平成21
21
21年度 修 士 論 文
21
ZnO
ZnO
ZnO
ZnO////Si
Si
Si系材料
Si
系材料
系材料
系材料を
を
を用
を
用
用いた
用
いた光機能性
いた
いた
光機能性
光機能性
光機能性デバイス
デバイス
デバイスの
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の
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作製
作製
作製
に
に
に
に関
関
関する
関
する
する研究
する
研究
研究
研究
指導教員 花泉 修 教授
群馬大学大学院工学研究科
電気電子工学専攻
08801645 平沢 尚紀
第
第
第
第 1
1 章
1
1
章
章
章
緒言
緒言………
緒言
緒言
………
………
………1
1
1
1
1-1 はじめに……….1 1-2 pn 型太陽電池の発電原理………...2 1-3 太陽電池の表面テクスチャ構造……….3 1-4 研究目的……….3 1-5 本論分の章構成………...5第
第
第
第2
2
2章
2
章
章
章 ZnO
ZnO
ZnO
ZnO を
を用
を
を
用
用いた
用
いた
いた
いた薄膜
薄膜
薄膜
薄膜シリコン
シリコン系太陽電池
シリコン
シリコン
系太陽電池
系太陽電池の
系太陽電池
の
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の作製
作製
作製
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と評価
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評価
評価
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………
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………6
6
6
6
2-1 はじめに……….6 2-1-1 酸化亜鉛(ZnO)の諸特性………...6 2-2 試料の作製……….7 2-2-1 スパッタリング法による ZnO:Al(p 型)薄膜の作製……….8 2-2-2 作製条件………...9 2-2-3 透過率の測定……….9 2-2-4 アニール温度別透過率の測定………10 2-2-5 吸収係数の算出………10 2-2-6 屈折率の算出………11 2-2-7 4 探針法を用いた抵抗率の測定……….12 2-3 電極の作製………...14 2-3-1 Al 電極の作製………...14 2-3-2 オーミックコンタクト………14 2-3-3 p 型と n 型の半導体別オーミックコンタクト………15 2-4 電気特性の評価………...16 2-4-1 太陽電池の変換効率の評価………16 2-4-2 変換効率の測定方法………16 2-4-3 Al 含有本数別による変換効率の変化………...17 2-4-4 膜厚による変化効率の変化………19 2-4-5 挿入層 SiO2薄膜の有無による出力特性の変化………20 2-4-6 挿入層 SiO2薄膜の膜厚による出力特性の変化………..21 2-4-7 アニール時の窒素雰囲気有無別の出力特性………22 2-4-8 共スパッタ時のホウ素(B)の追加有無別出力特性……….23 2-5 まとめ………...25第
第
第
第3
3
3
3章
章
章
章 高効率化
高効率化に
高効率化
高効率化
に
に向
に
向
向けた
向
けた
けた薄膜系太陽電池
けた
薄膜系太陽電池への
薄膜系太陽電池
薄膜系太陽電池
への
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周期
周期構造
周期
構造
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構造
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の
導入
導入
導入………
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………..26
..26
..26
..26
3-1 はじめに………...………26 3-2 周期構造による回折ベクトルの作用………...27 3-3 周期構造の作製………...28 3-3-1 2 光束干渉露光法の原理……….28 3-3-2 2 光束干渉露光法の実験系……….29 3-3-3 エッチングによる Si 基板上への周期構造の作製………..29 3-3-4 周期構造の作製手順………30 3-4 光学特性の評価………...31 3-4-1 周期長別反射率評価………31 3-4-2 太陽電池への周期構造の導入………32 3-5 周期構造導入による太陽電池 I-V 特性………33 3-6 まとめ………...36第
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4
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4章
章
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章 シリコン
シリコン
シリコン
シリコンを
を
を用
を
用
用いた
用
いた新機能
いた
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新機能
新機能
新機能デバイス
デバイス
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..37
..37
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4-1 はじめに……….37 4-2 試料の作製………38 4-2-1 作製条件………38 4-2-2 新機能デバイスの作製手順………39 4-3 新機能デバイスの評価………40 4-3-1 出力特性評価の評価方法………40 4-3-2 新機能デバイス出力特性………40 4-3-3 Al 蒸着後のアニール有無別の出力特性の変化………41 4-3-4 ZnO:Al 成膜後の窒素アニール有無別の出力特性の変化………..42 4-3-5 測定範囲の拡張による出力特性………...43 4-3-6 ZnO:Al 薄膜の成膜時間別の出力特性の変化………..44 4-3-7 Al 含有本数別による出力特性の変化………45 4-3-8 SiO2層の膜厚別の出力特性の変化………46 4-3-9 共スパッタ材料別の出力特性………47 4-3-10 Si 基板種類別の出力特性………..47 4-3-11 Al 蒸着有無別の出力特性……….48 4-3-12 太陽電池とのダイオード特性の比較………..49 4-3-13 照射箇所別の出力特性の変化………..51 4-4 焦電体の出力メカニズムとの関連………544-5 まとめ………55
第
第
第
第 5
5
5 章
5
章
章
章
結言
結言………
結言
結言
………
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………56
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謝辞……….58 参考文献……….59 付録……….61第
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章
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緒言
緒言
緒言
緒言
1 1 1 1----1 1 1 はじめに1 はじめにはじめにはじめに 光技術は、情報通信、情報記録・処理、ディスプレイや光センシング、光加工、そし て太陽光発電や照明など多種多様な形で用いられている。その重要性は年々高まってお り、今後は情報通信に限らず光デバイスの応用は考えられ、太陽電池といった新エネル ギー技術にも光技術は使用・注目されていくことが予想される。 近年、環境汚染・地球温暖化、さらに石油資源枯渇などにより、クリーンかつ無尽蔵 エネルギーへの期待が高まっている。エネルギーは人類の日常生活ならびに産業生活の 維持と向上に欠くことのできないものであり、その消費量は文明社会の進歩とともに 年々増加しつつある。世界の一次エネルギー消費は、現在の石油換算にすると 2003 年 において約 100 億トンだったものが 2030 年には約 160 億トンまで拡大すると予想され ている。その内の発展途上国の消費割合は、2003 年の 39%から 2030 年の 49%にまで 拡大し、特にアジアでの消費の伸びが大きいと考えられる。しかしながら、化石燃料の 産出量は、下降の一途をたどり、また化石燃料の燃焼に伴って発生する硫黄酸化物、窒 素酸化物などによる大気汚染も大きな問題となっている[1]。一方、火力発電や原子力 発電も環境破壊の点で立地が極めて困難になってきている。さらに将来のエネルギーと して期待されている核融合発電も、技術的に未完成であり、実用化の見通しは明らかで はない。 このような背景で、新しいエネルギー源としての太陽電池を利用したエネルギー発電 が注目を浴びている。この発電技術は無尽蔵に近いうえに無公害であり、21 世紀の文 明社会を支える重要なエネルギー技術の一つとして期待されている。太陽電池は太陽エ ネルギーを直接電気に変換する電子半導体素子であり、光起電力を利用して発電をおこ なっている[2]。