日本企業のマーケティング行動と流通機構
一製造企業の高度差別化行動と市場・流通支配力の分析−
梶原禎夫
I 製造企業を中核とする
流通システムの形成・維持
流通経路は,製品が効率的に最終市場に到 達するために,製品の種目別やブランド別に 構成されるものであり,製造企業:メーカー が新製品を導入する場合には新しい流通経路 構成の契機となる。技術進歩とともに,多額 の開発投資をともなっている新製品の競争市 場への導入は,競争力強化と安定した売上確 保のために,調整された統一性のある流通シ ステムを必要とする。また,製品差別化と全 国広告により,そのような流通経路の構成が 可能であり,新製品導入のたびに,その差別 化の程度により,生産における集中度も関係 していろいろな水準でメーカーが支配力を及 ぼす流通経路システムが出現することにな る。また,メーカーは,流通系列化を基礎と して最終市場に対し,販売推進を軸にマーケ テイング努力を調整し,統合することにより,
競争力の強化と利潤拡大を追及することが容 易になる。日本では繰続的に新製品の導入が 活発に行われた昭和30〜40年代の長期好況期 を通じて,特定の卸売商や小売商等の流通企 業を流通経路要員として選択し,最終消費需 要の創造による売上機会と引換えに流通企業 の行動をメーカーが統制する経路システムが 生まれた。このような流通系列化は,展型的 には,競争過程を通じて生産集中度が高めら
れてきた自動車や家庭電器でみられるように なった。メーカーは流通経路を差別化するこ とにより,自己のブランドについて流通企業 間での,意図しない価格競争を排除し,流通 過程を通じて特別の販売努力を促進すること が可能になる。一方,競争構造の面からみる と流通系列化は排他性をもち,競争企業のエ ントリーを流通段階で制限することにもな る。メーカーによる流通支配の下では,製品
・価格・コミュニケーション等主要なマーケ テイング政策はすべてメーカーレベルでメー カーの利益や売上の拡大を基準に決定され 流通経路に組み込まれている卸売商や小売商 は市場政策の決定には参加できない。しかし,
スーパーや量販専門店などのように,競争ブ ランドを揃え,セルフサービスとセルフセレ クションの限定サービスとディスカウント価 格で販売し,メーカーのマーケテイング政策 とは異質の政策で市場行動する革新的小売商 の発達はこのようなメーカー支配の流通経路 が干渉されるようになったことを意味した。
昭和30年代後半から発達し始めたわが国の
スーパーは,アメリカでみられたような革新
性はみられなかったが,それでもメーカーが
表示する小売価格または一般小売価格からの
割引,セルフサービス・セルフセレクションと
競争ブランドの品揃えによる消費者の自由な
選択の促進,便宜性の高いショッピングなど
の革新的販売方法の導入により独自の顧客動
員力をもち,大規模化した。大規模化は,庖 舗自体の大型化とチェーンストア化による が,この規模拡大は,対メーカー交渉力を高 め小売商を政策決定者とする流通経路を生む 場合もみられた。さらに,スーパーばかりで なく,価格競争と競争ブランドの品揃えに力 点をおく専門庖も昭和 4 0 年代に入ると大量市 場へ浸透することにより大規模化した。家庭 電器など業種によっては寡占メーカーも広範 囲の市場接触を達成するために,系列庖を含 むフルサービス系小売商の抵抗にもかかわら ず,流通経路としてこれらの革新的小売商の 利用を余儀なくされた。メーカーによっては,
供給する製品を限定サービス・ディスカウン ト価格系のスーパーや量販専門庖と系列店・
専門応・百貨庖等のフルサービス系の流通経 路の間で差別化し,フルサービス系小売商の 抵抗を少くしたり,意図しない小売価格の低 下を回止しているものも現われた。しかし,
このような革新的小売商がチェーンストア化 するなど大規模化するに伴い,メーカーがそ の行動を系列庖のように統制することは困難 になった。しかしわが国では,革新的小売 商の発達に対応した卸売商の発達がみられな かったことと革新的小売商は大規模化するに 伴い,安定的供給源の確保のために,メー カー,特に寡占メーカーの新製品政策を軸に 展開されるマーケティング政策に協調し,し だいにその革新性を喪失し,全般的にみて メーカーの流通過程への影響力はなお強いま ま残されることになった。さらに,わが国の 場合,限定サービス・ディスカウント価格系 小売商は,大規模化しでも,中小企業や寡占 産業の競争的周辺企業を主な供給源として選 び,これらの企業の流通組識として機能し,
メーカー中心の流通機構を基本的に変革する という程の革新性を示すまでには至らなかっ た。自発的な競争展開と革新の機会の少い日
本の流通構造は主要メーカーのマーケティン グプログラムによって形成・維持されてきた 部分が大きいといえる。
E 自主的消費者行動の展開と 流通支配の後退
昭和4 8年秋の石油危機を契機とする急速に 進行したインフレを経て,わが国でみられる ようになった自主的消費者行動,つまり消費 者の自立的な選択行動への傾向は,最終市場 の側からメーカーによる流通支配の後退を迫 った。スーパーなどの革新的小売商がメー カーの流通支配に与えた影響は,アメリカで 1930 年代に発展したスーパーマーケットや 1 9 5 0 年代に出現したディスカウント・ハウス の場合で典型的にみられたように,単に取引 力の行使によってメーカーに対し直接取引と 卸売価格の譲歩を迫り,メーカーが維持して きた価格からの割引販売を実現するだけでな く,消費者に対し,自由なブランド選択と自 由な庖舗選択,つまり自主的消費者行動を促 すことであった。しかしわが国の場合では このような効果はあまり顕著に現われなかっ f こ
o日本でも,昭和4 8年秋の石油危機を契機と するインフレと低成長の下で実質所得の伸び があまり期待できなくなった。このような条 件下で,消費者は生活水準の維持のために製 品の実質的内容と価格への反応を強めながら 特定ブランドへの執着をやめ,自由なブラン ド選択を行う傾向が生れた。また広舗間での 製品比較や価格比較のために,特定庖舗への 執着をやめ,広舗の自由な選択を行うように なった。このような消費者行動の変化が,こ れまでのメーカー支配の流通経路に修正を迫 ることになった。
