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<論説>河原田稼吉と蒲生俊文の「産業福利の精神」について

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(1)河 原 田稼 吉 と蒲 生 俊 文 の 「産 業 福 利 の 精 神 」 につ いて. 河 原 田稼 吉 と蒲 生 俊 文 の 「 産 業福 利 の精 神 」 につ いて. 堀 目. 良. 口. 次 は じあ に 1河. 原 田稼 吉 と蒲 生 俊 文 の 同 名 論 文 「産 業 福 利 の 精 神 」. 2論. 文 「産 業 福 利 の 精 神 」 と蒲 生 俊 文 『労 働 管 理 』. 3河. 原 田 と蒲 生 にお け る 「産 業 福 利 の 精 神 」. お わ りに 注 文献. は じめ に 1925年11月 に 内 務 省 社 会 局 の 外 郭 団 体 と して 設 立 を み た 産 業 福 利 協 会 は、社 会 局 長 官 と して 会 長 に就 い て い た 長 岡 隆 一 郎(1884-1963年)が. 「産. 業 労 働 者 の た め にす る福 利 事 業 」 は 「事 業 主 」 の 「当 然 の 義 務 」1であ る と 述 べ た よ う に、 労 働 者 の 福 利 増 進 を 図 る こ とを 主 要 な 目的 の 一 つ に発 足 し た。 実 際 、産 業 福 利 協 会 会 則 第1条. に は、「本 会 ハ 工 業 災 害 ノ防止 、労 働 衛. 生 ノ改 善 及 被 傭 者 ノ福 利 ノ増 進 ヲ図 リ且 ツ労 働 法 規 ノ 円満 ナル 施 行 ヲ助 ク ル ヲ以 テ 目的 トス」 と謳 わ れ て い た2。 そ して 、 「如 何 に 良好 な る労 働 状 態 の 下 に生 産 が 実 行 され る か を実 現 す る の が傭 主 の社 会 的 義 務Socialobligationで あ る」と説 い た英 国 の 製 菓 会 社 社 長B・ シー ボ ー ム ・ラ ウ ン トリー (B.SeebohmRowntree)の. 労 働 者 福 祉 の思 想 を 産 業 福 利 協 会 に持 ち込 ん. だ の が 、 協 会 の 理 事 長 で 社 会 局 第 一一 部 長(1926年4月 37. か ら職 名 変 更 に よ り.

(2) 近畿大学法学. 第56巻 第1号. 労 働 部 長)の. 河 原 田 稼 吉(1886-1955年)と. 文(1883-1966年)で. 同理 事 で 社 会 局 嘱 託 の蒲 生 俊. あ っ た と考 え ら れ る3。. ラ ウ ン ト リ ー は1924年. に 来 日 し4、 こ れ が 切 っ掛 け と な っ て 河 原 田 と 蒲. 生 は ラ ウ ン ト リ ー の 思 想 に 強 い 関 心 を 示 し た こ と が 、 彼 らの 著 述 か らわ か る5。 の ち に 彼 ら は 、 「産 業 福 利 の 精 神 」 と名 づ け 、 ラ ウ ン ト リー の 語 っ た 思 想 を紹 介 す る こ と にな る。 す な わ ち、 二 人 の 書 い た 同名 論 文 の 精 神 」 が 、 そ れ で あ る 。 こ の 精 神 は 、1925年11月 や1936年4月. 「産 業 福 利. の産業福利協会の設立. の 協 調 会 産 業 福 利 部 の 設 立 に理 論 的 な 基 礎 を与 え た こ とか. ら、 戦 前 期 日 本 に お け る 産 業 福 利 運 動 の 重 要 な 理 念 の 一一 つ と して 位 置 づ け られ る 。 以 下 で は、 この 同名 論 文 の 実 質 的 な 執 筆 者 が 蒲 生 で あ っ た こ とを 論 証 す る と と も に、 な ぜ 河 原 田が それ を 自分 の 名 前 で 発 表 したの か な ど につ いて 検 討 して み る 。. 1河. 原 田稼 吉 と蒲 生 俊 文 の 同 名 論 文 「産 業 福 利 の 精 神 」. 河 原 田 と蒲 生 は、 それ ぞ れ 同名 の 論 文 「産 業 福 利 の 精 神 」 を 蒲 生 が 編 輯 兼 発 行 人 を 務 め る 同 じ雑 誌 『産 業 福 利 』 に発 表 して い る6。 しか も、両 者 は 内容 も酷 似 して い る。 河 原 田が 発 表 したの は1927年2月 誌 上 で あ るの に対 し、 蒲 生 は1936年5月. 号 の 『産 業 福 利 』. 号 の 『産 業 福 利 』 誌 上 で あ る。. 発 表 時 期 に着 目 して いえ ば、 一般 論 と して 、 先 に発 表 した河 原 田が 真 の 執 筆 者 で あ り、 後 に発 表 した蒲 生 は、 それ を 書 き写 したの で はな いか と考 え られ よ う。 しか し、詳 細 に検 討 す れ ば、そ うで な い こ とが わ か る。 以 下 、 これ につ いて 説 明 しよ う。 まず 、 河 原 田の 論 文 「産 業 福 利 の 精 神 」 は、 その 末 尾 に 「産 業 福 利 協 会 主 催 工 場 災 害 予 防 及 衛 生 講 習 会 に於 け る講 演 速 記 」 で あ る 旨の 断 り書 きが あ り7、実 際、1926年. 「十 月 二 十 五 日 か ら一 週 間」 開催 さ れ た 同 講 習 会 で 38.

(3) 河 原 田稼 吉 と蒲 生 俊 文 の 「産 業 福 利 の 精 神 」 につ いて. は、河 原 田が 「産 業 福 利 の 精 神 」 と い う講 習 課 目 を担 当 して い る8。 ちな み に、 蒲 生 は 同講 習 会 で は 「安 全 第 一運 動 」 と い う講 習 課 目を 担 当 した9。 問 題 は、 河 原 田の 講 習 課 目の 内容 を 誰 が 作 成 した か 、 で あ る。 残 念 な が ら、この 講 習 課 目の 正 確 な 内 容 は わ か らな い の で 、こ こで は、講 習 課 目 「産 業 福 利 の 精 神 」 と河 原 田 の 論 文 「産 業 福 利 の 精 神 」(以 下 に お い て、 河 原 田論 文 と略 記 す る場 合 が あ る。 ま た、同 様 に蒲 生 の 論 文 「産 業 福 利 の精 神 」 は蒲 生 論 文 と略 記 す る場 合 が あ る)が 同一一 で あ る と い う前 提 で 話 を 進 め る こ と に しよ うo 結 論 か らいえ ば、 河 原 田論 文 を 河 原 田の 他 の 著 作 お よ び蒲 生 の 著 作 と比 較 検 討 す れ ば、 河 原 田論 文 の 実 質 的 な 執 筆 者 が 蒲 生 で あ る こ とが わ か る。 こ こで 比 較 検 討 す る著 作 は、河 原 田の 『労 働 行 政 綱 要 』(松 華 堂 書 店 、1927 年6月)と. 蒲 生 の 『労 働 管 理 』(厳 松 堂 書 店 、1928年4月)で. あ る。 河 原. 田論 文 の 発 表 後 に刊 行 され た これ らの 著 書 に、 河 原 田論 文 と 内容 が 重 複 し た り記 述 が 類 似 す る箇 所 が 散 見 され る た めで あ る。 また 、 論 文 「産 業 福 利 の 精 神 」 が 限 られ た会 員 向 けの 雑 誌 に掲 載 され て い るの と は違 い、 これ ら の 著 書 は一般 読 者 を 対 象 と して い る点 で 、 著 者 自身 が 別 に して. 着想や情報源 は. そ の 内容 を 執 筆 した と考 え られ るた めで あ る。. 比 較 検 討 の た めの 一一 覧 表(図 表1「 河 原 田論 文 比 較 対 照 表 」 参 照)は 次 節 で 示 す が 、 こ こで 、 その 一一 覧 表 を 踏 まえ て 導 き 出 され る結 論 を 先 に示 し て お こ う。 まず 、 内容 に関 して 、 蒲 生 の 著 書 『労 働 管 理 』 が 河 原 田論 文 の 約7割(字. 数 換 算)を 含 む の に対 し、 河 原 田の 著 書 「労 働 行 政 綱 要 』 は、. そ の1割(字. 数 換 算)以 下 しか 含 ま な い こ と、 加 え て、 『労 働 行 政 綱 要 』. が 含 む その1割 の 部 分 は、 す べ て 『労 働 管 理 』 に含 まれ て い る こ とが わ か る。 その こ とか ら、 河 原 田論 文 は、 その 大 部 分 以上. 少 な くと も、 そ の7割. が 蒲 生 に よ って 執 筆 され た と考 え られ るの で 、 そ の 実 質 的 な 執 筆. 者 は蒲 生 で あ る と結 論 づ け る こ とが で き る。 な お、 河 原 田論 文 と蒲 生 論 文 39.

