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高校生の心理的ストレス過程に関する研究 : III. 身体反応と問題行動

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高 生の心理的ストレス過程に関する研究:

Ⅲ.身体反応と問題行動

古 屋 群馬大学教育学部学 教育講座 音 山 若 穂 郡山女子大学短期大学部 坂 田 成 輝 早稲田大学 (平成 19 年 9 月 12日受理)

Psychological stress process of high school students:

III. Somatic complaints and problem behaviors.

Takeshi FURUYA

Wakaho OTOYAMA Shigeki SAKATA

1) Department of Educational Psychology, Faculty of Education, Gunma University 2) Koriyama Women s Collage

3) Waseda University (Accepted September 12, 2007)

問 題

われわれはこれまで高 生の心理的ストレス過程の解明を目的に,情動ストレス反応を測定する 尺度の構造を検討し(研究Ⅰ,音山・古屋・坂田;2006),日常生活の中で経験する心理社会的スト レッサーを測定する尺度を開発してきた(研究Ⅱ,古屋・佐々木・音山・坂田;2007)。本研究では 以上の成果を踏まえ,心理的ストレス過程で生じる二次反応について検討した。 情動を中核とする心理的ストレス・モデル(古屋・音山;1999,新名;1995)によれば,心理的 ストレス過程が収束することなく拡大のプロセスを ると,その結果として心身機能が低下し,さ

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まざまな二次反応が生じると えられる。本研究では,二次反応と えられる現象の中から身体反 応,高揚感低下及び問題行動に着目して検討を加えた。 身体反応 ストレスはもともと心理的要因が原因となって生じる生理的変化に伴う身体機能の障害を説明す る概念として発展してきたものである(佐藤・朝長,1991; Selye,1993)。したがって,心理的スト レス研究でも身体的疾患との関係は中心テーマとして精力的に検討されてきた(Cohen,&Herbart, 1996; Creed,1993)。青年期に関しても,ストレスと身体疾患との間に関連のあることが確かめられ ている(Terje,& Edvin,2007;Torsheim,&Wold,2001)。ただし,その関係の強さは中程度を超え るものではなく(Compas, Orosan, & Grant, 1993),青年期ストレス研究の 野ではもっぱら抑う つを代表とするメンタルヘルス面に関心が向けられているのが現状である。青年期のストレス研究 で身体的 康の問題が扱われることが少ないのは,青年は成人ほど身体的疾患の罹患率や医療サー ビスの利用率が高くはなく,身体的な 康状態が概して良好なためである。事実,厚生労働省(2007) の資料によれば 10∼14歳,15∼19 歳の年齢層が国民医療費の中に占める比率はわずかに 1.4%と 1. 3%に過ぎない(ちなみに,65歳以上で 50%を占めている)。 このように青年期における身体的 康状態は概ね良好と判断される一方で,主観的に評価される 身体的 康状態については全く異なった結果が得られている。身体的 康状態に関する自己評価は, 通常,「全般的に見て, 康状態はどうですか」という質問に対して「良い」と「悪い」を両極とす る 5段階尺度で評定を求める方法で測定することができる。Vingilis,Wade&Adlaf(1998)によれ ば,青年期を対象とした自己評定による身体的 康状態調査では 康状態が良好と自己評定する者 は全体の四 の一から三 の一に留まるとしている。さらに Vingilis, Wade& Adlafは身体的 康 状態の自己評価に影響を与えている要因を 析した結果,性別や家 の経済状況等と並んで,親子 関係,学業成績,自尊心の高さなどが統計的に有意な関連を持つことを明らかにした。このような 心理学的要因が身体的 康の自己評価に影響を及ぼすことは Wade, Pevalin, & Vinglis(2000)に よっても再確認されている。 また,医学的には病気とは言えないような身体的不調について自覚症状の有無を尋ねた調査でも, 高 生の 康状態自己評価は必ずしも高くないことが示唆されている。たとえば,2000年に実施さ れた群馬県青少年調査の結果(群馬県,2001)によれば,高 2年生で「肩が凝る」と回答した者 は「よくある」「ときどきある」を合わせると 38.9%,「頭が重い」26.0%,「眠れない」22.2%,「だ るい」では 50.9%にも昇る。これらの症状は必ずしも特定の疾患によるものではなく,医学的な治 療も必要とされないだろう。しかし,このような身体的不調が日常生活の諸活動に悪影響を及ぼし ている恐れがある。 そこで本研究では, 康状態の自己評定ではなく,身体的不調として自覚された身体症状につい て調査し,心理的ストレス過程との関連を検討した。医学的に疾患と診断されることのない日常的 に経験される身体的自覚症状は,心理的ストレス過程によって生じる二次反応のひとつとして位置

