短期留学推進制度の周辺
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(2) 短期留学推進制度が 検討されるに 至った背景には、 欧米との留学生交換面で の不均衡を解消すること、 大学の国際化の 推進などの意図があ ったことは間違 いないにしても. 1. 0 万人計画の順調な 達成が危惧さ t るに至って、 留学生数の え. 増加に少しでも 寄与できる制度をという 思惑が文部省当局にあ るのではないだ ろ うか 。. 文部省が設けた 短期留学生推進制度の 骨子は、 各大学に覚国の 大学と学生交 流協定を結ばせ、 協定に基づいて 来日する留学期間. 1. 大学が相互協定によって 授業料を免除し、 あ わせて. 月. の外郭団体であ. る. (財 ). 年以内の留学生について 8 万円の奨学金を 文部省. 日本国際教育協会から 支給するというものであ る。. のような制度によって 短期留学生を 2. 1. 世紀初頭には 少なくとも 5 千人程度支. け 入れることを 想定しっ っ 文部省は平成 7 年度から「短期留学推進制度」を 施している. こ. 実. ( 注 1) 。. それでは短期留学推進制度は 文部省の期待するよさに 留学生数を増加させる ための特効薬になるのだろうか。. 私は二つの理由から 悲観的にならざるを 得な. い 。 まず第一には 短期留学は文字通り 短期の留学であ り、 その期間はおおむね 6 か 月または 1 年であ る。 短期に次々と 学生が回転していくわけだから、 ック (注. スト. として学生数が 累積していく 効果に乏しい。 第二に本学を 含めて国立大学. 2) の短期留学制度は 前述のように. る 奨学金に支えられているものであ. (財 ). 日本国際教育協会から 提供され. るから、 日本政府の財政危機が 叫ぼれてお. り 財政改革が現内閣の 最重点政策となっている 昨今、 短期留学推進に 振り向 けられる奨学金の 今後の順調な 増加は期待できないと 懸念されることであ る。. 大学サイドで 短期留学推進は 項諸におこなわれたか 率直に言って 短期留学制度は 難産だった。 その問題点は 次のようなものであ る。. 短期留学制度で 来日する留学生に 対しては前述のように 日本国際教育協会か らの奨学金が 支給されるが、 彼らを受入れ、 教育を行 一. 8 せ一. う. 大学教官に対しては、.
(3) 予算面での配慮が 現状では行われていないことであ なるほど短期留学生のためのコース の 教官 2 名、 短期留学生麦 入 に伴. う. る。. 開設、 運用するためのコーディネーター 事務を処理するための 事務官. 1. 名の新規 人. 事が 、 財政事情厳しき 中にも 杓 わらず、 格別の配慮で 各国立大学の 留学生セン タ. 一に認められたことは 特筆大書されなければならない。. このことからしても. 短期留学推進にかける 文部省の並々ならぬ 意気込みをうかがうことができる。 しかし、 その反面、 短期留学生のために、 特に英語で授業を 行 い 負担を引き受ける 教官に対する 配慮は何もなされていない。. じている短期留学制度の 目玉は、 すべての授業を 英語で行. う. という新し. 特に今ここで 論 ことであ り、 多く. う. くの教官にとって 手間のかかる 困難な授業を 新たに開設することになる。 もそのことに 関しては予算措置がないので、. しか. 全くのボランティア・べ ー スで 要. 請 せざるを得ないという 実状が短期留学制度の 滑り出しを困難にした 大きな要 因としてあ げられる。 教官にとって 短期留学生に 向けて行. う. 英語の授業は 、 す. へ て ェク イトラの負担となる。 さらに、 英語で留学生を 満足させられるような 内容のあ る講義を行. う. ことができて 、 しかも自発的に 応じてくれる 教官を多く. 見つけだすことができるだろうかという. 懸念が大きかった. (注. 8) 。. かりに意欲的な 教官が個人べ ー スで短期留学生向けに 開講してくれても、 学. と して組織的に 協力するということになっていなければ、. 部. その教官がいなく. なったらどうなるのか。 それは極めて 不安定な体制ではないか。 従って短期留 学制度を開始するためには、 各学部がこの 制度の発足に 賛成したをえでの 全学 的な取り組みが 必要であ るということになった。 そうなると前述のように、 れが ェ クストラの負担をボランティア・べ. いうことを内容とするだけに、. こ. ー スで引き受けなければならないと. なかなか全体 りなコンセンサスが 得られず、 結 白. 論を得るまでに 長期間を要したというわけであ. る。. 短期留学制度は 日本の留学制度の 革命であ る す. レ. 扱. 口刀. 特. を 生. 学 留. ふル. う. つ. カ. ア甲. あ. じ 同 レ﹂ 生. 人. 学. 日. 本. ふル. ,つ. 扱. ,フ. ど を 生. 学 留. 5 8.