消費者の自由な庖舗選択への傾向の下で,
メーカーは多様な流通経路の利用を余儀なく
され,流通支配の基礎である限定的流通経路 政策,つまり流通経路の構成メンバーを限定 し継続的取引関係を築く流通系列化政策は根 本から否定されることになった。消費者の自
由なブランド選択への傾向の下で,メーカー の製品差別化と大量広告による消費者支配が 困難になり,流通支配の基盤が揺らぎ始めた。
メーカーは消費者の自由な評価に耐えるよ う,技術競争を基盤とする製品開発と価格競 争をせざるをえない条件下に追い込まれた。
つまりメーカーにとり小売市場に向けて調整 し,統合されるところのマーケティング政策 の実行は危険になり,マーケティング過程の 一部を小売商の創造的市場行動に依存せざる をえない場合が生じてきた。小売商は競争ブ ランドの品揃え,競争価格の採用,信頼性の高 い情報の提供等が必須となり,市場現場に応
じた創造的行動が必要になった。
このように,自主的消費者行動の展開も,
わが国としての革新的小売商業であるスー パーや量販専門庖の発達と同様,メーカーに よる流通支配の後退を迫ったが,なお流通過 程におけるメーカーを中核とする支配構造が 基本的に変化するというレベルには至ってい ない。これは,例えば,メーカーが系列小売 商に価格行動の自由を認めている,即ち,小 売レベルでの自由な価格競争を認めていると いっても,この小売レベルでの価格競争が小 売商の利幅圧縮をともなっている場合が多い ことでも検証される。つまり,消費者が価格 に敏感になっていることと,産業の総需要の 拡大があまり期待できないという条件下で メーカーは,メーカーレベルだけでなく、小 売商レベルでの価格競争を強いられており,
この小売レベルでの価格競争が小売商の犠牲 で行われている場合が見られるということで ある。メーカーによる流通支配の強い業種で は小売レベルでの価格競争が小売商の自由な
政策のもとで行われているというより,メー カーのコントロール下での価格競争として展 開されているのである。
E 寡占企業の競争価格政策と 系列小売商
小売商聞の価格競争が,メーカーのプログ ラムのも左行われている事例の代表的なもの を,自動車産業にみることができる。
自動車のアセンブル・メーカーによるデ ィーラー支配は,現在のわが国でみられる,
寡占企業による最も強い流通支配の事例であ る。わが国の自動車産業は昭和 4 0 年代後半か ら上位 2 社による集中が進行し,国内販売台 数で昭和 5 0 年代では上位 2 社が市場の 60% を 占め,中位 3 社を合わせた市場シェアは 85%
程度であった。昭和 6 0 年代に入ってからは,
上位 2 位のシェアが 50% を若干下回る程度に 低下した。
昭和50~60年代を通じ,新車の流通経路は,
次の状態にあった。ほとんどの流通経路は メーカー‑自販(自販はメーカーがディー ラーとの取引を一任している総代理屈)から デ、ィーラーを通じてユーザーに至るもので,
ディーラーとユーザーの間にサブデ、ィーラー や業販庖(販売協力庖)が介在することもあ った。メーカー・自販は株式所有,役員派遣,
融資等を通じてディーラーに対する支配権を 確立しており,ほとんどのメーカー・自販は ディーラーが競争メーカーの新車を扱うのを 事実上禁止し,約半数のメーカーはディー ラーが取り扱う車種も制限していた。さらに,
メーカー・自販はディーラーが他社の自動車
部品やカークーラ一等の自動車用品を扱うこ
とも禁止している。また,メーカー・自販の
多くは,特定地域における特定車種の販売権
を一つのディーラーにしか認めないクローズ
ド・テリトリー制をとったり,ディーラーの
営業場所を制限するロケーション制をとって いるものがいた。ほとんどのメーカー・自販 は,このような専門広やテリトリー制の下で のディーラーに対し,責任販売台数を課して いた。また,多くのメーカー・自販は責任販 売台数を消化させるために累進性の数量達成
リベートを設けていた。
新車の販売は,昭和4 8 年に過去最高を記録 したが,石油危機後は低迷し,その後, 5 2 ' " ' ‑ ' 5 3 年にわたるニューモデルの導入を契機に国内 需要は回復し始める。この需要回復には,ニ ューモデルについての燃費効率の改善,軽量 化,居住性の改善,操縦性の改善等のメーカー による,基本機能についての消費者の新しい 要求への対応の努力の効果もあるが,価格に 敏感になった消費者に対する,メーカーの競 争価格政策の採用も見逃せない。アセンブル
・メーカーは,排気ガス規制や安全規制の強 化,資材価格の上昇など製品コストが増加す る要因が多くなってきているにもかかわら ず,合理化や省力化に努め,石油危機後は基 本的には競争価格を堅持し,多くの製品分野 でみられるようになった,価格に対する消費 者の強い抵抗を避けてきた。この競争価格政 策がディーラーの犠牲で実行されているとこ ろに,メーカー・コントロール下での小売価 格競争の実態を見ることができる。
アセンブル・メーカーの利益率は,石油危 機後も輸出が好調であったこともあって,全 産業,また製造業平均と比較し高く,特に上 位 2 社の高収益が顕著であった。これに反し,
ディーラーには欠損企業が多く出ていた。特 に小規模のディーラーに欠損企業が多かっ た。自動車ディーラーの利益率は,売上高経 常利益率でみても,また総資本経常利益率で みても,主要工業製品小売業中で低い方であ った。自動車アセンブル・メーカーは,製造 業平均を上回る高収益を上げているのに,デ
ィーラーは,価格競争と売上の不調が,増加 する経費を吸収できず,欠損の状態にあった。
欠損ディーラーの比率は大・中・小型他総合 で,昭和6 0 年33.9%. 6 1 年36.8% ,6 2 年3 7 . 3