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づけることができるであろう。 高揚感 古屋・坂田・音山・所澤(1994)は PSRS-50R(新名,1994)を利用した教育実習ストレス研究 において 5項目からなる高揚感尺度を追加した。これは活力のある状態にある時に経験されるポジ ティブな情動状態を測定するものである。高揚感は抑うつ気 や不安といったネガティブな情動ス トレス反応と負の相関を示し,たとえば大学生を対象にした音山・古屋・坂田(2003)の研究によ れば,高揚感と情動ストレス反応との相関係数は-.26,下位尺度別では抑うつ気 -.32,不安-.19, 怒り-.17であった。いずれも統計的には有意であるが,関係の強さは決して強いものではない。ま た,この調査ではパネルデータの 析から高揚感は情動ストレス反応より個人内変動が小さいこと も明らかにされている。このようなネガティブな情動とポジティブな情動の関係について,Watson (2000)は前者が不快事象によって規定される受動的な特徴を持つのに対して,後者はパーソナリ ティ要因と強く関連し時間的に安定していることを指摘している。そのため,他の情動尺度でも両 者の相関は低く,Watsonによれば,PANAS-X でも-.14∼-.21の範囲に留まっている。音山らの結 果も Watsonの見解を支持するものと言えよう。 このように高揚感を情動ストレス反応と独立した情動状態として えると,心理的ストレス過程 との関係について多様な解釈が可能となる。たとえば,古屋・坂田・音山(2003)は高揚感の高さ が情動ストレス反応の生起水準を低減させるとする仮説を立て,特に抑うつ気 に対する低減効果 が大きいことを明らかにしている。また,坂田・音山・古屋(2003)は高揚感を個人の持つ心理的 資源と え,ストレス過程において直接的な緩和要因としてだけでなく,心理的的資源としてスト レス緩衝要因としても作用すると仮定し,意欲領域反応(絶望感や自信喪失)に対して緩衝効果を 持つことを確認している。これらの研究は情動反応と高揚感との負の相関を,高揚感のストレス低 減効果として解釈している。 別の解釈として,ストレス過程の二次反応として高揚感の低下が生じると えることもできる。 高揚感は時間的に安定した傾向を持つとはいえ,長期的に強いストレス下に置かれることで低下す ることは十 に えられる。うつ病の診断基準として,強い抑うつ気 に加えて「活動における興 味,喜びの著しい減退」が上げられるのも,高揚感の低下がストレスに伴う精神機能の低下とみな されていることを示している。そこで本研究では,情動ストレス反応に伴う二次反応として心理的 資源である高揚感を消耗させるという仮説について検討する。 問題行動 文部科学省が毎年 表している「生徒指導上の諸問題の現状について」の報告では,高 生の問 題行動等として暴力行為,いじめ,不登 ,中途退学,自殺がとり上げられ,年間の統計資料が示 されている。それによれば,平成 17年度(文部科学省,2005),国 立の高等学 で発生した暴力 行為(学 内・学 外を含める)は全部で 6,046件,加害生徒数は 7,836人,いじめは 1,223 で 2,191 件と報告されている。ただし,ここには私立高 の数字が含まれていないため実数はさらに多くな

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る。また,不登 生徒数は国 立・私立高等学 で 59,419 人(在籍者に占める割合は 1.65%),中途 退学者数は 76,693人(在籍者数に占める割合は 2.1%),自殺した高 生は 75人であった。また,問 題行動としてはこれらに加えて非行行為がある。平成 19 年度版青少年白書によれば,刑法犯少年の うち高 生は 4万 7,790人で刑法犯少年全体の 42.4%を占めている。自殺については絶対数が小さ いため個別の事情が深く関わっていることが予想されるが,他の問題行動は該当する生徒数も多く, 組織的な対応が求められている問題となっている。 実際に数に現れる問題行動とは別に,問題行動に発展する以前の前駆的状態については潜在的に さらに多くの生徒が経験している可能性が高い。たとえば,実際に不登 状態になるかどうかは別 にして,多くの生徒が「学 に行きたくない」という不登 気 を経験している。たとえば,群馬 県青少年調査の結果(群馬県,2001)によれば,高 2年生で「病気やけがなどの理由がなく,学 に行きたくないと思った」ことのある生徒は「よくあった」「ときどきあった」を合わせると 28.9% で,実際に学 を休んだことのある生徒も 23.1%になる。ただし,学 を休んだといっても,その 7割以上は 3日以内に止まっているため,定義上,不登 ではない。また,違法行為についても,飲 酒について「自 もしてみたい」と回答した者は 32.2%,無断外泊 23.3%,パチンコ 15.4%,喫煙 12.3%となっている。この回答者の中には実際に行動に移したことのある者もおそらく含まれてお り,軽微な違法行為は数字に表れる以上に広く蔓 していると予測される。 このように一口に高 生の問題行動と言っても,その具体的な内容は多岐にわたっている。そこ で,Achenbach は問題行動チェックリストによる資料を 析し,問題行動を内在化行動(internaliz-ing behavior)と外在化行動(external behavior)の 2つに大きく 類する枠組みを提案し,それを 測定するための尺度(YSR ; Youth Self-Report)を開発した(Achenbach, 1978 ;Achenbach, & Edelbrock,1979)。内在化行動とは認知的,情動的問題や身体化の問題を指し,実際の問題行動とし ては不登 や自殺との関係が深い。他方,外在化行動とは顕在化した能動的問題で,実際の問題行 動としては暴力行為や非行行為が含まれる。McKnight,Huebner,& Suldo(2002)は中学生と高 生を対象に YSR とライフイベント尺度との関係を検討し,両者の間に中程度の正の相関があるこ とを報告している。また,Elgar,Arlett,&Groves(2003)も中学生を対象とした調査で YSR によっ て測定された内在化・外在化行動と生活ハッスルズとの間に.50以上,ライフイベントの間に.27以 上の正の相関があることを報告している。 このように内在化と外在化の二 法に基づく研究では,心理的ストレス過程と問題行動との間に 一定の関連が認められてきたが,ストレス過程が問題行動を引き起こすプロセスにはさまざまな要 因が関与し,問題行動の内容によっても異なっている可能性がある。Colten, Gore, & Aseltine, Jr. (1991)は高 生を対象とした調査から,同じ内在化行動あるいは外在化行動として 類される問 題行動でも,その内容によってストレス過程との関係が異なることを明らかにしている。そのため, 近年では個別の問題行動に関する検討が進められている(たとえば,Natvig, Albrektsen, & Qvarn-strom, 2001; Sigfusdottir, Farkas, & Silver, 2004; など)。

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そこで本研究では,暴力行為・いじめ・不登 ・中途退学・非行といった高 生の主要な問題行 動に焦点を り,また問題行動の前駆的状態に焦点を当て,新たな尺度を開発して心理的ストレス 過程との関連を検討した。

