奈良教育大学学術リポジトリNEAR
奈良県における過疎と過密
著者 西田 和夫
雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要
巻 14
ページ 107‑118
発行年 1978‑03‑25
その他のタイトル On Underpopulated and Overpopulated Areas in Nara Prefecture.
URL http://hdl.handle.net/10105/6402
‡
、宗良県における過疎と過密
‡
西 田 和 夫
(地理学教室)
1..全国の過疎地域
全国農業構造改善協会「過疎地域問題調査報告書」によると、人口論的過疎地域(昭和35一同 40年間、減少率10%以上)の、全国における過疎町村の総数は約936で、全国市町村数の26%に あたる。過疎町村の人口は全国総人口の約10%であるが、その面積は約36形を占めるから、過疎 町村のもつ資源上の比重は大きい。例えば、過疎町村の耕地面積は全国総数の約19.4%、林野面 積は全国総数の約40%にのぼっている。
過疎町村を経済地帯別にみれば、その過疎率(過疎町村/市町村総数)は、近郊農村は2.8彫、
平地農村12.5%、農山村33.8%、山村は50.9%である。近郊農村や平地農村にも過疎町村がある が、過疎地域は農山村、山村が計84.7%を占め、過疎問題は山村に集中している感がある。従っ て人口が激減する山村において、自然の保全や山村の基幹産業の農業・畜産・林業についての問 題が大きい。
過疎町村をブロック別にみれば、南九州の55.7%が最多、ついで四国・山陽・山陰の40%台が 高率で、九州山地・四国山地・中国山地など西日本の過疎化の進行が著しい。これに対し近畿・
中部・関東の中央日本の過疎化は最低である。西南日本の過疎の激しさに対比される東北日本は、
かなりの過疎率で中央日本よりも高い。過疎は人口流出と挙家離村を要因とするが、東北日本は 人口流出が多くとも挙家離村ではなく長期出稼である。中央日本とくに関東の過疎率の低いのは 平地農村が多く、挙家離村や長期出稼ではなく、通勤兼業農家が多いことによる。ブロック別の 過疎率は雇用労働市場を拡大している都市との関連に左右されていることが大きい。
「過疎地域間題調査報告書」は町村を構成している集落についても調査している。これは人口 論的過疎が町村単位で過疎を分析しようとしている方法論がもつ欠陥をなくすことに役立つから である。この調査は昭和35〜同40年間に15%以上の人口が減少した338町村につきアンケート調 査、250町村からえた回答を整理したもので、その要約は以下のごとくである。
(1)250町村の集落数は7,600である。
(2)町村単位の人口減少率15%以上の250町村において、7,600集落の人口減少率はそれと一致 した人口減少率の町村はなかった。人口増集落293もあり、減少率10%以下3,228,10−25%
3,115,25−50%823,50%以上の集落141であった。
(3)人口減少率31%以上の集落には「ダム・道路工事の終了」や「炭坑の閉山」などを減少の
‡ 0n U皿derpop㎜1ated a11d Overpop㎜1ated Areas m Nara Prefect凹re
‡■Ka2山。 Nishida(DepaI・tment of Geogr岬hy,Nora U皿iwersity of Ed凹。atio皿,N3ra)
原因とするもの多く、減少率20%以下では、「農業の将来性がない」・「農業より有利な仕事 がある」・「生活・教育に不便」などの理由が多い。21〜30%は前述の偶然的な理由と経済的な 理由がほぼ相なかばしている。
14)人口減少率の高い集落においては非農家人口の減少率が高く、人口減少率の低い集落にお いては農家人口の減少が目立っている。
(5)人口減少率が高い集落では農地の%一%しか耕作されていない。しかし5年間に.人口車0%
以上も減少しながら農地の75%以上も耕地として利用している集落は、30%以上の減少率の集 落のうち40%もある。
16)農家人口減少率26%以上の集落では、農地の75%以上を耕地として利用している集落が11 %しか存在しない。
(7)人口減少率が高い集落はど「バス路線の廃止・削減」・「商店の減少」・「医師の離村」
が多い。
これらの要約は人口減少率の高い集落がすべて過疎集落とすることはできないことが分孔 「 ダム・道路工事の終了」や「炭坑の閉山」などが要因となっている集落が多いからである。この ような要因によって減少する人口が非農家人口であることは言うまでもない。人口減少率が高い 集落で農業生産の悪化は著しい。また村落生活への悪影響も激しくなってくる。とくに注目すべ きは、町村単位の人口減少率だけでは過疎の実態を具体的に捉えることはできないもので、集落 単位の人口減少率によって過疎地域の発見を補うことが必要である。ことに町村単位で人口減少 率15%であるにもかかわらず、その中の集落には人口増加の集落があること、ことに250の過疎町 村の7,600集落のうちで290の集落が人口増加している。平均すればどの町村にも一つの集落は人 口が増加していることになる。これは過疎町村の中において中心集落に人口が集中し、中心集落 が発展していることを示している。
とにかく人口・戸数が減少することは過疎集落となる最主要の条件である。