%.である。このように流通支配の強い産業 では,小売レベルでの価格競争は小売商の犠 牲で行われており,小売レベルでの価格競争 は小売商の自由な政策のもとで行われている というより,メーカーのコントロール下での 価格競争となっている。昭和5 3 年の第二次石 油危機以降,海外市場での日本の小型車の需 要 が 高 ま り , 昭 和 55 年 12 月 輸 出 比 率 は 54.8%f こ達し,国内販売台数を上回った。輸 出は昭和6 0 年に過去最高に達するが, 6 0 年以 降では米国での保護貿易主義の高まりと円高 による価格競争力の低下に,輸出の急激な減 少をもたらした。メーカーは,世界的な生産 供給体制の構築に着手するとともに,車種の 多様化による国内市場の開拓に努め,また政 府の公共投資の拡大による内需拡大政策の効 果もあって,自動車産業は. 6 2 年以降再び活 況を呈するようになった。欠損ディーラーも 総合で昭和6 2 年 3 月の37.3% から昭和6 3 年 3 月の24.2% ,平成元年 3 月の16.5% と急速に 減少し,ディーラーの犠牲で価格競争が行わ れているという状態は緩和される傾向がみら れたが,メーカーの流通支配の基本構造に変 化がみられる段階までは至らなかった。売上 が減退すれば,直ちに欠損企業数が急増する 構造のままであった。自動車の売上は,平成 2 年に再び過去最高を記録するが,この年,
ディーラーにあっては,広舗の新設や改装の
経費増のため,欠損企業が23.7% に再び増加
す ゑ 平 成 3 年以降では,景気回復の遅れに
よる市場低迷,国内需要,特に高級車需要の
不振,新車導入効果の減少のため,ディーラー
のうちの欠損企業比率はさらに33.6% にまで
増加しアセンブル・メーカーとディーラー
間での利潤配用構造に変化がないことを示し た 。
自動車でみられるメーカーとディーラーの 問との類似の関係は,より競争的な構造とし て家庭電器産業でもみられる。家庭電器製品 の場合,市場集中度は,上位 3 社で 60% ,と 典型的な寡占産業となっている。アセンブル
・メーカーは大型で,流通関係については小 売レベルまで系列化を進めている。しかし,
流通経路にはスーパーや量販専門庖の割り込 みもあり,系列屈のシェアは昭和 4 0 年代の 7 0
%から,昭和 5 0 年代初期の 60% ,昭和 6 0 年代 の 50% と,順次後退している。また,下位メー カーほど,スーパー及び量販庖のシェアが大 きい。スーパーや量販専門庖は競争関係にあ る複数ブランドの品揃えを行い,メーカーに 対し比較的自由な立場を確保しており,流通 過程での競争を促進している。石油危機後の 自由な消費者行動の発展もあって,競争ブラ ンドの品揃えをもっこれらの大型屈のシェア が高まっている。このように,家庭電器の場 合は,自動車と異なって流通過程にメーカー の系列に所属していない,スーパーや量販専 門庖の割り込みのため,メーカーの意図しな い価格競争が行われうる状態にある。家庭電 器の場合,生産のための必要投資量,生産技 術,新製品開発のための投資量や技術能力等 の面で自動車ほどのエントリー障壁はない が,巨額の投資量,高度の技術,その他全国 的販売組織構築のため,アセンブル・メー カーのエントリーはほとんど不可能な状態に あることは自動車の場合と変わらない。
家庭電器産業でみられるように,安定した 寡占的市場地位にあるメーカーは,小売商の 自由な市場行動をある程度容認しながらも,
自動車の場合のように流通系列化政策に依存 できない分,それだけ新製品導入,新製品差 別化の強化に重点をおくことで,メーカー・
プログラムを中核として稼動するマーケテイ ング機構を維持している。例えば,製品のモ デルチェンジ・サイクルでみると,自動車が 主要車種で 4 " ‑ ' 5 年が主流であるのに対し,
家庭電器では新技術の導入等によるモデル・
チェンジが, V T Rで 9 " ‑ ' 1 0か月,テレビで 1 2 ' " ' ‑ ' 1 3 か月,洗濯機で 1 8 か月程度のサイクル 左,より頻繁に行われている。スーパーや量 販専門庖は販売量を拡大するほどメーカーへ の対抗力を強化するというより,供給量確保 のためにメーカー・プログラムとの協調を余 儀なくされてきたという事情はこの流通関係 を説明している。
N 製造企業の高度差別化行動と 流通過程における市場地位の維持
昭和 5 0 年代に入づての自主的消費者行動の 展開の下で,製造企業のマーケティング政策 が最終市場で効果的な影響力を失いつつある ことは,逆に流通企業にとっては,創造的な 市場行動の機会が拡大しつつあることを示し ていたにもかかわらず,流通業のこの新しい 市場機会への対応は遅れた。石油危機後につ づいたインフレの収束,景気回復,所得上昇 による消費支出拡大の下で消費者行動は自由 な行動の延長線上で個性化,多様化,高級化 したが,主要メーカーは,多様な製品機能の 開発,製品バラエティの拡大,新製品の継続 的導入など製品の高度差別化を中核戦略に,
技術開発の強化,製造と物流の効率化,競争
価格政策の実施等を推進し,さらに流通企業
の市場対応を支援しながら新しい消費者行動
に適応することにより,メーカー中心の流通
機構を新しい次元で維持しつづけることにな
った。また,流通企業の対応は,自立化につ
ながる価格競争の導入より,庖舗差別化の強
化などメーカーの政策の協調する方向で行わ
れた。本来,日本の消費者は欧米の消費者に
比べ価格に敏感でなく,直接接触する小売商 に対するよりも,供給源であるメーカーによ り高い信頼を寄せていた。しかし石油危機 につづいたインフレ下で日本の消費者も以前 より価格への反応性を高め、小売商の政策に 強い関心を寄せるようになり,スーパーなど チェーンストアのプライベート・ブランドの 消費者選択も拡大したけれども,メーカーの 消費者行動変化への迅速な対応は消費者の メーカーへの信頼性を維持する結果となっ T こ 。
欧米ではメーカーと流通企業の関係が自由 で,価格競争維持の条件が整っており,価格 競争の過程で過剰な製品差別化が進むことな く,新技術に基づく製品開発が進展する場合 がみられるのに対し,戦後の日本市場では,
