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シェーグレン症候群の病態形成におけるアロマターゼの影響

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Academic year: 2021

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様式6 論 文 内 容 要 旨 題 目 シェーグレン症候群の病態形成におけるアロマターゼの影響 著 者 岩浅亮彦 内容要旨 自己免疫疾患の多くは多因子疾患であり、本疾患の病態の解明ならびに根治的治療法の開発が重大な 研究課題である。これらの自己免疫疾患の大半が、女性優位に発症することが知られている。外分泌腺 である涙腺、唾液腺を標的とするシェーグレン症候群(SS)も、閉経期以降の女性に好発する自己免疫 疾患であり、閉経期前後におけるエストロゲン産生量の変化が免疫システムの維持に影響を与え、自己 免疫疾患の発症に関与しているものと考えられてきたが、特定の臓器が自己免疫反応の標的となる詳細 な分子メカニズムについては不明である。 アロマターゼ遺伝子欠損(ArKO)マウスは、ヒトでのエストロゲン産生能の低下した状態が再現さ れており、エストロゲンが免疫システムに及ぼす影響を理解するための有用な動物モデルとして知られ ている。このArKO マウスにおいて、唾液腺に SS 様の炎症性病変が認められることが報告されている が、アロマターゼ欠損によるエストロゲン欠乏状態が、SS の標的臓器である涙腺、唾液腺に自己免疫 性の病態を引き起こす詳細な分子メカニズムについては不明なままである。そこで、本研究では、エス トロゲン産生に異常をきたすArKO マウスを用い、エストロゲン産生異常が自己免疫病変へ及ぼす影響 について検討を行った。 まず、3~6、6~12、12~18 か月齢の ArKO マウスと WT マウスの解剖を行い、HE 染色にて、涙腺お よび唾液腺における病理組織学的検討を行ったところ、6~12、12~18 か月齢の ArKO マウスで涙腺、 唾液腺に限局したSS 様の炎症性病変が観察され、18 か月齢の ArKO マウスの唾液腺凍結切片を用いて 免疫染色を行ったところ、唾液腺病変部における導管周囲へ浸潤しているリンパ球は、CD4 陽性 T 細胞 が主体であり、B220 陽性 B 細胞も浸潤していることが分かった。次に、フローサイトメトリーにて、 18 か月齢の ArKO マウスと WT マウスの胸腺、脾臓、頸部リンパ節における T 細胞の動態について検 討を行ったところ、CD4 と CD8 の各分画の割合は両者間で大きな違いは認めなかった。 アロマターゼの欠損がT 細胞の分化に及ぼす影響を定量 RT –PCR 法にて検討を行ったところ、ArKO マウスの脾臓において、Th1 細胞の分化に重要である転写因子 T-bet の mRNA 発現が、WT マウスに 比べて有意に上昇しており、アロマターゼの欠損がTh1 細胞への分化を促進している可能性が示された。 また、ArKO マウスの唾液腺におけるアポトーシスおよび免疫関連因子である RbAp48、CIITA、およ び炎症性サイトカインであるIFN-γ、IL-18 の mRNA 発現の有意な上昇を認めた。 また、SS モデルマウスである、生後 3 日目に胸腺摘出術(Tx)を行った NFS/sldマウスの涙腺・唾 液腺で見られるSS 病変が、アロマターゼインヒビター(AI)を投与することで悪化しており、Tx 群と 比較して、Tx 後 AI を投与した群で RbAp48 の mRNA 発現の亢進していることが確認され、SS モデ ルマウスにおいてもアロマターゼを阻害することが、唾液腺におけるアポトーシスに影響を及ぼす可能 性が示唆された。 さらに、フローサイトメトリーにてArKO マウスの末梢リンパ節および唾液腺でのマクロファージの 増加を認め、ArKO マウス唾液腺の免疫染色においても、F4/80 陽性マクロファージの集簇像が確認さ れ、標的臓器における炎症病変の形成にマクロファージが関与している可能性が示された。 以上より、アロマターゼ欠損によるエストロゲン産生異常が、抗原提示細胞へ影響を与え、涙腺、唾 液腺におけるSS 様の自己免疫病態形成に関与していることが示唆された。

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