特別支援学級(なかよし〇組) 自立活動学習指導案
1 題材名 「おしごとカード」を使って、給食当番をマスターしよう 2 指導の立場 ○児童観 本授業の対象のA 児は、小学校1年生の男子で自閉症・情緒障がい特別支援学級に在籍している。A 児 は、体を動かすことが好きで、掃除の場面においては、机等の活動の目印になるものを視覚的に捉えて動 かしたり、することの順番を理解して行動したりすることができる。また、体を大きく使って列ごとに掃 いたり拭いたりと役割を果たすことができる。そのため頑張りを認められる経験が多く、自分に与えられ た掃除の役割に対して一生懸命に全うしようとする姿が見られている。 しかし、手元で操作をしたり、状況によって対応が異なったりする給食の準備においては、注意が逸れ ることがあり、役割を全うすることができていない。また、すべきことを「分かっている」とは言うもの の、実際には理解することができておらず、すべきことに注意を向けることが難しくなっている。他者の 促しや支援がある場合、役割を果たすことができるが、給食当番の、特に「台拭き」「机拭き」のような机 上や周囲の環境に注意を払いながら行う活動や手元での操作を伴う活動をすることが難しい。さらに、友 達に対し、当番活動に不必要な激しい接触をしたり、強い口調で話しかけたりしてしまい、人間関係を形 成する上でも影響が及んでいる。そのため、学校生活において与えられた役割を果たしたり、交流学級で 皆と一緒に学習たりすることが難しくなっている。そこで、自立活動の6区分から課題を見出し、それぞ れの課題を整理したところ、A 児には特に「人間関係の形成」「環境の把握」「コミュニケーション」に関 することに課題があった。 ○題材観 本題材では、自立活動の「3 人間関係の形成」の内容の「(3)自己の理解と行動の調整に関すること」 と「4 環境の把握」の内容の「(2)感覚や認知の特性についての理解と対応に関すること」、「6コミュ ニケーション」の内容の「(5)状況に応じたコミュニケーションに関すること」を関連付けて指導を行う。 具体的には、A 児が、給食の台・机拭きの当番の手順や活動内容を視覚的に捉えることのできる「おしご とカード」を用いて、することの順番を理解して行動することができるようにする。また、給食の当番を しながら、手順や活動内容を断続的に確認できるようにしたり、自分に合った活動の仕方を探ったりしな がら、注意の集中を図っていく。さらに、起こり得る状況への対応については、「ソーシャルスキルトレー ニング(SST)」を取り入れ、具体的な場面についての思考や実践をすることができるようにする。そして、 自分で考えた対処法を実践できたかを振り返る場面を設定し、当番活動を確実に行いながら、人間関係に 気を付て実践できたことを実感することができるようにし、確立すべき手順や活動内容を理解して、起こ り得る状況に対処できるようにする。このように、手順や活動内容を想起して、起こり得る状況に対応し ながら、机上や周囲の環境に注意を払ったり、手元での操作を伴ったりする「台・机拭き」の当番活動を 行うことができるようになることは、学校生活を円滑に送ることができるようになる上で大変意義深い。 ○指導観 本題材の指導に当たっては、不確定な手順や活動内容を理解できるようにするために、「おしごとカー ド」を用いる。おしごとカードは、交流学級の友達の活動の様子や同じなかよし〇組の6年生B 児の手本 の様子から手順や活動内容を抽出したものである。絵と文字で構成され、継次処理、同時処理のどちらに も対応している。そして、A 児が、することの順番が分かるようにカードを並べることで、活動の手順や 内容、さらには見通しをもつことができるようにする。指導の段階は、「気付く」「つかむ」「いかす」 の三つの段階に分ける。不確定な手順や活動内容を確立できるようにするために、確立すべき手順や活動 内容は大きく変えずに指導し、起こり得る状況への対処法の取り扱いを、スモールステップで広げていく。 