2.奈良県の過疎地域と過疎対策
表1 奈良県市町村別人口および人口増加率(%)
件 名
@ 調 命命 事
S 項
シ 町村名
国書…層蛮人口 セ401^〕昭451B1曜501C〕
増加酬△減)
レ/^ C/目C/^ 国勢調査人口
セ州^〕昭伽B〕昭50(C〕
増加率(△減)
冝^^ C/日C〈
奈 良 市 160,641
208,2㏄ 257,543
29.6 23.7 60.3 高取町 9572 9,413 9194△1.7 △2.3 △3.9
大和局田市 47,371
53、柵
58,638 12.9 9.7 23.o高市郡
明日香村 6,743
6573 6、 9△2.5
1.2△1.4
大和郡山市 45,765 57,456 71,008 25.5 23.6 55.2
計
10315 15,9㏄ 15043△2.0 △0.9 △2.9
天 理 市 54.169 57020 62,907 5.3 10.3 16.1 新庄町 10,871 12915 15480 18.8 19.8 42.4 標 原 市 57,㏄5 75,500 95697 32.3 26.7 67.7 当麻町 8,㎝4 8,516 10209 5.9 19.9 26.9 桜 井 市 49,939 52.001 54,313 4.3 4.3 8.8 香芝町 17484 21,205 26,583 21.3 25.4 52.0 五 条 市 32840 33,73734,126
2.7 1.2 3.9 上牧町 4,〃0 4,483 11489 5.0 150.3 169.工 御 所 市 35,788 35,98737,555
o.6 4.4 4.9 「寺町 11849 14,783 16333 2 .8 10.5 37.8 生 駒 市 28,511 3555040,845
24.7 37.4 71.3 広陵町 16936 17355 17.g84 2.5 3.6 6.2 市 部 計 512089 609080 720632 18.9 18.3 40.7 河台町 6717 7,693 12077 14.5 57.0 79.8添上部月ヶ瀬村
R 都耶村
2.355 T,410
2,1 2 T.23
2.132 T,370
△9.o
「3.3
△0.5
@1.5
△9.5
「o.7
計
g野町
76.171
P7625㏄、950
P6仙9110.155
P583814.2
「6.8
26.7
「3.5
.6
「10.1
辺郡 山添村 6,416 5970 5884
△6.8 △1.6 △8.3
大淀町 15614 15930 16059 2.0 0.8 2.9計
11,826H,212 11,舳 △5.2 △0.2 △4.8
ド市町 13709 12,725 12080△7.2 △5.1
△11.9奈良県市町村別人口および人口増加率(%)
件 名
@ 調 査市 事部 項名 町村名
@ 平群町
国書調査人口
増加率(△減)
国勢調査人口 増加率1△減〕昭401^〕
@6,408 明州B〕
@7099 昭501Cj@11706
日/^
Q3.3 C/目
S0.2
C/^
W2.7 黒滝村
明州^〕
@2,343
昭45/目〕
@2009
昭50(C〕
@1845
日/^
「14.3 C/目
「8.2
C/^
「21.3
二郷町 O,061 10023 13773 24.3 37.4 70.9
西吉野村
6970 6156 5492 △11,7 △10.O △21.2生駒郡
斑鳩町 13,115 16092 20739 28.O 22.8 50,1 天川村 4.559 4,040 3655 △11.4
△9.5
△19.8安堵村 5003 5321 5775 6.4 8.5 15.4
野迫川村
1,982 1,405 1285 △29.1△8.5
△35.2計
32587 40135 51,993 23.2 29.5 59.6吉野郡
大塔村 2312 1653
1η
△28.5 △22.9 △ .9川西町 6255 6,269 7492 0.2 一9.5 19.8
十津川村
10776 8,502 80碗 △21.1△4.9
△25.O二毛町 5363 6430 7854 19.9 22.1 46.4
下北山村
3188 2360 2050 △26.O △13.1 △35,7磯城郡
田原本町
2015020,980 25,555
4.2 21.8 24.6上北山村
2007 1717 1463 △14.4 △14.8 △27.一計
31768 33687 409㎝ 6.0 21.4 20.7 川上村 7165 6,020 5173 △16.O △14.1 △27.8大字陀町
11221 1093010,棚 △2.6 △o.9 △3.5 東吉野村
8187 7028 6,252 △14.2 △11.0 △23.6菟田野町
6392 6,344 0031△0.8 △4.9 △5.6 計 ㏄,437
8596480,552
△10.9△6.3
△16.5榛原町 12,707 12950 12046 1.9
△o.8
1.1 2.3 11.1 13.7字陀郡
郡部計
313,876 321,080 356,831
室生村 O,426 7739 7560
△8.2 △2.3
△10.3曽薗村 3,512
ヨ109
3144△9.2 △1.4
△10.5御杖村 4159 3852 3,592 △7.
