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社会科における ICT を活用した教材開発の可能性―社会科教育法の授業実践より―

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はじめに

学校現場における ICT を活用した授業の方法や可能性は、技術の進歩と機器の普及に伴っ て年を追うごとに加速度的に広まり高まっているといえるであろう。例えば、文部科学省 (2017)の調査によれば、調査項目は従来型のパワーポイント等のプレゼンテーションソフトを 活用するためのプロジェクター等の整備率ではなく、電子黒板やタブレット端末等を活用した アクティブラーニングを促進するための機材や、それらを有効活用できるような超高速イン ターネットの接続率などを含めた総合的な設備の整備の拡大を示している。また、それらの項 目は全てにおいて改善しており、学校現場における ICT 環境は日進月歩の状況であるといっ てよい(表1)。 このような教育環境の変化に対応すべく、本学の授業の中でも筆者の担当する教科教育法の 授業では ICT を活用した、学生による模擬授業の支援を実施している。特に、電子黒板を活用 した学生による模擬授業を社会科・公民科教育法Ⅲの授業で実践しており、学生たちは休み時 間等も利用し機器の操作方法を実践しながら学び、様々なアイデアを練っては自らの模擬授業 に挑戦している。 本稿では、これら学生たちの模擬授業の事例を紹介し、社会科、地歴歴史科、公民科におけ る ICT を活用した授業の可能性について分析と考察を深める。個々の事例には、学生の指導 案に従い、単元名や本時の位置づけなど実際の授業に該当する箇所がわかりやすくなるよう記 載した。実際には、中学校社会、高等学校地理歴史科・公民科のそれぞれの類似の学習テーマ

社会科における ICT を活用した教材開発の可能性

―社会科教育法の授業実践より―

村 隆

之*

Classwork Suggestions Using ICTs in Social Studies:

A Case Study of Social Studies Methodology

(SHIMOMURA Takayuki)

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に応用できるため、今後の幅広く活発な活用を期待したい。 なお、今回学生達の模擬授業を報告するにあたり、その情報の公開には学生の承諾をもらい、 多くの学生達の協力に感謝する。また、画像資料は人物の背面からのものを抽出するなどプラ イバシーに配慮した。

1.電子黒板を活用した授業

電子黒板の普及とともに電子黒板を活用した授業にも様々な可能性が期待される。また、教 科書出版会社もデジタル教科書分野の強化を図りつつある。例えば、東京書籍のデジタル教科 書では、単に資料等の図・写真・イラスト等を拡大・縮小して確認することができるのみなら ず、グラフは動画として確認できることや、グラフや図表の項目には付箋がつけられるととも に目隠しされており、生徒とともにそれぞれの項目が何を示しているか確認するなどの作業が できる(東京書籍 2012a; 2012b)。印刷されたいわゆるハードコピータイプのこれまでの教科書 と異なり、生徒と教師のインターアクティブが可能となり、教科書が受け身的なものから主体 的に参加できるアクティブなものへと変化しつつある。 電子黒板を活用し学生が実践した事例としては、まず白地図を活用した地理分野の授業があ る。電子黒板の板書機能を使用して、白地図に必要事項を書き込む、配色するなどの作業を通 じて、重要事項の確認ができる。事例1は中学校社会地理的分野の授業の一部である。 表1:平成27年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果 (6.4人/台) 6.2人/台 ・教育用コンピュータ1台当たり児童生徒数 (156,018台) 253,514台 ・教育用コンピュータのうちタブレット型コンピュータ台数 (86.4%) 87.7% ・普通教室の校内 LAN 整備率 (23.5%) 25.9% ・普通教室の無線 LAN 整備率 (81.6%) 84.1% ・超高速インターネット接続率(30Mbps 以上) (30.5%) 38.4% ・超高速インターネット接続率(100Mbps 以上) (90,503台) 101,905台 ・電子黒板の整備台数 (19.4%) 21.9% ・普通教室の電子黒板整備率 (113.9%) 116.2% ・教員の校務用コンピュータ整備率 (81.9%) 83.4% ・校務支援システム整備率 (40.1%) 43.2% ・統合型校務支援システム整備率 文部科学省(2017)(  )は前回調査(平成26年度)の数値

