関し本人の同意はもちろん,配偶者 のある場合は配偶者の,未成年については一定の保護者の同意を得るべきであ るとした。. 被告人(医師)に対して優生保護法を適用し,この医師が過去に関係した相 当多量の麻薬の横流しも洗い出した結果,かなり重い刑がいいわたされている。. 8.
(14) 2)性別適合手術. 埼玉医科大学の形成外科医である原科(1998)は,1998年再び性別適合手術が. 公で行われたのは自身がペニスの再建手術で成功を収めた記事を週刊誌で読み T Sである当事者(FTM)が性別適合手術をしてほしいと訴えてきたことから 始まったと述べている。原科は1995年5月に倫理委員会に性別適合手術の是非 を問うべき申請をおこなったことから1996年7月2目に性別適合手術の実施に ついて前向きの答申を倫理委員会は示した。1997年日本精神神経学会がr診断・. 治療のガイドライン」を打ち出し,1998年10月,性別適合手術が行われたこ とが述べられている。. 山内(1999)は,埼玉医科大学倫理委員会が性同一性障害を医学的治療の対象と. するまでの経過を述べている。答申についての会議は性同一性障害についての 知識が皆無である人々が,性同一性障害の勉強会などを開き,勉強しながら決 定していったということを明らかにしている。. 9.
(15) 3.ジェンダー(gender). 1)ジェンダー(gender)とは 柏木・高橋(1995)は,性の型づけは,子どもの頃から,名前をはじめ,衣服の. 色,玩具など,環境の違いとなって表れると述べている。子どもが外界と関わ る最初の契機は玩具である。親の性に型づけられた男の子と女の子が持つべき 玩具の選択によるものである。性の型づけは必ずしも意図的,意識的なものと は限らない。子どもの年齢が幼い場合,親が子どもを小さく,弱々しく,か細 いと認識すればおのずと保護的になり,強く,たくましく,敏捷だと認識すれ ば積極的に働きかけることが予測される。男児は活発に動き回り,冒険的な遊 びが多く,女児が静的な遊びをし,また,母親にまとわりついて話しかけるこ とが多く見られることが述べられている。また,はじめての学校生活の中で, 子どもたちはクラスの仲間と協調し,素直に先生のいうことをきき,行儀よく 行動するなどの「女性的」な行動特性を要求される。こうした「女性的」な環 境と映る学校はどちらかといえば男子より女子の方が適応しやすいと指摘して いる。男子はさまざまなマスメディアを通じて得たステレオタイプな性役割を. 仲間集団の中で相互に要求し合い,競い合い,強化し合う。仲間集団が特に男 子にとって性役割を習得する上で有力な媒体であるのは,学校は先にみたよう に「女性的」な環境であり,家庭も今日のような性別分業システムではもっぱ ら母親が中心で,子どもの生活空間に男性の具体的な役割モデルがあまりいな いことによる。その結果,男子は性役割の発達のガイドとして仲間集団の方に 向きがちとなり,モデルとすべき役割のステレオタイプの度合いをますます強 めていくことになる。. 伏見(1997)は,人のつくりだすジェンダーは多様で100%男,100%女になる. のは難しいようである。そのことから,男性だから,男性のジェンダー,女性 だから女性のジェンダーをもっているとかかならずしもいえないことが述べら れている。. 中村(2005)は,インタビューから性同一性障害であると感じると無理に男にな. る,女になることを頑張る傾向があることを述べている。インタビューをうけ ている側が何かのきっかけで頑張っている自分,頑張りすぎて不自然な自分の 男性性や女性性に気付き,「自分らしく」生きていくまでが語られている。「本 当の自分」を見つけるまでを過去から現在までが語られている調査である。そ のことから,自分のしっくりくる男性性や女性性で生きるという意味の「ジェ ンダークリエイティブ」という言葉を使っている。. 10.
(16) 2)自分らしさを求める人 青山(2005)は,ブラジャーをつける男とつけない女について述べている。ハー. ドな仕事をこなしていく男性がブラジャーをつけることにより,自分の中にあ. る女性の部分を感じることによって落ち着きを取り戻す人々について述べてい る。. 豊田(1997)は,「男は仕事」といった,人によって作り出された常識に悩む男. 性達について述べている。お酒が飲めなければ男として認めてもらえずいじめ をうけた経験がある人,最悪な場合自殺をしてしまう人について語られている。 春日(2000)は,「女は家庭」という決められた常識に悩む女性達にっいて述べ. ている。夫婦は平等だと信じて結婚したの対して,舅・姑に「嫁」と呼ばれる。. 嫁という言葉は彼女たちにとっては下位の名称になることが語られている。. Nanda(1999)はインドのヒジュラと呼ばれている人々のジェンダーについて. 述べている。ヒジュラは,男でも女でもないもう一つのジェンダーだと言われ ている。ヒジュラは女性の服装をして,女性の振舞いをする宗教的な共同体で ある。男性性器の不整が定義の中心とされている。ヒンドゥー教の上品で控え めな女性らしさとは違い,スカートをたくし上げ切断した性器をさらす行動か ら女性でもない,男性ともいえないもう一っのジェンダーだと考えられている。 ヒジュラはインドの文化と社会のなかで特別な存在であることで知られている。 子どもの誕生後や結婚式,寺院のお祭りでの儀式をとり行うことがヒジュラの 伝統的な仕事として認められている。. 11.