一貫して企業は新しい製品差別化を継続的に 導入し,この差別化競争が索引する,製品開 発と技術競争が展開されてきた。消費者は価 格よりも,継続的に導入される新しい差別化 に反応し,製品と流通経路における高度差別 化が進んだ。
平成 4 年にわれわれが日本とアメリカで実 施した,企業のマーケティング政策との関連 での消費者行動調査でも,アメリカでは,消 費者は価格競争の維持に関心が強く,製品や 庖舗の差別化に対しても評価を与えるという 水準にあるが, 日本では,企業の差別化行動 への消費者の反発が顕著にみられる状態にま で至っている。
高度に差別化されたマーケテイングの展開 は,一方では,市場を不透明にし,エントリー を困難にする。石油危機を契機とするインフ レ下で,消費者は,価格,製品内容に敏感に なったが,先述のように日本のメーカーは,
これに継続的な新製品導入で迅速に対応し,
流通企業の創造的市場行動の余地を極小化し ながら計画しない価格競争の進行を回避し
た。製品技術,工程技術の革新と共に製品と 流通経路の面での高度差別化の達成は,国際 的に高いエントリー障壁を生むことにもなっ た。また,日本市場と欧米市場の間で同一ブ ランドについての価格差を生む市場構造を形 成することにもなった。
V プライべー卜・ブランドの 市場浸透力
一般にメーカーが市場浸透をめざす場合に は,セルフサービス・セルフセレクション等 の限定サービスとディスカウント価格系の大 規模小売商にも依存せざるをえず,取引につ いては,その交渉力に従わざるをえない部分 が生まれてくる。特にブランドが市場ですで に受容され,メーカーによる特別の需要創造 が必要でない場合やブランド間競争が激しい 場合などでは,メーカーに対し大規模小売商 の交渉力が優るのが普通となる。さらに,全 国的規模で多庖舗展開する大規模小売商は製 造過程を統合することにより,独自のブラン ドであるプライベート・ブランド ( p r i v a t e brands) を確立し,新しい競争機会をつく
りだす。しかしこのプライベート・プラン ドについての消費者の需要には限界があり,
流通企業の製品開発力にも限界がある。一般 にプライベート・ブランドは,メーカーのナ ショナル・ブランド ( n a t i o n a lb r a n d s ) が導 入され,市場地位を確立した後に,ナショナ ル・ブランドの価格から 30% 程度の大幅割引 価格で初めて消費者が受容するにすぎない。
特に,日本では消費者のナショナル・ブラン
ド志向が強く,プライベート・ブランドの市
場地位は低い。また,プライベート・ブラン
ドは,その販売促進手段が主として価格であ
り,製品は技術構造が単純であるか,または
標準化されているため製品差の確立が困難
なものや差別化の程度が低く,価格差による
消費者のブランド選択の遷移が容易なもの に限られる。プライベート・ブランドの製品 内容がナショナル・ブランドに比較し,必ず しも劣位にあるとは限らない場合でも,小売 商は自己のプランドについて大規模な需要創 造機構を維持できないため,プライベート・
ブランドはすでに市場地位を確立しているナ ショナル・ブランドに対して価格比較でしか 受容されない。しかもその受容は小売庖舗の 商圏内という限定地域内でしか達成されず,
しかもナショナル・ブランドに対し特別の価 格差で受容されるという状態で,一般にその 市場地位は低い。特に日本では主要メーカー のナショナル・ブランドに対し,プライベー ト・ブランドの地位は低い。消費者の製品の 識別能力の向上により,プライベート・ブラ ンドが再評価され,また所得上昇により消費 者の危険負担能力が拡大されたり,価格に対 する消費者の反応がさらに敏感になるなどの 条件の下で,プライベート・ブランドの市場 地位が上昇しつつあるのは事実である。しか し前述のように,わが国の場合では,プラ イベート・ブランドの地位が特に低いことと 小売商が開発できる製品は差別化の程度が低 く技術的にも容易である範囲に限られるた め,広範で大規模な製造過程の統合によるプ ライベート・ブランドの確立は不可能に近 い。また,本来多品目の品揃えから成りたっ ている大規模小売商は,基本的には製造過程 の統合よりも,多様な供給源に対する自由な 評価者として供給源に対して譲歩を要求する 方がより適正な政策といえる。一方,プライ ベート・ブランドは,小売商にとって安定し た供給源の確保という面では意義をもってい る。しかし,ここでも小売商は,生産への投資 を最小限に止め,供給源選択の自由を最大限 に維持する方向を選択するという基本的な行 動原理をもつことに変わりはない。さらに,
供給源確保のための生産への投資も,生産に 特別の高度技術が必要なものや販売に当って 特別の需要創造が必要なものは回避されるこ とになる。ただし,メーカーへの仕様書発注 によるプライベート・ブランドの確立は,有 名メーカーのナショナル・プランドとの競争 価格から出発して発注先を選択できるため,
流通企業による自社システムへの製造過程の 統合の場合のような硬直性は回避でき,主と して価格アピールで製品の販売を促進すると いう政策も維持されるので,大型流通企業に より主要なマーチャンダイジング政策として 採用されることが多い。またメーカーからプ ライベート・ブランドの下で供給を受け,同 種のナショナル・ブランドと比較し価格割引 が認められることもある。日本では,プライ ベート・ブランドについて,かつて一部に期 待が寄せられていたような,メーカーが支配 する流通経路に対抗できるだけの新しい流通 経路の形成は実現しない。特に,企業の独占 的行動の弊害が顕著になっている場合が多 く,競争導入の必要性が最も大きい産業分野 では,製品技術,製品差別化,製造技術、投 資量等のエントリー障壁のためプライベート .プランドの確立自体が不可能である。近年,
日本でも円高のため拡大しつつある大規模小
売商による外国からの開発輸入についてもこ
のようなプライベート・ブランドの流通力の
不足からくる限界がみられる。さらに,プラ
