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水 沼 秀 夫 *

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(1)

秋 田 医 学 秋田医学 (Akita ].  Med.), 17, 943957, 1990. 

日甫乳動物細胞フルク卜ース・ビスホスファターゼのアイソザイムに関する研究 ーその諸性質と臓器分布一

水 沼 秀 夫 *

Studies bn Isoenzymes of Mammalian Fructose 1, 6Bisphosphatase 

~Properties and Distribution in Organs‑

Hideo MrzuNUMA 

(153) 

Atract: In order to clarify the relationship between the distribution of fructose 16bisphosphatase (FBPase)  and its  isoenzymes in  various organs. Several FBPase isoenzyines were first  purified  and then analysed by  raising specific antibodies to them. Purified enzymes from the rat skeletal muscles and liver were found to be  different isoenzyme forms. The suhunit molecular mass of the muscle enzyme was 5000000less than that of  the liver enzyme. The FBPase isoenzyme from rat small intestinal mucosa differed from the liver and muscle  isoenzyme types, although its  subunit molecular mass was the same as that of the liver enzyme. The liver type  of the enzyme subunit was detected in the liver, kidney, lung, pancreas, and testis, while the muscle type was  detected only in the pancreas in addition to the skeletal muscle. Both types of the enzyme subunit were found  in the pancreas, but no FBPase was detected in the soleus muscle. FBPase was present in the fetal rat liver at  least as early as the 14th day of gestation.  In agreement with the increase in immunological staining density,  the level of enzyme activity in the fetalliver doubled every 24 hours. The muscle enzyme was not detected until  the fetus reached the 19th day of gestation. FBPase leves in fetal muscle also increased with increasing age of  animals. FBPase was observed in a mouse thymic lymphoma cell line, WEHI7.1, whereas only a trace amount  of activity was detected in normal thymus tissues.  The WEHI7.1 enzyme differed from the liver, intestinal and  muscle  types  of  the  enzyme. Although  a trace  amount of  FBPase  activity  was  detected  in  the  hurnan  promyelocytic cell  line, HL60, treatment with 125dihydroxyvitamin D3 caused a marked induction of the  liver type of enzyme. 

*秋田大学医学部生化学第二講座 (主任:田島陽太郎教授)

Second Department of Biochemistry,  Akita  University School of Medicine,  Akita, 010 ]apan 

Keywords: Fructose 1, 6bisphosphatase,  Isoenzyme 

‑943‑ 平成2

(2)

(154)  FBPaseアイソザイム はじめに

フ ル ク ト ー ス ・ ピ ス ホ ス フ ァ タ ー ゼ (Fructose 16bisphosphate 1phosphohydrolase; EC 3.  1.  3.  11) (FBPase) ピルビン酸からグルコースを合成す る糖新生経路の速度を調節する4つの調節酵素のうちの 1つで,肝,腎に高い活性で存在する。本酵素は,糖新 生能はないと考えられている筋肉にも低活性レベルで存 在 す る が , そ の 生 理 的 役 割 は 不 明 で あ る 。 筋 肉 の FBPaseは肝や腎の酵素とは異なるアイソザイムであ

1)3)

FBPaseアイソザイムに焦点を当てた研究はこれまで 極めて少なく, FBPase酵素研究は肝酵素を使つての試 験管内での Kineticalな酵素活性調節機構解析や一次 構造,高次構造の解析が中心であった。筋型酵素に関し ても 1970年代に肝酵素と同様な内容の研究が幾っか行 なわれたのみで,論文の数は肝型酵素に比べると非常に 少ない。肝,腎,筋以外の臓器における FBPaseの有

えで大きな手がかりになるとともに, FBPaseアイソザ イム遺伝子の構造や発現調節機構を知る研究への基礎デー タとして重要である。本研究では, ラット及び培養株細 胞を用いて FBPaseアイソザイムに関する酵素タンパ

クレベルでの解析を系統的に行なった。

実験材料及び実験方法

試薬:フルクトース 16一二リン酸 Na塩,グルコー 6ーリン酸脱水素酵素,ホスホグ、ルコイソメラーゼは Boehringer 5' ‑AMP Na塩は輿入社 Freund の完全,不完全アジュパントは Difco Immobilon 膜は Millipore NADP+Na ウシ血清アルプ

