Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
侵襲性歯周炎に対して歯科衛生ケアが効果的であった一
症例
Author(s)
松崎, 真衣; 藤波, 弘州; 高梨, 琢也; 井田, 篤; 上島,
文江; 関根, 秀志; 古澤, 成博; 山下, 秀一郎; 齋藤,
淳
Journal
歯科学報, 112(2): 173-173
URL
http://hdl.handle.net/10130/2749
Right
目的:東京歯科大学水道橋病院では数校の歯科衛生 士養成機関の臨床実習を受け入れている。今回,歯 科衛生士養成機関の学生が矯正歯科に対してどのよ うな印象を持ち,臨床実習を通しどのような変化が 認められるのかを調査した。 方法:対象は東京歯科大学水道橋病院並びに千葉病 院矯正歯科において2010年度に臨床実習を行った学 生93名と,臨床実習前で座学講義のみの知識を持つ 学生134名とし,無記名のアンケート調査を行なっ た。回答方式は選択式回答方式と自由回答方式を採 用し,各調査対象に合わせた調査用紙を作成した。 成績:実習前学生の矯正治療に対するイメージは肯 定的な意見が15%,否定的な意見が85%であったの に対し,実習後では否定的な回答は13%減少し,肯 定的な回答は12%増加した。矯正歯科の歯科衛生士 業務に興味があると回答した学生は実習前59%,実 習後52%であった。理由の一つである「やりがいが ありそう」という回答は実習前後の比較で20%の著 しい増加を認めた。しかし臨床実習後,矯正歯科衛 生士業務に対し否定的な見解を持つ学生も存在し, その主な理由は「業務の内容が限られている」で あった。また,矯正治療経験のある学生においては 矯正歯科衛生士業務に興味があると答えた割合が80 %だったのに対し,治療経験がない学生は48%で あった。 考察:実習後学生に肯定的な回答が増えた要因とし て,臨床の場における患者との触れ合いや,実際の 治療を目にすることが矯正治療へのイメージ改善に つながり,理解度も深まったためと考えられた。歯 科衛生士業務に対する見解の相違は,矯正治療の特 異性や年単位の治療が学生によって捉え方が異な り,矯正治療経験者は自身の経験から内容や全体的 な流れを把握しているため興味がわきやすいのでは ないかと考えられた。矯正治療に対し歯科衛生士養 成機関学生の抱くイメージは様々であり,臨床実習 を通し,学習した内容や心証がその後の進路にも大 きく影響していると推察される。今後は矯正治療の 特殊性を理解させ,興味や肯定的な印象を抱くよう な実習内容を検討する必要があるものと思われた。 目的:侵襲性歯周炎は発症後早期に進行し,著しい 歯周組織の破壊を生じる疾患であるため,患者の口 腔健康のみならず QOL にも影響を及ぼす可能性が ある。今回,広汎型侵襲性歯周炎患者に対し,歯周 基本治療および歯周組織再生療法を経て,インプラ ント補綴を行った一症例の歯科衛生ケアについて報 告する。 症例:患者は23歳の女性。上顎前歯部の動揺を主訴 に近医より紹介され,東京歯科大学水道橋病院に来 院した。全顎的にプロービングデプス(PD)4∼ 12mm の歯周ポケットが存在し,歯肉の腫脹,発 赤,出血が著明であった。♯11は動揺度3度で,歯 牙の唇側転移がみられた。エックス線写真上では, 全顎的に歯根長1/3∼1/2に及ぶ骨吸収を認め,特に 上顎前歯部・上下顎大臼歯部に垂直性骨吸収を認め た。プラークコントロールレコード(PCR)は33% であった。以上の検査結果より,広汎型侵襲性歯周 炎と診断され,歯科衛生士による歯周基本治療を開 始した。まずセルフケアを中心とした歯科衛生ケア プランを立案した。歯科衛生介入としては,プラー クコントロールの重要性について説明し,バス法, 歯間ブラシの使用方法の指導を行った。スケーリン グ・ルートプレーニングは,1/4顎毎に浸潤麻酔下 にて行った。歯周基本治療後の再評価では,PCR スコアは16%,PD4mm 以上の部位は減少した。 しかし,非外科的歯周治療の成功基準(Jönsson B et al.2010)では,不十分と判定された。その後, エナメルマトリックスデリバティブを使用した再生 療法,♯12,11,21,22欠損部へのインプラント補 綴を行った。現在,歯周外科後2年が経過し,PCR スコアは26%,PD4mm 以上の部位は6.3%と改善 が維持されている。 考察:歯肉出血,動揺への不安から,ブラッシング に対する抵抗感がある患者に対し,セルフケアの重 要性について理解を求めた。歯科衛生士が技術的指 導だけでなく,患者の心理面にも配慮し,サポート することでモチベーションの向上,維持が得られた ことも,歯周組織の改善の一因であると考える。