イベート・ブランドの導入の動機は,高利幅
の獲得と顧客固定である場合が多いことであ
る。小売商の革新性は,メーカーの需要固定
政策と寡占的価格行動の修正にあるが,この
ような動機で導入されるプライベート・プラ
ンドは,その革新性のために,独自の市場地
位を達成した小売商が,革新性を圧縮し,独
占的行動に向かう媒体ともなりうる。プライ
ベート‑プランドの地位が低いためにナショ
ナル・ブランドに対し低価格政策がとられる にすぎず,可能であれば製品差別化を強化し,
全国広告を行って競争的地位を強化し,独占 的価格行動が可能な条件をつくろうとする傾 向がみられる。欧米に比較し価格に対する 反応が敏感でない日本では,特にこの傾向が 強くみられる。以上のように製造業者のナシ ョナル・ブランド対流通企業のプライベート .ブランドの市場地位・市場浸透度でみて も,日本市場では寡占メーカーの市場支配力 は流通企業のそれを遥かに上回っていること が容易に理解される。
¥ i 日本の流通機構と海外企業の 市場アクセス
昭和6 0 年 9 月以降急速に進んだ円高と政府 の市場開放政策の実施の下で,わが国への製 品輸入が大幅に拡大してきた。しかし,欧米 に 比 べ 日 本 の 製 品 輸 入 水 準 は ま だ 低 く 人 当り外国製品消費量も少ない,また,円高以 降いったんは貿易黒字も減少傾向に向った が,当初,円高により期待された程には急速 に減少せず,さらに 9 月以降では再び拡大傾 向さえ見られる。本来国際競争力の強い高度 技術製品の企業は海外調達の拡大,合理化促 進等により円高に対応したため,輸出は必ず しも減少に向かわなかった。また,輸出代替と してだけではなく経営の世界的展開としての 生産拠点の海外移転は,資本財の輸出を拡大 している。しかし,やがて輸出は海外生産の 拡大とともに減少に向かうが,生産の海外移 転による進出国での日本企業のシェア拡大の ため,日本の市場開放についての世界の要求 は今後とも高まるばかりである。昭和6 0 年 9 月以降の円高と政府の市場開放政策の実施の 下で外国製品の輸入が拡大する過程で一方で は一向に国内市場が開放されない自動車,電 子・電気・医療機器等の規模が大きい製品に
ついての日本の流通機構が,主要メーカーや そのメーカーを支援する卸売商を中心とする 継続的取引関係を含む限定的流通経路から構 成され,排他的構成となっているという特徴 が,世界的避難を受けるに至っている。製品 が高度に差別化されており,メーカーや卸売 商を中核とする系列化された限定的流通経路 が主流を成す流通機構にあっては,外国企業 は輸入総代理屈を日本市場への供給源とする 限定的流通経路で,価格維持と販売促進を行 う有利な選択が可能になり,並行輸入の発達 とそれに伴う価格競争の進行の機会も極小化 できる。このような流通機構の特性は,例え ば,平成元年の通商産業省,第 l回日米合同
「輸出入品等の内外価格比較調査」で欧州銘 柄製品については,日本の方が,米国市場に おける価格と比較して,平均で 2 割程度高い という結果を生んでいる。)平成 3年の同第 2 回調査では,全般的に内外価格差縮小傾向が みられるものの,依然、として,日本からの輸 出品について,一部に米国での価格の方が低 いものがあり,また米国及び欧州の対日輸出 品についても,日本での価格が大幅に高いも のが存在する。
一方,製品の差別化程度が低く,価格が主 な競争手段となる食料品や繊維製品について は,円高で価格競争力を持った外国産品が開 放的流通経路を形成しながらわが国の市場に 浸透しつつある。
ヨーロッパやアメリカから高度差別化のブ ランド製品が,輸入総代理屈から百貨庖又は 専門広を通ずる限定的経路で,東南・東アジ アから価格競争力を主戦略とする製品が,
スーパーや量販専門広を通ずる経路で,それ
ぞれしだいにわが国に浸透しつつあるが,高
度技術製品市場や中級大量消費市場はなお主
要メーカーの支配下にあたって閉鎖的状況に
ある。昭和 6 2 年における,輸入品の家庭への
浸透度をみても,その浸透度は全般的に低く,
最も高いもので装飾品・身回品の20.9% ( 金 額ベース)である。例えば自動車の場合につ いて輸入車新規登録台数の推移をみると,昭 和6 0 年で5 0 , 1 7 2 台,昭和6 1 年で6 8 , 3 5 7 台,昭 和6 2 年で9 7 , 7 5 0 台,昭和6 3 年で1 3 3 , 5 8 3 台 , 平成元年で 1 8 2 , 1 6 8 台と着実に増加している が,平成元年度をみても,国内新車新規登録
‑届出台数726 万台に対し,輸入車新規登録 台数は僅か2.5% 程度である。また,この輸 入車の中には 4% 程度の日本のメーカーの海 外生産車が含まれている。自動車と同様に,
円高以降,民生用電気機械,同電子機械,通 信・電子部品の輸入も急増しているが,これ らの輸入の中には日本企業の現地法人からの ものが主要部分として含まれている。
なお膨大な輸出超過の状態にあるわが国 が,輸出入の対外均衡に接近するためには,
メーカーのマーケテイング‑プログラムの影 響下にある流通組織が外国企業にも開放され なければならない。メーカーが総合マーケテ ィング計画の中に外国製品の販売を組み込む 時,メーカーの補完的品揃えの水準を越える,
競争的なメーカーの輸入の拡大が初めて実現 する。外国企業製品の,日本市場へのエント
リーが困難である理由に,製品仕様の日本市 場への不適合が指摘されるが,関連する製品 技術,製造技術の幅広い集積を持つメーカー による製品輸入は,流通業の製品輸入と異な り,日本市場向け製品仕様への転換について の技術支援は容易であり,日本市場の中枢部 の開放,これはまさに主要メーカーの行動に かかっている。価格,技術ともに国際競争力 の強い電子,電気,輸送,事務等機器を中心 とする特定産業の輸出額から,その生産のた めの部品,原材料,エネルギー等の輸入品投 入額を控除した金額は日本の全貿易黒字に近 いということからみて,対外均衡回復へのこ
れからの業種の企業責任も問わなければなら ない事態に至っている。
