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土地被覆情報を適用したDMSP/OLSデータによる都市域の夜の光の強度分布推定−東アジアの都市を中心として−

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(1)

減少しつつあることから,資源の枯渇が懸念され,今後 ますますエネルギー使用の節約が必要とされる。そのた め,エネルギーの効率的使用という観点において,世界 1 はじめに 産業革命以降の世界中の石油,石炭などのエネルギー 資源の大量消費に伴うCO2の増加とともに,その資源が

松下 まなみ

・中山 裕則

**

The situation of electric energy consumption in each city is observed as the night light distribution on the earth by the OLS(Operational Linescan System)sensor of Defense Meteorological Satellite Program (DMSP). If this light distri-bution is detected quantitatively, the amount of electric power energy consumption can be estimated globally. However, since OLS data shows saturation when the radiant energy of light exceeds the maximum detection value of OLS, it is nec-essary to estimate the DN(Digital Number)value in the saturated area.

In this study, firstly, an estimate method of DN value in the saturated area of OLS data based on the land cover classi-fication result analyzed from the optical sensor data is newly proposed. Next, the estimated DN value of the OLS data as the night light intensity distribution in metropolitan areas of Tokyo and big cities in East Asia is actually converted by applying the proposed new estimate method using the land cover classification result of a few optical sensor data. More-over, the availability of the proposal method is discussed through the evaluation of the estimated image on referring to an image by other method and field measurements. Finally, based on the results of OLS DN estimate and its conversion in East Asia including a lot of big cities, the possibility of the investigation for global nighttime light intensity distribution and its energy consumption using conversion image by the proposal method is considered.

The new proposal method estimates the DN value of OLS saturated area based on the regression analysis between the DN value and the area percentage of the artificial land cover region extracted from the classification result of optical sensor data in OLS non-saturated area. LANDSAT/ETM+, MODIS and the NASA Filled NDVI Maps Product data were applied to the land cover classification, and the NGDC calibrated OLS data and the ground light illumination measurements by field survey were used for the evaluation of the analyzed result. The conclusion of this study is summarized as follows.

1)In the Tokyo metropolitan area, according to positive high correlation shown between the area percentage of arti-ficial land cover and OLS non-saturated DN value, the DN estimate and its image conversion indicating the light intensity distribution in the saturated DN area were appropriately carried out.

2)Since OLS DN estimate and its image conversion in the saturated DN area were also carried out by using MODIS land cover classification data of several big cities in East Asia, it was shown that the possibility of application of pro-posed method to the wide-ranged area was shown clearly.

3)A difference in the feature of the night light intensity distribution between Japanese and Chinese big cities was clearly shown through the comparative analysis among the estimated images of several cities.

4)Based on the appropriate result of the proposed method to several big cities, the possibilities of estimate of OLS DN value indicating light intensity and its energy conversion with the continental or global scale which applied the method to seasonal scenes of NASA global Filled NDVI Maps Product data was shown.

Keywords : DMSP/OLS, ETM+, MODIS, NDVI, land cover, estimate, light intensity,

      energy consumption, comparative analysis

土地被覆情報を適用した

DMSP/OLSデータによる

都市域の夜の光の強度分布推定

−東アジアの都市を中心として−

An Estimate of Night Light Intensity Distribution in the Urban Area by DMSP/OLS Image

with Land Cover Classification Data

A case study in East Asia−

Manami MATSUSHITA

and Yasunori NAKAYAMA

** (Received October 31, 2011)

Graduate School of Integrated Basic Sciences, Nihon University: 3−25−40 Sakurajosui, Setagaya−ku, Tokyo, 156−8550 Japan

** Department of Geosystem Sciences, College of Humanities and Sciences, Nihon University: 3−25−40 Sakurajosui, Setagaya−ku, Tokyo, 156−8550 Japan

日本大学大学院総合基礎科学研究科:

〒156−8550 東京都世田谷区桜上水3−25−40

** 日本大学文理学部地球システム科学科:

(2)

積比率から飽和している画素の光の強度(DN 値)を推 定できるものと考えられる。 本研究では,OLSデータを多シーン用いる代わりとし て,ほぼ同時期に観測された昼間の光学センサデータか ら求めた土地被覆分類情報を参照して,都市域のOLS データの飽和域のDN 値の推定を行う新たな方法を提案 し,実際に複数の都市にこれを適用することでその有効 性を論じるとともに,エネルギー量推定の可能性につい ても言及することを目的とした。 光学センサデータから東アジアの都市とその周辺を対 象とした土地被覆分類を行い,これと対応するOLS 画 像で光分布が認められる地域を,光が放出される人工被 覆項目の地域(以下「光放出人工被覆域」とする)とし, このうちDN 値が飽和していない地域(以下「光強度未 飽和DN 値域」とする)の光放出人工被覆域の占有面積 比率と,これに対応するOLSデータの DN値との関係か ら,OLSデータのDN値が63で飽和している地域(以下 「光強度飽和DN値域」とする)の実際のDN値を推定し, 光強度を表すDN 値推定画像(以下「光強度 DN 値推定 画像」とする)を作成する。 2 DMSP/OLS データと夜の光強度計測 2. 1 OLS データと夜の光分布 OLSを搭載しているDMSPは,1965年から打ち上げが 開始され,現在20 機まで打ち上げられている。空間分 解能は2.8km と低いが,1 日 14 軌道分で全球の観測が可 能である。 そのOLS センサは 1976 年から DMSP に搭載され,通 常は雲の観測を目的としているが,夜の雲をより鮮明に 観測するために,センサの感度が高く設定され,地上の 夜の光を感知することができる(Table 1)。夜間の衛星 の通過時間は,衛星の観測直下地で午後8 時 30 分から の都市とその近郊における電力消費量を把握することが 重要となっている。 エネルギー消費の一部である電気エネルギーは,米国 の軍事気象衛星DMSP(Defense Meteorological Satellite Program)搭載のOLS(Operational Linescan System)セ ンサにより,地球上の夜の光の分布として,捉えること ができる。その光分布は,オーロラ,稲妻などの自然現 象の光を除けば,多くが都市,焼畑,油田地帯のガスの 燃焼,漁火などの人間活動による光である。その中でも 都市の光には,オフィスビルの室内灯,交通網,街灯, 住居などから発せられる光が含まれ,これらは主に電力 消費によるものである。中山(1983,1993)によれば, 光分布の傾向は,その地域の経済活動と密接な関係があ ることが確かめられ,言い換えれば,光分布が詳細に求 められれば電力消費量を全球レベルで推定できる可能性 を有している。 各国の統計データにより,地域レベルでの電力消費量 を知ることはある程度可能であるが,面的な分布状態あ るいはその量を求めることは難しい。この点において, 面的な光分布の把握が可能である人工衛星DMSP/OLS データの利用は有効な手段である。 このOLS データからエネルギーを求めるには,その DN(Digital Number)値からエネルギー量を算出するこ とで可能である。しかし,実際にはOLS データの最大 出力レベルは 6 ビットで,光のエネルギーがある値を 超えるとデータは飽和してしまう。また,キャリブレー ション係数が公開されていないため,都市内の光強度 とその分布の把握が困難である。これらの問題に対し, Elvidge(1999)は,ある期間にOLSデータがオフセット とゲインの可変モードで観測された光のDN 値の頻度分 布の変動パターンを利用し,光の絶対エネルギー値とし て強度を推定する方法を提案した。しかしながら,この 方法では,約7 ヶ月間に観測された約 1575 シーンとい う,多シーンのOLS データを用いることが必要であり, 週あるいは月毎といった比較的短い期間での光の強度を 求めることは難しい。 一方,Sutton(2001)による研究では,夜間の光分布 と土地被覆分布の間の関係から,市街地や住宅地などで ビル,交通網,街灯,住居などに光が集中して分布して いることが示されている。またElvidge(2007)によれば, 市街地,住宅地などの人工被覆が占める面積が大きいほ ど,光の強度が強くなることが示されている。つまり, OLS データの 1 画素内の人工被覆域の占有面積比率と これに対応する飽和していないOLSの画素の DN値の間 の関係を求めることが出来るなら,人工被覆域の占有面