その太陽電池の発電原理については次項で述べる。また、日本におい ては輸入石油のような既存エネルギーに代わる新しいクリーンエネルギーを開発する ことを目標にした『サンシャイン計画』が発表され、大学、民間研究所などで太陽電池 に関する研究が現在も精力的におこなわれている。 現時点での、太陽電池の主流は単結晶および多結晶系シリコン(Si)太陽電池で、世界 の太陽電池年間総生産量の 70%強を占め、太陽電池産業は急激な拡大を続けていくと 考えられる。また今後は、通信分野市場・太陽電池市場の拡大に伴い Si 原材料の需給 が逼迫し、原料の入手が困難な状況になりつつあり、さらに Si 自体の価格も高騰して いるため、Si 原材料問題が市場拡大への懸念材料になっている[3]。また、低抵抗であ り、太陽電池の透明電極として ITO(Indium tin oxide)が 用いられているが、含有され ている In(インジウム)が希少金属であり、今後の需要拡大に対応した代替材料の開発も 課題とされている。上記の従来の太陽電池においては、材料および太陽電池製造プロセ スに関連して格段の低コスト化を図るのは困難とされ、また半導体産業との絡みで材料供給能力、すなわち量産化にも限界があるものと危惧されている。 そこで、このような問題を解決するための一つとして、本研究のような薄膜型太陽電 池の開発研究が精力的におこなわれている。薄膜型太陽電池は使用原材料の飛躍的低減 が可能であり、省資源・大面積・軽量性・低コスト化、さらには量産化が期待できる。 また、透明電極の ITO の代替材料としては酸化亜鉛(ZnO)が挙げられ、優れた電気特性 を持つことから注目を集めている。 薄膜型の太陽電池の変換効率は上で述べた結晶系のものに比べ変換効率が低く、向上 させるには面積を広くさせなければならないという問題点がある。そのため効率を上げ る様々な技術開発が求められている。具体的な対策としては、表面テクスチャ構造を用 いて入射光を太陽電池内で多重反射させて有効活用する光閉じ込め技術などがおこな われている。 1 1 1 1----222 pn2 pnpnpn 型太陽電池型太陽電池型太陽電池型太陽電池のののの発電原理発電原理発電原理発電原理 図 1-1 pn 接合による光起電力効果 太陽電池の最も一般的な原理は pn 接合による光起電力効果である。図 1-1 はその効 果による、正孔と電子の移動を示したものである。pn 接合部付近に半導体の禁制帯幅 Egより大きなエネルギーを持つ光量子を照射すると、価電子帯の電子は励起され、電 子・正孔の対生成が起こり、p 層で発生した電子はエネルギー差により右の n 層に移動 する。逆に n 層で発生した電子は pn 接合に発生する電位により n 層に留まる。同様の 事が正孔にも起こり、結果的に電子は n 層へ、正孔は p 層へ分離する[4]。両層内のフ ェルミレベル間には帯電した電荷量に対応した段差が生じ、この差が光照射によって発 生した起電力となり電圧が観測される。 結論的には、この起電力によって負荷に電力を供給するはたらきが、太陽電池の基本 となっている。
p
型
型
型
型
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型
型
型
型
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:正孔
:電子
Eg1 1 1 1----333 太陽電池3 太陽電池太陽電池太陽電池のの表面のの表面表面表面テクスチャテクスチャテクスチャテクスチャ構造構造構造構造 半導体基板の表面は平滑な状態に仕上げられている。このままの状態では多くの光を 反射してしまうので、現在の太陽電池にはテクスチャ構造と呼ばれる光閉じ込め技術が 用いられている。テクスチャ構造とは、図 1-2(a)のようなランダムな構造の事で、製法 としてはアルカリ溶液(KOH、NaOH)を用いて Si の面のエッチング速度の異方性を利 用する事で表面にピラミッド状の凹凸に加工することができる。この構造により太陽電 池内に入射した光を電池内で図 1-2(b)のように多重反射させたり、吸収層を通過する光 の光路長を伸ばしたりすることできる為、実際の膜厚の数倍の膜厚と同等の性能にする 事が可能である[1]。光吸収効率が向上する結果、太陽電池としての機能を高める事が できる。しかし、テクスチャ構造は構造自体の制御が困難であり、成膜条件や膜厚に大 きく依存してしまうという欠点がある。 参考アドレス http:/www.agc.co.jp (a) (b) 図 1-2 テクスチャ構造内の凹凸の様子(a)と光の進み方(b) 1 1 1 1----444 研究目的4 研究目的研究目的研究目的 現在の太陽電池は SiH4(シラン)などの Si 系材料ガスを用いたCVD(化学気相成長) 法によって作製されている[1]。一般にCVD法は高品質での成膜が可能であるが、装 置コストが高い、高純度で高価なガスを用いること、低価格の量産性に問題があるなど の欠点がある。本研究では、CVD 法に代わりスパッタリング法による簡便な作製プロ セスの検討と、酸化亜鉛(ZnO)を半導体層・透明電極層として太陽電池への導入、そし て周期構造を用いた変換効率の向上を目的とする。スパッタリング法は CVD 法に比べ、
材料の制限が無く低温での成膜が可能であり、また ITO に比べて安価で豊富な ZnO を 太陽電池の原料として用いることにより、従来よりも低コスト化が期待できると考えら れる。またランダムな凹凸に代わり、再現性の高い周期構造を用いることで太陽電池表 面の反射光を減少させ、吸収される入射光を増加させることによる変換効率の向上を目 的とする。
1 1 1 1----4 4 4 本論分4 本論分本論分本論分のののの章構成章構成章構成 章構成 本論分の構成は以下の通りである。 第 1 章:緒言である。 第 2 章:ZnO を用いた薄膜 Si 系太陽電池の作製と評価について述べる。 第 3 章:高効率化に向けた薄膜太陽電池への周期構造の導入について述べる。 第 4 章:シリコンを用いた新機能デバイスの作製と応用について述べる。 第 5 章:結言である。
第
第
第
第2
2
2章
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章
章
章 ZnO
ZnO
ZnO
ZnO を
を用
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評価
評価
2 2 2 2----1 1 1 はじめに1 はじめにはじめにはじめに 原料資源の制約の面から、将来的に有望な太陽電池として、薄膜系の太陽電池が注目 されている。太陽光発電の本格的実用化を推進するための最大の課題は、既存の電力系 統に競合できるための低発電コスト化であり、その為には太陽電池自身の低コスト化が 望まれる[1]。 従来の太陽電池は、結晶系の太陽電池が広く使用され、その製造方法は Si のインゴ ットからウェハーをカットし、表面にドーピングをおこない、pn 接合を作り出すもの である。インゴットからウェハーをカットしなければならないため、その厚さは 200μ m 程度になる。それに比べて薄膜系の太陽電池は CVD(化学気相成長)法と呼ばれる製 膜方法を用いることで、光吸収係数の高い膜を成膜する事が可能で、結晶系に比べると 厚さが 1/100 以下に太陽電池を作製することができる。しかし、結晶系と比較すると変 換効率は低くなり、同等の出力を得るためには設置面積を広くしなければならないなど の欠点がある。また、一般の太陽電池の表面に成膜される透明電極には希少金属である ITO の成膜が成されており、今後の需要に応える量産化・低コスト化への懸念がある[5]。 本章では既存の作製法である CVD 法に代わり、スパッタリング法によって太陽電池 の作製をおこなう。スパッタリング法は CVD 法に比べ低温での成膜が可能で、電源が 高周波であるため材料を選ばずに金属・半導体・絶縁体など広く成膜が可能といった利 点があり、作製プロセスの簡略化に繋がると考えられる。また現在、透明電極として安 価な ITO と同等の透明伝導性を持つ酸化亜鉛(ZnO)が注目されている[6]。ZnO は単体 では固有の構造、酸素欠陥などから n 型を示し、アルミニウム(Al)を添加することで p 型を示し、導電性が増すという性質が報告されている[7]。この ZnO 膜を太陽電池の p 型膜、兼透明電極として用いることで最も基本的な pn 接合型太陽電池の製造の簡略化、 コスト削減が期待できる。 2-1-1 酸化亜鉛(ZnO)の諸特性ZnO は、室温で約 3.37[eV]のバンドギャップ・エネルギーと約 60[meV]を持つ直接遷 移形半導体であり、ウルツ鉱形といわれる構造を持ち、原材料の Zn は資源的に比較的 豊富で、安価で毒性の問題のない結晶である[6]。また本研究の太陽電池の作製におい てこの ZnO を用いた理由は、下記のような諸特性を持っているためである。