スーパー,量販専門庖,百貨庖等の大規模 小売商による製品輸入,開発輸入が活発にな っているが,卸売商による同輸入も含め,流 通企業による輸入製品,流通企業の独自の マーケティング‑プログラムによる市場開発 力に限界が大きいため,外国製品の日本市場 での広範な浸透を達成するまでには至らな い。流通企業は製品の仕入先を外国に求める ことにより,それだけ国内メーカーへの対抗 力を強化することができるし,消費者の多様 な要求に応えるため,今後流通企業による製 品輸入は拡大することが期待できる。しかし,
主要メーカーによる流通支配が継続している 高度差別化製品や高度技術製品の領域には,
流通企業が国内での独自の販売力を持つこと は期待できない。
国内主要メーカーによる海外生産拠点から の製品輸入,外国企業への生産委託による製 品輸入も,円高の進展した昭和6 2 年度から急 速に拡大しつつある。しかし,その調達比率 はまだ低位にあり,なお一層の市場開放が期 待される。
四大規模小売商の寡占的行動と 市場アクセス
市場政策でメーカーに対抗する革新的小売 商もチェーンストア化し,大規模化すると,
その寡占的行動の問題が生じる。都市におい てみられる少数の大型小売商による小売市場 の集中化は,これらの小売商の寡占的行動の 基盤となる危険性をもっている。つまり,大 型小売商は,市場割込みのために,メーカー のマーケテイングプログラムとの比較の上で の低価格政策と革新的販売方法をとっている のであり,いったん市場地位を達成すると,
周辺小売商に対しプライス・リーダーとな
り,割引率を低下させ,特別の需要を創造し,
価格競争回避のための庖舗の差別化への投資 を強化し始める。特にわが国では,革新的小 売商の発達期において,消費者の購買行動が 都市やその周辺に集中していたため,革新的 小売商も自然都市部とその周辺に立地するこ とになり,このような立地はエントリー・コ ストが高いこととメーカーの政策と強調する ことによる,安定した調達源の維持の必要も あって早期に割引率を低下させ,その寡占的 行動が顕著にみられた。ところが,現在では,
欧米に比べればまだ低水準にあるとはいえ,
価格に反応する消費者層が広範化しているた め,また道路網の整備と自家用車利用のショ
ッピンク'の発達により庖舗立地の自由度が拡 大しているため,支配的市場地位を達成した 小売商も割引率を低下させると,より高い割 引率による新しい小売商のエントリーを招く 恐れがあり,その独占的行動はかなり制約さ れる傾向もみられるようになっている。流通 における集中は,流通過程における競争を制 限するばかりでなく,大量市場をカバーし,
供給源の選別を行うため,製造レベルにおけ るエントリーを制限することになる。品揃え を拡大することで市場地位を強化し大規模 化した小売商もいったん市場地位を達成する と,販売効率を高めるため,市場占拠率が大 きく,回転率の高い製品,品目を中心に品揃 えを限定し始める。市場占拠率の小さいメー カーは主要市場にアクセスできなくなり,流 通寡占は産業へのエントリー障壁となる。近 年,流通産業処理システムの整備によって品 目別の販売情報の把握が迅速に行われるよう になり,この弊害は今後顕著になる傾向が見 られる。しかし,日本の小売市場では,欧米 に比べ,消費者の購買行動が小口,多頻度で サービスの要求水準が高いことと主要な競争 がメーカーレベルで行われることにより,流
通における高度集中は進行しにくい条件下に ある。消費者はメーカーが継続的に導入する 新製品によく反応し,流通過程での価格競争 には関心を寄せない傾向があり,メーカーの 流通系列化もあって多様な小規模小売広が存 続できる条件がある。多様な独立小売商を主 要部分としてもつ小売り流通システムには,
流通系列化の企業努力を必要とするものの,
競争的周辺企業を含むあらゆる規模のメー カーにとって市場とのコンタクトの機会があ る 。
昭和4 9年に「大規模小売商庖舗における小 売業の事業活動の調整に関する法律」が施行 され,事実上の大型広の出広規制によって スーパーなどの大型広との競争からも中小小 売商が法の運用によって保護されてきたが,
この規制は一方では,流通過程での価格競争 の排除に関心を持つメーカーにとって好都合 な流通機構の維持に貢献するとともに,流通 における集中を閉止し,各種消費財産業の発 展を促進してきたものとして評価される面を
もつものであった。
製造レベルで寡占化している産業の場合で 考えると,大型小売商の広舗展開や販売活動 についての完全な自由を認め,メーカーの独 占的市場行動を流通過程での競争強化によっ て抑制する機構の出現が期待される。しかし,
わが国の大規模小売商は市場支配力をもっ大
手メーカーと供給源確保のために協調する傾
向が強く,またそれによって寡占化している
市場での流通過程における競争導入効果はそ
れ程期待できず,大型庖の出応による周辺小
売商の犠牲が目立つ。大型庖の進出に対する
周辺小売商の競争的適応は,適応の能力や危
険の問題があり,有効な競争的適応をあまり
期待できない場合も多い。そのため,品揃え
や価格の面で独占の弊害が現われないよう
に,特定商圏における大型庖の市場占拠率を
低く抑える政策も必要となる。小売市場への 小売庖のエントリーは,製造業へのエント リーに比較すれば遥かに容易で,特定の小売 商が高い市場占拠率を達成しでも独占的行動 は制約を受けるが,地方小都市市場で周辺小 売商の競争力が弱い場合には大型庖による独 占の弊害がみられる。
結語:経済社会の流動化と流通システ ムの変化
欧米に比べ日本社会は移動の少ない安定し た構造にあったが,近年における情報化の進 展は,この日本社会を変革しつつある。長期 継続的な社会関係が崩れ,社会構造が流動化 に向かいつつあることがその主な内容であ る。事業所間での労働力移動が高まり,完成 品ばかりでなく部品や素材についても系列を 越える取引が拡大しつつある。最近における 流通関係の変化も,情報化の進展による日本 社会の基本構造の変化の中にあり,確実な変 化の傾向を示している。