Table 1 Characteristics of DMSP F15/OLS observation

(NGDC, 2011)

Orbit Sun-Synchronous Polar Orbit Altitude Perigee altitude 843km Apogee altitude 854km Inclination 98.9°

Period 101.8 minutes Objective Cloud distribution Wavelength

Visible and Near-IR(day) 0.4−1.1μm

Visible and Near-IR(night) 0.47−0.95μm Swath width 3000km

(3)

し,その頻度分布が10%以下のデータは取り除く。さ らに,シーンごとの観測日から,地球に到達する月の光 の強さに対応するゲインのdB 値を計算し,Fig.1 の関係 からエネルギー値を算出することで光強度分布を推定す る。 また原(2004)は,1999年の 1 年間のDMSP/OLSデー タセットから,ノイズを除去し,DN値が 0 から63まで の画素数をそれぞれ計算して,DN 値とそれに対応する 画素数の回帰式より飽和したDN 値を推定し,光のエネ ルギー値を算出するという手法を提案した。 3 研究の概要 3. 1 研究の目的 本研究の目的は,土地被覆情報に基づくOLS 画像の

光の強度DN 値推定法(以下 Estimate of Light intensity DN value with Land cover classification dataで「ELL法」 とする)を適用して,東アジアの都市を中心とした飽和 DN 値の推定とその画像作成を試み,さらにその結果よ り,全球レベルでのエネルギー消費量の推定も可能かに ついて言及するものである。研究の目的をまとめると以 下の通りである。 (1)ELL法という新たな手法を提案し,中空間分解能衛 星LANDSAT/ETM+(Land Satellite/Enhanced Thematic Mapper Plus)データ(以下「ETMデータ」とする)によ る土地被覆分類結果から,光強度飽和DN値域のDN値の 推定の有効性の検討とその変換した画像の作成を行う。 (2)広域観測衛星 Terra および Aqua 搭載の MODIS (Moderate resolution Imaging Spectroradiometer)によ る観測データ(以下「MODISデータ」とする)を,ELL 法の土地被覆分類へ適用し,OLS データの光強度飽和 DN 値域の実際の DN 値の推定とその画像作成について の検討を行う。 (3)ELL法を用いて,東アジアの複数の都市を対象と し,実際に飽和DN 値の推定を行い,その変換・作成さ れた画像データによる夜間の光分布の特徴について分析 を行う。

(4)最終的に NASA(National Aeronautics and Space Administration)によるグローバルなデータセットの Filled NDVI(Normalized Difference Vegetation Index) Mapsプロダクトデータ(以下「F - NDVIデータ」とする) による土地被覆分類データをELL法に適用し,東アジア の都市の夜の飽和DN 値の推定とその画像作成を行い, それによるエネルギー消費量の推定の可能性について言 及する。 9 時30分の間である(Elvidge,2001)。 このOLS データは 1972 年に軍事機密種別から外され, 夜間のデータが一般でも利用可能となり,一定期間を過 ぎたものは,アメリカのコロラド大学とNGDC(National Geophysical Data Center)の両機関に保管されている (Elvidge,2001)。 2. 2 既存の光強度分布の推定方法 OLS データの特徴は,先に述べたように出力レベル が6 ビット(0 ∼ 63)で,光のエネルギーがある値を超 えるとDN 値は 63 で飽和してしまう。また,月の光の 強さに応じて観測ゲインが変えられるという特性もある (Elvidge,1999)。OLS データの光の強度と月の光の関係 を示したものがFig.1 である。この図によれば,月の光 が強い満月ではゲインが高くなり,月の光がほとんど無 い新月ではゲインが低くなる。したがって,シーンごと にこのゲインの変化と光強度飽和DN 値域の実際の DN 値の推定を行う必要がある。 OLSデータの出力レベルが光のエネルギーの高い地域 で飽和してしまう問題に対しては,より詳細な夜間の光 分布を推定するためにさまざまな試みが提案されてき た。 Elvidge(1999,2001)によれば,NGDCでは以下の方 法を使って夜間の光の推定手法の検討を行った。まず, 1994 年 10 月 1 日から 1995 年 4 月 30 日の 7 ヶ月間で新 月の前後15 日間に観測されたデータの中で,オーロラ や太陽の光の影響のあるシーンと,雲が90%以上含ま れたデータのシーンを取り除く。次に,全てのシーンの うち,光が確認されたシーンのデータの頻度分布を計算

Fig.1 Relationship between the DMSP/OLS F12 visible band

gain when operated in PMT mode, digital numbers, and observed radiances derived from the preflight sensor calibration (Elvidge, 1999).