△6.9
△13.6 合 計825.965 930,160
1,077,463 12.6 15.O 30.4計 46,〃
45.004 ,o01△3.0 △2.2 △5.2
奈良県
生駒郡
●平群町
②三郷町
③斑鳩町 0安土者村 北葛城郡
0王寺町 0河合町
⑦香芝町
○上牧町 0広陵町
●当麻町
●新庄町
磯城郡
●川西町
●三宅町
●田原本町
生 月ふ、\
市 奈良市 添村
山名郡
£駒簿 琵
.o o 天理市 村
芸鰐鱗 榛原町奪竜、
諾も凄桜井市気宇榊篭三村
・●市 字亮田野町
大和高田市 明日香村 陀
嵩市郡 町
御所市高取
大淀町ノ吉野町 東吉野村
五条市下市町 黒滝村1 川上村
。一・ .へ.一一・
西吉野村ノ土 = 4!
。 ・・ 天川村 卜 、
イ
大塔村 野、 上北山村 野迫川村 !.■I
郡 1.!\、..、
・.下北山村 十津川村
図 1
過 疎 地 域 指 定 町 村
過疎地域 図1のとおり過疎地域対策緊急措置法に基づき公示された過疎地域は荒田野町をはじ め11町村、法の要件が充足されない十津川村・上北山村・下北山村・月ヶ瀬村の4村についても、
県過疎地域対策要項を策定し、県単独の諸措置を講じている。表1に県下市町村の昭和40〜同45 年、同45〜同50年の人口およびその増減率を示した。 (表1・図1)
過疎地域町村は合計15で全県の%、人口約6.2万で同6%、しかし面積約2,340㎞!で同63%にお よぶ。過疎のもっとも著しいのは大塔村で、ついで下北山村・野迫川村・川上村・上北山村など 吉野郡の諸村、また宇陀郡御杖村・曽爾村なども過疎が著しい。 (表1)そこで以下大塔村・天 川村・黒滝村(以上吉野郡)および宇陀郡の両村について実情をみることにする。
大塔村では猿谷、猿谷ダムおよび中峰3集落(大字)の挙家離村がある。前2者は猿谷ダムの 完成により、中峰は舟ノ川沿いの不利な環境のため離村したものである。小代・簾・中原・同開 拓・阪本などもダム湖との関係で減少率が大となった。これに対し、国道168号線に沿う宇井は 中心集落として人口の集中をみている。 (表2・図2)
表2 大塔村大字別人口増加率
人 口 人rコ増加率(△減) 人 [.] 人口増加率(△減)
大字 大字
35.5㈹ 46.劉B〕 50.1αO B/A C/B C/A
35.5㈹
46.8個)50.1似
B/A C/B C/A辻 堂 293 210 170
△28.3 △19.O △42.O 中井傍示
139 58 34△58.3 △41.4 △75.5
殿 野 104 67 45
△35.4 △32.8 △56.7
惣 谷 263 153 89△41.8 △41.8 △66.2
閉 君 95 48
51 △49.5 6.3 △46.3
篠 原 389 171 139△56.O △18.7 △64.3
字 井 196 188 217 △4.1
15,4 10.7
小 代 120 3ε 26△68.3 △31.6 △78.3
猿 谷 62 0
O △1①O1O O △100.0
阪 本 350 229 1狐△34.6 △36.O △62.3
堂 平 93 50 40
△46,2 △20.O △57.0
天 辻 221 107△51.6
飛養曽 lOl 65 43
△35.6 △33.8 △57.4 簾
190 60 43△68.4 △28.3 △77.4
弓1土 131 69 62
△47.3 △10.1 △52.7
中 原 143 42ド △70.6 △41.9 △69.9
清 水 64 44
ド
△31.2 △27.8 △38.O 中原開拓
52 32△38.5
赤 谷 28 35
25.O 獲谷ダム
400
0△100.O
0△100.O
中 峰 76
5 O △93.4 △100.O △1OO.O 計 3,150 1,671 1,274
△4710△23.8 △59.6
浩 村、.
