77
単位円板上での
KAM
理論
亀谷睦
(Makoto Kametani)
舞鶴工業高等専門学校
(Maizuru
College
of Technology)
1
はじめに
KAM
理論の “KAM
”とは, この理論を作り出した
3
人の数学者であるKolmogorov,
Arnold, Moser
の頭文字に由来している.
ごく大雑把に云うなら,
KAM
理論とは, 可積分系 (非摂動系) に近い力学系 (摂動系) に対して, 元の非摂動系が持っ性質が摂動系に おいてもどれくらい成立するか, という間に答える理論である. たとえば, 自由度が$n$の可積分ハミルトン系,
すなわち系の自由度に等しい個
の1
次 独立な第1
積分をもつハミルトン系は, $n$次元の不変集合からなる族$\{X_{\nu}\}$にょって相空 間全体が埋め尽くされ, 各$X_{\nu}$上での系の運動は振動数$\nu$の条件周期的な運動となること が知られている.1950
年代の半ばにKolmogorov [4]
は, この可積分系をハミルトン的に 少し摂動するとき, 各$X_{\nu}$ は存在し続けるか?
との間を立て, それに対し, 振動数$\nu$がディオファントス条件を満たすような
$X_{\nu}$は摂動後も少し変形されるだけで存在し続ける
だろうとの予想を述べた.
その後, この予想は彼の弟子であるArnold
[1], [2]
にょって証 明された. 彼らは問題を解析的なカテゴリで扱ったが, Moser [6]
は同種の問題を C △襪い$C^{n}$ のカテゴリで解いた. これらの原論文は1960
年代半ばまでに出版されたが, その後,60
年代後半から70
年代初めにかけて,,Arnold-Avez
[3]
やSiegel-Moser [7]
などの教科書が 出版された. また, その後のKAM
理論の発展と, その理論のシュレジンガー方程式の固 有関数の準古典近似 (Maslov理論) への応用を述べたLazutkin
の教科書[5]
が,90
年代 前半に出版された. さて, この論文の構成を述べよう.
第2
節では,Siegel-Moser
にょるーっの結果([7]
の 第 32\sim 33節) を紹介する. そこでは,2
次元円環上のツィスト写像の実解析的な摂動
$M$ に対し , $M$-
不変集合の存在が議論されている.
続く第3
節で, そのアナロジーとして, 我々の問題設定と結果を述べる.
っまり,単位円板とその上に作用する一次分数変換の群
に対し,Siegel-Moser
と同様にツィスト写像を考え,
その摂動に対して,[7]
と類似の結果 が成り立つことを主張する.
そして最後の第4
節で, 我々の結果の証明の大筋を述べる.
2
Siegel-Moser
の結果
この節では,
Siegel-Moser
による一つの結果を紹介する.2
次元円環$A$を考え, 極座標$(r, \theta)$ を用t)て $A=\{(r, \theta):a<r<b, -\infty<\theta<\infty\}$と表す $(0<a<b)$
.
このとき,$\tau$(r,$\theta$) $=(r, \theta+r)$ $(r, \theta)\in A$ (2.1)
によって定まる写像$\tau:Aarrow A$ を$A$上のツイスト写像と呼ぶ. ツイスト写像は次のような
著しい性質をもつ
:
各$\omega\in$ $(a, b)$ に対して, 原点を中心とする半径$\omega$の円周を $S_{(d}$ とするとき, すべての $S_{\omega}$は$\tau$-不変な集合であり, 相空間$A$は, これらの族$\{S_{\iota v}\}$ にょって埋め尽
くされている. この意味で, ツイスト写像が$A$
上に定める離散力学系は可積分系となる.
さて.
(2.1)
のツイスト写像$\tau$の摂動として$\mathrm{f}$ 次の
$M(r, \theta)=(r+f(r, \theta)$
,
$\theta+r$$+g(r, \theta))$(2.2)
で定まる写像$M$ を考える. ただし, $f$ と $g$は$A$上の実解析的関数で, 角変数$\theta$について 周期$2\pi$の周期関数だとする.
Siegel-Moser
の結果を正確に述べるには, 以下の2
つの定義が必要となる:
定義1
実数$\alpha l$がディオファントス条件を満たすとは, ある2
っの正定数$C_{0},$ $\mu$が存在し て, すべての自然数$p$ とすべての整数$q$に対して $| \frac{\omega}{2\pi}p-q|\geq C_{\mathrm{o}p}^{-\mu}$(2.3)
が成り立つときをいう.定義
2
写像$M$が円環$A$ において交差性質を持つとは, すべての円周 $S_{\iota u}$ と(
$A$ 内において)ホモトピックであるような $A$内の任意の閉曲線
$\gamma$ に対し,
$M(\gamma)\cap\gamma\neq\emptyset$
が成り立つときをいう.
さらに, 写像$M$が自然に複素化できることに注意しよう
.
実際, $\omega\in$ $(a, b)$ を任意に一つ固定する. 円周$S_{\omega}$ の複素近傍$A$
(s,
$\rho$)
を$A(s, \rho):=$
{
$(r,$$\theta)\in \mathrm{C}^{2}$:
$|r-\omega|<s,$ $|$Im
$\theta|<\rho$}
(2.4)
により定める $(s, \rho>0)$
.
仮定によって,$r$ $f,$ $g$は実解析的かっ$\theta$について周期$2\pi$の周期関
数だから, 正数$s_{0},$$\rho_{0}$ を十分小さくとれば, 写像$M$は$A(s_{0}, \rho_{0})$ において正則だと仮定し
てよい.
定理 1(Siegel-Moser) $\omega$はディオファントス条件を満たし, 写像$M$は交差性質を持ち,
$A(s_{0}, \rho_{0})$ において正則だと仮定する. このとき, 任意の正数$\epsilon$ に対し, $\epsilon$と式(2.3) の$C_{0},$ $\mu$
および $s_{0}$
,
$\rho_{0}$ にのみ依存する正数$\delta$が存在して,
$A(s_{0}, \rho 0)\sup(|f|+|g|)\leq\delta$
を満たすようなすべての $M$ について, . 以下の
(1)
から(3)
までが成り立っ:
(1) $M$は次の形の不変集合$S$ を持つ.
$S=\{(r, \theta)\in \mathrm{C}^{2} : r=\omega+p(\xi), \theta=\xi+q(\xi), \xi\in\overline{B}\}$
.
(2.5)
ただし, $B=\{\xi\in \mathrm{C} : |{\rm Im}\xi|<2^{-1}\rho_{0}\}$であり, $p(\xi),$ $q(\xi)$は $B$ において正則かつ$\overline{B}$
にお いて連続な, 周期$2\pi$の周期関数である. (2) $S$は次の意味で円周
\searrow
の複素化$\{\omega\}\mathrm{x}\overline{B}$ に近い:
$\sup_{\overline{B}}(|p|+|q|)\leq\epsilon$.
