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Academic year: 2021

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<あとがき>

核軍縮への岐路

広瀬 訓(RECNA副センター長)

2018年度(平成30年度)は核兵器及び核軍縮を取り巻く情勢が大きく変わっただけでな

く、極めて大きな分岐点を迎えたと後世に評されるような一年だったかもしれない。核軍縮 にとって大きなマイナスとなり、RECNA が「世紀の愚行」と評した中距離核戦力(INF)

全廃条約の廃棄への動きや、米露中の核兵器国間の緊張の高まりは、冷戦以降緩やかながら も続いてきた核軍縮への国際的な流れを中断するだけでなく、逆行させかねない。この一年 が「『冷戦後』が終わった年」として歴史に記録されるようなことになってはならない。し かし、核兵器禁止条約の署名、批准の拡大は、着実とはいえ、決して早いといえるスピード で進んでいるわけではなく、ジュネーブで開かれた2020年NPT再検討会議第2回準備委 員会も各国間の意見の相違を際立たせるような展開になってしまった。

このように国際社会に悲観的なムードが高まる中で、明るい希望の兆しが見えたのが朝 鮮半島情勢である。4月の南北朝鮮首脳会談と板門店宣言、そして6月のシンガポールでの 歴史的な米朝首脳会談開催と、誰もが予想しないほどの急展開を見せた。まだそれによって 朝鮮半島の非核化の具体的な進展こそ見られないものの、つい一年前までは「不可能」と思 われていた北朝鮮の非核化の具体的な可能性が論じられるようになったことは大きな成果 であり、設立以来 RECNA が追求してきた北東アジア非核兵器地帯の実現に向けて、大き な前進であった。もちろん朝鮮半島の非核化の実現は容易なことではないであろうし、これ からも様々な問題を解決していかなければならない。しかし、もし朝鮮半島の非核化、そし て北東アジア非核兵器地帯の設立へ向けて具体的な動きが始まるとすれば、それは単に北 朝鮮という国の核兵器の放棄と北東アジアの平和と安定の促進というだけでなく、「核に頼 らない安全保障」が可能であるという、またとない実例を示すことになるだろう。この好機 を逃してはならない。

2018年度が「核軍拡競争が再開した年」として人々の記憶に残ることになるのか、ある

いは「核に頼らない安全保障への第一歩を記した年」となるのか、おそらく次の数年がその 分かれ目になるだろう。我々は今こそ核軍縮の正念場に直面していると言わなければなら ない。

長崎大学核兵器廃絶研究センター年報2018

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