(4) 近畿大学法学. 第56巻 第1号. の 相 違 は、 文 体 や 若 干 の 部 分 に限 られ て い るの で 、 それ ぞ れ が 加 筆 した り 修 正 を施 した こ と に よ る もの だ と考 え られ る。 さ らに、 この 結 論 を 補 強 す る点 を3点 、 示 して お こ う。 まず 第1に. 、 河 原 田論 文 で 触 れ られ、 『労 働 管 理 』 に も記 載 が あ る2箇. 所 の 文 章 が 、1926年 の 講 習 会 以 前 に刊 行 され た蒲 生 の 別 の 著 作 に見 られ る 点 で あ る。 この2箇 所 の 文 章 は、 それ ぞ れ 河 原 田論 文 で 「日本 の 或 一一 工場 に於 け る一一 例 」(文章 番 号22お よ び23下 照 表 」 参 照)お 番 号24)と. 記 の 図表1「 河 原 田論 文 比 較 対. よ び 「英 の ラ オ ン ツ リー氏 が 先 年 日本 に参 つ た 時」(文 章. い う書 き 出 しで 始 ま る一一 節 で あ る。 前 者 は1926年9月. に刊 行 さ. れ た 蒲 生 の 著 書 『S式 労 働 管 理 法 』 に、 後 者 は1925年12月 に刊 行 さ れ た 「労 働管 理 に 関 す る一考 察 」と い う蒲 生 の論 文 に、それ ぞ れ 大 変 似 通 っ た記 述 が 見 られ る。 実 際 、 比 較 して み る と、 次 の と お りで あ る。 まず 、 河 原 田論 文 の 「日本 の 或 一一 工 場 に於 け る一一 例 」 に対 応 す る蒲 生 の 著 書 『S式 労 働 管 理 法 』 の 一一 節 は、 次 の と お りで あ る。. 職 工 は其 工 場 の 職 に安 じ、 生 を 楽 む の 風 を 生 じ、 隣 り工 場 に罷 業 が 起 つ て 宣 伝 に来 た時 に も、 自分 達 は会 社 に反 対 す る理 由が 無 い と言 ふ て 断 つ た事 が 有 つ た。 而 して 専 心 一意 会 社 に尽 し仕 事 に没 頭 して 居 た結 果 、 製 品 の 品 質 は良 好 で あ り、 且 つ 仕 事 中 に屡 々発 明 す る事 が 多 か つ た。 一一口 に発 明 と言 ふ が 、 発 明 す る に至 るの は 中 々一朝 一一 夕の工夫で は 出来 な い。 「ロ ー マ」 の 成 る は一一日に して 成 に非 ず と言 は れ て 居 る 通 りで あ る。 仕 事 を し乍 ら発 明 を す る と言 ふ 事 実 は如 何 に職 工 が 職 業 に趣 味 を 感 じて 居 るか を 示 す もの で あ る。 〔…〕 中 に 働 く人 の気 分 は根 底 か ら変 つ た。 今 迄 側 目 も振 らず に 仕 事 に没 頭 した人 は、 仕 事 よ り も先 づ 自身 の身 の 廻 りを 見 廻 し始 め た。 〔…〕 今 迄 は 自分 の仕 事 だ と信 じて居 た 仕 事 は実 は 自分 の 仕 事 で は無 40.

(5) 河 原 田稼 吉 と蒲 生 俊 文 の 「産 業 福 利 の 精 神 」 につ いて. い と感 じて 来 た。 自分 は生 活 の 為 め に只 賃 金 を 得 るの が 目的 だ と理 解  ママ コ. して来 た。 〔 …〕 自然 に品値 の低下 を来 したの は止 むを得 な い。 〔 …〕然 る に品質 低 下 で は製 品 の市 場 に於 け る声 価 を害 し会 社 の 信用 を落 す か ら、 其 処 で 検 査 係 を 増 員 して 厳 重 に検 査 を 励 行 した 。 処 が 〔 …〕検査を励 行 す る結 果 。 パ スす る物 が な くな れ ば(其 は当 然 の 結 果 で あつ た)製 品 の 数 が 揃 はな い。 然 る に一一 方 販 売 関 係 に於 て は御 得 意 との 供 給 契 約 が 有 つ て 納 入 期 限 が 定 まつ て 居 る。 此 の 期 限 に納 入 を 怠 る時 は、 相 当 の 賠 償 を 為 さな けれ ばな らぬ 。 〔…〕其 処 で 検 査 標 準 を 低 下 して 数 を 揃 へ る こ とを 計 つ た。 之 を 製 作 す る者 か ら考 へ れ ば数 を 揃 へ さへ す れ ば 予 定 の 賃 金 に有 り付 け るか ら、 わ ざわ ざ熱 心 にな つ て 優 良 品 を 作 り出 す 必 要 はな い。 検 査 を パ スす る程 度 で よ い と言 ふ こ と にな るの で 、 一 般 に製 品 の 品 質 低 下 を 来 す の は 当然 招 来 され た 結 果 で あつ た 。10. ま た、 河 原 田論 文 の 「英 の ラオ ン ツ リー氏 が 先 年 日本 に参 つ た 時 」 と い う書 き 出 しで 始 ま る 一 節 に 対 応 す る蒲 生 の 論 文 「労 働 管 理 に 関 す る一考 察 」 の 箇 所 は、 次 の と お りで あ る。. ラオ ン ツ リー氏 、 嘗 て 曰 く 我 が 社 の 製 品 が 市 場 の 競 争 に負 けて 来 た時 に、 人 員 を 減 ず るか 、 又 は賃 金 低 下 の 外 、 原 価 逓 減 方 法 が な いや う に思 ふ が 、 諸 君 名 案 あ ら ば 乞 ふ 提 示 せ よ と、 労 働 者 に計 つ た と こ ろが 、 労 働 者 は協 議 上 、 能 率 増  マ マコ. 進 法 を 考 察 して 、 よ く市 場 に 勝 つ こ と が 出 来 た 。 こ れ は 労 働 者 が 事 業 を 自 己 の 事 業 と し、 責 任 を 双 肩 に 担 つ て 居 る か ら で あ つ て 、 我 と 彼 と 一一 つ で あ る か らだ. 。11. と く に 「日 本 の 或 一一 工 場 に 於 け る 一一 例 」 は、 河 原 田 も知 って いた 可 能 性. 41.

(6) 近畿大学法学. 第56巻 第1号. の あ る ラ ウ ン トリー の話 と は違 い、 蒲 生 しか知 りえ な い 内容12で あ る こ と か ら、 河 原 田論 文 を 河 原 田が 一一 人 で 書 き上 げ た と は いえ な い明 確 な 証 拠 で あ る。 第2に 、「英 の ラ オ ンツ リー氏 が先 年 日本 に参 つ た時 」と い う書 き 出 しで 始 ま る一 節 は、 河 原 田論 文 と蒲 生 論 文 に加 え 、 河 原 田の 著 書 『労 働 行 政 綱 要 』 お よ び蒲 生 の 論 文 「労 働 管 理 に関 す る一考 察 」 に も含 まれ て い るが 、 『労 働 行 政 綱 要 』 の み 独 自の 内容 が含 まれ て い るの に対 し、 他 の3つ. は、. ほ ぼ 同 じ内 容 の 記 述 に な っ て い る こ とで あ る。 実 際、 『労 働 行 政 綱 要 』 で は、. 嘗 て 同会 社 〔ラ ウ ン トリーが 経 営 す る会 社 〕 の 製 品 が 市 場 に於 て 不 利 益 の 状 態 に陥 つ た と き に、 氏 は職 工 代 表 者 を 集 めて 我 社 製 品 は 目下 世 上 に於 て 不 利 益 の 状 態 に在 る、 世 間 一般 の 方 法 に依 れ ば人 員 淘 汰 を 為 す とか 、 賃 金 の 低 下 を 為 す とか の 外 途 が な いが 、 若 し諸 君 に名 案 あ ら ば 申 出で られ た い と 申渡 した と こ ろ、 労 働 者 は数 日協 議 した る後 各 個 人 の 生 産 能 率 を 増 加 す る方 法 を 案 出 し、 之 を 実 行 した る結 果 原 価 は非 常 に低 下 し、 遂 に市 場 に於 て 「品 質 優 良 に して 価 格 は低 廉 」 と云 ふ 名 声 を博 し、 競 争 に打 勝 つ こ とが 出来 た と云 ふ こ とで あ る。13. と記 述 され て い る が、 と くに 「労 働 者 は 数 日協 議 した る後 」 お よ び 「『品 質 優 良 に して 価 格 は低 廉 』 と云 ふ 名 声 を 博 し」 と い う説 明 は、 河 原 田論 文 や 蒲 生 の記 述 に は 見 当 た らな い14。つ ま り、 この 部 分 に 関 して、 河 原 田論 文 の 記 述 は 自著 で あ る 『労 働 行 政 綱 要 』 の 文 章 よ りも、 蒲 生 の 文 章 に近 い の で あ る。 つ ま り、 これ は、 河 原 田 に書 くこ とが 可 能 な 内容 を 、 蒲 生 が 代 わ って 書 いて い る こ とを 示 して い る。 第3に 、 河 原 田 お よ び蒲 生 が 、 と も に 「産 業 福 利 の 精 神 」 に引 用 して い 42.

(7) 河 原 田稼 吉 と蒲 生 俊 文 の 「産 業 福 利 の 精 神 」 につ いて. る菜 根 謂 の 一一 節 は、「労 働 管 理 に 関す る一 考 察 」と い う1925年 の 蒲 生 論 文 で 既 に次 の よ う に使 わ れ て い る。. 菜根謂 に 天 一一 人 を 富 ま して 以 て 衆 人 の 困 を 済 ふ 、 而 か も、 世 反 つ て 有 す る処 を 挟 ん で 以 て 人 の 貧 を 凌 ぐ、 真 に天 の 鐵 民 な る哉 と、 願 は くば、 我 邦 の 工 場 主 は、 団 体 の 有 機 的 生 命 に 自覚 して 、 天 の 鐵 民 た らざ らん こ とを 、 是 れ 労 働 管 理 の 根 底 に横 は るべ き根 本 精 神 で あ る。15. そ して 、 この 一節 の 直 前 に、 論 文 「産 業 福 利 の 精 神 」 にお いて 述 べ られ て い る 「日本 の 或 一一 工 場 に於 け る一一 例 」 お よ び 「英 の ラオ ン ツ リー 氏 が 先 年 日本 に参 つ た時 」 と い う書 き 出 しで 始 ま る一一 節 の 要 点 が 記 され 、 外 国 で あれ 日本 で あれ 「労 働 管 理 の 根 底 に横 は るべ き根 本 精 神 」 は 同 じで あ り、 ま た、菜 根 謂 が 書 か れ た 昔 も、工 業 が 発 展 して きた 今 も、そ の 「根 本 精 神 」 は変 わ らな い こ とを 蒲 生 は説 こ う と して い る。 す な わ ち、 蒲 生 は工 場 主 に 「衆 人 の 困 を 済 ふ 」 役 割 を 期 待 し、 この 役 割 を 担 お う とす る 自覚 こそ が 労 働 管 理 の 「根 本 精 神 」、 つ ま り 「産 業 福 利 の 精 神 」 だ と述 べ て い る。 加 え て 、 この 菜 根 謂 の 一一 節 は蒲 生 の 自著 「労 働 管 理 』 に は記 載 され て い るが 、 河 原 田の 自著 『労 働 行 政 綱 要 』 に は見 当 た ら な い。 この よ う に、 菜 根 謂 と 「日本 の 或 一一 工 場 に於 け る一 例 」 と ラオ ン ト リーの 思 想 を 結 び付 けな が ら、「産 業 福 利 の精 神 」を 独 自 に体 系 化 した の が 蒲 生 で あ っ た。 ま た、そ れ を 蒲 生 は 、精 緻 な理 論 を組 み立 て る の で は な く、 海 外 の 文 献 か らの 引 用 や 内外 の 実 例 を 示 しな が ら、 わ か りや す く説 いて い る。 以 上 か ら、 河 原 田論 文 は、 河 原 田の 着 想 や 記 述 が 部 分 的 に含 まれ て い る 43.

