第2学年B組 国語科学習指導案 指導者 小澤 智子 展開場所 2年 B 組 1 単元名 言葉の小窓 敬語 2 単元について (1)単元観 本単元は,学習指導要領の指導事項〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕 「イ(ア)話し言葉と書き言葉との違い,共通語と方言の果たす役割,敬語の働きな どについて理解すること。」を受けて設定した。 敬語のはたらきと用法について理解を深め,敬語を使った表現について,その使い 方を理解する単元である。 敬語の学習においては,「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の授業に おいて,敬語に関する学習内容が出てくるたびに指導することが必要である。そして, 日常生活の中で,適切な言葉遣いである敬語の指導をすることは不可欠である。 文化庁の平成19年度「敬語の指針」の「1 敬語の重要性」において,「敬語は, 古代から現代に至る日本語の歴史の中で,一貫して重要な役割を担い続けている。自 らの意思や感情を人に伝える際に,単にその内容を表現するのではなく,相手や周囲 の人と,自らとの関係・社会生活についての気持ちの在り方を表現するというもので ある。」と記述している。したがって,敬語とは,話し手が,相手や周囲の人たちと の人間関係をどのように捉えているのかを表現する働きを持つと言える。 文化庁の平成25年度「国語に関する世論調査」の中で,「今後とも敬語は必要だ と思うか。」という敬語に関する調査を実施した。「必要だと思う。」は84.5%, 「ある程度必要だと思う。」は13.6%,「余り必要だと思わない。」は1.0%, 「必要だと思わない」の割合が0.4%であった。平成15年度の過去の調査結果と 比較すると,「必要だと思う。」の割合が67.8%から84.5%へと大きく増加 している。次に,「敬語をどのような機会に身に付けてきたと思うか。」という問い に関しては,「職場(アルバイト先を含む)の研修など」の割合が,63.5%で最 も高く,次が「家庭でのしつけ」54.3%となっている。そして,「学校の国語の 授業」が42.6%と3番目に高い割合となっている。平成15年度の過去の調査結 果と比較すると,「学校の国語の授業」と回答した割合は,5.6%減少している。 また,平成26年度「国語に関する世論調査」の中で,「社会や家庭における言葉 遣いについて」の項目において,「今の国語は乱れていると思うか。」という調査を 実施した。「乱れていると思う」の割合は,73.2%となっている。一方,「乱れ ていないと思う」の割合は,23.5%となっている。過去の調査結果(平成11, 14,19年度)と比較すると,前者は減少傾向にあり,後者は増加傾向にある。 さて,敬語は,小学校での学習内容や日常生活での経験などを合わせると,かなり の理解が進んでいるであろうと思われる。中学校では,2年次に「知識・理解」,3
年次に「社会の中での活用」という流れで敬語学習を積み重ね,系統的に指導してい る。 中学2年生になり,今までに身につけた言葉に対する感覚から,目的や場面におけ る言葉遣いが好ましいものであるか,そうでないかを考えるきっかけにつながるので はないか。そして,敬語として改めて認識を深めさせ,相手や場に応じた適切な使い 分けを学習し,敬語を定着させたい。 さらに,敬語の種類や使い分けを理解することにより,人間関係の形成を促すこと につながる。敬語は,「人間関係に生きる言葉」とも言えるであろう。「敬語の指針」 によると,敬語についての基本的な考え方は,「相互尊重」「自己表現」の2つをキ ーワードとして敬語使用の説明をしている。よって,敬語を使用することは,「相互 尊重」や「自己表現」に結びつくということを実感させることができると考える。 日常の言語生活の中で,適切な言葉遣いや敬語を学ぶ必要がある。そのため,「敬 語を使って表現する」学習では,場面に応じた敬語の使い方を会話で表現したり,誤 った使い方の敬語を訂正したり,適切な敬語であるかどうかを話し合ったりするなど, さまざまな言語活動を通して,正しい敬語について考えさせる単元である。 今回の工夫は,生徒に興味関心を持たせやすい単元を取り上げたことである。本単 元は,日常生活で活用することができる内容であるため,生徒にとっては取り組みや すい単元であると言える。