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事例1:中学校社会『地理的分野』 1.単元名:世界の諸地域 2.単元計画   1節 アジア州   2節 ヨーロッパ州   3節 アフリカ州   4節 北アメリカ州     ① 北アメリカの多様な自然環境     ② 多くの民族がくらす北アメリカ     ③ 世界に影響を与える生活と文化     ④ 世界をリードする大規模な産業(本時) ここでの電子黒板を活用した学習は、アメリカ合衆国の農業の適地適作についてである。電 子黒板上の白地図に、西経100度線と北緯40(37)度線を基準に地域ごとに行われている農業 を色分けして分布を解説している。これらは、気候とどのように関係しているのか絡めながら 説明しているが、模擬授業では電子黒板をもとにして、配布したプリントに農業地域を書き込 むように指示している。模擬授業では時間に制限があるため、授業者が白地図上に書き込んだ が、実際の授業では生徒とともに電子黒板上の白地図にインターアクティブに書き込んでゆく 方法も有効である。 写真1:アメリカ農業の適地適作

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電子白地図の活用は、地理的分野以外でも活用できるため、例えば歴史的分野の授業でも実 践できる。次の事例は、歴史的分野におけるインド史の授業である。歴史的に形成されたイン ドの身分制社会が現代の地域格差に如何に反映されているか、インドの経済格差を州別に色分 けしていく様子を示している(写真2)。 事例2:高等学校地理歴史『世界史B』 1.単元名:アジア・アメリカの古典文明 2.単元計画   ① インドの古典文明(本時)   ② 東南アジアの諸文明   ③ 中国の古典文明   ④ 南北アメリカ文明 模擬授業では、経済格差を州別に白地図上に色分けしていくことにより、カーストにおける 身分制度は、単に個人の貧富の差ではなく、富裕層を都市部に貧困層を遠隔地に偏在させてい ることに理解を深めている。インドの憲法上では身分差別は否定されているが、インドの長き にわたる伝統として、現代社会にも色濃く残っている様子を確認している。 他方、電子黒板は本体に付属されている白地図等の教材以外にも、取り込んだ画像を背景に して、手書きツール等を活用して書き込むことができる。以下は、中学校社会歴史的分野の事 写真2:インドの州別経済格差

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例である。 事例3:中学校社会『歴史的分野』 1.単元名:中世の日本と世界   1:世界の動きと武家政治の始まり   2:ゆれ動く武家政治と社会     ① 元軍の襲来(本時)     ② このころ都にはやるもの     ③ 行き交う海賊船と貿易船     ④ 北と南で開かれた交易     ⑤ 団結する村、にぎわう町     ⑥ 下剋上の世へ     ⑦ 今につながる文化の芽生え  歴史の教科書において、一般的に登場する元軍の襲来の様子をあらわした有名な『蒙古襲来 絵詞』の一部分であるが、実際の絵の中に元軍の兵器「てつはう」が使用されている様子も描 かれており、この戦の特徴を生徒とともに絵資料から学び取るために、画面上の絵に直接書き 込んでいる模擬授業の様子である(写真3)。歴史資料にはこのような、絵図や現物の写真等が 多くみられ、そこから歴史的事象として読み取れる事柄を、実際の画面上で書き込みながら確 写真3:蒙古襲来絵詞(竹崎季長の活躍)

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認することは、歴史的思考力や探究心あるいは、ICT を活用した資料を読み取るスキルを上達 させるために効果が高い。

2.WEB ソフトウェアを活用した授業

 Google Earth

ここでは、地理的分野における白夜を学習するためにフリーソフトウェアの Google Earth を活用している(Google 2017a)。Google Earth には、日照を表示する機能があることと、ま た時間スライダを使用すると時間を過去に遡ることと時間を先に進めることができる。これを 活用して1年間の日照を動画として視覚的に確認することができる。模擬授業では速度:1/ 3 低速:1ヶ月刻みで実行した。日本の昼夜の動画を確認した後(写真4)、北極圏および南 極圏における白夜と極夜を確認した(写真5・6・7)。画像上の地球儀を回転させると、片方 が真っ暗な極夜を経験している一方で、他方が1日中明るい白夜を経験している。日本では経 験できない現象であるがゆえに、このツールにおける視覚的に白夜・極夜を理解させる効果は 顕著なものである。実際の授業では、生徒にとっては身近ではない北極圏・南極圏に関して地 名検索を使い、例えば「南極昭和基地」を指定し、昭和基地での1年間の日照の経験を確認で きる。そこでは、日本の基地職員が体験している季節によってはほとんど昼間ないしは夜間と いう現象を垣間見ることができ、空間的な理解を深めることができる。 事例4:中学校社会『地理的分野』 1.第1編 世界のさまざまな地域    単元名:人々の生活と環境ア     ① 赤道に沿った暑い世界     ② 植物の少ない乾いた世界     ③ 季節が移り変わる世界     ④ 氷と白夜の世界(本時)     ⑤ 標高が高く空気の薄い世界     ⑥ さまざまな言語と人々の暮らし     ⑦ さまざまな宗教と人々の暮らし     ⑧ 宗教と社会のかかわり