(8) 近畿大学法学. 第56巻 第1号. に せ よ 、 そ の 大 部 分 は 蒲 生 の 筆 に 負 う も の で あ り、 そ こ に お い て 、 蒲 生 は ラ ウ ン ト リー に触 発 され つ つ も、 そ の 受 け売 りで は な く、 独 自の 体 系 を 示 し、 豊 富 な 実 例 を 巧 く使 い な が ら 「産 業 福 利 の 精 神 」 を 説 こ う と し た の で あ る。. 2論. 文 「産 業 福 利 の 精 神 」 と蒲 生 俊 文 『労 働 管 理 』. この 節 で は、 河 原 田稼 吉 の 論 文 「産 業 福 利 の 精 神 」(『産 業 福 利 』 第2巻 第2号 、1927年2月. 、 所 収)と 蒲 生 俊 文 の 論 文 「産 業 福 利 の 精 神 」(『産 業. 福 利 』 第11巻 第5号 、1936年5月. 、 所 収)の 全 文 、 お よ び それ らに対 応 す. る蒲 生 の 著 書 『労 働 管 理 』(厳 松 堂 書 店 、1928年4月)の. 該 当部分 を原文. で 示 し、 それ らを 比 較 しや す い形 で 一一 覧 表 に して み よ う。 これ に よ って 、 同名 論 文 「産 業 福 利 の 精 神 」 の 大 部 分 が 蒲 生 の 執 筆 で あ る こ とが 容 易 に理 解 で き よ う。 な お、 一・ 覧 表 に お い て、 「労 働 管 理 』 の 欄 の 〔 〕 は、 該 当 す る頁 数 を 示 す 。 ま た、 河 原 田稼 吉 『労 働 行 政 綱 要 』(松 華 堂 書 店 、1927年6月)の 内容 と ほ ぼ一・ 致 す る部 分16を 下 線 で 示 し、 そ の 対 応 す る頁 数 を 河 原 田論 文 の 欄 に 〔 〕 内で 示 した。 さ らに、 比 較 しや す い よ う に、 文 章 を 適 当 に線 で 区 切 り、 段 落 お よ び 改 行 を一 部 無 視 し、 旧字 体 等 の一一 部 の表記 を改 め た。 図表1河 文章番号. 河原 田論文 (一)産. 1. 原 田論 文 比 較 対 照表 蒲生論文. 業福 利 の意 義. (一)産. 業福 利施 設 の. 産業福利協会が産業福. 意義. 利 と称 す るの は何 を 意 味 す るの で あ るか と言 ふ こ とを 先 づ 第 一 に述 べ て 置 く必 要 が 有 ら う. 工 場 人 素 の 確 認 と其 の. と思 ひ ます 、 産 業 福 利. 業 員 を 養 ひ、 相 結 合 し. と は 英 語 のIndustri一. て有機的生命活動団体. alWelfareで. あ. り. ま. して 福 利 施 設 とか 福 利. 産業福利運動は. 尊 重 に始 ま り、 如 何 に して 之 が 福 祉 を 図 り依 て 以 て 健 全 円 満 な る従. を醸成せんかの努力で あつて福利施設は其福. 44. 「労 働 管 理 」 の 該 当 部 分 〔な し 〕.

(9) 河 原 田稼 吉 と蒲 生 俊 文 の 「産 業 福 利 の 精 神 」 につ いて. 増 進 事 業 な ど \申 す の と異 な る もの で は 有 り ませ ん 、 我 邦 に於 て も. 祉増進の具体的手段で あ る。. 福利又 は福利施設 とか 1. 福 利 増 進 事 業 な ど \も 言 ひ人 に依 りて は 厚 生 施 設 な ど 申す もの もあ り ます が 要 す る に一 つ こ とで あ り ます 。. 2. 一 体 福 利 施 設 とは 如 何. 一 体 福 利 施 設 とは 如 何. 一 体 福 利 施 設 とは 如 何. な る こ とを 意 味 す る も の で あ るか と 申す に、. な る こ とを 意 味 す る も の で あ るか と言 ふ に、. な る こ とを 意 味 す る も の で あ るか 、 従 来 行 は. 先 づ 第 一 に従 来 行 はれ て 居 る意 見 を 一 覧 して 見 る必 要 が あ ら う と思 ひ ます 、 試 に二 三 の 定 義 を 挙 げ て 見 ませ う。. 先 づ 第 一 に従 来 行 はれ て 居 る意 見 を 一 瞥 して 見 る必 要 が あ ら う と思 ふ 。 試 に二 、 三 の 定 義 を 挙 ぐれ ば. れ て 居 る二 三 の 定 義 を 挙 ぐれ ば 、 〔304頁〕. 第 一 に英 国 政 府 の 与 へ た 定 義 に依 り ます と 「福 利 施 設 と は 労 働 者. 第 一 に英 国 政 府 で 与 へ た 定 義 に よれ ば 「福 利. 第 一 に英 国 政 府 の 与 へ た 定 義 に依 る と 「福 利. に対す る最善の雇傭状. 施設 とは労働者 に対す 施設 とは労働者 に対す る最善の雇傭状態を 目 る最善の雇傭状態を 目. 態 を 目的 とす る管 理 者 の 施 設」 で あ りま す. 的 とす る管 理 者 の 施 設 」で あ る、而 して 「仮. 的 とす る管 理 者 の 施 設 」とあ る、而 して 「仮. 〔485頁 〕、而 し て 「仮 令. 令其の一部は工場法其 他の法律の要求す ると. 令其の一部は工場法其 他の法律の要求す ると. こ ろで あ つ て も、 そ れ. こ ろで あ つ て も、 夫 れ. 其 の 一 部 は工 場 法 其 他 の法律の要求す るとこ 3. ろで あ つ て も、 夫 れ は 一般的最小限度を定む. は一般的最小限度を定 む る に止 ま り、 福 利 施 る に止 ま り、 福 利 施 設 設 は更 にそ の 範 囲 が 広 は 更 にそ の 範 囲 が 広 く く萄 も労 働 者 の 私 事 に 荷 も労働者の私事 に亘 亘 ら ざ る限 り健 康 、 安 ら ざ る 限 り健 康 、 安 全 、 幸 福 、 能 率 に関 す 全 、 幸 福 、 能 率 に関 す る一 切 の 事 項 を 含 む 」 る一 切 の 事 項 を 含 む 」 もの で あ る と説 明 して もの で あ る と説 明 して 居 る 。. は一 般 的 最 小 限 度 を 定 む る に止 ま り、 福 利 施 設 は更 にそ の 範 囲 が 広 く萄 も労 働 者 の 私 事 に 亘 ら ざ る健 康 、 安 全 、 幸 福 、 能 率 に関 す る一 切 の 事 項 を 含 む 」 もの で あ る と説 明 して 居 る 。 〔304-305頁. 〕. 居 り ます 。. 第 二 に ブ イ リッ ポ ヴイ ツ チの 定 義 を 見 ます と 4. 「法律 の規 定又 は雇 傭 契約の条件以上 に労働 者の経済上の地位の改 善 を 図 り、 且 つ 日常 生 活、衛生、教育、娯楽 等 に関 す る箇 人 的 の 慾. 第 二 「ブ イ リッ ポ ヴイ ツチ 」 の 定 義 を 見 る と 次 の 通 り で あ る。 「法. 第 ニ フイ リツ ボ ヴイ ッ チの 定 義 を 見 る と 「法. の 条 件 以 上 に労 働 者 の. 律の規定又は雇傭契約 の条件以上 に労働者の 経済上の地位の改善を. 経済上の地位の改良を. 図 り、 且 つ 日 常 生 活 、. 図 り、 且 つ 日常 生 活 、. 衛生、教育、娯楽等 に 関 す る個 人 的 の 欲 望 を. 律の規定又は雇傭契約. 衛生、教育、娯楽会 に 45.

