電磁石の研究
~ポリエステル線をたくさん巻いたほうが強い電磁石ができるのか。~
松本市立安曇中学校 2学年 □□ □
1 研究の動機
1年の時は永久磁石の研究を行いました。そして次のことがわかりました。
①磁力線はN極から出てS極に至ること。
・棒磁石の周りに置いた小さな方位磁針は磁力線の向きを表している。
②磁力線の混んでいるところは力が強く働く。
・磁力線はN極・S極付近では混んでいる。
・磁石につく鉄などはN極・S極に近いほどくっつく力は大きくなる。
【磁力線の向きを調べる実験】
2年になって、3年生から次の実験を見せてもらう機会がありま
した。
○電気ブランコの実験<3年生と共に> 実験1 (1)電流のまわりの磁力線を確かめる実験 実験2 (2)コイルにより強い磁界を作る実験 実験3 (3)鉄心を入れて磁力線を強める実験 実験4 ○小さい方位磁針を使った実験 実験5 ○中央部に大きな方位磁針を置く実験 2013/8/26 実験6 (4)電流を少しずつ変えると中央においた方位磁針の角度はどの ように変化するか調べる実験 実験7 ○コイルを南北方向に配置した実験 2013/8/26 実験8 (5)空芯コイルに比べて鉄心入りのコイルは強い磁石になることを 確かめる実験 実験9 (6)鉄心入りコイルの電流を変えると砂跌のつき方はどう変化する か確かめる実験 実験10 (7)鉄心入りコイルに流す電流とコイルの温度の上昇の関係はどう なっているか。 実験11【実験に用いた電気ブランコ】
【実験に用いた電源装置】
【電気ブランコに加える電圧】
【電流を逆に流す実験】
実験1 電気ブランコの実験<3年生と共に>
電気ブランコは、磁界の中に電流を流したときにどのよう力が働くか調べる有名な実験装置です。
実験は最初、磁石はN極を上に
して、電流も+-端子に書いて
あった通りに接続してどちらに
ブランコが振れるか確かめた。
磁石の奥の方にブランコは振れ
た。
二番目の実験では、電流を流
す方向を逆にした。一番目とは
逆の動きになった。
三番目の実験では電流は二
番目のままで、磁石を逆にした。
こうすると二番目の実験の反対
側に動いた。つまり、一番目の
動きと同じになった。
更に四番目の実験では電流
の向きを変えた、つまり一番目
の実験と同じ向きになる。この
ようにすると三番目とは反対に
動いた。
黒板でまとめたものが次です。
三年生の皆さんになぜこのよ
うに動くのか説明してもらい
ました。
これはフレミングの左手の法則で説明できるのだそうです。
フレミングの左手の法則とは、電流・磁力・力の関係を、90°ずつ開いた左手の指であらわすことのできる法則である
そうです。
私も、やってみたのですがなかなかうまくできませんでした。先生にうまくできないことを話して、ベニヤ板で次の電
流の向き・磁力線の向き・はたらく力をテプラで打ような道具を作ってもらいました。
ちました。その裏には 磁力線はNからS極に向かうこと・電流はプラスからマイナスに向かって流れることを黄色のテプ
ラで貼りました。永久磁石の実験から電気を使った電磁石を調べたり、モーターに興味を持ったので研究を行うことにし
ました。
2.研究の過程
(1)電流のまわりの磁力線を確かめる実験
2013/8/21
実験2
① ベニヤ板の中央部にドリルで穴を開け、鉄製スタンドに
取り付ける。
② 0.35mmのポリエステル線を穴に入れる。
・ポリエステル線の両端を紙やすりではがす。
・4個の方位磁針を置く。
・電流を4.6A流す。
・電流を逆にする。
【鉄製スタンドを用いて導線を固定する】
【実験に用いたポリエステル線 0.32mm】
【ベニヤ板の横幅は約11cm たては13cm】
【電流を流す前の方位磁針】北を向いている
【電流の値は4.6A】
【電流をベニヤ下から上に逆に流す】
電流5A
方位磁針の振れが 大 発熱
2A
〃 小
1A
〃 ふれない
【電流を下から上に流した時の方位磁針】<実験結果>
電流の向きはプラス極からマイナス極
【発熱したポリエステル線】
① 電流を流すと右ネジの進む向きに電流が流れる。
•電流を流すと右ネジを回す方向に磁界ができる。
•電流を逆に流すと磁界は逆になる。
•電流を多く流すと発熱する。
疑問 強い磁界を得るには電流を多くすれば良いが、発
熱も大きくなる。より強力な磁界を作るにはどうしたらよ
いか?
