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わが国の医療機関において看護者が受ける職場暴力の現状と課題:第1報-患者から受ける暴力被害の実態-: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Title

状と課題:第1報−患者から受ける暴力被害の実態−

Author(s)

鈴木, 啓子; 石野, 麗子; 小宮, 浩美

Citation

名桜大学紀要 = THE MEIO UNIVERSITY BULLETIN(16):

275-290

Issue Date

2011-07

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/8575

(2)

名桜 大学紀要16号

わが国の医療機関において看護者が受ける職場暴力の

現状 と課題 :第

1

一患者か ら受ける暴力被害の実態

-鈴木啓子 1

)

、石野麗子

2)

、小宮浩美

3) 1)名桜大学人間健康学部看護学科、 2)元聖隷 ク リス トファー大学看護学部、 2)千葉大学看 護学部 要 旨 近年,保健医療現場において医療専門職の受ける職場暴力が,患者への医療サー ビスの成果 や看護者の離職にも影響を及ぼしていることが,多 くの国で認識 されるようになっている。本 研究では,わが国の医療機関において看護者が患者か ら受ける暴力の実態 と看護者の特性 によ る違いを明 らかにすることである。職場暴力の内容,頻度,状況,暴力への認識および属性な どに関する無記名 自記式の質問紙調査 を実施 した。調査の結果,3549名の看護者か ら解答が あ り,過去1年間に患者か ら身体的暴力を受けていた看護者は55.5%,脅か しや誹誘,中傷な どの言語的暴力を受けていた看護者は26.0%,性的暴力を受けていた看護者は14%であった。 身体的暴力については,内科病棟.

I

C

U や救急救命部門,高齢者病棟,混合診療科病棟,外科 病棟で,69.0%か ら76.0%と高い割合で発生 していた。従来,精神科病棟に勤務する看護者は 攻撃や暴力を受けやすいと一般的に考 え られてきたが,本研究では,特別な病棟ではな く誰 も が利用する一般病棟の中で起きているという実態が明 らかになった。 また,若 い看護師が身体 的,言語的,性的暴力いずれ も有意 に高い割合で受けていた。職業人生の初期の段階は,看護 者 としての自信をはぐくむ重要な段階であるにもかかわ らず.若い看護者達が さまざまな患者 か らの暴力を受けていた。 この実態をふまえ,暴力に対す る効果的対策 について検討 した。 キーワー ド :医療機関,職場暴九 看護者

(3)

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ns

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s

e

s

)

Keiko

Suz

uki

l

)

,Reikolshino2),HiromiKomiya3)

1)Nursingdepartment,Healthscienceschool,MeioUniversity

2)Nursingdepartment,theUniversityofSeireiChristopher

3)SchoolofNursing,ChibaUniversity

ABSTRACT

In recentyears,workplace violence in health care settings is increasingly acknowledgedtobeasignificantproblem relatedtoboththeretentionofnursesandto patientoutcomesinmanycountries.WeexploretheprevalenceofWorkplaceviolence experiencedbynursesinJapanfrom patients.Thisstudyusedadescriptive,self-report surveyofnursestoinvestigatetheirexperienceofviolenceintheprecedingtwelve months.Thedatafrom 3549responseswasanalysed,andshowedthat55.5%ofthe respondentshad experiencedphysicalassault,52.5%verbalaggression and 26.2% sexualabusefrom patients.Nursesworkinginmedicalunits,ICU,ER,geriatricand surgicalunitswereatahighriskofphysicalassault(69-76%).Itisgenerallybelieved thatpsychiatricnursesaremorelikelytobeverballyorphysicallyintimidated,butthis studysuggeststhatsuchincidentsoccuringeneralhospitalsettingsratherthaninany particulardepartment.Thedatashowedthatyoungernursesweremorelikelytohave beenverballythreatened,physicallyintimidatedorsexuallyabusedbyPatients.The firstyearsofpracticeshouldbeanimportantconfidence-buildingphasefornurses,yet youngernursesaresubjected toavarietyofviolentbehaviorfrom patients. We concludethateffectivemeansofinterventionshouldbeinplacetoprotectstaffatsuch riskofassault.

(4)

わが国の医療機関において看護者が受ける職場暴力の現状と課題:第1報

はじめに

近年,虐待や家庭内暴力な ど,社会 にお ける人々の生活上の安全が脅か され るよ うな事件が 多発 している。一見 「暴 力」 とは無関係 に思われ る保健医療現場 も例外ではない。数少ない実 態 を明 らかに した調査 (栗 田 ら,2003)よ り,1大学病 院に勤務す る1205人の看護者 の 7割近 くが過去1年間に患者か ら暴 力を受 けていることが明 らかになっている。 また, この調査か ら は職場暴力の問題 をめ ぐる労働者の安全管理対策 の実態 については,不十分な実態が明 らか に なってお り,今後 の安全対策 の整備 の必要性 が指摘 されて いる。対 象者数 は少な いが筆 者 ら (2005)の複数 の診療科 の看護者 を対象 に した調査 にお いて も,7割近 くの看護者が過去 1年間 に患者か ら暴力被害 に遭 った ことが明 らか にな って いる。 これ らの結果 は精神科領域 に限 ら ず,入院医療,外来医療,在宅 にお ける訪問医療看護サー ビスの場な ど, さまざまな臨床 の診 療科 において,暴力の問題が潜在 している可能性 を示唆 している。 看護者が受ける患者か らの暴力の問題 については,諸外国ではすで に様 々な実態調査が行わ れている。英国 (Whittingtonら,1996;Wellsら,2002;Winstanleyら,2004;Murphy