(10) 近畿大学法学. 4. 第56巻 第1号. 望 を 一 層 十 分 に満 足 せ しむ る こ とを 目的 とす. 関 す る個 人 的 の 慾 望 を 一 層 十 分 に満 足 せ しむ. 一 層 十 分 に満 足 せ しむ. る企業者の永続的施設. る こ とを 目的 とす る企. 業者の永続的施設であ. で あ る」 とあ り ます 。. 業者の永続的施設であ. る 」 と あ る 。 〔305頁 〕. 〔485-486頁. る」. 〕. 第 三 に フ ラ ンケ ル 及 び フ ライ シエ ル の 著 書 を 見 ます と 「労 働 状 態 を 改 善 せ ん とす る傭 主 の. 自発 的 努 力 を 産 業 改. 5. 善 、 福 利 施 設 又 は使 用 人 に対 す る奉 仕 と言 ふ 」 と あ り ま して 「此 等 の 働 きは 傭 主 及 従 業 員 が 協 同 に又 は各 別 に 工場を彼等の単位 と し て 双 方 を 利 益 す る もの で あ つ て 法 律 又 は組 合 に よ りて 強 制 され な い もの で あ る」 と説 明 し. 第 三 に フ ラ ンケ ル 及 び フ ライ シエ ル の 著 書 に 依 る と 「労 働 状 態 を 改 善 せ ん とす る雇 主 の 自 発的努力を産業改善、. 6. 第 三 フ ラ ンケ ル 及 び フ ライ シエ ル の 著 書 を 見 る と 「労 働 状 態 を 改 善 せ ん とす る傭 主 の 自発 的努力を産業改善、福. 福利施設又 は使用人 に 利施設又 は使用人 に対 対 す る奉 仕 を 言 ふ 」 と あ り て、 「此 等 の 働 き は雇主及従業員が協同 に又 は 各 別 に工 場 を 彼 等 の 単 位 と して 双 方 を 利 益 す る もの で あ つ て 法 律 又 は組 合 に よつ て 強 制 され な い もの で あ る」 と説 明 して 居 る。. て 居 り ます 。. 今 仮 り に以 上 三 種 の 定 義 を 通 観 します れ ば下 の 如 き要 素 を 有 して 居. る こ とを 目的 とす る企. す る奉 仕 と言 ふ 」 とあ り、 「此 等 の 働 き は 傭 主 及 従 業 員 が 協 同 に又 は 各 別 に工 場 を 彼 等 の 単 位 と して 双 方 を 利 益 す る もの で あ つ て 法 律 又 は組 合 に よ りて 強 制 され な い もの で あ る」 と云 ふ 説 明 を 下 して 居 る 。 〔305頁 〕. 今 仮 り に以 上 三 種 の 定. 今 仮 り に以 上 四 種 の 定. 義を通観すれば下の如. 義を通観すれば下の如. き要 素 を 有 して 居 る。. き要 素 を 有 して 居 る こ. ります 。. と を 知 る の で あ る。 〔305頁 〕. 7. 第 一 に他 の 強 制 に拠 る もの で 無 い こ とで あ り. 第 一 、 他 の 強 制 に拠 る もの で 無 い こ とで あ. 第 一 に他 の 強 制 に拠 る もの で 無 い こ とで あ. ます 、 フ ラ ンケ ル 及 び. る。 フ ラ ンケ ル 及 び フ. る、 フ ラ ンケ ル 及 び フ. フ ライ シエ ル が 「傭 主 ラ イ シエ ル は 「雇 主 の の 自発 的 努 力 」と言 ひ、 自発 的 努 力 」 と言 ひ、. ライ シエ ル が 「傭 主 の 自発 的 努 力 」 と云 ひ、. ブイ リツ ボ ヴイ ツ チは. フイ リツ ボ ヴイ ツ チは. ブイ リツ ボ ヴイ ツチ は. 「法律 の規 定又 は雇 傭. 「法 律 の 規 定 又 は雇 傭. 契 約 以 上 に」 と言 ひ英 国 政 府 は 「仮 令 其 の 一 部 は工 場 法 其 他 の 法 律 の 要 求 す る処 で あ つ て. 契 約 以 上 に」 と言 ひ、 英 国 政 府 は 「仮 令 其 の 一部は工場法其他の法. 「法 律 の 規 定 又 は雇 傭 契 約 以 上 に」 と云 ひ、 英 国 政 府 は 「仮 令 其 の 一 部 は工 場 法 其 他 の 法. も、 夫 れ は 一 般 的 最 小 限 度 を 定 む る に止 ま り」 と言 ふ もの は福 利. 施設が傭主の任意的行. 律 の 要 求 す る処 で あつ て も、 そ れ は一 般 的 最 小 限 度 を 定 む る に止 ま 〔マ マ 〕. 律 の 要 求 す る所 で あ つ て も、 夫 れ は 一 般 的 最 小 限 度 を 定 む る に止 ま. り 「と言 ふ もの は 福 利. り」 と. 施設が雇主の任意的行. もの は福 利 施 設 が 傭 主 の任意的行為であ るこ. 〔… 〕 云 ふ 所 の. 為 で あ る こ とを 要 素 と 為 で あ る こ とを 要 素 と す る こ と に於 て 一 致 し す る こ と に於 て 一 致 し とを 要 素 とす る こ と に て 居 り ます 、 之 を 実 行 て 居 る。 之 を 実 行 す る 於 て 一 致 して 居 る、 之 46.

(11) 河 原 田稼 吉 と蒲 生 俊 文 の 「産 業 福 利 の 精 神 」 につ いて. す る に於 て 労 働 者 が 参 加 す る こ とが 福 利 施 設 た るの 性 質 を 没 却 す る で あ ら うか と申 す の に、 最 近 の 外 国 に於 け. る形式 は傭主及び従業. を 実 行 す る に於 て 労 働. る こ とが 福 利 施 設 た る の 性 質 を 没 却 す るで あ. 者 が 参 加 す る こ とが 福 利 施 設 た るの 性 質 を 没 却 す るで あ ら うか と云 ふ に、 最 近 の 外 国 に於. ら うか と言 ふ の に、 最 近 の 外 国 に於 け る形 式. は雇主及 び従業者の協. さ る ㌧ も の が 多 く、 所. け る形 式 は傭 主 及 び従 同 に よつ て 経 営 さ る \ 業 者 の 協 同 に よ りて 経 もの が 多 く、 所 謂 工 場 営 さ る ㌧ も の が 多 く、. 謂工場委員会の行ふ処. 委員会の行ふ処の仕事. の 仕 事 の 大 部 分 を 占め. の 大 部 分 を 占め るや う. 所謂工場委員会の行ふ 所の仕事の大部分を 占. るや う にな つ た の で あ. にな つ た の で あ る。 デ. め るや う にな つ た の で. り ます 、 デ イ ー マ ー の. イ ー マ ー の 著 書 に依 れ ば 「出来 る丈 け事 業 を 発 達 させ 又 同 時 に雇 主 の 恩 恵 で あ る と言 ふ 疑. あ る。 デ イ ー マ ー の 著. 等の問題等が大成功を. 大成功を成 した処 は委. 等の問題が大成功を来. 来 した 処 は委 員 会 に依 る もの で あつ て 其 委 員. した の は 委 員 会 に依 る もの で あ つ て 、 其 委 員. 会 は単 に技師又は高級. 員 会 に依 る もの で あつ て 、 其 委 員 会 は単 に技 師 又 は高 級 社 員 の み な. 会 は単 に技師又は高級. 社 員 の み な らず 、 職 工. らず職工工長及び外部. 社 員 の み な らず、職. 者 の 協 同 に よ りて 経 営. 著 書 に依 れ ば 「出 来 る. 7. に於て労働者が参加す. 書 に依 れ ば 「出 来 る丈 丈 け事業を発達 させ又 け事 業 を 発 達 させ 、 又 同 時 に傭 主 の 恩 恵 で あ 同 時 に傭 主 の 恩 恵 で あ る と言 ふ 疑 惑 を 避 くる 惑 を 避 くる為 め に職 工 る と言 ふ 疑 惑 を 避 くる 為め に職工 自身が其衝 自身 が 其 衝 に当 り、 雇 為 に職 工 自身 が 其 衝 に に当 り傭 主 は単 に指 図 主 は単 に指 図 を 為 し鼓 当 り傭 主 は単 に指 図 を を 為 し鼓 吹 す る に止 ま 吹 す る に止 ま る必 要 が 為 し鼓 吹 す る に止 ま る る必 要 が あ る」 と論 じ あ る」と論 じ又 「安 全 、 必 要 が あ る」 と論 じ、 又 「安 全 、 福 利 、 改 善 福 利 、 改 善 等 の 問 題 が 又 「安 全 、 福 利 、 改 善. 職工長及 び外部の人 さ の 人 さへ も加 はつ た も 工 、 職 工 長 及 び 外 部 の へ も加 はつ た もの で あ. の で あ る、 安 全 問 題 の. る、 安 全 問 題 の 如 き も. 如 きも其機械問題丈 け で あ る。 安 全 問 題 の 如 は或標準を採用すれば き も其 機 械 問 題 丈 け は よい が 、 安 全 問 題 で さ 或標準を採用すれば よ. 其機械問題丈 けは或標 準 を 採 用 す れ ば よい が 、 安 全 問 題 で さへ 機. 械的な度合 は極めて少 な い」 と 申 して 居 り ま す、従 つ て 之 が 発 意 者、創立者、指導者が 傭 主 で あ る こ とを 以 て 充 分 とす るの で あ り ま. へ機械的な度合は極め. いが 、 安 全 問 題 で さへ. て 少 な い 」 と言 ふ て 居 る。 従 つ て 之 が 発 意 者、創立者が雇主であ る こ とを 以 て 充 分 とす. 機械的な度合 は極めて. るの で あ る。. 少 な い」と言 つ て 居 る。 従つて之が発意者、創 立者、指導者が傭主で あ る こ とを 以 て 充 分 と す る の で あ る 。 〔305一 306頁 〕. す 。. 8. 人 さへ も加 は つ た もの. 第 二 の 要 素 と し ま して は 「労 働 状 態 の 改 善 を 目的 とす る もの 」 で あ り ます 、 フ ラ ンケ ル 及. 第 二 の 要 素 と して 「労 働 状 態 の 改 善 を 目的 と. 第 二 の 要 素 と して は 「労 働 状 態 の 改 善 を 目. す る もの 」 で あ る。 フ. 的 と す る も の 」で あ る 、. ラ ンケ ル 及 び フ ラ イ シ. フ ラ ンケ ル 及 び フ ラ イ. び フ ライ シエ ル の. エ ル の 「労 働 状 態 を 改. シエ ル の 「労 働 状 態 を. 「労. 働状態を改善せん とす. 善 せ ん とす る」と言 ひ、 改 善 せ ん とす る」 と言. 47.

(12) 近畿大学法学. 第56巻 第1号. る」 と言 ひ、 フイ リツ. ブイ リツ ボ ヴ イ ツ チの. ひ、 フイ リツ ボ ヴイ ツ. ポ ヴイ ツチ の 「労 働 者. 「労 働 者 の 経 済 上 の 地 位 の 改 良 を 図 り且 つ 日 常生活、衛生、教育、. チ の 「労 働 者 の 経 済 上 の 地 位 の 改 良 を 図 り、. の経済上の地位の改良 を 図 り且 つ 日常 生 活 、 衛生、教育、娯楽等 に 関 す る箇 人 的 の 慾 望 を 一 層 十 分 に満 足 せ しむ 8. る こ とを 目的 とす る」 と 言 ひ、 英 国 政 府 が 「最 善 の 雇 傭 状 態 を 目 的 とす る と」 言 ふ もの 皆 此 の 一 言 に尽 き る も. 足 せ しむ る こ とを 目的 とす る」 と言 ひ、 英 国. 且 つ 日常 生 活 、 衛 生 、 教 育 、 娯 楽 等 に関 す る 個人的の欲望を一層十 分 に満 足 せ しむ る こ と を 目的 とす る」と言 ひ、. 政府が 「最善の雇傭状. 英国政府が 「最善の雇. 態 を 目的 とす る と」 言 ふ もの 皆 此 の 一 言 に尽. 傭 状 態 を 目的 とす る」. き る もの と考 へ る。. も の 皆 此 の 一・言 に 尽 き. 娯楽等 に関す る個人的 の 慾 望 を 一 層 十 分 に満. の と考 へ ます 。. と. 〔… 〕 言 ふ と こ ろ の. る も の で あ る 。 〔306一 307頁 〕. 斯様な訳合か ら福利施. 9. 設 の 定 義 を 下 しま し て 、 「福 利 施 設 と は 労 働 状 態 の 改 善 を 目的 と. す る傭主の任意的施設 で あ る」 と 申 して 差 支 な い と考 へ るの で あ り. 斯 様 な 訳 合 か ら次 の 如 き定 義 を 下 す こ とが 出 来 や うか と思 ふ 。 福 利. 施設 とは労働状態の改 善 を 目的 とす る雇 主 の 任 意 的 施 設 で あ る。. 設 の 定 義 を下 して、 「福 利 施 設 と は 労 働 状 態 の 改 善 を 目的 とす る. 傭主の任意的施設であ る」 と云 つ て 差 支 な い と 考 へ る の で あ る。. ま す 。 〔486頁 〕. 〔307頁 〕. 而 して労働状態の改善. 而 して労働状態の改善. 而 して労働状態の改善. を 目的 とす る事 業 は如 何 な る もの で あ るか と. を 目的 とす る施 設 とは 如 何 な る もの で あ るか. を 目的 とす る事 業 は如. 申 し ます と、 デ イ マ ー. と云 ふ と、 デ イ マ ー は. 一 、 安 全 及 び災 害 予. デ イ マ ー の 掲 げ る所 に. の 掲 げ る処 に依 ります と 、. 防. 何 な る もの で あ るか 、 依 れ ば、. 一、安全及災害予防. 一、安全及災害予防. 二、教育. 二、教育. 二、教育. 三、休憩時及食事 四 、 社 交 的(之 は原. 三、休憩時及食事 四 、 社 交 的 、 之 は原. 三、休憩時及食事 四 、 社 交 的 、 之 は原 10. 斯様な理 由か ら福利施. 語 にSocialと. あ. り ま して 倶 楽 部 、. 音楽会、娯楽室、 競技、喫煙室、花 壇、園芸、家事指 導 ピ クニ ツ ク等 の こ とを 含 め た もの で あ り ます 。. 五、衛生及治療 六、体育 七 、 意 見 呈 出、 之 は. 従業員が各種の改. 語 にSocialと. 申. 語 にSocialと. あ. して 倶 楽 部 、 音 楽 会 、娯 楽 室 、競 技 、 喫煙室、花壇、家 事指導、園芸等の こ とを 含 め た もの. りて 倶 楽 部 、 音 楽 会 、娯 楽 室 、競 技 、 喫煙室、花壇、園 芸、家事指導、 ピ. で あ る 。). を 含 あ た もの で あ. 五、衛生及治療 六、体育 七 、 意 見 呈 出(之 は. 従業者が改良意見 を 当 局 者 に呈 出 し 得 る制 度 で あ る。). 48. クニ ツ ク等 の こ と る 。. 五、衛生及治療 六、体育 七 、 意 見 呈 出、 之 は. 従業員が各種の改 良意見を当局者 に.