(4)

3. 2 提案する光強度分布推定法 本研究で新たに開発し提案するELL 法の概要は,以 下のとおりである。 実際の解析における土地被覆分類項目のうち,密集市 街地,市街地,密集住宅地,住宅地,工場を光放出人工 被覆域とし,この土地被覆画像の解析範囲に対応する OLS データの光強度未飽和 DN 値域の各画素( 4km× 4 km)内に含まれる光放出人工被覆域の占有面積比率を 算出した。その計算は式 ① の通りである。

La=(U1×a+U2×b+R1×c+R2×d+F×e)/Np ... ① ここで La : 光放出人工被覆域の占有面積比率 U1 :密集市街地の面積(m2) U2 :市街地の面積(m2) R1 : 密集住宅地の面積(m2) R2 : 住宅地の面積(m2) F : 工場の面積(m2 Np : OLSデータの 1 画素の面積(m2 a ∼e: それぞれの土地被覆項目に対応する 光量の重みの係数 式 ① では,土地被覆状況により光の強度が異なると 考えられるため,それぞれの土地被覆項目に光量の重み を付けることが必要である。このため,東京を対象とし た光放出人工被覆域のそれぞれの地域において,実際に 照度計を用い地上で照度の観測を行った。そして,この 計測結果に基づいて,式 ① の光放出人工被覆域の土地 被覆項目ごとのOLSデータの DN値推定のための重みの 係数を設定した。実際にはa から e の重みの係数は東京 を例として,10.14,4.78,2.25,1.0,1.63とした。 次に,OLS データのうち光強度未飽和 DN 値域の DN 値と,土地被覆分類データのうちの光放出人工被覆域の 占有面積比率の間で回帰式を求めて,この式により,光 放出人工被覆域の占有面積比率(%)の値に対応する光 強度飽和DN値域の実際のDN値の推定を行う。 4 研究の方法 4. 1 研究方法の概要 研究の流れをFig.2 に示す。まず,オリジナルの OLS データに対し,DN 輝度値推定,ノイズ除去などの前処 理を行い,正角割円錐図法への投影変換を行った。 次に,幾何補正されたOLS データと同一の正角割円

錐図法に投影変換されたETM データを用いて,ELL 法 Fig. 2 A study flow

OLS data

Preprocessing

Preprocessing Land cover classification

analysis Optical sensor data

Comparative analysis between lights intensity DN and artificial land cover classification in city suburbs

Estimate of lights intensity DN in the saturated region of city center of Tokyo and Shanghai

based on ETM land cover data Comparative analysis between estimated lights

intensity DN value based on ETM land cover data and NGDC-OLS calibreated data Estimate of lights intensity DN in the saturated

region of city center in East Asia based on ETM land cover data Estimate of lights intensity DN in the saturated

region of city center of Tokyo and Shanghai based on MODIS land cover data

Comparative analysis of both estimated results lights intensity DN value between MODIS land cover data

and ETM one

Comparative analysis between estimated lights intensity DN value based on MODIS land cover

data and NGDC- OLS calibreated data

Estimate of lights intensity DN in the saturated region of city center in East Asia based on MODIS land cover data

Comparative analysis between estimated lights intensity DN value based on MODIS land

cover data and illumination intensity measurements by the field survey

Investigation of ights intensity DN estimate in the saturated region of wide-ranged cities based on

F-NDVI land cover data, and consideration about the possibility of estimate of energy F-NDVI data

(5)

による光強度DN 値推定画像を作成し,2. 2 節で示した NGDCで校正されたOLSデータ(以下「NGDC−OLSデー タ」とする)との間で,画素ごとのDN値の比較を行い, 評価を行うことで,本研究の手法による都市の飽和DN 値推定の妥当性の検討を行った。 さらに,ETMデータで全球の夜の飽和DN値の推定を 行うことは,観測シーンの撮影範囲が限られていること から難しいため,空間分解能は低いが,大陸レベルの広 域で土地被覆分布の把握が可能なMODIS データを用い て,光強度DN 値推定画像を作成し,NGDC - OLS デー タと画素ごとのDN 値の比較を行うことで,飽和 DN 値 の推定とその画像作成が広域について可能かの検討を 行った。ここでは,光強度DN 値推定画像の都市間の比 較のために,日本と中国の都市で現地確認と照度計によ る現地計測を行った。 最後に,F - NDVIデータを用いて,東アジアの都市域 の飽和DN 値の推定とその画像作成を行って,大陸ある いは全球レベルでも光強度分布の推定が可能かについて の検討を行い,さらに,その結果より全球のエネルギー 消費量推定が可能かについても言及した。 4. 2 使用データ (1)OLSデータ 夜間の飽和DN値の推定には,まず2005年でそれぞれ が冬の時期である北半球(1,2月)と南半球(7,8,9月) の1554 シーンの DMSP/OLS 画像データを農林水産省 データーベースシステムのSIDaBライブラリ(農林水産 省,2011)より入手した。次に,この中から新月前後15 日間において,最も雲が少なく新月に近い2005 年 1 月 11 日の東アジアの 2 シーンを選択して使用した。その OLSデータはTable 2の通りである。 (2)ETMとMODISデータ

ELL 法で使用した ETM と MODIS のデータは Table 3

に示す通りである。ETM データは各都市を含む 1 時期

のシーンを,アメリカのメリーランド大学における Global Land Cover Facility(University of Maryland, 2011)の Web 上より入手した。また MODIS データは MODIS Rapid Response(NASA,2011)のWeb上より入