①高透過率性 本研究の太陽電池の透明電極部分に用いるため、入射する光をより多く取り入れられ るよう透過率は高いものが適している。ZnO の平均可視光透過率は 80[%]以上の特性が 実現されており、ZnO 系透明電導膜の長所に注目した太陽電池等への応用が脚光を浴 びてきている。 ②低抵抗性 上記の用途理由と同様、ITO の代替材料とした電極部は低抵抗なものが望ましく、ド ーパントを含まない ZnO 薄膜をスパッタリング法という手法を用いて成膜することで、 5×10-4[Ω・cm]の低抵抗性が報告されている。また ITO 膜は 10-4~10-5台の低い抵抗率 を保有しており、ドーパントを含まない ZnO 薄膜での代替の実現は難しい。しかし ZnO へのドーパントの種類、作製条件によっては ZnO 薄膜の更なる低抵抗性が可能であり、 また膜の耐熱性が上がるといった性能向上にも繋がり、加えて半導体特性をも持ってい るため、十分に代替の可能性を秘めている[8]。 2 2 2 2----222 試料2 試料試料試料ののの作製の作製作製作製 図 2-1 に本研究で作製した試料の概略図を示す。n 型 Si を基板として、SiO2層(約 1nm)、 ZnO に Al を共スパッタした p 層(以下 ZnO:Al とする)・兼透明電極、裏面電極として Al を蒸着した。次項より、各層の作製法を述べる。 図 2-1 作製する太陽電池の概略図 ZnO:Al( ZnO:Al(ZnO:Al( ZnO:Al(スパッタリングスパッタリングスパッタリングスパッタリング)))) pppp 層層層層 SiO SiOSiO SiO2222((((スパッタリングスパッタリングスパッタリングスパッタリング)))) n nn n----SiSiSi 基板Si基板基板基板 nnn 層n層層層 裏面電極 裏面電極裏面電極 裏面電極((((真空蒸着真空蒸着真空蒸着真空蒸着))))
2-2-1 スパッタリング法による ZnO:Al(p 層)薄膜の作製 (a) (b) 図 2-2 rf スパッタリング法簡略図(a)と ZnO ターゲットの様子(b) 本研究で用いた p 層の成膜は、高周波(rf-radio frequency)スパッタリング法によりお こなった。試料の作製には rf スパッタリング装置(ULVAC:SH350-SE)を用いた。図 2-2(a)にその概略図を示す。rf スパッタリング法とは、まずチャンバ内の圧力を真空に 近づけ、真空中にガスを導入し高電圧印加によるグロー放電によってプラズマを形成す る。その中の正イオンが陰極へ飛んでいき、陰極にあたる膜材料(ターゲット)の表面に 衝突し、ターゲットの原子・分子を飛び出させて基板上に凝集させる。そしてガス中に 存在する電子が高周波電場からエネルギーを吸収し加速することによって電子が分離 し、さらに加速されてイオン化する。この電子の移動速度がイオンに比べて大きいため、 高周波の正の半周期でターゲット表面がこの電子によって負に帯電し、この表面の負の 電位に向かって正イオンが衝突するために、連続的にスパッタリングが起こるのである [9]。また、絶縁物を成膜する場合でも高周波電源を用いることで絶縁物のスパッタリ ングが可能であるので材料の制限がないという特徴がある。 次に今回おこなった成膜手順について説明する。 ▼p 層成膜手順 ①チャンバ内に n 型の Si 基板(19.5mm×19.5mm)をセットした。 ②ZnO ターゲット上に Al ワイヤー(10mm)を 4~15 本載せた。 ③300℃で基板加熱をし、共スパッタをおこなった。 ④成膜後、電気炉(デンケン、KDF S-70)にて窒素雰囲気中で 450℃、1 時間のアニール ZnO ターゲット Al ワイヤー 10mm 100mm
を施した。 2-2-2 作製条件 今回おこなった ZnO:Al 薄膜、SiO2薄膜の作製条件は以下の通りである。 図 2-3 成膜条件 また、Al の含有別など条件を変えた光電特性の比較をおこなうために、石英基板上 に ZnO:Al 薄膜を作製し、それぞれの試料について評価した。 2-2-3 透過率の測定 Al の本数を 4~15 本と変えて ZnO:Al 膜の透過率を測定した。測定には分光光度計(島 津、UV-3101PC)を用いた。結果を図 2-4 に示す。 5 0 0 5 0 05 0 0 5 0 0 1 0 0 01 0 0 01 0 0 01 0 0 0 1 5 0 01 5 0 01 5 0 01 5 0 0 2 0 0 02 0 0 02 0 0 02 0 0 0 5 5 5 5 5 5 5 5 6 0 6 0 6 0 6 0 6 5 6 5 6 5 6 5 7 0 7 0 7 0 7 0 7 5 7 5 7 5 7 5 8 0 8 0 8 0 8 0 8 5 8 5 8 5 8 5 9 0 9 0 9 0 9 0 9 5 9 5 9 5 9 5 1 0 0 1 0 0 1 0 0 1 0 0 T ra n sm it ta n c e (% ) T ra n sm it ta n c e (% ) T ra n sm it ta n c e (% ) T ra n sm it ta n c e (% ) W a v e le n g t h (n m ) W a v e le n g t h (n m ) W a v e le n g t h (n m ) W a v e le n g t h (n m ) A l× 4 A l× 5 A l× 6 A l× 7 A l× 8 A l× 1 0 A l× 1 5 図 2-4 Al 本数別による透過率の変化 グラフより、Al の本数が増加する毎に、透過率は減少する傾向となった。また、全 ての試料で透過率が測定した波長の測定範囲において 80%超と高いものとなった。 ターゲット ZnO SiO2 rf 電力[w] 75 200 導入ガス O2 Ar(アルゴン) ガス流量[sccm] 15 10 成膜時圧力[mTorr] 10 基板加熱[℃] 300
ZnO:Al は今回の試料の透明電極としても用いられるので、より高い透過率が好ましい。 また、グラフのリップルは成膜された ZnO:Al 層と SiO2基板の屈折率の違いにより発 生するものである。 2-2-4 アニール温度別透過率の測定 Al の本数を 7 本と固定し、成膜後のアニール温度別の透過率の測定をおこなった。 結果を図 2-5 に示す。 6 0 0 6 0 06 0 0 6 0 0 9 0 09 0 09 0 09 0 0 1 2 0 01 2 0 01 2 0 01 2 0 0 8 0 8 08 0 8 0 8 5 8 58 5 8 5 9 0 9 09 0 9 0 9 5 9 59 5 9 5 1 0 0 1 0 01 0 0 1 0 0 T ra n sm it ta c e (% ) T ra n sm it ta c e (% ) T ra n sm it ta c e (% ) T ra n sm it ta c e (% ) W a v e le n g th (n m ) W a v e le n g th (n m )W a v e le n g th (n m ) W a v e le n g th (n m ) 4 0 0 ℃ 4 5 0 ℃ 5 0 0 ℃ 5 5 0 ℃ 図 2-5 アニール温度別透過率の変化 グラフより成膜後のアニール温度 400℃時が試料の透過率が低く、500℃のときが最 も高いという結果が得られた。500℃をピークにアニール温度を上昇させると透過率は 減少する傾向となった。 2-2-5 吸収係数の算出 2-2-3 項の結果である図 2-3 を用いて吸収係数の算出をおこなった。吸収係数とは光 がある媒質に入射したとき、その媒質がどれくらい光を吸収するのかを示す定数である。 吸収係数αは透過率 T を用いると下記のようになる。ここで、d は膜厚である。 ) exp( d T = −
α
1.0 1.01.0 1.0 1.51.51.51.5 2.02.02.02.0 2.52.52.52.5 3.03.03.03.0 0 00 0 2000 20002000 2000 4000 40004000 4000 6000 60006000 6000 8000 80008000 8000 10000 10000 10000 10000 12000 12000 12000 12000 14000 14000 14000 14000 2000 2000 2000 2000 1500150015001500 1000100010001000 500500500500 A b so rp ti o n c o e ff ic ie n t( c m A b so rp ti o n c o e ff ic ie n t( c m A b so rp ti o n c o e ff ic ie n t( c m A b so rp ti o n c o e ff ic ie n t( c m -1 -1 -1-1 )))) Photon energy(eV) Photon energy(eV) Photon energy(eV) Photon energy(eV) Al× 4 Al× 5 Al× 6 Al× 7 Al× 8 Al× 10 Al× 15 Wavelength(nm) Wavelength(nm) Wavelength(nm) Wavelength(nm) 図 2-6 Al 本数別による吸収係数の変化 グラフより Al の含有量を増加させていくと、吸収係数が高くなる傾向となった。ZnO:Al 薄膜を透明電極として用いることにより多くの入射光が pn 接合部に当たることで、よ り多くのキャリアを生成できるようになると考えられる。 2-2-6 屈折率の算出 透過率の結果から、屈折率の算出をおこなった(付録参照)。結果を図 2-7 に示す。Al の含有量が増加する毎に屈折率は全体的に減少する傾向が得られた。波長 1600nm よ り長波長域での算出が出来なかったのは、透過率のリップルが発生しなかったためであ る。また、波長 1600nm 付近で最も屈折率が低くなるのは、Al×10 のときで屈折率は 1.79 となった。また、最も高くなるのは Al×4 のときで屈折率は 1.86 となった。