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写真5:南極圏の確認(極夜1) 写真4:日本の昼夜の確認

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Google Earth は、他にも中学校社会における地理的分野における以下の単元の箇所でも活用 できる。 事例5:中学校社会『地理的分野』 1.第2編 日本のさまざまな地域   第1章 日本の姿     ① 日本の位置を調べよう     ② 日本と世界との時差をとらえよう     ③ 日本の領域の特色を見てみよう     ④ いろいろな見方で都道府県を探ろう(本時)     ⑤ 日本をいくつかの地域にわけよう ここでは、具体的な教科書の記述として「都道府県の境界線は,昔の国の境界線を利用して いる所が多く,なかにはいくつかの国を合わせたものもあります。富士山頂の付近のように, 都道府県の境界が一部未確定の所や,和歌山県北山村のように,飛び地の所もあります。(東京 書籍 2017: 137)」とあり、このような特殊な地形に関して、Google Earth で和歌山県北山村の ような飛び地の様子(写真8)を Google Maps(写真9)も併用しながら生徒が自ら検索しな がら探っていくことも、受け身的な地理学習から、自ら主体的に学ぶ地理学習へと繋げること が可能となる。 模擬授業では、県の境界を学ぶ上で、県を区切る線に注目させ、それがどんなところになる 写真7:南極圏の確認(白夜)

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か考えさせている。県境は主に山や川に沿って引かれていることやそうでない部分もあること を理解させるため、県境にある神社の写真や川の県境の写真、あるいは淡路島が兵庫県に入っ ている理由や和歌山の飛び地である北山村の学習をおこない、地形的にひかれたものではない 県境の理由を考えさせている。 また、同じく地理の学習において、世界のさまざまな地域を学ぶ上で、Google Earth にはさ らなる可能性がある。周りを海に囲まれた島国の日本にとって、大きな大陸の中で国境線を面 している国々の有り様は感覚的に理解が難しい。例えば、世界には国境を越えて流れる河川が 写真8:Google Earth による和歌山県北牟婁郡北山村        出典:Google(2017a) 写真9:Google Maps による和歌山北牟婁郡北山村        出典:Google(2017b)

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あり、その中でも国際河川と呼ばれる河川が複数の国家の領土を流れるとき、沿岸の国が条約 を締結してどの国の船舶でも自由に航行できるようにした河川がある。具体的には、ドナウ 川、ライン川、メコン川、ガンジス川、ユーフラテス川、ナイル川、ラプラタ川などである。 それら大きな川が国境を越えて流れていることを理解するために、上流から国際河川を Google Earth 上で川下りする、あるいは逆に川上りを経験してもよいであろう。要所要所で 拡大し細部を確認することや、ビュー機能や写真機能を使って周りの景観や名所などを写真画 像で確認しながら国を渡っていくことを可能にさせているのは、このソフトウェアならではの 魅力であり、生徒の理解力を高めることに貢献できる。

 THE TRUE SIZE OF ・・・

学校教育において一般的に慣れ親しんできた世界地図は、そのほとんどがメルカトル図法に よって描かれたものと言って良いであろう。だが、メルカトル図法による地図の最大の欠点 は、面積が視覚的に正しく表せないことである。北極や南極に近づくほど、すべてが拡大され て描かれていく。そうしたメルカトル図法の欠点をカバーするために、モルワイデ法、グード 法、ミラー法などと、様々な地図投影法が開発されてきたが、メルカトル図法ほど一般的に授 業では活用されず浸透していないのが現状である。

“THE TURE SIZE OF・・・”は、その欠点を補い、入力された任意の国を表示し、地図上の 何処へでもドラッグし、重ね合わせることができる(thetruesize.com 2017)。注目すべき点は、 このサイトの地図では、地図に描かれている国や地域が同一の大きさの比率で描かれているこ とにある。これにより、実際のサイズより拡大されがちな、ヨーロッパの国々と、拡大の影響 が少ない赤道付近の国々を正確に比較することが可能となった。 次は、世界史のインド史学習における導入部分で、このウェブサイトを活用している事例で ある。 事例6:高等学校地理歴史科『世界史B』 1.第1編 さまざまな地域世界   第3章 南アジア世界     ① 南アジアにおける文明の成立と国家形成(本時)     ② インド世界の形成