(17) 4.当事者の現状. 1)当事者の幼少期 山内(2004p113)は,性同一性障害は幼少期,物心がつく前から異性的行動を. おこなっていたことを述べている。特に遊びや服装については身体の性に合わ せるよう親が強制すれば強く抵抗していたと述べる人もいる。物心がついた時 点からでもすでに「自分は皆とは違う」「体は女であるが自分は女とは思えない」. などを意識していて心理的葛藤や不安感の強い人が多いことを述べている。. 針間(2004)でも幼少期の男の子と女の子にわけられる遊びや服装に違和感を 感じたと述べている当事者は多い。. 2)当事者の生活(困難性) 野宮(2003)は,性別を移行して暮らしているトランスジェンダーの制度上の問. 題について述べている。就職に際して公的書類の性別記載の変更は難しいこと から,職を得ることが困難であり,条件の悪い労働を強いられるといった問題 があることを述べている。他にも,外見と書類の性別の不一致から,住居を借 りることを断られることもあると述べている。海外へ行く際もパスポートの性 別記載が変更できないため,入出国の手続きで本人か疑われる可能性があるこ とも述べている。. 佐倉(2004)も自身の性別による生活上の困難性について述べている。パートナ. ーにカムアウトをして女性として生活をすることができたが,女性名の名義の 銀行口座,パスポート,健康保険証など,自身が直面したトラブルについての 経験を具体的に述べている。. 針間(2004)でも,当事者の生活上の困難性が述べられている。特に,カムアウ. トをしていない人は堂々と「自分らしく」することができず,陰(家の中など) で異性の服装をするなどしている。. 12.
(18) 5.法律. 1)法律ができるまで. 手術によって体の性を変えることができても,戸籍の性を変えることができ なければ,証明書提出や選挙投票などが当事者の課題となってくる。自由民主 党は,南野知恵子参議院委員を中心に議員立法による特例法の成立にカをそそ いできた。そのことから,性同一性障害を抱える者の戸籍の性別をいかに扱う. かが議論され,2003年7月16日,国会においてr性同一性障害の性別の取扱 いの特例に関する法律」が公布され,2004年7月から施行された。. 2)性別変更の用件 戸籍の性別変更ができる要件は,一 二十歳以上であること。二 現に婚姻 をしていないこと。三 現に子がいないこと。四 生殖腺がないこと又は生殖 腺の機能を永続的に欠く状態にあること。五 その身体について他の性別に係 る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。である。この戸籍 性別変更は性別適合手術をしているものを対象として考えられてものである。 家庭裁判所の判断で決まる。特に三の要件に関しては批判が多いようである。. 3)特例法に関する意見 筒井(2003)は2から5までの要件の問題について述べている。2・現に婚姻を. していないことという用件は既婚の当事者が同性婚になることをさけるためで あり,当事者が離婚をすることを望んでいるのならよいが,望んでいないのな. ら法律で離婚を強制すべきではないということを述べている。3・現に子がい ないことという用件は諸外国ではありえない法律とされている。この要件が加 えられたのは,法律上の親子関係が混乱することを防ぐためだといわれている。. 子どもへの影響について親の性別変更の当否を判断するのは法律ではないこと を述べている。子どもが判断能力を有するほどに成長していて親の性別変更に. 理解を示している場合,この理由はあてはまらないと指摘している。4・生殖 腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。5・その身体 について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えているこ. 13.
(19) とにっいて,性別適合手術をうけたくても受けることのできない人や性別適合. 手術をうけることを望まない人もいることから,4や5の要件は「性同一性障 害」医療の現場を反映していないと述べている。4の生殖を行うか否かの決定 は個人の自由意志によるべきものであることから,リプロダクションの権利の 点でも問題があると述べている。. 虎井(2005)は、要件3について述べている。悲壮な決意をして夫となり、父と. なった人が耐え切れず女性になった場合、そうしてできた子どものために戸籍 の性で不自由を強いられ続けてしまうことを指摘している。. 14.