(13) 河 原 田稼 吉 と蒲 生 俊 文 の 「産 業 福 利 の 精 神 」 につ いて. 良意見を当局者 に 10. 呈 出 し得 る制 度 で あ り ます 。 八、共済会 の八種を挙げて居 りま. 八、共済会 の 八 種 を 挙 げ て 居 る。. 呈 出 し得 る制 度 で あ る。. 八、共済会 の 八 種 を 挙 げ て 居 る。 〔307-308頁. 〕. す 、. 前 に上 げ た ブ イ リツ ボ ヴイ ッチ の 定 義 中 には. 前 に述 べ た ブ イ リツボ ヴイ ッチ の 定 義 中 には. 前 に上 げ た ブイ リッ ポ ヴイ ッチ の 定 義 中 に は. 経済上の改善 と其以外. 経済上の改善 と其以外. 経済上の改善 と其以外. の個人的慾望の満足 と. の個人的慾望の満足 と. の個人的欲望の満足 と. に分 けて 居 ります が 、. に分 けて 居 るが 、 福 利 施 設 は余 の 見 解 に従 へ ば 之 を 大 別 して 大 体 、. に分 けて あ る、 福 利 施 設 は余 の 見 解 に従 へ ば 之 を 大 別 して 、 一 、精神上の福利施. 福利施設 は私の見解 に 従 へ ば 之 を 大 別 して 一 、精神上の福利施 二、肉体上の福利施. 設 三、経済上の福利施. 設 の 三 種 に分 つ こ とが 出. 11. 一. 、精神上. 二、肉体上. 設. 来 る と考 へ ます 、 精 神 上 の 福 利 施 設 とは 労 働 者の精神の堕落を防 ぎ 向 上 を 図 る こ と に関 し た各種の施設であ りま す、肉体上の福利施設 と 申 します の は労 働 者 の 肉 体 の 破 損 を 防 ぎ健 〔マ マ 〕. 康の増進を図 るとこに 関 した 施 設 で あ り ま す、経済上の福利施設 と 申 しま した の は 労 働. 者の経済的改善を図 る もの で 一 方 に は経 済 的. 悲運を救済 し又は悲運 に陥 る こ とを 防 ぎ、 同 時 に他 方 に於 て は 其 向 上 と安 固 とを 期 待 す る 各種の施設であ りま す 、 而 して 此 三 者 は全 然 無 関 係 な 孤 立 した も の で は 無 く して 互 に相. 設. 三、経済上 の 三 種 に分 つ こ とが 出. 二、肉体上の福利施. 来 る と考 へ 多 年 此 分 類 に従 つ て 或 は 考 察 し或 は 実 行 して 居 る。 精 神. 三、経済上の福利施. 設 設 の 三 種 に分 つ こ とが 出. 上の福利施設 とは労働 来 る と考 へ る。 精 神 上 者の精神の堕落を防 ぎ の福利施設 とは労働者 向 上 を 図 る事 に関 した 各 種 の 施 設 で あ り、 肉. 体上の福利施設 とは労 働者の肉体の破損を防 ぎ健 康 の 増 進 を 図 る こ と に関 した 施 設 で あ り、 経 済 上 の 福 利 施 設 〔マ マ 〕. と は労 働 者 の 、 経 済 的 改 善 を 図 る もの で 一 方. の 精 神 の 堕 落 を 防 ぎ向 上 を 図 る こ と に関 した 各 種 の 施 設 で あ る。 肉 体 上 の 福 利 施 設 と は労. 働者の肉体破損を防 ぎ 健康の増進を図 ること に関 した 施 設 で あ る。 経済上の福利施設 とは. 労働者の経済的改善を. には経済的悲運を救済. 図 る もの で 、 一 方 に は. し又 は悲 運 に陥 る こ と を 防 ぎ同 時 に他 方 に於 て は其 向 上 と安 固 とを 期 待 す る各 種 の 施 設 で あ る。 其 細 目 は今 之 を. 経 済 的 悲 運 を 救 済 し、 又 は悲 運 に陥 ゐ る こ と を 防 ぎ、 同 時 に他 方 に 於 て は其 向 上 と安 固 と. 掲げないが産業福利施. で あ る。 而 して 此 三 者 は全 然 無 関 係 な 孤 立 し た もの で は無 くして 互 に相 関 連 す る もの で あ. 設 の 内 容 は之 に依 つ て 略 理 解 す る こ とが 出来 や う と思 ふ 。. を期待す る各種の施設. る 。 〔308頁 〕. 関 連 す る もの で あ り ま す 、 以 上 三 種 の もの \ 細 別 に付 て は只 今 之 を. 49.

(14) 近畿大学法学. 第56巻 第1号. 略 し度 い と思 ひ ます 、. 今回産業福利協会が開 11. 催 し ま した 処 の 講 習 会 の 題 目 は主 と して 第 二 の肉体上の福利施設 に 関 した も の で あ り ま す 。. (二)産 業 福 利 の 必 要 及. (二)産 業 福 利 施 設 の 必. 福利施設 は何の必要が. 効果 福利施設 は何の 必要が有つて之を実行. 要及効果. 有 つ て 之 を 実 行 す るの で あ るか 、 又 之 を 実 行 した な らば 如 何 な る効 果 が 有 るの で あ るか 、 福利施設が一体如何な る動 機 か ら世 の 中 に生 じて 来 た もの で あ るか と云 ふ こ とか ら述 べ る. す るの で あ るか 、 又 之 を 実 行 した な らば ドン な 効 果 が 有 るの で 有 る か と言 ふ こ とを 一 言 述 べ て 見 や う と思 ひ ます. 12. が、福利施設が一体如 何 な る動 機 か ら世 の 中 に生 じて 来 た もの で あ るか と言 ふ こ とか ら述 べ る こ と に致 しませ う、 ヘ ル クナ ー の 述 べ. る と こ ろを 窺 つ て 見 ま す れ ば 、 彼 は動 機 を 三 種 に分 け動 機 の 異 な る に従 つ て 施 設 の 種 類 も 異 な る もの で あ る との 説 明 で あ り ます 、 即 ち (一)専 ら労 働 者 の 福 利 を 増 進 す る こ とを 主 眼. 何の必要が有つて之を 実 行 す るの で あ るか 、 又 之 を 実 行 した な らば 如 何 な る効 果 が 有 るの で あ るか と言 ふ こ とを 一 言 述 べ て 見 や う と思 ふ 。 福 利 施 設 は抑 如 何 な る動 機 か ら生 じた も の で あ るか と言 ふ こ と を 考 へ る こ とが 手 始 め で 有 ら うか と思 ふ 。 へ ル クナ ー は施 設 の 種 類. こ と に す る。 ヘ ル ク ナ ー の 述 べ る と こ ろを. けて 居 る。 ヘ ル クナ ー. 見 る に、 彼 は 動 機 を 三 種 に分 け、 動 機 の 異 な る に従 つ て 施 設 の 種 類 も異 な る もの で あ る と の 説 明 を して ゐ る。 即. の 語 る と こ ろ に よれ. ち 、 〔308頁 〕. に依 つ て 之 を 三 種 に分. ば 、. (一)専 ら労 働 者 の 福 利 を 増 進 す るを 主 眼 とす る もの で あつ て 宗 教 的. (一)専 ら労 働 者 の 福 利 を 増 進 す る こ とを 主 眼. 宗教的又は人道的観念. 又 は人道的観念か ら富. 宗教的又 は人道的観念. か ら富 者 の 天 職 と して. とす る もの で あつ て 、 、. 13. 福利施設は. 、. 、. 、. 、. 、. 、. 、. とす る もの で あ つ て 、. 者 の 天 職 と して 赤 貧 洗. か ら富 者 の 天 職 と して. 赤貧洗ふが如 き多数労. ふが如 き多数労働者を. 赤貧洗ふが如 き多数労. 働 者 を 保 護 愛 撫 しよ う とす る純 然 た る慈 善 的 な 施 設 で あ り ま して 〔486頁〕 彼 の 安 価 な る 食料品の供給、食堂の 開設、適当な住宅の供 給、娯楽慰安の設備を 為 す 如 き こ とを 指 す の. 保 護 愛 撫 しや う とす る. 働 者 を 保 護 愛 撫 しよ う とす る純 然 た る慈 善 的 な 施 設 で あつ て 、 彼 の 安 価 な る食 料 品 の 供 給、食堂の開設、適当 な住宅の供給、娯楽慰 安の設備を為す如 きこ と を 指 す の で あ る。. 純然た る慈善的な施設 で あつ て 、 彼 の 安 価 な る食 物 店 、 食 堂 を 設 け 住 宅 を 供 給 し、 娯 楽 慰 安 を 与 へ る如 きを 指 す の で あ る。. 〔308-309頁. で あ り ます 。. 50. 〕.