方 法

調査対象者 群馬県及び静岡県にある県立高 4 の生徒を対象とした。高 の内訳は普通 3 (男子 ・ 女子 ・共学 各 1 )と商業高 1 である。各 について 1年生と 2年生の数クラスの生徒を 対象に,クラス担任を通じて調査紙を配布した。担任からの教示の中で,回答は強制ではなく,学 の成績等とは無関係であることを伝えた。実施時期前後に大きな学 行事はなかった。 有効回答者人数の内訳は、男子 183名、女子 192名、共学普通高 の男子 66名・女子 88名、 商業高 の男子 116名・女子 42名の男子計 365名、女子計 322名、 計 687名である。また,学年 別の内訳は 1年生 446名、2年生 241名である。 質問紙の構成 質問紙は情動反応尺度(高揚感尺度項目を含む),身体反応尺度,高 生用ストレッサー尺度,問 題行動尺度,Big 5性格特性尺度,学業行動尺度から構成された。今回の 析で 用するのは以下の 5つの尺度である。 情動ストレス反応尺度:PSRS-50R(新名・坂田・矢冨・本間,1990;新名,1994)をモデルに音 山・古屋・坂田(2006)が開発した高 生用情動ストレス反応尺度を 用した。抑うつ気 ・不安・ 怒りの各 6項目 3下位尺度(全 18項目)から成る。対象者に対しては,最近 1週間にそのような情 動を経験した程度について,「0:まったくなかった」∼ 4:大体いつもあった」の 5件法で自己評定 を求めた。 高 生用ストレッサー尺度:古屋・佐々木・音山・坂田(2007)の作成した 31項目から成る高 生用ストレッサー尺度を 用した。下位尺度として教師ストレッサー尺度(6項目),学業ストレッ サー尺度(7項目),家 ストレッサー尺度(6項目),友人ストレッサー尺度(5項目),部活ストレッ サー尺度(5項目),異性ストレッサー尺度(2項目)を持ち,異性ストレッサー尺度をのぞき内的 一貫性を示す α係数は.71∼.87の範囲にあることが報告されている。調査対象者には,各項目につ いて過去 1ヶ月の間に経験したかどうか(経験頻度)を「有り」「無し」の 2件法で回答を求め,経 験した場合にはその出来事について「困った,いやだ,つらい」といった不快感をどの程度感じた か(インパクト評定)を 4段階(1:感じなかった,2:少し感じた,3:かなり感じた,4:非常に 強く感じた)で自己評価を求めた。得点化にあたっては,経験「有り」とした項目数を刺激事態得 点とし,インパクト評定の和をストレッサー得点とした。 高揚感尺度:古屋ら(1994)による高揚感を測定する 5項目(「はつらつとした気 である」「生 き生きしている」「ウキウキしている」「気 がのっている」「充実している」)を情動反応尺度の中

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に組み込んで 用した。回答方法は情動ストレス反応尺度と同じである。 身体反応尺度:ストレスと関連が深いとされる身体的自覚症状 19 項目に「その他」を加えたから 20項目から成るチェックリストについて,測定時前 1週間に自覚症状として認められ項目にチェッ クを求めた。なお,どの項目も該当しない場合には「特になし」の項目にチェックを求め,無回答 と区別した。20項目中,「体がだるい」など 6項目は全身症状,他の 14項目は特定器官に関わる特 異症状であることから,それぞれ自覚症状が認められたとしてチェックされた項目数を全身反応得 点,特異反応得点とし,その合計を身体反応得点とした。 問題行動尺度:高 生に見られる典型的な問題行動である暴力行為,いじめ,不登 ,中途退学, 中途大学,非行行為と関係の深い前駆的状態を記述した 26項目について,「今の気持ち」に合って いるかどうかを「1:いいえ」から「4:はい」までの 4件法で回答を求めた。前駆的状態とは実際 の行動ではなく「∼したい」「∼したくない」「∼と思う」といった認知・意欲領域に現れる問題で ある。

結 果

尺度の構成 本研究では新たに高揚感尺度,身体反応尺度,問題行動尺度を構成した。 高揚感尺度:高揚感尺度 5項目について主成 析を行ったところ,第 1主成 の固有値は 3.462 で全 散の 69%を説明し, 各項目の主成 負荷 量 も 「はつらつとした気 であ る」.820,「いきいきしてい る」.876,「ウキウキしてい る」.824,「気 がのってい る」.847,「充実している」 .792と高い値を示したこと から 1次元であることが確 認された。また,内的一貫 性 を 示 す α係 数 も.888と 十 に高い値を示した。 身体反応尺度:各項目に ついて自覚症状があったと チェックした人数とその比 率を表 1に示した。選択率 について直接確率検定法に 表1 身体反応の項目別選択人数と性差の検定結果 項 目 全体(N=681) 人数 % 男子(N=361) 人数 % 女子(N=320) 人数 % 性差 1.だるい 361 53% 207 57% 154 48% 2.脱力感 190 28% 123 34% 67 21% 3.動作が鈍い 124 18% 77 21% 47 15% 4.眠れない 67 10% 41 11% 26 8% 5.寝起きが悪い 257 38% 142 39% 115 36% 6.冷汗、脂汗 31 5% 18 5% 13 4% 7.頭痛 196 29% 94 26% 102 32% 8.頭が重い 139 20% 67 19% 72 23% 9 . 血、めまい 81 12% 39 11% 42 13% 10.呼吸が苦しい 43 6% 21 6% 22 7% 11.下痢気味 62 9% 37 10% 25 8% 12. 秘気味 77 11% 18 5% 59 18% 13.肌荒れ 144 21% 49 14% 95 30% 14.嘔吐 44 6% 25 7% 19 6% 15.おなかがはる 72 11% 25 7% 47 15% 16.肩こり 231 34% 109 30% 122 38% 17.食欲不振 34 5% 19 5% 15 5% 18.腹痛・胃痛 137 20% 52 14% 85 27% 19.つかれやすい 325 48% 159 44% 166 52% 20.その他 44 6% 20 6% 24 8% 全身反応項目 p<.05 p<.01 直接確率検定による