手し,土地被覆分類のために春(4 月),夏( 8 月),秋

(11月)のそれぞれ 3 時期のバンド 1(可視域),バンド 2(近赤外)のデータを選択して用いた。

(3)F - NDVIデータ

ELL 法による大陸レベルの東アジア地域の飽和 DN 値

Table 2 Used DMSP/OLS data

Satellite/sensor Year/month/day Area DMSP/OLS F15 2005/ 1 /11 Japan DMSP/OLS F15 2005/ 1 /11 China

Table 3 Used ETM and MODIS data

Satellite/sensor Year/month/day Area

LANDSAT/ETM+ 2006/11/ 9 Tokyo 2001/10/15 Osaka 2005/ 8 /15 Shanghai 2005/ 8 /15 Seoul 2006/ 5 /21 Suzhou 2005/ 9 /30 Nanjing 2001/10/11 Hangzhou Terra, Aqua/MODIS 2006/ 4 , 8, 11 Tokyo Terra, Aqua/MODIS 2005/ 4 , 8, 11 East Asia

Table 4 Used F - NDVI data

Data Year/month/day Area

Filled NDVI Maps Product 2003/ 4 /23−5 / 8 East Asia 2003/ 5 / 9−5 /24 2003/ 7 /28−8 / 2 2003/ 9 /14−9 /29 2003/10/16−10/31

Table 5 Used NGDC - OLS data(NGDC, 2010)

Data Year/month/day Area Global Radiance Calibrated Nighttime Lights 1994/10/ 1− 1995/ 4 /30 East Asia の推定に使用したF-NDVI データは,NASA がグローバ ルに16日間ごとに集成したNDVIプロダクトデータであ る。 本 研 究 で はNASA の MODIS Atmosphere の Web 上 (NASA,2011)からTable 4 に示すような2003年のデー

タをダウンロードして入手し,4月下旬(初春),5月上旬

(春),7月下旬(夏),9月下旬(初秋),10月下旬(秋)の 5 時期のデータを統合して解析に用いた。

(4)NGDC−OLSデータ

ELL 法による ETM データ,MODIS データ,F - NDVI データによる飽和DN 値推定結果の妥当性を検討するた め にNGDC−OLS デ ー タ を 使 用 し た。 こ れ は NGDC (NGDC,2010)よりGlobal Radiance Calibrated Nighttime

(6)

雲の12 分類項目を設定し,それぞれに対しトレーニン グエリア(教師)データを選定した。このトレーニング エリア設定は,赤外カラー画像,もしくは中間赤外カ ラー画像を判読しながら行った。これは中間赤外カラー を用いることで,植生が細分化かつ強調され,市街地と 住宅地との区別がつき,判読されやすく,より正確な選 定が可能であるためである。また選定には,現地調査情 報,航空写真,地形図および地図帳の情報も参考にした。 この選定において,すべての項目のトレーニングデー タの分類精度が90%を超えた後,最尤法による土地被 覆分類処理を行った。ここで,密集市街地,市街地,密 集住宅地,住宅地の分類精度については85%以上とし たが,これは1 画素内に密集市街地,市街地,密集住 宅地,住宅地が複雑に含まれているケースが多く,純粋 な選定に限界があるためである。分類データは,分類項 目ごとに任意の配色をし,土地被覆カラー画像として結 果の確認を行った。 4. 5 本手法により推定した DN 値の評価方法 推定したOLSデータの飽和DN値が,妥当であるかの 評価を行うため,NGDC - OLS データを使用し比較分析 を行った。 その方法としては,入手したNGDC - OLS データのう ち,対象の各都市を含む140km × 140km の範囲を正角 割 円 錐 図 法 に 投 影 変 換 し, 同 範 囲 でETM,MODIS, Lights のデータセットとして公開されているもので,本 研究ではTable 5 のようなデータを Web 上よりダウン ロードして入手した。 4. 3 対象とした東アジアの都市 各光学センサデータを用いたELL 法による OLS デー タの飽和DN 値の推定とその比較検証の対象都市は,東 京とその近郊(以下「東京都市圏」とする)に分布してお り,この140km × 140km の範囲を解析領域とした。ま た都市間比較の対象都市は,日本と朝鮮半島および中国 東部を含む東アジアの主要大都市である上海(以下「上 海都市圏」とする),大阪,ソウル,蘇州,無 ,常州, 南 京, 杭 州 と し, そ れ ぞ れ 東 京 と 同 様 に140km× 140kmの範囲を解析領域した(Fig.3)。また,東アジア の広域の対象領域はFig.3の破線内である。 東アジアの都市は,近年経済成長が著しく,例えば, ここ10 年間で GDP はソウルで約 1.6 倍,上海,南京で 約2.4 倍にもなった。これに伴いエネルギー消費量は, ソウルが約1.2倍,上海と南京は1.5倍にそれぞれ増加し た(総務省統計局,2005)。これに対し,2005年の日本の 人口は,世界で10 位なのに対し,同年のエネルギー消 費量は世界で4 位,電気消費量のみでも世界で 5 位と なっている(総務省統計局,2005)。すなわち,日本は 1 人あたりのエネルギー消費量が,世界で最も多い国 の1 つといえる。 4. 4 土地被覆分類情報の抽出方法 本研究の手法で適用したETM,MODIS,F - NDVIデー タの土地被覆分類データは,最尤法による分類によるも ので,Table 6 のような密集市街地,市街地,密集住宅地, 住宅地,工場,裸地,農地,草地,樹林,水域,山陰,

Fig. 3 Study Area(Google, 2011)

Table 6 Land cover classification items for the estimate of

night light intensity DN value

No. Classification Application

1 Urban 1 High-rise building and high density build up area(More than five floors) 2 Urban 2 Apartment and shop(Less than five

floors)

3 Residential 1 Apartment(More than five floors)and density residential area 4 Residential 2 Residential area including garden tree 5 Factory Large-stand buildings such as factory

and Airport

6 Wasteland Bare land and uncultivated land 7 Agriculturalland Paddy field and farm land 8 Grassland Glass, weed and pasture