さらに,コミュニケーション能力を高め,豊かな人間関係 を確立させることにも適した単元であり,クイズ形式で学ぶ言語活動を設定した。 本単元を通して,日頃の敬語の使い方を振り返り,相手,目的,場面に応じた学習 から,敬語を積極的に使用していこうとする態度を育てたいと思い,本単元を設定し た。 【技能の系統】 第1学年 第2学年 第3学年 【言葉 1】 【言葉 1】 【言葉 1】 日本語の音声 方言と共通語 和語・漢語・外来語 【言葉 2】 【言葉 2】 【言葉 2】 日本語の音声 話し言葉と書き言葉 慣用句・ことわざ 【言葉 3】 【言葉 3】 敬語(知識・理解) 敬語(社会の中での活用) 【言葉 4】 類義語・対義語・多義語・同音語 (2)生徒の実態 学校生活における生徒の会話を聞くと,言葉遣いの乱れを感じる。2年生になって, 「話し言葉と書き言葉」の学習を通し,「ら抜き言葉」や間違えて使用している日本 語の学習をし,興味を持って取り組むことができた。しかし,上級生や私たち大人に 対する敬語の使い方ができていないと感じる場面が多く見られる。
また,授業では,個人として考えたり,書いたりすることはできても,他と関わり 合って深め合うことが苦手な場面も見られる。コミュニケーション能力に課題をもっ ていると言える。その原因は,自信のなさ,周囲の目が気になる,答えが一つのもの ではないことへの不安感などからきているものと思われる。 そのため,授業では,全員に発表する機会を設けたり,自分の考えをまとめる時間 をしっかりと確保してから発表させるようにしている。また,自分の考えを発表する 前に,隣同士や小グループで発表し合い,発表への抵抗感を少なくさせることも留意 している。今後は,1分間スピーチや学級全体での意見発表などを実施し,自己表現 することに慣れるための授業を取り入れていきたい。さらに,昨年度実施したように 古典の朗読検定を実施し,多くの友だちに接し,サインをもらう学習も取り入れてい きたい。コミュニケーション能力を養い,人間関係を確立し,心を耕すことを目的と した学習に取り組んでいる。 そこで,敬語を学習することによって,小グループや班活動などで学習形態を工夫 し,他と関わり合って言葉を深め合うことにつなげたいと考える。 《意識調査・事前調査》33名 1 敬語についての印象を書きなさい。 丁寧 年上の方々に使う言葉 敬意 礼儀正しい 堅苦しい きっちり 難しい 使いづらい 丁寧語だからよいと思うけれど、面倒くさい 2 どのようなときに敬語を使いますか。 部活 学校 大勢の前で発表するとき 目上の人と話すとき お願いするとき 改まっている場面 3 誰に敬語を使っていますか。 先生 先輩 年上の人 初対面の人 尊敬する人 大人 サッカークラブのコーチ 親 親戚 店員 4 適切に敬語を使っていますか。その理由も書きなさい。 ○使っている。 41.2% 《理由》 使わないと相手に失礼な感じがするから。 電話がくるから。 人としてのマナーだから。 使った方がいいから。 部活でのルールだから。 年上だから。 怒られるから。 失礼がないようにするため。 使わないといけないから。 親に敬語を使うように言われているから。 ○使っていない。 11.7% 《理由》 習ったことがなかったから。 うまく使えていないから。 ワンパターンの敬語しか知らないから。 「です」「ます」をつけるだけみたいになっているから。
○どちらとも言えな。 47.1% 《理由》 使っているときもあるけれど,忘れてしまうこともあるから。 適切に使っているときと使えていないときがあるから。 常に敬語を使うことがないから。 あまり人と話さないので,あまり使わないから。 5 敬語は,必要ですか。その理由も書きなさい。 ○必要である。 91.1% 《理由》 敬意や上下関係を表すため。 日本の昔からのルールだから 上下関係をしっかりとするため。 失礼だから。 礼儀だから。 礼儀としてマスターしなくてはならない最低限のことだから。 目上の人と話しやすくなるから。 年上には敬語を使った方がいいから。 上下関係などの人間関係をしっかりと知って,成長を目指せるか ら。 相手と話すとき,きれいな言葉遣いをした方がいいから。 ため口で話すと,身分がわからなくなるから。 ○必要ではない。 0% ○どちらとも言えない。 8.9% 《理由》時と場合によって必要になるときがあると思っているから。 