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より性差を見たところ 9 項目に有意な性差が見られた。男子では全身反応,女子では特異反応に選 択率の高い項目が多い。内的一貫性を示す α係数は身体反応 20項目全体で.774,全身反応 6項目で. 695,特異反応 14項目で.662であった。特異反応尺度で低くなっているが,ストレス反応として現 れる身体症状の内容には個人差が大きいことから, 用には耐えられる程度であると判断した。 問題行動尺度:問題行動尺度 26項目について,最尤法プロマックス回転による因子 析を行った ところ,表 2に示すような 4因子が抽出された。第 1因子は「人と一緒にいても楽しくない」,「ク ラスの友だちと話すのは楽しい(逆転項目)」など社会的接触を忌避する内容の 9 項目で負荷量が高 いことから引きこもり因子と命名した。第 2因子は「日曜日の夜、また明日から学 だと思うと気 が重くなる」,「朝,なんとなく学 には行きたくないと思うことがある」など学 や学業に対して 否定的な内容の 8項目で負荷量が高いことから,学 嫌悪因子と解釈した。第 3因子は,無免許運 転,無断外泊,万引き,喫煙・飲酒等の非行行為に関わる 4項目で負荷量が高いことから逸脱行動 因子,また第 4因子は殴る,どなる,いじめる,暴れる等,暴力行為や攻撃行動を示す 5項目で負 荷量が高いことから攻撃行動因子と えられる。 表2 問題行動尺度の項目別平 値と標準偏差,及び因子 析結果(最尤法プロマックス回転) No 項 目 平 SD 因子 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 8 人と一緒にいても楽しくない。 1.4 0.70 .776 −.087 −.033 .080 1 クラスの友だちと話すのは楽しい。(逆転) 1.3 0.58 −.742 .016 .008 .078 22 友だちとよべる人はいない。 1.2 0.55 .659 −.090 .049 −.054 20 ほとんどひとりで過ごしている。 1.6 0.84 .656 −.112 −.019 .086 3 人に会うのがめんどうだ。 1.9 0.93 .614 .099 −.130 .074 25 友だちと会えるので学 が楽しい。(逆転) 1.8 0.86 −.589 −.212 −.108 .236 6*学 に行く以外は、外出せずにうちにこもっていることが多い。 2.2 1.05 .431 −.097 −.332 .214 15 誰も自 のことを理解してくれない。 1.8 0.88 .358 .067 .081 .205 16 今のクラスはいやなので、他のクラスにかわりたい。 1.4 0.74 .296 .149 .216 −.080 2 日曜日の夜、また明日から学 だと思うと気が重くなる。 2.9 0.98 −.075 .839 −.212 .013 7 朝、なんとなく学 には行きたくないと思うことがある。 2.6 1.09 −.093 .790 −.248 .170 10 学 さえなければ、毎日楽しいだろうなと思う。 1.9 0.97 .055 .527 .231 −.219 12 学 にいると、憂うつになってくる。 2.0 0.96 .251 .495 .054 .036 9 面白くない授業は抜け出してサボりたい。 2.6 1.13 −.171 .477 .147 .140 14 学 をやめたくなることがある。 1.8 1.07 .024 .469 .287 .080 18 学 ではいつも気 がよい。(逆転) 2.5 0.86 −.384 −.412 .118 −.026 4 今の学 がいやで、転 したいと思うことがある。 1.6 0.92 .124 .411 .263 .001 19 無免許運転をしてみたい。 1.5 0.92 .035 −.135 .688 .083 13 万引きをしたり、自転車を盗んでみたい。 1.3 0.69 .102 −.165 .645 .059 23 親に無断で外泊や夜遊びをしたい。 2.0 1.15 −.180 .065 .608 .089 26 喫煙、飲酒など禁止されていることをやってみたいと思う。 1.9 1.07 −.142 −.009 .581 .151 24 人を怒鳴りつけたいと思うことがある。 2.1 1.13 .020 .033 −.005 .642 21 めちゃくちゃあばれたくなることがある。 2.2 1.12 −.079 .147 .123 .567 5 人を殴りたくなる。 1.8 1.04 .115 .027 .173 .541 17 人をいじめたくなる。 1.4 0.71 .214 −.129 .253 .371 11*悪いと思っていてもやってしまうことがある。 2.7 0.99 −.082 .065 .215 .298 *削除項目 因子相関行列 Ⅰ .459 .243 .268 Ⅱ .568 .385 Ⅲ .442 N=687

