232 松本歯学 37(2)・(3) 2011
第
73回松本歯科大学学会 (
例会)
{ 日時 :2
01
1年1
1
月1
2
日吐)1
3:3
0-1
6:1
5
{会場 :講義館2
01
教室プログラム
一 般 講 演1
3:30
開会 の辞 矢 ケ崎 雅 学長1
3:35
座長 安西 正 明 准教授 1.口腔外科診療室内の汚染 エアロゾルの拡散状況 ○伊藤香那 1・2,中山洋子1・2,石漬孝二4,下地茂弘112,各務秀 明1・3 1(松本歯大 ・口腔顎顔面外科), 2(松歯大 院 ・生体調節),3
(
松本歯大 ・総歯研 ・再生工学),4
(大阪大 ・歯学部 ・第一 口腔外科)2.
下顎埋伏智歯抜去術 にお ける吸引子管の効果 につ いて ○下地茂弘1・2,中山洋子1・2,石潰孝二4,伊藤香那1・2,各務秀明 l・3 1(松本歯大 ・口腔顎顔面外科)
, 2(松歯大 院 ・生体 調節)
,
3(松本歯大 ・総歯研 ・再生工学)
,4(大阪大 ・歯学部 ・第一 口腔外科)3.
局所麻酔薬 の組織血流量へ の影響 ○大野忠男,谷 山貴一,村 田賢司,隅田佐知, 石 田麻依子,丹羽 萌,溢谷 徹 (松本歯大 ・歯科麻酔)1
4:11
座長 大須賀 直人 准教授4.
歯槽頂線の記入 にお ける検討-ニ ッシン402L
模型一 〇谷 内秀寿1,三溝恒幸2,岡藤範正3,横井 由紀子4,黒岩昭弘5 1(松本歯大 ・入 門歯科医学), 2(松本歯大病院 ・技 工部), 3(桧本歯大 ・教育支援), 4(松本歯大 ・歯科保存 Ⅰ), 5 (松本歯大 ・歯科補綴)松本歯学 37(2)・(3) 2011 233
5.お口の健康科 における 3年間の取 り組み
○蛇江 由季1,岡本成美
1,水
揮 愛1,羽田え り
が,小林加奈
1,
西窪結香
1,中島靖子
1,三木 学2
,武藤昭紀
2,吉成伸夫
21
(
松本歯大病院 ・歯科衛生)
, 2(
松本歯大 ・歯科保存 Ⅰ)
6.レーザーによる歯肉メラニ ン除去の効果
○三木 学
1,西田英作
1,高橋弘太郎
2,武藤昭紀
1,吉成伸夫
11
(
松本歯大 ・歯科保存 Ⅰ),2
(
松本歯大院 ・健康分析)
7.El
de
c
a
l
c
i
t
o
l(
ED-71
)
はRANKLの発現 を抑制 し骨密度を増加 させる
原田 卓
1, ○高橋直之
1,溝口利英
1,中道裕子
1,小林泰浩
1,宇田川信之
zl
(
松本歯大 ・総歯研 ・機能解析),2
(
松本歯大 ・口腔生化)
年書 別 講 演1
5:1
0-1
6:1
0
座 長鷹股 哲也 教授
演題 :異分野融合による歯学研究の発展
講師 :佐々木 啓一 教授
(
東北大学大学院歯学研究科 研究科長 ・歯学部長
口腔 システム補綴学分野)
1
6:1
0
閉会の辞
高橋
直之 大学院歯学独立研究科長
234 松本歯学 37(2)・(3) 2011 1.口腔外科診療室内の汚染エアロゾルの拡散状況 ○伊藤香那1・2,中山洋子l・2,石演孝二
4
,下地茂弘 1・2,各務秀明1・3 1(松本歯大 ・口腔顎顔面外科)
,2(松歯大院 ・生体調節)
, 3(松本歯大 ・総歯研 ・再生工学)
,4(大阪大 ・歯学部 ・第一口腔外科) 【日的】 歯科診療時に発生す る飛沫やエアロゾルは以前 より院内感染対策において懸念 されている.仕切 りの 無い複数診療台設置診療室では患者間の交差感染 について も配慮が必要 となるが,その ような広い診療 室 において,汚染エアロゾルの拡散 については不明である.そ こで通常の診療時間帯 における診療室内 の汚染エアロゾルについて調査 を行 った. 【方法】 松本歯科大学口腔外科診療室 にてフィル タをとりつけた移動式口腔外バキュームを診療室の中央部で 稼働 し,エアーサ ンプルを行 った.2- 3時間の連続稼働ののち, フィル タに対 し血液検出試験 を行 っ た. また,落下細菌検査 を個別診療室,複数診療台設置診療室で行 った.個別診療室では処置別 (普通 抜歯,埋伏抜歯) に血液寒天培地上の コロニー数を記録 し,MS培地 にて簡易 同定 した. 【結果】