ら,2004),米 国 (Coxら,1987;Carmelら,1989;Reesら,1996),カ ナ ダ (Duncan ら,2001;Heskethら,2002),スウェーデ ン (Arnetzら,1996;Menckelら,2002;Strand ら.2004), オース トラリア (Hegney ら,2006),ニ ュー ジー ラン ド(Mckennaら,2003), トル コ (Senuzunら,2005)な ど各国の看護者が様 々なケア対象者か ら受 ける攻撃,暴 力の 実体が多数報告 され,世界的 にも医療現場 における暴力の問題 は深刻で重大な課題 と指摘 され ている。国際看護師協会 (InternationalCouncilofNurses,以下 ICN とす る)は,1994年, 各国の看護師協会 に対 して 「職場での暴 力に対処す るためのガイ ドライ ン」 (…Guidelineson CopingWithViolenceintheWorkplaceM)を提 出 した。 このガイ ドライ ンでは,様 々な医療 現場 における虐待および暴力事件の増加が,質の高いケアの提供 を妨げる と同時 に,医療従事 者の個人的尊厳 と自尊心 を危 うくしていると指摘 し,職務上の暴力被害の実態 とそれ らに対す る具体的な対策 について明記 している。ICN は,2000年 には暴力に関す る所信声明を全面改訂 し,暴力を 「個人の尊厳 と高潔,そ して危害か らの 自由に対す る看護師の権利 を侵害す る 」も のとし,各国の看護師協会 に暴力への対策や取 り組みを積極的 に行 うよ う強 く勧めている 。さ らに,2002年 には国際労働機関 (ILO),国際看護師協会 (ICN),世界保健機関 (WHO),国 際公務労連(PST)の4機関が協働 して暴力の実態調査 を実施 し,「保健医療部門における職場暴 力に対処す るための枠組みガイ ドライ ン (原題 名 :FRAMEWORKGUIDELI NESFORAD-DRESSINGWORKPLACEVIOLENCEINTHEHEALTHSECTOR)」を作成 し,調査 を実 施 していな い国々に対 して実態把握 と暴力対策への取 り組みを促 している 。 一方,わが国では,2006年 に 日本看護協会か らわが国で初めて 「医療保健福祉施設 における 暴力対策指針一看護者のために」が各都道府県看護協会 に提示 された ところである。 入院患者 の高齢化や身体疾患 に伴 うせん妄の出現や,認知症および老年期精神障害 を抱 えかつ身体疾患 を抱える患者の増加は,高齢者 による攻撃や暴力の問題が発生 しやす い状況が増加 している こ とが予測 され る。 また,最近 の医療 の高度化や入院期間の短縮化,効率重視 の医療サー ビスの 提供が推進 され る中で,利用者やその家族 のフラス トレー シ ョンは高 ま りやす く,医療従事者 の中で も患者,利用者,家族 に密 に接す る看護者は攻撃や暴力を向け られやす い。報道 され る 事件 になるよ うな ものは氷山の一角であ り, 日々臨床の場 にお いて看護者が直面す る攻撃や暴

(5)

力の実態は,十分明 らか にされていな い。医療保健機関において看護者 の受ける暴力は,時に 心的外傷 を引き起 こす可能性 もあ り (三木 ら,1997).ケアの質の低下 (大屋 ら,2002).看護 者 の離職 にもつなが り,医療経済的 にも大 きな損失 につながる (Ito,2001) との指摘 もある。 本研究 はA 県 の医療機関に勤務す る看護者 を対象 に,患者か ら受けた暴力の実態,暴力の経 験 の有無 と看護者の属性 との関連性 を明 らか にす る ことによ り,暴力被害防止のための組織的 な対策 を検討す る ことを目指す ものである。

研究方法

1.調査対象者 A県下の協 力の得 られた63病院 に勤務す る看護者 (看護師,准看講師,保健師,助産師)で 調査期間中に休職 している者 を除 く7199名に調査票 を配布 した0

2

.

調査機関 2006年2月か ら4月

3

.

調査手続 本調査は,医療機関 にお ける看護者が受 ける暴力 とい うテーマのために,病院管理者および 看護管理者 の理解 と協 力がなければ実施が不可能である。そ こで,2005年12月,A県看護部長 会 (会員数165名) の役員会 にて研 究の主 旨および研究 計画,研究の意義 に関す る説明 をし, 調査実施への協力を得,看護部長会総会 にて会員 に直接調査協力の説明 をす る承認 を得た。そ の後,2006年1月18日に開催 された A 県看護部長会総会 の場 (会員96名出席)で本研究 の趣 旨お よび調査概要および研究 に当たっての倫理的配慮 について説明 し,調査 に協力可能な病院 には,研究代表者 あて に,調査協 力の意思および現在勤務 している看護者数 を記載 し返信する よ うに依頼 した。総会 当 日欠席 した会員 には郵送 にて 同 じ依頼 を行 った。66施設か ら調査協 力可能の返信 があったが,期 限に間 に合わなかった施設および病院以外の施設については除い た63施設の施設代表者および看護管理者あてに研究協力依頼文書 を送付すると同時 に,記載 さ れて いた看護者数 (7199名)分の調査紙 を各病院の看護管理者 もしくは調査担 当者苑てに発送 した。質問紙 と個 の看護者への調査協 力依頼文書,返信用封筒は,施設内で配布 して もらった。 回収方法は各看護者が無記名 自記式で調査紙 に回答 した後,添付 してある返信用封筒 に入れ封 を し,投函す る もの とし,個別 に回収 を行 った。 4.調査 に当たっての倫理的配慮 対象者への倫理的配慮 としては.調査 の 目的,方法,調査への参加は 自由意思であること, 質問紙 は無記名 とし,情報 はすべて匿名 として統計処理 され る こと,調査協力への同意は封書 した質問紙 の返送 をもって得 られた と解釈す る こと,研究者の連絡先 を明記 した調査説明書 を 質問紙 に添えて,調査協力 を依頼 した。なお,本研究 は静岡県立大学倫理審査委 員会にお いて 研究計画書の審査 を経て,実施の承認 を得た後 に研究 に着手 した。 5.調査項 目 本研究では国内外 の先行研究 の知見 を基 に暴力 とは単 に身体的な暴力だけではな く,精神的 なダメー ジを与えるよ うな言語的暴 力や しぐさ等 による威嚇や脅迫, いわゆるセ クシャルハ ラ ス メン トの内容 も含 めるべ きである と考 え,ICNの定義 に基づき,身体的暴九 言語的暴力お よび精神的攻撃,性的暴 力の3種類 に分 け定義づけた。すなわち,身体的暴力 とは,他の人に

(6)

わが国の医療機関にお いて看啓者が受 ける職場暴力の現状 と課題 :第1報 対 して身体的な力を使 って身体的あるいは精神的な危害 を及 ぼす ものをいい,例 えば,殴る, 蹴 る,叩 く,突 く,撃つ,押す,噛む,つね る等 の行為 をい う。 また,言語的暴力および精神 的攻撃 とは.個人の尊厳や価値 を言葉 によ って傷つけた り,お としめた り,敬意の欠如 を示す 行為, また しぐさや態度 による威嚇 をいう。性的暴力 とは,意 に添わない性的誘 いかけや好意 的態度の要求.身体的接触.卑猿な発言等 の性的な いやが らせ行為 をい う.調査項 目内容は, 過去1年間における身体的暴九 言語的暴力および精神的攻撃,性的暴力それぞれ の被害の実 態 について,患者か らの暴力の経験被害の有無,受 けた暴力の頻度,その暴力の起 きた状況 に ついては 自由記載 して もらった。 この他 には,暴力への認識および職務満足度.職務意識 について尋ねた.対象者の基本的属 性 として,年齢,性別,職業上の契約,職位,職種,最終看護専門教育歴,現在 の勤務部署, 看護経験年数,現在の職場での経験年数 につ いてたずねた。 職場 における支援 についての認識,暴力を経験 した看護者への心 身の影響,暴力を受 けた後 の対処行動,職場か ら受けた支援,二次的暴力被害 の有無,患者以外か らの暴力の経験な どに ついて も質問 したが,本論文では患者か ら受 けた暴力の実態 に焦点 を当て述べ る。 6.分析方法 暴力の実態 については記述統計分析 を行 い,基本的属性 と身体的暴力,言語的暴力,性的暴 力被害の有無 との関連 について比較検討 し, 自由記載 については質的 に検討 した。

結果

1.対象者の特徴 回収 された調査票は

3

65

5

(回収率

5

0

.8%)であ り,基本的属性およびその他 の記入率が

8

割 以上であった調査票 を有効回答 としたが

,35

49

(有効 回答率

49

,

3%)

を有効 回答 として回収す ることができたO 対象者の特性 については表

1

に示 した。看護職 としての平均経験年数は

1

43

(

SD9

.