予想 銅線の数を増やすと磁力がアップするだろう。
銅線1本に対して4.5Aを流したとする
と上のように
9Aの電流が流れる。
左図のようにコイルを作ると電流は
4.5Aで済む。
(2)コイルにより強い磁界を作る実験
実験3 説明器具の製作 2013/8/23
画用紙に円を描き20個程度ラミネートする。これを切り離して表側は右回り
の黒矢印、裏面は赤色で左回りの矢印を描き、針金に通して中心部の磁力
線の向きを予想する。
【切抜きの場面】 【切抜きが終わった材料】 【切抜きが終わった材料をコイルにさす】・・・モデル完成 【コイルの中心部の磁界をモデルで予想する】気づいたこと コイルの
中心に向かって磁力線
が入り、コイルの外に出
て行く。これは永久磁石
と同じ。
製作した1回巻きのコイル 製作した10回巻きのコイル
(3)鉄心を入れて磁力線を強める実験
確かにコイルにすると磁力線は多くなるのか確かめたい。実験4 コイルの製作 2013/8/26
コイルを作り、1回巻きと10回巻きの磁力の強さを比べてみる。電流は一定にする。
コイルの直径は6cmなので1回まくと約20cmとなる。これを10回まくと2mになる。2m40cmポリエステル線を
切って、両端のポリエステルをむいてコイルにする。1回巻きはポリエステル線があまるが、電流を同じだけ流すよ
うに切り詰めない。ベニヤ板の切断は先生に手伝ってもらいました。
実験5 小さい方位磁針を使った実験 2013/8/26
電流0A
1回巻きのコイル
北をさしている
電流2A 1回巻きのコイ ル 右ねじの法則に 従った 電流0A 1 0 回 巻 き コ イル 北をさしている。 電流2A 10回巻きコイ ル 右ねじの法則に 従った電流0A 1回巻きのコイル 北をさしている。 電流2A 1回巻きのコイル 右ねじの法則に従った 向きになる。 10回巻き 電流0A 方位磁針は北をさしている 10回巻き 電流2A 方位磁針は東南をさしている
実験6 中央部に大きな方位磁針を置く実験 2013/8/26
<実験結果> ・電流をにより右ねじの法則の方向に磁界ができる。 ・10回巻きのほうが動きが激しい。 ・左右に振動して10回巻きは止まりにくい。 ・コイルの中央部の磁界はどうなっているのだろうか。 ☆ 先生の話では地磁気と電磁石の磁気でこのようになるのだそうです。疑問 磁力線の強さと方位磁針の角度は関係する
はずなので、電流を変えたら方位磁針の角度はど
のようになるか。
(4)電流を少しずつ変えると中央においた方位磁針の角度はどのように変化するか調べる実験
実験7 予備実験 方位磁針を中央に置いて電源装置の電圧を変えて電流を変化させてみる。
結果
・電流が少ない時は少しずつ角度が変化するが、一定以上の電流にすると南東方向になりそれ以上南の方向には振れなかっ
た。
・次回の方向はコイルに対して直角方向になるので、実験では南東方向より南にならなかったのだろう。
・最初、コイルの巻く方向を南北に合わせるとよかったのではないか。
・上のようにコイルを置くと電流がある程度以上になると真東を向くのだろう。
実験8
コイルを南北方向に配置した実験
2013/8/26
この実験は難しいので、3年生の皆さん(5名)に手伝ってもらいました。電流はmAです。
1回巻きコイル 10回巻きコイル
電流
角度
電流
角度
電流
角度
50
6
10
19
400
80
100
8
20
27
450
80
150
14
30
35
500
82
200
20
40
42
600
85
250
24
50
40
650
86
300
28
100
55
700
88
350
30
150
60
800
89
400
34
200
65
900
89
500
40
250
70
1000
90
600
42
300
75
700
44
350
78
【実験に用いたやや精密な方位磁針】 電流が少ないところはコイルに20Ω の抵抗を直列に入れて実験をしました1回巻きと10回巻きコイルの
電流による方位磁針の角度
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000電流(mA)
方位磁針のふれた
角度
1回巻き 10回巻きわかったこと
・何回も巻いたコイルに電流を
流すと1回巻いたコイルよりた
くさん磁力線が出る。
電流が同じなら、コイルの巻き
数が多いほど方位磁針を曲げ
る力(磁力線)が多くなる。
(5)空芯コイルに比べて鉄心入りのコイルは強い磁石になることを確かめる実験
実験9 電流1Aで、同じ巻き数の鉄心コイルと空芯コイルの磁石の強さを比較する。
鉄心は鉄釘で、空芯コイルは綿棒を使う。
結果 方位磁針で確かめたが、触れの違いの差は大きかった。鉄粉をつけたが空芯コイルは鉄粉