6台の診療台 と口腔外バキュームの距離 は3.2-8.8メー トルで,調査 したフィル タの血液検 出試験 陽 性率 は69%であった.血液陽性反応 を示 した 日での タービン使用率 は82%で陰性反応 を示 した 日と比べ 高か った.個別診療室 において,単純抜歯では術野か ら離れるに従 って コロニー数 は減少す るの に対 し,下顎埋伏智歯抜去では離れた培地での コロニー形成数 に差 は認め られなかった.複数診療台設置診 療室では診療台か ら9メー トル離 れた場所 で もコロニー形成が認め られた.それ らをMS培地 に植 菌 しコロニーを確認. グラム染色の結果 は,ほ とんどが口腔 内連鎖球菌であるグラム陽性球菌であった. 【結論】 患者血液は少な くとも3.2メー トルは浮遊 していることが確認で きた.当研究室の山田 らが1例ずつ 1m離れた距離で血液検 出試験 を行 った調査で も,下顎埋伏智歯抜 去時で90%,スケー リングで12% の陽性率で,診療台 との距離 を考慮 した場合,下顎埋伏智歯抜去の ような高速切削回転器具使用で血液 を含 んだエアロゾルが多 く発生 しているもの と考え られた.口腔内細菌の浮遊 は高速回転切削器具の使 用で増加 し,広い範囲に拡散することが推察 された.複数診療台設置診療室では,気流の影響 を受けた が,気流の影響の少 ない個別診療室での浮遊細菌培養の調査結果か らは,観血的処置で浮遊細菌を検 出 す るが,高速切削 回転器具の使用 で1.5mも3mも同程度 の コロニー形成数 とな り,口腔外科 的処置 で もローテマ- らの結果 と同 じ結果が得 られた.今後,院内感染対策 とし,口腔外バキューム使用,口 腔内バキュームの改善,高速切削 回転器具の使用時間の短縮や5倍速 コン トラアングルの使用 な ど,医 療機関における標準予防策の徹底の有用性 について も検討 してい く必要がある と思われる. 2.下顎埋伏智歯抜去術 にお ける吸引子管の効果について ○下地茂弘1・2,中山洋子1・2,石潰孝二4,伊藤香那1・2,各務秀明1・3 1(松本歯大 ・口腔顎顔面外科), 2(松歯大院 ・生体調節), 3(松本歯大 ・総歯研 ・再生工学),4(大阪大 ・歯学部 ・第一口腔外科) 【目的】 高速回転切削器具 を使用 した観血的手術 では血液 を含んだ飛沫やエアロゾルが発生 し,術者への血液 飛沫暴露 は約90%と非常 に高 く, また,術 野か ら1m離れた場所で も血液 を含 むエ アロゾルが検 出 さ れている.発生す る血液飛沫や浮遊す る血液エアロゾルの存在 は医療従事者や易感染性患者に対 して, 職業感染や院内感染の問題が懸念 される.そこでわれわれは,血液 を含 んだ飛沫やエアロゾルの発生 を 抑制す る吸引子管の効果について調査 を行 った.松本歯学 37(2)・(3)2011 235 【方法】 松本歯科大学病院 口腔外科で下顎埋伏智歯抜去術 を行 った患者 を対象 とした.高速 回転切削器具使用 中に術者へ フェイス シール ドを装着 し, 口腔外バ キュームを稼働 させ,エ アーサ ンプルを行 った.使用 した吸引子管 は1穴の従来型か,それに細孔 を付与 した改 良型の もの を使用 し,両者 にお ける血液飛沫 と血液エ ナロゾルの陽性率 を比較 した.血液 の検 出はロイコマ ラカイ トグリー ン法 を用 いた. 【結果】 術者へ準着 した フェイス シール ドにて検出 された血液飛沫陽性率は有意差 を認 めなか った
・ 1