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インドの古代文明を学習する導入部分で、インド亜大陸を確認するためのこのウェブサイト の活用である。亜大陸と呼ばれることから大陸の中でも地理的に独立した広い一部分であるこ とを理解するために、インド亜大陸とヨーロッパを面積で比較し、それはヨーロッパ全体に匹 敵する大きさであることを確認している。メルカトル図法の平面図では、ヨーロッパは拡大さ れるためにインドは相対的に小さく見えるが、実際には同等規模の大きさがあり、そこで発展 した文明は、西のオリエントやヨーロッパ、そして東の中国や東南アジア諸国など世界に与え た影響が大きいことを気づかせるための取り組みである。写真にあるのはウェブサイト上で、 インド、パキスタン、ネパール、バングラデシュの4国を移動させヨーロッパと重ね合わせて サイズを比較している。実際の模擬授業では、スリランカやブータンも含まれることを説明し ているが写真10では割愛した。  NHK for School「10min. ボックス」 このウェブサイトは、日本放送協会である NHK が運営しており、NHK 教育テレビの内容 にもリンクさせ、広く一般に開放されている。コンテンツも子ども向けの内容から、NHK 教 育の各番組に関する内容のみならず、学校の先生向けの“先生用”、あるいは“電子黒板”の 写真10:インド亜大陸とヨーロッパの比較        出典:thetruesize.com 2017

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タグも用意されており、電子黒板を活用した授業用の教材なども提供している。 模擬授業を実践した学生はこの中から「10min. ボックス」と呼ばれる10分程度の動画コンテ ンツを活用し、縄文時代の授業を試みた。 事例7:中学校社会『歴史的分野』 1.第2章 古代までの日本   第2節 日本列島の誕生と大陸との交流     ① 日本列島の誕生と縄文文化(本時)     ② 弥生文化と邪馬台国     ③ 大王の時代 模擬授業では、三内丸山遺跡など縄文時代の遺跡や文化の特徴を学んだうえで、授業のまと めの箇所で「10min ボックス」のコンテンツを活用し、要点を再整理している。黒板上に書か れたさまざまな知識と10分程度にまとめられた動画を平行比較しながら、学習内容を確認し知 識の定着を図ることを狙いとしている。

3.今後の重要性と展望

佐賀新聞によれば、「全国初、教員採用試験に電子黒板」の見出しのもと、佐賀の教員採用 試験に関して、次のように述べられている。 写真11:「10min ボックス」と板書の併用授業

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佐賀県教育委員会は2014度の教員採用試験で実施する「模擬授業」に、全国で初め て電子黒板を取り入れる。ICT(情報通信技術)教育を推進する県は、本年度中に全 県立学校に電子黒板を配備する計画で、電子黒板の利活用は教員の標準的な能力と判 断した。 県教育情報化推進室などによると、2 次試験で実施している模擬授業で電子黒板を 使い、利活用の能力をみる。小学校、中学・高校、特別支援学校、養護、栄養教諭の 全区分が対象になる。導入の理由について、同推進室は「県内では電子黒板の普及率 も高まり、利活用する力は教員の基本的な能力」と説明する。(佐賀新聞 2013/5/9)  次世代を担う教員の採用に関しては、ICT 機器を活用できることは最低限の能力と考えら れ、またハード面の活用能力のみならずソフト面を活用した教材開発能力があることは、教員 の資質において必須のものとなりつつある環境があるといえる。 このような状況の中で、筆者が担当する講座においては、学生たちには次世代を担う教育者 になれるよう、電子黒板をはじめ ICT を活用した教材開発に模擬授業では挑戦するよう推奨 してる。ICT を活用した授業開発の可能性は、例えばこれまでの印刷された媒体を活用する制 限された教材でのみ授業を実践するのではなく、インターネットを活用した幅広い情報の収集 やソフトウェアなどのツールの活用も視野に入れて、教師のアイデアや発想を組み込んだオリ ジナリティの高い授業開発ができることにある。そこには当然、メディアリテラシーや情報リ テラシーに見られるような、情報を活用し精査できるスキルの獲得や倫理観の成熟も必要にな るが、他方で制限された情報やツールでは授業開発そのものに制限がかかり、権威をもつもの が発信した情報が必ずしも精確で正しいものではない ことからも、積極的に ICT を活用する ことが、自らのそのようなリテラシーの能力を高めていくことにもなる。 既に2011年の日本学術会議では、「地理教育においても知識教授中心ではなく、地理的思考力 や地理情報システム(GIS) など地図・地理空間情報を利活用できるスキルの育成が重要であ る。(2011: )」と ICT を活用した授業実践を提言しており、歴史教育においても「知識詰込 み型」の教育が歴史離れをもたらしており、従来の歴史的知識の教授に偏る教授法を改め、歴 史的思考力の育成を図るため、ICT を活用した主題学習、調べ学習、グループ研究・発表・討 論、資料・年表の収集・解読などの機会を大幅に増加する必要性を提言している。 また、電子黒板の全教室導入のみならず、全教員への iPad などのタブレットの貸与や個々