(20) 6.教育. 1)トランスジェンダーの学校生活 三橋(2002)によれば,学校教育から早く離れるトランスジェンダーが多いこと を述べている。. 教育の現場では,トランスジェンダーの児童・生徒は「存在しない」ことにさ. れていて,性別違和感をもつ生徒たちはその気持ちを抑制することが求められ ている。そのことから,もし,自分自身の気持ち(なりたい自分)を表面化し た際には,父母や教員の無理解,社会(学校)での偏見,差別によって,いじ めにさらされやがて就学の継続が困難になり,教育を受ける機会を奪われてい る人が多いことを指摘している。. 山内(2003)によれば,男女ともに自らの能力を発揮し相互に補完しあって暮ら. すためには固定化した男女に二分法や型にはまった「男らしさ」や「女らしさ」. の概念ではなく,性のもっ多彩な側面を容認した社会のあり方が求められてい るように感じるとしている。. 高橋(2001)は,自らカミングアウトをすることで「自分らしく」学校生活を生 ●. きる生徒との出会いを述べている。トランスジェンダーの生徒に対して,初め のうちは他の生徒からの偏見はあったが,トランスジェンダーの生徒と接して いくことで,次第に考え,認めるようになったことを述べている。高橋裕子自 身その生徒との出会いから,性は多様であることがわかったことが述べられて いた。. 田中(2005)は,トランスジェンダーの生徒が入学を希望したときの学校の対応. が重要だと述べている。そして,FtMのトランスジェンダーの生徒が定時制の 高校入学を許可され,退学していくまでに学校及び担任がどう関わったのかを 述べている。. 15.
(21) 2)トランスジェンダーを学校で受け入れていくための教材 伊藤(2001)は,多様な性のあり方を伝えることは性教育であると同時に人権教. 育でもあると述べている。生物学的性が「男性」か「女性」のどちらかにわか れ,自分の身体を生物学的な性と同じ性別だと認識し,異性を恋愛の対象とす るという条件があるべき姿だといった考え方が社会的に強制力は働いているこ とを知らない人が多いということを述べている。生徒も教員自身もセクシャル マイノリティを見下し,軽蔑することによって,安易な「笑い」をとろうとす るメディアから「学習」してしまい,「ホモ」「レズj rおかま」といった差別的. な言葉をネタとして笑いにつかっていたりしていることが指摘されている。 三橋(1998)は伏見憲明の性のミステリーによる見解を踏まえて「性」を構成す. る要素を四つにわけて整理している。①身体の性②心の性③社会的な性(性役 割/性別表現)④対象の性である。それらを図であらわすことによって,人の 性が多様であることを分かりやすく表現している。下記の図は三橋順子の多層 的な性の構造図である。. 社会的な性 心の性. →対象の性. 身体の性 図2三橋順子(1998)「性を考える」,. 河野貴代美編『セクシュアリティをめぐって』. p11の図1から. ①身体の性とは,生物学的な性のことで産まれたときにはすでに男か女か決 められている性のことである。身体の性は変えることができない性である。変 えることができるのであれば,性器を手術によって変えることができるだけで ある(性別適合手術)。続いて②心の性とは,性の自己意識(Genderldentity) のことである。例えば,自分はr男である」r女であるj r男性でもなく女性で もない」「両性である」「時には男性,時には女性である」など多様であること を述べている。③社会的な性(Gender)とは人が成長する過程で身につけてい く性のことである。社会がっくりだしていくr男らしさ」や「女らしさ」を示 す。例えば「男は仕事」「女は家庭」の役割をはたすべきだといった男女どちら かの社会的役割,外観(服装や化粧,髪型など)で男性か女性かを表現するこ とである。人々の意識の中には,身体の性に合わせた外観や行動で「男らしさ」. 16.
(22) や「女らしさ」を表現することが自然であり,当たり前と考えられているが, それは個性豊かに「自分らしさ」を表現しているのである。④性の対象(sexual orientaion)とは,欲情や性欲の対象が何に向いているかという性的な指向性の. ことである。性志向には,異性・同性・両性愛があり,人のつくり出す性には 様々なパターンがあるということを,三橋は述べている。 中村(2005)は,ジェンダークリエィティブについてのべている。ジェンダーク. リエィティブとは,身体の性に合わせたステレオタイプの性にこだわらず,各 人が自分らしく生きるためにはどうしたらよいのかを考え,自分らしさを大切 に育てていくことである。個性豊かに自分らしさを表現するということは,理 想とされている「男らしさ」や「女らしさ」に縛られるのではなく,各人が自 分の好きな,自分にあった「自分らしさ」について考え,大切に育てていくこ とで,理想の男らしさや女らしさが自分自身に合っていてしっくり来るのであ れば,それがr自分らしさ」であると説明し,性同一性障害の人も多くの人も 同じ生き方を求めているとしている。. 17.
(23) 7.当事者のカミングアウトとカミングアウトされる側との関係. 1)カミングアウト 野宮(2003)は,カミングアウトを行う際,カミングアウトをする側の知識や考. え方を確認する必要があることを述べている。カミングアウトをされる対象が とても大切な存在であるのならば性同一性障害に関する本を選んで貸したり, ビデオになっている作品を一緒に見るといった方法で相手がこの問題について. 考える基礎をつくってあげる方法がよいと述べている。もし,相手が性同一性 障害について否定的な先入観を持っている場合その後の話しが続かなくなって しまうからである。また,実際にカミングアウトをする際にも性同一性障害に ついての誤解を解く上でいくつかの資料を渡して説明することもよいと述べて いる。. また野宮はカミングアウトをする側の立場も考える必要があることを述べて いる。カミングアウトの結果,相手が認め,良好な関係がえられれば,カミン グアウトをしたひとにとっては今後の生活を送る上でプラスの材料となる。し かし,された側は「秘密」をだれにも言うことができず,自分の中に抱えこん で苦しい思いをしがちであることを述べている。 伏見(2005)は,トランスジェンダーのパートナーについてふれている。トラン. スジェンダーをめぐる問題で今まで欠けていた議論はパートナーや子どもの立 場からの視点である。カミングアウトをされ,一番影響をうけているはずだが, パートナーの意見が表にでてこないと述べている。. ●. 18.