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以上の結果に基づき,各因子で負荷量の高い項目から下位尺度の構成を試みた。内的一貫性を示 す α係数を求めたところ,引きこもり因子では 1項目を削除した 8項目で.810,学 嫌悪因子では 8項目で.831と十 に高い値を示した。また,逸脱行動因子では 4項目で.735,攻撃行動因子では 1 項目削除した 4項目で.732という値を示した。この 2つの因子については,項目数が少ないため低 くなっているが,十 に 用に耐えるものと判断した。 基礎統計と性差・学年差の検定 高揚感尺度,身体反応尺度(全身反応・特異反応尺度)及び問題行動各下位尺度得点の性別・学 年別平 を表 3に示した。二要因 散 析により性差と学年差について検定した結果,身体反応尺 度以外の尺度得点で有意な性差が認められた。高揚感では男子より女子で高く,問題行動下位尺度 表3 高揚感,身体反応,問題行動尺度得点の性別・学年別平 と 散 析結果 性別 尺度 学年 N 高揚感 平 値 SD 身体反応 平 値 SD 全身反応 平 値 SD 特異反応 平 値 SD 男 子 1年 生 229 9.5 4.71 3.6 3.24 1.7 1.65 2.0 2.02 2年 生 130 9.4 5.00 3.9 2.98 2.0 1.59 1.9 1.85 和 359 9.5 4.81 3.7 3.15 1.8 1.63 1.9 1.96 女 子 1年 生 207 11.7 4.93 4.2 3.21 1.6 1.50 2.6 2.19 2年 生 108 11.0 5.31 4.0 3.46 1.4 1.33 2.7 2.41 和 315 11.4 5.06 4.2 3.30 1.5 1.44 2.6 2.26 和 1年 生 436 10.5 4.93 3.9 3.24 1.7 1.57 2.3 2.12 2年 生 238 10.1 5.20 4.0 3.20 1.7 1.51 2.2 2.15 和 674 10.4 5.03 3.9 3.22 1.7 1.55 2.3 2.13 散 析結果(df=1/683) 性 22.673 2.029 7.159 17.054 学 年 0.961 0.021 0.089 0.000 互作用 0.316 0.645 4.402 0.096 性別 尺度 学年 N 引きこもり 平 値 SD 学 嫌悪 平 値 SD 逸脱行動 平 値 SD 攻撃行動 平 値 SD 男 子 1年 生 234 13.8 4.68 19.0 5.46 7.4 3.31 7.9 3.11 2年 生 131 12.9 3.60 19.1 5.61 7.1 2.85 8.2 3.22 和 365 13.5 4.34 19.0 5.50 7.3 3.15 8.0 3.15 女 子 1年 生 212 11.7 3.48 17.0 5.15 6.1 2.46 6.9 2.82 2年 生 110 11.2 3.28 15.8 4.77 5.5 2.21 6.5 2.47 和 322 11.5 3.42 16.6 5.05 5.9 2.39 6.8 2.71 和 1年 生 446 12.8 4.27 18.1 5.41 6.7 3.00 7.4 3.02 2年 生 241 12.1 3.55 17.6 5.47 6.4 2.70 7.4 3.02 和 687 12.6 4.05 17.9 5.43 6.6 2.90 7.4 3.02 散 析結果(df=1/683) 性 35.462 38.548 41.851 33.724 学 年 5.021 1.742 3.407 0.044 互作用 0.323 1.935 0.582 1.977 p<.05 p<.01

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ではすべて女子より男子で高くなっている。身体反応尺度では全身反応で男子,特異反応で女子が 高く,全体では差がなかった。学年差が認められたのは問題行動下位尺度の引きこもり尺度得点の みで,2年生より 1年生で有意に高かった。 相関 析 心理的ストレス過程が高揚感,身体反応及び問題行動に及ぼす影響を 析するために,まず相関 を検討した。表4に情動反応尺度得点と各尺度との積率相関係数を示した。高揚感尺度得点は男女 とも抑うつ気 との間に有意な負の相関があるものの,不安や怒りとの相関は強くない。全体とし ては弱い負の相関が認められる程度である。 身体反応尺度得点では抑うつ気 ,不安,怒りのすべてと有意な正の相関が認められる。相対的 に特異反応得点より全身反応得点で高くなっており,身体反応が心理的ストレス過程の影響を強く 受けていることが示唆される。 問題行動尺度との相関は下位尺度によって異なる。情動反応尺度得点と最も強い相関を示したの 表4 情動ストレス反応尺度得点と高揚感,身体反応,問題行動下位尺度得点の相関係数 尺度 性別 N 情動ストレス反応尺度 抑うつ気 不安 怒り 情動反応 高揚感尺度 全体 677 −.245 −.015 −.164 −.173 男子 361 −.181 .048 −.079 −.087 女子 316 −.344 −.092 −.238 −.275 身体反応尺度 身体反応合計 全体 675 .389 .379 .408 .462 男子 359 .388 .407 .415 .470 女子 316 .389 .350 .416 .461 全身反応 全体 675 .383 .369 .398 .452 男子 359 .344 .390 .380 .432 女子 316 .446 .341 .413 .479 特異反応 全体 675 .308 .302 .327 .368 男子 359 .337 .328 .349 .394 女子 316 .280 .288 .343 .363 問題行動尺度 引きこもり 全体 677 .380 .265 .300 .373 男子 361 .425 .347 .321 .424 女子 316 .366 .150 .246 .308 学 嫌悪 全体 677 .382 .299 .445 .448 男子 361 .394 .356 .414 .455 女子 316 .408 .237 .477 .456 攻撃行動 全体 677 .418 .383 .618 .566 男子 361 .454 .446 .627 .600 女子 316 .407 .309 .606 .536 逸脱行動 全体 677 .180 .177 .289 .258 男子 361 .193 .242 .315 .294 女子 316 .198 .079 .225 .206 p<.01