(4) べきなのかといことは、 留学生教育に 係わる基本的な 問題としてこれまでも 論 じられることが 多かった。 だいたいのコンセンサスは 留学生は覚国人であ ると. いう点からは 生活面での特別な 配慮は必要であ るにしても、 アカデミックな 教 育苗では、 別扱いをすべきではないというものであ. ろうと 9 、. ぅ. 。 現実には言葉. の面でのハンディを 勘案する必要は 認められるにしても、 表面上は日本人学生 と. 同じに扱っているというたてまえであ. る。 したがって外国人留学生も 日本人. 学生と全く同じ 講義を聴き、 同じように日本語で 行われる試験を 受け、 日本語 で 答案やレポートを 書いている。 学部単位ではこれまでも 英語で講義や 研究指導が行われる 特別コースがあ っ たが、 これは全学的なものではなく、 回 発足する短期留学制度は、 が 、 英語という覚国語で 行. しかも大学院レベルに 限られていた。 今. 全学的な規模で 学部レベルの 教育を、 日本の大学 う. というものであ るから、 その意味で革命的なもの. であ るといえるのではないか。 短期留学生の 受入れは、 いろいろなやり 方が可能であ る。 まず、 既存の各 学 部 において個々に 分散して受け 入れる方式であ る。 これは「分散受入れ. 方式」. と呼ばれている。 次に、 短期留学生向けの 特別なプロバラムを 設けて、 英語で. 教育するやり 方で、. 「特別プロバラム. 方式」. と呼ばれる. (注. 4). 分散受入れ方式でやる 限り、 従来の大学の 枠組みから大きく 逸脱することは なく、 実現が容易であ る。 現に横浜国立大学でも 分散受入れ方式による 短期留 学生の受入れは、 平成 9 年 1 0 月の特別プロバラム 方式による受入れに 先行し て 行われていた。. 短期留学制度に 寄せられる疑問 短期留学制度にはいろいろな. 点. 問題点あ る。. まず、 日本の大学が 外国語であ る英語を使用するコースを 提供することの 是 非あ るいは必然性であ る。 短期留学制度を 検討中に出た 意見として、 フランス ならフランス 語、 ドイ 、ソ なら ドイ、ソ語 、 イギリスやアメリカなら 英語という 具. 一-86. 一 -.
(5) 今 に、 先進国ならどこの 大学でもその 国の言葉で教育を 行っているのではない か。 日本ではどうして 学生の都合にあ わせなければならないのかという 出された。 2 0 人程度の ネーターと. 1. 短期留学生のために、 2 名のコーディ. 名の事務官を 置き、 各学部の教官を 動員して英語の 特別講義を開. 講 することの効率性を. あ. ( 本学の場合 ). 疑問が. 問. う. 声もあ ろう。. しかし、 種々の観点からの 疑問があ るにも 杓 わらず、. 1. り、 さらにアメリカなどからの 留学生数の不均衡. 5) を指摘する声への. (注. 0 万人計画が俳頭に. 配慮も示さざるを 得ず 、 加えて、 これを桂子に 国立大学の国際化を 図りたいす る 文部省の熱意によって、. 短期留学推進制度は 各大学で続々とスタートするこ. とになった。 次に、 英語を使用する 特別コースを 比較的少数の 短期留学生ために 新設する ことに. よ. る経済的非合理性であ る。 更にそれに付随し 留学生向けの 大学の中の. 限られた資源の 利用にあ たって、 既存の一般の 留学生が割を 食ってしまうとい う懸念があ る。 それでなくても 留学生会館への 入居に際して 国費留学生などの 制度に乗った 奨学金を受けるものが 優先されている 事実があ る。 経済状況から すれば、 国費留学生の 方が圧倒的に 有利な状況にあ るのに、 宿舎の面でも 私費 留学生より恵まれてしまうという. 矛盾が従来からもあ った。. 短期留学制度によって 来日する留学生もまた、 文部省の制度に 基づく留学生 として優遇される 現実が生まれている。 日本の留学生の 最大多数であ る私費 留 学生はいつまでたっても 困難な状況から 救われないということになる。 それではど. う. したらよいか. 短期留学推進制度は 様々な検討を 経て実施されつつあ る。 先行大学では 定着 し、 本学のように 新たな実施に 踏み切った大学でもそのための. 人材を揃え、 英. 話 によるコースを 開講した。 これから短期留学特別コースを 開設する大学も 続 尋 7. を る. わ. ざ. レ. と たヒ. ノつ. わ. 終. は. 階. 楕又 ル る. レ. て. ,ワ. 是ォ. 現 R を 桂Ⅱ. の. そ. て. も. し と た. ノ Ⅰ. つ. て. 持 を. 々と出てくるであ ろう。 この現実を踏まえるともはや 短期留学制度に 強い疑問. 7 8.