ミソは Sigma Immunblotアッセイシステムは BioRad社 D ulbeccoの改変Eagle培地, RPMI1640  培地,ウシ胎児血清は Flow社製のものを用いた。そ の他の試薬は全て特級を使った。

無やそのアイソザイム型,更に, FBPaseアイソザイム 動 物 お よ び 株 細 胞 : 動 物 は Wister系ラッ卜を用い,

は何種類あるかといった問題や胎仔発生過程における出 一晩雌雄ラットを一緒にケージに入れ,受精が確認され 現時期などに関してはこれまで系統的に行なわれた研究 た日を妊娠O日目と見なした。 WEHI7.1細胞は 10%

がなく,断片的な知識しか知られていなかった。 の 非 働 化 ウ シ 胎 児 血 清 と 10mMHEPESを加えた し か し 次 の2つの事実が明らかになったことにより Dulbecco改変 Eagle培地で, HL‑60細胞は 10% こ れ ら の 問 題 は 非 常 に 興 味 深 い も の に な っ た 1 ) 著 働化ウシ胎児血清とlOm MHEPESを加えた RPMIl640 者らは小腸粘膜にも FBPaseが存在することを示し, 培地で, 5% C02‑95% airの下で 37l:で培養した。

マウスから精製してその性質を調べた結果,それまで知 られていた肝型,筋型とは異なる新しいアイソザイムで あることを示したことヘそして,小腸 FBPaseのアイ ソザイム型には種特異性があり,マウス,ラット,ハム スターの小腸 FBPaseは小腸固有の型であるが, ウサ ギ,モルモットでは小腸 FBPaseは肝型であること仰)

2) FBPaseは分子量 36000~ 38000の同ーのサ ブユニットから成るホモテトラマーであるが,ラットの FBPaseは従来知られていた FBPaseよりもサブユ ニット分子量が大きい (Mr==40000~ 42000)こと が示され,ブタ腎やウサギ肝 FBPaseのカルボキシル 末端のアミノ酸よりも先までラット肝 FBPaseではペ プチドが延長され,との部分が cyclicAMP依存性の タシパクキナーゼによってリ γ酸化を受けることが見出 されたこと川)。そして,他の既知晴乳類 FBPaseには,

この延長部分は存在しないから, cyclicAMP依存性タ クパクキナーゼによってリン酸化を受けないこと。

従って,動物細胞において, FBPaseのアイソザイム にはどんなものがあるか,またそれらの分布やその酵素 的,分子的性質を調べることは, FBPase酵素の分子進 化や FBPaseの糖新生調節以外の生理的役割を知るう

酵素活性の測定 FBPase活性は,文献4) ‑6)  に記載された方法に従って, 340nm NADP+還元 速度を 300Cで分光光学的に測定することによって求め た。酵素活性は,毎分lμmolのフルク卜ース 16‑

ニリン酸を加水分解する酵素量を1単位と定義する。タ ンパク濃度はウシ血清アルブミンを標準タγパクとして Bradfordの方法9)により定量した。

抗血清の作成:ラット肝型,筋型,マウス肝型,小 腸 型 FBPaseに対する抗血清は,それぞれ文献6)に 記載されている様に Freundの完全及び不完全アジユ パソ卜を使って,ウサギに注射して作成した。

イムノプロッテインゲ:SDSーポリアクリノレアミドゲ ル電気泳動 (SDS‑PAGE) Laemmliの 方 法 ベ エ レク卜ロブロッティングは, Towbinらの方法ωに従っ て行なった。プロッ卜された膜を抗 FBPase血清とイ ンキュベーショγした後, Hawkesらの方法ωに従っ て,西洋ワサビペルオキシダーゼを結合したヤギ抗ウサ IgG FBPaseを検出した。

(3)

秋 田 医 学 (155)  ラット筋型 FBPaseの 精 製 : 全 て の 操 作 は 特 に 断 り

仏のない限り0‑5'Cで行なった。

1 . 抽 出 : ラ ッ ト 筋 肉 を 細 切 し , 10mM Tris‑HC1 

1, (pH8.0) m M  EDTA, m Mフェニルメチルスルホ ニルフロリドを含む 3倍容の 0.25Mショ糖溶液中で ホモジナイズした後, 40000 g 30分間遠心し,