9),現在 の職場での平均勤務年数は

4

.

8

(

S

D

45

)

であった。男性 は

1

2

0

名,女性

3

425

名であ り,年齢 については

20

代が

3

0

.2%

,3

0

が2

6

.2%

,40

代が

2

4

.

5%,5

0

代が

1

6

.

5%,60

代が

2

.

5%

であった。 職業上の契約 については正規雇用が

31

41

(

8

8

.

5%)

,臨時雇用が

3

3

8

(

9

.

5%)

であった。職 位 についてはスタ ッフが

27

81

(

7

8

.

4

%)

,主任 ・副主任が

33

4

(

9

.

4%)

,副師長 ・師長が

251

(

7

.

9%)

,その他が

1

62

(

4

.

6

%)

であったO職種 につ いては看護師

2

8

47

(

80

.

2%)

,准看 護師

5

6

0人

(

1

5

.

6%)

,助産師

1

1

7

(

3

.

3%)

,保健師

1

9

(

0

.

5%)

であった。現在 の所属部門 として は外科 系病棟

6

6

4

(

1

8

.

7%)

,内科 系病棟

65

9

(

1

8

.

6%

),外来

51

8

(

1

5

.

4

%)

,精神科病棟

4

65

(

1

3

.

1

%)

,混合病棟

31

2

(

8

.

8%)

,I

CU・

CCU

・救急救命

1

51

人 (

43

%

),産婦人科病棟

1

2

9

(

3

.

6

%

),手術室

1

2

4

(

3

,

4

%)

,透析 ・腎セ ンター

5

6

人 (

1

.

6

%)

であった。 2.対象者が受けた暴 力の実態 1) 身体的暴力 (1)身体的暴力の体験 の有無 と頻度,属性 との関連性 過去

1

年間 に患者か ら身体的暴力を受 けた ことのある看護者は

1

9

40

(

5

5

.

5%)

であ り,受 けた ことのない者は

1

60

9

名 (

4

45%)

であった。受 けた暴力の回数 につ いては,表

2

の通 りで ある

。1

0

回以上が

5

0

9

(

2

6

,2%)であった。 身体的暴力の内容 につ いては,表

3

の通 りである。

(7)

表1 対象者の特徴 表2 過去1年間に患者から受けた身体的暴力の回数 全体 (∩- 3549) ∩ (%)ormean

±S

D

男性 120 (3.4) 女 性 3425 (96,5) 無 回答 4 (0.1) 20代 1072 (30.2) 3()代 930 (26.2) 40代 869 (24.5) 50代 584 (16.5) 60代以 上 90 (2,5) 無 回答 4 (0.1) 職務 上 の契約 度数 (人) 相対度数 (%) 1回 2回 3回 4- 9回 10--14回 15回以 上 5 0 8 8 7 2 8 8 2 3 CO 2 5 4 9 9 8 4 9 4 ハn 2 4 1 1 1 3 1 1 止規雇用 3141 (885) 臨時雇 用 338 (9.5) 表3 過去1年間に患者から受けた身体的暴力の種類と報告数 そ の他 63 (1.8) 無 回答 7 (0.2) 蟻 (:l二 スタ ッフ 2781(78.4) 主任 ・副 手任 334 (9.4) 師長 ・副 師 長 251 (71) そ の他 162 (4.6) 無 回答 21 (06) 職種 看 誇 師 2847 (802) 准看 護士 560 (15.8) 助 産師 117 (3.3) 保 健師 19 (0.5) 無 回答 6 (0,2) 現 在 の所 属 外科 系病 棟 664 (18.7) 内科 系病 棟 659 (18.6) 外 来 818 (15.4) 精 神科病棟 混 合病棟 ICU・CCU ・救急救 命 産婦 人科 病棟 手術室 高齢 者病棟 小児科 病棟 透析 ・腎セ ンター 訪 問看 護部 そ の他 無 回答 5 2 1 9 ハU 7 8 6 6 4 0 6 1 5 2 2 1 9 5 2 1 2 4 3 1 1 1 1 2 (13.1) 3 6 4 3 8 6 7 4 3 3 3 2 1 0 度数 (人) 相対度数 (%) ひ っか く つね る 蹴 る 噛 む 握 り締 める 平手で叩 く 拳骨で殴 る 引っ張 る 物 を使 って殴 る /突 く 千 首をね じる 身体 を押す /投 げる 髪 を引き抜 く 衣類 を破 る 旨を絞める そ の他 1 4 7 3 0 りん 9 nU 4 0 5 6 ∩ ) 1 9 0 8 1 3 4 4 ハU 1 O 6 9 6 6 4 7 2 1 9 3 7 6 5 4 3 2 1 1 9

3

2 9 CU 3 5 1 6 6 9 00 6 1 6 5

2

1 9 8 6 5 4 3 2 0 0 0 L l 1・L 1 lJ 看護 経験 年 数 14,3(± 99) 現 在 の所 属 で の経験 年 数 4.8年 (±4.5) 複数 回答で上が った7449件 につ いて頻度 の多 いもの順 に,ひ っか く(1201件),つね る(1184 件),蹴 る(917件),噛 む (833件),握 り締 め る (740件),平 手 で 叩 く(642件),拳骨 で殴 る (509件)な どであったC 次 に,暴力経験 の有無 と対象者 の属性 による比較検討 を行 った (義 4参照)。男性看護者は過去1年間に67.5%が経験がある と解答 し,女性看護者 (541%)よ り も身体的な暴力の経験が多 い傾向にあ り (p(.005), また年代別では20代652%,30代60%と, 40代48B%,50代42.5%.60代422% と,若 い年代 に多 い傾 向 (D(.005)が何 えた。職位 別で は職位 の低 い看護者 (57.7%)に多 い傾 向 (p(.001) が何 えた。 また,所属部門別では,内科 病棟 (76.0%)

