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《修論報告》クィアの観点を導入した国語科「読むこと」のカリキュラムに関する研究

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Academic year: 2021

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(1)横浜国立大学国語教育研究 No.44(2019) 《修論報告》. クィアの観点を導入した国語科「読むこと」のカリキュラムに関する研究 吉沢夏音 1、研究の目的と構成. 践―吉田修一『Water』を教材として①. 近年、性的マイノリティの存在が可視化される. 語り手から隠されたセクシュアリティ/実践概. につれ、学校教育においても「性の多様性」をめ. 要と分析方法/結果と考察(分析の結果/「圭. ぐる問題が取り上げられるようになってきてお. 一郎」の「悩み」の具体化/他の場面における. り、学校教育でいかに「性の多様性」を取り扱っ. 読みの再編/総合考察) 第 5 章. ていくのかという議論の必要性が高まっている。 国語科教育における「性の多様性」を包摂する. 演劇的手法を用いた実践―吉田修一. 『Water』を教材として②. 実践に関する研究では、永田(2018)や木村(2017)に. 『Water』における登場人物の心情の錯綜/調査. よってフィクションを読む学習の有用性が示され. 方法と分析方法/結果と考察(信頼関係の断絶. ている。本研究でもこれに則り、文学的文章を「読. と持続/考察). むこと」の学習に注目し、国語科「読むこと」カ. 終章. リキュラムにクィアの観点を導入する際、どのよ. 本研究のまとめと課題. 本研究のまとめ/今後の課題と展望. うな実践が必要であるのかを検討することを目的 とする。. 2、研究の内容と結果 第 1 章では、クィアの観点の導入が国語科教育、. 本研究は、国語科教育で「性の多様性」を包摂 し、クィアの観点を導入した国語科「読むこと」. 特に「読むこと」の学習において有用であること. カリキュラムに必要な実践について検討すること. を、クィアという概念が持つ「規範に対して徹底. を目的とするものである。構成は以下のとおりで. 抗戦を挑み、規範が押しつけてくるカテゴリー化. ある。. や二元論を瓦解させようという指向性」(河口,. 序章. 2003)や、クィア・ペダゴジーにおける、テクス. 研究の目的と概要. 学校教育における「性の多様性」をめぐる問題. トとの対話的関係の中で自身の読み方を問いなが. /研究の目的と方法/本研究における語句の定. ら、新たな意味を作り出すという批判・批評的な. 義. 読み、また、それらの多様な解釈、他者とは異な. 第1章. クィアの観点と国語科「読むこと」の関. る解釈を支持するという「読解の実践」と、高等. 連. 学校学習指導要領における「文学国語」の「読む 「性の多様性」と国語教育の関連/クィアの観. こと」の指導事項イ、エ、カとの関連性から示し. 点と「読むこと」の関連/クィア・ペダゴジー. た。 第 2 章では、クィアの概念と教科教育との接続. における「読解の実践」 第2章. クィアの観点を導入した国語科「読むこ. を図ったカリキュラムの先行研究から国語科の内. と」カリキュラムに資する実践の検討. 容に関連付けられる性の学習の項目を挙げ、先行. 包括的性教育カリキュラムと国語科の接続/先. 実践がどのように分布しているかを整理して、ク. 行実践の分布/具体的な手立ての検討. ィアの観点を国語科「読むこと」カリキュラムに. 第3章. 「語りの空白」を活用した実践―川上弘. 導入する際に重視すべき点として、①多様な解釈. 美『神様』を教材として. が存在することを可視化すること、②性と文学の. 「語りの空白」を持つ『神様』/実践の概要/. 関係として、クィア・リーディングへの接続を視. 結果と考察(読みの揺らぎと変容/多様な読み. 野に入れること、③個人が内面化している規範を. の表出とその共存の可視化/総合考察). 問い直すことの 3 点を導き出した。. 第4章. 第 3 章、第 4 章、第 5 章では、先行実践の課題. 隠されたセクシュアリティに着目した実 99.

