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大岡昇平『武蔵野夫人』論(二〇一〇年度卒業論文要旨集)

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Academic year: 2021

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(1)Title. 大岡昇平『武蔵野夫人』論(二〇一〇年度卒業論文要旨集). Author(s). 小野寺, 結香. Citation. 札幌国語研究, 16: 27-27. Issue Date. 2011. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2582. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 近代文学研究室 七四二三 岡田 備子. 夢野久作﹃一足お先に﹂論. ﹃一足お先に﹄ には単独の作品論はなく、代表作﹃ドグラ・ マグラ﹄ の傍系的短編小説として位置づけられてきた。﹁夢中. 近代文学研究室 七四二九 小野寺結香. 大岡昇平﹃武蔵野夫人﹂論. 本研究では、これまでほとんど論及されてこなかった﹁富子﹂. して措かれていたため、︵コケット︶ とはどのようなことを指. ﹁富子﹂については作品中、男性を誘惑する︵コケット︶と. に注目した。. しているかということを中心に作品分析を行った。本文や﹁一武. 遅行﹂時の犯罪などに両作品の共通点はみられるが、決定的に の運命の渦中で被害者に留まるのに対して、〓足お先に﹄ は. 異なるのは主人公の生き方である。﹁ドグラ■マグラ﹄ は自身. 蔵野夫人﹄ノート﹂から﹃アルマンス﹄﹃恋愛論﹄の︵コケット︶. らかとなった。そのような性質を含んだ﹁富子﹂は、精神的に. 無意識のうちに男性を惹きつける、富子の性質であることが明. また︵媚態︶は意識的に作られたものであり、︵コケット︶は. れ﹂﹁男性を振り回す態度﹂﹁虚栄心﹂という性質を見出した。. と本作品の ︵コケット︶ の関わりを考察し、そこから﹁気まぐ. 反撃し被害者から脱する。本研究は、これらを階まえて主人公 ﹁私﹂ の絶望の状況から人間の強さとは何であるか、という観 点で作品論を試みた。作品の行間を読むために作者の生涯を要 約した上で、作品を具体的に読解することにした。 ﹃一足お先に﹄ の冒頭は、聖書の厳しい罪の悔い改めの言葉. つながる愛を求めながらも︵媚態︶ でしか他者との関係を築い. と ﹁けれども﹂という問いかけで始まる。殺人事件を巡って弱 者の﹁私﹂と強者の副院長が対決する。策略で﹁私﹂を犯人と. ていくことができない女性として措かれている。. 冒頭に﹁トツタの昔﹂とあり、作品世界は過去になったが、現. 魔であると自覚する。作品の結末は ﹁⋮⋮﹂ である。しかし、. との関係を築きながら武蔵野で生き続けていく、もう一人の﹁武. 強かった。しかし﹁常子﹂はその ︵コケット︶ によって、他者. のため作品名の﹁武蔵野夫人﹂は﹁道子﹂を指すという見方が. 従来の研究では﹁勉﹂や﹁道子﹂しか注目されておらず、そ. 糾弾する副院長に悪魔をみた﹁私﹂は、松葉杖で副院長を打ち. 在あるいは未来の﹁私﹂は冒頭に戻る。﹁私﹂は罪を幽霊のせ. することで、もう一人の ﹁武蔵野夫人﹂という新たな魅力を見. 蔵野夫人﹂ であることが分かった。本研究では﹁富子﹂ に注目. つける。だが、松葉杖は ﹁私﹂ にも襲いかかり﹁私﹂もまた悪. いにするのではなく、受け止めなければならない。悔い改めの. 出すことができたのである。. 苦悩から﹁私﹂ の希望に向かって努力し続けること、そこに真 の強さが生まれ、神の意志が働くことを措いた作品である。. 27.

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