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IRUCAA@TDC : 歯科医から口腔医への架け橋

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Academic year: 2021

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

歯科医から口腔医への架け橋

Author(s)

井上, 孝

Journal

歯科学報, 109(1): 4-5

URL

http://hdl.handle.net/10130/1911

(2)

2001年5月,臨床検査学研究室を設立して頂い た。その理由は,次のようであろうと考えている。 言うまでもなく医療は,患者の安全と医療の質の保 証が必要不可欠である。現在,国民はより安全で質 の高い歯科医療を求め,患者への歯科医療の内容に ついて説明責任は不可欠なものとなった。さらに, 歯科保険点数の改正では,当然のことながら,エビ デンスを示すことが要求されている。例えば金属な くして行えない歯科治療において,金属アレルギー 検査をすることなく治療を行い,その後,入れた金 属が原因でアレルギーを起こせば,患者に訴えられ ても文句が言えないのである。しかし,現実には歯 科医療において,金属アレルギー検査は保険請求で きない。歯科は免疫の治療をできないとの理由から である。しかし,金属を使う医療者が,その検査を できないという矛盾に指をくわえてみている時代は 終わった。保険点数にないから,歯科医師が免疫の 治療ができないから,と言ってはいられない時代に 突入したのである。さらに,高齢化社会を迎えた日 本では,糖尿病や骨粗鬆症といった基礎疾患を持つ 患者が増加している。歯科では勿論,その疾患の治 療はできないが,その状態が歯肉や骨の創傷の治癒 に及ぼす影響は計り知れない。それを知らずに,治 療を行い,治りが悪いといって,何故だろうと言っ ていた時代も終わったのである。まだ言うなら,歯 科の2大疾患は齲蝕と歯周病と100年来言われ続 け,その原因は細菌であると教えられた。にも関わ らず,齲蝕の治療の前に細菌検査を行う歯科医師は 少ないし,歯周病にしても検査の重要性はわかって いながら,実際保険の壁が立ちはだかり,検査する ことはできないまま,治療を行っている実情からの 脱却も重要な課題である。 すなわち,今までの歯科医療は,MT なる診断名 のもと欠損をいかにして修復するかに主眼が置か れ,診断に関わる検査や治療後の評価に用いる検査 がなく,エビデンスを構築するための基盤を持って 来なかった。もちろん,自由治療においては医科点 数表の例により種々なる検査料を算定することはで きるが,検査自体を谷底に置いてきた歯科の実情を 考えると,現実的にはほとんど応用されていない。 それでは,歯科では検査に全く興味がないのかと いえば,決してそうではない。日本歯科医学会の専 門分科会の臨床系学会においては,検査の開発,導 入が検討されている。しかしながら,学術レベルの ものが強く,実際は研究段階をでることは少ない。 また,全国の歯科大学・歯学部附属病院はそれぞれ 検査センターを備えているものの,口腔外科の付属 であることは否めない。もちろん,県歯科医師会レ ベルで検査の重要性が議論されてはいるものの,組 織的な活動になっていない。一方,歯科医療機器製 造・販売業者あるいは検査会社は歯科における検査 の重要性あるいはマーケットとしての可能性を感じ ているものの,自らがリスクを負って踏み込んでい く状況まで熟していないと判断していると考えられ る。そんな中,120年の歴史を迎えようとしている 東京歯科大学が全国,いや全世界に先駆けて,歯科 大学に検査学研究室を設立してくれたと自負してい る。 このような状況にあって,歯科医療,口腔疾患に 関わる検査の開発,臨床現場への普及,検査値の標 準化・標準値管理,検査・診断機器の開発,臨床検 査会社との連携などを強力に推進する必要があると 考えた。その結果,歯科医療の高度化,患者への説 明責任,新規歯科医療技術の導入などを達成し,歯 科医療界全体として国民のニーズに応える高度な歯 科医療を提供し,国民の健康の維持増進の助けにな ると考えたからである。 そんな願いから,当教室が核となり,平成19年11

歯科医から口腔医への架け橋

井 上

臨床検査学研究室 4 ― 4 ―

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月には日本歯科医学会会長,日本歯科医師会会長, 日本歯科商工会会長をお呼びして,日本口腔検査学 会(理事長)を設立した。平成20年8月には第一回の 日本口腔検査学会を水道橋校舎血脇記念ホールにて 開催したところ臨・学・産の参加者200余名,企業 参加18社の協賛を得,官からは石井みどり参議院議 員をお迎えし,唾液シンポジウムと52演題のポス ター発表が行え,多くの参加者と一緒に検査につい て考えることができた。また平成20年9月14日に東 京フォーラムにおいて開催された第38回日本口腔イ ンプラント学会においては,日本口腔検査学会集う 会を開き,インプラント治療での検査の必要性を訴 えることもできた。これからも,臨床検査学研究室 が歯学に基づく歯科医療の確立の牽引車となればと 考えている。 さて,当教室の主たる研究内容は,インプラント 表面形状と細胞行動(図上段),インプラントと組織 界面(図中,下段),歯科用レーザーの基礎的研究, 歯髄組織の幹細胞の分化と誘導,歯根膜組織の幹細 胞の分化と誘導,骨造成,人工タンパク質の生体応 用,口腔粘膜の創傷の治癒など多岐にわたり,2001 年開設以来現在までに,31編の学位論文を指導(他 国,他大学,他講座を含む),120編の原著論文(う ち英文88編),24編の書籍を執筆した。 臨床面においても,歯科金属アレルギー外来(延 べ1200人程度),インプラントセカンドオピニオン 外来(84人程度),味覚異常外来(延べ400人程度), ドライマウス外来(200人程度),一般臨床検査(年間 約12,000件),一般病理組織・細胞診検査(年間2500 件),をこなしており,将来的に遺伝子検査外来や 研究を生かして再生歯科先端医療外来も予定してい る。 教育面では,臨床検査のみならず,統合講義とし てのインプラント学,発生病態学を手がけ,それぞ れチェアーサイドの臨床検査(2008年第2刷:デン タルダイヤモンド社),インプラントの常態と病態 (2008年:南山堂),発生病態学(2005年:南山堂)の 教科書を作成し,講義に使用している。 平成21年1月現在,意を同じくしてくれた教室員 は,教授1,准教授(松坂賢一)1,助教(教育開発セ ンター兼任:村上 聡)1名,研究補助1,大学院 生14名(1名パキスタン,1名台湾),客 員 教 授1 名,非常勤講師10名,専攻生5名(1名韓国),訪問 研究員1名(中国)で,この4月より新たに2名の大 学院生(1名ブラジル)を迎える予定である。 21世紀になって東京歯科大学に設置された研究室 が,今後大学の顔になるようさらに精進していく所 存である。 歯科学報 Vol.109,No.1(2009) 5 ― 5 ―

参照

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