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Narantsog Choijookhuu 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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Narantsog Choijookhuu

論文内容の要旨

主論文

Estrogen-dependent regulation of sodium/hydrogen exchanger-3 (NHE3) expression via estrogen receptor β in proximal colon of pregnant mice

(妊娠マウスの近位大腸に於けるエストロゲン受容体βを介したNa+/H+交換輸送体

(NHE3)発現のエストロゲン依存的調節)

Narantsog Choijookhuu, 佐藤陽子, 西野友哉, 遠藤大輔, 菱川善隆, 小路武彦 Histochemstry and Cell Biology, in press (2012)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻 (指導教授:小路武彦教授)

諸 言

妊娠期には腸管に於けるナトリウム及び水分の吸収が増加することで循環血液量が増加 する。この腸管からの吸収量の増加が妊婦の40%にみられる便秘の原因の一つと考えられ ている。また、妊娠期には血中エストロゲン濃度が著しく高値となるが、エストロゲン受容 体のサブタイプの一つであるエストロゲン受容体β (ERβ) がヒト及びマウスの大腸に発現 すること、雄マウスの生殖器官に於いて大腸にも発現するNa+/H+ 交換輸送体 NHE3 の発 現がエストロゲンにより制御されることが報告されている。これらの知見から、エストロゲ ンは ERβ を介して NHE3 発現を制御することで妊婦に特有な便秘の誘導に関与するので はないかと考え、マウスをモデル動物として研究を行った。

本研究では様々な妊娠ステージのマウス大腸に於けるERβ 及び NHE3 の発現部位、発現 量の変化を免疫組織化学及び in situ hybridization (ISH) 法や Western blot (WB) 法により解 析した。また、マウス大腸に於ける ERβ の役割を in vivo electroporation を用いて大腸上皮 細胞に ERβ siRNA を導入することにより検討した。

対象と方法

8-12 週齢 (非妊娠時の体重:27~35g) の成体の ICR 雌マウスを用いた。妊娠マウス試料

は妊娠成立後 5, 10, 15, 18 日で採取した。

卵巣摘出マウスに於ける実験は卵巣摘出後 1, 5, 9, 12 日後に 17β-estradiol (E2) (25 mg/kg) の単独あるいは ICI 182,780 (0.3 mg/kg) との共投与を行い、最終投与日の2日後に大腸を採 取した。

In vivo electroporation 実験では卵巣を摘出したマウスに上記と同様のスケジュールで E2

(2)

投与を行い、最終投与日の1日後に腸管内に 1 μg/μl の濃度の ERβ siRNAあるいは

scrambled siRNAを 30 μl 注射し、electroporator (NEPA21) を用いて遺伝子導入を行った。腸 管採取は導入 1日後に行った。

組織は組織化学的解析用のものは4%パラホルムアルデヒド/リン酸緩衝液(pH 7.4)にて 固定後パラフィン包埋切片を作成した。

WB法によるERβの検出には近位及び遠位大腸の組織抽出液を、NHE3 の検出には近位 及び遠位大腸の刷子縁の部分をマグネシウム沈殿法により単離したものを用いた。

大腸に於ける ERβ 及び NHE3 タンパクの発現はそれぞれに特異的な抗体を用いた免疫 組織化学により、mRNA 発現はアンチセンス digoxigenin 標識 oligo-DNA プローブを用い、

非放射性 ISH 法により解析した。

結 果

妊娠10日以降のマウスの近位大腸の上皮細胞に於いてERβタンパク及び mRNA の発現 が確認され、その発現細胞数および発現量は妊娠ステージの進行とともに増加した。非妊娠 マウスに於いては発情周期のステージによらず上皮細胞に於ける ERβ 陽性細胞は認めら れなかった。なお、ERβ 発現は遠位大腸上皮では認められず、また ERαの発現は大腸上皮 では検出できなかった。NHE3 の発現もERβ同様妊娠ステージの進行とともに亢進してい た。また、ERβ 及び NHE3 の二重染色によりこれらのタンパクが同一の細胞に発現してい ることが明らかとなった。卵巣摘出マウスにエストロゲンを投与すると妊娠マウスと同様に ERβと NHE3 の発現が誘導され、その誘導は ICI 182,780 投与により消失した。また、卵 巣摘出後のエストロゲン投与による近位大腸での NHE3 発現は、この部位に於いて ERβ 発現をノックダウンすることにより顕著に減少した。

考 察

本研究により、マウスに於いて妊娠ステージの進行とともにERβの発現が近位大腸の上 皮細胞特異的に誘導されることが明らかとなった。このERβ発現が誘導された細胞では、

ナトリウムの吸収に重要な役割を果たす NHE3 の発現も頂頭部の細胞膜に於いて増強した。

卵巣摘出マウスを用いた実験から、このERβおよび NHE3 の発現上昇はエストロゲンによ るものであることが判明し、更に in vivo electroporation による近位大腸上皮細胞での ERβ ノックダウン実験により、NHE3 の発現量の上昇はこの部位のERβを介したものであるこ とが明らかとなった。大腸に於ける水分吸収の中心である近位大腸に於いてエストロゲンが ナトリウム吸収に必須な遺伝子の発現を制御しているということは非常に興味深く、水分吸 収はナトリウム吸収と密接に関連していることから、本研究の成果は妊婦に特有な便秘の誘 導機構に新知見を提供するものと思われる。

参照

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