上清を回収した。

2.熱 処 理 : 終 濃 度 10mM2‑メルカプトエタノー ノレを加えて, 90'Cの湯浴で良く撹持しながら抽出液を加 熱した。 60'Cに達したら,氷浴中で急速に冷やしてから 15分間遠心し,上清を集めた。

3.  DEAEセ ル ロ ー ス ・ ク 口 マ 卜 ゲ ラ フ ィ ー : 熱 処 理 抽出液を氷冷蒸留水で2倍に希釈し, pH7.3に合わせ た後, m M  EDTAを含む 10m M  Tris‑HCl緩 衝 液 で平衡化した DEAEセルロースカラム (2.210cm)  に吸着させ,平衡化に用いた緩衝液で十分に洗浄した。

同じ緩衝液に溶解した O02M Ne!Cl濃度勾配で溶出

FBPase活性を含む百分を集めし1m M  EDTA 0.05% 2ーメルカ。トエタノールを含む 10m Mマロン 酸緩衝液中で 4'C  6時間透析した。

4.ホ ス ホ セ ル ロ ー ス ・ ク ロ マ 卜 ゲ ラ フ ィ ー : 透 析 し た溶出液を 1m M  EDTAを含む 10mMマ ロ ン 酸 緩 衝液 (pH6.7)で平衡化したホスホセルロースカラム (2.2 5cm)に 吸 着 さ せ , 同 じ 緩 衝 液 100mlで洗 浄 し , 引 き 続 い て 同 じ 緩 衝 液 に 150mMNaClを溶解 した液で洗った。溶出は 0.5mMフルクトース 16 二リシ酸, 150mM NaCl 1 m M  EDT A を 含 む 10 m Mマロン酸緩衝液 (pH6.7)で行ない,酵素活性を 含む画分を 20%グリセロール, m M  EDT A, m M  

ジ チ オ ス レ イ 卜 ー ル を 含 む 10m Mマ ロ ン 酸 緩 衝 液 (pH 6.0)中で1晩透析した。

5.ブ ル ー セ フ ア ロ ー ス ・ ク ロ マ 卜 ゲ ラ フ ィ ー : 透 析 した溶出液を 1mMEDTA. 1 m Mジチオスレイ卜ー ルを含む 10m Mマロン酸緩衝液 (pH6.0)で平衡化 したブルーセフアロースカラム (2.2lOcm)に吸着 させ,同じ緩衝液で十分洗浄した後, 0.1  m M  AMP,  0.05 m Mフルクトース 16一二リン酸, m M  EDTA  を含む 10m Mマロン酸緩衝液 (pH6.0)で溶出した。

酵素活性を含む画分を濃縮し適当な緩衝液で透析して,

精製標品とした。

ラット肝 FBPaseは文献 13),マウス肝 FBPase 文献 14),マウス小腸 FBPaseは 文 献4) に 従 っ て 精 製した。

1 ラット筋 FBPase SDS‑PAGE及びイムノプ ロット

(A)10%ゲ、ルで SDS‑PAGEした後, Coomassie  blueでの染色像。レーン1,精製肝 FBPase

レーン2,精製筋 FBPase

(B)SDS‑PAGE lmmobilon膜に転写した イムノプロッ卜像。レーン1,筋組抽出液 ;レー γ2,精製筋 FBPase

結 果

1.ラッ卜筋酵素の性質

ラット筋 FBPaseのサプユニッ卜分子量

精 製 し た ラ ッ ト 筋 FBPase SDS‑PAGEで 単 一 の バ ン ド を 示 し , 肝 酵 素 よ り も 大 き な 移 動 度 を 示 し た (1A)。分子量マーカーを用いてサブユニット分子 量を求めると 37500の値が得られた。この値は他の既 FBPaseと一致する値であった。一方, ラット肝酵 素のサフ'ユニット分子量は 43000で,既に報告されて いる様に川5).ベ 他 の 既 知 FBPaseより幾分か大きい値 であった。精製筋酵素が肝酵素よりも小さいということ 及びこの小さいサイズは精製過程で大きい分子の加水分 解によって生じたのではないということを示すために,