(2) 横浜国立大学国語教育研究 No.44(2019) に留意した 2 つの実践を分析した。. 川上弘美. “神様”. 神様. 中央公論新社, 2001,. 第 3 章では、上述の①、③に対する手立てとし. pp.9-18., (中公文庫).. て、川上弘美『神様』の語り手の性別という「語. 木村季美子. “高校国語科におけるセクシュアル・. りの空白」にクィアの観点を導入することで、学. マイノリティ教材の授業の提案: 谷村志. 習者の持つ読みの方略を問い直し、さらにそれら. 穂「雪ウサギ」を用いて”. 奈良教育大学国. を表出することで、多様な読みが存在することを. 文, 研究と教育. 2017, 40, pp.97-83. マリィ, クレア. “大学におけるクィア・スタディ. 可視化させた。 第 4 章では、吉田修一『Water』のテクスト内テ. ーズ の意 義”. 日本 教育 学会 活動 報告 書 meets. クストであるジャン・コクトー『白書』の内容を. 教育学. クィア・スタディーズ:. 参照することで、登場人物のセクシュアリティに. 〈大学教育とクィア〉に関する諸課題を考. 関するクィアの観点を導入した。ワークシートの. える. 2008, pp.1-10. マリィ, クレア. “《わたし》は何を語ることがで. 記述を、KHCoder を用いて分析し、規範を脱する ことによる読みの再編が確認できた。この実践は、. きるのか: ことばの学びにおける複合ア. クィア・リーディングにもつながる機能を持つ。. イデンティティ”. 言語教育とアイデンテ. 第 5 章では、第 4 章の活動で得られた読みの表. ィティ: ことばの教育実践とその可能性.. 出の手段、また、このような実践で発現してしま. 細川英雄編. 春風社, 2011, pp.63-74.. うホモフォビアとの向き合い方を模索していくた. 永田麻詠. “性的マイノリティを包摂する国語科授. めの手段の 1 つとして、演劇的手法の可能性を示. 業とアクティブ・ラーニング”. 公開講座. した。. ブックレット 10『インクルーシブ教育と アクティブ・ラーニング―教室のなかの多. 3、研究の成果と課題. 様性/多言語・多文化と授業づくり―』. 2018, pp.33-40.. 本研究では、クィアの観点を導入した国語科「読. Quinlivan, Kathleen & Town, Shane. “Queer. むこと」カリキュラムにおいて重視すべき点と、 具体的な手立てとして、2 つの実践を示すことが. pedagogy, educational practice and lesbian and. できた。. gay youth”. Qualitative Studies in Education. 1999, 12(5), pp.509-524.. 今後の課題としては、学習の過程で発現してし. 戸口太巧耶, 葛西真記子. “クィア・ペダゴジーを. まうホモフォビアにそれぞれが向き合うための手 立てとして、高等学校国語科のみならず、より早. 導入したカウンセリング心理学の可能性:. 期からの学習や、他教科で横断的に行われる学習、. カウンセラー養成における実践のための. 各教科の接続を考慮したカリキュラムが必要であ. 理論研究”. 鳴門教育大学学校教育研究紀. ると考えられる。学習者が安全に学びを得るため. 要. 2014, 29, pp.31-42.. にも、早期からの、知識習得に留まらない、領域. 初等中等教育局教育課程課教育課程企画室. 高等. 横断的な研究・実践の蓄積が期待される。. 学校学習指導要領解説: 国語編. 文部科学 省, 2018, 284p,. 引用・参考文献. http://www.mext.go.jp/component/a_menu/ed. Britzman, Deborah P. “IS THERE A QUEER. ucation/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/201. PEDAGOGY?. OR,. STOP. READING. 8/07/13/1407073_02.pdf, (参照 2019-1-19). STRAIGHT”. Educational Theory. 2005, 45,. 山口恭平, 田口賢太郎, 松本郁恵, 関根宏郎. "「異. pp.151-165.. 質な他者」との共生に向けて: セクシュア. コクトー, ジャン. 白書. 山上昌子訳. 求龍社,. リティの多様性の考察から". 東京大学大. 1994, 121p.. 学院教育学研究科紀要. 2011, 52, pp.21-39.. 河口和也. クィア・スタディーズ. 岩波書店, 2003,. 吉田修一. “Water”. 最後の息子. 文藝春秋, 2002,. 130p., (思考のフロンティア).. pp.167-245., (文春文庫). 100.

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参照

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