(3)
$S$上での $M$ の作用と $\{\omega\}\cross\overline{B}$でのツイスト写像の作用 $\xi\vdash+\xi+\omega$ は互いに共役であ る. すなわち, すべての$\xi\in\overline{B}$ に対して$M(\omega+p(\xi), \xi+q(\xi))=(\omega+p(\xi+\omega), \xi+\omega+q(\xi+\omega))$ $(2.6)$
が成り立つ.
注意. $M$が交差性質を持たないとき, 定理の結論を満たす (2.5) の形の $M$-不変集合$S$
は存在するとは限らない. 反例は, $c$を正定数として,
(2.2)
において$f(r, \theta)=c$
,
$g(r, \theta)=0$(2.7)
としたときの $M$により与えられる.
この $M$は交差性質をもたない
.
実際, 閉曲線$\gamma=S_{\omega}$ に対して M(\gamma )=S\mbox{\boldmath $\omega$}+。であるから, $M(\gamma)\cap\gamma=\emptyset$ となる.
さらに, この $M$が定理の結論を満たす $M$-不変集合$S$ をもたないことは, 次のように
してわかる. 背理法によることにして, 定理の結論を満たす$M$-不変集合$S$が (ある $\omega$に
対して) 存在したと仮定する. 関数${\rm Re} p(\xi)$ は閉集合$\overline{B}$
において連続かっ周期$2\pi$ の周期
関数であるから, この関数には$\overline{B}$
における最大値${\rm Re} p(\xi_{0})$ が存在する. この $\xi_{0}$ に対応す
る $S$ の点を $(r_{0}, \theta_{0})=(\omega+p(\xi_{0}), \cdot\xi_{0}+q(\xi_{0}))$ とすると,
(2.6)
から$M(r_{0}, \theta_{0})=(\omega+p(\xi_{0}+\omega), \xi 0+\omega+q(\xi 0+\omega))$
.
一方,
(2.7)
から,これら
2
式の右辺の $r$-成分を比較して, $p(\xi_{0}+\omega)=\mathrm{c}+p(\xi_{0})$, したがって ${\rm Re} p(\xi_{0}+.\omega)=c+{\rm Re} p(\xi_{0})>{\rm Re} p(\xi_{0})$.
これは, ${\rm Re} p(\xi_{0})$ が最大値であることに反する.
定理
1
の証明の詳細は[7]
に譲るが, その大筋だけをスケッチすると次のようになる.
証明はいわゆる
Newton
法による. つまり, $X_{0}=A(s_{0}, \rho 0)$から出発して, 円周 $S_{(\beta}$ の複素近傍の減少列 $\{X_{n}\}_{n=0}^{\infty}$ を
$X_{n}=A(s_{n}, \rho_{n})=$
{
$(r,$$\theta)\in \mathrm{C}^{2}$:
$|r-\omega|<s_{n},$ $|$Im
$\theta|</)n$}
の形で構成する. ただし, 正数列$\{s_{n}\},$
{\rho n}
は$s_{n}arrow 0$
,
$\rho_{n}=2^{-1}\rho \mathrm{o}(1+2^{-n})$ $arrow 2-1\rho$0 $(narrow\infty)$となるように定める. さらに, 各第$n$ステップにおいて, $X_{n}$ と $X_{n+1}$の間を$X_{n}\supset X_{n}^{(\mathfrak{y}}\supset$
$X_{n}^{(2)}\supset X_{n}^{(3)}\supset X_{n+1}$ と補間する集合$X_{n}^{(\nu)}$ をとり,
恒等変換に近い座標変換の列
$\{U_{n}\}_{n=0}^{\infty}$ と正則写像の列 $\{M_{n}\}_{n=0}^{\infty}$ を$U_{n}(r, \theta)$ $=$
(
$r+u_{n}$(
$r$,
の,
$\theta+v_{n}(r,$$\theta)$)$\mathit{4}_{n}(r, \theta)$ $=$ $(r+f_{n}(r, \theta)$
,
$\theta+r$$+gn$(r,
$\theta$)
$)$$\ovalbox{\tt\small REJECT}(r, \theta)$ $=$ $M(r$
,
の
てあって, 次の図式が定義てきてかつ可換になるように, 構成する:
$X_{n+1}$ $arrow U_{n}X_{n}^{(3)}$an
$X_{n}$ $M_{n+1\downarrow}X_{n}^{(1)}$ $\overline{U_{n}^{-1}}$ $X_{n}^{(2)}\downarrow M$ , $\vec{j_{n}}$ $XX3$ $M$,1)-1
ただし, $i_{n},j_{n}$ はそれぞれ包含写像である.
このとき,crucial
なのは次の二つの命題が成立することである:
命題1
$narrow\infty$ のとき, 次が成り立つ:
$\sup_{X_{n}}(|f_{n}|+|g_{n}|)arrow 0$.
命題
2
$V_{n}:=U_{0}U$1..
$U_{n}$ と置くと, 列$\{V_{n} : X_{n+1}arrow X_{0}\}$は, それらの定義域の共通部分$\infty$
$\cap X_{n+1}=\{\omega\}\mathrm{x}\overline{B}$
$n=0$
今, これら二つの命題が示せたとすると, $M_{n}U_{n}=U_{n}M_{n+1}$から得られる関係式$MV_{n}=$ $V_{n}M_{n+1}$ を $\{\omega\}\cross\overline{B}$ 上に制限して, $narrow\infty$ とすると, 命題
1
から, $M_{n+1}|_{\{\omega\}\mathrm{x}\overline{B}}arrow\tau|_{\{\omega\}\mathrm{x}\overline{B}}$.
一方, 命題2
から, $V_{n}|$ {n}xn $arrow\exists$X
$\mathrm{o}$.
したがって, 任意の$\xi\in\overline{B}$ に対して,$MV_{\infty}(\omega, \xi)=V_{\infty}\tau(\omega, \xi)=V_{\infty}(\omega, \xi+\omega)$
(2.8)
となる. ここて, $V_{n}$
(r,
$\theta$)
$=(r+p_{n}.(r, \theta)$,
$\theta+q_{n}$
(r,
$\theta$)
$)$ と表せば,
$V_{\infty}( \omega, \xi)=\lim_{narrow\infty}V_{n}(\omega, \xi)=(\omega+p(\xi), \xi+q(\xi))$
となる $B$上の正則関数$p(\xi),$ $q(\xi)$が存在することがわかる. したがって,
(2.8)
は$M(\omega+p(\xi), \xi+q(\xi))=(\omega+p(\xi+\omega), \xi+\omega+q(\xi+\omega))$
の成立を意味し, これより定理
1
の(1)
と(3)
がいえる. さらに, 定理中の $\delta$ を小さく絞 ることによって, 各$U_{n}$の恒等変換への近さを十分小さくして, それらの合成てある $V_{n}$ も 恒等変換に任意に近いようにでき, これより定理1
の (2) も従うことがいえる.3
単位円板上てのアナロジー
前節では, 円環$A=(a, b)\mathrm{x}S^{1}$ 上てのツィスト写像を考えたが, ツィスト写像自身は $\mathrm{R}\mathrm{x}S^{1}$ 上で定義できる:
$\tau$
(r,
$\theta$)
$=(r, \theta+r),$ $(r, \theta)\in \mathrm{R}\mathrm{x}S^{1}$.