ラット筋肉の粗抽出液と精製酵素を同時に SDS‑PAGE し,イムペプロットを行なった。ブロットした膜を抗筋 FBPase抗体とイγキュベーショシすると,組抽出液中 の酵素も精製酵素も同じ位置に検出された(図1B) この結果は,大きな筋酵素が精製の過程で組織内プロテ アーゼによって消化を受けて小さな分子(サブユニット 分 子 量 37500)に変ったのではないということを強く

‑945‑ 平成2

(4)

(156) 

FBPaseアイソザイム

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2 抗ラット筋 FBPase抗体 (A)及び抗ラット肝 FBPase抗体 (B)による筋及び肝 FBPaseの免疫滴定 臓器抽出液と抗血清の混合液を 30'C1時間,さらに4'C 17時間イシキュベーショγした後, 40000  g 15分間遠心した上清に残存する酵素活性を測定。

e,筋肉;ム,肝臓。

示唆する。

抗筋 FBPase抗体と抗肝 FBPase抗体による免疫滴

ラット筋と肝の粗抽出液中の FBPase活性の抗筋型 酵素抗体と抗肝型酵素抗体による阻害を Tejwanim によって記載された方法に従って調べた(図2)。両酵 素の抗原性は明らかに互いに異なっていた。即ち,筋酵 素は抗肝型酵素抗体によって殆ど沈降しなかった(図2 B)。逆に,肝酵素は抗筋型酵素抗体によって殆ど沈降 しなかった(図2A)。この結果はウサギ1)2)やニワト 3)で既に知られている様に,ラットにおいても筋酵素 は肝酵素とは免疫学的に異なるアイソザイムであること を示す。

1次元ペプチドマッピンゲ

FBPaseと肝 FBPaseをそれぞれ黄色ブドウ球菌 V8プロテアーゼ,キモトリプシン,パパイシによって 部分加水分解をし,加水分解物を SDS‑PAGEによっ て分析した(図3)。筋酵素の泳動パターンは肝酵素の それとは非常に異なっていた。筋酵素は肝酵素よりも V8プロテアーゼに抵抗性があり,パパイシに対しては 感受性が強い様に見える。

スブチリシンによる消化

ウサギ FBPaseをスブチリシンとインキュベーショ ンすると,酵素活性の至適 pHの中性からアルカリ側

2  3 4 6  7 8  9 10  kd  68  58 

36  26.5 

15.5 

3 ラット筋及び肝 FBPase1次元ペプチドマッ ピング

精製筋及び肝 FBPase 0.5%SDS存在下,

pH6.8でプロテアーゼにより 37'C 30分消化 15% SDS‑PAGEoFBPaseに対する プロテアーゼの割合 (W/W)は次の通り:1/5,  黄色ブドウ球菌 V8プロテアーゼ 1/30,キモ

トリプシシ 1/800,パパイソ。レーン1, V8  プロテアーゼのみ;レーン2V8プロテアー ゼで消化した肝酵素;レーン3V8プロテアー ゼで消化した筋酵素;レ‑:14, キモトリフシ ンのみ;レーン5,キモトリプシシで消化した 肝 酵 素 ; レ ーγ6,キモトリプシンで消化した 筋 酵 素 ; レ ーγ7,パパインのみ;レーソ8 パパインで消化した肝酵素;レ‑:19,パパイ ンで消化した筋酵素;レーン 10,分子量マーカー タンノミク。

(5)

(157) 

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2a 0. 3E CE ) 3 E ω

100  200  Time(min) 

スプチリシシ消化による筋及び肝 FBPase活性の変化

pH6.8, 37"C FBPaseをスプチリシン(スブチリシシ FBPase= 1  200, w/w)とインキュベーション

pH9.1 Ce)pH7.5(0) で酵素活性測定。 (A) FBPaseCB) FBPase 100  200  300 

Time(min)  300 

4

kd  58 68 

36  26.5 

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スプチリシγとのインキュベーショγによるラット筋及び肝 FBPaseのサプユニット構造の変化

4と 同 サ シ プ ル を 15%ゲ ル で SDS‑PAGE Coomassie blueで染色。 (A) FBPase(B) FBPase。左側のレーンは分子量マーカータγパクを示す。

