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レーザーによる衛星間エネルギー伝送システムの研 究

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Academic year: 2021

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レーザーによる衛星間エネルギー伝送システムの研

著者 松井 信

雑誌名 財団ニュース

巻 13

ページ 31‑32

発行年 2012‑01‑10

出版者 浜松科学技術研究振興会

URL http://hdl.handle.net/10297/6415

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1.はじめに

近年、大学を始めとした研究機関等で超小型 衛星の研究が活発に行われている。超小型衛星 は大きさが数10cm、重量が数kg〜数10kg程度で あり、その開発費用や運用費用が安価であると 共に、開発期間も大幅に短縮出来るといった利 点がある。一方で、小型ゆえ太陽光発電による 発電量は数W程度にとどまり、これがミッショ ン幅を制約する要因の一つとなっている。

そこで、本研究では、軌道上の太陽光発電衛 星からレーザー光を用いて小型衛星に電力を無 線伝送するエネルギー供給システムの実現可能 性を検討する。

2.研究方法

本研究では、現在JAXAで検討されている親子 衛星間のエネルギー伝送ミッションを解析する。

本ミッションは、子衛星の近地点高度を200km 程度の超低高度に投入することで、高分解能地 上観測を行うものである。本ミッションで検討 する衛星は、エネルギーを送電する太陽発電衛 星(親衛星)と、親衛星から分離し、エネルギ ーを受電する小型観測衛星(子衛星)で構成さ れる。

親衛星は大規模太陽電池パネルと軌道を維持 するための推進機を搭載し、一定の軌道を周回 する。子衛星は直径が30cmの球状(抗力係数

0.47)であり、全面を太陽電池パネルで覆われ ており、推進機は搭載しない。本研究では、子 衛星が地上に落下するまでをミッション期間と し、親衛星はその間推進機により一定の高度を 維持するものとする。親衛星から分離した子衛 星は大気抵抗により自由落下する。

電力の送電には、エネルギー変換効率が高い 半導体レーザーを使用する。波長は現在人工衛 星で使用されることの多い単結晶シリコン型太 陽電池パネルの分光感度特性が60%程度と良好 な808nmとする。レーザー出力は運輸多目的衛 星に使用されている標準衛星バスDS2000(最大 12kW)を想定し5kW(効率50%)とする。エネ ルギー伝送条件はレーザー光の吸収率が十分小 さい高度100km以上に光路が来る衛星配置時と す る 。 図 1

に伝送条件 概略図を示 す。

レーザーによる衛星間エネルギー伝送システムの研究

静岡大学工学部機械工学科 松井 信 [email protected]

大型衛星からレーザー光を用いて 超小型衛星にエネルギーを供給 

応  用  課  題 

超小型衛星の  ミッション幅が増大 

〔山田亮三基金研究助成〕

伝送不可範囲 

親衛星 

レーザー光  高度100km

図1 エネルギー伝送条件

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32 3.結果

レーザー光の発散角は出射ビーム径(ビーム ウエスト)に依存し、伝送距離に対してビーム 径の最適値が存在する。一方で親子衛星間の距 離は時間と共に変化しておりビーム径を最適化 する必要がある。そこで、固定ビーム径、及び 可変ビーム径を用いた場合におけるミッション 全体での伝送電力を比較する。図1に子衛生の高 度履歴及び固定ビーム径40cmでの送電電力履歴 を示す。子衛星は空気抵抗により徐々に高度を 下げ、高度100km付近で一気に落下し、430時間 で大気圏に突入する。また高度が下がることに より周回周期が短くなり、親衛星を2回追い越す。

従って、送電電力は分離時を追い越し時の3回ピ ーク値を持つ。図2にビームウエスト径と全送電 量の関係を示す。全送電量はビームウエスト 40cmの時に最大値を持ち、可変ビーム径による 最適化でさらに25%送電量が向上することがわ かる。表1に解析結果を示す。レーザーによる送 電量は子衛星が自身の太陽電池パネルで発電で きる量の10倍程度に達することがわかった。ま た伝送時間割合は13%であるため、最大7機の子 衛星を同時に運用できることが期待できる。子 衛星へのターゲティングに関しては既にレーザ ー通信等で実用化されつつあるため、今後の課 題としてアレイ化ビームによるビームウエスト 可変機構の研究を進める必要がある。

図1 子衛生高度及び送電電力時間履歴

ミッション時間  伝送時間  伝送時間割合  全送電量(固定40cm) 

全送電量(可変) 

太陽光発電量 

430h(17.9day) 

55.8h  13% 

135MJ(87W) 

168MJ(109W) 

17.4MJ(11.2W) 

図2 ビームウエスト径と送電量の関係 表1 解析結果

参照

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