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の生徒への活用など、ICT の環境整備は進展がみられる(INTERNET watch 2017; 大阪学芸中 等教育学校 2016)。他方で、先進諸外国との比較では導入には遅れがみられることの指摘もあ るが、普及へ向けての流れは着実である(AISAKEB.com 2013)。

4.まとめ

本稿では、中学校社会科における地理的分野および歴史的分野を中心に事例を紹介し、その 有効性や分析を試みた。学生たちの実際の模擬授業では、公民的分野におけるグラフや統計 データの分析を電子黒板上に書き込むことや YouTube で直接民主制の1分程度のニュース動 画 を 比 較 し な が ら 国 内 外 の 直 接 民 主 制 に 理 解 を 深 め る 授 業 を 試 み た ケ ー ス も あ っ た (YouTube 2017)。 科目を問わず広く授業に ICT を活用することは、明治以来続けられ第二次世界大戦後の教 育改革でも十分払拭されなかった「一斉授業」の習慣が、大きく変化する可能性を秘めている。 印刷された教科書、資料集、ワークシートの使用や板書を書き写すことに終始した形式の授業 と異なり、模擬授業を設計する学生たちも思考や工夫を凝らしながら、教材開発に挑んでいる。 個々の授業開発者の個性や創造性も発揮され ICT を活用した授業や教材開発の可能性は限り なくあり、それをもとにした授業では、生徒の個性や創造性も発揮され、教師と生徒の双方に より主体的な授業の可能性が期待できるであろう。 注  例えば、かつて国家のお墨付きで発行された聖徳太子の1万円札における肖像画は現在で は他人説が強くなり取りあげない教科書も多い。また、文部科学省と経済産業省が共同で発 行した副読本:『わくわく原子力ランド』(2010)では「もし地震が起きたとしても、放射性 物質をあつかう原子炉などの重要な施設は、まわりに放射性物質がもれないよう、がんじょ うに作り、守られています。また、大きな地震が起きると原子炉が自動的に止まるしくみも そなえています。」(p24)とあるが、東日本大震災ではこの記述のようにならなかった。 文献リスト AISAKEB.com(2013)「世界中の学校で「電子黒板」が当たり前に!そして日本は・・」 http://aisakeb.com/?p=2199(2013/11/11)

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Google(2017a)“Google Earth”[MRDF]. Google(2017b)“Google Maps”.

https://www.google.co.jp/maps/place/Kitayama,+Higashimuro+District,+Wakaya-ma+Prefecture/(2017/7/26).

INTERNET watch(2017)「「生徒1人1台 iPad」の授業には、「学校用」の無線 LAN が最 適? バッファローの「学校向け機能」を確認してきた」 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1058464.html(2017/5/16). 文部科学省(2017)『平成27年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果【速報 値】に つ い て』.http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/08/1376717.htm(2017/ 6/23). 文部科学省・経済産業省(2010)『わくわく原子力ランド』東京. NHK(2017)「NHK for School 10min ボックス」

http://www.nhk.or.jp/syakai/10min_nihonshi/(2017/6/23). 日本学術会議(心理学・教育学委員会・史学委員会・地域研究委員会合同 高校地理歴史科教育 に関する分科会)(2011)『提言 新しい高校地理・歴史教育の創造 ―グローバル化に対応 した時空間認識の育成―』. 大阪学芸中等教育学校(2016)『全教室に電子黒板導入!』. https://www.osakagakugei.ac.jp/secondary/news/3192(2016/8/26) 佐賀新聞(2013)『全国初、教員採用試験に電子黒板』(2013/5/9).

thetruesize.com(2017)“THE TURE SIZE OF・・・”. http://thetruesize.com(2017/7/13). 東京書籍(2012a)『教育用パソコンソフト ICT 活用授業事例集(DVD)』東京:東京書籍株式 会社. 東京書籍(2012b)『教育用パソコンソフト体験版(DVD)』東京:東京書籍株式会社. 東京書籍(2017)『新編 新しい社会 地理』東京:東京書籍株式会社. YouTube(2017)「https://www.youtube.com/results?search_query=直接民主制」.(2017/ 6/6).

参照

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