(6) ない。 短期留学制度に 伴. う. 問題点をいささかなりと 少なくして、 利点を引き出. すような対策を 講ずるほかに 選択肢はあ るまい。 まず、 短期留学制度を 重要視するあ まり、 一般の私費留学生が 割を食わない よさに留意しなければならない。 ア. なんと言っても 現在の留学生の 大部分はアジ. からの私費留学生であ る。 留学生に対する 態度のなかに 国費留学生は 国が招. 侍 したお客様であ り、 私費留学生は 勝手に 、 好きできたものであ るという心理 があ るとすれば厳しく 反省する必要があ る。 日本への留学を 振興することを 欲 するならば、 私費留学生こそ 大切にし、 私費留学生が 日本へ留学したくなるよ うな状況、 日本への留学がし 易い土壌を醸成しなければならない。 具体的な配慮としては 短期留学制度の 結果、 宿舎などの施設からますます. 般の私費留学生が 閉め出されないよう、 また短期留学生が 日本社会と触れぬ 機会を増やす 意味からも、 短期留学生をホームスティによって. 一 ぅ. 一般市民が受け. 入れるシステムを 整備する 必、 要があ る。. さらに、 財政事情厳しい 折にも 杓 わらず、 多大の配慮によって 整備された短 期留学生向けのコースの 恩恵に、 その目的を損なわない 範囲で、 日本人学生を 含めて出来る 限り多くの学生が 浴することの 出来るような 工夫をこらすべきで あ. る。 短期留学生が 特殊な囲いの 中に囲い込まれてしまうことは、. 短期留学生. 自体も望まないであ ろうからであ る。 折角スタートした 新しい形での 教育を大 学の国際化のために 最大限に生かさなければならない。 留学ということ. 最後に留学ということについてかかれた が 非常に印象的だった。. 佐古純一郎著. 言葉を紹介しょう。 私にはこの言葉. f 森有正の日記. コ. ( 朝支 社、. 1. 9 9 5). の中に出てくる 言葉であ る。 1 9 5 0. 年森有正はフランス 政府 招 鴉の留学生として 渡仏した。 当時東京大. 学の教官だった 森は、 フランス留学にリラクタントだった。 の 第一の関心事は、. むしろその頃 の森. 大学の講義の 充実、 学位論文の完成であ った。 森は欧米 留 一. 88. 一.
(7) 単 に非常に懐疑的だった。. 丁. バビロンの流れのほとりにて 山の中に森は 、. リ. ヘ 行くのが恐くてたまらなかった。. る. よさに学べることは 全部日本で学ぶことができるのだ。. 「パ. ・・・・パリ ヘ 行って、 自分のためにな. 」と書いている。. し. かし森は出発双に、 恩師渡辺一夫教授を 訪ねてフランスに 行くことが不安であ ると伝えると、 渡辺教授は「マルセイ ュ に家が並んでいるのを 見るだけでよい から行っていらっしやい」と. 言ったという. (. 丁. 森有正の日記. コ. 2 6 頁) 。. 日本に来る短期留学生たちが 日本で学びその 成果を持ち帰ることが、 短期 留 学制度の本旨であ ることは言うまでもないが、. 「日本に家が 並んでいるのを 見. る」だけでも 若い留学生にとって 人生のなかでの 得難い経験になるはずであ. る。. 近頃 では電子技術の 発達によって、 物理的な教室を 持つ大学はもはや 不要で あ. るという. Virtual University という構想も 提出され、 伝統的な意味での 外. 国 留学なども無意味になるのではないかと. 予想する向きもあ るが、 むしろ私は. これからも長い 将来に渡って、 ただ日本の空気を 吸. う. ためにというような 気楽. な 気持ちで日本を 訪れる学生があ ってもいいのではないかと 思、ぅ 。 どんな精微. な情報をインターネ、ット 上で入手するよりも、 そのほうが日本を 知ることにな るとは言えないだろうか。. (注 ). (1) 文部省学術国際局留学生課丁平成 (2) 現在以下の. 1 1. 9 年度. の国立大学で 外国人留学生. 我が国の留学生制度の 概要 コ ( 学部 ). のための英語による. 短期留学プロバラムが 実施されている。 北海道大学、 東北大学、 筑波大学、 千葉大学、 東京大学、 横浜国立大学、 名古屋大学、 京都大学、 大阪大学、 広島大学、 九州大学 (3). 日本で行. う. 教育であ るのに英語で 行. う. ことについての 是非が大いに 論じ. られた。 大学院レベルの 教育では英語による 特別コースがかなりの 国立 一. 89. 一.