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は攻撃行動得点で,抑うつ気 ,不安,怒りの 3下位尺度すべてと正の相関を示し,特に怒りとの 相関はきわめて強い。次に相関が強いのは学 嫌悪得点で,攻撃行動と同様に 3下位尺度すべてと 正の相関を示し,相対的に怒りとの相関が強くなっている。引きこもり傾向も 3下位尺度すべてと 正の相関を示しているが,相対的に怒りより抑うつ気 の方が高い。最も相関が弱いのは逸脱行動 で,有意な相関は認められるものの,男子の怒りを除けば,全体に弱い相関にとどまっている。 共 散構造 析 共 散構造 析により心理的ストレス過程と高揚感,身体反応及び問題行動との関係に関する因 果モデルを検討した。モデルの基本仮説(仮説 0)は「ストレッサーは情動ストレス反応を強める」 とした。 析の結果,6つの下位尺度得点(教師,学業,家 ,友人,部活,異性)を観測変数とす るストレッサー潜在変数から抑うつ気 ,不安,怒り下位尺度得点を観測変数とする情動反応潜在 変数への標準化パス係数は.70となり,モデルの適合度に関する指標は,χ =79.952(df=26,p< .01),GFI=.974,AGFI=.954,RMSEA=.056と良好であった。ただし,ストレッサーの中で部活 ストレッサーへの標準化パス係数だけは.36と他の観測変数と比較して小さいことから,以下の 析 ではこれを除外することとした。その場合のストレッサーから情動反応へのパス係数は.70,適合度 指標は χ =47.994(df=19,p<.01),GFI=.982,AGFI=.966,RMSEA=.048である。 高揚感・身体反応を組みこんだモデル:ストレス過程と高揚感及び身体反応との関係について次 の仮説を立てた。 仮説 1a)情動反応は高揚感を低下させる 仮説 1b)情動反応は身体反応を強める。 また,ストレッサーが情動反応を介さずに身体反応や高揚感に直接の影響を及ぼすことも えら れる。つまり,次の仮説である。 仮説 1c)ストレッサーは高揚感を低下させる。 仮説 1d)ストレッサーは身体反応を強める。 さらに,高揚感と身体反応の関係についても補足的に次の仮説を立てた。 仮説 1e)身体反応は高揚感を低下させる。 以上の仮説を検討するために,全身反応尺度得点と特異反応尺度得点を観測変数とする身体反応 と,5つの項目評定を観測変数とする高揚感を基本モデルに組みこんだモデルについて 析した。そ の結果,仮説 1a,仮説 1c,仮説 1dを示す標準化パス係数はそれぞれ-.13,.14,.10で有意水準に達 しなかった。そこでこれらのパスを除いたモデルについて 析した結果,情動反応から身体反応に 向かうパス(仮説 1a)の標準化パス係数は.63,身体反応から高揚感に向かうパス(仮説 1e)の係数 は-.24でいずれも有意な値を示し,適合度指標も χ =254.582(df=87,p<.01),GFI=.950,AGFI= .930,RMSEA=.053と良好な適合を示した。 問題行動を組みこんだモデル:さらに引きこもり傾向,学 嫌悪,攻撃行動及び逸脱行動の 4下 位尺度を観測変数とする問題行動潜在変数を組みこんだモデルを検討した。基本仮説は次の通りで

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ある。 仮説 2a)情動反応は問題行動を強める。 仮説 2b)ストレッサーは問題行動を強める。 またストレス過程で生じた高揚感の低下や身体反応が問題行動にも影響を及ぼすことも えられ ることから,以下の仮説が立てられた。 仮説 2c)高揚感は問題行動を抑制する。 仮説 2d)身体反応は問題行動を強める。 これらの仮説に基づくモデルについて 析した結果,仮説 2dによるパス係数(-.01)が有意水準 に達しなかったため,これを除いたモデルを採用した。その結果を図 1に示す。標準化パス係数は すべて有意で,ストレッサー,情動反応及び高揚感から問題行動に向かうパスの符号も仮説通りで ある。ただし,適合度を示す指標は必ずしも良好とは言えない。相関係数の結果からも明らかなよ うに,ストレス過程と問題行動との関係は問題行動の内容によって異なっている可能性があり,図 でも問題行動からのパス係数は下位尺度によって大きな違いがある。そこで,さらに下位尺度ごと のモデルについても検討した。 まず,図 2は項目評定を観測変数とした引きこもりに関するモデルの 析結果である。引きこも り下位尺度は 8項目から構成されているがパス係数の低い 2項目は削除した。これによって,十 に適合度の高いモデルが得られている。全体のモデルと比較するとストレッサーからのパスが有意 でないこと,情動反応からの影響より,高揚感からの負の影響が大きいことが特徴である。 図 3に学 嫌悪に関するモデルの 析結果を示した。学 嫌悪下位尺度も 8項目から構成されて いるがパス係数の低い 2項目は削除されている。適合度は十 に高い。全体のモデルがそのまま当 てはめられているが,パス係数の値を比較すると情動反応よりストレッサーの影響が強く現れてい る。 図1 問題行動に関する共 散構造 析の結果

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図 4は攻撃行動に関する 析結果である。高揚感からのパスは有意水準に達していない。相関係 数の結果からも予想される通り,情動反応からのパス係数が大きく,情動反応の強い影響が認めら れる。4つの下位尺度の中で R が最も高くなっている。 最後に逸脱行動に関するモデルの 析結果を図 5に示した。ストレッサーからのパスだけが残り, 情動反応と高揚感からのパスはいずれも有意水準に達しなかった。4つの下位尺度の中で R が最も 小さくなっている。ただし,モデルの適合度は十 に高い。 ストレッサーと問題行動 共 散構造 析の結果,学 嫌悪,攻撃行動及び逸脱行動では情動反応を介さないストレッサー 図2 引きこもりに関する共 散構造 析の結果 図3 学 嫌悪に関する共 散構造 析の結果

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の直接効果も認められた。これはストレッサーを経験したことが問題行動の直接の引き金になって いることを示唆している。ただし,共 散構造 析の結果では,どのようなストレッサーがどのよ うな問題行動を引き起こしやすいかという点について十 に明らかにできなかった。 そこで,ストレッサー各下位尺度と問題行動下位尺度得点との関係を明らかにするために,情動 反応得点(抑うつ気 ・不安・怒り)を統制した偏相関係数を求めた。また,問題行動がストレッ サーではなく,刺激事態そのものへの直接的反応である可能性もあることから,同様にして刺激事 態得点についても問題行動下位尺度得点との偏相関係数を求めた。その結果を表 5に示す。 この結果から,各問題行動が特定の刺激事態又はストレッサーと結びついていることが かる。 図5 逸脱行動に関する共 散構造 析の結果 図4 攻撃行動に関する共 散構造 析の結果