(15) 河 原 田稼 吉 と蒲 生 俊 文 の 「産 業 福 利 の 精 神 」 につ いて. (二)企 業 者 と労 働 者 と の 共 通 的 利 益 を 目的 と. (二)企 業 者 と労 働 者 と の 共 通 的 利 益 を 目的 と. (二)企 業 者 と労 働 者 と の 共 通 的 利 益 を 目的 と. す る もの で あ つ て 企 業. す る もの で あ つ て 、 企. す る もの で あ つ て 、 企. 家が労働者の生活の改 良 に依 りて其労働能率. 業者が労働者の生活の 改良 に依つて其労働能. 業家が労働者の生活改 良 に因 りて其労働能率. の 増 進 とな るの 理 を 認. 率 の 増 進 とな るの 理 を. の 増 進 とな るの 理 を 認. 認識せ る社会改良の精. 識せ る社会改良の精神. 神 に基 く施 設 で あ り彼 の ア ツベ の 利 益 分 配 制. に基 く施 設 で あ つ て 、 彼 の エ ル ンス ト、 ア ツ ベ が 実 行 した 利 益 分 配. 、. 14. 、. 、. 、. 、. 、. 、. 識せ る社会改良の精神 に基 く施 設 で あ り ま し て ー. 〔486頁 〕、 彼 の エ ル. ン ス ト、 ア ツベ が 実 行 した 利 益 分 配 制 度 の 如 き、 時 間 短 縮 の 如 き も の を 指 して 居 るの で あ. 度 の 如 き、 時 間 短 縮 の 如 き は此 中 に含 む の で あ る。. 制 度 の 如 き、 時 間 短 縮 の 如 き もの を 指 して 居 るの で あ る。 〔309頁〕. り ます 。 (三)専 ら企 業 家 の 利 益 を 眼 中 に置 くもの で あ 、. 、. 、. 、. 、. 、. り ま して 労 働 者 運 動 の 、. 、. 、. 対 抗 策 とな る もの で あ り ます. 15. 16. 〔486頁 〕、 例 へ. ば 住 宅 を 給 して 有 るが 雇 傭 契 約 解 除 と同 時 に 家 屋 明 渡 を 為 す べ き契 約 が して あ る とか 、 或 は 貯 金 補 助 又 は救 済 制 度 を 実 行 す る に当 りて 雇 傭 契 約 解 除 の 際 には 特 典 と して 与 へ た る権 利 は一 切 之 を 失 ふ と言 ふ や うな もの で す 、 此 の ヘ ル クナ ー の 分 類 以 外 に又 は右 分 類 の 三 を 広 く解 釈 す れ ば 此 中 に入 るべ き種 々の 動 機 が 我 邦 に於 て 発 見 され ます 、 労 働 者 募 集 の 便 宜を得んが為め若 し く は 優 秀 な る名 声 を 以 て 営業上の便宜を得んが 為 あ 一・ 種 の 広 告 と して 之 を 実 行 す る もの も無 い で は 無 い、 或 地 方 に 於ては多数職工の使用 す る に堪 へ ざ る極 め て. (三)専 ら企 業 者 の 利 益 を 眼 中 に置 くもの で あ. (三)専 ら企 業 家 の 利 益 を 眼 中 に置 くもの で 労. つて労働者運動者の対. 働者運動の対抗策 とな. 抗 策 た る もの で あ る。 例 へ ば住 宅 を 給 して あ るが 、 雇 傭 契 約 解 除 と 同 時 に家 屋 明 渡 契 約 を して 居 る とか 或 は 貯 金 補 助 又 は救 済 制 度 を 実 行 す る に当 つ て 、 雇 傭 契 約 解 除 を した 時 は特 典 と して 与 へ た る権 利 を 一 切 失 ふ と言 ふ 如 き もの で あ る。. 住 宅 を 給 して あ るが 雇 傭 契 約 解 除 と同 時 に家 屋 明 渡 を 為 す べ き契 約 が して あ る とか 、 或 は 貯金補助又は救済制度 を 実 行 す る に当 りて 、 雇傭契約解除の際 には 特 典 と して 与 へ た る権 利 は一 切 之 を 失 ふ と云 ふ や うな もの で あ る。. る もの で あ る、 例 へ ば. 〔309頁〕. 此 の ヘ ル クナ ー の 分 類 以 外 に我 国 に於 て は労 働者募集の便宜を得ん が 為 、 若 くは 優 秀 な る 名声を以て営業上の便 宜 を 得 ん が 為 あ 一・ 種の 広 告 と して 之 を 実 行 す る もの も無 い で は 無 い 、 或 地 方 に於 て は多 数 職 工 の 使 用 す る に堪 へ ざ る極 め て 小 数 の 設 備 を して 居 るの で 、 実 際 は何 等 の 実 用 を 見 な い の に募 集 に際 して は. 51. 此 の ヘ ル クナ ー の 分 類 以 外 に又 は右 分 類 の 三 を 広 く解 釈 す れ ば 其 中 に入 るべ き種 々の 動 機 が 我 邦 に於 て 発 見 され る、 労 働 者 募 集 の 便 宜 を 得 ん が 為 め 、 若 くは 優 秀 な る名 声 を 以 て 営 業上の便宜を得んが為 め 一 種 の 広 告 と して 之 を 実 行 す る もの も無 い で は無 い 、 或 地 方 に於 て は多 数 職 工 の 使 用 す る に堪 え ざ る極 め て 少.

(16) 近畿大学法学. 第56巻 第1号. 小 数 の 設 備 を して 居 る の で 実 際 に は何 等 の 実. 16. 用 を 見 な い の に募 集 に 際 して は我 工 場 に は斯 く斯 くの 施 設 が あ るな ど \吹 聴 しつ \あ る も の もあ つ た と言 ふ こ と. 我 工 場 に は如 く如 くの 施 設 が あ るな ど と吹 聴 しつ \あ る も の も あ る との 事 で あ る。. で あ り ます 。. 数 の 設 備 を して 居 るの で 実 際 に は何 等 の 実 用 を 見 な い の に、 募 集 に 際 して は 我 工 場 に斯 く 斯 くの 施 設 が あ る な ど \吹 聴 しつ \あ る者 もあ つ た と云 ふ こ とで あ るが 、 実 に寒 心 の 至 り で あ る と 思 ふ 。 〔309 一310頁. 福利施設の元祖 とも言. 福 利 施 設 の 元 祖 と も称. 福 利 施 設 の 元 祖 と も云. ふ べ き ロ バ ー ト、 オ ー エ ン 〔494頁 〕 が 一 八. す べ き英 の ロバ ー ト ・. ふ べ き 英 の ロ バ ー ト、. オ ー エ ンが 一 八 一 六 年. オ ー エ ンが 一 八 一 六 年. 一 六 年 に発 行 した 「新. に発 行 した 「新 社 会 観 」 に述 べ た 処 を 見 れ ば 、 「諸 君 の 無 生 の 機 械 の 状 態 に対 して 適 当 な 注 意 を 払 ふ こ とが 夫 れ 程 有利な結果を生ず るも の とす れ ば、 同 様 な 注. に発 行 した 「新 社 会 観 」 に述 べ た 所 を 見 れ ば 、 「諸 君 の 無 生 の 機 械 の 状 態 に対 して 適 当 な 注 意 を 払 ふ こ とが 夫 れ 程 有利な結果を生ず るも の とす れ ば 、 同 様 な 注. 意 を モ ツ ト驚 くべ き組 織 を 有 す る貴 君 の 生 き た 機 械 に対 して 払 ふ ご とが 必 要 で あ ら う、 経 験 か ら私 の 信 ず る処 に 依 れ ば 其 の 為 あ に使 つ. 社 会 観 」 に述 べ た 処 を 見 れ ば 「諸 君 の 無 生 の 機 械 の 状 態 に対 して 適 当 な 注 意 を 払 ふ こ とが. 夫れ程有利な結果を生 ず る もの とす れ ば 同 様 な 注 意 を モ ツ ト驚 くべ き組 織 を 有 す る貴 君 の 生 きた 機 械 に対 して 払 ふ こ とが 必 要 で あ ら う、 経 験 か ら私 の 信 ず る処 に依 れ ば 其 の 為 め に使 つ た 諸 君 の 時 間 や 17. 〕. 資の五、十、十五パー セ ン ト は 愚 か 、 多 くは. の五、十、十五パーセ. 意 を モ ツ ト驚 くべ き組 織 を 有 す る貴 君 の 生 き た 機 械 に対 して 払 ふ ご とが 必 要 で あ ら う。 経 験 か ら余 の 信 ず る所 に 依 れ ば其 の 為 に使 つ た 諸 君 の 時 間 や 費 用 は、 智 識 に依 つ て 行 つ た な らば 其 投 資 の 五 、 十 、 十 五 パ ー セ ン トは 愚. ン ト位 で は 無 い 五 十. か 、 多 くは五 十 パ ー セ. 五 十 パ ー セ ン トか ら百 パ ー セ ン トも回 収 が 出. パ ー セ ン トか ら 百 パ ー. ン トも回 収 が 出来 る も. セ ン トも回 収 出来 る も. の で あ る 。」 と 述 べ て. 来 る もの で あ る」 と述. の で あ る 」と述 べ て 居. 居 る。 オ ー エ ンの 福 利. べ て 居 り ます 、 オ ー エ. る。 オ ー エ ンの 福 利 施. ンの 福 利 施 設 はパ ター. 設 は パ タ ー ナ リス チ ツ. ナ リス チ ツ ク 、 即 ち 恩. ク即 ち恩 情 主 義 か ら出 発 した もの で あ る けれ ど も、 当 時 労 働 者 の 工. 施 設 はパ ター ナ リスチ ツ ク即 ち恩 情 主 義 か ら 出 発 した もの で あ る け れ ど も、 当 時 労 働 者 の. 費用は真実の智識 に依 りて 行 つ た な らば 其 投. 情 主 義 か ら出 発 した も の で あ ります けれ ど. た諸君の時間や費用 は 、 真 実 の 智 識 に よつ て 行 つ た な らば 其 投 資. 〔マ マ 〕. 工場生活 は荒廃甚 しき. も、 当 時 労 働 者 の 工 場 生 活 は 荒 廃 甚 し き に拘 らず 労 働 者 の 問 題 に付 て は何 等 顧 る処 が 無 か つ た 傭 主 階 級 に向 つ て. 場 生 活 は荒 廃 甚 しき に 拘 らず 労 働 者 の 問 題 に か つ た 、 雇 主 階 級 に向 つ て 打 算 的 に も亦 有 利. に拘 らず 、 労 働 者 の 問 題 に就 て は何 等 顧 る所 が無かつた。傭主階級 に向 つ て 打 算 的 に も亦 有 利 な こ とを 示 して 工. 打 算 的 に も亦 有 利 な ご. な こ とを 示 して 工 場 機. 場機械 に対す る経済の. 付ては何等顧 る処が無. 52.