そして, ツイスト写像を$\mathrm{R}\cross S^{1}$上の写像と見なす方が, ある意味でより自然てある. という のは, $\mathrm{R}$は円周$S^{1}$に作用する
Lie
群てあり, こう考えると, より 1 な状況, つまり位相空間$X$に
Lie
群$G$が作用しているという状況で, $G\mathrm{x}X$上のツイスト写像$\tau:G\mathrm{x}Xarrow G\cross X$を
$\tau$
(a,
$x$)
$=(a, a(x)),$ $(a, x)\in G\mathrm{x}X$(3.1)
として定義てきる. このとき, もし
(3.1)
のツィスト写像に対し, その複素化およひその正則な摂動$M$ のクラスをうまく設定できるならば,
Siegel-Moser
の結果のアナロジーを考えることが可能になるだろう
.
この節ては, このようなアナロジーのひとつの具体例を扱う. それは, (3.1 戸こおいて,
$X$ として単位円板$D_{1}=\{z\in \mathrm{C}:|z|<1\},$ $G$を $D_{1}$ に作用する群
とした場合である. 各$a\in SU(1,1)$ は $D_{1}$ に
1
次分数変換として作用する:
$a(z)= \frac{\overline{p}z+\overline{q}}{qz+p},$ $z\in D_{1}$.
以下では, 次の仮定を満たす$a_{0}$ をひとつ固定する
:
仮定
1
$|\mathrm{t}\mathrm{r}a_{0}|=|p+\overline{p}|<2$.
この仮定を満たす$a_{0}$は楕円的な元と呼ばれる. 良く知られているように, 楕円的な$a_{0}$ は$\hat{\mathrm{C}}=\mathrm{C}\mathrm{U}\{\mathrm{o}\mathrm{o}\}$内に不動点を
2
つもち, その1
つは $D_{1}$ 内にある. それを $z_{0}$ と表せば,他の不動点は$\overline{z}_{0}^{-1}$ となる. $z_{0}$ を
0
へ, $\overline{z}_{0}^{-1}$ を $\infty$へ、それぞれ移すような$b\in SU$$(1,1)$ と しで,$b(z)= \frac{z-z_{0}}{1-z_{0}^{-}z}$
(3.2)
をとることができる. さらに, $a_{0}$から一意的に定まる$\omega\in \mathrm{R}$が存在して,
$ba_{0}b^{-1}(\zeta)=e^{\dot{u}v}\zeta,$ $\zeta\in D_{1}$
(3.3)
が成り立つ. この $\omega$を $a_{0}$ の回転角と呼ぶことにしよう. 次の仮定をおく
:
仮定
2.
$a_{0}$ の回転角$\omega$は, 定義1
の意味でディオファントス条件を満たすさて, 仮定
1
と2
を満たす$a_{0}\in SU(1,1)$ を1
つ与えて, $a_{0}$の $SU(1,1)$ における開近傍を $U_{0}$ とする.
(3.1)
の意味での$SU(1,1)\cross D_{1}$上のツイスト写像を$\tau$ とし, それを $U_{0}\cross D_{1}$上に制限したものを $\tau_{U_{0}}$ と表す
:
$\tau_{U_{0}}(a, z)=(a, a(z)),$ $(a, z)\in U_{0}\cross D_{1}$
.
(3.4)
この$\tau_{U_{0}}$ を複素化するために, $SU(1,1)$ の複素化である
$SL(2, \mathrm{C})=\{a=(\begin{array}{ll}\alpha \beta\gamma \delta\end{array})$ $\in M_{2}(\mathrm{C})$
:
$\alpha\delta-\beta\gamma=1\}$を考える. $U_{0}$ の複素
$\circ$
近傍$W$ とは, $SL$(2,
C)
における開集合$W$であって $U_{0}\subset W$ を満たすもののことをいう. また, $\tau_{U_{0}}$ の複素化
$\tilde{\tau}$ とは, $U_{0}$ のある複素近傍$W$ と $\mathrm{C}$ における $\overline{D}_{1}$
のある近傍$Z$があって,
$\ovalbox{\tt\small REJECT}(a, z)=(a, a(z)),$
(a,
$z$)
$\in W\mathrm{x}Z$と表される $W\cross Z$上の正則写像のことをいう. この意味での$\tau_{U_{0}}$ の複素化 $\tilde{\tau}$が ($U_{0}$ と $W$およひ $Z$を十分小さく絞れば) 存在すること
を確認しておこう.
(3.2)
の$b$をとると,(3.3)
によって, $ba_{0}b^{-1}$ は, すべての $R>0$に対 し, 円板D
。を保存する.
一方, (3.2) によって, $b(\infty)=-z_{0}^{--1}$ となることがわかる. そ こで, $|z_{0}|^{-1}>1$ に注意して, 正数$r_{0}$ を $1+3r_{0}<|$z0I1
(3.5)となるようにとっておこう. このとき, $b(\infty)=-\overline{z}_{0}^{-1}\not\in\overline{D}_{1+3r_{0}}$であるから,
$\infty=b^{-1}(-\overline{z}_{0^{-1}})\not\in b-1(\overline{D}_{1+3\mathrm{r}0})$ (3.6)
となって,$r$ $a_{0}:b^{-1}(\overline{D}_{1+3r_{0}})arrow b^{-1}(\overline{D}_{1+3\mathrm{r}0})$ は正貝 $1\mathrm{J}$
とわかる. 一方, $(a, z)-\succ bab^{-1}$(z) は
2
変数$(a, z)$ について連続だから, 次が成り立っ
:
補題
1
$a_{0}$ のある複素近傍$W_{0}$が存在して, すべての $a\in W_{0}$ に対し$\sup\{|bab^{-1}(z)|$
:
$z\in\overline{D}_{1+r_{0}}\}\leq 1+2r_{0}$がなりたつ.
証明. $\overline{D}_{1+r0}$ のコンパクト性を用いる. 任童の$x\in\overline{D}_{1+3t\mathrm{o}}$ に対し, 関数$(a, z)\llcorner*bab^{-1}(z)$
は$(a, z)=(a_{0}, x)$ において連続だから, $a_{0}$の複素近傍$W$
(x)
および$x$の開近傍$V$(x)
が存在しで,
$(a, z)\in W(x)\mathrm{x}V(x)\Rightarrow|$
bab-10)-ba0b-1
$(x)|<r_{0}$(3.7)
がなりたつ.
{
$V$(x): $x\in\overline{D}_{1+r_{0}}$}
はコンパクト集合$\overline{D}_{1+r0}$ の開被覆であるから, その有限部分被覆
{
$V$(xi):
$i=1,2$..