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まず,共 散構造 析の結果でストレッサーの影響を最も強く受けていた学 嫌悪は特に教師及び 学業ストレッサーとの関係が強い。ストレッサーの影響を同程度に強く受けていた逸脱行動も教師 及び学業ストレッサーと関係が強いが,その他に家族・異性ストレッサーも影響を与えていること が示唆されている。攻撃行動は教師・家 ・友人・異性といった対人関係を含むストレッサーがす べて関係している点で特徴的である。引きこもりは共 散構造 析の結果でストレッサーからの直 接効果が有意水準に達していなかったことからもわかるように,この 析でも友人ストレッサーと の関係が認められるだけであった。このような特徴は刺激事態得点との相関ではさらに顕著に示さ 表5 抑うつ気 ・不安・怒り得点を統制したストレッサー・刺激事態得点と問題行動尺度得点と の偏相関係数 下位尺度 問題行動下位尺度 引きこもり 学 嫌悪 逸脱行動 攻撃行動 ストレッサー得点 教 師 全 体 −.032 .229 .154 .218 男 子 −.013 .309 .264 .251 女 子 −.055 .169 .046 .204 家 全 体 −.025 .127 .114 .145 男 子 .021 .224 .173 .115 女 子 −.007 .083 .117 .268 学 業 全 体 −.036 .288 .104 .213 男 子 −.017 .312 .171 .234 女 子 −.106 .246 −.007 .180 友 人 全 体 .143 .145 .212 .128 男 子 .104 .203 .282 .148 女 子 .216 .079 .126 .103 異 性 全 体 −.049 .050 .116 .174 男 子 −.056 .041 .184 .142 女 子 −.052 .061 .029 .233 部 活 全 体 .055 .127 .082 .120 男 子 −.022 .150 .102 .147 女 子 .082 .009 −.031 −.015 刺激事態得点 教 師 全 体 −.056 .179 .188 .201 男 子 −.057 .222 .288 .222 女 子 −.043 .157 .091 .206 家 全 体 −.012 .089 .106 .120 男 子 −.004 .146 .123 .070 女 子 .026 .054 .133 .247 学 業 全 体 −.082 .116 .080 .078 男 子 −.071 .126 .082 .071 女 子 −.105 .105 .089 .110 友 人 全 体 .108 .082 .167 .041 男 子 .023 .071 .202 .023 女 子 .229 .066 .096 .041 異 性 全 体 −.074 −.006 .114 .150 男 子 −.130 −.008 .160 .137 女 子 .016 .010 .078 .205 部 活 全 体 −.031 .019 .069 .075 男 子 −.101 .061 .078 .113 女 子 −.004 −.102 −.001 −.046 p<.05 p<.01 p<.001

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れる傾向がある。 男女別の 析からは,ストレッサーと問題行動との関係に性差があることが示唆される。最も顕 著な違いが見られるのは学 嫌悪・攻撃行動で,男子では多くのストレッサーが学 嫌悪と攻撃行 動に結びついているのに対して,女子ではどのストレッサーも関係が弱い。また,各ストレッサー の影響にも違いがあり,家 ストレッサーは男子では学 嫌悪,女子では逸脱行動との関係が強く, 友人ストレッサーは男子では攻撃,女子では引きこもりと関係が強く,さらに異性ストレッサーも 男子では攻撃行動,女子では逸脱行動との関係が強いといった違いが認められる。

本研究では高 生を対象に,心理的ストレス過程と関連の深い現象の中から高揚感,身体反応及 び問題行動を取り上げて検討した。高揚感と身体反応については,これまで大学生や成人を対象と した研究で利用されてきた尺度を高 生に応用した。いずれも高 生にも利用可能であることが確 認された。また,問題行動については本研究で新たな尺度の作成を試みた。この尺度の特徴は,問 題行動そのものではなく,問題行動の前駆的状態として認知・意欲領域での問題をとらえることで, ストレス過程との関連をより敏感に反映するよう 慮されていることにある。暴力行為,いじめ, 不登 ,中途退学,非行行為といった典型的な高 生の問題行動を想定した項目を作成した結果, 引きこもり傾向(不登 ),学 嫌悪(中途退学),攻撃行動(暴力行為といじめ),逸脱行動(非行 行為)の 4下位尺度が構成された。信頼性を高めるためにはなお改良の余地はあるものの,十 用に耐えられる尺度となった。 本研究では,これらの尺度を利用し共 散構造 析によって心理的ストレス過程との関連を検討 した。基本モデル「仮説 0):ストレッサーが情動ストレス反応を強める」は高い適合度を示し,そ の妥当性が確認された。以下,相関 析と共 散構造 析の結果に基づき高揚感,身体反応及び問 題行動について 察する。 高揚感・身体反応 高揚感と身体反応を組みこんだ因果モデルの 析結果から,情動ストレス反応が身体反応の生起 水準を高め,身体反応を介して高揚感の低下をもたらすとするモデルが採用された。情動ストレス 反応が強くなると,身体反応が生じ,それが高揚感を消耗させるという因果関係は常識的にも納得 できる関係であると言える。病的な身体症状との関係を検討した研究では,ストレス過程と身体反 応とは中程度の関連にとどまるが(Compas, Orosan, & Grant, 1993),本研究では病気と診断され ることの少ない身体的不調をとらえることでストレス過程との間に強い関連を見いだすことができ たと えられる。また,身体的不調は高揚感を低下させることで,ストレス過程の拡大をもたらす 可能性があり,ストレス過程において身体反応が重要な役割を果たしていることが示唆された。