気付く段階では、A 児が、給食当番の台・机拭きにおいて、活動上の困難さに気付き、今の自分の現状を改善したいと感じることができるようにすることをねらう。そのために、同じなかよし〇組の6年生B 児の手本の動画を提示する。そして、A 児が「自分も B 児のようにスムーズに当番をしたい。」という気 持ちをもつことができるようにする。さらに、実際に交流学級の友達がどのような手順や方法で活動して いるのかを、動画を基に確かめ、言葉で表し、おしごとカードを作成していく。 つかむ段階では、なれる段階で作成したおしごとカードを用いながら、実際に台・机拭きの当番活動に 「どうすればうまくできそうか。」を確かめながら取り組んでいく。そして、起こり得る状況(落し物が見 つかる、机の上に物が置いてある、友達が机の上に本を置いて読んでいる、デスクマットがずれる、友達 が話している等)についてのSST を、毎時間、1つまたは2つ程度取り上げていくようにする。対物の対 処法から人と関わる状況での対処法を取り上げるようにする。また、学びを支える基盤として帯活動で、 「色々な視覚情報の中から目的のものを見る活動」や「直前に聞いた指示を覚えて行動したり、話の内容 に応じて受け答えをしたりする活動」に取り組み、注意力や記憶力を高めることができるようにする。最 終的には、手順や活動内容、そして、自分に合った台・机拭きの仕方を記憶して、行動できるようにする。 いかす段階では、題材全体を振り返り、自らの成長に気付き、次の課題を発見することができるように することをねらう。そのために、なれる段階での困難さを抱えていた自分と、できるようになった自分を 比較して、客観視できるようにする。そして、給食準備の時間の活動は、当番活動だけでなく、活動後に もすべきことがあることを提示し、「給食当番の時と同じように、おしごとカードで手順や活動内容を捉え ながら活動すれば、当番後の活動もできるだろう。」というさらなる意欲をもつことができるようにする。 3 題材目標 給食の当番活動である台・机拭きにおいて、手順や活動内容を理解し、起こり得る状況の変化への対処 法を取り入れながら、行動することができる。 4 題材計画 配時 段階 目標 主な学習活動 1 気 付 く 給食当番の台・机拭きにおいて、活動上の困難さに気付 き、今の自分の現状を改善したいと感じることができ る。 1.自分の当番活動の動画の視聴 2. なかよし〇組の6年生 B 児の手本の 動画の視聴 2 給食当番の台・机拭きにおいて、どのような手順や活動 内容かを確かめることができる。 1. 交流学級の友達の動画の視聴 2. おしごとカードの作成 3 つ か む おしごとカードを基に、自分に合った台・机拭きの仕方 を理解し、机の上に物が置いてあったり、記名された落 し物が見つかったりする状況に対処することができ る。 直 前 に 聞 い た 指 示 を 覚 え て 行 動 し た り 、 話 の 内 容 に 応 じ て 受 け 答 え を し た り す る 活 動 色 々 な 視 覚 情 報 の 中 か ら 目 的 の も の を 見 る 活 動 1. おしごとカードを基にした台・ 机拭き 2. 自分に合った活動の仕方の試 行と改善 3. 対物に関するSST 4 本 時 おしごとカードを用いながら、自分に合った台・机拭き の仕方を確立し、無記名の落し物が見つかったり、友達 が机の上に本を置いて読んでいたりする状況に、人と 円滑に関わりながら対処することができる。 1. おしごとカードを基にした台・ 机拭き 2. 人に確認する際のSST 3. 人に依頼する際のSST 5 おしごとカードを用いながら、台・机拭きの活動に取り 組み、デスクマットがずれる状況に、人と円滑に関わり ながら対処することができる。 1. おしごとカードを基にした台・ 机拭き 2. 人に協力を依頼して一緒に活 動しようとする際のSST 6 手順や活動内容、そして、自分に合った台・机拭きの仕 方を記憶して、友達が話している状況に、人と円滑に関 わりながら対処することができる。 1.視覚的な支援を少なくした状況 下での台・机拭き 2.人に指摘をしなければならない 場面のSST 7 い か す 題材全体を振り返り、自らの成長に気付き、次の課題を 発見することができる。 1.初めの当番活動の動画の視聴 2.題材終了時の当番活動の動画の視聴