4 0 0 4 0 04 0 0 4 0 0 6 0 06 0 06 0 06 0 0 8 0 08 0 08 0 08 0 0 1 0 0 01 0 0 01 0 0 01 0 0 0 1 2 0 01 2 0 01 2 0 01 2 0 0 1 4 0 01 4 0 01 4 0 01 4 0 0 1 6 0 01 6 0 01 6 0 01 6 0 0 1 8 0 01 8 0 01 8 0 01 8 0 0 1 .8 0 1 .8 0 1 .8 0 1 .8 0 1 .8 5 1 .8 5 1 .8 5 1 .8 5 1 .9 0 1 .9 0 1 .9 0 1 .9 0 1 .9 5 1 .9 5 1 .9 5 1 .9 5 2 .0 0 2 .0 0 2 .0 0 2 .0 0 2 .0 5 2 .0 5 2 .0 5 2 .0 5 2 .1 0 2 .1 0 2 .1 0 2 .1 0 R e fr ac ti ve I n d e x R e fr ac ti ve I n d e x R e fr ac ti ve I n d e x R e fr ac ti ve I n d e x W a v e le n g th (n m ) W a v e le n g th (n m ) W a v e le n g th (n m ) W a v e le n g th (n m ) A l× 4 A l× 5 A l× 6 A l× 7 A l× 8 A l× 1 0 A l× 1 5 図 2-7 Al 本数別屈折率評価 2-2-7 4 探針法を用いた抵抗率の測定 作製した ZnO:Al 薄膜の試料が透明電極としての低抵抗の性質を示しているかどうか を調べるため、抵抗率を 4 探針法で測定した。図 2-8 に 4 探針法の概略図を示す。 図 2-8 4 探針法の概略図 4 探針法とは、等間隔に配置された 4 本のプローブを試料に接触させ、両端の 2 探針 に電圧を印加し、内側の 2 探針間に生じる電位差を測定することで、抵抗率を測定する 方法である。測定をおこなう試料の形状に依存することなく測定できるという利点があ
A
V
d
d
d
る。測定結果の電圧Vと電流Iを下記の公式に代入することで、抵抗率ρは算出できる。 ⋅ ⋅ = I V t 2 ln
π
ρ
(ρ:抵抗率、V:電圧、I:電流、t:試料の膜厚) 4 探針法によって測定し、算出した抵抗率の結果を図 2-9 に示す。グラフより、ZnO に共スパッタされる Al の本数が増加する毎に、全体的に抵抗率が減少する傾向になっ た。これは薄膜中の Zn2+イオンが共スパッタする Al の本数が増加することで、より多 くの Al3+イオンと置き換わったためと考えられる。また最も低くなったのは Al 本数が 15 本のときであり、抵抗率は 6.32[Ω・cm]となった。文献による ZnO:Al 薄膜の抵抗率 は 5×10-4[Ω・cm]となっており、今回の結果はその値を大きく超えるものとなってしま った[8]。これは酸素イオン等の高速粒子の衝撃による膜の結晶性の悪化、または酸化 性の強い ZnO では顕著に現れる酸素供給過剰による膜の酸化促進によるものと考えら れる[6]。この問題を解決するためには、更なる成膜条件、アニール条件の見直しが課 題となる。 4 44 4 6666 8888 1 01 01 01 0 1 21 21 21 2 1 41 41 41 4 1 61 61 61 6 1 0 1 0 1 0 1 0 2 0 2 0 2 0 2 0 3 0 3 0 3 0 3 0 4 0 4 0 4 0 4 0 5 0 5 0 5 0 5 0 6 0 6 0 6 0 6 0 7 0 7 0 7 0 7 0 8 0 8 0 8 0 8 0 9 0 9 0 9 0 9 0 R e si st iv it y R e si st iv it y R e si st iv it y R e si st iv it y((((ΩΩΩΩ ・・・・ c m c mcmcm)))) N u m b e r o f A lu m in u m N u m b e r o f A lu m in u mN u m b e r o f A lu m in u m N u m b e r o f A lu m in u m 図 2-9 ZnO:Al 膜の Al 含有別抵抗率の変化2 2 2 2----3 3 3 電極3 電極電極電極のののの作製作製作製作製 2-3-1 Al 電極の作製 pn 接合の形成が施された試料の裏面に電極を作製する。裏面電極には表面電極同様、 低抵抗な材料が好ましく、本研究では Al 電極を真空蒸着法により成膜した。真空蒸着 法とは、高真空の圧力下で、金属あるいは金属酸化物を抵抗加熱(RH 法)することで蒸 発させ、加熱された基板上に膜として堆積させる方法である。高融点の原料には適さな いといった欠点はあるが、高真空中で純度の高い成膜が可能、成膜速度がスパッタリン グよりも速いといった利点がある。以下に、作製手順を示す。 ▼ 裏面電極作製手順 裏面電極には、真空蒸着装置(ULVAC、YH-500A)によって Al の蒸着をおこなった。 Al 成膜手順 ①ベルジャー内に試料、Al をセットした。 ②ロータリー、ディフュージョンポンプでベルジャー内を 10-6Torr 台の高真空にした。 ③Al を蒸発させて試料表面に Al を蒸着させた。 ④電気炉で 500℃、5 分アニールをおこなった。 Al 電極の膜厚は水晶振動子にて制御することができ、膜厚はおよそ 450nm となった。 2-3-2 オーミックコンタクト 金属と半導体(今回の場合、Al と n-Si)が接触したとき、ショットキー障壁が発生しオ ーミック性が低くなる。そこでオーミック接触を形成するために、成膜後に 500℃、5 分アニールをおこなった。図 2-10 にアニール前後の I-V 特性を示す。 (a)アニール前 (b)アニール後 図 2-10 アニール前後による金属-半導体 I-V 特性 -10 -10 -10 -10 -5-5-5-5 0000 5555 10101010 -12 -12 -12 -12 -10 -10 -10 -10 -8 -8 -8 -8 -6 -6 -6 -6 -4 -4 -4 -4 -2 -2 -2 -2 0 00 0 2 22 2 C u rr e n t (m A ) C u rr e n t (m A ) C u rr e n t (m A ) C u rr e n t (m A ) Voltage (V) Voltage (V) Voltage (V) Voltage (V) -1.0 -1.0 -1.0 -1.0 -0.5-0.5-0.5-0.5 0.00.00.00.0 0.50.50.50.5 1.01.01.01.0 -100 -100-100 -100 -50 -50-50 -50 0 00 0 50 50 50 50 100 100100 100 C u rr e n t (m A ) C u rr e n t (m A ) C u rr e n t (m A ) C u rr e n t (m A ) Voltage (V) Voltage (V) Voltage (V) Voltage (V)
グラフより、アニール前はショットキー障壁により電流が流れにくくなっているが、 アニール後の I-V 特性は、抵抗も一定値となりグラフもほぼ直線状になっている。この 結果から、蒸着後にアニールをおこなう事でオーミックコンタクトが形成されているの がわかる。 2-3-3 p 型と n 型の半導体別オーミックコンタクト p-Si、n-Si 基板にそれぞれ Al の裏面電極のみの蒸着を施した試料を作製し、両者に 対してオーミック性の比較をおこなった。作製方法は上記に示したとおり、Al を真空 蒸着法により蒸着後、電気炉で 5 分間アニールを施した。作製した試料の概略図(a)と、 測定系(b)は以下のようにした。印加する電圧は試料への負担を考慮し、-10~10[V] までとした。また、それぞれの結果を図 2-12 に示す。 (a)概略図 (b)I-V 特性測定系 図 2-11 オーミックコンタクト測定試料(a)と測定系(b) - 1 0 - 1 0- 1 0 - 1 0 - 5- 5- 5- 5 0000 5555 1 01 01 01 0 - 8 0 - 8 0 - 8 0 - 8 0 - 6 0 - 6 0 - 6 0 - 6 0 - 4 0 - 4 0 - 4 0 - 4 0 - 2 0 - 2 0 - 2 0 - 2 0 0 00 0 2 0 2 0 2 0 2 0 4 0 4 0 4 0 4 0 6 0 6 0 6 0 6 0 8 0 8 0 8 0 8 0 C u rr e n t( m A ) C u rr e n t( m A ) C u rr e n t( m A ) C u rr e n t( m A ) V o lta g e (V ) V o lta g e (V ) V o lta g e (V ) V o lta g e (V ) p - S i n - S i 図 2-12 半導体別オーミックコンタクト グラフから、p 型 n 型のどちらの試料に対してもアニールを施すことでオーミックコ ンタクトが形成されていることが確認できる。 Si 基板裏側(フッ酸処理済) Al 電極(真空蒸着)
2 2 2 2----444 電気特性4 電気特性電気特性電気特性ののの評価の評価評価評価 2-4-1 太陽電池の変換効率の評価 太陽電池の性能は変換効率という指数で表される。変換効率は、入力となる太陽放射 光エネルギーの照射によって、太陽電池の端子から出てくる電気出力エネルギーの比を パーセントで表したものである。すなわち、変換効率ηは
〔%〕
エネルギー