N 黒 ・一ノー
感∴∵ニア1姦ン∴
蓬 眺てでノー一。潴忠評 管11
μ _肯/烹〆ふ砒 雌榊 ブ
/戸 ト淳、.1村 4 ・■1 腕 岳
㍗ノノ ]一㌧生ユン〉、ヂ
!』1図・大塔村の集落位置 大\/塔 し・一バ・1・1減一ノ村
㌻1仏脇 図3 天川村の集落位置
表3 天川村大字別人口および人口増加率
人 口 人口増加率(△減) 人 口 人口増加率1△減〕
大字 40.10.1 45.7.31 50.10.1 大字
B/A C/B C/A 40.10.1 45.7.31 50.10.1
ω 固
o㈹ ⑭
o B/A C/B C/A洞 川
1,417 1,378 1,213
△2.8△I2.O △14.4
栃尾 264 274 2323.8 △15.3 △12.1
北角 120 58 74
△51.7 27.6 △38.3
和田 185 144 133 △2212 △7.6△28,1
中越 126 112 103
△11.1
△8,O△18.3
篭山 55 54 43 △1.8△20.4
△21.8川 合 277 267 239 △3.6
△10.5 △13.7
庵住 97 101 764.1
△2418 △21.6沖金 137 122 116
△10.9
△4.9△13.3
山西 lO1 106 855.O △19.8
△15.8中谷 244 242 201 △0.8
△16.9 △17.6
広瀬 117 113 64 △3.4△43.4
△45.3沢原 137 98 140
△28.5
42192.2
滝尾 124 4 △66.7
.o △66.7北小原 17 23 19
35.3 △17.4 11.8
塩野 303 242 146△20.1 △39.7
△51.8五 色 80 72 56
△10.O △22.2 △30.0
塩谷 64 60 17 △6.2△71.7
△73.4南日裏 311 285 243 △8.4
△14.7 △21.9
南角 39 43 251O.3 △41.9
△35.9坪内 310 316 298 1.9 △5.7 △3.9 沢谷 28 29 36
3.6 24.1 28.6
一 . 一 1 l I・1.. 1 一 一 I 一 、
九尾 113 108 92 △4.4
△14.8 △18.6 計 4,554 4,251 3,655
△6.7△14.O
△1917天川村でも、上記猿谷ダム湖の影響をうける塩谷・塩野両集落の減少率が大である。本村有数 の大きい集落で修験道大峰(山上ヶ缶)登山の基地洞川でもかなりの人口減をみた。もと村役場 所在地南日裏は役場の移転とともにかなりの減少率を示し、役場と合せて山村開発センターが設
けられた沢谷は大きな増加率となっている。 (表3・図3〕
、
黒滝村では最奥地の鳥住集落が著しい過疎を示したが最近は安定している。中心集落中戸も隣 接の寺戸とともに減少傾向であるが、村西端の桂原は309号線の国道昇格にともない最近は微増 することになった。 (表4・図4)
表4 黒滝村大字別人口および人口増加率
人 口 人口増加率(△減〕
大字
35.10.1
昭蝸B〕 50.10.1
ω 1◎ B/A C/B C/A
寺 戸 425 310 319
△27.1 2.9 △24.9
中 戸 561 356 297
△36.5 △16.6 △47.1
桂 原
,66 ]08
Iu△34.9 2.8 △331一
長 瀬 225 168 148
△25.3 △11.9 △34.2
笠 木 234 138 127
△41.0
△8.0△45.7
赤 滝 424 267 243
△37.0
△9.0△42.7
腕 川 203 143 135
△29.6
△5.6△33.5
粟飯谷 230 151 135
△34.3 △10.6 △4I.3
横 尾 174 130 111
△25.3 △14.6 △36.2
島 住 工41 67 75
△52.5 11.9 △46.8
堂 原 136 121 106
△11.0 △12.4 △22.1
御吉野 59 50 38
△15.3 △24.0 △35.6
計
2,978 2,009 1,845 △32.5
△8.2△38.①
ハ㌧
1全任γ\
/扇谷ノ槙尾 、
!/
嚴寥ヒ脇 \ノ 曇堂原 川
㌧長 一歩滝 、 瀬 中戸 = 1
ノ桂 、 1原 /・一、1
1笠 _∫^/\
v木 r. 0 2㎞
