工業技術研究所プロジェクト研究報告 ワイヤレス
電力伝送の基礎研究
著者
堺 和人, 倉持 暁
雑誌名
工業技術 : 東洋大学工業技術研究所報告
号
36
ページ
20-23
発行年
2014
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00007606/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja***プロジェクト研究報告***
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ワイヤレス電力伝送の基礎研究
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堺 和 人女 倉 持 暁 付 1.はじめに
ワイヤレス電力伝送や非接触給電とは、非接触で給電対 象に電力を送る技術である。特に電磁気共振(共鳴)方 式は大電力をワイヤレスで送電できるため電力ケーブ ルが不要になる革新技術である。例えば、電気自動車は バッテリーの重量とコストがネックになっている。ワイ ヤレス電力伝送システムを地中・壁面に埋め込むことで、 走行中に電力を断続的に供給することができ、図 1の バッテリーレスの電気自動車、さらには架線不要の鉄道、 図 2 の屋内配線やコンセントのない建物の可能性があ る。本研究では、原理モデ、ル及び高周波電源、回路を試作 し、実験により磁界共振方式ワイヤレス電力伝送の挙動 を確認し、基本特性を明らかにする。2.
磁界共振方式 電磁界共振を利用したワイヤレス電力伝送 1),2)は、2
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が提案し、原理実験で実証した方式であ る。図 3に示す様に送電用コイルと受電用コイルが対 向させ、送電コイルを励磁して周囲に電磁界を発生させ、 図 1 バッテリー不要の電気自動車 図2 屋内配線不要の建物 送電コイル 受電コイル 図3電磁界共振式ワイヤレス電力伝送 受電コイルで、電磁界を受けることによって電力を電磁 界として伝送する。また、磁界共振を利用するために送 電及び受電コイルの回路にキャパシタを挿入する。キャ パシタは送電側・受電側回路でL
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共振を起こす。送電 と受電の両回路が同時に共振を起こすことで、コイルが 強く結合された状態となる。共振結合が起こると、送電 距離と位置自由度が向上する。共振のためには高いQ
値のコイルを用い、共振周波数はM
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の実験装置では1
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帯で動作させているが、高周波電源で用 いる 50Q電源はA級増幅器など電力効率が悪いので将 来の実用性を考えると不適当である。そこで、周波数が 1桁以上低下するが、パワーエレクトロニクス技術を利 用した高効率な高周波電源が候補として考えられる。3.
原理実験の鼠作装置 ワイヤレス電力伝送は新技術であり、理論的に説明さ れていない。まずは本実験により現象や動作原理を把握 する必要がある。本研究では送電及び受電用コイル、高 周波電源用インパータの試作を行って、実験を行う 3)-5)。3. 1
高周波インバータ電源 インバータに適用する電力用半導体素子は高速応答 のパワーM
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-FET
を適用し、FET
の性能限界からイ ンバータの出力電圧の周波数はl
MH
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以下となる。試 作インバータは単相のフノレブリッジ回路構成とし、高周 波電源回路を図 4に示す。また、試作した高周波インワイヤレス電力伝送の基礎研究 Basic Study on Wireless Power Transfer 堺 和 人 倉 持 焼 ノくータ電源を図 5 に示す。インバータ出力を高周波と するために出力電圧は矩形波出力である。本実験では試 作インバータは入力電圧
DC50Vで、出力周波数は
500kHz
で動作させた。3
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送電・受電用コイルと回路 試作した実験装置(送電及び受電コイノレ)を図 7 に 示し、コイルの諸元を表1
に示す。コイル外径は300mm
,400mm
,500mmの
3
種類であり、送電コイルと受電 コイルは同一外径コイルの組み合わせとする。コイルは ヘリカル巻で、あり、ターン数はいずれも1
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ターンとし た。コイルの導線は高周波損失を考慮すると導線はリッ フォトカブラ 叫 高周波インバータ,
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発振器 図4
高周波インバータ電源回路 ゲート回路 MOS'FETのブリッジ回路 発振回路 図5試作高周波インバータ ツ線が望ましいが、動作周波数が1MHz
以下であり、 入手と試作の点から外径1.5mm
の単芯のマグネットワ イヤを用いた。コイルを支持する構造体は非金属で、非導 電性材料が望ましい。試作ではスタイロフォーム(押出 発泡ポリスチレンフォーム)を使用した。また、図 6 に示す様に送電側回路は直列共振、受電側回路は並列共 振となるようにキャパシタを接続し、動作時の送電と受 電の共振周波数は同じ値にする。インバータ電源回路の 出力周波数は500kHzに設定し、可変コンデンサの容
量を可変して共振点で動作させる。本実験では送電側有 効電力が最大となるように送電電側キャパシタンスを 調整し、(受電有効電力/送電有効電力)が最大となる 様に受電キャパ、ンタンスを調整して特性実験を行った。 送電コイルと受電コイル問の距離を変化させた実験で も同様な調整を行った。4.
