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Deficiency of Phospholipase A2 Receptor Exacerbates Autoimmune Myocarditis in Mice 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 岸 宏樹 博士の専攻分野の名称 博 士 ( 医 学 ) 学 位 記 番 号 医工農博4甲 第 5 号 学 位 授 与 年 月 日 令和 2 年 3 月 19 日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 先進医療科学専攻

学 位 論 文 題 名 Deficiency of Phospholipase A2 Receptor Exacerbates

Autoimmune Myocarditis in Mice

(ホスホリパーゼ A2受容体はマウス自己免疫性心筋炎を抑制す る) 論 文 審 査 委 員 委員長 教 授 中尾 篤人 委 員 講 師 加賀 重亜喜 委 員 講 師 土屋 恭一郎

学位論文内容の要旨

( 研 究 の目 的 ) 分泌性ホスホリパーゼA2(sPLA2)は、発現分布・基質特異性の異なる11 種類のアイソザイム(IB、 IIA、IIC、IID、IIE、IIF、III、V、X、XI-A、XI-B)からなり、組織微小環境に生理活性脂質を動 員することで様々な生体応答を制御する。ホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)は、sPLA2をリガン ドとする膜 1 回貫通型の糖タンパク質であり、特に sPLA2-IB、IIA、IIE、IIF、X と高い親和性を

有することが知られている。我々はこれまで、PLA2R 遺伝子欠損(PLA2R KO)マウスを用いた PLA2R

の機能解析を推進してきた。マウス肺アレルギー性気管支炎モデルにおいて、気道平滑筋に発現する PLA2R が、気道上皮より分泌される sPLA2-IB をクリアランスすることで、エイコサノイド産生と

それに引き続く気管支炎を抑制することを報告した(J Immunol. 2013;191:1021-1028)。更に、マ ウス心筋梗塞モデルにおいて、心筋線維芽細胞に発現するPLA2R がコラーゲン依存的な細胞遊走促 進作用を介して、心筋梗塞後の心破裂を抑制することを見出した(Circ Res. 2014;114:493-504)。 心筋炎はウイルス感染等に伴う自己免疫疾患と考えられており、極めて予後不良の疾患であるにも かかわらず、そのメカニズムはほとんど解明されておらず、有効な治療法も確立していない。本研究 では、マウス自己免疫性心筋炎モデルを用いてPLA2R の心筋炎における役割を解明し、心筋炎の新 規治療法開発に繋げることを目的とした。 (方法) 自己免疫性心筋炎はαミオシン重鎖を免疫することで誘発した。マウスから心臓を採取し、PLA2R とsPLA2の心臓における局在を免疫染色法で、それらの発現量を定量PCR 法とウェスタンブロット 法で評価した。また、フローサイトメトリー法で PLA2R の発現細胞を確認した。続いて、ELISA

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法で心臓組織内のエイコサノイドを、定量PCR 法でサイトカイン産生を、フローサイトメトリー法 で心蔵組織内に浸潤したヘルパーT 細胞(Th 細胞)数の測定を、顕微鏡で組織学的評価を行った。 マウス脾臓から CD4+細胞を分離し、PGE2およびTXA2Th17 細胞の分化・増殖に及ぼす影響を 観察し、エイコサノイドとTh 細胞との関係について in vitro で評価した。 (結果) 自己免疫性心筋炎誘発後21 週間後の PLA2R KO マウスでは、心臓組織における炎症細胞の浸潤 領域が野生型(WT)マウスに比べて 40%増加しており、心筋炎の悪化を認めた。PLA2R は心筋炎