流通する社会は高い成果をもたらす競争を 生み,革新への動力を持ち,この中にあって,
日本社会の安考性を支えてきた集団主義も変 わらざるをえなくなる。日本人の集団は,系 列など企業集団も含め大きな変化やリスクを 避ける防衛的な色彩が強く,また,集団の規 範にそっての牽制も強く,大型の草新に向け では組織力を発揮しえなかった。集団の力を 発揮できたのは企業でも,物に働きかける領 域や革新の要請度の比較的低い分野,製造や 応用・開発部門で,革新そのものを目的とす る基礎研究領域や戦略性が要求される,新し い対人関係の形成‑処理では集団の凝集性が 低水準で,充分な組織力を発揮することがで きなかった。情報化の進展は,やがてこのよ うな日本型集団までも変革に導く。構成要員 個々人の問題解決能力が高まり,集団は解放
性を高めるとともに,集団により程度の差は あっても基本的には革新を核として凝集し,
構成員の最大限の貢献を可能にする柔軟な組 織に変わるであろう。企業集団でも同様であ る 。
流通システムの変化もこのような社会構造 変革の大きな流れの中にあり,企業は高度差 別化製品の継続的導入を中心とする企業集団 の維持や消費者操縦の政策から脱却し,自立 性を高める市場への早期対応と,自由な流通
・取引関係の展開により,新しいビジネス・
チャンスを捉え,社会的価値の高い革新に向 けて努力を傾けるべきである。このような企 業努力が日本の市場・流通システムの透明性
‑開放性を高め,国際社会の評価に耐える経 済システムをつくりあげることになり,これ は 2 1 世紀に向けて要請されている変革の方向 でもあろう。
注)
1.昭和 4 8 年秋の石油危機以降における消費者行動の 変化,企業の適応行動及び流通関係の変化について は,昭和 4 9 年 , 5 0 年 , 5 1 年 , 5 4 年 , 5 6 年に首都圏を 中心とする調査を行った。分析結果については,昭 和 4 9 年 1 2 月 1 9 日,昭和 5 6 年 1 2 月 1 5 月,昭和 5 9 年 1 2 月 3 日の 3 回にわたって東京で中央省庁,企業本社を 対象とする報告会を開いている。(会場,国立教育 会館),全 3 回を通じての出席者は 5 0 0 余名。
2 . 通商産業省,寡占産業の実態とその評価点一一主 要業種の実態,昭和 5 2 年 6 月。通商産業省,明日の 自動車流通を考える,昭和 6 2 年 1 月。通商産業省, 2 1 世紀高度自動車社会をめざして,平成元年 7 月。自 動車アセンブルメーカーとディーラーの関係は現在 でも基本的には変化がない。公正取引委員会,高度 寡占産業1 0 業種における競争の実態,平成 4年 8月 。 3 .通商産業省,自動車販売業実態調査報告書,昭和5 3
年 1 1 月。日本自動車販売協会連合会,自動車ディー ラー経営状況調査結果,平成元 9 月,要約編1 3 ペー ジ 。
4 . 向 上
5 . 向 上 ( 平 成 4 年 9 月)要約編
13ページ。
6 . 通商産業省大臣官房企画室,産業技術審議会・総 合エネルギー調査会・産業技術審議会合同会議,第 4 田企画小委員会資料,環境調和型経済社会構造の 構築,自動車産業と地球環境問題,平成 4 年 9 月 ,
37‑39
ページ。
7 . 国際化政策研究プロジェクト(代表:梶原禎夫) 平成 4 年度消費者行動とマーケティング・システム に関する国際比較調査 A
Study on Intemationa1 Comparison of Consumer Behavior and Marketing System,
1993.平成元年の
182,
168台から,平成
2年は
223,
923台と 増加するが,平成 3年度になると国内市場の全般的 縮小もあって
199,
922台 に 減 少 し さ ら に 平 成
4年 は
184,
615台になる。国内の新車販売台数は平成
2年で
7,
777,
493台,平成
3年で
7,
524,
759台,平成
4年 で
6,
959,
073台であるから,国内市場での輸入車 比率は,平成
2年で
2.9%,平成
3年で
2.7%,平成
4
年も
2.7%でしかなく,輸入車に関する市場構造 に基本的変化はその後もみられない。(日本自動車 輸入組合,前掲資料。日本自動車工業会,前掲資料)
× × ×
本稿は次の報告書を素材としている。
8 . 通商産業省,第 1 回日米共同価格調査(平成元年 1 1 月 8日),同省,輸出入品等の内外価格比較調査結 果(平成
2年
1月
19日)
9 . 通商産業省,第 2 回日米共同価格調査(平成 3 年 5 月
20日)通商産業省,内外価格比較調査結果(平 成 4 年 5 月
26日)他。
Yoshio Kajihara
,
Changing Pattern of Consumer Behaviour and Marketing in ]apan,
Policy Research Project on Intemationalization of Economy,
1990.1 0 . 日本自動車輸出組合,輸入車ニュース
o日本自動 車工業会,自動車統計月報。輸入車新規登録台数は,
一 一 ,
Japan's Market andD i
stribution System,
and Globalization of Economy,
Policy Research Project on Intemationalization of Economy,
1993.Marlteting Behavior and DistribuUon Syste
・
in Japan‑Analysis inMarltet/D1stribution POller of Manufacturer田ith special reference to highly differentiating Strategies 1n Harlteting.
本研究については、平成 5 年 3