.,
$n$}
が存在する. そこで, $W_{0}$ を$W_{0}:=. \bigcap_{1=1}^{n}W(x:)$
によって定義すると, $W_{0}$は$a_{0}$ の複素近傍である. $a\in W_{0},$$z\in\overline{D}_{1+r_{0}}$ とすると,
z\in V(x
となる番号$i$が存在するから,
(
$a$, z)\in W(xi)
$\cross$ V(x 箸覆. すると,
(3.7)
から, $|$bab-1
$(Z)|$ $\leq$ $|$ba0
$b^{-1}(x:)|+|bab^{-1}(z)-ba_{0}b^{-1}(x_{i})|$ $=$ $|$ xi$|+|bab$ -1$(z)-ba_{0}b^{-1}(x_{i})|$ く $|x_{i}|+r_{0}\leq 1+2r_{0}$ が成り立つ. したがって, 補題が示せた. (証明おわり) 補題1
が成り立つように $W_{0}$ をとると, すべての $a\in W_{0}$ に対し, 包含関係 赫$b^{-1}$ $(\overline{D}_{1+r0})\subset\overline{D}_{1+2r_{0}}$ が成り立つ. この両辺に $b^{-1}$ を施して, $ab^{-1}(\overline{D}_{1+r_{0}})\subset b^{-1}(\overline{D}_{1+2r_{0}})$ を得るが,(3.6)
から $\infty\not\in b^{-1}(\overline{D}_{1+2r_{0}})$ だから, すべての$a\in W_{0}$ に対し, 写像 $a:b^{-1}(\overline{D}_{1+r_{0}})arrow b^{-1}(\overline{D}_{1+2r_{0}})$は正則になることがわかる. したがって, 複素化
$\ovalbox{\tt\small REJECT}:W_{0}\mathrm{x}b^{-1}(\overline{D}_{1+r\mathrm{o}})arrow W_{0}\cross b^{-1}(\overline{D}_{1+2r_{0}})$
(3.8)
が存在することがわかった.
さて, 上で存在を確認した複素ツイスト写像$\tilde{\tau}$に対し, その正則な摂動
$M:W_{0}\mathrm{x}b^{-1}(\overline{D}_{1+r0})arrow SL(2, \mathrm{C})\mathrm{x}b^{-1}(\overline{D}_{1+3r_{0}})$ (3.9)
$M$(a, $z$
)
$=$ ($A$(a,
$z$), $Z(a,$ $z)$)
(3.10)
.
を考えよう. ただし, $M$には次の仮定を置く
:
仮定
3.
$I$を $SL(2, \mathrm{C})$ の単位元とするとき,\mbox{\boldmath$\varpi$}\rightarrow
の関数$(a, z)|arrow(a^{-1}A(a, z)-I,$ $Z(a, z)-a(z))$
は, $(a, z)–(a_{0}, z0)$ において、少なくとも
2
次のオーダーて消える.注意.
(
$A$(a,
$z$),
$Z($a,
$z)$)
$=$(
$aa^{-1}A($a,
$z),$ $a(z)+Z($a,
$z)-a(z)$)
であるから, $M$が正則写像として $\tilde{\tau}$ に近いというのは, $W_{0}\cross b^{-1}(\overline{D}_{1+r_{0}})$ における $||$
a-1A-I
$||+|$Z-a
$|$ の上限が小さいことを意味する.ただし
.’
$||\cdot|$|
は, $SL$(2,C)
の元を行列と見たときの, $\mathrm{C}^{2}$ から $\mathrm{C}^{2}$ への複素線形写像としての作用素ノルムを表す1
また, 仮定
3
と同値な条件は次である:(a0,
$z_{0}$)の近傍$U$および正定数$C_{U}$が存在して,すべての$(a, z)\in U$に対し, 不等式
$||$
a-1A(a,
$z$)
$-I||+|$Z(a,
$z$) $-a(z)|\leq C_{U}(||a-a_{0}||+|z-z_{0}|)^{2}$ (3.11)が成り立つ.
以上の準備の下で, この論文の主定理を述べると
定理
2
$a_{0}\in SU(1,1)$は仮定1
と2
を満たすとする. $z_{0}\in D_{1}$は$a_{0}$の不動点で, $b$は (3.2)て定まる
1
次分数変換だとする. 正数$r_{0}$ を(3.5)
で, $a_{0}$の複素近傍$W_{0}$ を補題1
て定めて,複素数ツイスト写像$\tilde{\tau}$を
(3.8)
によって定め, その正則な摂動$M$ は仮定3
を満たすとする. このとき, 任意の正数$\epsilon$に対し, $\epsilon$と仮定
1
のディオファントス条件に現れる$C_{0},$$\mu$ および$r_{0},$$W_{0}$ にのみ依存して定まる正数$\delta$が存在して
$\mathrm{f}$ $X_{0}=W_{0}\mathrm{x}b^{-1}(D_{1+r_{0}})$上で評価
$\sup_{X_{0}}(||a^{-1}A-I||+|Z-a|)\leq\delta$
を満たすようなすべての$M$ に対して, 以下の (1) から (3) まてが成立する
:
(1)
$M$は次の形の不変集合$S$ をもつ:
た$arrow.\theta$
し,
$(p, q):b^{-1}(\overline{D}_{1+2^{-1}r_{0}})arrow SL(2, \mathrm{C})$ $\cross \mathrm{C}$
は, $b^{-1}(D_{1+2^{-1_{\Gamma 0}}})$で正則, $b^{-1}(\overline{D}_{1+2^{-1}\mathrm{r}_{0}})$ で連続な写像である.
(2) $S$は次の意味で $\tilde{\tau}$
の不変集合 $\{a_{0}\}\cross b^{-1}(\overline{D}_{1+2^{-1}r_{0}})$ に近い
:
$\sup(||p(\zeta)-I||+|q(\zeta)|)\leq\epsilon$
.
(3)
$S$上ての $M$の作用は, $\{a_{0}\}\cross b^{-1}(\overline{D}_{1+2^{-1}r_{\mathrm{O}}})$ 上での$a_{0}$ の作用と共役である. すなわち, すべての$\zeta\in b^{-1}(\overline{D}_{1+2^{-1}r0})$ に対し,
$M(a_{0}p(\zeta), \zeta+q(\zeta))=(a_{0}p(a_{0}\zeta), a_{0}\zeta+q(a_{0}\zeta))$
が成り立つ.
4
定理
2
の証明の方針
この節ては, ます,- 定理2
が$a_{0}(z)=e^{\dot{\iota}\omega}z$ の場合に ($z_{0}=0,$ $b$=I
として) 成立するな ら, 一般の $a_{0}$ に対しても定理が示せること, つまり, 定理2
の証明が$a_{0}(z)=e^{1\omega}.z$ の場 合の証明に帰着できることをいう.
次に, この場合についての証明の大筋を述べる.
第1
段. $a_{0}(z)=e^{1\omega}.z$ の場合への帰着 定理2
が $a_{0}(z)=e^{u\prime}.\cdot z$ の場合には示せているとして, 一般の勾の場合を考える.