(8) 大学に設けられている。 その大部分は 自然科学分野であ る。 学生制度の概要. F 我が国留. には 2 1 にコースが列挙されている。. 山. しかしここでい. う. 学部レベルの 短期留学制度は 特定の分野に 偏らず、. 広く一般の学部留学生を 対象とするものであ り、 それらの一般学生に 対 してあ えて日本において 外国語であ る英語での授業のみによ って構成さ れるコースをつくると 言う意味で今までにない 画期的なもであ るといえ よ. う. 。. 短期留学制度が 対象とする留学生は 英語圏 (0 学生とは限らないわけで あ るから英語をこ の 制度の共通語とすることは 不公平ではないかとの 議 も 当然あ る。 一方で現実を 見れば、 国際語と言い. う. るものは英語しか. ないということも 容認せざるをえない。 先般ヴェトナムで 開かれた会議 のように Fl.an)cophollenations が English] hegemlonyに抵抗する運動は 見. られるものの、 残俳ながら所詮は 蟻 榔 の 斧 たるをまめがれない。 特に最 近 のように lNTERNET が普及してくると INTERNET の言葉としての 英語支配. はますます強固になってくる. 一方であ ろう。 英語支配はやむを 得ないと. は 認めつつも英語を 母国語とし、 英語支配によって 多大の利益を 受ける. 側のアメリカ 人からの次のような 発言を聞くと 努力して英語を 使用する ことを強いられている 側は釈然としない。 それは 1997 年 9 月 25 日広島市で 日米シンポジウム」での Richlal.dJ.Wood 氏. 行われた「短期留学のための. (Dean,Yale University Divinity School, Chair,Japan-U.S.Fn. end sh め. Comlmlission) の以下の発言であ る。 Fol 。 better marketplace. or. worse,. and. infor. l n g ℡ istlc asymmetrV Ⅰ. も. tradltlon colleagues. atioll. も. language.. of valulng can. Ⅲ. echnology,. by maklnlg Engllsh. Ⅰ. he lnte Ⅱ natlonlal. the development. Sln]ce. 一. 90. 一. he Ⅱ e. has. (ln Ⅰ. global. created Ⅰ. s a. Ⅰ. a. て. e. thls. a. ts lnan)Y formls) st 「 ong. ln Japan], perhaps. asymmletry. learnl to apprec. も. of the. lnvoluntary. our. aes. ちれ. Rtlc. Japanese olles..
(9) もっとも Wood 氏は更に次のように 続けて英語を 母国語とする 国民が必 ずしも優位に 立つつもりはないとしているが、. 実際問題として 英語が国. 際 語になっている 世界での英語国民の 優位は揺るがないものと 言える。. Note is. that the Englishl that is becoming. not. any. particular. a. global language. English-not American. English ,. Queen , s@ English , or@ Indian@ English , etc , One@ observer@ argued that. this. thlan]the living. English. is. more. like. a. (5). 7. 年3. 月. has. language. langulage of any cull uIre. ち. (4) 短期留学推進に 関する調査研究協力者会議報告 て山 平成. computer. the. or. 2 8. 日. ( 文部省学術国際局長の. T 短期留学の推進につい. 要請によるもの. ). によれば米国には 43.77CV人 (1993年 ). の. 日本人留学生がいるが、 日本で学ぶ米国人留学生は 1,088 人 (19m6 年 ). に. 丁. 我が国の留学生制度の 概要. コ. すぎない。. 一. 91. 一.
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