(17) 河 原 田稼 吉 と蒲 生 俊 文 の 「産 業 福 利 の 精 神 」 につ いて. とを 示 して 工 場 機 械 に. 械 に対 す る経 済 の 見 地 を 彼 の 所 謂 生 きた 機 械 即 職 工 に向 け させ よ う. 見 地 を 彼 の 所 謂 生 きた. 職 工 に向 け させ よ う と. と した もの で あ つ た 。. る 。. した も の で あ り ま す 、. 度 々言 へ る如 く工 場 人 素 を 捕 へ て 生 きた 機 械 と言 ふ が 如 き は人 格 的 立 場 に立 つ もの ㌧断 然 排 撃 す べ き もの で あ る が 、 之 に向 つ て 充 分 な る考 慮 を 払 ふ べ き こ と を 主 張 す る点 を 味 はな けれ ばな らぬ と思 ふ 。 以上述べた様な こと を 概 括 して 何 故 に吾 々. 以上述べた様な事を 概 括 して 何 故 に吾 々 は. 対す る経済の見地を彼 の 所 謂 生 きた 機 械 即 ち. 以 上 述 べ ま した 様 な こ とを 概 括 しま して 何. 17. 故 に吾 々 は福 利 施 設 を 実 行 す る必 要 が あ るか と言 ふ 問 に答 へ や う と 思 ひ ます 。. 機 械 即 ち職 工 に向 け さ せ よ う と した もの で あ. 福利施設を実行す る必 要 あ りや を 菰 に述 べ て 置 き た い 。 〔310頁 〕. は福利施設を実行す る 必 要 あ りや の 問 に答 へ や う と思 ふ 。. 第一は人道上の必要で. 第 一 は人 道 上 の 必 要 で. 第一. あ り ます 、 ヘ ル クナ ー. あ る。 ヘ ル クナ ー が 第. ヘ ル クナ ー が 第 一 に掲. が 第 一 に掲 げ た 如 き動 機 は之 か ら出 発 す るの で あ る と考 へ ます 、 ギ ル マ ンの 言 を 引 用 し ま. 一 に掲 げ た 如 き動 機 は. げた 如 き動 機 は之 か ら 出発 す るの で あ る、 ギ ル マ ンの 言 を 引 用 す れ. す れ ば 「傭 主 の 態 度 は. 『雇 主 の 態 度 は 明 白 に 道義的で、理性的で、 而 して 協 和 的 で あ つ て 而 して 其 精 神 は職 工 に. ば 「傭 主 の 態 度 は 明 白 に道 義 的 理 性 的 で 、 而 して 協 和 的 で あ つ て 而 か も其 精 神 は 職 工 に対 して 敬 愛 的 同 情 で 無 け. 対 して敬愛的同情で無. れ ば な らぬ 」 とあ る。. けれ ばな らぬ 』 とあ り 猶 亦 『従 業 員 は第 一 に 人 間 で あ り、 次 に公 民 で あ り而 して 終 り に職. 尚亦 「従 業 員 は第 一 に 人 間 で あ り、 次 に公 民. 工 で あ る」 とあ る。 労. 労 働 者 は 同 胞 で あ る、. る」 とあ り ます 、 労 働. 働 者 は我 等 の 同 胞 で あ. ロ ー ン ツ リー の 言 ふ 如. 者 は同 胞 で あ り ます 、. るの で あ る。 ラオ ン ツ. ラ オ ン ツ リー の 言 ふ 如. く 「工 業 は我 々の 社 会 生活の福祉を増進す る 為 に存 在 す る もの で あ つ て 、 何 人 を も害 して. め に存 在 す る もの で あ つ て 何 人 を も害 して は. リー の 言 ふ 如 く工 業 は 我 々の 社 会 生 活 の 福 祉 を 増 進 す る為 め に存 在 す る もの で あ つ て 何 人 を も害 して は な らな い. な らな い 当 然 の 社 会 的. 当然の社会的義務を有. 義 務 を 有 す る もの で あ る以 上 は我 同 胞 が 或 は. す る もの で あ る以 上 は. 負 傷 し或 は疾 病 に罹 り. は 疾 病 に罹 り又 は 品 性. 明 白に道義的で理性的 で 、 而 して 協 和 的 で あ 〔マ マ〕. つ で 而 して 其 精 神 は 職 工 に対 して 敬 愛 的 同 情 で 無 けれ ば な らぬ 」 とあ り ます 、 猶 亦 「従 18. 業 員 は 第 一・ に人 間 で あ り、 次 に公 民 で あ り而 して 終 り に 職 工 で あ. く工 業 は我 々の 社 会 生. 活の福祉を増進す る為. 之 れ か ら 出発 す る もの で あ る と考 へ る。 ギ ル. マ ンの 言 を 援 用 す れ ば. 我同胞が或は負傷 し或. 53. 人道上の必要. で あ り 、 而 して 終 り に 職 工 で あ る」 とあ る。. はな らな い当 然 の 社 会 的 義 務 を 有 す る もの で 」 あ る以 上 は、 我 同 胞 が 或 は 負 傷 し、 或 は 疾 病 に罹 り、 又 は 品 性 の 堕 落 を 来 し、 経 済 的.

(18) 近畿大学法学. 第56巻 第1号. 又 は品 性 の 堕 落 を 来. の 堕 落 を 来 た し経 済 的. し、 経 済 的 悲 運 に 会 し、 個 人 的 に又 は社 会 的 に悲 惨 な る環 境 に拠 棄 され て 居 る儘 に見 過 こす こ とは 出 来 な い筈. 悲 運 に会 し、 個 人 的 に 又 は社 会 的 に悲 惨 な る 環 境 に拠 棄 され て 居 る 儘 に見 過 ごす こ と は出 来 な い 筈 で あ る。 菜 根. で あ り ます. 諦 に、 天 富 三テー 人 三以 テ済 三. 〔487頁 〕、. 菜根諌 に 天 富 マソテー 人 ヱ以 テ済 フ 18. 衆 人 之 困 三而 カモ世 反 ツテ. 衆 人 之 困 ヱ而 カモ世 反 ツテ 挟 じデ所 侑 スル以 テ礎. 挟 ζテ所 侑. 人 之 貧ヱ真 二天 之 鐵. スル以 テ凌 グ. 人 之 貧三真 二天 之 鐵 民 ナル哉 、. とあ り ます の は正 に此 問 題 に触 れ る処 が 有 る の で あ り ます 苛 も同 胞 た る人 の 長 とな り多 数 者 を 率 ゐて 事 業 に当 ら る \もの は 此 の 心 を 必 要 とす るの で あ り ま. 民 ナル哉. とあ るの は正 に此 問 題 に触 れ る処 が あ るの で あ る。 萄 も同 胞 た る人 の 長 とな り多 数 者 を 率 い て 事 業 に当 る もの は 此 の 心 掛 を 必 要 とす る. 悲 運 に会 し、 個 人 的 に 又 は社 会 的 に悲 惨 な る 環 境 に抱 棄 され て 居 る 儘 に見 過 ごす こ と は出 来 な い筈 で あ る、 菜 根 諌 に、 天 富 三シテー 人 三以 テ済 三 衆 人 之 困 ヱ而 カモ世 反 ツテ 挟 プ 所Z有 スル以 テ凌 グ. 人 之 貧三真 二天 之 鐵 民 ナル哉. とあ るの は正 に此 問 題 に触 れ る所 が 有 る、 苛 も同 胞 た る人 の 長 とな り、 多 数 者 を 率 ゐ て 事 業 に当 る者 は 此 の 心 を 必 要 とす るの で あ る。 〔310-311頁. 〕. の で あ る。. す 。. 第二は経済上の必要で. 第二は経済上の必要で. あ り ます 、 労 働 力 保 全. あ る。 労 働 力 保 全 の 事. の事は個人企業経済上 より見て将又国民経済. は個人企業の経済上 よ 企 業 経 済 上 よ り見 て 将. 上 よ り見 て 最 大 切 とす る処 で あ り ます 、 ギ ル マ ンは 「若 し も国 民 が. 19. り将 亦 国 民 経 済 上 よ り 大 切 とす る処 で あ る。 ギ ル マ ン は 『若 し も国. 第二 経済上の必要 労働力保全の事は個人 又 国 民 経 済 上 よ り見 て 最 も大 切 とす る所 で あ る 。 ギ ル マ ン は 「若 し. 民が世界競争 に於て其. も国民が世界競争 に於. 世界競争 に於て其地位. 地 位 を 保 ち且 つ 真 実 の. て 其 地 位 を 保 ち且 つ 真. を 保 ち且 つ 真 実 の 内 国 的 福 祉 を 所 有 し度 いな. 内国的福祉を保有 し度. 実の内国的福祉を保有. い な らば 労 働 人 口の 健. し度 いな らば 労 働 人 口. ら ば 労 働 人 口1abour. 康 と力即 ち労働者の唯. (labourpopulation) の健康 と力即 ち労働者 の唯一の身体的資本. 代 に少 くも減 損 せ ず に 維 持 しな けれ ばな らな. よ り時 代 に少 くも減 損 せ ず に維 持 しな けれ ば な らな い 」 と言 つ て 居 る。 此 問 題 に付 て 余 り に近 眼 な 処 の 工 業 主 は. い 」と 申 し て 居 り ま す 、. 職工が疾病 に罹れば健. 此 問 題 に付 て 余 りに近 眼 な 処 の 工 業 主 は職 工 人 と取 り替 へ れ ば 差 支 へ は無 い、 不 具 にな れ. 康 な 人 と取 り替 へ れ ば 差 支 へ は無 い 、 不 具 に なれば満足な身体の人 を 使 へ ば よい な ど \考 へ る人 も あ るか も知 れ. ば満足な身体の人を使. ぬ が 、 焉 ん ぞ 知 らん 、. populationの. 健 康 と. 力 即 ち労 働 者 の 唯 一 の 身 体 的 資 本physical capitalを. 時 代 よ り時. が疾病 に罹れ ば健康な. 一・ の身体的資本を時代. 54. (physicalcapital)を. 時 代 よ り時 代 に少 くも 減 損 せ ず に維 持 しな け れ ば な らな い 」と言 ふ 。 此 問 題 に就 て 余 り に近 視 的 な 工 業 主 は、 職 工. が疾病 に罹れば健康な 人 と取 り替 へ れ ば 差 支 へ は無 い 、 不 具 にな れ. ば満足な身体の人を使 へ ば よ い な ど \考 へ る.