9 Forest Broadleaf tree or coniferous trees Tree height of not less than 2m) 10 Water Sea, river ,lake and pond

11 Shadow Shade of mountain 12 Cloud Cloud

(7)

F - NDVI データから推定した光強度 DN 値推定画像の画 素間でDN値の比較を行った。 5 ETM データによる飽和 DN 値推定結果 5. 1 ETM データの土地被覆情報による飽和 DN 値推定 Fig.4 に正角割円錐図法に投影変換された東京都市圏 のOLS夜間原画像を,Fig.5 に同範囲のETMデータによ る土地被覆分類画像(以下「ETM土地被覆画像」とする) を示す。Fig.4 の OLS 夜間原画像の DN 値分布をみると, 中心部は一定であるが,それより郊外に行くに従い値が 小さくなっていることが分かる。 ここで,ETM土地被覆画像内(140km×140km)に対 応 す るOLS デ ー タ の 光 強 度 未 飽 和 DN 値 域 の 各 画 素 (4km× 4 km)内に含まれる光放出人工被覆項目の占有 面積比率を算出し,グラフにプロットした結果をFig.6 に示す。これによれば光放出人工被覆域の占有面積比率 が高いほどOLS 原データの DN 値が高くなる関係(R = 0.857)が示された。 上述の関係に基づき,対象地域全体の東京都市圏と上 海都市圏のOLSデータの光強度飽和DN値域をETMデー タにより推定したDN値推定画像(以下「ETM - DN値推 定画像」とする)を作成した(Fig.7および Fig.8)。これ らの光強度DN 値推定画像によれば,東京都市圏では東 京駅周辺地域,上海都市圏では南京東路付近が,それぞ れ最も高いDN 値を示し,ここから郊外にむかうに従い 徐々に光強度が減少する分布が明瞭に示された。 5. 2 ETM データによる飽和 DN 値推定結果 ETM デ ー タ に よ る 飽 和 DN 値 推 定 の 評 価 と し て, ETM - DN 値推定画像と NGDC - OLS データの光分布画 像の画素間でDN 値の比較を行った。対象としたのは東 京都市圏と上海都市圏の140km×140kmの範囲であり, 両 都 市 のNGDC - OLS デ ー タ の 光 分 布 画 像 を Fig.9 と Fig.10に,比較を行った東京都市圏と上海都市圏の散布 図をFig.11とFig.12にそれぞれ示す。 この散布図によると,東京都市圏と上海都市圏の NGDC - OLS データの光分布画像と ETM - DN 値推定画 像の間の相関係数は,それぞれ0.933および0.805という 高い値が示され,両推定画像はNGDC - OLS データの光 分布画像とほぼ同様のDN値分布を示した。 5. 3 東アジアの都市間における ETM データによる飽和 DN 値推定結果の比較 ETM データを用いた ELL 法の適用例として,東アジ アの 5 つの大都市の飽和 DN 値の推定を行った。ETM

Fig. 4 Nighttime lights

dis-tribution of Tokyo by OLS data on Nov.1, 2005

Fig. 5 ETM Land cover

cla-ssification image of Tokyo and its suburbs

Fig. 6 Relationship between

OLS digital number and percentage of artificial land cover area by ETM data

Fig. 7 An estimated image

of night light dis-tribution of Tokyo based on ETM land cover data

Fig. 8 An estimated image

of night lights dis-tribution of Shanghai based on ETM land cover data

Fig. 9 The NGDC-OLS image

of night lights dis-tribution of Tokyo

0 255(DN 値)

0 255(DN 値)

0 255(DN 値)

(8)

土地被覆画像から求められた大阪,ソウル,蘇州,南京, 杭州のETM−DN 値推定画像を Fig.13 から Fig.17 にそれ ぞれ示す。これらの推定画像においても,東京と同様に 光放出人工被覆域の占有面積比率が高い地域ほどDN 値 が高くなる結果が示され,同心円状に広がるDN 値の分 布状況を明瞭に表していた。以上のことからもELL 法 は,東アジアの広域に分布する各都市の光強度分布の推 定に対し適用が可能であることが示された。 6 MODIS データによる飽和 DN 値推定結果 6. 1 MODISデータの土地被覆情報による飽和 DN値推定 広域を観測する衛星データによる土地被覆情報データ からも光強度分布の推定が可能かについて検討を行っ た。Fig.18 に東京都市圏の MODIS データによる土地被 覆分類画像(以下「MODIS土地被覆画像」とする)を示 し,光放出人工被覆域の占有面積比率の算出結果を Fig.19に示す。これらによれば,光放出人工被覆域の占 有面積比率とOLS原データの DN値の間には比較的高い 正の相関(R=0.832)が示された。 上述の関係に基づき,東京都市圏と上海都市圏の光強 度飽和DN 値域について DN 値を推定した MODIS デー タによる飽和DN 値推定画像(以下「MODIS - DN 値推 定画像」とする)を作成した(Fig.20およびFig.21)。こ れらの画像とFig.7 および Fig.8 の ETM−DN 値推定画像

との間で,画素ごとのDN 値を比較した結果は,Fig.22

とFig.23 のように相関係数がそれぞれ 0.905 および 0.912

であり,両画像はほぼ同様のDN 値の分布であることが

示された。

Fig.12 Relationship between

OLS data estimated from ETM and NGDC- OLS data of Shanghai

Fig.13 An estimated image

of night lights dis-tribution of Osaka based on ETM land cover data

Fig.14 An estimated image

of night lights dis-tribution of Seoul based on ETM land cover data

Fig.15 An estimated image

of night lights dis-tribution of Suzhou based on ETM land cover data

Fig.16 An estimated image

of night lights dis-tribution of Nanjing based on ETM land cover data

Fig.17 An estimated image

of night lights dis-tribution of Hangzhou based on ETM land cover data

Fig.10 The NGDC--OLS image

of night lights dis-tribution of Shanghai

Fig.11 Relationship between

OLS data estimated from ETM and NGDC- OLS data of Tokyo

0 255(DN 値)

0 255(DN 値)

0 255(DN 値) 0 255(DN 値)