(24) 2)トランスジェンダーの恋人と夫婦関係. 北原(2004)は,性同一性障害である恋人との関係性について述べている。裸に. なって抱き合いたい者たちにとって,相手が男なのか女なのかは環末なことで しかないと考えている。このことから,「性器」を根拠にした「男らしさ」や「女. らしさ」に違和感を感じていると述べている。. 梅宮(2002)は,性同一性障害である夫と妻との夫婦関係の考察をしている。. MtFと婚姻関係を結び,性別適合手術を容認している妻の一年間の日記を元に 分析を行っている。カミングアウトをされたことにより,動揺し,大きなショ ックを受け,自殺未遂をおこすまで追い詰められていることを述べている。「女. 性として」求められていないと感じた瞬間から自己の存在理由が拡散する同一 性の障害をおこすと考えられ,生きている価値を見いだせなくなるようである。 そのことから,それをきちんと否定する他者の存在は非常に重要であることを 示唆している。. 8.まとめ 現在,トランスジェンダーである当事者を対象とした研究が多く,トランス ジェンダーを受け入れる側の研究はない。 新聞やメディアを通して,「性同一性障害」という言葉が広まり,医療や法律,. 教育の現場で様々な展開をしている。しかし,医療を必要とする「性同一性障 害」と呼ばれている人に対しての認識であり,体とは反対の外観や行動を行う トランスジェンダーに対して抵抗のある人は多いと考える。そのことから,ト ランスジェンダーの人々が自分らしく生きていくことは難しい。. 本研究では,トランスジェンダーの人々が自分らしくいきていくために,性 別に違和感のない多くの人々の意識を明らかにすることを目的とする。トラン スジェンダーの友人からカミングアウトされた友人へのインタビューを行い, トランスジェンダーの人が自分らしく生きるために検討する。. 19.
(25) 第2節 FtMトランスジェンダーの友人からカミングアウトをされた友人への インタビュー. 1.調査の目的. 体の性に一致した外観や行動を当然視する社会的風潮が根強いため,トラン スジェンダーの人が「自分らしく」生きていくことは難しい。トランスジェン ダーの人にカミングアウトされる人は,家族,恋人,友人,職場の同僚などで ある。カミングアウトをされる対象となる人のほとんどは,性別に違和感のな い多くの人々である。カミングアウトをされた人の意識を明らかにすることは, 多くの人々のトランスジェンダーに対する意識を明らかにすることへとつなが ると考える。ここではFtMトランスジェンダーである友人からカミングアウト をされた友人ヘインタビューを行い,カミングアウト対象者からのトランスジ ェンダーに対する意識を検討する。. 2.対象者の属性. インタビューの対象者は,FtMトランスジェンダーである友人から「FtMト ランスジェンダーである」とカミングアウトをされた経験をもつ女性2名であ. る。年齢はAさん24歳,Bさん26歳である。AさんとBさんは友人関係にあ り,FtMトランスジェンダーである友人とは5年の付き合いである。カミング アウトは大学を卒業した頃であり,約1年前に行われている。. 20.
(26) 3.調査期間・方法. ○調査期問. Aさん2006年4月29日 Bさん2006年5月1日 O調査方法と内容. インタビューによる聞き取り調査をAさん(1時間),Bさん(40分)行った。. その聞き取り内容は、米沢(2003pp77−83)によりメディアに関すること、 カミングアウトに関すること、トランスジェンダーに関する一般的な認識の3 つに関して調査を行うことにした。そこで、それを基に大きく分けて7つのこ とに注意してインタビューした。. 1・テレビで活躍をしている人について(性別を越境している人). 2・トランスジェンダーである友人との出会いについて 3・カミングアウトの内容. 4・カミングアウトをされたことに対する思い 5・カミングアウト前後のトランスジェンダーである友人との関係性 6・トランスジェンダーである人への認識の有無. 7・インタビュー対象者が感じるトランスジェンダーの人の環境(社会全体). 21.