つま り,(3.8)
の複素ツイスト写像$\tilde{\tau}=\tau_{W_{0}}$ に対し, その摂動$M$が正則写像$M:W_{0}\cross b-1$ $(D_{1+r_{0}})arrow SL(2, \mathrm{C})\mathrm{x}b^{-1}(D_{1+3r_{0}})$ (4.1)
$M(a, z)=(A(a, z),$ $Z(a, z))$ (4.2)
として与えられていて, 条件 :(a0, $z_{0}$) の近傍$U$および正定数$C_{U}$が存在して, すべての
$(a, z)\in U$ に対し, 不等式
$||$
a-1A(a,
$z$)
$-I||+|Z(a, z)-a(z)|\leq C_{U}$(
$||a-a_{0}||+|$z-z0
$|$)
$2$
(4.3)
が成り立つ, を満たすとする.
変換$\lambda$を $\lambda$
(
$a$
,
z)=(励 b-l, $b(z)$)
によって定義すると,$\lambda:W_{0}\cross b^{-1}$
(Dl+r0)\rightarrow bp\mbox{\boldmath $\nu$}bb-1
$\cross$D1+r。
は双正則で, $\lambda(a_{0}, z_{0})=(ba_{0}b^{-1},0)$を満たす このとき,
$\tau_{bW_{0}b^{-1}}=\lambda$7$W_{0}\lambda^{-1}$
(4.4)
が成り立つ. ただし, $\tau_{bW_{0}b^{-1}}$ は, $\tau_{bW_{0}b^{-1}}$嘉$W_{0}b^{-1}\cross D_{1+r_{0}}arrow bW_{0}b^{-1}\cross D_{1+\mathit{2}r_{0}}$ を満たす
複素ツイスト写像を表す-
そこで, $\tilde{M}$を $\tilde{M}:=\lambda M\lambda$-1 と定義すると,
となって$j$
(4.4)
から, $\tilde{M}$は複素ツイスト写像$\tau_{bW_{0}b^{-1}}$ の正則な摂動であることがわかる. この $\tilde{M}$
を
$\tilde{M}(\alpha, \zeta)=(\tilde{A}(\alpha, \zeta),\tilde{Z}(\alpha, \zeta))$
と表すと,
$\tilde{A}(\alpha, \zeta)$ $=bA(b^{-1}\alpha b, b^{-1}\zeta)b^{-1}$
,
$\tilde{Z}(\alpha, \zeta)$ $=bZ((b^{-1}\alpha b, b^{-1}\zeta)$
となることがわかる. これより, $a=b^{-1}\alpha b,$ $z=b^{-1}\zeta$ と置くと,
$||\alpha^{-1}\tilde{A}(\alpha, \zeta)-I||$ $+$ $|$
Z
$(\alpha, \zeta)-\alpha(\zeta)|$$=||$
ba-1A(a,
$z$)
$b^{-1}-I||$ $+$ $|$bZ(a,
$z$) $-ba(z)|$(4.6)
が成り立つ. 補題
2
すべての正数$R$に対し, $C_{R}:= \sup\{|1-\overline{z}_{0}z|^{-1} : z\in b^{-1}(D_{R})\}$ は有限な値であり, 任意の $Z,$ $W\in b^{-1}(D_{R})$ に対して, 次の不等式が成り立つ:
$|$b(Z)-b(W)
$|\leq C_{R}^{2}$(
$1-|$z
$\mathrm{o}|^{2}$)
$|$Z-W
$|$.
(4.7)
証明. $C_{R}$が有限値であることは, $b$の定義から, $b(\overline{z}_{0}^{-1})=\infty\not\in\overline{D}_{R}$であるから, $\overline{z}_{0}^{-1}=$ $b^{-1}(\infty)\not\in b^{-1}(\overline{D}_{R})$ となることによる. 後半の評価式も, 再び$b$の定義を用いて $b(Z)-b(W)$ $=$ $\frac{Z-z_{0}}{1-\overline{z}_{0}Z}-\frac{W-z_{0}}{1-\overline{z}_{0}W}$ $=$ $\frac{(Z-z_{0})(1-\overline{z}_{0}W)-(W-z_{0})(1-\overline{z}_{0}Z)}{(1-\overline{z}_{0}Z)((1-\overline{z}_{0}W)}$ $=$ $\frac{(Z-W)(1-|z_{0}|^{2})}{(1-\overline{z}_{0}Z)((1-\overline{z}_{0}W)}$ であることから, 従う. (証明おわり) 補題2
を $R=1+3r_{0}$ として (4.6) の右辺の第2
項に用いると,(4.6)
の右辺 $=$ $||ba^{-1}A(a, z)b^{-1}-I||+|bZ$(a,
$z$)
$-ba(z)|$$\leq$ $||b||||b^{-1}||||a^{-1}A$(a, $z$) $-I||+C_{1+3r_{0}}^{2}|Z$(a, $z$) $-a(z)|$
$\leq$ $C$
(
$||a^{-1}A$(a, $z)-I\downarrow|+|Z($a,
$z)-a(z)|$)
(4.8)
となる. ただし, $C:= \max\{||b||||b^{-1}||, C_{1+3\tau 0}^{2}\}$
.
ここて, $(\alpha, \zeta)\in\lambda(U)$ とすると, $(a, z)\in U$ てあるから,
(4.3)
を用いて,が得られる. ところが, (4.8) と同様にして
$||$
a-ao
$||+|$z-z0$|$ $=$ $||b-1\alpha$b-a
$0||+|$b-1
$(\zeta)-b^{-1}(0)|$$\leq$ $C’(||\alpha-ba_{0}b^{-1}||+|\zeta|)$ (4.10)
が成り立つ. (4.9) と (4.10)から,
$||\alpha^{-1}\tilde{A}(\alpha, \zeta)-I||+|\tilde{Z}(\alpha, \zeta)-\alpha(\zeta)|$
$\leq CC_{U}C^{\prime 2}(||\alpha-ba_{0}b^{-1}||+|\zeta|)^{2}$
となる. これは, $\tilde{M}$
が $(\alpha, \zeta)=(ba_{0}b^{-1},0)$ の近傍$\lambda(U)$ において, 仮定
3
を満たすことを意味する.
さて, $ba_{0}b^{-1}(\zeta)=e^{u\prime}.\cdot\zeta$ であって, $\tilde{M}$
は複素ツィスト写像
ラ $=\tau_{bW_{0}b}-1:(\alpha, \zeta)\vdash\not\simeq(\alpha, \alpha(\zeta))$
の正則な摂動であり仮定
3
を満たしている. すると, この場合に定理2
が成り立っことを仮定しているので, 任意の正数$\tilde{\epsilon}$
に対し, 正数$\tilde{\delta}$
が存在して, $\tilde{X}_{0}:=bW_{0}b^{-1}\mathrm{x}D_{1+r_{0}}$ と置
くとき,
$\sup_{\tilde{X}_{0}}(||\alpha^{-1}\tilde{A}(\alpha, \zeta)-I||+|\tilde{Z}(\alpha, ()-\alpha(\zeta)|)\leq\tilde{\delta}$
であれば, 以下のことが成立する
:
$(\tilde{1})M$
\tilde
は次の形の不変集合$\tilde{S}$
をもつ.