がつかず、鉄心入りのコイルは鉄粉がついた。
実験10 鉄心入りコイルの電流を変えると砂跌のつき方はどう変化するか確かめる実験。
電流(mA) 鉄粉質量 電流(mA) 鉄粉質量
50
0.02
800
0.4
100
0.03
900
0.5
150
0.03
1000
0.6
200
0.04
1100
0.68
250
0.06
1200
0.82
300
0.06
1300
0.92
350
0.07
1400
0.99
400
0.09
1500
1.01
450
0.12
1600
1.11
500
0.13
1700
1.1
550
0.23
1800
1.16
600
0.27
1900
1.33
700
0.3
2000
1.39
コイルに流す電流とくっついた鉄粉の質量 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 0 250 500 750 1000 1250 1500 1750 2000コイルの電流(mA)
く
っ
つ
いた
鉄粉の質量(
g)
【鉄芯入りコイルについた鉄粉】 鉄粉を薬包紙にあけて電子天秤で測定・コイルに流す電流を増やすと、たく
さん鉄粉をつけることができる。
・500mA以上ではくっつく鉄粉と電
流の値が比例している。
実験11
鉄心入りコイルに流す電流とコイルの温度の上昇の関係はどうなっているか。
1A 2A 3A 4A 5A 24.0 36.6 45.2 26.8 65.7 25.7 24.5 24.4 24.4 36.9 45.4 28.1 66.4 26.4 25.5 27.5 24.8 37.2 45.5 29.7 67.1 28.2 28.9 32.8 25.3 37.5 45.7 31.1 67.9 30.9 33.3 39.8 25.8 37.8 45.9 32.3 68.6 33.4 38.9 48.3 26.3 38.0 46.0 33.6 69.3 36.6 45.9 57.6 26.8 38.3 46.2 35.0 70.0 40.4 52.5 66.9 27.3 38.6 46.3 36.4 70.8 44.6 60.4 76.3 27.9 38.9 46.5 37.8 71.5 47.9 67.1 86.0 28.0 39.1 46.6 39.3 72.1 51.4 74.1 95.3 28.4 39.4 46.8 40.8 72.8 55.2 81.1 104.4 29.0 39.7 46.9 42.3 73.5 59.0 88.1 113.1 29.5 40.0 47.1 43.9 74.1 62.5 94.6 121.8 30.0 40.2 47.2 45.1 74.8 65.6 100.7 30.6 40.5 47.4 46.2 75.5 68.6 30.9 40.8 47.5 47.3 76.1 71.7 31.2 41.0 47.7 48.3 76.8 74.7 31.5 41.3 47.8 49.4 77.4 77.7 31.8 41.5 47.9 50.5 78.0 80.6 32.1 41.8 48.1 51.5 78.7 83.4 32.5 42.1 48.2 52.6 79.3 86.1 32.8 42.3 48.4 53.7 79.9 88.8 33.1 42.6 48.5 54.7 91.4 33.4 42.8 48.6 55.8 93.8 33.7 43.1 48.8 56.9 96.2 34.0 43.3 48.9 57.9 98.4 34.3 43.6 49.0 59.0 100.6 34.6 43.8 49.2 60.0 34.9 44.1 49.3 61.1 35.2 44.3 49.4 61.8 35.5 44.6 49.5 62.6 35.8 44.7 49.7 63.4 36.1 44.9 49.8 64.1 36.3 45.0 49.9 64.9コイルの温度上昇
0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 0 10 20 30 40 時間(秒) 温度(℃) 2A 1A 3A 4A 5A ・時間とともに温度は上がる。 ・電流が多いほどあがり方は急である。 ・130℃くらいになるとクサイ臭いが出る。実験11で使用した用具や材料について
◆このサーミス タ温度計は、一 秒ごとに測った 温度を表示する ことができます 。 ◆これをビデオ カメラで撮影す ることにより、刻 々変化する温 度が手軽に測 定することがで ます。 【サーミスタ温度計】 【コールドスプレー】 温度の上がった電磁石の冷却用 【サーミスタ温度計と鉄心の上にコイルを巻く】【拡大図 サーミスタ温度計と鉄心の上にコイルを巻く】