上下関係がはっきりわかるし,必要になるときがあると思ってい るから。 英語は敬語がないから,どっちでもいいと思うから。 6 敬語の種類(尊敬語 謙譲語 丁寧語 美化語)を知っていますか。 ○知っている。 14.7% ○聞いたことがある。 58.8% ○知らない。 26.5% 7 次の下線部の誤った表現を正しい敬語(尊敬語・謙譲語)に直しなさい。 A あちらの窓口でうかがってください。 《正答》 5.8% 《誤答》94.2% ①お聞きください。 ①うかがっていただけますか。 ②うかがってもらいますか。 ③おうかがってください。 ④わかりません。 B 明日,わたしが資料をご覧になります。 《正答》 50% 《誤答》50% ①拝見します。 ①ご覧にさせてもらいます。
②拝見いたします。 ②拝見になります。 ③見ます。 ④わかりません。 C 祖父が,学校にいらっしゃいます。 《正答》 14.7% 《誤答》85.3% ①うかがいます。 ①いらっしゃいます。 ②参ります。 ②お越しになります。 ③来てくださいます。 ④おります。 ⑤おいでなさいます。 ⑥いってらしゃいます。 ⑦来られます。 ⑧います。 ⑨わかりません。 D 校長先生は,お帰りになられました。 《正答》17.6% 《誤答》82.4% ①お帰りになりました。 ①ご帰宅なさいました。 ②帰られました。 ②ご帰宅なされました。 ③ご帰宅されました。 ④帰りました。 ⑤お帰りです。 ⑥わかりません。 意識調査からわかったことは,教師や同世代で身近に存在する部活動の先輩に対し て,上下関係を意識している生徒が多い。また,敬語に関して,よい印象を抱いてい ない生徒やよくわからないから使っていないと感じている生徒も多い。 よって,敬語の入り口でつかえ,敬語の持つおもしろさや奥深さに気づくことがで きていないことがわかる。 敬語の重要性や書くことにこだわり,教師が理解させようとしすぎると,敬語を理 解するというよりも,さらに遠ざけてしまうことになるだろう。したがって,敬語に 対する障害を取り除くように心がけ,自分の気持ちを表現する楽しさを味わわせたい。 そして,3学年で進路決定をする際に今まで以上に使用頻度が多くなることに気づか せるとともに,学校生活の中で自然と敬語を話すことができるようになれば,敬語が 身近なものであると感じられ,興味・関心が高まっていくと思われる。 (3)指導観 人と人との相互理解の大切さは,国際社会,情報化社会の進展に伴い,その重要性
がますます高まってくる。伝え合い,わかり合うために,生徒に「伝え合う力」を育 てる必要がある。具体的には,人間関係の中で,互いの立場や考えを尊重しながら, 言葉によって伝え合おうとする態度やそのための言語能力を確実に養っていくことで ある。 本校の研究主題は,「思考力・判断力・表現力の育成~人間関係づくりを活かした 基礎学力の伸長~」である。生徒が自分の課題をもって取り組む中で,自分の力で解 決していこうとする態度や能力を育てながら,表現力の向上をねらいとしている。指 導の具体案では,「個に応じた目標の持たせ方と自己評価のさせ方」として,「各自 自分なりの目標を持たせ,自己評価させながら自己学習能力を育てる。」ことを意識 させたいと考える。これは,学習内容と評価を考え,どのようなことができるように なればよいか,自分の目標設定の中で力をつけるということである。 以上のことから,国語科の努力点は,「論理的な思考を豊かに表現する力を身につ けさせる。」である。 敬語を学習することによって,人間関係の円滑化や心情のよき交流を促す言葉の働 きについて知る。敬語は,基礎的知識に立った上での活用が求められる。生徒の実態 からわかるように,尊敬語と謙譲語の難しさ,わかりづらさを軽減するために,わか りやすい表を用いて理解を深めさせる。基本的な認識,種類と働き,敬語の形,敬語 の適切な選び方,具体的な場面での使用方法等,中学生が使うことの多いものから学 習することで,自分の日常生活と関連づけて考えさせる。そして,クイズ形式で学ぶ ことで,言葉の持つおもしろさや楽しさを味わわせたいと考える。 学習するにあたり,単に日本語特有の敬語を知り,理解力を高めるのみにとどまら ず,目的や場面に応じて敬語を使い分けること,日本語を積極的に選択して活用でき る力を養わせたい。そして,学習によって自らが得たものを適切に表現することがで きることで,「表現する活動」につながると思われる。 