分 間あ た りの血液飛沫量 はエ アー ター ビンと従 来型 の吸引子管 を用 いた症例 は平均5.5個 (全51例) であ るの に対 し,エアー ター ビンと改 良型吸引子 管 を用 いた症例 は平均1.7個 (全29例) であ り,有意差 を認 め た. また,術野か ら1m離 れた口腔外バ キュームに取 り付 けた フィル ターか らは血 液エ ア ロゾルがエ アー ター ビンと従来型 の吸引子管 を用 いた症例全51例 中29例 (57%)で検 出 され,エ アー ター ビンと改 良型吸引子管 を用 いた症例全l 41例中12例 (29%)で検 出 され,有意差 を認めた.1分 間あた りの血液エ アロゾル検 出個数は有意差 を認 めなかった. 【結論】 改良型吸引子管 は,下顎埋伏智歯抜去術 において発生す る血液飛沫量 を抑 制 し,血液 を含 むエアロゾ ルの発生 を抑制す る事が考 え られた. 3.局所麻酔薬の組織血流量への影響 ○大野忠男,谷 山貴一,村 田賢司,隅田佐知, 石 田麻依子,丹羽 萌,泣谷 徹 (松本歯大 ・歯科麻酔) 【目的】 局所麻酔薬 の組織血流量へ の影響 については,成書や論文 においで も様 々な見解が示 されてお り,一 定の結論 は示 されていない.そ こで今 回われわれ は,家兎 を用 いて,背部皮膚 に各種 局所麻酔 薬 を濃度 を変 えて皮下注射 し,皮膚組織血流量の変化 を調べた. 【方法】 週 齢15-20週,体 重2.5-4.0kgのNZW
雌 性 家 兎 を用 いた.家兎 の耳介 静脈 に カ テ ー テ ル を挿 入 し,チオペ ンタールナ トリウムを持続投与 し, 自発呼吸下で実験 を行 った.直腸温 をモニ ター し,組織 血流量 は レーザー ドップラー血流計 (ALF-2100,ア ドバ ンス) を用 いて測定 した.組織血流 量が安定 しているの を確 認後,26Gの注射針 にて局所麻酔薬0.2mlを皮下注射 した.実験 に用 い た局所麻酔薬 は0.125%∼2.0%リ ドカイ ン,0.125%∼3.0%メ ピバ カイ ン,0.125%∼0.75%ロ ビバ カイ ン,0.125% ∼0.5%ブ ピバ カイ ン,0.125%∼0.75%レポブピバ カイ ンとした.また,現在歯科 臨床 での使 用頻度が 高い局所麻酔薬 として1/80000ア ドレナ リン添加2%リ ドカイ ンとフェ リブ レシ ン添加3%プ リロカイ ンを使用 した.対照 として同量の生理食塩液 を注射 した.注射前 ,注射3分後 まで は30秒 間隔,注射3 分後か ら10分後 までは1分 間隔で,計14回組織血流量 を記録 した. 【結果】 局所麻酔薬 を注射 していない家兎の背部皮膚組織血流量 の変化 は80分 間で0.1ml/miIVIOOgの範 囲以 内であ った. また組織 血流量 と直腸温の 関係 か ら,実験 中の家兎 の体温 の変化 で は血流 量 は変化 しな かった.注射30秒 後は注射 自体 の影響 によ り組織血流量が大 き く変化 したため,局所麻酔薬の投与前 の 血流量 を基準 として,注射後1分か ら10分後 まで に最大 に変化 した値の変化率 を算 出 した.1/80000ア ドレナ リン添加2%リ ドカイ ンでは平均71.8% (n-4), フェ リブ レシ ン添加3%プ リロカイ ンで は 平均42.6%の組織血流量の減少がみ られた.0.125%∼2.0%リ ドカイ ン,0.125%∼0.5%ブ ピバ カイ ン では濃 度依存 的 に組織 血流 量 は増加 し,1.0%リ ドカイ ンで平 均167.6%,0.5%ブ ピバ カイ ンで平均 196.7%の組織血流量 の増加 がみ られた.0.125%∼0.75%ロ ビバ カイ ンで は濃 度 に依存せ ず,50%前後236 枚本歯学 37(2)・(3)2011 の組織血流量の減少がみ られた.0.125%∼0.75%メピバ カインでは組織血流量の減少傾向がみ られ, 1.0%∼3.0%メピバカインでは組織血流量の増加傾向がみ られた.0.125%∼0.5%のレポブピバカイン では組織血流量の減少傾向がみ られ,0.75%レポブピバ カインでは平均127.6%の組織血流量の増加傾 向がみ られた. 