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中国・内モンゴル自治区における民族音楽の研究 : モリンホールの教育を事例として

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Academic year: 2021

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(1)中国・内モンゴル自治区における民族音楽の研究 一モリンホールの教育を事例として一 専攻 教育内容方法開発 コース 文化表現系教育 学籍番号 M11177B 氏名 阿拉騰布赫.  中華人民共和国の少数民族と位置づけ. の呼称にモンゴル人としてのアイデンテ. られているモンゴル族は、中国の北部の内. ィティと中華人民共和国国民としての二. モンゴル自治区に住んでいる。モンゴルを. 重の意味が内包されているのである。筆者. 特徴付ける文化的要素としては、モンゴル. はこれに関して、まずは国家と内モンゴル. 語をはじめとする独白な文化と並び、モン. 自治区の問題として広く捉え、次に教育面. ゴル音楽もまた重要な民族的シンボルと. でその問題を考察した。つまり、学校教育. なっている。一方、モンゴル人としては、. においては馬頭琴が中国の少数民族のひ. 中華人民共和国の国民の一員として、その. とつを代表する一方、内モンゴル自治区で. アイデンティティをめぐって複雑な状況. モリンホールはモンゴル民族の伝統・文化. にある。この理由において内モンゴル自治. を表現するという現実がある。. 区の音楽文化と学校の音楽教育の間にも.  第1章では、モリンホール楽器の歴史、. 矛盾が生じている。. モリンホールの構造と特徴について述べ.  筆者は、こうした矛盾をr国家的なる もの」と「そうでないもの」との識別にあ. た。.  第2章では、中国・内モンゴル自治区に. ると考えている。それは音楽文化・教育面. おけるモリンホールの中で地域社会のモ リンホールや音楽教育でのモリンホール. にも多く見受けられる。その中で注意すべ. の現状について聞き取り調査とアンケー. きだと考えるのは、「モンゴル」の要素を. ト調査を行った。. 無差別にr中華文化」とみなされることで.  聞き取り調査によれば、内モンゴル牧畜. ある。それを認識するためには「近代化」. 地域におけるモリンホールの現状から見. の中国における地域の音楽文化及ぴ学校. ると、21世紀を迎え、中国では社会構造. 教育等の問題意識が必要と考える。.  この問題に関して、本研究においては モンゴルの伝統的な楽器であるモリンホ ールをとりあげることにする。元来、モリ. ンホールと馬頭琴は同一の楽器である。し かし「モリンホール」はモンゴルの民族楽 器として、r馬頭琴」は中国の民族楽器と して呼称が違うのである。それはこの楽器. が変化し、都市化はますます進展し、民族. 文化が育っていく環境も大きく変わって きている。現代社会人は経済的に恵まれ、. 豊かで便利な社会生活の享受を求めてい る。現代の青少年の特徴からみれば、音楽 やファッションセンスなど、昔の青少年に 比べ、自己表現や感性が確実に豊かになっ.

(2) ており、また、外国への関心が高く異文化. 内モンゴル自治区におけるモリンホール. を違和感なく受け入れることにより、多様. 音楽教育と伝統文化の継承という現象を. な青少年文化を創り出しているように見. 踏まえて、中国という大傘の影に少数民族. える。. として位置付けられるモンゴル族がいか.  アンケート調査によれば、「教育目的」、. にして他文化と白文化の交錯を繰り返し、. r伝承文化目的」、r生活目的」という言. 伝統文化を通して自民族アイデンティテ. い方にまとめることができよう。まず、モ. ィを構築したかを見てきた。. リンホールを勉強する理由として「現実生.  本研究は内モンゴルにおけるモリンホ. 活のため」という答えが遥かに多かった。. ール音楽学習者への聞き取り調査をもと. その次に、「モンゴル民族文化を継承する」. に、彼らのモリンホール音楽の教育を通し. という回答とr趣味による」という回答が. て民族アイデンティティがどのように構. 多かった。これは、モリンホール音楽が社. 築していたかを考察した。. 会経済の発展に伴い文化資源として使わ.  本調査研究の中では、r草原に昇る落ち. れるようになっていることが例えると同. ない太陽」は「中華民族」を象徴する曲と. 時に、民族文化の発展を視野にいれている. して特別な位置づけをも・っているが、この. のである。. 曲においては指導要領で用いられている.  モリンホール音楽の習得目的からみれ. 表現が意図的であって、学習者の考えた音. ば、モンゴル民族の音楽は「モンゴル民族. 楽との間にずれが生じている。学校教育の. 的なもの」という心理的葛藤を通して、音. 指導要領では、中国という国家的要素を前. 楽的にも音楽外的にも地域に根差したフ. 面に出していた。. ォークロアの諸要素に依拠しながら、それ.  中国は内モンゴルにおいて,民族音楽を. でも偏狭な民族主義に陥ることなく、芸術. 大衆化して国の音楽の一部にする、という. 音楽としての普遍的な意味を同時に得る. 壮大な文化的側面での統合の試みがあっ. ようになった。ある時には中国文化と融合. た。これは当時の世界の潮流の中で見てみ. し合い、またある時には対時しながら、い. るとかなり独白な目論みであった。民謡こ. かにして民族文化を育むことができるか. そ民族の宝であり、民族独自の新しい音楽. という一つの葛藤の歴史、即ちその底流に. の源泉となる、と考えられていたのである。. あるモンゴル民族対漢民族の心理的葛藤.  こうした状況を一般化すれば、民族のア. が、さらに固有の地方主義的発展と相侯っ. イデンティティそのものが脅かされたと. て、モンゴル伝統音楽文化の独自の展開を. 感じた場合に音楽のアイデンティティが. 促したともいえる。. 問題視され、表面に浮上してくることが分.  第3章では、中国・内モンゴル自治区に おける楽曲の考察をして、民族アイデンテ. かる。. ィティとしてのモリンホールについて述 べた。.  以上のように研究と考察を行って、中国.     主任指導教員  (草野次郎).     指導教員  (草野次郎).

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