,I

C

U/

C

C

U/

救急救命部 門742%,高齢者病棟72B%,混合病棟71J8%,外科系 病棟69.0%,精神科病棟56.3%の順 であ り,従来,患者か らの攻撃や暴 力の問題の経験が多いと 思われた精神科病棟 よ りも,内科病棟.高齢者病棟,外科病棟,混合病棟

,I

C

U/

C

C

U/

救急救 命部門 といった,一般 に疾患や事故な どによ り誰 もが利用す るであろう医療機関で,看護者が 身体的暴力を患者か ら受 ける割合が高い傾向にある ことが伺えたO (2)患者か ら受 けた身体的暴力に関す る自由記載内容 の検討 患 者か らの身体 的暴 力を受 けた と回答 した1940名の うち暴 力の具体的 内容 について記載 し

(8)

わが国の医療機関において看護者が受ける職場暴力の現状と課題 :第1報 表 4 身体的暴力被害の経験の有無 と対象者の属性 令体(n- :i.F-)49) (殴る,蹴る、ur」く、突く、撃つ、押す、噛む, つねる等の行為) 経 験 あ り 経 験 な し 令体 194〔)(555) 1609 (445) 81 (675) 39 (325) 854 (54.1) 1571 (45.9) 699 (652) 558 (GOO) 422 (486) 248 (42.5) 38 (422) 373 (348) 372 (40O) 447 (514) 336 (575) 52 (578) 職 位 別 スタッフ 1二・副_l三任 師長・副帥長 その他 1596 (57.4) 18R (56.3) 112 (44.6) 60 (37.0) 1185 (426) 146 (437) 139 (554) 102 (630) 職 種 別 看講師 准看講師 保健師 助産師 1643 (57.7) 29()(51.8) 5 (26.3) 26 (222) 1204 (42.3) 27∩ (482) 14 (737) 91(77.8) 所 属 部門別 内科 系病棟 ICU ・CCtト 救急救 命 席齢者病棟 混合病棟 外科 系病棟 精神科病棟 手術宅 小 児科病棟 外 来 産hTJf人科嫡棟 その他 501 (76.0) 112 (74.2) 85 (72.6) 224 (71.8) 45fi(690) 262 (56.3) 31 (258) 25 (255) 118 (228) 16 (124) 121 (409) 158 (240) 39 (258) 32 (27.4) 88 (282) 206 (31.0) 203 (437) 89 (742) 73 (74.5) 400 (772) 113 (87.6) 175 (59.1) ていた者が1140名 (56.7%) であった。 自由記述 内容 に ついて患者側 の要因お よび 看護者側 の要 因につ いて検 討 した結果 (図1参照),忠 者側 の要 因 と して は, (疾 患 お よび症 状) (個 人的 背 景)が上がった。具体 的事 例 と して は, 「手術 後 間 も ない患者が, ドレー ンや点 滴 を 自己 抜去 し,『退 院す る』 と病棟か ら出て行 こう としたため,看護師数人で 止めよ うとした ところ,エ レベーター内で殴 られ 蹴 られ怪我 を した」事例や, 「一人部屋 のがん末期患者 の 話 を 聞 いて いた と ころ 『死 にたい』 と訴えて いた が,突然 『お 前を殺 して俺 も死ぬ』 と看護師の首 を絞めてきた」事例, 「交通事故 の頭部外傷,下肢骨折 の患者が,安静が 必要だったのに,歩 き回って しまうため,ベ ッ ドに連れ戻そ うとした ら,看護師, 医師4人で 対応 して も対応できなかった」事例な どが上が っていた。看護者側 の要因 としては,処置,介 請,バイタルサイ ンのチ ェック,観察,安全確保 のための介入か らなる (看護行為),(看護チー ム ・個人の要因),患者 との距離や対応す る看護師の数 に関連す る (物理的要因)があが った。 患 者側看護者側相互の要因の影響 を受 け,患者 には 【症状 ・疾患 による思考 力 ・判断力 ・記 名力の低下か ら起 こる精神的混乱】, 【症状 ・治療/看護行為 による身体的苦痛】, 【精神的混乱 ・ 患 者側 の 要LJ;J ●認知1.'t ●アルコール依存症 ●肝帽1号 ●糖尿病、 重症勝 炎 ●鳩 ● 術後せ ん妄 ● 高齢 古のせ ん 妄 ●頭部外傷 ● 終 末期 の患 斉 ● 精 神疾患 のあ る

患H

● 知 的障宵 のあ る患 者

/ilデ.キ仁の 暴 ノ)磨 病状・疾患による ,L出考ノJ・判断JJ・ 記名ノ)の低卜から 起こる精神的混乱 病状 .治 療 .看 護 ;了為による身体 的苦痛 肴碓者側 の要因 香 ●処置:吸札日腔ケア,点滴,汁射,採lfTl.脂そう処嵐総 貫 首 テ- テルの挿入,陰部洗浄.別巻,軟膏塗布 ●介助:体位変換,寝衣交換,更衣介助,排附介助(トイレ 誘導,身体の保持,衣類の上げ下げ,排泄の始末等),おむ つ交換,移動の介助(卓椅√への移動,ベッドへの移動 # 行 義 ●バイタルサインチェック:等),消拭,与薬 検温血圧測払脈拍測定,呼 ●観察:訪泉夜間の巡視,おむつの確認,会話 ●安全の確保のための介入:転倒転落予防.LLir避のための 身体の支持.興奮 している患 者への声かけ,危険な行動へ の汁昔.制止.制御,拘束他者とのトラブルや喧嘩の仲裁 早 ●職位の低 い看護帯が対応 している ⊃ー■一一■一一一一一一・・・一・.■_.岩上 物 ●看汚者が患者に接触 しているか,距離が近い 哩 ●看護 者が患者の責止面に対帖 して いる 的 ●看護者が患者に 一人で対応 している = =コ 要 ●患 者と看護 者が二人き りになっている 図 1 身体的暴力の発生 に影響すると思われる要図

(9)

深刻な病状か らくる不安 ・恐怖 ・怒 り】, 【医療者側 の対応への不満 ・怒 り ・苛立ち】があ り, これ らは個 々の患者 によ り, さ らに相互 に影響 を及 ぼ しあっている ことが推察 された。 しか し なが ら, 身体的暴力行為は,患者 自身の個 人的背景 と物理的距離の近 さがあって最終的に起 き て いることが示唆 された。

2)