太陽電池に入った太陽
力
太陽電池からの電気出
η=
×
100
と定義される。しかし、同じ太陽電池でも入射光のスペクトルが変わっても、また、同 じ入射光を受光しても、太陽電池の負荷が変われば取り出しうる電気出力が変化し、違 った値の効率となる。そこで太陽放射の空気質量通過条件が AM(air mass、通過空気 質量)-1.5 で、100[mW/cm2]という入射光パワーに対して負荷条件を変えた場合の最大 出 力 と の 比 を 百 分 率 で 表 し た も の を 正 し い 変 換 効 率 と 称 し て 公 称 効 率 (nomical efficiency)と定義している[1]。現在利用されている一般的な太陽電池の公称効率は、そ の種類にもよるが約 10~20[%]となっている。本研究では任意の光源を利用し、照射光 の強さを 100[mW/cm2]に調整することで公称効率としての測定をおこなった。 2-4-2 変換効率の測定方法 作製した太陽電池について、I-V 特性を測定し、変換効率の算出をおこなった。実際 の太陽電池の公称効率の測定には、AM-1.5、100[mW/cm2]とあらかじめ条件を設定し ソーラーシュミレーターを用いておこなう。以下に一般的な太陽電池の I-V 特性曲線(a) を示す。 (a) (b) 図 2-13 太陽電池 I-V 曲線(a)と本研究でおこなった測定系(b)光照射時において、端子を開放した時の出力電圧を開放電圧(Voc)、短絡した時の電流 を短絡電流(Isc)と呼ぶ。そして、最大の出力電力を与える動作点 P を最大出力点という。 また変換効率(η)は試料に入射光(Pin)を照射し、I-V 特性曲線、開放電圧、短絡電流の 測定をおこない以下の式で算出することができる。
[%]
]
/
[
]
[
100
]
/
[
100
100
2 2 max maxFF
cm
mA
I
V
V
cm
mW
FF
I
V
S
P
I
V
sc oc sc oc in⋅
⋅
=
×
⋅
⋅
=
×
⋅
=
η
ここで、Vmax、Imaxは最大出力点 Pmaxの時の電圧、電流であり、S は受光面積である。 また FF は sc ox
I
V
I
V
FF
⋅
⋅
=
max maxとなる。ここで FF は曲線因子(curve fill factor)と呼ばれ、図 2-13(a)の斜線部分の面積 を開放電圧と短絡電流の積(理想電力値:Voc・Isc)で割ったものに相当し、太陽電池の性能 のよさを示す重要な指数である。理想状態では 80[%]以上の値が期待できるが、太陽電 池内部の抵抗成分の影響により低下し、一般には 70~75[%]となる[10]。 一般に短絡電流が測定される状態は、pn 接合のエネルギー段差を下りた電子と正孔 は全部外部に取り去られ、電荷蓄積が無いのでフェルミエネルギーは平衡状態、つまり 直線となっている。また、開放電圧に相当する状態は、p と n のそれぞれに流れ込んだ 電荷全部が蓄積され、結果としてフェルミエネルギーに段差を生じている[8]。 今回おこなった測定系を図 2-13(b)に示す。電流計内の内部抵抗分を補うための余分 な電流が必要となってしまうので、今回の測定では抵抗値と電圧値から電流値を求めた。 そのため測定は電流系を外した回路でおこなった。また、上式では Pin:100[mW/cm2] の場合に限り曲線因子、開放電圧、短絡電流の 3 つの値から変換効率を算出できるため、 本研究では Pin:100[mW/cm2]に調整し、式にそれぞれの値を代入した。 2-4-3 Al 含有本数別による変換効率の変化 上記測定系を用いて、Al 本数別に太陽電池を作製し変換効率の評価をおこなった。 ZnO:Al 膜の成膜時間は統一した 3 時間でおこなった。図 2-14 に測定結果を示す。また、 測定をおこなった Al 本数別の各試料の短絡電流密度 Jsc、開放電圧 Voc、曲線因子 FF、 変換効率ηを表1に示す。
0 00 0 5 05 05 05 0 1 0 01 0 01 0 01 0 0 1 5 01 5 01 5 01 5 0 2 0 02 0 02 0 02 0 0 2 5 02 5 02 5 02 5 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 8 0 .0 8 0 .0 8 0 .0 8 0 .1 0 0 .1 0 0 .1 0 0 .1 0 0 .1 2 0 .1 2 0 .1 2 0 .1 2 0 .1 4 0 .1 4 0 .1 4 0 .1 4 0 .1 6 0 .1 6 0 .1 6 0 .1 6 0 .1 8 0 .1 8 0 .1 8 0 .1 8 C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m 2222 )))) V o lt a g e ( m V ) V o lt a g e ( m V )V o lt a g e ( m V ) V o lt a g e ( m V ) A l× 4 A l× 5 A l× 6 A l× 7 A l× 8 A l× 1 0 A l× 1 5 図 2-14 Al 本数別太陽電池 I-V 特性(成膜時間 3h) Al 含有量[本] Jsc[μA/cm2] Voc[mV] FF[%] η×10-4[%] 4 0.028 192.1 13.41 0.721 5 0.026 242.2 4.459 0.098 6 0.027 221.6 15.60 0.923 7 0.164 249.3 24.25 9.89 8 0.039 258.9 14.08 1.496 10 0.136 216.2 25.87 7.55 15 0.135 237.6 24.95 8.01 表1 Al 本数別各パラメータの変化 白熱電球(100mW/cm2)を光源として測定をおこなったところ、短絡電流密度が最も 高い値を示した試料は Al×7 本で、開放電圧が最も高い値を示したのは Al×8 本の試 料であった。また、変換効率が最も高い値を示したのは Al×7 本のときで、FF は 24.25[%]、ηは 9.89×10-4[%]という結果になった。同構造の短絡電流密度、開放電圧 はそれぞれ、23[mA/cm2]、370[mV]程度であることから[7]、今回作製した試料はそれ らの値と比べると短絡電流、開放電圧共に小さいといえる。
0 .00 0 .000 .00 0 .00 0 .02 0 .020 .02 0 .02 0 .04 0 .040 .04 0 .04 0 .06 0 .060 .06 0 .06 0 .08 0 .080 .08 0 .08 0 .10 0 .100 .10 0 .10 0 .12 0 .120 .12 0 .12 0 .14 0 .140 .14 0 .14 0 .16 0 .160 .16 0 .16 0 .18 0 .180 .18 0 .18 0 00 0 50505050 1 001 001 001 00 15 015 015 015 0 20 020 020 020 0 25 025 025 025 0 0.00 0 0.00 0 0.00 0 0.00 0 0.00 2 0.00 2 0.00 2 0.00 2 0.00 4 0.00 4 0.00 4 0.00 4 0.00 6 0.00 6 0.00 6 0.00 6 0.00 8 0.00 8 0.00 8 0.00 8 0.01 0 0.01 0 0.01 0 0.01 0 C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m 2222 )))) 電 流 密 度 E le c tr ic it y( μ W / c m E le c tr ic it y( μ W / c m E le c tr ic it y( μ W / c m E le c tr ic it y( μ W / c m 2222 ) 電 力 図 2-15 Al×7 本の試料の I-V・電力特性 2-4-4 膜厚による変換効率の変化 ZnO:Al 薄膜の成膜時間を 1 時間毎に変えた試料を作製し、変換効率の測定をおこな った。このとき、Al の本数は 4 本に統一した。膜厚の測定には本研究室所有の接触段 差計(ULVAC、DEKTAK3ST)を用いた。ZnO:Al 薄膜のスパッタレートは約 140nm/h となっているので、2 時間、3 時間と成膜時間を延ばす毎に膜厚も 2 倍(280nm)、3 倍 (420nm)と変化していく。結果を図 2-16 に示す。また、測定をおこなった試料の短絡 電流密度 Jsc、開放電圧 Voc、曲線因子 FF、変換効率ηを表 2 に示す。 0 00 0 5 05 05 05 0 1 0 01 0 01 0 01 0 0 1 5 01 5 01 5 01 5 0 2 0 02 0 02 0 02 0 0 2 5 02 5 02 5 02 5 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 1 0 .0 1 0 .0 1 0 .0 1 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 3 0 .0 3 0 .0 3 0 .0 3 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 5 0 .0 5 0 .0 5 0 .0 5 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 6 C u rr e n t d e n si ty (μ A / c m C u rr e n t d e n si ty (μ A / c m C u rr e n t d e n si ty (μ A / c m C u rr e n t d e n si ty (μ A / c m 2222 )))) V o lt a g e ( m V ) V o lt a g e ( m V ) V o lt a g e ( m V ) V o lt a g e ( m V ) 2 h 3 h 4 h 5 h 図 2-16 成膜時間別太陽電池 I-V 特性(Al×4)