(27) カミングアウト対象者のインタビュー調査 1・インタビューする者の自己紹介・調査の目的について話す. ロインタビューを始める前に自分自身について述べる ロインタビュー調査の目的を述べる. 目インタビューに関するルールの確認をする[対象者のプライバシーに関わる事柄の. 確認,回答を拒否することができること,収集したデータの取扱い方,研究成果の発表 の際のプライバシーの取扱い方について話し合う(確認)コ。. 2・年齢. □OOさんの年齢を教えてください 3・学歴. □学校の授業や講演会か何かで,人の性のあり様(セクシャリティー)や男らしさ,. 女らしさといった社会的,文化的につくられた性であるジェンダーについての説明 をうけたことはありますか?(ある場合は具体的に聞く). 4・テレビで活躍している人について話し合う(ニューハーフの人やカバちゃん,美輪明 宏さんなど)☆活躍している人の印象. ロテレビで特にバラエティー番組などでトランスしている人がでることがあるのです が,ああいう人がでている番組を見たことはありますか? ロテレビで活躍している人についてどう考えますか?(印象)初めて見たときだとか。. [コ1・テレビで活躍している人はテレビの世界だけの話だと感じることはあります. か? [コ2・近くにそのような人がいても不思議ではないと感じることはありますか?もし そうなら具体的に教えてください。. □もし,テレビで身体と反対の性別でいきている人がでてこない状況でそういう人が. 身近に現れたとしたら自分自身はどんな考えだとか対応だとか感情を相手にたい して持つだろうなって想像しますか?. 5・OOさん(カミングアウト者)との出会い(出合ったときのことを具体的に聞く。出 合ったときの印象や出会い方など)。. □OOさんとはどこで,どのような形でお知り合いになったのですか?. □初めてあったときの印象. 22.
(28) 6・カミングアウトされたことについて聞く. ☆時期・内容・率直な意見や感情など. □OOさんとはお知り合いになってから,どれくらいで告白されたのですか?. □告白はいつ頃にされたのですか? □告白された内容について教えてください □告白をされたとき,あなたはどのような気分や感情をもちましたか?(あなたが最 初に述べたことや行動など). □告白される前から何か直感的なものとかあったりしましたか? 7・カミングアウトをされたことに対しての考え方にっいて聞く ☆カミングアウトの受け止め方(実際悩んだこと,現在の心境など). ロカミングアウトをされたとき悩んだことはありますか? ☆國のならば・・どういうことで悩んだのか聞く。また,現在も悩んでいるの か?なやんでいなければどのように解決したのかきく。). ☆圖のであれば・・rカミングアウトをされたことで悩むひとが多いようですが, どうしてあなたは受け容れることができたと感じますか?」. □告白を聞き,受け止めるまでどのような気分や感情をもちましたか?. □告白をされたことで告白した人に対してOOさん自身が気にかけていることや注 意していることはありますか? 8・カミングアウト前とカミングアウト後のOOさん(カミングアウト者)との関係性. □あなたとOOさんとの関係性について教えてほしいのですが,告白前と,告白後と で何か変化を感じましたか?例カミングアウトした人への意識や感情,考え方への. 変化など ☆國のならば・・あなたのOOさんに対する気持ちや考え方など具体的に教えてく ださい。. ☆圖のであれば・・出会ったときと同じ関係性ということでしょうか?具体的に教 えてください。 9・カミングアウトされる以前の認識について聞く(性同一性障害という言葉をどこで聞 いたことがあるのか・どのような状況で知った言葉なのか,内容・情報などについて). [コ告白される前にテレビや学校などで「性同一性障害」や身体とは反対の性で生きる人. についての聞いたことはありますか?あるのならば具体的に聞く(どこで得た情報なの. 23.
(29) か?)※「ない」場合は告白されたことによって知ったことなのか聞くそしてそのとき どんな感情をもったのか。その言葉に対して。. □OOさん自身,身体とは反対の性を生きる人についてどう思われますか?テレビでみ る人だとか,カミングアウト者の生き方について。. 10・環境 □OOさん自身の周りの環境(周りの人々の感じ)についてお聞きしたいのですが, 身体と反対の性でいきる人に対して,OOさんの周りだとか,社会全体だとかどう いう感じで身体と反対の性で生きる人をみている,あるいはどういうふうに考えて いると思いますか。. □OOさんは社会全体,周りの環境をみて,身体とは反対の性でいきる人を受け容れ る体制ができていると思いますか?※受け容れていても,受け容れていなくても具体 的に聞く。. 11・性同一性障害について何か他に話したいことはあるのか尋ねる. □OOさんにっいて話したいことはありますか? [コ他にあなた自身がこのテーマについて話したいことはありますか?. 12・インタビュー終了後の注意点 ・質問で何か言い残したことがないのかを確認する(思い出したことや言い足りなかった ことはないカ》?)。. ・確認しておきたい回答があるのならば確認する(あいまいな回答や矛盾した点について の事実確認)。. 24.