言言吾的暴力および精神的攻撃 (1)言語的暴力および精神的攻撃の体験 の有無 と頻度,属性 との関連性過去1年間に患者か ら言語的暴力および精神的攻撃 を受けた ことのある看護者は1859名 (52.5%)であ り,受けた ことのな い者 は1685名 (47.5%)であった。受けた暴力の回数 については,表 5の通 りである。 10回以上が526名 (28.6%)であった。言語的暴力および精神的攻撃の内容 については,表 6 の通 りで あ る。複 数 回答 で上 が った7449件 につ いて頻度 の多 い もの順 に,罵 声 をあびせ る (1372件). しぐさや態度 による威嚇 (973件),会話や手紙 による脅迫 (447件),非難 (403 件),中傷 (355件)な どであった。 表5 過去1年間に患者から受けた言語的暴力およ 表6 過去1年間に患者か ら受けた言語的暴力 び精神的攻撃の回数 度数 (人) 相対度数 (%) 1回 2回 3回 4-9匝1 10-14回 15回以 上 4 9 4 0 3 3 9 4 8 8 6 6 および精神的攻撃の種類と報告数 度数 (件) 警 浩 貰.IC許 (隻 t)I 13・6 しぐさや態度による威嚇 15・5 会話や手紙を用いた脅迫 31・6 非難 14・3 中傷 14・3 その他 合計 1833 100.0 7 7 1 3 4 4 3 9 9 8 7 6 合計 7449 100.0 次 に,暴力経験 の有無 と対象者の属性 による比較検討 を行 った (表7参照)。男性看護者は過 去1年間に69.2%が経験がある と回答 し,女性看護者 (52.5%)よ りも言語的暴力および精神的 攻撃の経験 が多 く(p(.000),また年代別では20代60.2%,30代53.3%と,40代48.6%,50代445% と,若 い年代 の看護師 に多 い傾向が伺 えた(p(.000)。職位別で も差があ り(p(.04),師長 ・副師 長 で57.4%で あ った。 また,職種別で も差 が あ り(p(.000),看護 師が55.2% と多 い傾 向が伺 え た。所属部 門別 では,ICU/CCU/救急救命部門742%,内科病棟67ユ%,精神科病棟66.5%, 混合病棟60.3%,外科系病棟59.2%,高齢者病棟53.8%の順であ り,所属部門 による差 がある傾 向が伺 えた(p(.000)。 (2)患者か ら受けた言語的暴力および精神的攻撃 に関す る自由記載内容の検討 患者か らの言語 的暴 力お よび精神的攻撃 を受 けた と回答 した1859名の うち暴 力の具体的内 容 について記載 していた者が679名 (36.5%)であった。 自由記述内容 について患者側の要因お よび看護者側 の要因につ いて検討 した結果.患者側 の要因 としては. (疾患および症状) (個人 的背景)が上がった。 く疾患および症状)は身体的暴 力 と同様な内容であった。 また (個人的背 慕) としては,精神的な不安定 さ,飲酒,覚せ い剤 の使用,暴力団関係者があが った。具体的 事例 としては

,

「暴 力団の患者 に仲 間 と一緒 に殴 り込み をかける と脅 された ときに,車のナ ン バー を正確 に記憶 されて いた.」

,

「自分 の治療や看護が優先 されないと大声で叫び 『殴るぞ』と か, 『ふ ざけるな,馬鹿野郎』等何度 も罵声 を浴 びる。」

,

「病棟規則が守 られないので注意す る と, 『看護婦の くせ に生意気言 いやが って.お前 らは召使 と同 じだ』 と罵 られ る

,

「通 りすが

(10)

わが国の医療機関において看護者が受ける職場暴力の現状と課題 :第1報 りに,『ブス』『馬鹿』『死ね』 『辞めさせてや る』 な ど一 方的に言われ るO」な どの事 例があがったo看護者側 の 要因 としては身体的暴力 と 同様な内容 として,<看護 行為>,<看護チーム ・個 人の要因>が上が ったが, 患者 との距離や対応す る看 護師の数 に関連す る物理的 要因は見 られなかった。 身 体的暴力 と同様 に,患者側 看護者側相互 の要因の影響 を受け,患者 には 【症状 ・ 疾患 による思考 力・判断力 ・ 記名力の低下か ら起 こる精 神 的混 乱】, 【症 状 ・治療 / 看 護 行 為 によ る 身体 的 苦 表7 言語的暴力被害の経験の有無 と対象者の属性 言語 的暴 力および精 神的攻撃 全体 (n- 3544) (個人の尊厳や価値を言葉によって傷つけ、お としめた り、 敬意 の欠如 を示す行為、 また しぐさや態度 による威嚇) 経験有 り 緯験な し 全体 1859 (52.5) 1685 (47.5) 性 性 男 女 83 (69.2) 37 (30.8) 859 (52.5) 1685 (475) 年代別 代 代 代 代 645 (60.2) 495 (53.3) 422 (486) 260 (44.5) 34 (47.2) 427 (39.8) 434 (467) 443 (51.0) 324 (55.5) 56 (428) 職位別 スタッフ 主 ・副主任 師長 ・副師長 そ の他 455 (52.3) 181 (54.2) 144 (574) 70 (432) 1325 (47.7) 153 (45.8) 107 (426) 92 (568) 看護師 准看講師 保健師 助産師 570 (55.2) 260 (46.4) 5 (26.3) 26 (22.2) 1277 (448) 300 (53.6) 14 (737) 91 (778) ICU ・CCU ・救急救命 内科 系病棟 精神科病棟 混合病棟 外科 系病棟 所属部 門別 高齢 者病棟 外果 小児科病棟 手術室 産婦人科病棟 そ の他 112 (74.2) 442 (67.1) 309 (66.5) 188 (60.3) 393 (59.2) 63 (53.8) 179 (346) 20 (20.4) 21 (17.5) 20 (15.5) 104 (353) 39 (258) 217 (329) 156 (335) 124 (39.7) 271 (408) 54 (46.2) 339 (654) 78 (796) 99 (825) 109 (647) 191 (64.7) 痛】, 【精神的混乱 ・深刻な 病状か らくる不安 ・恐怖 ・怒 り】, 【医療者側 の対応への不満 ・怒 り ・苛立 ち】があ り, これ ら は個 々の患者 によ り, さ らに相互 に影響 を及 ぼ しあって いる ことが推察 された。 また,患者 の 攻撃の特徴 としては,【看護師の低価値化】,【自己の特別化】,【一方的要求】,【大人気ない振 る 舞 い】があがった。

3)

性的暴力 (1)性的暴力の体験 の有無 と頻度,属性 との関連性 過去1年間に患者か ら性暴力を受けた ことのある看護者は926名 (35.6%)であ り,受 けた こと のない者は2601名 (64.4%)であった。受 けた暴力の回数 については,表 8の通 りである。10 回以上が128名 (14.1%)であった。性暴力の内容 については,表 9の通 りである。複数 回答で 上が った2527件 につ いて頻度 の多 い もの順 に,卑猿 な発言 をす る (577件),身体 (胸 ・股 間 等)を触 る (515件),性的交渉 を求める (162件),抱 き しめる (118件),キスす る (38件)で あった。 表8 過去1年間に患者から受けた性的暴力の回数 表9過去1年間に患者から受けた性的暴力の種類と報告数 度数 (人) 相対度数 (%) 度数 (人) 相対度数 (%) 14.9 卑猿な発言 をす る 19.5 身体(胸 ・股間等)を触る 18.9 性的交渉 を要求す る 32.5 抱き しめる 9.4 キスす る 4.7 そ の他 2 5 7 2 4 5 6 5 1 1 合計 2527