【まとめ】 リ ドカイン,ブピバ カインでは濃度依存的に組織血流量の増加傾向がみ られた.ロビバ カインでは濃 度の変化 に依存せず一定の組織血流量は減少 した.メピバ カイン, レポブピバ カインでは低濃度で組織 血流量の減少傾向が認め られ,濃度が上昇すると,増加傾向がみ られた. 4.歯槽頂線の記入における検討-ニッシン402L模型一 〇谷内秀寿1,三溝恒幸2,岡藤範正3,横井由紀子4,黒岩昭弘5 1(絵本歯大 ・入門歯科医学), 2(松本歯大病院 ・技工部), 3(松本歯大 ・教育支援),4(松本歯大 ・歯科保存 Ⅰ), 5(松本歯大 ・歯科補綴) 【目的】 歯槽頂線は模型の情報を基 に製作者の判断で記入 される.従 って,製作者が変われば同一模型で も記 入歯槽頂線に変化が生 じるが,臨床ではそれを必然のように黙認 している. しか し,一つの模型に理想 とする歯槽頂線 は本来一つ と思われる.そこで,実技試験や研究 ・教育 に多用 されている代表的模型の ニ ッシン402の下顎模型をとお して歯槽頂線 を記入す る際の個人差や模型の形による影響 を知る目的で 本研究 を試みた. 【方法】 ①模型 はゴム枠 (ニ ッシン402L)にノリタケス トンを注入 して製作 した.②歯槽頂線は松本歯科大 学歯科補綴学講座の教育経験3年以上の歯科医師10名にデンタルメジャーと鉛筆を使って普段通 りに記 入 して もらった.③計測点 は基準点 と模型周縁,歯槽頂線の交点 と模型後縁 か ら5.0mm,13.5mm (第2大臼歯遠心部付近),28.5mm (第1大臼歯部),43.5mm (第1小 臼歯近心部付近)の歯槽頂 線上の点 とした.④計測は座標測定器 (島津社)で行い, 1/1000mm を四捨五入 して計測値 として扱 い計算 した. 【結果】 ①歯槽頂線の記入 は,頬舌的に第1大臼歯部の左側が1.45mm の範囲にあ り,右側は1.11mm の範 囲にあった.第1小臼歯近心部は左側が1.97mm,右側 は2.45mm の範囲にあ り,第 2大臼歯遠心部 の左側 は2.79mm,右側で2.68mm の範囲にあった.そ して,臼後三角部では左側が3.91mm,右側 は3.99mm の範囲にあった.②犬歯部 ・切歯部の基準点 と歯槽頂線 の交点間には平均 で0.43-0.58 mm の距離的違いが認められた. 【考察】 結果 を見 ると,①基準点の犬歯 と切歯部はライン記入の基点 とされている.切歯部は分か り易 く狭い 範囲に記入 され,臼後三角部は前後的に少 し広い範囲に記入 され,犬歯部は前後 ・頬舌的に広い範囲に 記入 されていることか ら位置決定が難 しい と考えられる.②第 1大臼歯部の計測範囲は頬舌的に狭 く, 前方 または後方 に進むに従って線の計測範囲が広が ることか ら,臼歯部歯槽頂線は第 1大臼歯部を支点 として記入 されると考えられる.(釘歯槽頂線は顎堤 の凸部か ら凹部または底部に記入 される際にバ ラッ クことか ら,記入時には数方向か らの検討が必要 と思われる. 【結論】 本研究の結果,以下の結論 を得た. (9 臼歯部歯槽頂線は第
1
大臼歯部付近 を支点 として記入 される. (参 基準点は切歯部,犬歯部は歯槽頂線記入の基点 とされる.松本歯学 37(2)・(3) 2011 (参 顎堤の凸部か ら凹部,模型周縁の低部 に歯槽頂線が記入 される際の直線の維持 は難 しい. 237 5.お口の健康科 にお ける3年間の取 り組み ○蛇江 由季1,岡本成美1,水揮 愛1,羽田え りが ,小林加奈1, 西窪結香1,中島靖子1,三木 学2,武藤昭紀2,吉成伸夫2 1(松本歯大病院 ・歯科衛生), 2(松本歯大 ・歯科保存 Ⅰ) 【目的】 松本歯科大学病院では,超高齢社会 に適 した歯科的プロフェ ッショナルケアの提供 を目標 に2008年 4 月にお口の健康科 を開設 した.