\. .ノ 』__ ■ 、I,I\プ
、
図4 黒滝村の集落位置
表5a 御杖村大字別人口および人口増加率 表5b 曽繭村大字別人口および人口増加率
人 口 人口増加率(△減〕 人 口 人口増加率1△滅)
大字
40.10.1
50.lO.1 大字昭44⑱ B/A C/B C/A
40.10,1
昭44⑰50,10.1
㈹ lO ㈹ 0 B/A C/B C/A
神末
1,568 1,608 1,472
2.6 △8.5 △6.1 山泊 566 577 448 1.9△22.4 △20.8
菅野
1,290 1,244 1,077
△3.6△13.4
△16.5 掛 258 262 266 1.6 1.5 3.1土屋原 771 740 653 △4.0
△ll.8
△15.3 長野 407 422 3673.7 △13.O
△9.8桃俣 530 519 390 △2.1
△24.9 △26.4
小長尾 256 255 218 △O.4△14.5 △14.8
計 4,159 4,111 3,592
△1.2△12.6 △13.4
今井 430 405 410 △5−81.2
△4.7塩井 284 267 234 △6.O
△12.4 △17.6
6曽 十
太良路葛
211321 205317 267204 △2.8 △0.5 △3.3△1,2△15.8 △16.8
鯛見
〆J 繭菖太良路 伊賀見 779 774 730 △O.4 △5.7 △6.3
㌧ 今井ノ小島屋 .
計 3.512 3,484 3,144
△O.8 △9.8△lO.5
く曽 十
伊賀見
rJ 繭菖太良路
㌧ 今井 /小長尾 r
1鴛鮒 〆
グノノ11
茶m静神末
上 . ノ 土屋原
、r
\ 御 杖村
\ \
図5御杖村・曽繭村の集落位置
宇陀郡御杖村は全集落とも過疎が著しく、隣接の三重県一志郡美杉村(昭和45〜同50年に8.5
%減は南牟婁郡紀和町13.5%につぐ減少)をこえる減少率である。曽爾村もかつて全集落ともに 減少したが、最近は中心部の今井、交通の要点掛の両集落は安定をみている。 (表5・図5)
過疎対策 県過疎地域対策要綱に基づき、例えば野迫川村については、
(1〕都市との交通、情報ネットワークの形成のため、都市に積極的に働きかける条件整備を行 う。 (2)山村の特性を生かした個性ある開発。(3)住民参加による開発。 (4)若い人材の 教育と活用。(5)社会福祉・教育文化の振興。(6)産業基盤の整備と開発等を目指している。
これに応じて、例えば大股地区でのワサビ作りがある。同地の篤農家下氏が昭和46年以降静岡 県農業試験場ほか各地を訪問、48年以来本格的なワサビ田作りを行った。49年作付し、50年に初 収獲をあげ、時に台風などでワサビ田が流されたこともあったが、現在は4か所2,300m王に拡張
し、地区住民も協力している。
同じ大股地区でアメノウオ(アマゴ)の養殖がある。水温12〜13.Cの清流に適し、45年大股 に養魚場が設けられて地区住民に委託。16戸が協同で養殖を行い、現在15万匹の生産があり、主 として京阪神地方に出荷。最近「大股養魚生産組合」として法人化、年間30万匹の生産を見込ん でいる。
上北山村白」11地区でもウナギの養殖がある。47年にはじめ、50年から本格的生産に改組んでい る。現在は上北山村・下北山村・熊野市の旅館向けであるが、将来は関西一円に販路拡張を見込 んでいる。
大塔村阪本地区では観光開発を計画。損保谷からわき出る冷泉を活用して温泉づくりを進めて いる。過疎防止を目指して53年度には具体化する見通しである。野迫川村北今西地区でも冷泉が 最近発見された。
3.奈良県の過密地域と過密対策
過密地域 奈良県は近畿圏の中心大阪の近郊として昭和40年以降人口急増し、同50年国調では45 年比15.8%の増加をみた。 (表1)この増加率は首都圏の埼玉・千葉・神奈」llにつぐ全国第4位 である。これは住宅地開発にともない他府県からの転入による社会増加が要因となっており、45 年以降の社会増加は年平均1.9%で、一方自然増加率は年1.2%前後となっている。
地域別には大和平野地域に著しく(図1)五条市以外の8市14町、安堵・明日香2村の地域で ある。これに対し、吉野山間地域・大和高原地域では増加が鈍化し過疎化の傾向であることは前 項にみたとおりである。
将来の適正人口について壮、
