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IRUCAA@TDC : 完成した局部床義歯がうまく入らない時にはどうしたらよいでしょうか?

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Academic year: 2021

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

完成した局部床義歯がうまく入らない時にはどうしたら

よいでしょうか?

Author(s)

山下, 秀一郎

Journal

歯科学報, 116(1): 50-52

URL

http://hdl.handle.net/10130/3953

Right

(2)

はじめに 完成した局部床義歯(図1)を口腔内にはじめて装 着する時には,決して無理な力をかけずに静かに操 作を行う必要があります。正しい手順で製作された 義歯であっても,どこかでつかえて定位置に収まら ないことがあるからです。無理に押し込めば患者に 相当な苦痛を与えてしまいます。その際には,どの 部分が当たっているのかを慎重に確かめる必要があ ります。 残存歯周囲のブロックアウトが不十分な場合 多くの場合はレジン部分の外形が不適切なため装 着できない状況となっています。たとえ蝋義歯試適 の際には問題がなかったとしても,填入時のレジン が必要以上に回り込むことで最終的に不適切な外形 となってしまうからです。このような状況がみられ る箇所として最も頻度の高いのが,残存歯との隣接 部です(図2,3)。この場合には,試適を繰り返し

臨床のヒント

Q&A

有床義歯補綴系

Q&Aコーナーは,東京歯科大学の3病院の臨床研修歯 科医から寄せられた質問に対しての回答です。回答は本 学3施設の専門家にお願い致します。内容によっては基 礎や臨床,あるいは歯科や医科と複数の回答者に依頼す る場合もあります。毎号掲載いたしますので,会員の皆 様もご質問がございましたら,ぜひ東京歯科大学学会ま でeメールかファックスで依頼していただきたいと存じ ます。必ずご期待に添えることと思います。今号は局部 床義歯に関する質問です。

Question

完成した局部床義歯がうまく入らない時にはどうしたらよいでしょうか?

Answer

図1 図2 図3 50 歯科学報 Vol.116,No.1(2016) ― 50 ―

(3)

ながらその部分を少しずつ削除します。本来こうし た部分は模型上でブロックアウトしておくべきです が,不十分であったりすると,かなりの削除が必要 なことがあります。削除は慎重に行わないと,義歯 が装着されたとき,残存歯とレジン部分との間に隙 間が生じ,あとで食片が入ることになってしまいま す。 床の外形が不適切な場合 次いで問題となることの多いのが,床の外形が顎 堤のアンダーカット域にまで入りこんでいるため に,床縁部が欠損部顎堤につかえて義歯が装着でき ない状況です。上顎前歯部の顎堤で特に多く認めら れます(図4)。局部床義歯は総義歯と異なり着脱方 向が明確化されているので,このようなトラブルが 起こるのです。装着困難な状況にあれば,何度か試 適を繰り返しながら容易に着脱できるまで床辺縁部 を削除修正する必要があります。床辺縁は一般に, 顎堤の最大豊隆部より1ミリ程度は延長して設計さ れますが,顎堤粘膜の厚さや被圧変位性で異なり, 粘膜が薄く硬い場合には,最大豊隆部をほとんど越 えることができません。リップサポートを回復する 必要から床縁を延長せざるを得ない場合には,アン ダーカット部分をあらかじめ模型上でブロックアウ トしておく必要があります。 支台装置が床内部で変位した場合 その他,装着困難の原因としてまれに起こりうる のが,レジン床内部で支台装置の位置関係がずれて しまっている状況です。これは,レジン填入時に何 らかの原因で支台装置が作業模型から変位した結果 発現します。この場合には,支台装置を完成義歯か ら取り外し,口腔内で直接適合状態を確認した後に 付け直しをする必要があります。ただし,即時重合 レジンを用いての作業になるため,積極的に推奨で きる解決策ではありません。 クラスプの調整について 新義歯装着時において,口腔内へ装着困難である からといって安易に行ってはならないのが,プライ ヤーによるクラスプの調整です。特に,キャストク ラスプの調整をプライヤーで行うことは,破折を招 くことになるので好ましくありません。クラスプに は受動性という要件があります。クラスプが定位置 に装着されている際には,鉤腕は支台歯の歯面に力 を及ぼすことはないという原則です。安易なクラス プ調整は受動性を乱すことになり,そのような義歯 が装着されると,支台歯に対して常に矯正力が働く ことになるため,慎重を要します。 キャストクラスプの場合は,義歯を完成する前に あらかじめ試適を行っておけば,義歯装着時のトラ ブルは減らせるはずです。もし,キャストクラスプ がきついために定位置まで装着が困難である場合, 大多数は鉤肩部のクラスプ下縁がアンダーカット領 域に設計されたことに起因しています。適合試験材 等を用いて慎重に鉤肩部下縁から内面にかけて削合 を行う必要がありますが,削合によりクラスプの強 度が損なわれるようであれば,再製作を検討すべき です。 一方,ワイヤークラスプにおいては,設計通りに 屈曲を行ったとしても,その後の製作過程で変形さ せてしまうことがあり得ます。しかし,ワイヤーク ラスプの場合は,たとえ変形があったとしても,他 の義歯構成要素に不備がなければ,プライヤーを用 いて的確に調整すれば義歯を装着することが可能と なる場合もあります。図5−aに不適合なコンビ ネーションクラスプの一例を示します。①で示す部 分(図5−b)が,クラスプが歯面から離れる起点と なっていますが,ここを内曲げしてその先の鉤腕部 を適合させようとしても,受動性を乱したクラスプ になるだけです。頬側歯面の彎曲よりもワイヤーク ラスプの彎曲の方が強くなっているので,彎曲が強 くなっている部分②(図5−c)を外曲げして歯面の 図4 歯科学報 Vol.116,No.1(2016) 51 ― 51 ―

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彎曲と一致させます(図5−d)。その後,前述の① の部分を少しずつ内曲げして(図5−e)歯面への再 適合をはかる(図5−f)のが正しい調整法です。 Answer:山下秀一郎 東京歯科大学パーシャルデンチャー補綴学講座 文 献 スタンダード部分床義歯補綴学 第2版(藍 稔 編), pp.219−224,学建書院,東京,2010. 図5 52 歯科学報 Vol.116,No.1(2016) ― 52 ―

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