成膜時間[h] Jsc[μA/cm2] Voc[mV] FF[%] η×10-4[%] 2 0.013 263.5 10.79 0.356 3 0.035 192.1 39.02 2.640 4 0.045 201.2 41.67 3.745 5 0.058 132.3 21.06 1.629 表 2 成膜時間別各パラメータの変化 グラフから成膜時間を増加させると開放電圧は減少し、短絡電流は増加する傾向が得 られた。短絡電流が増加したのは、太陽電池内での光路長が伸び吸収に寄与する光が増 加し、より多くのキャリアが発生したためと考えられる。短絡電流に焦点をあてて見て みると、成膜時間が 2 時間から 3 時間としたときは、約 2.7 倍と飛躍的に増加し、3 時 間以降は約 1.29 倍ずつ一定の値で増加するという傾向が得られた。今回の成膜時間別 では 4 時間の試料が最も変換効率が高く、3.745×10-4[%]となった。今後は成膜時間を、 更に細かく設定して作製していくことで太陽電池としての ZnO:Al 薄膜の最適な膜厚が 判明できると考えられる。 2-4-5 挿入層 SiO2薄膜の有無による出力特性の変化
図 2-1 の概略図に示したように、n-Si 基板と ZnO:Al 薄膜間の SiO2層の有無別の試 料を作製し、変換効率の測定をおこなった。SiO2層の膜厚は約 1.5nm とし、他のパラ メータ(Al 本数×4、成膜時間 3 時間)は統一した。結果を図 2-17 に示す。 0 00 0 5 05 05 05 0 1 0 01 0 01 0 01 0 0 1 5 01 5 01 5 01 5 0 2 0 02 0 02 0 02 0 0 0 .0 0 0 0 .0 0 0 0 .0 0 0 0 .0 0 0 0 .0 0 5 0 .0 0 5 0 .0 0 5 0 .0 0 5 0 .0 1 0 0 .0 1 0 0 .0 1 0 0 .0 1 0 0 .0 1 5 0 .0 1 5 0 .0 1 5 0 .0 1 5 0 .0 2 0 0 .0 2 0 0 .0 2 0 0 .0 2 0 0 .0 2 5 0 .0 2 5 0 .0 2 5 0 .0 2 5 0 .0 3 0 0 .0 3 0 0 .0 3 0 0 .0 3 0 C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m 2222 )))) V o lta g e (m V ) V o lta g e (m V ) V o lta g e (m V ) V o lta g e (m V ) 挿 入 層 : 有 挿 入 層 : 無 図 2-17 SiO2層の成膜有無別出力特性
グラフから、SiO2層が成膜されていない試料よりも、成膜されている試料のほうが 短絡電流は 2.52 倍、開放電圧は 1.20 倍と共に増加する結果となった。本来 SiO2は絶 縁体であるが、今回の太陽電池の構造に限って SiO2層は ZnO:Al 薄膜と比べて(~約 1nm と)極薄膜であり、仮説ではあるが真性半導体である Si の光電流活性層(i 層)のよ うな性質を示したのではないかと思われる。 真性半導体である Si の場合、i 層が厚いほど太陽光は有効に吸収されるが逆に i 層内 に電界の弱い部分が現れ、その結果キャリアの収集効率を低下させ曲線因子を低下させ ることに繋がる。反対に i 層が薄くなれば、i 層全域にわたって強い電界が存在するた め曲線因子は大きくなるが、逆に光の吸収量が減少するために短絡電流が低下するとい う性質がある。つまり、i 層には最適な膜厚が存在するということになる[11]。以上の ことから SiO2層も同様に最適な膜厚が存在すると考えられる。 2-4-6 挿入層 SiO2薄膜の膜厚による出力特性の変化 前項の結果から踏まえて最適な膜厚を探索するために、SiO2 層の成膜時間を変化さ せた試料を作製し変換効率の測定をおこなった。SiO2 層のスパッタレートは約 0.03[nm/sec]となっており、成膜時間を 0[sec]~10[sec]と変化させて測定した結果を図 2-18 に示す。ここでは最も変換効率が高かった Al×7 本を基準とし、SiO2層以外の作 製条件(成膜時間 3 時間)は一定とした。 0 00 0 5 05 05 05 0 1 0 01 0 01 0 01 0 0 1 5 01 5 01 5 01 5 0 2 0 02 0 02 0 02 0 0 2 5 02 5 02 5 02 5 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 8 0 .0 8 0 .0 8 0 .0 8 0 .1 0 0 .1 0 0 .1 0 0 .1 0 0 .1 2 0 .1 2 0 .1 2 0 .1 2 0 .1 4 0 .1 4 0 .1 4 0 .1 4 0 .1 6 0 .1 6 0 .1 6 0 .1 6 0 .1 8 0 .1 8 0 .1 8 0 .1 8 C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m 2222 )))) V o lta g e (m V ) V o lta g e (m V ) V o lta g e (m V ) V o lta g e (m V ) 1 0 s e c 8 s e c 5 s e c 3 s e c 0 s e c
図 2-18 SiO2層の膜厚別 I-V 特性(Al×7 本)
グラフより、膜厚が増加していく毎に変換効率も増加し、成膜時間が 5sec をピーク に更に厚くすると今度は減少する傾向になった。これは、膜厚が増えることで SiO2本
来の絶縁性が現れ太陽電池の全体としての抵抗が増加したためと考えられる。成膜時間 が 0sec の試料と比べ、ある程度の SiO2層の成膜を施すことにより短絡電流、開放電圧 は増加する結果となった。しかし、絶縁体である SiO2層が i 層のようなキャリア対の 生成を担っているとは考えにくい。キャリア対生成は ZnO:Al 薄膜と n-Si 基板との界 面でおこなわれているものと考えられるため、SiO2層の挿入による具体的な影響を調 査することが今後の課題と思われる。また SiO2層に代わり、真性半導体 Si による同構 造の太陽電池の作製・比較については現在検討中である。 2-4-7 アニール時の窒素雰囲気有無別の出力特性 太陽電池の ZnO:Al 層成膜後のアニール時において、窒素雰囲気有無別の試料を作製 し、変換効率の測定をおこなった。図 2-19 に結果を示す。両者の試料とも作製条件は Al×7 本、ZnO:Al 薄膜の成膜時間:3 時間、SiO2層:5sec、アニール温度、アニール 時間はそれぞれ 450℃、1 時間とした。 0 00 0 5 05 05 05 0 1 0 01 0 01 0 01 0 0 1 5 01 5 01 5 01 5 0 2 0 02 0 02 0 02 0 0 2 5 02 5 02 5 02 5 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 8 0 .0 8 0 .0 8 0 .0 8 0 .1 0 0 .1 0 0 .1 0 0 .1 0 0 .1 2 0 .1 2 0 .1 2 0 .1 2 0 .1 4 0 .1 4 0 .1 4 0 .1 4 0 .1 6 0 .1 6 0 .1 6 0 .1 6 0 .1 8 0 .1 8 0 .1 8 0 .1 8 C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m 2222 )))) V o lt a g e ( m V ) V o lt a g e ( m V )V o lt a g e ( m V ) V o lt a g e ( m V ) 窒 素 ア ニ ー ル : 有 窒 素 ア ニ ー ル : 無 図 2-19 窒素アニール有無別出力特性 グラフから、空気中でアニールした試料の方の開放電圧は 186.6[mV]、短絡電流は 0.023[mV]となった。窒素雰囲気中でアニールした試料と比べると開放電圧、短絡電流 は共に減少する傾向が得られた。また、変換効率は 0.494×10-4[%]と窒素雰囲気中で作 製した試料よりも低くなり、FF は 11.48[%]となった。これはアニール温度上昇の低温 時に ZnO 粒界上に O2が付着することにより抵抗値が増加したためと考えられる。従っ て、空気中ではなく窒素雰囲気中でアニールすることで膜表面が安定し、より良質な膜 が形成されたと考えられる。