$\tilde{S}=\{(\alpha, \zeta)$ : $\alpha=ba_{0}b^{-1}\tilde{p}(\xi),$ $\zeta=\xi+\tilde{q}(\xi)$, $\xi\in\overline{D}_{1+2^{-}}1r$
J.
たがし,
$(\tilde{p},\tilde{q})$
:
$\overline{D}1+.2^{-}1r_{0}arrow SL(2, \mathrm{C})\cross \mathrm{C}$ は $D_{1+2^{-1}\tau 0}$で正則かつその境界まで込めて連続な写像である.(2) $\tilde{S}$
は$\tilde{\tau}$
の不変集合 $\{ba_{0}b^{-1}\}\mathrm{x}\overline{D}_{1+2^{-1}\mathrm{r}0}$ に次の童味で近い
:
$\mathrm{s}\mathrm{u}$
p
$\{||\tilde{p}(\xi)-I||+|\tilde{q}(\xi)|:\xi\in D_{1+2^{-1}r_{0}}\}\leq\tilde{\epsilon}$.
$(\overline{3})S$
\tilde
上での $\tilde{M}$
の作用と, $\{ba_{0}b^{-1}\}\cross\overline{D}_{1+2^{-1}\mathrm{r}0}$ 上での $ba_{0}b^{-1}$ の作用とは共役である.
そこで, 改めて任意の正数$\epsilon$ を与えて, $\tilde{\epsilon}$ を $C’\tilde{\epsilon}\leq\epsilon$ となるようにとる. 次に, この$\tilde{\epsilon}$
に対して定まる $\tilde{\delta}$
をとって, それに対して正数$\delta$ を, $\delta\leq C^{-1}\tilde{\delta}$
を満たすように決める.
すると, もし, $X_{0}:=W_{0}\cross b^{-1}(D_{1+r_{0}})$ 上で
$\sup_{X_{0}}(||a^{-1}A(a, z)-I||+|Z(a, z)-a(z)|)\leq\delta$
ならぱ,
(4.8)
から$\sup_{\tilde{X}_{0}}(||\alpha^{-1}\tilde{A}(\alpha, \zeta)-I||+|\tilde{Z}(\alpha, \zeta)-\alpha(\zeta)|)$
だから, 上の $(\tilde{1})$から $(\tilde{3})$ までが成り立つ. そこで, $S:=\lambda^{-1}(\tilde{S})$ と定めれば, 上の性質
$(\tilde{1})$ および $\lambda$
の定義によって
$S=$ $\{\lambda^{-1}(ba_{0}b^{-1}\tilde{p}(\xi), \xi+\tilde{q}(\xi))$
}
$=$ $\{(a_{0}b^{-1}\tilde{p}(\xi)b, b^{-1}(\xi+\tilde{q}(\xi)))\}$
そこで, パラメータ $\xi\in\overline{D}_{1+2^{-1}r0}$ を $\zeta=b^{-1}(\xi)$ に取り替えて, $p(\zeta),$ $q(\zeta)$ をそれぞれ
$p(\zeta)$ $:=b^{-1}\tilde{p}(b\zeta)b$
,
$q(\zeta)$ $:=b^{-1}(b\zeta+\tilde{q}(b\zeta))-\zeta$
(4.11)
によって定義すれば,
$S=\{(a_{0}p(\zeta), \zeta+q(\zeta)):\zeta\in b^{-1}$
(
$\overline{D}_{1+2^{-1}}$r$0$
)}
(4.12)
となって, 定理
2
の(1)
が成り立つ. さらに,(4.11)
と(4.10)
および上の性質 $(\tilde{2})$ により,$\zeta\in b^{-1}(D_{1+2^{-1}r0})$ ならは
$||$
p
$(\zeta)-I||+|q(\zeta)|$ $\leq$ $||$b
$||||b-1||||\tilde{p.}$(b
$\zeta$)
$-I||+|$b-1
$(b\zeta+\tilde{q}(b\zeta))-b^{-1}(b\zeta)|$$\leq$ $C’(||\tilde{p}(b\zeta)-I||+|\tilde{q}(b\zeta)|)$
く $C’\tilde{\epsilon}\leq\epsilon$
だから, 定理
2
の(2)
の成立もわかる. さらに, $M=\lambda^{-1}\tilde{M}\lambda$ だから, 上の性質$(\tilde{3})$ を用いて
$M(a_{0}p(\zeta), \zeta+q(\zeta))=\lambda^{-1}\tilde{M}\lambda(a_{0}p(\zeta), \zeta+q(\zeta))$
$=\lambda^{-1}$
A
$\sim(ba_{0}p(\zeta)b^{-1},$ $b(\zeta+q(\zeta)))$ $=\lambda^{-1}A\sim(ba_{0}b^{-1}\tilde{p}(b\zeta),$ $b\zeta+\tilde{q}(b\zeta))$$=\lambda^{-1}A-(ba_{0}b^{-1}\tilde{p}(\xi^{\backslash },, \xi+\tilde{q}(\xi))$
$=\lambda^{-1}(ba_{0}b^{-1}$
p(ba0b
$-1\xi$), $ba_{0}b^{-1}\xi+\tilde{q}$(ba0b
-1C)
$)$$=\lambda^{-1}(ba_{0}b^{-1}\tilde{p}(ba_{0}\zeta),$ $ba_{0}\zeta+\tilde{q}(ba_{0}\zeta))$
$=(b^{-1}ba_{0}b^{-1}\tilde{p}$
(bQO
$\zeta$)
$b,$ $b^{-1}$(
$ba_{0}\zeta+\tilde{q}$(ba
$\mathrm{o}\zeta)$)
$)$ $=(a_{0}b^{-1}\tilde{p}(ba_{0}\zeta)b,$ $b^{-1}b(a_{0}\zeta+q(a_{0}\zeta)))$ $=(a_{0}p(a_{0}\zeta), a_{0}\zeta+q(a_{0}\zeta))$ となって, 定理2
の (3) も示せる. (第1
段おわり) 第2
段. $a_{0}(z)=e^{-w}z$ の場合の定理2
の証明の大筋 以下では, $\omega$はディオファントス条件を満たす実数とし, $a_{0}(z)=e^{1\omega}.z$だとする. また, $W_{0}$は勾の
$SL$(2, C)
における倒近傍て, $W_{0}\mathrm{x}D_{1+\mathrm{r}0}$ 上で複素ツイスト写像$\tilde{\tau}$が定義されているとする. $SL$
(2, C)
はLie
群だから, $W_{0}$ は, 単位元$I$の近傍$U_{0}$ を用いて, $W_{0}=a_{0}(U_{0})$と表すことができる.
この $U_{0}$に以下のような座標系 $y=$ $(y_{1}, y2, y_{3})$ を導入する.