(1)文化財・自然環境の保全。(2)公園・緑地等「緑空間」の確保。(3)水資源の開発、
地下水の有効利用・再利用等考慮。 (4)農地一食糧の確保。 (5)生活環境一水質汚濁等の公 害防除一五条市と吉野3町・宇陀3町の公共下水道および流域下水道の整備を促進して、
昭和60年までに社会増17万人、自然増は1.2%として13万人、結局昭和60年県人口は143万人、う ち大和平野で122万人と見込まれる。なお75年までにはさらに社会増9〜16万人、自然増28〜31 万人とし、75年県人口は180〜190万人と推定される。
大和平野で過密の著しいものは(表1)市部では生駒市を最大として、橿原市・奈良市・大和 郡山市などがあり、郡部では上牧町が最大で、平群町・河合町・三郷町・斑鳩町・香芝町などが ある。以下地域的配列を考慮して、奈良市・生駒市・大和郡山市・橿原市・香芝町の順にその実 情を述べることにする。
奈良市では大阪に最近接する富雄地区の著増をはじめ、平城・伏見両地区など市の西部に増加 率が高い。隣接の京都府相楽郡精華町(最近5か年間に27.1%増)・木津町(同10.8%増)とと
もに発展をみている。 (表6・図6)
表6 奈良市地区別人口および人口増加率
昭40人口 昭45人口 昭50人口 人口増加率(△滅〕
地区別 ㈹ 固 0 B/A C/B C/A
椿 井
6,456 5,513 4,619
△14.6 △16.2 △2815飛 鳥
16,317 16,713 17,547 2.4 5.O 2.5
鼓 阪
12,079 11,437 10,453
△5.3 △8.6 △13.5済 美
16.341 17,286 17,227 5.8
△O.35.4
佐 保
19,163 18,966 18,876
△1.O △0.5 △1.5大 宮
10,829 lO,547
n,219 △2.66.4 3.6
都 跡
11,433 17,046 23.596 49.1 38.4 106.4
大安寺
3,480 4,836一 7,182 39.0 48.5 106.4
束 市
4,919 5,462 6,955 11.0 27.3 41.4
半 城
6,401 7,635 ニュ11,370
■タ6,807ウン19.3 140.5 184.O
辰 市
2,565 3,670 6,447 43.1 75.7 151.3
精 華
1,514 1,415 1,355
△6.5 △ 4.2 △lO.5箒 解
3,399 3,946 4,060 16.1 2.9 19.4
期 治
2,146 3,071 4,582 43.1 49.2 113.5
富 雄 gJ41
19,634 美18,502 28.020
P圧@21,03∪117.2 136.9 416.1
伏 見
8,096 16,572 I04.7 26.9 159.8
あやめ池
3.963 4,979 5,404 25.6 8.5 36.4
学 園
13,627 31,234 23,295 129.2
△25.470.9
出 原
2,867 2.737 2,650
△4.5 △ 3.2 △7.6柳 生
2,096 1,888 1,869
△9.9 △1.O △10.8大柳生
1,799 1,726 1,724
△4.1 △0,1 △ 4.2束 里
1,257 1,163 1,158
△7.5 △ O.4 △ 7.9狭 川 853 770 772 △9.7
O.3
△ 9.5合 計
160.641
208,246Q57,553
一一■29.6 23.7 60.3
ホ特別地区824を含む十
富雄 平城
1日奈良市
挟川
鯉O大目。生O
6ト
㌧伏見繊 。ノ
と 安一 一 束山1
\ 聯一 Q針
息QΩ㌣ポ}㍍梱脇
〆
2,ooo一
鰯 1,000−2000 500一,ooo 望50〜 500 0− 250
昭 40 一昭 45 昭 50 人口増加率(△減〕
地区 国調㈹ 国調⑭ 国調。
B/A C/B C/A
中央部
8,404 12,770 15,743 52.O 23.3 87.3
中西部
6,015 9,680 13,370 60.9 38.1 122.3
北 部
5,301 5,349 6,019 0,9 12.5 13.5
中東部
4,167 2,347 6,180 △67.3 163.3 48.3
南 部
4,624 5,404 7,533 16.9 39.4 62.9
■ ■ 一 1 .