3 単元の目標 ・目的や場面に応じ,敬語を適切に使おうとする。 (関心・意欲・態度) ・敬語のはたらきや特徴について知ることができる。 (伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項) 4 指導計画(4時間扱い) 学習過程 時配 学習内容と学習活動 評価規準(評価方法) 1 ・敬語の種類を学習する。 ・敬語に対する認識に基づき,相 ・言葉の特徴,きまり,用法を学 手や場面に応じた適切な使い分 一 ぶ。 けをする課題に取り組もうとし ・尊敬語より謙譲語の方が使い慣 ている。 次 れていない場合があるため,主 【関心・意欲・態度】
な動 詞の表現を知る。 (観察・自己評価表) ・身内に関する誤りやすい表現を ・敬語の種類と働き,特徴につい 学習する。 て理解している。 【言 ・場面に応じ,適切に敬語を使い 語に関する知識・理解・技能】 分ける。 (ワークシート) 1 ・例文について考える。 ・語例や使用例を参考に,相手や ・敬語を使って表現する。 場面 に応じて正しい敬語に直 二 そうとしている。 【関心・意欲・態度】(観察) 次 ・敬語の活用について理解し,働 きに注意して書いている。 【言語に関する知識・理解・技能】 (ノート・ワークシート) 2 ・ワークシートを用いて,まちが ・まちがいやすい敬語を正しく直 いやすい敬語を正しく直す。 し,その理由を理解している。 本時 ・「尊敬語を使うべきところを謙 【言語に関する知識・理解・技能】 (3/4) 譲語を使っている」「敬語が二 (ワークシート) 重になっている」「美化語『お』 ・誤用に気づき,適切な使い方を 三 を乱用する」などで,適切な敬 理解している。 語を見つける。 【言語に関する知識・理解・技能】 次 ・学習を振り返って,敬語を学ぶ (ワークシート) 意味を考える。 ・敬語の使い方,言葉の乱れ等, さまざまな角度から日本語につ いての考えを深めようとしてい る。 【関心・意欲・態度】 (観察・自己評価表) 5 本時の指導 (1)目標 ・日常生活の言葉に関心を持ち,目的や場面に応じ,敬語を適切に使おうとしている。 (関心・意欲・態度) ・敬語の種類やはたらき,特徴について理解し,的確に使い分けることができる。 (伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項)
(2)展開 時配 学習内容と学習活動 指導・支援 ○評価 7分 ・本時の目標をつかむ。 ○本時の学習の目標をつかむ。 ・敬語クイズを解く。 ・使ったことがない語聞いたことの ない語などの敬語があることを知 り,敬語のイメージを広げる。 友達と敬語探しの旅に出かけよう。 ・敬語の意義を考える。 ・敬語とは,相手を尊重する気持ち を言葉にあらわしたものであるこ とを理解させる。 12 分 ・敬語の作り方を学習する。 ①尊敬語 ・プリントを使い,敬語の種類を説 ◇敬語動詞 明する。 ◇助動詞「れる・られる」 ◇「お~になる(ご~なる)」 ・敬語に使うときの条件(相手・場 ◇接頭語・接尾語 面など)に気づかせる。 ②謙譲語 ◇敬語動詞 ・動作の主体は誰かを考えさせる。 ◇「お~する(ご~する)」 ◇接頭語 ・敬語に対する感覚を磨く。 ③丁寧語 ◇です・ます ◇ございます ④美化語 ◇お~ 18 分 ・3~4人の小グループで,封筒に入 っている敬語カードを分類する。 ①初級編 ・敬語の分類ができたら,グループ 答え合わせ の代表者に挙手させ,教師からも ②中級編 らった解答と 照らし合わせる。 答え合わせ
③上級編 答え合わせ 7分 ・分類が難しい敬語を書き出し,発表 ・マジックで紙に大きく敬語を書か する。 せ,黒板に貼らせる。 3分 ・まとめ ・時と場に応じて,的確に言葉を使い 分けることは,より豊かな人間関係 を築くことにつながる。 ・敬語は,日本独特の言葉遣いである。 3分 ・授業の評価をする。 ○敬語に対する認識に基づき,相手 や場面に応じた適切な使い分けを しようとしている。 【関心・意欲・態度】 (観察) ○敬語の種類と働き,特徴について 理解している。 【言語に関する知識・理解・技能】 (ワークシート) ○めあてを持って活動し,自己評価 表に記入することができる。 【関心・意欲・態度】 (自己評価表) ・次時の予告をする。 ・近代の短歌を通して,情景や心情 を読み取る学習をする。