5

構造の変化は筋酵素と肝酵素とでは異なり,ラット筋酵 素では分子量約30000と約275002つのペプチド が生じ(図5A),肝酵素の消化では,分子量約 34000 と約 31000のペプチドに加えて,無傷のサブユニット よりもやふ小さいサブユニット (Mr=40000)が観察 された(図5B)。また図5のパターンはウサギ肝酵素 の も の と は 異 な っ て い た 。 ウ サ ギ 肝 酵 素 は 分 子 量 約 30000のペプチドのみを生じた18)19)。ラット筋酵素も への移動とアロステリック阻害剤 AMPに対する感受

1性の喪失が観察された17)18)。この触媒活性の変化は,酵 素サブユニット (Mr=36000)・の分子量約 30000 65002つのペプチドへの切断が関係している1

ラット筋 FBPaseも肝 FBPaseもスブチリシンとのイ ンキュベーショシによって pH9.1での活性が上昇した が,活性化の程度は筋酵素のほうが小さかった(図4) 5に示す様に,スブチリシン消化の聞のサブユニット

平成2

‑947‑

(6)

(158)  FBPaseアイソザイム

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Fructose 2.6bisphosphate!1M

6 AMP,フルクトース 26一二リン酸による筋及 び肝 FBPase活性の阻害

(A)  AMPによる阻害, (B)フルク卜ース 26一二リン酸による阻害。 e,筋FBPase 0,  FBPase

ウサギ,ニワトリ,へビ筋 FBPaseとは異なっていた。

それらはスブチリシγで消化したとき,ウサギ肝酵素と 同じ結果を生じたω

AMP及びフルク卜ース 2,6一二リン酸による阻害 他の動物種の筋酵素で報告された結果1)20)22)と一致 して,ラット筋酵素も AMPに対して極めて感受性が 高かった(図6A)。筋酵素活性の 50%を阻害する AMP濃度は 0.54μMであった。それに対して肝酵素 の場合は 85μMであった。

FBPaseのもう一つの阻害剤であるフルクトース 26一二リン酸もラット筋FBPaseを阻害した(図6B) 部分精製マウス筋酵素で以前報告した幼様に,ラット 精製酵素でも筋酵素は肝酵素よりもこの物質に対する感 受性が低かった。ラット筋酵素と肝酵素の活性を 50%

阻害するフルクトース 26一二リン酸濃度はそれぞれ約 6.3μMと1.5μMであった。

2.ラッ卜小腸酵素の性質

ラット小腸酵素のサブ、ユニット分子量

精製したラット小腸 FBPaseSDS‑PAGEの結果 2本のパγドを示し,一方は肝型アイソザイムの泳動 位置に相当し,もう一方は筋型アイソザイムの泳動位置 に一致した(図省略)。精製標品によって 2つのバン ドの相対量が異なるので,恐らく筋酵素の泳動位置に相 当するパソドは精製途上で,混在するフ。ロテアーゼによっ て部分加水分解を受けたものであり,無傷の小腸酵素は 肝型酵素と同じサプユニット分子量をもっていると考え

られる。

抗筋 FBPase抗体及び抗肝 FBPase抗体による免疫 滴定

7に示す様に,未変性状態でラット小腸 FBPase は抗肝型抗体にも抗筋型抗体にも非常に良く反応した。

しかし小腸酵素は両抗体によって完全には沈降せず,

10 ~ 20%の活性は上清に残ったままであった。

AMPによる阻害

ラット小腸酵素の AMPに対する感受性は筋酵素と も肝酵素とも異なる感受性を示し,酵素活性の 50% 害濃度は素与認,UJ0:/~であった(図 8) 。この結果は,免 疫滴定の結果:~~.こ, ラット小腸 FBPaseが小腸固 有の型であることを示すものである。