同科の現状把握 と患者の加齢的変化 に対するサポー トを向上 してい く一 助 として,開設時か ら2011年 3月 までの患者推移 について調査,考察 した. 【対象および方法】 お口の健康科 では,歯周組織検査,口腔清掃指導,Scaring&RootPlaning,機械歯面清掃 に加 えて 歯質の トリー トメン ト,歯肉マ ッサージ,フッ素塗布 を各 々患者の口腔内状況 に合 わせ プログラムを組 み,約 1時間30分で行 っている.今 回,調査期間中の稔患者数,性別,年齢,年度別来院患者数,初診 時か らの再来院卒,来院動機 をもとに患者推移 を検討 し,歯周組紙の臨床的変化 を比較 した. 【結果
】
3年 間の総患者数 は121名, うち男性44名,女性77名,世代別では,50歳代 が最 も多 く,年度別来院 患者数は,2008年60名,2009年81名,2010年87名であった.来院動機 としては,患者 自身の希望 による 来院が79名,病院内歯科医師による紹介42名であ った. また,初診時か らの再来院率は71.9%で, 3-6ケ月間隔 を目安にハガキで来院を促 している.ア ンケー ト調査 における満足度の評価では,高い と答 えた人は69.3%,普通 と答 えた人が30.7%,低い答えた人は 0%であった. また,患者の希望 としては 健康の維持が最 も多い結果であった.歯周組織の推移 を評価 した ところ,歯周組織 は安定 を維持 してい た. 【結論】
年度別来院患者数 は年 々増加 している.今後 さらに患者の増加 のため,病院全体でお口の健康科の 目 的を共有 し,メインテナ ンスプログラムを見直 し,パ ンフレッ トや患者の呼びかけにも力 を入れてい き たい.超高齢社会 を迎 えた現在 において,全身の健康 の獲得 を見据えた口腔管理が必要 となって きてい る.今後は加齢 に伴 う ドライマ ウスを対象 とした,育,頬粘膜のブラッシングや粘膜マ ッサージを取 り 入れ,唾液分泌 を促す ようなプログラムを計画 してい る. さらに,松本歯科大学病院健康づ くりセ ン ターや医科 との連携 を強化 してい くことにより多方面か ら患者の健康維持 に取 り組 んでい きたい. 6.レーザーによる歯肉 メラニ ン除去の効果 ○三木 学1,西 田英作1,高橋弘太郎2,武藤昭紀1,吉成伸夫1 1(松本歯大 ・歯科保存 Ⅰ),2(松本歯大院 ・健康分析) 【目的】 歯肉メラニ ン色素沈着は,歯肉の健康 に対 してなん ら影響 を及 ぼさないが, これ を審美的主訴 とす る 場合は,除去が必要不可欠 となって くる.今回,喫煙者の著明なメラニ ン色素沈着 に対す る除去効果 を 数値化 し,術前,術後で比較 した.同一口腔内,同一施術者 によって着色除去 を行 うことによ り, レー ザーによるメラニ ン色素の除去効果 において興味深い結果 を得たので報告す る. 【方法】 患者 は,歯肉メラニ ン色素沈着を主訴に来院 した37歳男性 で, 1日15本,16年間の喫煙習慣がある. 口腔内では上下顎第一小臼歯間の唇側歯肉に著明なメラニ ン色素沈着 を認めた.色素沈着 は黒褐色で左 右対称的に境界明瞭であった.色素沈着の著明 な処置部位 を 4ブロックに分割 し,患者の同意の もと, 上顎右側 を低速バーで,上顎左側 をEr:YAGレーザーで,下顎左側 は未処置,下顎右側 は炭酸 ガスレ-238 松本歯学 37(2)・(3) 2011