2
$\mathrm{x}2$行列 $u=(\begin{array}{ll}\alpha \beta\gamma \delta\end{array})$ $\in U_{0}$に対して, $y$を
$\beta=\alpha y_{1},$ $\gamma=\delta y_{2},$ $\alpha=1+y_{3}$
(4.13)
により定義する. 関係式$\alpha\delta-\sqrt\gamma=1$より
$\alpha\delta(1-y_{1}y_{2})=\delta(1+y3)(1-y_{1}y_{2})=1$
だから,
y\in D13(つまり,
$|y_{j}|<1$)
てあれば,$u=uy=(\begin{array}{llllll} 1+y\S (1+y_{3})y_{1} (1- y_{1}y_{2})^{-1}(1+ y_{3})^{-1}y_{2} (1- y_{1}y_{2})^{-1}(1+ y_{3})^{-1}\end{array})$ $(4.14)$
となって, $y\vdasharrow u_{y}$ は双正則な対応となる. この$u_{y}$ による $z\in D_{1+r_{0}}$ の像を
$F(y, z):=u_{y}(z)=(1-y_{1}y_{2})(1+y_{3})^{2} \frac{z+y_{1}}{y_{2}z+1}$
(4.15)
と表す 特に, $F(0, z)=z$ となる.
さて, $a_{0}$ の複素近傍$W_{0}$は (補題
1
の要請を $b=I$ としてみたす位に) 小さいから, 正数$s_{0}$ を十分小さくとると, $U_{0}=\{u_{y}:y\in D_{s0}^{3}\}$ に対する $W_{0}=a_{0}(U_{0})$はこの要請を満た
すとしてよい. このとき, $y\in D_{s0}^{3}$ と $a=a_{0}u_{y}\in W_{0}$ を同一視して, ツィスト写像
$\ovalbox{\tt\small REJECT}$:(a,
$z$) $=(a_{0}u_{y}, z)\vdasharrow$
(
$a_{0}u$y’ $a_{0}u_{y}(z)$)を, 写像
$\ovalbox{\tt\small REJECT}:(y, z)\vdash+(y, a_{0}F(y, z))$
と同一視できる. 同様に, $\tilde{\tau}$ の正則な摂動
$M:(a, z)\vdasharrow(A(a, z),$ $Z(a, z))$
についても,
$A(a, z)$ $=a_{0}a_{0}^{-1}A(a, z)=a_{0}u_{Y}=a_{0}u_{y+\oint(y,z)}$
$Z(a, z)$
$=a(z)+Z(a, z)-a(.z)=a(z)+g(y, z)$
と考えて, $M$ を次の写像$\hat{M}$
と同一視できる
:
$\hat{M}:(y, z)\vdash\not\simeq(y+f(y, z),$ $a_{0}F(y, z)+g(y, z))$
.
(4.16)
補題
3
$M$ についての仮定3
は, $(f, g)$ が $(y, z)=(0,0)\in \mathrm{C}^{3}\mathrm{x}$C
において.$\wedge$ 少なくとも
2
次のオーダーで消えることと同値である.証明. $z_{0}=0$ であるから, 仮定
3
は, ($a^{-1}A$(a, $z)-I,$ $Z$(a, $z)-a(z)$) が$(a, z)=(a_{0},0)$において少なくとも
2
次のオーダーで消えることである. この関数の第2
成分を座標$(y, z)$を用いて表したものが$g(y, z)$ であるから, $(y, z)=(0,0)$ が$(a, z)=(a_{0},0)$ に対応する
ことに注意すれば, $g$ についての主張が従う.
一方, 上の $f$ の定め方から,
$a^{-1}A(a, z)-I=$ $(a_{0}u_{y})^{-1}A(a, z)-I$
$=u_{y}^{-1}a_{0}^{-1}A(a, z)-I$ $=u_{y}^{-1}u_{y+f(y,z)}-I$
(4.17)
がわかる. すると, 左辺を $(y, z)$ の関数と見るとき, ます仮定3
から, これが $(0, 0)$ で 少なくとも1
次のオーダーで消えることがわかり, これより $u_{f(0,0)}=u_{0}=I$ が$\mathrm{A}1$ え, $f(0,0)=0$ がいえる.次に, (4.14) にお\mbox{\boldmath $\nu$})て$y$ を $y+f$(y, $z$) で取り替えたものを考え, それを $f$ につ t) てテ
イラー展開することによって, 行列としての等式
$u_{y+f}=u_{y}+$ $+$
(y)(f)
$+(f)2$が得られる. ただし,
(y)
と(f)
は, それぞれ, $y_{1},$ $y_{2},$$y_{3}$ および $f_{1},$ $f_{2},$ $f_{3}$ が生成するイデ アルである. したがって,(4.17)
の右辺は$u_{y}^{-1}uy+f(y,i)-I$ $=u_{y}^{-1}\{u_{y}+(\begin{array}{ll}f_{3} f_{1}f_{2} -f_{3}\end{array})$ $+$ (y)(f) $+(f)2\}-I$
$=u_{y}^{-1}(\begin{array}{ll}f_{3} f_{1}f_{2} -f_{3}\end{array})+(y)(f)+(f)^{2}$
$=$ $(\begin{array}{ll}f_{3} f_{1}f_{2} -f_{3}\end{array})+$ (y)(f) $+(f)2$
となることがわかる. したがって, $a^{-1}A$
(a,
$z$)
$-I$ が $(a_{0}.’ 0)$ にお1)て少なくとも2
次のオーダーで消えることは, $f$
(y,
$z$)
が $(0, 0)$ において2
次のオーダーで消えることと同値となる. (証明おわり)
以下では, $M$ の代わりに $\hat{M}$
を考える. 補題
3
によって, 仮定3
を次の仮定4
に置き換えてよい
:
仮定4, (f, $g$) が $(y, z)=(0,0)\in \mathrm{C}^{3}\cross \mathrm{C}$ にお\mbox{\boldmath $\nu$})で, 少なくとも
2
次のオーダーで消える.
以上のように座標を入れて考えると, $a_{0}(z)=e^{-I\theta}z$ の場合の定理
2
の証明は, 次の定理定理 3{$v$ はディオファントス条件を満たす実数とし
,
$a_{0}(z)=e^{\dot{w}}z$だとする. 写像$F$(
y,
$z$)
は (4.15) で定まるとし, $\hat{\tau}$
と $\hat{M}$
はそれぞれ,
$\ovalbox{\tt\small REJECT}(y, z)$ $=$ $(y, a_{0}F(y, z))$
$\hat{M}(y, z)$ $=$ $(y+f(y, z),$ $a_{0}F(y, z)+g(y, z))$ (4.18)
で定まる写像で, これらはともに $D_{\ell_{0}}^{3}\cross D_{1+r\mathrm{o}}$ において正則かっ境界まで込めて連続だ
とする. さらに, 仮定 4が満たされるとする. このとき, 任意の正数$\epsilon$ に対し,
$\epsilon,$$C_{0},$$\mu$
およひ $r_{0},$$s_{0}$ にのみ依存する正数$\delta$ が存在して,
$X_{0}=D_{\epsilon \mathit{0}}^{3}$ $\cross$
Dl+r
。上において
$\sup_{X_{0}}(|f|+|g|)\leq\delta$ てあるようなすべての $\hat{M}$ に対して, 以下の
(1)
から(3)
までが成り立つ:
(1)
$\hat{M}$ は次の形の不変集合$\hat{S}$ をもつ.$\hat{S}=\{(y, z)\in X_{0}:y=\hat{p}(\zeta),$ $z=\zeta+\hat{q}(\zeta)$
,
$\zeta\in\overline{D}_{1+2^{-1}r0}$}.