(30) 4.インタビューのまとめ. カミングアウト対象者Aさん(24歳). 1)ジェンダーやセクシュアリティに対する考え方や認識. Aさんは中学校時代から学校の道徳の授業で担任の教師からジェンダーにつ いての説明を受けている。担任の教師から,(担任教師の)若い頃は女性は子ど. もを産んだら退職すべき,という考えであったことを教わっている。現在はそ ういう考えをもつ人が少なくなってきていることからAさんたちは恵まれてい る。という話をしてくれたことを述べている。. Aさん自身も男らしさや女らしさという決まりは特にないと考えていること からジェンダーに対する考え方に柔軟性があるようである。. 2)メディアに対する考え方や認識. 身体とは反対の性別を移行している人がテレビで活躍をしている姿を初めて 見たのは小学校高学年の頃である。そのときの印象は話し方であったと述べて いる。男性の話し方とは異なり,やわらかく,女性同士で話すような感じがあ る。女性は言葉の語尾に「∼ね」とつける。そういう話し方は親近感があり話 しやすいξ感じた。最近はテレビでそういった人がたくさんでてきていること から,社会的にもそういう人達も認められてきているのではないかと考えてい る。. Aさんは,テレビのメディアを通して身体とは反対の性別を移行する人が出 てこない状況(メディアが発達していない状況)で近くにそういう方が現れて も現在と変わらない考え方である。それは小学校の時の同級生の弟さんが影響 しているからである。その弟さんは,性の対象は女性だが,話し方やしぐさが 姉妹のなかで育っていたからなのか,女性的であった。そういう人と小さい頃 から接していたこともあり,テレビで活躍している人をみても違和感を感じな いということである. 25.
(31) 3)Cさんとの出会い・カミングアウト Cさんとの出会いは大学1年生の時のゼミである。 カミングアウトをされたのは大学3年生の頃である。大学2年生の頃からC さんに「実は,自分はまだ,誰にも話したことはないけれども,隠しているこ とがあるんだよね。」と何度もAさんに話している。「自分の心の整理がついた. ら話したい。それまでちょっと待ってくれる?」といわれたことに対してAさ んは「整理がついたら話してください。」といった感じで待ったようである。そ. のことから1年後,心の整理がついたので話したいということを聞き,カミン グアウトを受けた。カミングアウトを受けたのは,Aさんともう1人,Bさん である。BさんもAさんと同じ大学で同じ学部,学科の友人である。お酒の飲 みながらCさんのカミングアウトを受け止めている。カミングアウトの内容は 「性同一性障害である。」と率直に話していたと述べている。そのとき,「ああ. そうなんだ。でもうすうす気がついていたよ。」とCさんに話したようである。. AさんはCさんがカミングアウトする前からトランスではないかとはっきり とした確信がなくても感じるものがあった。中学校とか高校とか彼氏がいたり,. いなくても憧れている人がいる。Cさんは恋愛の話になると反対側をむくよう な感じがあった。あまりそういう話には興味がないのかと捉えていた。ずっと2. 人で授業を受けるとCさんは女性のことをよくみていて語るが,男性のことは 見ていないということを感じた。もしかしたら,男性には興味がないのかもし れないと感じた。Cさんは片思いの人がいるということを話してくれた。話の 内容を聞いていると性の対象は女性ではないかと感じるようになった。そのこ とから性同一性障害ではないかと感じた。Aさんは性の対象が女性であるとい うことがトランスではないかと感じる決め手となったようである。外観につい てはAさんの周りには飛行機が好きな人は髪が短く,ちょっと体格ががっちり めであまりスカートを履かない人が多かったので感じなかったようである。. 26.
(32) 4)カミングアウトされたことに対する悩み. AさんはカミングアウトをされたからといってCさんのことを嫌いになるわ けではない。カミングアウトされたことには悩まなかったが,Cさんの恋の相 談には悩んだようである。性同一性障害について興味半分でいる人は多いと思 うが,受け入れるなどの考えはあまりないのではないかと考えている。Cさん は片思いの人に告白をしたいと訴えているが,相手の考えていることが分から ないことに不安を感じたようである。いきなり自分達に話したように片思いの 人に伝えることでCさんのその後の行く末に不安を感じたようである。一番本 人が悩んだと思うがAさん自身も悩んだと述べている。 Cさんに告白をされてAさん自身が悩まなかったのは,小さい頃からそうい う感じの人と接したり,テレビを見ていたということもあるが,Aさん自身, 身長が小さいという障害を抱えている。小さい頃から,周りの人と同じように 行動することがあまりなかった。それは,普通というものの中には入らない人 もいるという考えがあったからではないかと考えている。人は人である。自分 の物差しで計るのはおかしいと考えているので悩まないと述べている。また, そういう考えは,本や映画の影響もあるのではないかと考える。高校生の頃か ら,エイズ感染者だとか,どこか障害を持っている人の映画や本を読んだり見. たりしている。あと,友達の弟さんの影響もある。Aさんは人には,波長が合 う人と合わない人がいると考えている。弟さんはAさんと波長が合ったからよ かったのかもしれないと感じている。テレビは作られたものである。原作があ ったとしてもちょっと違ったり,捉えかたも異なってくる。そのことから,疑 問をかんじる。しかし,現実にそういう人と接していると。自分の考えがまと まってくる。こういう人はこういう人だって。. 5)カミングアウト後と前のCさんとの関係性 男性と女性の「可愛い」とはよく違うと聞く。そのことから,この人は男性. の気持ちが分かるから,Aさんが好意をもった男性はCさんからみたらどうい う感じに捉えられるのか,ということを聞くことが多くなったと述べている。C. さんとAさんは,好印象与える女性は,男性からも女性からも好印象を与える 人であることが分かる。そうするとAさんもああいう人になろうという気にな ると述べている。. カミングアウトされてCさんに対して意識していることは,恋愛の対象の話 である。カミングアウト前は、Cさんはどんな男性がタイプなのか興味があっ たが,カミングアウト後はそのことを聞かないようにしている。またCさんの. 27.