誘発後のαSMA 陽性心筋線維芽細胞に発現誘導され、sPLA2-IB および IIA は、心筋炎誘発後に心

臓組織に浸潤した好中球に発現していた。心筋炎誘発後のPLA2R KO マウス心臓組織における

sPLA2-IB および IIA のタンパク量は、WT マウスに比べて 5 倍から 10 倍に増加していることがウ

ェスタンブロット法で示された。更に、心筋炎誘発後のPLA2R KO マウス心臓組織における PGE2 およびTXB2は、WT マウスと比較して 8 倍から 10 倍に増加していた。マウス脾臓由来の CD4+細 胞を用いた実験では、PGE2がTh17 細胞の細胞増殖を促進することが示された。 (考察) PLA2R KO マウスにおいて、自己免疫性心筋炎が WT マウスに比べて悪化したことは、PLA2R KO マウスの心筋内のsPLA2-IB、IIA 蛋白量が WT マウスより多かったこと、そしてそれに関連して炎 症性物質であるPGE2の量が多かったことに起因すると考えられた。この一連の変化は我々が以前、 肺の炎症モデルマウスで示したようにPLA2R 遺伝子の欠損は sPLA2クリアランス機能が損なわれる ことで sPLA2の増加をもたらし、結果として炎症性物質であるエイコサノイドを増加させるという

結果と一致するものであった。本研究ではsPLA2-IB、IIA のクリアランスを確認したが、PLA2R に

親和性があるその他のsPLA2アイソザイムについては、ウェスタンブロット法に適する抗体が無く、 タンパク定量ができなかった。これらの sPLA2アイソザイムが炎症増悪に関与したかどうかは定か ではない。また、最近の報告では、sPLA2は炎症促進作用のみでなく、抗炎症作用や代謝調節機能 などを有していることが明らかとなってきている(J Lipid Res. 2015;56:1248-1261)。したがって、 これらの作用をもブロックするPLA2R のクリアランス機能としての解析が今後の課題である。より 詳細なメカニズムが解明されれば、病態の理解や治療への応用に貢献できることが期待される。 (結論)

PLA2R KO マウスでは、sPLA2クリアランス機能が損なわれ、心筋炎誘発後にsPLA2増加をもた

らし、心臓組織の PGE2産生が増加する。PGE2は自己免疫性心筋炎において中心的な役割を担う

Th17 細胞の細胞増殖をもたらし、結果として自己免疫性心筋炎の増悪を招くことが示された。

論文審査結果の要旨

(博士論文審査の結果の要旨)

(3)

る。中でも、分泌型ホスホリパーゼ A2 は炎症作用を持つと考えられており、様々な炎症性疾患の病 態生理に関与することが示唆されている。ホスホリパーゼ A2 受容体は、分泌型ホスホリパーゼ A2 の受容体として同定されたがその機能は不明な点が多い。 これらの背景を踏まえて、岸氏は、自己免疫性心筋炎におけるホスホリパーゼ A2 受容体の役割に ついて、ホスホリパーゼ A2 受容体欠損マウスを用いて検討した。 岸氏は、心筋ミオシン重鎖タンパク質を抗原とする自己免疫性心筋炎モデルを、野生型およびホス ホリパーゼ A2 受容体欠損マウスに誘導した。その結果、ホスホリパーゼ A2 受容体欠損マウスにおけ る心臓では、野生型マウスと比較して、炎症細胞浸潤が約 40%程度増強、Th17 細胞が約3倍増加、PGE2 が約 10 倍程度増加していることが認められた。これらの結果は、ホスホリパーゼ A2 受容体欠損マウ スでは自己免疫性心筋炎が悪化することを示唆した。 また、分泌型ホスホリパーゼ A2(IB と IIA)の心臓内での産生もホスホリパーゼ A2 受容体欠損マウ スでは野生型マウスに比べて 10 倍程度増加していた。さらに in vitro での検討から、PGE2 は Th17 細胞の増殖を亢進させることが示唆された。 以上の結果から、ホスホリパーゼ A2 受容体は、分泌型ホスホリパーゼ A2 をトラップし、その産生 あるいは活性を減弱させることによって自己免疫性心筋炎の形成を抑制する作用があることが示唆 された。 これらの知見は、ホスホリパーゼ A2 受容体の生体内での新たな役割を明らかにし、 今後の医学の発展に貢献すると考えられた。 以上のことから、審査員3名(中尾、加賀、土屋)は、本博士論文の新規性ならびに医学研究にお ける意義を認め、論文博士審査を全員一致で合格とした。

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