ただし$ $(\hat{p}, q\hat)$
:
$\overline{D}_{1+2^{-1_{f}}0}arrow \mathrm{C}^{3}\mathrm{x}\mathrm{C}$ は;D1+2-1,
。において正則かつ境界まて込めて連続
である.
(2)
$\hat{S}$ は, $\hat{\tau}$ の不変集合 $\{0\}\cross\overline{D}_{1+2^{-1}r_{0}}$ に次の意味て近い:
$\sup\{|\hat{p}|+|\hat{q}|:\zeta\in\overline{D}_{1+}2-1,\}\leq\epsilon$.
(3)
$\hat{S}$ 上での $\hat{M}$ の作用は, $\overline{D}_{1+2^{-1}r_{0}}$ 上ての $a_{0}$ の作用と共役である. この定理3
の証明は, 第2
節で紹介した定理1
の証明の大筋とほぼパラレルに進行す る. つまり, 集合の減少列$\{X_{n}\}_{n=0}^{\infty}$ をXn=D2
、
$\cross D_{1+r_{n}}$ の形で構成する. ただし, 正数列$\{s_{n}\}$ と $\{r_{n}\}$ は$s_{n}arrow 0,$ $r_{n}=2^{-1}r_{0}(1+2^{-n})arrow 2^{-1}r_{0}(narrow\infty)$
となるようにとる. さらに, 各第$n$ステップにおいて, $X_{n}$ と $X\text{、}+1$ の間を, $X_{n}\supset X_{n}^{(1)}\supset$
$X_{n}^{\{2)}\supset X_{n}^{(3)}\supset X_{n+1}$ と補間する集合$X_{n}^{(\nu)}$ をとって, 恒等変換に近い座標変換の列 $\{U_{n}\}_{n=0}^{\infty}$ と正則写像の列 $\{M_{n}\}_{n=0}^{\infty}$ を,
し$n(y, z)$ $=$ (y+u。(y, $z$
),
$z+v_{n}(y,$ $z)$)
$M_{n}(y, z)$ $=$ $(y+f_{n}(y, z).,$ $a_{0}F(y, z)+g_{n}(y, z))$
$M_{0}(y, z)$ $=$ $\hat{M}(y, z)$
てあって, 次の図式が定義できてかつ可換になるように, 構成する
:
$X_{n+1}$ $arrow U_{n}X_{n}^{(3)}$ $arrow^{\dot{l}_{h}}$
$X_{n}$
$M_{n+1}\downarrow X_{n}^{(1)}$
$\overline{U_{\mathfrak{n}}^{-1}}$
ただし, $i_{n},j_{n}$ はそれぞれ包含写像である
.
このとき, 第2
節の命題1
および2
と同じ主張が成り立つことを示せぱ, 定理3
の証明 が完結する. これらの命題の証明の詳細はここでは省略するが, これらの命題を成立させるような列 $\{U_{n}\}$ と $\{M_{n}\}$ の構成の根拠を与える補題を述べておこウ.
この補題の原型はSiegel-Moser
[7]
にあり, そこても彼らの結果の証明の鍵になっている.
彼らのテキストでは, その補 題の証明に第33
節のすべてが費やされている.
そして我々の問題においても, 以下に述 べる補題が, やはり鍵の役割を果たす ます,- 設定を述べよう. 以下に出てくる定数$C\dot{.}$ $(i=1,2,3)$ はデイオファントス条件 に現れる定数$C_{0},$$\mu$ にのみ依存して定まる,1
より大きい絶対定数てあるとする. 正数 ’$\rho,$$s,$$\sigma,d$ は以下の不等式 $2$-1r
$0<\rho<r\leq r_{0}\leq 1$, $0<3\sigma<s<C_{2}^{-1}(r-\rho)$, $d<6^{-1}$s,
$\theta:=C_{1}(r-\rho)^{-2\mu-2_{\frac{d}{s}}}<8$-1$(r-\rho)$ を満たすとする.
また $M=\hat{M}$ は$A:=D_{l}^{3}\mathrm{x}D_{1+r}$ 上で定義された(4.18)
の形の正則写 像で, $\sup_{A}$(
$|f|+|$g
$|$)
$\leq d$を満たすとする. さらに, $B:=D_{\sigma}^{3}\cross D_{1+\rho}$ とし, $A\supset A^{(1)}\supset A^{(2)}\supset A^{(3)}\supset B$ となる補
間集合$A^{(\nu)}$ が, 次のように与えられているとする
:
$D_{s^{(\nu)}}^{s}\mathrm{x}D_{1+r^{\{\nu)}}$,
$r-4^{-1}\nu(r-\rho)$,
$s-4^{-1}\nu(s-\sigma)$
.
以上の設定て次の補題が成り立つ
.
補題
4
$\omega$ はディオファントス条件を満たす実数で,
$a_{0}(z)=e^{id}z$ とし, $M=\hat{M}$ は仮定4
を満たすとする. このとき, $A$上の座標変換$U$(y,
$z$)
$=(y+u(y, z)$,
$z+v(y, z))$ が存在して, 以下の
(1)
から(4)
までが成立する:
(1)(u,
$Ji$ は$A$ 上て正則て, 次の3
つの評価式をすべて満たす:
$\sup_{A(1)}(|u|+|v|)$ $\leq\theta s$
,
$\sup_{A^{(1)}}(|\frac{\partial u}{\partial y_{j}}|+|\frac{\partial v}{\partial y_{j}}|)$ $\leq\theta(j=1,2,3)$
,
$\sup_{A^{(1)}}$
(
(2)
次の3
つの包含関係式が成り立っ:
$U(B)$ $\subset$ $A^{(3)}$
$M(A^{(3)})$ $\subset$ $A^{(2)}$
$U^{-1}(A^{(2)})$ $\subset$ $A^{(1)}$
上の包含関係式によって, 合成写像$N:=U^{-1}MU:B$ \rightarrow A(1) が定義てき, これを
$N(y, z)=(y+\varphi(y, z),$ $a_{0}F(y, z)+\psi(y, z))$
と表すと
(3)
$(\varphi, \psi)$ は$B$で正則で, $(y, z)=(0,0)$ において少なくとも2
次のオーダーで消える.
(4)
絶対定数$C_{3}$が存在して,$\sup_{B}$
(
$|\varphi|+|$
e
$|$)
$\leq C_{3}[(r-\rho)^{-2}p$-3 $( \frac{d^{2}}{s}+sd)+(\frac{\sigma}{s})^{2}d$.
参考文献
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theorem of
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N.Kolmogorov
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[2]
Arnold, V.
I.,
Small
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problems
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stability
of motion in classical
and celestial
mechanics,
Russian
Math.
Surveys,
18
(1963),
85-192.
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