3.ラッ卜各種臓器における FBPaseアイソザイムの 分布

ラット肝,腎,小腸粘膜,筋,脳,心,肺,醇,牌,

皐丸,胎盤の 11種の臓器粗抽出液を用いて SDS‑PAGE 後,イムノプロットを行ない,肝型アイソザイムと筋型 アイソザイムの分布を調べた。

肝型アイソザイムの検出

9に示した様に,肝型抗体と反応する FBPase ンパクバンドは,調べた 11種の臓器のうち,肝,腎,

醇,皐丸,肺の抽出液で検出された。肺抽出液のパソド は非常に薄いが,陽性であった。全てのバンドは転写膜 上で精製肝酵素と同じ移動度であった。腎抽出液の FBPaseのパγドは,肝抽出液のものよりも濃く染まっ た(図9, レーγ2及び3)FBPaseの染色の濃さは 腎>肝>皐丸>醇>肺の順であった。小腸粘膜,筋,脳,

心,牌,胎盤の各抽出液の泳動レーンには抗肝 FBPase 抗体によって肝 FBPaseの位置に陽性のバンドは検出

されなかった。肝(レーγ2),腎(レ‑ y3),脳(レー

(7)

(159) 

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20 

ANTISERUM. JJI 

抗ラット肝 FBPase抗 体 (A)及び抗ラット筋 FBPase抗 体 (B)による小腸FBPaseの免疫滴定 2と同様にして測定を行なった。

e,小腸粘膜;口,肝臓;ム,筋肉。

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抗ラット肝 FBPase抗体によるラットの各種臓 器抽出液のイムノプロット

300μg(但し,肝と腎は 25μg)タンパクを 含む臓器抽出液を SDS‑PAGE後 lmmobilon  膜に 50V3時間転写し FBPase Hawkes らの方法12)により検出した。レーン1,精製ラッ

ト肝 FBPase (25ng);  レ‑:/2, 肝 ; レーン 3, 腎 ; レ ー ン4, 小 腸 粘 膜 ; レ ー ン5, 筋 ; レーシ 6, 脳 ; レ ー ン 7,心臓;レ‑:/8,肺

レーン9, 牒 ; レ ー ン 10, 牌 臓 ; レ ーγ 11, 畢 丸 ; レ ー ン12,胎盤。

横綱胸制織たる

9 100 

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AMPによる小腸 FBPase活性の阻害

e,小腸FBPase ム,肝 FBPase

図8

筋型アイソザイムの検出

抗ラット筋 FBPase抗体を用いたときの図9と同じ 11種の臓器抽出液のイムノプロットの結果が図 10で ある。精製筋 FBPaseと同じ泳動位置にバンドが検出

平成2

‑949‑

ン6),醇(レーγ9),胎盤(レーン 12)の小分子量 域に陽性バンドが観察された。現在, この理由は不明で あるが,試料調製の途上で生じた,組織内プロテアーゼ による FBPase加水分解物によるものであるかもしれ ない。脳には FBPaseの存在が報告されており2仰ペ

これらが加水分解を受けて抗肝 FBPase抗体と反応す る 様 に な っ た の か も し れ なL、。また胎盤にも未知の FBPaseアイソザイムが存在し,同様に抗肝型抗体と反 応する様になったのかもしれない。

図 2 抗ラット筋 FBPase 抗体 ( A ) 及び抗ラット肝 FBPase 抗体 ( B ) による筋及び肝 FBPase の免疫滴定 臓器抽出液と抗血清の混合液を 3 0 ' C で 1 時間,さらに 4 ' C で 1 7 時間イシキュベーショ γ した後, 4 0 , 0 0 0  x  g で 1 5 分間遠心した上清に残存する酵素活性を測定。 e ,筋肉;ム,肝臓。 示唆する。 抗筋 FBPase 抗体と抗肝 FBPase 抗体による免疫滴 定 ラット筋と肝の粗抽出液中の FBPase 活性
図 4 と 同 サ シ プ ル を 15% ゲ ル で SDS‑PAGE 後 , Coomassie blue で染色。 (A) 筋 FBPase , ( B ) 肝 FBPase 。左側のレーンは分子量マーカータ γ パクを示す。図5 構造の変化は筋酵素と肝酵素とでは異なり,ラット筋酵 素では分子量約 3 0 , 0 0 0 と約 2 7 , 5 0 0 の 2 つのペプチド が生じ(図 5A) ,肝酵素の消化では,分子量約 3 4 , 0 0 0 と約 3 1 , 0 0 0 のペプチドに加えて,無傷の

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