(9)

被覆を十分に反映することが難しく,それらが市街地と してまとめて分類され,その結果が光強度の違いとして 現れたと考えられた。 6. 5 現地調査による主要都市の光強度 DN 値推定画像 の特徴 MODIS データによる飽和 DN 値推定の結果と現地の 光の使用状況や実際の照度との比較分析のために,現地 確認と照度計による現地計測を東京,上海,蘇州,無錫, 常州,南京,杭州の各都市で2010 年 11 月,12 月および 2011年 9 月に行った。 (1)東 京 池袋のサンシャインビルから撮影した池袋駅周辺の市 街地の夜景をFig.35 に示す。駅周辺にはビルとネオン サイン,街灯,車のライト,住宅地の家の窓からの光が 示されている。 地上調査において,MODIS - DN 値推定画像で DN 値 が最も高い密集市街地である新宿歌舞伎町周辺(Fig.36) では,店の入口からの光やネオンサインの光が強く,照 度計測結果は,190lux以上の高い値を示した。 また,MODIS - DN 値推定画像上で新宿歌舞伎町周辺 よりもDN 値が低い東京世田谷区の桜上水駅周辺の商店 街(Fig.37)では,店の入口からの光は強かったが,ネ オンサインや高いビルが無いため暗い。さらに,桜上水 駅付近の住宅地(Fig.38)では,衛星の通過時刻の午後 9 時頃では家の窓からの明かりが確認され,街灯も30m に1本ほどあったが,照度計測を行ったところ,5 lux前 後の低い値が示された。 (2)上 海 上海の浦東地区の金茂大廈ビルからの夜景(Fig.39) では,ビル,街灯,車のライトの光を確認することがで きるが,住宅地の光を確認することは難しい。また, MODIS - DN 値推定画像上で DN 値が最も高い上海中心 部の南京東路の繁華街(Fig.40)では,店の入口からの 光やネオンサインの光は強く,照度計測を行ったとこ ろ,新宿の歌舞伎町周辺の照度と同じ190lux 以上の高 い値を示した。 一方で,南京東路から南西へ1.3km離れた黄浦区の小 さな家が集合する住宅街(Fig.41)では,街灯はほとん ど認められず,100m に 1 本程度であり,照度計測では 1 lux前後と暗かった。このように,OLSの 1 画素 4 km ×4 km の範囲内で同じ DN 値を持つ Fig.40 と Fig.41 の 地点では,照度に大きな差がみられた。 また,Fig.42 のような上海の徐汇区の市街地では,1 階が小さな店,2 階以上がアパートとして利用されてい 6. 2 MODIS データによる飽和 DN 値推定結果 東京都市圏と上海都市圏のMODIS - DN 値推定画像 (Fig.20およびFig.21)について,NGDC - OLSデータの 光分布画像(Fig.9およびFig.10)との間で,DN値の比 較を行った。その結果,両都市において比較画像間では 0.899 および 0.832 という高い相関がそれぞれ示された (Fig.24およびFig.25)。このことからMODIS−DN値推定 画像はNGDC - OLS データの光分布画像とほぼ同様の DN値の分布であることが示された。 6. 3 東アジアの都市間における MODIS データによる 飽和DN 値推定結果の比較 広域に分布する複数の都市へのELL 法の適用につい て,東アジアの都市間の比較によりELL 法による推定 の妥当性を評価した。 大阪,ソウル,蘇州,南京,杭州のMODIS−DN 値推 定画像をFig.26 から Fig.30 にそれぞれ示す。これらの 推定画像においても,ETM−DN 値推定画像結果と同様 に,人工被覆域の占有面積比率が高い地域ほどDN 値が 高くなる正の相関(R=0.682 ∼0.842)が示され,ELL法 は広域に分布する都市を対象としたMODIS データによ る光強度分布の推定への適用も可能であることが示され た。しかし,いくつかの地点で,NGDC - OLS データの 光分布画像とMODIS - DN 値推定画像間の DN 値に差が 大きくなるという結果が表れた。 6. 4 MODIS データによる飽和 DN 値推定画像の特徴 NGDC - OLS データの光分布画像と,MODIS−DN 値 推定画像の間のDN 値の差が大きい地点について,土地 被覆状況をMODIS土地被覆画像とETM土地被覆画像よ りそれぞれ判読して確認したところ,それらは都市内で, 公園や小河川あるいは海岸に隣接する市街地であった。 また,MODIS - DN値推定画像のDN値がNGDC−OLS データよりも高い地点の土地被覆を,両土地被覆画像 (Fig.31 および Fig.32)の比較により確認したところ, 前者は後者よりも,植生の被覆域面積が 1 %,河川の 被覆域面積が9.3%低く示された。さらに,密集市街地 の被覆域面積が10%以上高く示された。 次に,MODIS - DN値推定画像のDN値がNGDC - OLS データよりも低い地点については,同じく両土地被覆画 像(Fig.33 および Fig.34)の比較で,前者は後者よりも 市街地の被覆域面積が10%以上低く,逆に住宅地の被 覆域面積が10%以上高く示された。 以上のことから,MODISデータは,250mという空間 分解能の点で住宅地,農地,植生といった小規模な土地

(10)