一方,高揚感については情動ストレス反応との間には弱い負の相関があることが報告されている が(音山・古屋・坂田,2003),それも両者の間に身体反応が介在していることで説明することがで

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きる。情動ストレス反応の生起水準が高くても,それが身体反応を引き起こさない限り,高揚感に は影響が及ばないと えられるからである。また,このモデルは高揚感が個人の性格特性によって 規定される比較的安定した心理的資源であるとする Watson(2000)の仮説とも矛盾しない。このモ デルによる高揚感の説明率が低いのは,ストレス過程の影響として説明できる 散の大きさを示す もので,高揚感の基本的な水準は別の個人要因によって規定されていると えることができる。高 揚感の高さは問題行動に対しても大きな影響を与えていることから,このモデルの妥当性を含め, 今後さらに検討を加えていく必要があるだろう。 問題行動 問題行動と情動反応の相関 析の結果,すべての問題行動下位尺度が情動反応と有意な正の相関 を持つことが確認され,ストレス過程との関連が示唆された。因果モデルを検討した結果,まず, 問題行動下位尺度得点を観測変数とする全体モデルでは,問題行動がストレッサー,情動ストレス 反応,高揚感の影響を受けていることが示され,問題行動を二次反応として位置づけられることが 確認できた。さらに下位尺度別に検討した結果,問題行動の内容によって支持される仮説に違いが あった。学 嫌悪では全体モデルと同じ仮説が支持されたが,引きこもり傾向ではストレッサーの 影響,攻撃行動では高揚感の影響が見られなかった。しかし,いずれも情動反応からの影響は有意 に認められストレス過程に伴う二次反応として位置づけることができた。それに対して逸脱行動で はストレッサーからの直接効果が認められただけで情動反応の影響は見られず,ストレス過程の関 与を否定する結果となった。 さらに,情動反応を統制したストレッサーと問題行動の偏相関係数を 析した結果から,下位尺 度によって関係の深いストレッサーが異なり,教師・学業は学 嫌悪,教師・家 ・友人・異性は 攻撃行動,教師・家 ・異性は逸脱行動との関係が深いことが示唆された。また,性差も認められ, 男子では学 嫌悪と攻撃は多くのストレッサーと関係が深く,女子では家 ストレッサーと逸脱行 為,友人ストレッサーと引きこもりに強い関係が見られる。 以上の結果は,逸脱行動を除く問題行動が心理的ストレス過程による二次反応として位置づけら れることを示している。情動反応との関係が最も強いのは攻撃行動で,情動反応が高い水準で生起 している場合には,常に攻撃行動が発現しやすいことを示している。また,男子では情動反応を介 さず,ストレッサーとなる刺激事態によっても攻撃行動が触発されやすいことが示唆されている。 学 嫌悪と引きこもりは情動反応の影響だけでなく,高揚感低下の影響も受けている。高揚感低下 もストレス過程に伴う二次反応であるとすれば,この 2つの問題行動は相対的にストレス過程が拡 大し,多様な二次反応が現れている状態にあることを示唆する。高揚感からの負の影響が特に大き い引きこもりは,ストレス過程が最も進んだ状態であることを示唆している。 本研究では逸脱行動と心理的ストレス過程との関連を示す証拠は得られなかった。これは逸脱行 動がストレッサーに対する直接的な反応であることを示唆している。しかし,逸脱行動は攻撃行動 と並ぶ典型的な外在化行動で,先行研究では両者の関係を支持する知見が得られていることから

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(Sigfusdottir, Farkas, & Silver,2004),この結果については慎重な解釈を要する。まず第 1に逸脱 行動尺度が一定の内的一貫性を持ちながらも,ストレス過程との関係という点で一貫しない内容を 含んでいた可能性がある。逸脱行動をさらに細 化した検討が必要であろう。第 2に情動反応との 関係は認められなかったもののストレッサーとの関係が認められたことから,逸脱行動が不快な出 来事を忘れさせ,そこから注意をそらすことで情動反応の生起を回避または抑制するコーピングの 機能を果たしていた可能性が えられる。第 3に逸脱行動傾向が強い個人では罪悪感に代表される ネガティブな情動への感受性が低いとも えられる。このことが情動ストレス反応の生起水準を抑 えていた可能性も えられる。 以上の結果の解釈については,本研究で測定した問題行動が行動そのものではなく,その前駆的 状態である点に留意しておく必要がある。実際の問題行動が発現してしまった場合には,ストレス 過程との関係は全く異なったものとなる可能性がある。たとえば,本研究で利用したストレッサー 尺度は通常の高 生活におけるストレッサーを測定することを意図したものであるため,引きこも り傾向から不登 となった生徒にはまったく該当しない。しかし,その生徒は不登 になることに よって生じる別のストレッサーを経験することになるだろう。このように,問題行動が実際に発現 した場合には,そのことが新たな刺激事態を生じさせることで,ストレス過程は新たな段階に移行 することになる。その意味で,実際の問題行動が発現する以前の段階での状態をとらえている点に, 本研究の意義があるといえるだろう。 引用文献

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図 4は攻撃行動に関する分析結果である。高揚感からのパスは有意水準に達していない。相関係 数の結果からも予想される通り,情動反応からのパス係数が大きく,情動反応の強い影響が認めら れる。4つの下位尺度の中で R が最も高くなっている。 最後に逸脱行動に関するモデルの分析結果を図 5に示した。ストレッサーからのパスだけが残り, 情動反応と高揚感からのパスはいずれも有意水準に達しなかった。 4 つの下位尺度の中で R が最も 小さくなっている。ただし,モデルの適合度は十分に高い。 ストレッサーと問題行動 共分散

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