ザ一にて2週間毎 に処置 を行 った.歯科用 レーザー装置 はEr:YAGレーザー (ErwinAdvErL,株式 会社モ リタ,東京),炭酸 ガス レーザー (OPELASERLite,株式会社 ヨシダ,東京)を使用 した.バー は カーボラ ンダムポ イ ン トNo13,24,28(松風CA,株式会社松風,京都) を使用 した.術前術後 の 口腔内写真 を規格写真 として撮影 した.撮影場所,撮影者 は全て同一術者 にて行 った.各処置のメラニ ン除去効果 はImageJソフ ト (verl.44,NIH,Bethesda)にて評価 した.術者 と患者が蒲足 した色 調 をもって処置終了 とした. 【結果 および考察】 歯科用 レーザーに よる処置では両者 とも10回 目で患者の満足す る色調 になった.Er:YAGレーザー では
,4
回 目以降 よ り着色除去率が高 くな り,患者は,毎回わずかな術 中の痛み を感 じた.炭酸 ガス レー ザーは 3回 目以 降よ り着色除去率が高 くな り,炭酸 ガス レーザー処置では術 中に痔痛の発現は少なかっ た. カーボランダムポイ ン トでは,施術2回 目で患者の満足す る色調 になった.歯科用 レーザーにおけ る歯肉のメラニ ン色素沈着の除去効果 は,Er:YAGレーザー と炭酸 ガス レーザー間で差 はなかった. また, レーザー蒸散 によるメラニ ン色素沈着の処置 は,カーボランダムポイン トに よる機械的削除 よ り 患者 に苦痛 を与 えることが少 なかった.7.Eldecalcitol(ED-71)はRAm の発現 を抑制 し骨密度 を増加 させる
原田 卓1, 0高橋直之1,溝 口利英1,中道裕子1,小林泰浩1,宇田川信之2 1(松本歯大 ・総歯研 ・機能解析), 2(松本歯大 ・口腔生化) 【目的】 新規活性型 ビタミンD3誘導体であるeldecalcitol(ED-71)は,最近骨租擬症治療薬 として承認 され た.現在 までに,様 々な動物モデルにてED-71は,骨吸収 を抑制 し,骨密度 を増加 させ るこ とが報告 されている. しか し,ED-71の骨吸収抑制の作用機序 は不明の ままであ る.一方,我 々は,invivoに おける破骨細胞前駆細胞 を同定 し,その前駆細胞 をcellcycle-arrestedg.uiescent9SteOClastprecursor
(QOP)と名づ けた.そ こで本研 究で は,ED-71の骨吸収抑制作用 にQOPの動態が 関わるか解析 し
た.
【方法
】
ED-71 (50n〆kg, 1日1回) を正常オスマ ウスに4週 間連 日投与 した.大腿骨海綿骨部分 にて骨密 度お よび骨形態計測 を行 った. また,骨組織 に存在す る破骨細胞数 とQOP数 を測定 した.更 に,免疫 組織学的に,RANKL (receptoractivatorofNF-kBligand)発現細胞の動態 を観察 した.また,骨租 馨症モデルである卵 巣摘 出マ ウス にED-71(50ng収g,週5回) を4週 間投与 し骨組織 を解析 した. 血中パ ラメー ター として,Ca,TRAP5a,ALPを測定 した.
【結果】
(1)EDl71(50ngnig,1日1回)の2週間及び4週間の投与 は,高 カルシウム血症 をお こすことな く, 大腿骨海綿骨部分 にて骨密度 を増加 させ た.(2)ED-71の投与 によ り骨吸収及 び骨形成パ ラメー ターが 減少 した.(3)ED-71の投与 は,骨髄細胞 中のRANK陽性細胞 数 (QOP数) に影響 を与 えなか った.
QOPか ら破骨細胞への分化能 もED-71投与 により変化 しなか った.(4)ED-71の投与によ り,大腿骨 で
RANKLmRNAの発現が減少 した.(5)ED-71の投与 によ り,海綿骨表面のRANKL陽性細胞が有意 に 減少 した.(6)ED-71を卵巣摘 出マ ウス に授与 した ところ,骨量 を増加 させ た.ED-71は海綿骨表面 の
RANI正 一陽性細胞 を減少 させ,骨吸収 を抑制 した. 【結論】
以上 よ り,ED-71はQOPの動態 を変 えるのではな く,骨組織でのRANXL発現 を抑制 した. ED-71は破骨細胞形成支持環境 を抑制することで,骨吸収 を抑制す ると結論 された.