Jl 2 6日に国立教育会館で、主テー マを r m r 望者行動・餓争メカニズ ム・マーケティング戦時' J k q り と する研究報告会を組織し、中央省 庁、電気機械、電子機器、輸送機 械等の主要メーカーから
9 0余名 の参加をえて、研究成果の報告を 行った。英国
University of Bradfordの
Peter J Buckley教授、
John Sparkes教授、
Hafizl
I
irza講師他が
Guest Speakersと して参加し、英同の対日投資、 1 1 本でのlIi滋アクセス、I1本の流通 システムと市場エントリ等の訪問 題について報告した。
Yoshio Kajihara 四any countries in the 別orld have been urg iog Japan to lIake its ...rltet
・
ore accessibJe. Var ious policies are adopted to open up・
arltets for foreign products. Japan has not attained a h1gh degree of i..port such as Western advanced couotries. and is sti11 condellened internat10nally for its lIarket cJosedness.Opport凶ities for pr1ce co・凹t1t10n io Japan are restrained by the governaent reguJations as ..e11 as by the d1str1butioo syste
・
..hichis hardJy responsive to suppJy sources. thus produc1ng a
・
arket price differBDtials between doaestic and overseas・
arkets. The fact that the iofor・at100 00 the price different1aJs has ..idely been per・
eated aaong CODSu.ers. Besides. criticis・
is voiced against the前aste of resources and the destt'uction of environaent in both of ..hich a shorter range product cycJe running is deepJy invoJved. With the gro..th of their inte11igence. coosUllers have been COlle to use oot onJy inforll8t1oo obtained froa the1r 0欄n experiences. but a ..ide range of infor
・
at10nlIade avallabJe through various・
edia; tbist rend has beco
・
e so coospiCUOU5 tbat it i5 no.. represented as bebavioraJ changes of coosuaers. !!aIt1og good use of aarltet inforlla‑ t i on 9 aany consu・
.eCS has nool begun to tehave as problea solvers 10・
arltet place. and are reduciog effects of a・
arketiog strategy lntended to affect consuaers' preference to sOlle specif1c braod by offeriog bigbJy different1ated products. So far.・
anufacturers have successively introducted oe.. products and dlversified their products.But. tbe 1
・
proved abiJ ity to process lnforllation on the s ide ̲ of consuaers・
eans that are extr且c8ting tbe.selves froa sucb・
anipula‑tion. tbus urgiog aanufacturers to
・
od1fy the ..arketing practices.In the price sensitive American and EuropeaD凪arkets. neM products based 00 advanced techoologies are so
・
etilles launched .. ithou t resuJ ting 1n such as excessive product differentiat100 as Is often done 10 Japao. 10 tbe Japaoese・
arket. aanufacturers have been continua11y introduclng tbe product differentiation and has driveo the developaent of product and process technology.GonsllIIlers have tended to react to ne.. differeotiated products conti‑
nua11y rather than to prices. as a result. d1fferentiation in pro‑
ducts and lIanufacturers adlli01stered distr1butioo cbanoeJs deveJoped Thus. the distrlbution systell aod co