2-4-8 共スパッタ時のホウ素(B)の追加有無別出力特性 今までの試料は ZnO ターゲット上に Al ワイヤーを乗せ共スパッタをおこない ZnO:Al 薄膜を作製していた。 しかし、ZnO にガリウム(Ga)と同属の B の共スパッタをおこない、B を少量含ませ ることで ZnO と Ga の薄膜(ZnO:Ga)よりも結晶性、熱安定性、そして抵抗値安定の改 善が得られ、膜の性能を向上させるということが報告されている[12]。 Al も B や Ga と同様の第 13 属元素であるため、性質の再現は原理上、可能である。 そこで、Al に同属の B をも加えて共スパッタした試料を作製し、変換効率の測定をお こなった。作製時のターゲットの概略図は図 2-20 に示す。作製には Al ワイヤー×7 本、 B チップは 4 枚を図の様に配置した。作製手順、条件は前記 2-2-1 項に述べたものと同 様である。作製した試料の I-V 特性を下記の図 2-21 になった。 図 2-20 B 共スパッタ時の ZnO ターゲットの様子 100mm Al ワイヤー(10mm) ZnO ターゲット B チップ(10mm×10mm)
0 00 0 5 05 05 05 0 1 0 01 0 01 0 01 0 0 1 5 01 5 01 5 01 5 0 2 0 02 0 02 0 02 0 0 2 5 02 5 02 5 02 5 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 4 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 6 0 .0 8 0 .0 8 0 .0 8 0 .0 8 0 .1 0 0 .1 0 0 .1 0 0 .1 0 0 .1 2 0 .1 2 0 .1 2 0 .1 2 0 .1 4 0 .1 4 0 .1 4 0 .1 4 0 .1 6 0 .1 6 0 .1 6 0 .1 6 0 .1 8 0 .1 8 0 .1 8 0 .1 8 C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m C u rr e n t( μ A / c m 2222 )))) V o lt a g e ( m V ) V o lt a g e ( m V ) V o lt a g e ( m V ) V o lt a g e ( m V ) A l× 7 A l× 7 + B × 4 図 2-21 B チップ共スパッタ有無別出力特性 グラフから分かるように Al と B を合わせて共スパッタした太陽電池の短絡電流は 0.027[μA/cm2]、開放電圧は 195[mV]、FF は 12.91[%]、そして変換効率ηは 0.671× 10-4[%]となった。ZnO に Al のみを共スパッタしたこれまでの太陽電池に比べて、短絡 電流、開放電圧共に低くなり、変換効率向上には至らなかった。原因としては、B の含 有量が多かったことが考えられる。文献によると、試料に含まれる Ga と B の比は、 Ga:B=12.5:1 と B は極少量であった[12]。加えて今回の作製で用いた B は表面積の 大きいチップであったため Al ワイヤーよりも多く成膜された可能性がある。今後は混 合割合などの工夫を施すことにより、変換効率は改善されると思われる。 今回は作製条件を Al×7 本の試料に合わせておこなった。また、B チップ×4 枚の試 料のみの作製だったため、今後は作製時の導入ガス、基板加熱温度、最適 B チップ枚 数、Al・B の最適な本数・枚数の組み合わせ、アニール温度など改良すべき点は多岐に わたる。これらを踏まえた成膜条件を探索することにより、太陽電池の変換効率向上が 大いに期待できると思われる[13]。
2 2 2 2----555 まとめ5 まとめまとめまとめ 本章では、p 型層、透明電極も兼ねた①ZnO:Al 薄膜、②B も共スパッタした薄膜を スパッタリング法で n-Si 基板上に成膜することによる pn 接合型太陽電池の作製プロセ スの検討をおこなった。 今回作製した太陽電池の中で最も出力が高い条件は、ZnO ターゲット(100mmΦ)上 に Al×7 本、成膜時間 3h、SiO2層の成膜時間:5[sec]のものであり、短絡電流:0.164[μ A/cm2]、開放電圧:249.3[mV]、FF:24.25[%]、そして変換効率は 9.89×10-4[%]となった。 また、太陽電池の作製法としてスパッタリング法で材料ガスなしでの作製事例は少なく、 今回の研究は新たなプロセスの足がかりとなったと考えられる。加えて、ZnO に Al、 B を共スパッタ材料として用いることで容易に p 層を作製することができた。しかし、 ZnO の薄膜の性質を p 型に制御することは極めて難しく、現在においても実験段階で ある。加えて本研究で作製した ZnO:Al 薄膜に対して、半導体特性を調べるホール測定 をおこなった訳でもないため、一概には p 層と断定するのは難しい。そのため今後の課 題としては、ZnO:Al 薄膜の半導体特性についても詳しく調査する必要がある。 尚、次章からは ZnO:Al を『p 型』の層として説明をおこなうことにする。 変換効率については 9.89×10-4[%]となり、一般的な Si 太陽電池の場合、単結晶型は 15~19[%]、多結晶型は 12~17[%]、アモルファス型では 10~12[%]となるため、今 回作製した試料は他の太陽電池と比較しても小さくなってしまった。 低くなってしまった原因としては多々あるが、例を挙げると透明電極として用いた ZnO:Al 薄膜の抵抗率が高いことによる電流の低下や、ZnO:Al 膜の欠陥準位がキャリア の再結合に繋がってしまったこと、そして pn 接合部の不完全さなどが挙げられる。 今後は、各層の成膜において低抵抗化を実現できるような作製法の再検討が課題とな ってくる。また i 層に B を加えて成膜することで、フェルミ準位が価電子帯側にシフト し、フェルミ準位がちょうど禁制帯の中央付近にくることで広い電界領域を得ることが でき、変換効率が向上するという報告もされている[11]。それらを踏まえた最適な成膜 条件を再度検討することで、良質な膜への改善、更なる変換効率の向上が期待できると 思われる。
第
第
第
第3
3
3章
3
章
章
章 高効率化
高効率化に
高効率化
高効率化
に
に
に向
向
向
向けた
けた薄膜系太陽電池
けた
けた
薄膜系太陽電池
薄膜系太陽電池への
薄膜系太陽電池
への
への
への周期構造
周期構造
周期構造
周期構造の
の
の導入
の
導入
導入
導入
3 3 3 3----1 1 1 1 はじめにはじめにはじめに はじめに 前章でスパッタリング法による薄膜シリコン(Si)系の太陽電池の作製方法について述 べたが、薄膜 Si 系の太陽電池は結晶系に比べて変換効率が低いことが課題とされてい る。太陽電池の変換効率を高めるためには、まず表面で光の反射の損失を低く抑え、入 射する光を有効に太陽電池の中に閉じ込める必要がある[14]。その技術の一つに図 3-1(a)のようなテクスチャ構造がある。太陽電池の受光面にミクロなピラミッド構造を 形成させ、表面に入射した光を繰り返し透過・反射をさせ吸収層を通過する光の光路長 を伸ばすことにより、フラットな表面よりも多くの光を太陽電池内で有効活用させるこ とが可能になる。テクスチャ構造はアルカリ溶液(KOH、NaOH など)を用い面方位に よるエッチング速度の違いを利用し、ランダムな凹凸を形成させている[15]。しかし成 膜条件や膜厚などに大きく依存してしまい、構造の制御が難しく再現性が低いという問 題点がある。 そこで本研究ではテクスチャ構造のようなランダムな凹凸構造に代わり、図 3-1(b) のような周期的な凹凸構造を簡単なフォトリソグラフィ技術を用いて作製することで 太陽電池の変換効率の向上の検討をおこなう。単純な露光技術を用いることで、テクス チャ構造に比べて構造の制御が容易で、再現性の高い構造を作製することが可能となる。 また、構造の作製には 2 光束干渉露光法を用いることでマスクを必要としないなどのメ リットもあることからプロセスの簡略化を実現できる可能性がある。本研究では、第 2 章で記述したスパッタリング法を用いて作製した太陽電池に周期構造を施し、変換効率 の向上を目的とする。 参考アドレス http:/www.agc.co.jp (a) (b) 図 3-1 テクスチャ構造(a)と周期構造(b)3 3 3 3----222 周期構造2 周期構造周期構造周期構造によるによるによる回折による回折ベクトル回折回折ベクトルベクトルのベクトルのの作用の作用作用作用 太陽電池に照射された光は、全てが電池内に入射するわけではなく一部の光は表面で 反射をしてしまっている。入射する太陽放射光エネルギーを 100[%]とすると一般のシ リコン pn 接合型太陽電池に照射した場合、表面散乱や反射で失われるエネルギーは 35 ~45[%]程度にもなり、大きなエネルギー損失要因の一つと考えることができる[1]。 そこで周期構造を施すことにより、表面で反射する光を回折ベクトルによって抑制し、 太陽電池内へ入射する光を増加することが期待できる。本来、回折ベクトルは屈折率の 高い層から屈折率の低い層へ光が入射したとき、全反射臨界角を算出し、そこから最適 周期を求める。従って、今回の研究のように屈折率の低い層から屈折率の高い層へ入射 した場合、境界面で全反射が発生することはない。しかし、境界面で一部の入射光が反 射することは共通しているので、この反射した光に回折ベクトルがはたらき反射光を抑 制すると考えられる[16]。 また、上記の発光の場合と異なり全反射臨界角の計算要素の導出ができず具体的な周 期を算出することが出来ないために、本研究では様々な周期長に変化させ最適周期長の 探索をおこなった。
ZnO:Al (n=1.9
)Air (n=1.0)
k1 k2diffraction vector
gZnO:Al (n=1.9
)Air (n=1.0)
k1 k2diffraction vector