計
28,511 35,550 48,845 24.7 37.4 71.3
幣I矧
照
州1111拙1 一
茎 国
一2000 2000−1000 1000−500 500−250 250山 図一もの。
奈良市大字列(1日奈良市街地域を除く)
人口密度図(1965年)
生駒市は中西部と中央部が従来から増加著し一く、ついで最近は南部および中東部の発展がめざ ましい。43年にはすでに東生駒駅の設置があり、46年には市制あ実施をみることになった。(表
7 図7) ぺ.
i、
表7 生駒市地区別人口および人口増加率 . ・ 一 \.
〕、 ノ ヂヘ 1西東、硲享〆
峻艀・ミL書㎞
4 ■ 南部 一
、・. ・
表8 大和郡山市地区別人口および人口増加率
昭 4① 昭 45 昭 50 人口増加率1△減〕
地区 国調㈹ 国調⑰ 国調10 B/A C/B C/A
郡 山
23,152 24,592 24,200 6.2
△1.64.5
治 道
3.064 2,934 3,339
△4.213.8 9.0
矢 田
2,707 4,130 9,404 52.6 127.7 247.4
片 桐
7,944 12,320 16,515 55.1 34.1 107.9
筒 井
1,924 3,098 4,090 61.O 32.O
11216甲 和
2,555 4,972 6,715 94.6 35.1 162.8
昭 和
4,419 5,410 6,745 22.4 24.7 52.6
.計
45,765 57,456 71,O08 25.5 23.6 55.2
図8 大和郡山市地区配置 大和郡山市は住宅地を中心として矢田地区に増加が著しく、筒井地区は昭和工業団地を中心に 発展したもので、1日城下町郡山地区を取囲む地域に人口増加が著しい。 (表8・図8)
橿原市でも1日寺内町今井地区と八木地区を囲んで、東に耳成、西に真菅、南に畝傍各地区の発 展がめざましい。いずれも住宅地の発展によるもので、畝傍地区などは隣接明日香村境まで一帯 の住宅建設がみられる。 1表9・図9)
表9 橿原市地区別人口および人口増加率
昭 40 昭 45 昭 50 人口増加率1△減〕
地区 国調ω 因捌B〕 国側O
B/A C/B C/A
八 木
9,803 9,481 9,118
△3.3 △3.8 △7.0今 井
4,790 4,669 4,529
△2.5 △3.0 △5.4多
9461,592
事68.3
■ 一献 傍
14,608 20,482 28,075 40.2 37.1 92.2
金 矯
4,764 6,174 7,284 30,O 18.O 52.9
新 沢
3.650 5,361 5,864 46,9 9.4 60.7
耳 成
6,759 ll,900 18,711 76.1 57.2 176.8
貞 蒼
5,861 9,855 15,848 68.1 60.8 170.4
鴨 公
3,265 3,759 3,953 15.1 5.2 21.1
香久山
2,6I9 2,235 2,315 △一4.7 3.6
△u16計 57,065 75,508 95,697 32.3 26.7 67.7
図9 橿原市地区配置 2㎞
*多地区は貞菅・耳成に含む
表10 香芝町地区別人口および人口増加率
昭 40 昭 45 昭 50 人 口 増 加 率
地区 3月人口㈹
3バ人1.」lB
国訓OB/A C/B C/A
五位堂
3,928 5,024 7,348 27.9 46.3 87.1
F 出
5,167 6,004 7,667 16.2 27.7 48.4
ヒ
5,217 6,004 7,843 15.1 30.6
5013.志都美 2,558 2,944 3,725 15.1 26.5 45.6
針 16,870 19,976 26,583 18.4 33.1 57.6
図10 ℃ナ町地区配置
さらに町として最大の規模をもつ香芝町は、五位堂・二上両地区の増加が著しい。これらを中 心として60年代後半には10万人都市として発展する見込みである。 (表10・図10)
過密対策 県では上述のごとく昭和60年の人口を143万人と推定(計画)したが、現在の住宅建 設状況、今後の開発計画などによる将来人口は推定人口を上廻る増加が判明した。このままでは 上水道、下水道、学校、道路など生活環境の整備計画が追いつかない恐れがあり、人口急増にブ レーキをかける対策を迫られることになり、今後は大規模開発を認めず、市街化区域をふやさな い、などの検討を始めた。