が上海よりもMODIS - DN 値推定画像においてDN 値が 低い理由は,街路樹が大通りの街灯や車のライトから放 出される光を隠していることが考えられた。 (7)杭 州 中心街である上城区には,高層のオフィスビルや大規 模 な 百 貨 店 あ る い は 小 さ な 商 店 が 混 在 し て い た (Fig.48)。大通りの交通量も多く,街灯の数が多かった。 特に,ショッピングモールの近くの街灯が明るく,照度 計測を行ったところ70lux前後を示していた。 また,他の都市が街灯にオレンジ色のナトリウム灯を 使っているのに対し,杭州では白熱灯が多く使用されて いて,ナトリウム灯よりも照度が約10lux と低いため, MODIS - DN 値推定画像で実際よりもやや低い DN 値が 示されと推察した。 (8)主要都市の比較のまとめ 各都市のMODIS - DN 値推定画像と光の利用の特徴お よび照度計測の調査結果をまとめると以下の通りであ る。 (a)高層ビルから日本と中国の都市の夜景をそれぞれ 観察したところ,日本と中国の両方の都市で市街地のビ ル,ネオンサイン,街灯,車のライトを確認することが できるが,中国では住宅地で光を確認することは難し かった。 (b)中国の都市は日本に比べ,街路樹が多いケースが あり,街路樹が道路を覆い,上空への街灯や車のライト の光を遮っている可能性が推察された。 (c)MODIS - DN 値推定画像で DN 値が最大である日 本の新宿歌舞伎町周辺や中国の上海南京東路のような繁 華街では,ネオンサインの光が最も強く,照度計測結果 は両者とも最高で190.3luxの高い値を示した。 (d)MODIS - DN 値推定画像の DN 値と共に,照度計 の観測値が,東京と上海の都市の中心部において,他の る建物が多く見られ,このような地域では,1 階の店から の光で路上は明るい。しかし,街路樹が道路を覆い,上 空への街灯や車のライトの光を遮っており,MODIS - DN 値推定画像ではDN値が低くなることが推察された。 (3)蘇 州 蘇州の中心部である沧浪区は,Fig.43ようにほとんど が商店街であり,小さな商店と少し高層の百貨店などの ショッピングモールが密集しているため,ネオンサイン の光が集中する地域で,照度は上海の南京東路に近い 150lux 以上の高い値を示した。しかし他の都市の街灯 とは異なり,都市の中心では,Fig.44のような白熱灯が 使われており,この地域の照度は,35lux 前後と低い値 であった。このことから,MODIS - DN 値推定画像で DN 値が高く示された理由は,ショッピングモールのネ オンサインの光によるものと推察された。 また高層ビルや高層マンションからなる新市街が中心 街の外側の地域に広く分布し,ここでの照度は40lux 以 上の値であった。ここには街灯も多くあることから,中 心部ではないにもかかわらず,MODIS - DN 値推定画像 で光を確認することができた。 (4)無 錫 無錫の中心部の崇安区は,大型のショッピングモール が多く,百貨店,ホテル,銀行,オフィスビルなどもあ り, 密 集 市 街 地 と 市 街 地 が 混 在 し た 地 域 で あ っ た (Fig.45)。また,ほかの都市に比べ街路樹が少なく,そ れが街灯を隠すというような地域は少なかった。一方, ネオンサインなどの強い光を出す地域は少なく,Fig.45 のような市街地で照度計測を行ったところ,55lux 前後 の低い値であった。そのため,上海や蘇州よりも MO-DIS - DN 値推定画像で低い DN 値が示されたと推察され た。 (5)常 州 中心部の天 区では,他の都市に比べて,住宅地が多 い。その他に百貨店や小さな商店が並んでいたが,ネオ ンサインは見られなかった。また,大通りに街路樹はな く,街灯の光を遮るものはなかった。このことから,上 海や蘇州,無錫よりもMODIS - DN 値推定画像で低い DN値が示されたと推察された。 (6)南 京 中心部の白下区の密集市街地には,上海のように高層 のオフィスビル,大規模な百貨店が並んでいた(Fig.46)。 さらに百貨店のネオンサインが多く,照度計測を行った ところ,上海よりも低いが,最大で114.8luxの値を示し ていた。しかし,他の都市に比べ街路樹が多く,特に大 通りでも街路樹は多かった(Fig.47)。そのため,南京

Fig.18 MODIS Land cover

classification image of Tokyo and its sub-urbs

Fig.19 Relationship between

OLS digital number and percentage of artificial land cover area by MODIS data

(11)

Fig.20 An estimated image

of night lights distri-bution of Tokyo based on MODIS land cover data

Fig.21 An estimated image

of night lights distri-bution of Shanghai based on MODIS land cover data

Fig.22 Relationship between

OLS data estimated from ETM and MO-DIS data of Tokyo

Fig.23 Relationship between

OLS data estimated from ETM and MO-DIS data of Shanghai

Fig.24 R e l a t i o n s h i p b e t

-ween OLS data esti-mated from MODIS and NGDC-OLS data of Tokyo

Fig.25 Relationship bet-ween

OLS data estimated f r o m M O D I S a n d NGDC-OLS data of Shanghai

Fig.28 An estimated image

of night lights distri-bution of Shuzhou based on MODIS land cover data

Fig.29 An estimated image

of night lights distri-bution of Nanjing based on MODIS land cover data

Fig.30 An estimated image of night lights distribution of

Hangzhou based on MODIS land cover data

Fig.26 An estimated image

of night lights distri-bution of Osaka based on MODIS land cover data

Fig.27 An estimated image

of night lights distri-bution of Seoul based on MODIS land cover data

0 255(DN 値)0 255(DN 値) 0 255(DN 値)0 255(DN 値)

0 255(DN 値) 0 255(DN 値)

(12)

Fig.41 A picture showing

lights of Huangpu in Shanghai

Fig.42 A picture showing

lights of Xuhui in Shanghai

Fig.43 A picture showing

night view of Cang-lang in Suzhou

Fig.44 A picture showing

lights of Canglang in Suzhou

Fig.45 A picture showing

lights of Chongan in Wuxi

Fig.46 A picture showing

city lights of Baixia in Nanjing

Fig.47 A picture showing

lights of Baixia in Nanjing

Fig.48 A picture showing

lights of Shangcheng in Hangzhou

Fig.31 MODIS land cover

classification image of Taito area in Tokyo

Fig.32 E T M l a n d c o v e r

classification image of Taito area in Tokyo

Fig.33 MODIS land cover

classification image of Shibuya area in Tokyo Fig.34 E T M l a n d c o v e r classification image of Shibuya area in Tokyo

Fig.35 A picture showing

city lights of Ikebuku-ro in Tokyo

Fig.36 A picture showing

lights of Shinjuku in Tokyo

Fig.37 A picture showing

lights of commercial ar ea, Setagaya in Tokyo

Fig.38 A picture showing

lights of residential ar ea, Setagaya in Tokyo

Fig.39 A picture showing

city lights of Pudong in Shanghai

Fig.40 A picture showing

city lights of Nanjing Dong Lu in Shanghai

(13)

