JAIST Repository: 温度応答型生体内分解性ヒドロゲルに関する基礎的研究
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(2) 温度応答型生体内分解性ヒド ロゲルに関する基礎的研究 松尾 雄一朗. (由井研究室). 1)緒言 次世代の薬物送達システム (DDS) 材料には、薬物を有効かつ安全に送達するため、生体内で 生起する疾患由来の刺激の複数に応答して薬物を放出する材料の設計が重要になるものと考えられる。こ のような背景から、当研究室では 2 種の生体内分解性高分子からなる相互侵入高分子網目 (IPN) ヒドロゲ ルによる複合刺激応答型 DDS 材料の設計を行ってきた。この複合刺激応答型 IPN ヒドロゲルは、2 種の酵 素が同時に存在するときのみに分解が進行する特徴を有している。この複合刺激応答型分解の発現は、2 種 の高分子鎖の絡み合いの制御により規定されていることが示された。 そこで、高分子鎖の絡み合いを動的に変化させて酵素分解性を高次元で制御した生体内分解性 IPN ヒド ロゲルの設計を目指した基礎的研究として、オリゴペプチド鎖で架橋した N- イソプロピルアクリルアミド (IPAAm) 共重合ヒドロゲルを合成した。このような IPAAm 共重合ヒドロゲルは温度の上昇とともに収縮 して網目密度が高くなり、酵素分解が抑制されるものと期待される。本研究では、温度変化に伴う IPAAm 共重合ヒドロゲルの膨潤度変化及び酵素分解挙動の解析を行った。 2)実験 酵素分解性架橋剤の合成:既報に従い、メタクリル化グリシルグリシン (MA-GlyGly) 及び 1,6-(フェニルアラニンアミド ) ヘキサン (Phe-HMDA-Phe) を合成した。得られた MA-GlyGly と Phe-HMDAPhe. を縮合し、1,6-( メタクリル化グリシルグリシルフェニルアラニンアミド ) ヘキサン (MA-GlyGlyPhe-. HMDA-PheGlyGly-MA) を合成した。IPAAm/DMAAm 共重合ヒドロゲルの合成:所定量の IPAAm 、N,N-. ジメチルアクリルアミド (DMAAm) 、MA-GlyGlyPhe-HMDA-PheGlyGly-MA 、過硫酸アンモニウム (APS) を含む DMSO 溶液に、高圧水銀灯を用い所定時間光照射することにより、IPAAm/DMAAm 共重合ヒドロゲ ルを調製した。温度変化に伴う IPAAm/DMAAm 共重合ヒドロゲルの酵素分解性の解析:IPAAm/DMAAm 共重合ヒドロゲルをクエン酸緩衝液 (pH7.1) 中に所定温度でそれぞれ一晩浸漬後、パパインを含むクエン 酸緩衝液に浸漬し、その重量変化を所定温度で経時的に測定した。 Swelling ratio (Wp/Wdry). 25 20 15 10. IPAAm/DMAAm(5:5) IPAAm/DMAAm(6:4). 5. IPAAm/DMAAm(7:3) IPAAm/DMAAm(8:2). 0 25. 30 35 40 Temperature (°C) Fig.1 Temperature dependence of swelling ratio for IPAAm/DMAAm hydrogels. 8 -7 B(cm/sec) X10. IPAAm/DMAAm(5:5) IPAAm/DMAAm(6:4). 6. IPAAm/DMAAm(7:3) IPAAm/DMAAm(8:2). 4 2 0 0. 5 10 15 20 Swelling ratio (Wp/Wdry) Fig.2 Enzymatic degradation of IPAAm/DMAAm hydrogels in relation to their swelling ratio.. keywords. 3)結果と考察 IPAAm ヒドロゲルは、下限臨界溶 液温度 (LCST)(32 ℃) 以上で収縮することが知られ ている。得られた IPAAm/DMAAm 共重合ヒドロゲ ルの膨潤度は、IPAAm の LCST 以上において低下し たが、その傾向は親水性モノマーである DMAAm 量 の増加に伴い低減した (Fig.1) 。さらに、組成の異な る IPAAm 共重合ヒドロゲルの温度変化による酵素分 解は、特定の膨潤度 (5) 以上において認められ、その 速度は膨潤度とともに増加した (Fig.2) 。この結果は、 IPAAm 共重合ヒドロゲルの膨潤度が 5 以下では、酵 素分解部位への酵素の接近が立体的に障害されるため に、分解が進行しなかったものと考えられる。すなわ ち、IPAAm 共重合ヒドロゲルの分解性が、膨潤-収縮 変化に伴う網目密度変化によって規定されているもの と考えられる。 このような温度変化に伴う膨潤-収縮変化によって 酵素分解性が変化する IPAAm 網目を一成分とする IPN ヒドロゲルは、温度上昇により IPAAm 網目が収 縮した時、他方の高分子網目との絡み合い構造が変化 することが考えられる。従って、これまで推進してき た IPN ヒドロゲルによる複合刺激応答型分解の発現 を物理化学的刺激 (温度) によって動的に制御できる ものと期待される。. 温度応答型酵素分解性, N- イソプロピルアクリルアミド , 膨潤度. Copyright c 1997 by Yuichiro Matsuo.
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