5 本時 令和2年〇月〇日 〇校時 於 なかよし〇組教室 6 主眼 ○ 無記名の落し物が見つかったり、友達が机の上に本を置いて読んでいたりする状況に、人と円滑に関わ って対処し、おしごとカードを用いながら、自分に合った台・机拭きの仕方を確立することができる。 7 展開(第4時) 段階 主な学習活動と内容(指導場面の具体) 具体的支援 導 入 15 分 1 本時のめあてをつかむ。 (1)注意力や記憶力を高める活動に取り組む。 ○色々な視覚情報の中から目的のものを見たり、直前 に聞いた指示を覚えて行動すること (2)本時のめあてをつかむ。 ○状況の変化には、物の変化だけでなく、友達との関 係性の中で起こる状況の変化があることに気付き、 手順や活動内容と同じように対処法を確かめなが ら、当番活動をしようとする目的をもつこと ○前時におしごとカードを並べて立て た台・机拭きの見通しを視覚的に振 り返ることができるようにするた めの写真の提示 ○台・机拭きの手順や活動内容を確認 しながら行動することができてい たことを、A 児が再認識し、本時の 学習に主体的に取り組むことがで きるようにするための称賛 ○本時の流れを視覚的に把握するため の、進め方の提示 展 開 25 分 2 選択肢を基に、活動中に起こる状況の変化に、人と関 わって対処する方法を考える。 ○落ち着いた環境の中で生み出された状況の変化につ いて、身近な教師と、変化に応じて人と関わる場合の 対処法について学ぶこと ・無記名の落し物が見つかった場合…友達が近くにいたら、誰のものか を聞いてみて、持ち主や担任へ届ける ・友達が机の上に本を置いて読んでいる…「ちょっと机拭いていい?」 等、断りを入れてから机を拭き、協力のお礼を伝える 3 考えた対処法に気を付けながら、実際に「台・机拭き」 の当番に取り組む。 (1)前時に試行した手順や活動内容を想起し、自分に 合った活動の仕方をお掃除カードを基に確認し ながら台・机拭きをする。 ○集団活動における手順や決まりを自分なりに確 立させること (2)考えた対処法を一連の活動に取り込む。 ○状況の変化に人と関わって対処する方法を実践 できるようになること ○対処法を考えやすくするための、3 択問題型のソーシャルスキルワーク ○実際の場面を想起しやすくするため の、疑似の場の設定と教師とのロー ルプレイ ○行動する際のイメージを膨らませる ための、なかよし〇組の6年生B 児 の手本の動画の提示 ○一連の活動の見通しを視覚的に捉え ることができるようにするための 「おしごとカード」 ○すべき当番活動の仕上がりの質を保 つための活動毎の基準の提示と確認 ○実際の行動でどのくらいの時間が掛 かっているかを把握することができ るようにするための、計時と時間の 視覚的提示 終 末 5 分 4 本時の学習を振り返り、次時の見通しをもつ。 (1)集団活動における手順や決まりを守って行動する ことができたときの気持ちを振り返る。 ○成功体験を基に、本時の学習を実際の生活場面で 活用しようとする気持ちを高めること (2)状況の変化が起こる他の場面として、「デスクマッ トがずれる」場合を提示し、対処法を予想する。 ○次時の学習の見通しをもつこと ○自分がすべきことに注意を払いなが ら、着実に当番活動を終えていくこ とが、「集団生活に生かすことができ ること」や「本人に合った活動の見 通しにつながること」に気付くこと ができるようにするための価値付け ○今後の活動意欲を高めるための教師 の称賛 (めあて)ともだちにききながら じゅんばんに こうどうし、だい・つくえふきを やりとげよう。