(11)

表10 性的暴力被害の経験の有無 と対象者の属性 全 体 (∩- 3545) (意に添わない性的誘いかけや好意的鰻度の要求.身体的 接触、卑凝な発言等の性的ないやが らせ行為) 経験 あ り 経験な し 全体 926 (35.6) 2601 (644) 作 別 男性 49 (21.0) 184 (790) 女作 917 (26.8) 2506 (73.2) 20代 3()代 40代 50代 60代以上 375 (35.0) 272 (292) 188 (217) 84 (14.4) 9 (10.0) 697 (65.0) 658 (708) 670 (78.3) 499 (856) 81 (900) 職付別 スタッフ 主 ・副+_JT 帥長 ・副師良 その他 784 (28,2) 74 (22.2) 45 (17.9) 45 (161) 1996 (71.8) 260 (82.1) 206 (82.1) 135 (839) 看護師 准看講師 保健師 助産帥 808 (28.4) 115 (2()5) 2 (105) 4 (34) 2038 (71.6) 44.r=)(795) 17 (895) 113 (96.6) 所属部門 別 内科系病棟 外科系病棟 テ昆合病棟 精神科病棟 高齢者病棟 1CU・CCU ・救急救 命 手術室 外 来 小児科病棟 産婦 人科病棟 その他 245 (372) 242 (364) 102 (32.7) 128 (27.5) 30 (259) 37 (245) 15 (125) 55 (10.6) 9 (92) 3 (23) 60 (20.3) 413 (62.8) 422 (63.6) 210 (673) 337 (725) 86 (74.1) 114 (75.5) 105 (875) 463 (894) 89 (90.8) 126 (97.7) 236 (79.7) 次 に,性的暴力経験 の有 無 と対象者の属性 による比 較 検 討 を行 っ た (表10参 照)。性 別 によ る性 的暴 力 の経験 につ いては.男催で あ りが21.0%で,な しが 79.0%,女 性 で は あ りが 26.8%.な しが73.2%で あ り.女性看護者の方が男性 看護者 よ りも性的暴力の経 験 が多 い傾 向が あ った (p < .05)O年代別では20代が 35.0%,30代が29.2%,40代 が21.7%,14.5%,60代 以上 が10.0%で あった。年代 間 における暴力の経験 には差 があ り,若 い看護者が多 く 経験 している傾向が伺えた (pく000)。職 位 別 で も差 が あ り (p(.000),ス タ ッフが784 (28.2%),主任 ・副主任 が74 (22.2%),師長 ・副師長が45 (17.9%),その他が26(16.1%)であった。 また,職種別で も差があ り (p(.000),所属部門別で は,職種別 による性的暴力の経験があった者 の割合 につ いては,内科系病棟で245 (37.2%), 外科 系病棟 で242(36.4%),混合病棟で102(32.7%),精神科病院 ・精神科病棟で128(27.5%). 老 人病院 ・高齢者病棟で30(25.9%),ICU/救 急37(245%).外来55(10.6%),小児科 9(9.2%), 手術室21(17.5%),産婦人科 (2.3%),その他60 (20.3%)の順であ り,所属部門による差がある 傾向が伺えた (pく.000)。 (2)患者か ら受 けた性的暴 力に関す る 自由記載内容の検討 患者か らの身体的暴力を受 けた と回答 した928名の うち暴 力の具体 的内容 について記載 して いた者が352名 (37.9%)であったO 自由記述内容 について患者側 の要因および看護者側の要因 につ いて検討 した結果,身体的暴 力や言語的暴力 と異な り,性的暴力を行 って いる者の多 くは 精神的混乱や不安,緊張,恐怖な どがない正常な判断能力のある中年男性患者であることが特 徴 として伺 えた。 具体 的事例 としては, 「検温時 に胸やお尻 を触 ってきた り, 『一緒 に寝よ う』 と手 を引っ張 られ る。」,「『退院 した らデー トしよ う』 と強引に誘われ 『しなか った ら家 に火を つけてや る』 と脅 され る。」,「個室 の患者 と一対一にな った際, 『や らせ ろ, いい じゃないか』 と言われた り,オムツ交換 の時 に性器 を触 るよ うに要求す る。」,「看護師の身体へ触 ることを注 意す ると,『触 って も減 るもので もない し,おれ は患者なんだ。何が悪 い』と平気な顔 を して 言 う」 な どである。

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わが国の医療機関において看護者が受ける職場暴力の現状と課題 :第1報

考察

1.対象者の概要 につ いて 本調査の対象者である看護者 (看護師,准看護師,助産師,保健師) の年代構成比率,看護 職種別 比率,男女 比率 は,A 県 健 康 福祉 部調 べ によ る県 内 に就 業 して いる看 護 者 のデ ー タ (2002年12月31日現在18622名) と有意な差はなか った。 しか しなが ら,診療科別比率 につい ては,データがないことか ら検討できなかったため,本調査結果か らA県 の病院 に勤務す る看 護者の実態 について予測 を単純 にす る ことはできないが,対象者の実態 を把握す る上では問題 のない数であると考 える。 2.医療機関において看護者が受 ける暴力被害の実態 について 1)身体的暴力について 本研 究 にお ける身体 的暴 力の経験 の割 合 につ いて は,三木他 (1997), 日本看 護協 会調査 (2003), 山梨県看護協会 (2005)の28%∼33.3%に比較す る と高 い結果で あったが,栗 田他 (2003)の67.6%,石野他 (2005)の69.4%, また,老人保健施設で働 く看護職員3466名 を対 象にした調査 (高崎他,2001)の看護職員73.3%および介護職員65.7%,精神科新人看護者597 名を対象 に した大屋他 (2002)の77.0%,精神科看護者377名 を対象 に した小宮 ら (2005)の 50.0%と同様な結果であったO 診療科別暴力経験 の割合 については,従来,暴力が起 こりやす いと思われて いた精神科病棟 にお いて経験 した看護者の割合は,本調査では56.3%であ り, これ は本調査 における全平均 と ほぼ近 い値であった。 また,精神科看護者 のみ を対象 にした小宮 ら (2005)の50.0%に近 い値 であ り,精神科 に勤務す る看護者が過去1年間に体験す る一般的な身体 的暴力被害割 合は,だ いだい50%か ら60%の間 にあるだろうことが推測 された。