(19) 河 原 田稼 吉 と蒲 生 俊 文 の 「産 業 福 利 の 精 神 」 につ いて. へ ば よい な ど \考 へ る. 此の産業廃兵の負担は. 人 もあ り ませ うが 、 焉 ん ぞ 知 らん 此 の 産 業 廃 兵 の 負 担 は社 会 全 体 が 背 負 ふ て 居 るの で あ り ま して 種 々の 社 会 問 題 とな つ て 其 工 業 主 も亦 間 接 に幽 霊 を 背 負 ふ て. 社会全体が背負ふて居 るの で あ つ て 種 々の 社 会 問 題 とな つ て 其 工 業 主 も亦 間 接 に幽 霊 を 背 負 つ て 居 るの で あ る。 今 日直 に具 体 的 の 悪 結 果 が 面 前 に現 出 しな く と も幾 年 の 後 困 難 な 問 題 に逢 着 して 経 営 の 困 難 を 招 来 す るの で あ る。 今 一 例 を 挙 げ て 見 るな らば 労 働 者 募 集 と 言 ふ こ とが 今 日の 工 業 に採 つ て は仲 々重 い問 題 にな つ て 居 ら う。 募 集 根 拠 地 な る もの が あ つ て も、 募 集 地 の 寿 命. 居 るの で あ ります 、 今 日直 に具 体 的 な 悪 結 果 が 面 前 に現 出 しな くと も幾 年 の 後 困 難 な 問 題 に逢 着 して 経 営 の 困 難 を 招 来 す るの で あ り ま  マ マ コ. ず 、今 一 例 を 挙 げ て 見 ます な ら ば労 働 者 募 集 と言 ふ こ とが 今 日の 工 業 に採 りて は 中 々大 切 な 問 題 で あつ て 工 場 に 於 て 働 くべ き職 工 を 工 場 に集 め る こ とが 特 殊 の 優 越 な る事 情 に幸 さ 19. れ る場 合 の 外 は中 々重 い 問 題 にな つ て 居 り ま せ う、 募 集 根 拠 地 な る もの が あ つ て も募 集 地 の 寿 命 な る もの が 有 つ て 永 年 継 続 し得 る こ と が困難なのであ りま す 、 従 つ て 中 には 転 々 新 募 集 地 を 求 め 或 は募 集 員 が 入 り乱 れ て 募 集 戦 を 行 ふ や うな 有 様 に な つ て 来 た に は充 分 の 理 由が 無 けれ ばな り ま せ ん 、 之 は ホ ンの 一 例 で あ り ます が 、 斯 様 な 具 合 に個 人 企 業 経 済 の 上 か ら 申 して も種 々の 困 難 損 失 を 生 じて 参 る の で あ り ます が 国 民 経. な る もの が あ つ て 永 年 継 続 し得 る こ とが 困 難 にな つ て 、 中 には 却 て 新募集地を求め、或は 募 集 員 入 り乱 れ て 募 集 戦 を 行 ふ や うな 有 様 に な つ て 来 た に は充 分 の 理 由 が 無 けれ ば な ら ぬ 。 之 は ホ ンの 一 例 で あ るが 、 斯 様 な 具 合 に 個人企業経済の上か ら 申 して も種 々の 困 難 損 失 を 生 じて 来 るの で あ るが 、 国 民 経 済 全 体 と して 考 へ るな らば 誠 に 捨 て 置 き難 い 大 切 な 問 題 で あ る。. 済 全 体 と して 考 へ ま し て も誠 に捨 て 置 き難 い 大切な問題であ りま す、従つて労働力保全. 55. 者 もあ るが 、 焉 ん ぞ 知 らん 此 の 産 業 廃 兵 の 負 担 は社 会 全 体 が 背 負 ふ て 居 る の で あ つ て、 種 々の 社 会 問 題 とな つ て 其 工 業 主 も亦 間 接 に 幽 霊 を 背 負 ふ て 居 るの で あ る。 今 日直 に具 体 的 な 悪 結 果 が 面 前 に現 出 しな くと も幾 年 の 後 困 難 な 問 題 に逢 着 し て、経営の困難を招来 す るの で あ る。 個 人 企 業 経 済 の 上 か ら種 々の 困 難 損 失 を 生 ず るの み な らず 、 国 民 経 済 全 体 と して 考 へ て も誠 に捨 て 置 き難 い大 切 な 問 題 で あ る、 従 つ て 労 働 力 保 全 維 持 の 為 に各 種 の 福利施設が経済上の見 地 よ り考 へ て 其 必 要 が あ る。 〔311-312頁〕.

(20) 近畿大学法学. 第56巻 第1号. 維 持 の 為 め に各 種 の 福 19. 利施設が経済上の見地 よ り考 へ て 其 必 要 が あ るの で あ り ます 。. 個人企業経済の上か ら 個人企業経済の上か ら 個人企業経済の上か ら 申して此福利施設が大 申 して此福利施設が大 福利施設が大体 に於て 体 に於 て 如 何 な る結 果 体 に於 て 如 何 な る結 果 如何な る結果を招来す を 招 来 す るで あ ら うか と 申す の に、 従 来 之 に 対 して 述 べ ら る \処 の もの は 大 凡 次 の 如 き も. を 招 来 す るで あ ら うか と言 ふ に、 従 来 之 に付 て 述 べ ら る \処 の もの は 大 凡 次 の 如 き もの で. るで あ ら うか 、 従 来 之 に対 して 述 べ ら る \所 の もの は 大 凡 次 の 如 き. の で あ り ます 、. あ る。. 第一 労資協調 ワ ト キ ン スの 語 を 援 用 す れ ば 「之 等 の 計 画 の 行 は れ た る工 場 に於 て は必. 第 一 は労 資 の 協 調 で あ り ま す 、 ワ トキ ン ス. の 語 を 援 用 し ます れ ば 「之 等 の 計 画 の 行 は れ た る工 場 に於 て は必 ず. しも産業不安又 は紛議 を 全 然 滅 失 す る に は至 らな か つ た し又 職 工 中. 第 一 は労 資 の 協 調 産 業 平 和 で あ る。 ワ トキ ン ス教 授 の 語 を 援 用 す れ ば、 『之 等 の 計 画 の 行 はれ た る工 場 にて は 必 ず し も産 業 不 安 又 は 紛 議 を 全 滅 す る に は至 らな か つ た し、 又 職 工. には恩情主義的施設 と 中 には恩情主義的施設. 20. して 排 斥 す る者 も あつ た が 、 兎 も角 も工 業 主 と使 用 人 との 間 を 協 調 せ しめ た 事 は 明 で あ. と して 排 斥 す る者 もあ つ た が 、 兎 も角 も工 業. 主 と使 用 人 との 間 を 協 調 せ しめ た る は明 か で る 」と 申 し て 居 り ま す 、 あ る」 と あ る。 言 ふ 迄 申す 迄 も無 く使 ふ 人 と も無 く使 ふ 人 と使 はれ 〔マ マ 〕 使 はれ る人 の 間 に利 る人 との 間 に利 害 相 容 害相容れ ざる観念が著 れ ざ る観 念 が 著 し くな し くな つ て か ら両 者 に つ て か ら両 者 に相 争 ふ 相 争 ふ の 気 分 を 生 ず る の 気 分 を 生 ず るの は 自 の は 自然 の 勢 で あ り ま 然 の 勢 で あ るが 、 然 し す が 、 然 し乍 ら実 際 上 乍 ら実 際 の 状 況 と して の 状 況 と致 し ま して は は 双 方 相 協 和 一 致 して 双 方 相 協 和 一 致 して 事 事 業 の 為 め に熱 中 す る 業 の 為 め に熱 中す る時. が双方共 に最 も幸福な 時 で あ り ます 、 使 ふ 人 が 使 は れ る人 に成 り切 つ て 人 を 使 ひ、 使 はれ る人 が 使 ふ 人 に成 り切 つ て 働 くこ とが 出 来 る こ とは 決 して 空 想 で は 無 い と考 へ るの で あ り ます 、 両 者 が 其 儘 に事. もの で あ る。. ず しも産業不安又 は紛 議 を 全 然 滅 失 す る には 至 らな か つ た し、 又 職. 工中 には恩情主義的施 設 と して 排 斥 す る者 も あ つ た が 、 兎 も角 も工 業 主 と使 用 人 との 間 を 協 調 せ しめ た 事 は 明 か 一. で あ る」 とあ る。 言 ふ. 迄 も無 く使 ふ 人 と使 は れ る人 との 間 に利 害 相 容 れ ざ る観 念 が 著 し く な つ て か ら両 者 に相 争 ふ の 気 分 を 生 ず るの は 自然 の 勢 で あ るが 、 然 し乍 ら実 際 上 の 状 況 と して は、 双 方 相 協 和 一 致 して 事 業 の 為 に熱 中 す る時 が 双 方 共 に最 も 幸 福 な 時 で あ る、 使 ふ 時が双方共 に最 も幸福 人 が 使 は れ る人 に成 り な 時 で あ る。 即 ち団 体 切 つ て 人 を 使 ひ、 使 は に帰 入 統 合 され た 時 で れ る人 が 使 ふ 人 に成 り あ る。 使 ふ 人 が 使 はれ 切 つ て 働 くこ とが 出 来 る人 に成 り切 つ て 人 を る こ とは 決 して 空 想 で 使 ひ、 使 はれ る人 が 使 は 無 い と考 へ るの で あ ふ 人 に成 り切 つ て 働 く る。 両 者 が 其 儘 に事 業 こ とが 出 来 る こ と は決 其 もの に融 合 して 行 く して 空 想 で は無 い と考 こ とが 事 業 遂 行 上 最 も へ るの で あ る。 両 者 が 大 切 な 基 礎 で あ る。 勿. 56.

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