とその画像作成を行って,ETMやMODISデータを用い た場合と同様の推定が可能かについて検討を行った。 Fig.49に東アジアのOLS夜間原画像を,Fig.50に同範 囲のF - NDVI 土地被覆画像を示し,この土地被覆画像 から推定したF - NDVI データによる飽和DN 値推定画像 (以下「F - NDVI−DN 値推定画像」とする)を Fig. 51 に 示す。 東京都市圏および上海都市圏のF - NDVI−DN 値推定 都市に比べ著しく強い値を示していた。 7 F−NDVI データによる飽和 DN 値の推定結果 7. 1 F−NDVI データによる東アジアの都市の光強度分 布の特徴 多時期のF - NDVI データから作成された土地被覆分 類データ(以下「F - NDVI土地被覆画像」とする)を用い て,東アジアに分布する都市の夜間の飽和DN 値の推定

Fig.49 A nighttime lights distribution image of East Asia by OLS original data in 2005

0 255(DN 値)

(14)

それぞれの都市の夜間の飽和DN 値の推定とその画像を 作成し,ETM−DN 値推定画像および MODIS - DN 値推 定画像のDN 値との比較を行ったところ,ほぼ同様な光 強度分布を示していた。 このことから全球を対象に多時期で整備されている F - NDVIデータによる土地被覆画像から,全球レベルで 夜間の光強度DN 値推定画像作成の可能性が示された。 また,このデータは,推定したDN 値と光エネルギー値 の間の指数関数によりエネルギー値への変換が容易に可 能であり(Elvidge, 1999; Kohiyama, 2004),全球レベルで のエネルギー消費量の推定の可能性も示唆されたと言え る。 今後は,全球OLSデータの飽和DN値の推定とその画

画 像(Fig.52 お よ び Fig.53)と ETM - DN 値 推 定 画 像 (Fig.7 および Fig. 8 )ならびに MODIS - DN 値推定画像 (Fig.20 および Fig.21)とで DN 値の画素間での比較を 行った結果,F - NDVI - DN値推定画像とETM - DN値推定 画像の間では相関係数が0.756および0.824,F - NDVI - DN 値推定画像とMODIS - DN 値推定画像の間では,相関係 数が0.756および0.794であり,それぞれほぼ同様な光分 布を示した。これによりF - NDVI 土地被覆画像からも, 光の強度分布推定が可能であることが示された。 7. 2 グローバルの都市の夜の光の強度分布およびエネ ルギー消費量の推定についての展望 7.1 節の F−NDVI 土地被覆画像を用いて,東アジアの

Fig.51 An estimated image of night light distribution of East Asia based on F - NDVI land cover data

Fig.52 An estimated image of night light distribution of

Tokyo based on F - NDVI land cover data

Fig.53 An estimated image of night light distribution of

Shanghai based on F - NDVI land cover data

0 255(DN 値) 0 255(DN 値)

(15)

値推定画像を作成することができ,ELL法は広域の各都 市の光強度分布の推定へ適用が可能であることが示され た。 4)MODIS - DN値推定画像でDN値が高い地点は,現 地での照度計による計測でも高い照度を示した。しか し,中国の都市は日本の都市に比べ街路樹が道路を覆 い,上空への街灯や車のライトの光を遮っている可能性 が推察された。 5)時期違いのF - NDVIデータから作成されたF - NDVI 土地被覆画像より東アジアの飽和DN 値を推定し,その 画像を作成することができたことから,本研究の手法を 適用することで全球レベルでの光強度飽和DN 値域の推 定とその画像作成が可能であることが示された。また, この結果により,F - NDVI - DN 値推定画像からエネル ギー消費量を算出することの可能性が示唆された。 謝辞 本研究のOLS データは農林水産省データーベースシステ ムSIDaBライブラリより提供を受けた。農林水産研究情報総 合センターの永谷泉氏に謝意を表します。また,中国の現地 調査では上海の華東師範大学の鄭祥民教授,立旻周准教授, 方芳氏および沈冶氏らの協力を得た。ここに深く感謝いたし ます。 像作成をF - NDVI 土地被覆画像より行い,実際にDN 値 からエネルギー値を算出し,全球レベルでのエネルギー 量推定結果の検討が必要である。 8 結 論 本研究では,土地被覆分類情報を参照して,都市域の OLS データの飽和域の DN 値の推定を行う ELL 法を新た に提案し,実際にETM,MODIS,F - NDVI データを解 析した土地被覆分類データより,夜の光強度DN 値推定 画像を作成し,その妥当性について評価を行った。得ら れた結論をまとめると以下の通りである。 1)ETM データの光放出人工被覆域の占有面積比率と OLS 原データの DN 値の間には高い正の相関があり,線 形回帰として表わされ,この関係より,東アジアの各都 市の夜間の光強度飽和DN 値域の DN 値の推定とその画 像を作成することができた。 2)東京都市圏および上海都市圏の MODIS - DN 値推 定画像およびETM - DN 値推定画像と NGDC - OLS デー タの光分布画像間でDN 値を比較したところ,高い正の 相関が示された。 3)MODIS - DN値推定画像から東アジアの光強度DN 国際連合統計局(2005):商業エネルギーの生産,貿易およ び消費,世界統計年鑑・2001,48,株式会社 原書房, pp.84−613. 中山裕則他(1983):宇宙からみた夜の光分布にみる世界の 経済傾向,地理,28(8),1983,pp.94−103. 中山裕則他(1993):DMSP 全球夜間映像の作成と夜の光分 布に関する地理学的考察,日本リモートセンシング学会 誌,13(4),pp.1−14.

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Table 1    Characteristics of DMSP F15/OLS observation
Table 3 Used ETM and MODIS data Satellite/sensor Year/month/day Area
Table 6  Land cover classification items for the estimate of  night light intensity DN value
Fig. 4    Nighttime lights dis- dis-tribution of Tokyo by  OLS  data  on  Nov.1,  2005

参照

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