(33) ことを知っているのはAさんとBさんしか周りにはいないので,周りの人には 気付かれないような接し方をしている。自分達が誰かに口外するのはルール違 反と考えている。Cさんが自分達以外の誰かに(全ての人)話すまでは第三者 に口外するつもりはないと考えている。. Cさんにカミングアウトされる前と後とではCさんに対するAさんの考え方 の変化があるようである。. 6)性同一性障害,身体とは反対の性で生きる人への認識. 性同一性障害とか身体とは反対の性で生きる人についての言葉を認識したの は,3年B組金八先生である。周りの友人は重い内容という感じに話していた。. 人権問題,重要な課題。しかし,Aさん自身が思っている砂と周りの人が思っ ているのは異なっているように感じた。Aさんは前からこういう人と接してい るけれども,周りの人は,テレビをみて驚くのだということを知った。驚いた り,ショックというものがあるということを感じた。Aさんはギャップを感じ たと述べている。. Aさんは性別を移行する人の生き方について,テレビでは自分を表現してい る人がいるが,中にはできない人もいると感じている。できない人は辛いと考 えている。自分達は堂々としているけれども,その人達は細々とかくして生き ている。辛いことだと考えている。. 28.
(34) 7)Aさん自身が感じる環境(社会全体). 環境(社会全体)についてAさんは,年がいけばいくほど,身体と心の性が 違う人に対して厳しい見方をするのではないかと考えている。昔の日本は,ど うしても男性は外にでている社会であるからだと述べている。年配の人達はそ の時代の人である。しかし,現在の若い人は柔軟性があると考えている。やは りそれはメディアの影響だと感じる。小さい頃から,性別を移行する人を見た り聞いていたりしたら,興味がなくても耳や目から入るからではないかと考え ている。しかし,頭では分かっていても実際,自分の恋愛対象となる人がそう だったら受け容れるのは難しいと考える。若い人は友人関係であったら受け容 れやすいけれども恋人だと相手に伝わるまで時間がかかるかもしれないと述べ ている。. 29.
(35) カミングアウト対象者Bさんの場合(26歳)Cさんと5年の付き合い. 1)ジェンダーやセクシュアリティに対する考え方や認識. Bさんは学校の授業や講演会などでセクシュアリティやジェンダーについて の説明をうけた経験はない。ジェンダーという言葉は聞いたことがあると述べ ている。. 2)メディアに対する考え方や認識. テレビで初めて身体とは反対の性別を移行している人が活躍をしている姿を 見たのは小学校頃である。初めて見たときの印象は,楽しい人達という雰囲気 にあるようである。元気があり,明るく,はっきりものを言う,ニューハーフ の人は明るい人が多いと考えている。現在も同様の考えをもっている。. Bさんはテレビで活躍している人はテレビだけの存在という考えが少しある ように述べている。何か遠い存在に感じている。それは身近にそういう人がい ないということが一番の理由のようである。また,テレビで活躍している人が 身近に存在してもおかしくはないとも考えている。Bさんは10代の頃,松山 にニューハーフのスナックがあるといった情報から,友人と大人になったら行 きたいと話していたことを覚えている。そのことから会ってみたいという気持 ちがあったことを述べている。. Bさんは,テレビのメディアを通して身体とは反対の性別を移行する人が出 てこない状況(メディアが発達していない状況)で,身近にそのような人達が 現われたら驚くと想像する。例えば,「女性が女性を好きだ」といった性の対象. が同性に向くことは,自分とは違うということから驚く。外観に対しても同じ 考えである。めずらしいという感覚である。Bさんはそのような状況でも,性 別を移行する人を受け容れることができる。それは人それぞれ考え方が違う。 自由であると考えているからである。. 30.