県では35年6月から52年5月末までの17年間に完成した3,000m!以上の住宅開発状況と、現在 の開発計画から将来人口を推定した。それによると、造成中を含めた開発面積は4,190ha,136,
500戸。年平均にすると246haと、ほぼ西大和ニュータウン並みの団地が、毎年ふえ続けている 計算になる。とくに大阪のベッドタウンとして大和平野の近鉄・国鉄沿線の開発がめざましく、
すでに77,000戸が入居ずみである。
さらに開発が計画されているのは2,300ha,53,800戸。このうち20ha以上の大規模開発は、南 大和団地506ha(五条市牧野地区など〕、吉野ニュータウン251ha(吉野郡大淀町薬水)、旭
ヶ丘団地117ha(北葛城郡香芝町逢坂)、白」l1台団地104h3(奈良市虚空蔵町)、奈良阪団地 100ha(奈良市奈良阪町)など26か所となっている。
これらの開発による60年までの人口増は、県の試算では19万2千人。これ以外に、3,000耐以 下の小規模開発と出生などの人口の自然増が12万人とみており、合計31万2千人となる。52年9 月1日現在の県人口は112万4千人なので、60年人口は143万6千人と、計画人口を上廻るテンポ で人口がふえ続けると推定している。計画人口は、上下水道や道路網など生活環境の整備面から 設定しており、現在計画されている開発面積だけで計画人口をオーバーする見通しである。この ため、新たな大規模開発は認める余地がなくなったとの判断である。
奈良市北部の京都府境についての例をみると、ここでもすでに工事を開始したものは平城ニュ ータウンなど大団地計画が4件、開発面積計887h8、完成後の推定人口9万3千人の大規模ベ ッドタウンとなる。下水・汚水・雨水などは京都府側の木津川へ、そのため奈良側が京都府側の 山田川と支流の改修費を負担することで合意が成立した。
生駒市では児童生徒の急増にそなえて5校園を52年9月中に新増築着工した。新設するのは中 西部(生駒駅の北)に俵口切と俵ロノj\中東部(菜畑)に緑ヶ丘中、増築は北部(上町〕の真弓 小と中央部(山崎)の生駒小、および北部(高山)の生駒北中である。
また給水人口増で、水道事業として井戸掘り作戦を開始、北部(上町)に55−57年度にかけて 浄水場を新設する計画で、一日8千トンを供給するため富雄川周辺に井戸7本の堀さくを始めた。
さらに奈良市生協マーケット生駒店(第2号店)を生駒駅北側の東松ヶ丘に最近開店した。
以上のように生駒市でも住宅、人口の急増にそなえて種々対策が講ぜられているところである。
参考文献・資料
奈良県企画部調査課 国勢調査資料・推計人口表
関係市町村統計
三省堂編修所編 京都・奈良地名小辞典 三省堂 昭和52年 菊地利夫編著 過疎と森林の生態学 水利科学研究所 昭和46年 奈良県 過疎地域振興方針〔後期〕
奈良県 過疎地域の町村に協力して講じようとする措置の計画〔後期〕
西田和夫 過疎地域吉野郡大塔村の実態と動向についての地理学的研究 奈良教育大学教育研究 所紀要第8号 昭和47年
西田和夫 過疎地域吉野郡天川村の実態と動向についての地理学的研究 奈良教育大学教育研究 所紀要第7号 昭和46年
西田和夫 吉野郡黒滝村における過疎の進行と集落の現況についての地理学的研究 奈良教育大 学紀要人文・社会科学第24巻第1号 昭和50年
西田和夫 著しい過疎化現象をみせる宇陀山地農山村の研究 奈良教育大学紀要人文・社会科学 第19巻第1号 昭和45年
農林省奈良統計調査事務所編集 奈良県農業の動き一奈良の過疎問題(第1集) 奈良農林統計 協会 昭和44年
西田和夫 奈良県吉野地域の過疎の現況一南和広域市町村圏計画について 奈良教育大学紀要人 文・社会科学第22巻第1号 昭和48年
堀井甚一郎・西田和夫 紀ノ川上流地域自然環境調査(地理篇) 同報告書 奈良県 昭和50年 西田和夫 奈良県および奈良市における最近の人口移動に関する地理学的研究 奈良教育大学紀 要人文・社会科学第20巻第1号 昭和46年
奈良市史・生駒市誌・橿原市史・香芝町史(各地理篇)
〔付記〕 本稿は昭和52年度本学初の公開講座「やまと」の一部として発表し、ひきつづき日本 地理教育学会秋の大会において発表したものを補訂したものである。関係各位からは多大の御教 示をうけましたことにっき深く感謝いたします。