本 調査 で興 味深 か った点 は,精 神科 病棟 よ りも内科 系病 棟76.0%,ICU/CCU ・救 急 部 門 74.2%,高齢者病棟72.6%,混合病棟71.8%,外科系病棟69.0%と一般診療科病棟 の方が身体 的 暴力経験有の割合が高い ことが明 らか になった ことである。精神科 を含めない診療科別の比較 検討 をした三木 ら (2003)は,7つの総合病院の診療科 に勤務す る看護者 を対象 に調査 を行 い, 被害は病棟別 に有意な差があ り,ICU/CCUでは高 く,外科 よ りも内科で高 く,周産期が低かっ た と報告 している。本調査で も三木 らの結果 と同様であったが,精神科病棟 も含 めて調査 を実 施 したため,精神科での身体的暴力被害の割合 と他科 との比較ができる。 今回の調査で精神科病棟での身体 的暴力の被害の割合が他科 よ り低か ったのは,精神科病棟 では明文化 され ることが少ないなが らも,臨床では患者か らの暴力に対す る リス クモニタ リン グ, リスクアセスメン トに基づき,危険性 の予測 を しなが らリスクマネ ジメン トが されている ため と思われる。すなわち精神科では,看護者 にとっての リスクマネジメン トは, 同時 に患者 自身のセル フコン トロール の回復や病状 の回復 のための支援 と重な る ことにな る。逆 に, 内 料,外科病棟では, リスクの予測や リス ク管理 は主 に身体的身襲な ど患者 の生命へ の影響 を中 心 に検討され るのが通常であ り,看護者 自身のための リスクマネ ジメン トの優先順位は低 くな る。結果 として多忙な業務 の中で,高齢患者や認知症 のある患者等への対応 において も,限 ら れたマ ンパ ワー と時間の中で看護サー ビス を提供 していかなけれ ばな らな いO この結果,身体 的暴力被害の発生割合が高 くなっているもの と考 え られ る。 英国の総合病院スタ ッフを対象 に調査 を実施 したWinstanleyら (2004)による と,身体的

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暴力は内科病棟で42.4%,外科病棟で36.0%,救急救命部門で30.8%,小児 ・母性病棟で10.1% であ り,救急救命部門よ りも内科や外科病棟で被害 に遭 うスタ ッフの割合が高 いことが報告 さ れて いる。Winstanley ら (2004)は,身体的攻撃や暴 力が内科や外科で多 い理 由として,高 齢者 による繰 り返 し起 こる攻撃性 の問題 につ いて指摘 している。本調査 において も身体的暴力 の経験 の 自由記載内容で も,高齢でかつ認知症や脳梗塞 による麻痔,がんな どが伴 う患者の場 合や手術後 にお いて,意識障害や判断能 力低下が伴 うことか ら起 こる身体的暴力の事例が多敬 確 認 されて いた。病 院 とい う医療現場 にお いて起 こる看護者が患者か ら受 ける暴 力の問題 に は,入院患者の多 くが高齢化 して いる ことも大 きな影響要因 となっている ことが示唆 され る。 性別 による比較の結果か らは,男性看護者 の方が女性看護者よ り有意 に身体的暴力被害 に遭 う割合が高 く, また,年代別では20代で65.2%と最 も高 く,若 い看護者 ほ ど身体的暴力の被害 に遭 う傾 向 にある ことが伺 えた。男性看護者 は精神科 に勤務 して いる者が多 い ことにもよる が,言語的暴力 も男性 の方が有意 に高 い ことか ら,男性が女性看護者 に比較す ると患 者か ら攻 撃性 を向け られやす い傾向がある ことや,男性看護者が危機的状況 にお いて対応す る ことを女 性 の多 い職場で期待 されやす い ことが ,背景 として考 え られ る。 また,本調査で明 らか になった若 い年代 の看護者が身体的暴力の被害 に遭 うという傾向は, 三木 ら (2003),大屋 ら (2002),小官 ら (2005) と同様で あ り, これ は精神科,一般科 に共 通す る特徴 といえる。若 い看護者は直接業務 に当たる時間が長 く,看護実践の能力や患者 との コミュニケー シ ョン能力が不十分である場合 もある こと,本人 自身 も周囲の看護チーム も被害 に遭 った原 因をその看護者の対応 のまず さや能力不足 と位置づけるために組織的な対策が とら れない ことが考 え られ る。Itoら (2001)は,暴力被害 に遭 う危険性への認識が離職 に影響 を 及 ぼ して いる と述べて いるが,看護者 としての職業人アイデ ンテ ィテ ィの確 立前に,若 い看護 者が暴力被害 に遭 うと,看護者 としての職業選択への後悔や疑問な どか ら生 じる精神的動揺 も 惹起 され 結果的 に離職 につなが る可能性が大 き くなるもの と思われ る。そ して,離職 して し まう場合 には,そ の本 当の事 由を看護管理者が把握す る ことは困難であ り,その実態が知 られ て いないのが実情である。 看護者の出会 う身体的暴力被害の経験 については, さ らに実態調査 を進める ことによ り地域 差や施設差 の検討および同 じ地域,施設 における経年的変化 を探 る必要がある。 また, どの桂 度全国的 に波及 している問題であるのか, また患者の権利意識の変化 とい う最近の医療利用者 の意識の変化が, どの桂度,暴力の発生頻度 に影響 しているのか について も合わせて実態調査 を行 う必要がある。 2)言語的暴力および精神的攻撃 について 罵声や誹誘 中傷,脅 しな どの言葉 による攻撃 につ いては,身体 的暴 力のよ うに身体へ のダ メー ジがな いために被害 に遭 って も大 した問題ではない と誤解 され る ことが多 いが,現実的 に はそ うではない。先行研究 にお いて も,言語的暴 力による離職への影響 (Co又,1987)や言語 的暴力が しば しば身体的暴力に先行 して起 こる こと (Whittington& Wykes,1996)が指摘 さ れて いる。本調査 では,過去1年間の勤務 にお いて言語的暴力を経験 している看護者は52.5% であ り,年 に10回以上経験 のある看護者 は28.6%であ り,頻度 の多い内容は罵声, しぐさや態 度 で 脅 か す,会 話 や 手紙 を用 いた 脅 迫,非 難, 中傷 の順 で あ った。看 護 協 会 によ る調査 (2002,2003)では約 3割が言語的暴力の被害 に遭 って いた と報告 されているが,老 人保健施

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わが国の医療機関において看護者が受ける職場暴力の現状と課題 :第1報 設 に勤務す る職 員を対象 に した高崎 らの調査 (2001)による と58.3%が言語的暴力被害 に遭 っ て いる。我々の調査 の 自由記載欄では, 「毎 日あるので,回数 は数 え切れな い」 「300回以 上あ る」な どあま りに言葉 による攻撃や暴言が常態化 しているため