(36) 3)Cさんとの出会い・カミングアウト. Cさんとは大学の学部が一緒で授業も同じであった。Cさんは友人関係にな りやすそうな雰囲気をもっていたためBさんから声をかけ,友人関係は始まっ ている。そして,ボーイッシュな印象をもっていたと話す。. Cさんには大学卒業して4月の終わりごろにカミングアウトされている。A さんと同時にカミングアウトは行われている。カミングアウトはAさんとBさ んに対して行われた。. カミングアウトの内容はテレビドラマ金八先生の話からCさん自身にっなぎ 合わせて行われたことを覚えている。Bさんはカミングアウトをされた瞬間,「だ. からか」といった,納得がいく感情が芽生えた。驚きはあったが,カミングア. ウトをされる前から感じるものはあったと述べている。BさんはCさんが女性 を性の対象としているのではないか?と感じるところがあったからである。. 4)カミングアウトされたことに対する悩み. BさんはCさんにカミングアウトをされて自分自身が悩むことはなかった。B さんは,Cさんのことが心配であった。Cさんはカミングアウト後,しばらく 手がつかない状態になっていてあまり勉強とかにやる気がでない状態になって いた。その原因はCさんの恋愛に関する悩みだった。BさんはCさんが辛そう な姿をみて心配になり,Cさんが相談できそうな機関か何かを探したようであ る(女性センター)。また,Cさんが親にはいえないといった言葉もBさんの頭 のなかに残っている。BさんはCさんの行く末に対して不安を感じている。 BさんがCさんにカミングアウトをうけいれることができたのはCさんが大 学1年生の時からの友人だからである。ゼミ発表も一緒に頑張り,遊びにいっ たり,優しくしてもらったり,Cさんとはいろいろな思い出があると述べてい る。また,Bさんは周りの人々の影響もあると考えている。周りの人々がいろ んな問題を抱えながらも頑張っている姿を見てきたことである。また,Bさん 自身が困った時に味方してくれて助けてもらったこと等,そういった今までの 経験から今の考え方に結びっいたのかもしれないと考えている。. 31.
(37) 5)カミングアウト後と前のCさんとの関係性 カミングアウト前は,女友達同士でよく見かける身体の触れ合いをCさんに 対して行っていたが,カミングアウト後は触ると不愉快ということが分かった ので気をつけている。また,Cさんが恋愛のことで辛そうなときは他の入の恋 愛の話や恋人の話はあまりしないことを心がけている。. 6)性同一性障害,身体とは反対の性で生きる人への認識. Bさんは大学に入学してから新聞を通して「性同一性障害」という言葉を認 識したと述べている。新聞の内容は性同一性障害の人が生きにくい社会といっ たかんじの内容だった。そのほかは,テレビドラマ金八先生である。ドラマを 見たときかわいいのに何故だろうと思ったと述べている。. 7)Bさん自身が感じる環境(社会全体). 性別を移行する人の生き方についてBさんはCさんに重ねて述べている。と ても辛そうでいい解決方法はないかと考えているようである。テレビ出ている ひとも,高年齢ほどに結婚の問題や,周りの人もよく思わないと考えている。 年配の人は特にそういう人を変な感じでみているように感じる。「変な人」,「理. 解できない人」。人とずれているから受け容れられないかもしれないと考えてい る。女は嫁にいくことが常識みたいに考えている人は多いと感じるようである。. 現在の若い人は年配の人と比べるとだいぶ理解があるように思われるが,理解. しているのは3割か4割の人ではないかと考えている。Bさんは,Cさんのこ とを知っているから(いい人であること),こういうことがあっても嫌いになん. てならない。もし,接したことがない人でも,理解できる。ユニークというこ ともあるが,情報とかではなく,人はいろいろあるのじゃないかと考えている からだと述べている。. 32.
(38) 5.インタビューの結果(仮説). インタビューから,メディア,対人関係,ジェンダーの知識の有無という3 知見を得た。その3知見を基に③仮説を設定した。 仮説①メディアに慣れ親しんだ人ほど受け入れやすい. メディアの情報が全て正しいとはいえながいが,現在では多くの人がメディ. アを通して活躍をしている。インタビュー対象者は,小さな頃から性別を移行 する人を見たり,聞いたりしていたら,興味がなくても耳や目からはいってく ることから,若い人々は柔軟性をもっているのではないかと考えている。 仮説②友人は受け入れやすいが恋人からは受け入れにくい インタビュー対象者は,友人のことはよく知っていて,受け入れられるが,. 恋人がトランスジェンダーだったら,頭ではわかっていても受け入れることは 難しいと考えている。. 仮説③ジェンダーの知識がある人は受け入れやすい. インタビュー対象者は,年配の人について述べている。男性は外に出ている のが当然と考える時代の人である。女性が嫁にいくことが常識であると考えて いる人は多く,そのことからトランスジェンダーの人達は「変わった人」とい う見方になっているように感じている様子である。. 33.
(39) 第2章 トランスジェンダーに関する意識調査. 1.調査の目的 本調査は,FtMトランスジェンダーである友人に「トランスジェンダーであ る」とカミングアウトされた対象者インタビューを基にアンケート調査を行っ た。3知見を基に得た「メディアに慣れ親しんだ人ほど受け入れやすい」「友人 は受け入れやすいが,恋人からは受け入れにくい」rジェンダーの知識がある人. は受け入れやすい」という3仮説を検証するために,トランスジェンダーの社 会的な状況を明らかにし,誰もがより「自分らしく」いきられる社会の実現を 志向して実施した。. 2.調査方法. ○期間:2006年6月 ○対象: 兵庫教育大学院生・学部生. ○方法: アンケート用紙を授業時問中に配布し,その場で回収. ○回収: 268票を配布し,すべて有効票. 3・回答者の基本的属性(%) O回答者の年齢(%). 20歳∼29歳 50.7 30歳∼39歳 22.8 40歳∼49歳 23.5. 50歳∼59歳 3.0. 34.
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