実験結果4. 1
送電特性 送電{陣l 受電1時l h T間周被電辰回路 負荷抵抗 図6
送電・受電部の回路構成 図 7送電用・受電用ヘリカルコイル 表1
試作コイル諸元 線 種 単 芯 銅 線 線 径 1.5mm
巻 き 数10
回 径300mm 400mm 500mm
コイノレL
0.07mH 0.10mH 0.13mH
-21-Basic Study on Wireless Power Transfer 堺 和 人 倉 持 暁 50 45 40 35
冨
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25 騨 20 15 10 5 0 0 コイル間距離(送電距離)を変化させた時の送電特性 となる受電側有効電力を図8に示す。外径400mmコイ ルによる送電の有効電力はコイル聞の距離 Ommで約 16Wであるが、距離100mmで約10Wに低下する。一 方、外径500mmコイルでは距離Ommで約15Wとな ったが、距離 100mmで約 17Wの送電を保っている。 これより、外径500mmコイルは長い距離で、最大電力を 維持できることがわかる。また、前記の送電間距離変化 500 400 200 300 コイル間距離[mm] 100 と受電コイル (2次側) に対する送電コイル (1次側)5
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脚 ワイヤレス送電特性 図8 の電圧と電流特性をφ400mmと500mmコイルの場合 で図9と図 10に示す。コイル間距離に対する電力伝送 n L R lM 内 一 w 司 i J nh ‘ F コ一
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コイル間距離[mm] ここでの効率は送受電空間 の効率特性を図 11に示す。 だけでなく、電源回路を含む効率となっている。外径 400mmコイルでは最大効率は約 78%であるが、送電 一方、 距離が100mmでは効率は約30%まで下がる。 外径 500mmコイルでは最大効率は約65%であるが、 送電距離が 100mmになっても効率は約 45%を維持し ている。これよりコイル径が大きくなるほど伝送効率の 低下が緩やかになることが示されている。最高効率では -DC'ii),t電流(i~I][A] - 1;欠電流[A] 一回2;欠電;l,'i[A] ー-DC~W電圧(測[V] - 1;欠電圧[V] - 2次官E
圧[V] コイル径の小さな400mmの方が高い値となったが、実 験条件である動作周波数によって傾向が変わる可能性 もある。さらに送電電力が増加すると電源の出力能力の 送受電の電圧電流特性(φ400mm) 図9 6C-. -影響も考えられる。また、高周波インバータ電源回路の 損失、回路部や配線部での高周波損失もかなり発生して いると思われ、本実験結果はこれらを含んで、いるため送 ,,, 受電聞のみの効率は実験値よりも高くなることが予想 《 1 .) 慢脚
される。同時に高周波インパータや回路でも高周波にお ける損失の低減を図る必要がある。つぎに受電側の力率 コイルは送電距離が 400mmでも力率 100%を維持している。外径 400mm を図 12に示す。外径 500mm コイルでも送電距離300mmでも力率は 80%以上を維c
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c 持している。回路は共振状態を長い送電距離でも維持し - DC電源電流(i則[A] - 1;欠電涜[A] - 2;欠電流[A] - DC電源電圧印刷 - 1次電圧[V] - 2;欠電圧[V] ていることがわかる。本実験により、送電及び受電コイ ル、キャパシタンス等の主要共振回路部が送電電力、送 送受電の電圧電流特性(φ500mm) 図1
0
電効率、送電距離に影響すると考えられる。ワイヤレス電力伝送の基礎研究 Basic Study on Wireless Power Transfer 堺 和 人 倉 持 暁 i l -率 率 効 効 送 送 伝 伝 E ν E ν I l l -イ イ 一 ココ 一 m m 一 m m -nunu 一 nunu 一 凋 外 F D 80 I ,~-、 。~ 100 n u n u n u c o n 斗 吋 4 { 渓 ︼ 侍 読 図13コイル位置ずれ実験 500 400 200 300 コイル問距離[mm] 100