,

「回数 を回答す ることの意味が ない」 という記載がある くらい非常 に頻度 が多い とい う実態が伺 えた。 にもかかわ らず,高齢 者か らの言語的暴 力の被害経験 の割合が,身体的暴力よ りは低か ったのは,患者か らの言葉 に よる暴力が常態化 して いるが故 に, これ を特別な問題 と看護者 自身が認識 していない ことも考 え られ る。石野(2006)による訪問看護者 を対象 にした調査では,高齢者か ら受 ける暴力を看護 者は `ケアへの抵抗'と認識 して いるため,暴力 という認識 をもたない ことも報告 されている。 高齢者か らの暴力の問題 には. このよ うな暴力の経験 と受 けとめる看護者側 の認識 と実際 に起 こる頻度の多 さが,問題 を問題 と認識す ることを困難 にす る背景 になっているもの と考 え られ る。 また.性別,年代,職位 と被害 の有無 との関係 について検討 した ところ,言語的暴力は女性 に比較 し男性看護者 に多 く.年代別では若 い看護者,職位 では師長 ・副師長,職種では看護師, 所属部門ではICU/救急救命74.2%,内科系病棟67.1%,精神科病棟66.5%で高い ことが明 らか になった。男性看護者は身体的暴力 と同様 に,患者か ら不満や怒 りを向け られやす くなる傾向 が伺え, また 日ごろ直接ケアにあたる若 い看護者 にも患者が不満や怒 りが向け られやす くな る ことが伺 えた。 また言語的暴力が中間管理職 と考 え られ る師長や副師長 に多 いのは,スタ ッフ が対応困難な状況において上位 の職位 にある師長や副師長が直接患者 と話 し合 った り,患者の 不満や怒 りを受けとめる機会が職務上の責任 として生 じるため と思われ る0

3)

性的暴力について 性的暴力については26.3%の看護者が過去 1年間 に受 けた と回答 して いる。性別では女性 に 多 く,年代別では若 い看護者,職位ではスタ ッフ,職種では看護師,所属部門別では内科系, 外科系,混合病棟,精神科病棟,老人病棟 の順 に多 くみ られた。 また暴力を起 こす対象者は, 身体 的暴 力や言語的暴力にみ られたよ うな患者 の特徴 とは異な り,明 らか に精 神的混 乱や不 安,緊弓良 恐怖な どがない正常な判断能力のある中年男性患者であ り.単なる卑猿な言葉や身 体的接触だけではな く,脅迫的言動やス トーカー行為 も含 まれ,被害 に遭 っている看護者 に深 刻な影響 を与えている事例 もある ことが明 らか になったo 栗 田 (2003)や 日本看護協会 の調査 (2003)よ りも被害 に遭 う割合は高い傾向が確認 された が,佐 々木 ら (2002)による首都圏の公立病院321名の看護 を対象 にセ クシャルハ ラス メン ト の実態調査では,40%の看護者が被害経験があると報告 しているO 医療現場 にお けるセ クシャ ルハ ラスメン トの実態 については,明確 に定義づけ,他 の身体的暴 九 言語的暴九 精神的攻 撃 と別 に調査 された報告が少ないため,実態そのものの評価 をす るためには.今後 さ らに対象 者数 を広 げた調査が求め られ る。 近年職場 におけるセ クシャルハ ラスメ ン ト防止規定が男女雇用機会均等法 (1999年4月)に 盛 り込 まれ,職場 におけるセ クシャルハ ラス メン トの問題 が認知 され るようにな ってきている が,医療現場 における患者か らのセ クシャルハ ラスメン トの問題 については,病者や高齢者, 障害者 という弱者が起 こす ことであ り,入院中や医療サー ビスを利用 して いる問は,看護者側 は我慢すべ きである,仕方のない問題 として今 日まで認識 されてきて いる。 このため,本調査 の結果は,実態よ りは過小評価 されている可能性が否めな い。

(15)

佐 々木 ら (2002)は,患者 のセ クハ ラは,言葉 による性的なか らか い,ケア時の意識的な体 への接触,退院後 のス トーカー的行為 な どがあ り,若 い新人の看護師ほ ど被害 に遭 いやす く, 胸や尻 を触 られて も我慢す る場合が少な くな いと報告 している。本調査で も,性別,年代,職 位 と被 害 の有無 との関係 につ いて検 討 した ところ,性 的暴 力は男性 に比較 し女性看護者 に多 く,年代別では若 い看護者 に多か った。性別 については被害 に遭 っているのは必ず しも女性だ けではな く,男性看護者 の5人 に 1人がセ クシャルハ ラスメン トを経験 している ことも明 らか になった。 このよ うな実態 については本調査で初めて明 らかになった もの といえる。20代,30 代ではセ クシャルハ ラスメン トの被害 に遭 う割合が高 くなっている ことか ら,男性 をも含めた 若 いスタ ッフへの教育的支援や, このよ うな問題 に出会 った ときの対処方法や対策 についての 教育や組織的な支援体 制 を周知す るな どが求め られ る。

3

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本研究の限界 本調査は個 々の看護者の 自記式の質問紙調査 による回答 を分析 したが,職場 における実際の 状況や支援体制 については,必ず しも現状がそのまま回答 に反映 されている とはいえない可能 性 もある。 また,本調査では個 人や病棟,病院 に関す る特性の検 討は今後 の課題 と してあげ ら れ る。具体的 には,所属す る職場 の特性 と個々の看護者の認識や対処 との関係,所属す る病棟 にお ける管理体制および病院全体 の管理体制,看護管理者および病院経営者の認識 との関係性 な どである。特 に最近注 目されている リスクマネ ジメン トをめ ぐる病 院組織 の理念の明確 さや 浸透度,各病院 の組織風土 に関す る特性 につ いて も考慮 して検 討 を加 える必要が ある と考 え る。

Ⅴ おわ りに

保健医療現場 にお いて,特 に高齢者のケア施設や救急外来,集 中治療室な どでは.患者が混 乱 し医療従事者 に対 し暴力が出現す る ことは珍 しくない。効率重視 のサー ビスの提供が推進 さ れ る中で,サー ビス利用者 のフラス トレーシ ョンは高 ま りやす く,暴力につながることも起 き ている. 医療従事者の中で も看護者は.患者や家族 に密に接す る職種であ り,セ クシャルハ ラ スメン ト,暴言,誹譲 ・中傷,脅迫,殴 る,蹴 るな ど様 々な暴力にさ らされ る。看護者の受け る暴 力は,ケアの質 の低下,離職率の上昇にもつなが り,医療経済的 にも大 きな損失 につなが る。今 回は暴力被害 の実態 に焦点 をあてたが,暴力への認識,職場 にお ける支援および暴力を 受 けた ときの看護者の対処 については別途報告す る。

謝辞

本研究 は

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県看護部長会 の皆様の ご協 力な しには実施す る ことができませんで した。関係 者の皆様 には厚 く御礼 申 し上げます。

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