g 図 3-2 回折ベクトルの作用による反射光抑制3 3 3 3----333 周期構造3 周期構造周期構造周期構造ののの作製の作製作製作製 3-3-1 2 光束干渉露光法の原理 周期構造の作製には、2 重干渉露光法を用いた。原理を図 3-3 に示す。 図 3-3 2 光束干渉露光の原理 同一波長を持つ、たがいにコヒーレントな光波は互いに相関が強く、干渉を起こす。 パターンを作製する試料は x 軸上にあるとする。試料に対して 2 方向から角度θだけ傾 いて入射する。1 つの波面の伝播方向を z 軸方向として、他方の伝播方向軸 z’が y 軸を 中心に角度θだけ傾いているときのそれぞれの電界は Ey1=A1exp[j(ω0t-k0nz+Φ1)] Ey2=A2exp[j{ω0t-k0n(zcosθ+xsinθ)+Φ2}] と表される。従って、試料上の光強度分布を求めると、
IL(x)=(k0n/2ωμ0)・[A12+A22+2A1A2cos{Φ1-Φ2+k0n(z-zcosθ-xsinθ)}]
となる。試料は x 軸上に固定されているので、{Φ1-Φ2+k0n(z-zcosθ)}は定数であり、 IL(x)は x に依存して濃淡を変え、干渉縞が得られる。その干渉縞の周期 D は D=λ/nsinθ である。干渉縞は 2 つの光強度 A1、A2が同じ場合には明暗の差が明瞭になり、差があ るときには干渉縞の明瞭度は弱められる。入射角θが大きくなるほど、周期 D は小さ くなる。また、n はレジストの屈折率である[17]。 D=λ/nsinθ D:周期 λ:波長(=325nm) θ:2 つの波長の傾斜角 n:レジスト膜の屈折率 A1,A2:それぞれの波面の光強度
3-3-2 2 光束干渉露光法の実験系 図 3-4 に本研究で用いた 2 光束干渉露光の実験系略図を示す。 図 3-4 2 光束干渉露光の実験系略図 光源には He-Cd レーザ(λ=325nm)を用いた。このレーザのビ-ム径は 1.2mm と狭く、干渉露光にはより広い範囲が必要なため、ビームエキスパンダを用いてビーム 径を 40 倍に拡大し、拡大した光をビームスプリッタによって透過光と反射光に分け、 ミラーで反射させ、基板上で干渉させるというものである。露光時間の制御には電磁シ ャッタを用いた。このとき、基板へのビーム照射時間は電磁シャッタで調整した。図 3-4 の右側のように、基板に 1 回露光し 1 次元周期構造を作製した後、60゜回転させて もう一度ビームを照射する事で、2 次元三角格子の周期構造が作製できる。 3-3-3 エッチングによる Si 基板上への周期構造の作製 フォトレジスト膜上に作製された周期構造をマスクとして ECR を用いたドライエッ チングにより、試料上に転写することで作製した。図 3-5 に ECR エッチング装置 (ANELVA、RIB-300)の概略図を示す。ECR エッチング装置では電子サイクロトロン共 鳴イオン源で CHF3ガスをプラズマとし、電界を印加してエッチング室へ加速させイオ ンシャワーを利用して試料のエッチングを行う。 露光後 60゜回転
図 3-5 ECR 装置概略図 レジスト膜をマスクとしたエッチングにより試料上に周期構造を転写した。 また、以下の条件で ECR エッチングを行った。 ◇ 動作時間 60 分 ◇ 真空到達度 1.0×10-6 Torr ◇ 使用ガス CHF3 ◇ ガス流量 5.0 sccm ◇ μ波電力 200 W ◇ 加速電圧 220 V 3-3-4 周期構造の作製手順 周期構造の作製方法を以下に示す。 ①試料にスピンコーター(MISAKI 1H-D7)を用いて、フォトレジスト(東京応化製、 THMR-iP3500HP)を塗布した。スピンコートの条件は、300rpm で 3 秒間スピンコ ート後、7000rpm で 20 秒間スピンコートした。 ②レジストを塗布した試料をドライオーブンで 90℃、90 秒間ベーキングを行った。 ③図 3-4 の 2 光束干渉露光の実験系を用いて露光を行った。 ④ドライオーブンにて 110℃、90 秒間ベーキングを行った。 ⑤5 分冷却後、現像液に 65 秒間浸し現像を行い、露光部分を除去した。 ⑥ECR エッチング装置を用いて試料に上記条件でドライエッチングを施し、周期構造 のパターンの転写をおこなった。 ⑦エッチング後、フォトレジストをアセトンで除去した。
⑧作製後、原子力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて表面の形状を観察した。
ポンプ 基板ホルダー 基板 エッチング室 ECR イオン源 (μ波励起方式) マグネトロン
3 3 3 3----444 光学特性4 光学特性光学特性光学特性ののの評価の評価評価評価 3-4-1 周期長別反射率評価 作製した ZnO:Al 薄膜上に、周期構造を導入した。三角周期構造の作製は 3-3-2 の項 で述べたとおり、露光をおこなった試料を 60゜回転させて再度露光を施した。また内 部からの発光の場合と異なり回折ベクトルの原理による最適周期の具体的な算出がで きないため、様々に周期を変化させて周期の最適化をおこなった。そこで構造の周期を パターン無し(flat)、800、1200、1600、2000nm と変化させ、反射率の測定をした。 反射率を抑えることで反射光の減少が抑えられ、結果として太陽電池に吸収される入射 光が増加することにより、変換効率が向上すると考えられる。測定には分光光度計を用 いた。結果を図 3-6 に示す。 5 0 0 5 0 0 5 0 0 5 0 0 1 0 0 01 0 0 01 0 0 01 0 0 0 1 5 0 01 5 0 01 5 0 01 5 0 0 2 0 0 02 0 0 02 0 0 02 0 0 0 0 00 0 5 55 5 1 0 1 0 1 0 1 0 1 5 1 5 1 5 1 5 2 0 2 0 2 0 2 0 2 5 2 5 2 5 2 5 3 0 3 0 3 0 3 0 3 5 3 5 3 5 3 5 4 0 4 0 4 0 4 0
R
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n
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(%
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W avelength(nm )
W avelength(nm )
W avelength(nm )
W avelength(nm )
flat 800nm 1200nm 1600nm 2000nm 図 3-6 周期長別による反射率の変化 周期構造を導入することで膜表面が flat な場合より反射率が抑えられる傾向が得ら れた。周期長が 1600nm のときに最も小さい値を取り、太陽のピーク波長である 500nm 付近においては、flat な場合と比べ反射率は 50%の低減が得られた。また、更に周期長 を伸ばし 2000nm とした場合は逆に反射率は増加する結果となった。従って ZnO:Al 薄膜表面の反射を抑える周期長は 1600nm が最適だということがわかった。3-4-2 太陽電池への周期構造の導入 前項の結果から、最適周期長は 1600nm とすれば最も反射率が抑えられることがわ かった。そこで実際に、ZnO:Al 薄膜に周期 1600nm で三角格子状の周期構造を導入し た太陽電池を作製し評価をおこなった。また、薄膜だけでなく Si 基板上へも周期長 1600nm の三角周期構造を施した試料も作製した。試料の作製手順の概略と周期構造を 下記に示す。周期はほぼ設定値に近い周期を作製することができ、深さ方向は約 200nm 前後となった。 (a) (a) (a) (a)薄膜上薄膜上薄膜上へ薄膜上へへへ周期構造周期構造周期構造を周期構造を導入をを導入導入導入したしたしたした試料試料試料試料 ①作製した太陽電池に ②2 光束干渉露光により ③エッチングにより レジスト塗布 周期構造の作製 薄膜上へパターン転写 (b)Si (b)Si (b)Si (b)Si 基板上基板上基板上基板上へへへ周期構造へ周期構造周期構造周期構造をを導入をを導入導入導入したしたしたした試料試料試料試料 ①シリコン基板に ②2 光束干渉露光により ③エッチングで転写後 レジスト塗布 周期構造の作製 成膜し、太陽電池作製 図 3-7 周期構造を導入した試料の作製手順概略 フォトレジスト ZnO:Al n-Si フォトレジスト SiO2
(a) (b) 図 3-8 作製した周期構造の AFM 像 鳥瞰図(a)と断面図(b) 3 3 3 3----555 周期構造導入5 周期構造導入周期構造導入周期構造導入によるによる太陽電池によるによる太陽電池太陽電池 IIII----V太陽電池 VVV 特性特性特性特性 第 2 章で最も変換効率が高かった条件(共スパッタ Al 本数:7 本、ZnO:Al 成膜時間:3h、 SiO2成膜時間:5sec、N2アニールあり)と同様の作製プロセスを用いて、周期 1600nm で三角格子状の周期構造を薄膜上、Si 基板上に導入した太陽電池を作製し評価をおこ なった。結果を図 3-9 に示す。また、測定をおこなった各試料の短絡電流密度 Jsc、開 放電圧 Voc、曲線因子 FF、変換効率ηを表 3 に示す。 0 00 0 50505050 100100100100 150150150150 200200200200 250250250250 0.0 0.00.0 0.0 0.2 0.20.2 0.2 0.4 0.40.4 0.4 0.6 0.60.6 0.6 0.8 0.80.8 0.8 1.0 1.01.0 1.0